JPH0745466A - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents

金属化フィルムコンデンサ

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JPH0745466A
JPH0745466A JP5189489A JP18948993A JPH0745466A JP H0745466 A JPH0745466 A JP H0745466A JP 5189489 A JP5189489 A JP 5189489A JP 18948993 A JP18948993 A JP 18948993A JP H0745466 A JPH0745466 A JP H0745466A
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electrode
film
film capacitor
metallized film
capacitor
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JP5189489A
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Mitsumasa Oku
光正 奥
Toshiyuki Nishimori
敏幸 西森
Ichiro Kuniya
一郎 国谷
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、耐熱性と保安性を両立した乾式金
属化ポリプロピレンフィルムコンデンサを提供するもの
である。 【構成】 一対のメタリコン電極に接する二極の蒸着電
極のうち、少なくとも一極が複数個の分割電極1をなす
交流用金属化フィルムコンデンサにおいて、一対の誘電
体フィルムがポリプロピレンフィルムで、さらに最高許
容温度をTとした場合、そのTが100℃以上で、かつ
前記分割電極1のヒューズ電流値F(ミリアンペア)
が、 10≦F≦1000−10・ΔT ΔT=T−100 に設定したことを特徴とする金属化フィルムコンデンサ
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属化フィルムコンデ
ンサに関し、さらに詳しくは、耐熱性を備えた、自己保
安機能付き乾式金属化ポリプロピレンフィルムコンデン
サに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水銀灯などの照明灯やエアコンや
冷蔵庫のコンプレッサなどに用いられる電気機器用コン
デンサは、商用周波数(50または60Hz)のAC1
00〜700V程度の電圧で用いられることが多く、容
量は、0.5〜150μF前後のものが多かった。ま
た、電磁誘導加熱機器用の高周波コンデンサなどがあっ
た。一方、温度に関しては、JIS C 4908−1
985で定められている最高許容温度は、通常、高くて
も85℃程度であった。そしてこれらの用途に使用され
る誘電体フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチ
レンテレフタレートなどがあり、用途に応じて使い分け
られてきた。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、
耐熱性は比較的高いものの誘電正接が大きいため、交流
用途では自己発熱が大きくなり、コンデンサの高耐熱化
における制限要因となっていた。一方、誘電正接の小さ
なポリプロピレンフィルムは、従来、これを誘電体とし
たコンデンサの使用温度範囲の上限が85℃(衣川浩平
著『コンデンサ(新版)』p.87、表3・2 昭和5
3年12月25日新版4版発行、発行所:日刊工業新聞
社)とされているように低く、そのまま耐熱性コンデン
サに適用するには難があった。さらに従来よく用いられ
ている湿式の金属化フィルムコンデンサでは、高温で、
ポリプロピレンフィルムが絶縁油で膨潤して、なおさら
悪影響が免れないため耐熱性コンデンサに適さないもの
であった。
