JPH0743031B2 - 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置

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JPH0743031B2
JPH0743031B2 JP61037577A JP3757786A JPH0743031B2 JP H0743031 B2 JPH0743031 B2 JP H0743031B2 JP 61037577 A JP61037577 A JP 61037577A JP 3757786 A JP3757786 A JP 3757786A JP H0743031 B2 JPH0743031 B2 JP H0743031B2
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hydraulic
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valve
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正美 菅谷
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置の改
良に関するものである。
従来技術 一次側回転軸および二次側回転軸にそれぞれ設けられた
一対の一次側可変プーリおよび二次側可変プーリと、そ
れら一対の可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達する
伝動ベルトと、前記一対の可変プーリの有効径をそれぞ
れ変更する一対の一次側油圧シリンダおよび二次側油圧
シリンダとを備えた車両用ベルト式無段変速機が知られ
ている。かかる無段変速機の速度比や伝動ベルトの張力
は、たとえば特開昭52−98861号公報に記載されている
ように、二次側油圧シリンダ(従動側回転軸に設けられ
た油圧シリンダ)に供給される作動油圧を調圧すること
により専ら伝動ベルトの張力を制御し、一次側油圧シリ
ンダ(駆動側回転軸に設けられた油圧シリンダ)に供給
される作動油量或いはそれから排出される作動油量を調
節することにより専ら速度比を制御するように構成され
ている。
かかる油圧制御装置においては、速度比などと関連して
調圧されたライン油圧が1種類用意されてこれが専ら伝
動ベルトの張力を維持する二次側油圧シリンダに供給さ
れるとともに、速度比を制御する流量制御弁を介して一
次側油圧シリンダにも供給される。このため、一次側油
圧シリンダに供給する作動油あるいはそれから排出され
る作動油の流量は上記ライン油圧、すなわち無段変速機
の速度比などに対応して変化するので、変速比変化速度
がそのときの速度比などによって影響されてしまうこと
が避けられない。したがって、変速比の制御において充
分な過渡応答性が得られない場合があった。また、車両
のエンジンブレーキ時において動力の伝達方向が反対と
なると、実質的には、一次側油圧シリンダにて専ら伝動
ベルトの張力を制御し、かつ二次側油圧シリンダにて専
ら速度比を制御することになるため、伝動ベルトの張力
および速度比の制御特性が好適に得られない欠点があっ
た。
これに対し、特公昭58−29424号に記載されているよう
に、油圧源からの作動油を油圧シリンダの一方へ供給す
ると同時に他方から流出させることにより速度比を変化
させる制御弁(4方弁)と、この制御弁から流出する作
動油を調圧する電磁リリーフ弁とが備えられたベルト式
無段変速機が提供されている。
かかる形式の無段変速機においては、両油圧シリンダの
うち動力伝達状態において内部の油圧が高くなる側(駆
動側)に位置する油圧シリンダに油圧源からの比較的高
い作動油圧が作動させられ、反対側の油圧シリンダには
電磁リリーフ弁により調圧された油圧が作用させられる
ため、動力伝達方向が反対となっても好適に伝動ベルト
の張力および速度比が制御される特徴がある。
発明が解決すべき問題点 しかしながら、かかる従来の無段変速機においては、油
圧源の圧力は制御されておらず通常のリリーフ弁によっ
て一定の圧力に維持されているに過ぎないため、伝達ト
ルクや速度比にしたがって油圧シリンダ内の油圧値が変