【0003】そこで、これらの分野の乾式コンデンサ
が、保安性を確保するために、自己保安機構が開発され
て広く実用化されつつある。これは、金属化フィルムと
して、フィルムの長さ方向に複数個の島状に蒸着空白部
分で絶縁して分離するように電極を設け、その一つの分
割電極が許容する電流を制限して、コンデンサ自体に保
安機能を付与するものであり、とりわけ、従来の電気機
器用コンデンサ(最高許容温度は、85℃以下)では、
一つの分割電極のヒューズ電流値を10〜1000ミリ
アンペアの範囲に設定することにより好適な自己保安機
能が得られることが知られていた。なおこの分割電極の
ヒューズ電流値とは、分割電極において、その一側端で
電気的に導通するメタリコン電極に隣接する部分を分割
電極のヒューズ相当部分とし、そのヒューズ相当部分が
通電によって断路するに至るときの電流値の平均値(通
常、測定値10点のヒューズ電流値の平均値)をミリア
ンペアで示したものである。
【0004】また、特公平1−15131号公報には、
偏平型コンデンサの中心部に板状絶縁体を配して高温で
の貫通破壊を防止し、自己保安性を高めることが示され
ている。ところが、同公報中の実施例には、誘電体フィ
ルムの種類や厚さ、分割電極の幅、蒸着金属材料、膜抵
抗値、分割電極のヒューズ電流値などや直流使用か交流
使用か、定格電圧や定格容量はどうかなどまでは詳細に
明示されていない。特に直流使用と交流使用の差は、誘
電正接に基づく自己発熱を無視できるか否かの大きな差
があるため、耐熱性コンデンサの設計思想は両者で大き
く異なるものとなるが、この問題についても必ずしも明
瞭でなかった。
【0005】さらに、近時では耐熱性の高いポリフェニ
レンサルファイドフィルムや、ポリエチレンナフタレー
トフィルムなどが開発され、耐熱性コンデンサへの適用
が進められており、コンデンサ素子の形状面でも、2枚
のフィルムを重ねて筒状や円柱状の巻芯に巻回した巻回
丸型、断面が偏平の巻回偏平型、さらに積層型(スタッ
ク型)のものもあるなど、高温での使用に適するコンデ
ンサの開発に努力がされてきたが、まだ充分ではなかっ
た。
【0006】一方、電気機器自体の小型化や、合理化設
計のため、その電気機器に使用されるコンデンサに対す
る高耐熱化の要求が急速に高まってきている。然しなが
ら、従来この分野(電気機器用コンデンサ分野)で用い
られてきたコンデンサにとっては、新たな経験となる高
温域(即ち、最高許容温度が100℃以上の領域)で従
来のコンデンサを用いた場合、従来の温度領域で見られ
なかった各種の問題が存することが判明してきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明が解決し
ようとする課題は従来の高温域で発生する具体的な問題
として、コンデンサの高温域での課電状態における熱暴
走破壊の問題、突発的な破壊頻発の問題、静電容量の減
少の問題、それに、自己保安機能動作性の著しい低下の
問題などである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記する従来の
問題点を解決することを目的とし、請求項1記載に係る
発明は、二極の蒸着電極はいずれもポリプロピレン誘電
体フィルムに金属電極が蒸着されていて、前記二極の蒸
着電極のうち少なくとも一極は、蒸着膜空白部により電
気的に相互に絶縁される複数個の分割電極をポリプロピ
レン誘電体フィルムの長手方向に有する交流用金属化フ
ィルムコンデンサであって、最高許容温度をTとした場
合、そのTは100℃以上に設定し、かつ前記分割電極
のヒューズ電流値(下記するなお書にその定義を示す)
Fは、 10≦F≦1000−10・ΔT・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) ΔT=T−100・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) に設定した構成としたものである。
【0009】そして、上記の(1)式に(2)式を代入