化すると変速比変化速度、すなわち変速応答性が一定に
得られない場合がある。また、これに対し、作動条件全
域にわたって充分な変速比変化速度が得られるように大
きな余裕油圧を見込んで油圧源の圧力を高く設定する
と、常時その圧力を維持するための動力損失が大きくな
る欠点があった。
問題点を解決するための手段 本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、
その要旨とするところは、一次側回転軸および二次側回
転軸にそれぞれ設けられた一対の一次側可変プーリおよ
び二次側可変プーリと、それら一対の可変プーリに巻き
掛けられて動力を伝達する伝動ベルトと、前記一対の可
変プーリの有効径をそれぞれ変更する一対の一次側油圧
シリンダおよび二次側油圧シリンダとを備えた車両用ベ
ルト式無段変速機の、油圧制御装置であって、(1)油
圧源から供給される作動油を調圧して第1ライン油圧と
する第1調圧弁と、(2)前記第1ライン油圧に調圧さ
れた作動油を前記一次側油圧シリンダおよび二次側油圧
シリンダの一方に供給すると同時に、他方内の作動油を
流出させることにより、前記一次側可変プーリおよび二
次側可変プーリの有効径を変化させて前記無段変速機の
速度比を調節する変速制御弁と、(3)その変速制御弁
を通して前記一次側油圧シリンダおよび二次側油圧シリ
ンダの他方から流出する作動油の圧力を調圧し、前記第
1ライン油圧よりも低い第2ライン油圧とする第2調圧
弁と、(4)前記第1調圧弁の調圧基準圧力が付与され
るべき基準圧ポートと前記第2ライン油圧を導く第2ラ
イン油路との間を接続し、その第1調圧弁の調圧基準圧
力を第2ライン油圧とする基準圧油路とを、含むことに
ある。
作用および発明の効果 このようにすれば、第1調圧弁および第2調圧弁により
第1ライン油圧および第2ライン油圧が用意されている
ので、それらの差圧によって前記一次側油圧シリンダお
よび二次側油圧シリンダの一方に供給される作動油或い
はそれから排出される作動油の流量が決定される。した
がって、変速比変化速度は無段変速機の速度比に拘わら
ず第1ライン油圧および第2ライン油圧の差圧にしたが
って決まるので、変速比制御の充分な過渡応答特性が得
られる。しかも、第1調圧弁をエンジンの出力状態と関
連させて制御することにより第1ライン油圧は変速比変
化速度が充分に得られかつ動力損失が生じないように必
要かつ充分な値に制御されるとともに、第2調圧弁を速
度比や伝達トルクと関連させて制御することにより第2
ライン油圧は伝動ベルトの滑りが生じない範囲で必要か
つ充分な値に制御されるので、車両の動力損失が大幅に
軽減される利点がある。
また、前記基準圧油路により前記第1調圧弁の調圧基準
圧力が付与されるべき基準圧ポートと前記第2ライン油
圧を導く第2ライン油路との間が接続されることによ
り、第1調圧弁の調圧基準圧力が第2ライン油圧とされ
ているので、第1調圧弁に、第2調圧弁と同じ仕様の電
磁比例リリーフ弁を用いることが可能となるか、あるい
は第1ライン油圧と第2ライン油圧との間に所定の差圧
を形成させる簡単な外部制御不要のスプール弁を用いる
ことができる。
ここで、前記第1ライン油圧および第2ライン油圧は目
標とする速度比と目標とする伝動ベルト挟圧力とが同時
に得られるようにそれぞれ決定されるものであり、好適
には、第2ライン油圧は、前記ベルト式無段変速機の速
度比、車両のエンジン出力トルクなどに基づいて決定さ
れた油圧シリンダ内の目標油圧と、ベルト式無段変速機
の速度比、車両のエンジン出力トルク、目標送度比に基
づいて決定された補正油圧とから算出される。また第1
ライン油圧は、目標速度比、出力トルクに基づいて決定
された推力比により定まる油圧シリンダ内の目標油圧と
補正油圧とから算出され、第1調圧弁は上記第1ライン
油圧と第2ライン油圧との差圧が得られるように作動さ
せられる。
また、前記第1調圧弁は、絞りを備えて前記第1ライン
油路と連通するパイロット油路と前記基準圧油路との間
に設けられ、その絞りを介して第1ライン油路から導か
れた作動油を上記基準圧油路へ流出させることにより連
続的に変化するパイロット圧を上記絞りの下流に発生さ
せるリニアソレノイド弁と、前記第1ライン油圧を導く
第1ライン油路と前記第2ライン油路との間を開閉する