すると 10≦F≦1000−10・(T−100) =10≦F≦(200−T)×10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) の、(3)式となる。
【0010】なお、上記する分割電極のヒューズ電流値
Fの定義は、分割電極において、その一側端で電気的に
導通するメタリコン電極に隣接するヒューズ相当部分が
通電によって断路に至る際の電流値の平均値をミリアン
ペアで示したものである。
【0011】請求項2記載に係る発明は、前記請求項1
記載の発明に加えて、最高許容温度を100℃から15
0℃の間に設定したものである。
【0012】また、請求項3記載に係る発明は、前記請
求項1または2記載の発明に加えて、分割電極のヒュー
ズ電流値を30ミリアンペアから800ミリアンペアの
間に設定したものである。
【0013】請求項4記載に係る発明は、前記請求項1
ないし3のいずれかに記載の発明に加えて、蒸着電極を
筒状または円柱状の巻芯に巻いた巻回丸型としたもので
ある。
【0014】請求項5記載に係る発明は、前記請求項1
ないし3のいずれかに記載の発明に加えて、金属化フィ
ルムコンデンサを巻回偏平型としたものである。
【0015】請求項6記載に係る発明は、前記請求項1
ないし5のいずれかに記載の発明に加えて、メタリコン
電極へのリード線の接続をハンダ付けとしたものであ
る。
【0016】また、請求項7記載に係る発明は、前記請
求項1ないし6のいずれかに記載の発明に加えて、ポリ
プロピレン誘電体フィルムは、アイソタクチックポリプ
ロピレンフィルムとし、そのアイソタクチック度は95
%以上、平均分子量は60万から80万の間、結晶化度
は60%から80%の間、灰分量は100ppm以下、
密度は0.89から0.91g/cm3の間としたもの
である。
【0017】さらに、請求項8記載に係る発明は、前記
請求項1ないし7のいずれかに記載の発明に加えて、二
極の蒸着電極を中間電極を介して対向させる構成とした
ものである。
【0018】
【作用】本発明の前記構成によれば、高温領域(100
℃以上)の交流電圧使用においても熱暴走することがな
く、また破壊の発生のない大容量の金属化ポリプロピレ
ンフィルムコンデンサを実現することができる。
【0019】即ち、ポリプロピレンフィルムで高耐熱化
が従来実現しなかったのは、ポリプロピレンフィルムが
高温域ではその温度によって溶融するという理由ではな
く(融点は約170℃)、高温域で耐電圧が低下するフ
ィルム箇所が増加するためであり、これによりコンデン
サ全体の破壊に至りやすいというものであった。
【0020】また、一方、特に高温域では、フィルムの
軟化と収縮の変化率が、従来温度域に比べて飛躍的に大
きくなり、これにより、自己保安機能が動作する条件幅
が著しく制限される結果となっていた。
【0021】このような状況の下で、本発明は、金属化
ポリプロピレンフィルムコンデンサの分割電極のヒュー
ズ電流値を究明し、前記する特定の値に設定することに
より、自己保安機能の動作性を維持すると同時に、高温
域での弱点部増加によるコンデンサの全体破壊を防止
し、しかも容量をわずかな減少にすることを成し得たも
のである。即ち、本発明は、分割電極による自己保安機
能が有する局部破壊自己修復能力を最大限に活用して、
結果的に、コンデンサ全体の高温域における耐電圧を上
げ、耐熱性の金属化ポリプロピレンフィルムコンデンサ
を実現したものである。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
する。
【0023】(実施例1)ポリプロピレンフィルム〔東
レ(社)製品名:トレファンT−2372/厚さ8μ
m〕にアルミニウムを真空蒸着(3〜4Ω/□)し、レ
ーザの加工技術を用いて図1に示すパターンを形成し、
分割電極1を有する金属化フィルム2(フィルム幅が6
0mm、分割電極幅が60mm、1本の幅狭小部である
パス3の幅は0.8mm)と、パターンを形成しない金
属化フィルム4(蒸着膜空白部であるマージン部5だけ
形成したものでフィルム幅が60mm)を1枚ずつ2枚
重ねて、巻芯6(38μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムを10ターン巻回して、直径10mmの巻芯
としたもの)に巻回したのち、ポリプロピレンフィルム
(厚さ20μmで幅が60mm)で保護巻(10ター
ン)し、亜鉛のメタリコンをAの方向に溶射して、巻回
丸型のコンデンサ素子を作成した。なお、7は分割電極
1を形成するための蒸着膜空白部である絶縁帯、8はパ
ス3を形成するために蒸着膜に空白部を設けた絶縁部で
ある。
【0024】このコンデンサ素子を真空中(0.1To
rr)で熱エージング(120℃で15時間)し、リー
ド線をハンダ付け(接着面積は25mm2)して、プラ
スティック容器に格納しエポキシ樹脂〔松下電工(社)
製品名:主剤MDR−4/硬化剤MDH−4〕を注型し
て熱硬化(90℃で5時間加熱)し、乾式の金属化ポリ
プロピレンフィルムコンデンサを完成した。このとき分
割電極のヒューズ電流値は280ミリアンペアであっ
た。
【0025】なお、分割電極のヒューズ電流値は、次の
ようにして測定する。即ち図2に示すように、直流電源
9と直流電流計10を用意し、メタリコン部11と一つ
の分割電極12の間に、1ミリアンペア/秒のスピード
で電流iを増加し、分割電極のヒューズに相当するメタ
リコン接触部近傍のヒューズ相当部分13が断路すると
きの到達電流値を読み取る。さらに具体的には、コンデ
ンサを分解し、フィルムのメタリコン接触部に損傷を与
えないようにフィルムを剥がしながら順番に測定してい
くものとし、測定値10点の平均でもって分割電極のヒ
ューズ電流値とする。なお14は蒸着膜空白部としたマ
ージン部である。
【0026】この乾式金属化ポリプロピレンフィルムコ
ンデンサ(定格AC240V25μF)を6台用意し、
最高許容温度Tを115℃(ΔT=115−100=1
5度)として、JIS C 4908−1985に従っ
て保安性試験を実施したところ全数合格した。また、別
に同じコンデンサを6台用意し、連続耐用性試験〔11
5℃でAC300V(60Hz):定格電圧の1.25
倍〕を実施したところ、800時間で容量減少が平均
0.8%であり安定した優れた特性を示すことがわかっ
た。また、熱暴走したり途中で破壊したりする試料は皆
無であった。
【0027】(実施例2)図1のパス3の幅を変えて、
分割電極のヒューズ電流値を各種値に設定したコンデン
サを作成し、保安性試験を実施した結果をまとめて図3
に示した。コンデンサの作り方に関しては実施例1と同
様であった。この試験は、各点について6台実施し、評
価した。この結果より実験式的に、安定して自己保安機
能を動作させるためには、分割電極のヒューズ電流値F
は、 F≦1000−10・ΔT ΔT=T−100(最高許容温度をTとする) が成立する必要があることがわかった。なお、通常のコ
ンデンサ機能を維持するには、分割電極のヒューズ電流
値を10ミリアンペア以上、望ましくは30ミリアンペ
ア以上に設定する必要があることも確認されている。
【0028】(実施例3)厚さがそれぞれ6μmのポリ
プロピレン(以下PPという)フィルム、ポリフェニレ
ンサルファイド(以下PPSという)フィルム、ポリエ
チレンテレフタレート(以下PETという)フィルムそ
れにポリエチレンナフタレート(以下PENという)フ
ィルムを用意した。これらのフィルムそれぞれについ
て、アルミニウムを真空蒸着(3〜4Ω/□)し、レー
ザの加工技術を用いて図1のようなパターンを形成した
金属化フィルム(フィルム幅は60mm、分割電極幅は
50mm、1本のパスの幅は1mm)と、パターンを形
成しない金属化フィルム(通常のマージン部だけ形成し
たものでフィルム幅は60mm)を1枚ずつ2枚重ね
て、巻芯(外径10mmのPBT製成型ボビン)に巻回
したのち、ポリプロピレンフィルム(厚さ20μmで幅
60mm)で保護巻(10ターン)し、亜鉛のメタリコ
ンを施して、巻回丸型のコンデンサ素子を作成した。こ
のコンデンサ素子を真空中(0.1Torr)で熱エー
ジング(120℃で15時間)し、プラスティック容器
に格納しエポキシ樹脂〔松下電工(社)製品名:主剤M
DR−4/硬化剤MDH−4〕を注型して熱硬化(90
℃で5時間加熱)し、乾式の金属化フィルムコンデンサ
を完成した。