ように設けられ、かつ前記パイロット圧により閉弁方向
へ付勢されるスプール弁子とを備えて構成される。
また、前記第1調圧弁は、好適には、前記第1ライン油
圧を導くライン油路と前記第2ライン油路との間を開閉
するように設けられたスプール弁子と、そのスプール弁
子に形成され、前記第1ライン油圧を受けて該スプール
弁子を開弁方向へ付勢する第1受圧面と、前記スプール
弁子に形成され、前記基準圧油路を介して供給された第
2ライン油圧を受けてスプール弁子を閉弁方向へ付勢す
る第2受圧面と、前記スプール弁子を閉弁方向へ付勢す
るスプリングとを備えて構成される。
実施例 以下、本発明の一実施例を詳細に説明する。
第1図において、車両に設けられたエンジン10の出力は
クラッチ12を介してベルト式無段変速機14の一次側回転
軸16へ伝達される。
ベルト式無段変速機14は、一次側回転軸16および二次側
回転軸18と、それら一次側回転軸16および二次側回転軸
18に取りつけられた有効径が可変な一次側可変プーリ20
および二次側可変プーリ22と、それら一次側可変プーリ
20および二次側可変プーリ22に巻き掛けられて動力を伝
達する伝動ベルト24と、一次側可変プーリ20および二次
側可変プーリ22の有効径を変更する一次側油圧シリンダ
26および二次側油圧シリンダ28とを備えている。これら
一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28は同
等の受圧面積となるように形成されており、上記一次側
可変プーリ20および二次側可変プーリ22の外形が同等と
されてベルト式無段変速機14が小型となっている。そし
て、上記一次側可変プーリ20および二次側可変プーリ22
は、一次側回転軸16および二次側回転軸18にそれぞれ固
定された固定回転体31および32と、上記一次側回転軸16
および二次側回転軸18にそれぞれ相対回転不能かつ軸方
向の移動可能に設けられて前記固定回転体31および32と
の間にV溝を形成する可動回転体34および36とから成
る。
上記ベルト式無段変速機14の二次側回転軸18からの出力
は、図示しない副変速機、差動歯車装置などを経て車両
の駆動輪へ伝達されるようになっている。
このように構成された車両の動力伝達装置を作動させる
ための油圧制御回路は以下に説明するように構成され
る。すなわち、図示しない還流路を経てオイルタンク38
に還流した作動油はストレーナ40および吸入油路41を介
してオイルポンプ42に吸引され、変速制御弁44の入力ポ
ート46および第1調圧弁48と接続された第1ライン油路
50へ圧送される。このオイルポンプ42は、本実施例の油
圧源を構成し、図示しない駆動軸を介して前記エンジン
10により駆動される。第1調圧弁48は、後述の第1駆動
信号VD1にしたがって第1ライン油路50内の作動油の一
部を第2ライン油路52へ流出させることにより第1ライ
ン油圧Pl1を制御する。この第2ライン油路52は前記変
速制御弁44の第1排出ポート54および第2排出ポート56
と第2調圧弁58とにそれぞれ接続されている。この第2
調圧弁58は、後述の第2駆動信号VD2にしたがって第2
ライン油路52内の作動油の一部をドレン油路60へ流出さ
せることにより第1ライン油圧Pl1よりも相対的に低い
第2ライン油圧Pl2を制御する。上記第1調圧弁48およ
び第2調圧弁58は、同様な仕様によって構成された所謂
電磁比例リリーフ弁から構成されている。
第2図に詳しく示すように、たとえば、上記第1調圧弁
48は本体110およびリニアソレノイド弁112から構成され
ている。本体110内には第1ライン油路50と第2ライン
油路52との間を開閉するスプール弁子114とそのスプー
ル弁子114を閉弁方向へ付勢するスプリング116とが設け
られており、スプール弁子114は、パイロット油圧PP
基づく閉弁方向の付勢力および上記スプリング116の付
勢力と第1ライン油圧Pl1に基づく開弁方向の付勢力と
が平衡する位置に位置決めされる。リニアソレノイド弁
112は、上記パイロット油圧PPを後述のコントローラ94
からの第1駆動信号VD1にしたがって変化させることに
より第1ライン油圧Pl1を調圧するものであって、絞り1
18を備えて前記第1ライン油路50と連通するパイロット