【0029】これらの乾式金属化フィルムコンデンサ
(定格AC240V25μF)を用いて、直流電圧(D
C300V/120℃/課電時間800時間)と交流電
圧(AC300V/120℃)による課電試験の結果を
(表1)に示した。
【0030】
【表1】
【0031】この結果、ポリプロピレンフィルム以外の
コンデンサでは、直流電圧での高温域使用においては可
能性があるが、交流電圧では自己発熱による熱暴走が現
れ使用に耐えないことがわかった。
【0032】(実施例4)ポリプロピレンフィルム〔東
レ(社)製品名:トレファンT−2372/厚さ6μ
m〕にアルミニウムを真空蒸着(3〜4Ω/□)し、レ
ーザの加工技術を用いて図4の(a)に示す分割電極1
5を絶縁帯16で分離して形成した金属化フィルム(フ
ィルム幅が40mm、分割電極幅がAサンプルは15m
m、BとCサンプルはそれぞれ17mm)と、パターン
を形成しない金属化フィルム(通常のマージン部17だ
け形成したものでフィルム幅は40mm)を1枚ずつ2
枚重ねて、通常の通り、巻回したのちポリプロピレンフ
ィルム(厚さ20μmで幅40mm)で保護巻(10タ
ーン)しプレス(15kgf/cm2)して偏平にし、
亜鉛のメタリコンを施して、巻回偏平型のコンデンサ素
子を作成した。このコンデンサ素子をプレスしたまま、
真空中(0.1Torr)で熱エージング(120℃で
15時間加熱)した後、リード線をハンダ付け(接着面
積は9mm2)し、プラスティック容器に格納しエポキ
シ樹脂〔松下電工(社)製品名:主剤MDR−4/硬化
剤MDH−4〕を注型して熱硬化(90℃で5時間加
熱)し、乾式の金属化ポリプロピレンフィルムコンデン
サを完成した。このとき分割電極のヒューズ電流値はA
サンプルでは平均750ミリアンペアで、比較例である
BサンプルとCサンプルでは平均850ミリアンペアで
あった。
【0033】これらの乾式金属化ポリプロピレンフィル
ムコンデンサ(定格AC240V10μF)を各10台
用意し、それぞれの温度(最高許容温度)で連続耐用性
試験(AC300V:定格電圧の1.25倍)を実施
し、800時間後の破壊残存率を評価した結果を図5に
示した。サンプルBの構造と試験温度条件では、突発破
壊が多数現れたが、サンプルAとCの構造と試験温度条
件では、破壊は見られなかった。
【0034】なお、図4の(a)のパターンを図4の
(b)のようにパス18を設けることができる。パス1
8はヒューズ部としての機能を果たすことになりやす
い。然しこの分割電極のパターンの形状は図4の
(a)、(b)または図1に示すものなど他にも多くが
考えられ、そのパターンにより本発明が限定を受けるも
のではない。
【0035】(実施例5)実施例1のコンデンサで、リ
ード線(0.25mm厚×5mm幅×20mm長)の接
着方法をハンダ付けとスポット溶接(いずれも接着面
積:2.5mm×2mm=5mm2)の二方法で実施し
たコンデンサを作成した。最高許容温度を120℃と8
5℃に設定し、AC300V(定格電圧の1.25倍)
で連続耐用試験したところ図6の通りとなり、スポット
溶接の120℃の試験では、500〜800時間の間で
メタリコンとリード線の剥がれが発生し、樹脂にクラッ
クが入るとともに、端子間の容量がほぼ0μFとなっ
た。この結果より、この種の耐熱性コンデンサには、特
にハンダ付けが適することがわかった。
【0036】以上の実施例では、巻回型のコンデンサを
用いたが、これらに限らず、積層型(スタック型)であ
ってもよいが、特性の安定性から、巻回丸型が、最も優
れるので、好ましい。次に、最高許容温度に関しては、
100℃以上で金属化ポリプロピレンフィルムコンデン
サが、コンデンサの機能を失わない範囲の温度であれば
特に限定するものではないが、特に100℃を超え15
0℃以下が本発明の特長が発揮され、特に適当である。
150℃を超えるとフィルムの融点に近づくため、コン
デンサとしての特性が不安定になるため好ましくない。
さらに好ましくは105℃以上で130℃以下が適当
で、より好適には110℃以上で125℃以下が総合的
な特性面から有効で、最も好適には、115℃以上で1