油路120とパイロットドレン油路122との間に設けられて
いる。これにより、絞り118の下流にリニアソレノイド
弁112の開度に応答した値のパイロット油圧PPが発生さ
せられる。なお、リニアソレノイド弁112の作動油が排
出させられるポートは第1調圧弁48の基準圧ポート124
であって、上記パイロット油圧PPは、基準圧ポート124
に作用している圧力を基準として決定される。したがっ
て、第1調圧弁48の調圧値は第2ライン油圧Pl2を基準
として調圧され、前記パイロットドレン油路122は第1
調圧弁48に基準圧を導く基準圧油路として機能する。
第2調圧弁58も同様に構成され、第1図に示すように、
そのパイロット油路126は第2ライン油路52に接続され
るとともに、そのパイロットドレン油路128はドレン、
すなわち大気に開放されている。
前記変速制御弁44は、所謂比例制御用電磁弁であって、
前記入力ポート46、第1排出ポート54および第2排出ポ
ート56、前記一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シ
リンダ28に接続油路29および30を介してそれぞれ接続さ
れた一対の第1出力ポート62および第2出力ポート64に
それぞれ連通するようにバルブボデー65に形成されたシ
リンダボア66と、そのシリンダボア66内に摺動可能に嵌
合された1本のスプール弁子68と、このスプール弁子68
の両端部から中立位置に向かって付勢することによりそ
のスプール弁子68を中立位置に保持する一対の第1スプ
リング70および第2スプリング72と、上記スプール弁子
68の両端部にそれぞれ設けられてスプール弁子68を第2
スプリング72または第1スプリング70の付勢力に抗して
移動させる第1電磁ソレノイド74および第2電磁ソレノ
イド76とを備えている。上記スプール弁子68には4つの
ランド78、80、82、84が一端から順次形成されていると
ともに、中間部に位置する一対のランド80および82はス
プール弁子68が中立位置にあるときスプール弁子68の軸
方向において前記第1出力ポート62および第2出力ポー
ト64と同じ位置に形成されている。また、シリンダボア
66の内周面であって、スプール弁子68が中立位置にある
とき一対のランド80および82と対向する位置、すなわち
上記第1出力ポート62および第2出力ポート64がシリン
ダボア66の内周面に開口する位置には、そのランド80お
よび82よりも僅かに大きい幅寸法の一対の第1環状溝86
および第2環状溝88が形成されている。この第1環状溝
86および第2環状溝88はランド80および82との間で作動
油の流通を制御するために連続的に流通断面積が変化す
る絞りを形成している。
これにより、スプール弁子68が中立位置にあるときに
は、前記第1出力ポート62および第2出力ポート64が前
記入力ポート46および排出ポート54、56に僅かな流通面
積で均等に連通させられ、漏れを補充する程度の量の作
動油が一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ
28に供給され、また、僅かな量の作動油が排出ポート5
4、56から流出させられる。
しかし、スプール弁子68が中立位置からその一軸方向、
たとえば第2電磁ソレノイド76に接近する方向(すなわ
ち図の右方向)へ移動させられるに伴って、第1出力ポ
ート62と第1排出ポート54との流通断面積が連続的に増
加させられる一方、第2出力ポート64と入力ポート46と
の流通断面積が連続的に増加させられるので、第1出力
ポート62から一次側油圧シリンダ26へ出力する作動油圧
は、第2出力ポート64から二次側油圧シリンダ28へ出力
する作動油圧に比較して低くなる。このため、ベルト式
無段変速機14における一次側油圧シリンダ26および二次
側油圧シリンダ28の推力の平衡が崩れるので、二次側油
圧シリンダ28内へ作動油が流入する一方、一次側油圧シ
リンダ26内の作動油が流出し、ベルト式無段変速機14の
速度比e(二次側回転軸18の回転速度Nout/一次側回転
軸16の回転速度Nin)が小さくなる。
反対に、スプール弁子68が中立位置から第1電磁ソレノ
イド74に接近する方向、すなわち図の左方向へ移動させ
られるのに伴って、第1出力ポート62と入力ポート46と