25℃以下である。この発明が適用されるコンデンサの
定格電圧はAC100〜700V程度であるが、特にA
C150〜600Vにおいて効果が大きく、より好まし
くは、AC170〜500Vである。また定格電界強度
の面からは、20〜80V/μmの範囲が適切で、特に
25〜60V/μmの範囲が好適である。次に、容量に
関しては、特に限定するものではないが、コンデンサ素
子単体で0.5〜150μF程度で使われ、とりわけ2
〜100μFが適当で、中でも特に10〜70μFが好
適である。
【0037】次に、本発明に用いられるポリプロピレン
フィルムは、各種のフィルムが適用でき、厚さは3〜2
0μmの範囲、特に6〜12μmの範囲が好適であり、
コロナ放電処理は片面だけのものでも、両面処理のもの
であってもよい。フィルムの熱収縮率(120℃/60
分:DIN 40634準拠)は、特に限定されるもの
ではないが、TD方向で0.4〜2.5%程度のものが
好ましい。フィルム原料のPPは、PPを主成分として
いれば、ほかの樹脂成分や各種添加剤を含むことは、本
発明の効果を著しく損なわない限り一向に差し支えな
い。さらに、PPには、アイソタクチックPPとシンジ
オタクチックPPがあり、いずれかに特に限定されるも
のではないが、好ましくは、アイソタクチック度(n−
ヘプタンによる抽出残分)95%以上、平均分子量60
万〜80万、結晶化度60%〜80%、灰分量100p
pm以下、密度0.89g/cm3〜0.91g/cm3
のPPが好適である。
【0038】また、片面蒸着フィルムを2枚組み合わせ
て巻回や積層しても、両面蒸着フィルムと非蒸着フィル
ムを組み合わせて巻回や積層したものであってもよい。
【0039】金属化フィルムへの蒸着膜空白部、あるい
はマージン部の形成方法は各種の方法が適用できる。そ
の一つが、レーザエネルギーや、電極のアーク放電エネ
ルギーによる蒸着膜の除去方法であり、他の一つは蒸着
時のマスキングにより蒸着膜空白部を形成する方法であ
り、マスキングは、帯状テープで遮蔽したり、オイル類
を転写などで塗布して蒸着膜の付着を抑止する方法など
が適用される。
【0040】分割電極のヒューズ電流値の設定は、パス
の幅と本数、ヒューズ相当部分の蒸着膜の厚さ、ヒュー
ズ相当部分への微細なクラックや傷の設定、メタリコン
電極と蒸着膜の電気的接触強度を制御する方法、あるい
は熱エージング条件やプレス条件などを適切に制御する
ことなどにより設定されるが、本発明は、その設定方法
に依存するものではない。
【0041】また、分割電極のヒューズ電流値に関して
は、30ミリアンペアから800ミリアンペアの範囲
が、量産時の特性バラツキも少なくなり、より好まし
い。さらに好適には、30〜500ミリアンペアであ
る。
【0042】また、電極の引き出しに用いるメタリコン
(金属溶射)の金属材料としては、亜鉛、鉛、錫、銀、
銅などの金属を主成分としたものが用いられ、とりわ
け、亜鉛、鉛、錫が好適である。これらの金属を単独で
金属溶射したり、また、複数種類の金属の合金や多層の
金属溶射も用いられる。
【0043】本発明のコンデンサの、リード付けに関し
ては、強度が保持できればいずれでもよいが、とりわけ
溶接よりもハンダ付け(接着面積は3mm2以上)の方
が100℃以上の高温での接着強度が経時的にも充分保
持でき、好ましいことが確認できた。
【0044】コンデンサ素子の熱エージングに関して
は、真空中と大気中のエージングが適用できるが、特に
真空エージングが好ましい。熱エージングの温度は、1
00〜130℃が適用でき、特に110〜125℃が好
適である。
【0045】次に、本発明の金属化フィルムは、主に抵
抗加熱やEBエネルギー加熱さらには、高周波誘導加熱
などによる真空蒸着により製造され、金属化フィルムの
電極材料としては、特に限定するものではないが、アル
ミニウム、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、金、銀、イ
ンジウム、銅、クロム、モリブデン、チタンなどであ
り、これらの金属を単独で、または組み合わせて、合金
や、多層にして用いることができる。とりわけ本発明で
は、アルミニウムと亜鉛が適し、特にアルミニウムが好
適である。蒸着膜抵抗値は、特に限定されるものではな
く、電極材料と目的により使い分けられ、1〜100Ω
/□の範囲で設定されるが、アルミニウムでは、平均2
〜5Ω/□が適し、とりわけ平均3〜4Ω/□が好適で
ある。一方、亜鉛の蒸着膜を用いる場合には、2〜50
Ω/□の範囲で設定され、全面同レベルの厚さで蒸着す
る場合には、平均2〜8Ω/□が適し、とりわけ平均3
〜5Ω/□が好適である。また亜鉛の場合は、所謂『段
付き電極(メタリコン接触近傍の膜抵抗値を主電極部分
より低く(厚さを厚く)設計し蒸着膜厚に段をつけた状
態にしてメタリコンとの接触性能を維持するとともに主
電極部分の耐電圧を向上させる手法)』が有効であり、
この場合は、主電極部分の平均の膜抵抗値は8〜40Ω
/□が適し、特に15〜30Ω/□が好ましく、メタリ
コン接触近傍の平均の膜抵抗値は、2〜6Ω/□が好適
な結果を与える。本発明に用いるコンデンサの巻芯は、
ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリア
セタール、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を用
いた成形ボビンの他、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リフェニレンサルファイドなどの樹脂のフィルムやシー
トを1〜50ターン程度巻いて筒状にした巻芯であって
もよい。
【0046】本発明の乾式コンデンサでは、注型、ディ
ップ、さらに粉体コーティングなどの各種モールド方法
が適用される。これに使用される樹脂は、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノー
ル樹脂、シリコン樹脂などの熱硬化性樹脂が適用され、
特に、耐熱性や耐クラック性に優れたエポキシ樹脂やウ
レタン樹脂が好適である。さらに、エポキシ樹脂やウレ
タン樹脂を真空注型することがきわめて効果的である。
樹脂の硬化方法としては、熱硬化のほかに、UV硬化、
EB硬化などの方法が適用できる。また、本発明の乾式
コンデンサは、コンデンサ素子を樹脂や金属のケースに
入れるだけの、モールドしない構成のものであってもよ
い。
【0047】また図7の如く、中間電極19を介して、
二極の蒸着電極を対向させれば、コンデンサの高電圧化
が図れる。同様に中間電極を複数個設ければ、その数に
応じて高電圧化できるのは言うまでもない。ヒューズ相
当部分は、20、21の2箇所に設定することが望まし
いが、片方だけであってもよい。また、中間電極は、分
割電極にすることが望ましいが、非分割電極であっても
よい。なお、図7において22は分割電極、23はメタ
リコン電極を形成するためのメタリコン部分、24はマ
ージン部、25は誘電体フィルム、26は分割電極22
間の絶縁をする蒸着膜空白部としての絶縁帯である。
【0048】
【発明の効果】本発明は、前記に説明したように、分割
電極のヒューズ電流値を請求項1に示した通りの特定に
より、100℃以上の高温領域の交流電圧使用において
も熱暴走することがなく、また破壊の発生のない大容量
の金属化フィルムコンデンサを提供することができ、請
求項2ないし8に記載した構成によって上記の効果のあ
る金属化フィルムコンデンサを一層提供しやすく、ある
いは効果をより高めたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるコンデンサの分解部
分の斜視図
【図2】本発明で定義される、分割電極のヒューズ電流
値を測定するのに用いる測定法の概念図
【図3】本発明の、保安性試験の特性図
【図4】(a)、(b)は共に本発明の実施例4で用い
る金属化フィルムの一部平面図
【図5】本発明の実施例4で示したコンデンサの課電試
験の特性図
【図6】本発明の実施例5で示したコンデンサの課電試
験の特性図
【図7】本発明において中間電極を有する例のコンデン
サの部分断面図
【符号の説明】
1,12,15,22 分割電極 3,18 パス 5,14,17 マージン部 7 絶縁帯 8 絶縁部 9 直流電源 11 メタリコン部 13,20,21 ヒューズ相当部分 19 中間電極