の流通断面積が連続的に増加させられる一方、第2出力
ポート64と第2排出ポート56との流通断面積が増加させ
られるので、第1出力ポート62から一次側油圧シリンダ
26へ出力する作動油圧は、第2出力ポート64から二次側
油圧シリンダ28へ出力する作動油圧に比較して高くな
る。このため、ベルト式無段変速機14における一次側油
圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28の推力の平衡
が崩れるので、二次側油圧シリンダ28内の作動油が流出
する一方、一次側油圧シリンダ26内へ作動油が流入し、
ベルト式無段変速機14の速度比eが大きくなる。このよ
うに、上記変速制御弁44は、油圧シリンダ26および28の
一方へ高圧の作動油を供給し他方へ低圧の作動油を供給
する切り換え弁機能と、連続的に作動油の流量を調節す
る流量制御弁機能とを併用しているのである。
車両のベルト式無段変速機14には、一次側回転軸16の回
転速度Ninを検出するための第1回転センサ90、および
二次側回転軸18の回転速度Noutを検出するための第2回
転センサ92が設けられており、それら第1回転センサ90
および第2回転センサ92からは回転速度Ninを表す回転
信号SR1および回転速度Noutを表す回転信号SR2がコント
ローラ94へ出力される。また、エンジン10には、その吸
気配管に設けられたスロットル弁開度θthを検出するた
めのスロットルセンサ96と、エンジン回転速度Neを検出
するためのエンジン回転センサ98が設けられており、そ
れらスロットルセンサ96およびエンジン回転センサ98か
らはスロットル弁開度θthを表すスロットル信号Sθお
よびエンジン回転速度Neを表す回転信号SEがコントロー
ラ94へ出力される。
上記コントローラ94は、CPU102、ROM104、RAM106などを
含む所謂マイクロコンピュータであって、本実施例の制
御手段を構成する。上記CPU102は、RAM106の記憶機能を
利用しつつ予めROM104に記憶されたプログラムにしたが
って入力信号を処理し、第1ライン油圧および第2ライ
ン油圧を制御するために第1調圧弁48および第2調圧弁
58へ第1駆動信号VD1および第2駆動信号VD2をそれぞれ
供給すると同時に、速度比eを制御するために第1電磁
ソレノイド74および第2電磁ソレノイド76を駆動するた
めの速度比信号RA1およびRA2をそれらに供給する。
以下、本実施例の作動を第3図のフローチャートにした
がって説明する。
先ず、ステップS1が実行されることにより、一次側回転
軸16の回転速度Nin、二次側回転軸18の回転速度Nout
スロットル弁開度θth、エンジン回転速度Neが回転信号
SR1およびSR2、スロットル信号Sθ、回転信号SEに基づ
いてRAM106に読み込まれる。次いで、ステップS2では予
めROM104に記憶された次式(1)にしたがって速度比e
が上記回転速度NinおよびNoutから算出される。
e=Nout/Nin ・・・・(1) また、ステップS3では、ROM104に記憶された関係からス
ロットル弁開度θthなどに基づいて目標回転速度Nin
を決定し、且つ上記(1)式からその目標回転速度Nin
と実際の回転速度Noutから目標速度比eを算出す
る。上記目標回転速度Nin を決定するための関係は、
たとえば第4図に示すものであって、第5図に示す最小
燃費率曲線上でエンジン10が専ら作動するように予め求
められたものである。続くステップS4では、予めROM104
に記憶された次式(2)にしたがって速度比制御値V0
出される。後述のステップS14においては、この速度比
制御値V0が正である場合にはスプール弁子68が左方向へ
移動させられて二次側回転軸18の回転速度Noutが増加す
るように前記速度比信号RA2が出力され、負である場合
にはスプール弁子68が右方向へ移動させられて一次側回
転軸16の回転速度Ninが増加するように前記速度比信号R
A1が出力される。また、速度比制御値V0の大きさは速度
比信号RA1または速度比信号RA2の大きさ、すなわちスプ
ール弁子68の移動量に対応する。したがって、次式
(2)から明らかなように、上記速度比制御値V0は実際
の速度比eと目標速度比eと一致させるように決定さ