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08F 110/06 MJF 9053−4J 9174−5E H01G 4/24 321 C

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二極の蒸着電極はいずれもポリプロピレ
    ン誘電体フィルムに金属が蒸着されていて、前記二極の
    蒸着電極のうち少なくとも一極は、蒸着膜空白部により
    電気的に相互に絶縁される複数個の分割電極をポリプロ
    ピレン誘電体フィルムの長手方向に有する交流用金属化
    フィルムコンデンサであって、最高許容温度は100℃
    以上に設定し、かつ前記分割電極において、その一側端
    で電気的に導通するメタリコン電極に隣接するヒューズ
    相当部分が通電によって断路に至る際の電流値の平均値
    をミリアンペアで示す分割電極のヒューズ電流値は、下
    限を10ミリアンペアとし、上限を最高許容温度を摂氏
    で表した数値を200より減じた数値の10倍のミリア
    ンペアにそれぞれ設定したことを特徴とする金属化フィ
    ルムコンデンサ。
  2. 【請求項2】 最高許容温度を100℃から150℃の
    間に設定した請求項1記載の金属化フィルムコンデン
    サ。
  3. 【請求項3】 分割電極のヒューズ電流値を30ミリア
    ンペアから800ミリアンペアの間に設定した請求項1
    または2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
  4. 【請求項4】 蒸着電極を筒状または円柱状の巻芯に巻
    いた巻回丸型とした請求項1ないし3のいずれかに記載
    の金属化フィルムコンデンサ。
  5. 【請求項5】 巻回偏平型とした請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の金属化フィルムコンデンサ。
  6. 【請求項6】 メタリコン電極へのリード線の接続をハ
    ンダ付けとした請求項1ないし5のいずれかに記載の金
    属化フィルムコンデンサ。
  7. 【請求項7】 ポリプロピレン誘電体フィルムは、アイ
    ソタクチックポリプロピレンフィルムとし、そのアイソ
    タクチック度は95%以上、平均分子量は60万から8
    0万の間、結晶化度は60%から80%の間、灰分量は
    100ppm以下、密度は0.89から0.91g/c
    3の間とした請求項1ないし6のいずれかに記載の金
    属化フィルムコンデンサ。
  8. 【請求項8】 二極の蒸着電極を中間電極を介して対向
    させた金属化フィルムコンデンサ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2761519A1 (fr) * 1997-04-01 1998-10-02 Soc D Condensateurs Record Condensateurs a fixation inversee et procedes de fabrication de tels condensateurs
JP2005191462A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Shizuki Electric Co Inc 金属化フィルムコンデンサ
US20120075769A1 (en) * 2010-09-29 2012-03-29 Lobo Edward M High temperature high current metalized film capacitor
JPWO2013179605A1 (ja) * 2012-05-29 2016-01-18 パナソニックIpマネジメント株式会社 フィルムコンデンサ

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