れるのである。なお、(2)式のkは制御定数である。
V0=k(e−e)/e ・・・(2) そして、ステップS5では、予めROM104に記憶された良く
知られた関係からスロットル弁開度θthおよびエンジン
回転速度Neに基づいてエンジン10の実際の出力トルクTe
が決定されるとともに、ステップS6ではエンジン10の実
際の出力トルクTeが正であるか否か、すなわちエンジン
10から動力が出力されている正トルク状態かあるいはエ
ンジンブレーキ状態であるかが判断されるのである。こ
のような判断が必要な理由は、正トルク状態とエンジン
ブレーキ状態とで動力伝達方向が異なるため油圧シリン
ダの速度比eに対する油圧変化特性が変化するからであ
る。たとえば、第6図および第7図は正トルク状態およ
びエンジンブレーキ状態における一次側油圧シリンダ26
内の油圧Pinおよび二次側油圧シリンダ28内の油圧Pout
の油圧変化特性をそれぞれ示しており、油圧Pinと油圧P
outとの大小関係が反対となり、いづれも駆動側の油圧
が従動側の油圧よりも大きくなっている。この現象は本
来は一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28
の推力相互間にて論じられるものであるが、本実施例で
は一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28の
受圧面積が同等であるので、油圧の大小関係にそのまま
現れているのである。ステップS6において出力トルクTe
が正であると判断された場合には、ステップS7が実行さ
れることにより、伝動ベルト24に対する挟圧力を必要か
つ充分に発生させるための二次側油圧シリンダ28内の油
圧(目標油圧)Pout′が得られるように第2ライン圧制
御値V2が決定される。すなわち、先ず、予めROM104に記
憶された次式(3)の関係からエンジン10の実際の出力
トルクTe、実際の速度比eに基づいて最適な二次側油圧
シリンダ28の推力(算出値)Wout′を算出する。また、
次式(4)から、上記推力Wout′、二次側油圧シリンダ
28の受圧面積Aout、二次側回転軸18の回転速度Noutに基
づいて油圧(算出値)Pout′を算出するとともに、予め
ROM104に記憶された次式(5)の関係から実際の速度比
e、目標速度比e、エンジン10の実際の出力トルクTe
に基づいて補正油圧ΔP2を算出する。そして、次式
(6)から上記油圧Pout′および補正油圧ΔP2に基づい
て第2ライン油圧Pl2を算出し、その算出された油圧Pl2
が得られるように(7)式から第2ライン油圧制御値V2
を決定する。
Wout′=f(Te,e,Nout) ・・・(3) ΔP2=f(e,e,Te) ・・・(5) Pl2=Pout′−ΔP2 ・・・(6) V2=f(Pl2) ・・・(7) ここで、上記(3)式は伝動ベルト24の張力、すなわち
伝動ベルト24に対する挟圧力を必要かつ充分な値とする
ために予め求められたものであり、推力Wout′は出力ト
ルクTeおよび速度比eの商とともに比例的に増加させら
れる。また、(4)式の関係において、第2項は回転速
度Noutとともに増大する遠心油圧を第1項から差し引い
て油圧Pout′を補正するためのものである。第2項のC2
は遠心力補正係数であり、二次側油圧シリンダ28の諸元
および作動油の比重から予め決定される。
また、上記(5)式は補正油圧ΔP2を算出するために予
め求められたものである。第8図の(a)および(b)
は変速制御弁44において一次側油圧シリンダ26内油圧P
inおよび二次側油圧シリンダ28内油圧Poutの速度比制御
値V0(スプール弁子68の位置)に対する変化特性を、異
なるライン油圧状態でそれぞれ示すものであるが、ΔV0
で推力が平衡しかつこのときの速度比e(=e−Δ
e)であるとすると、このときの二次側油圧シリンダ28
内油圧Poutは第2ライン油圧Pl2に対してΔP2だけ大き
な値となる。したがって、(4)式にて算出した油圧P
out′から(5)式にて算出した補正油圧ΔP2を差し引
くことにより制御すべき第2ライン油圧Pl2が求められ
る。この補正油圧ΔP2は変速制御弁44の出力油圧変化特
性、速度比制御値V0、ライン油圧差(Pl1−Pl2)で決定
されるが、速度比制御値V0は(e−e)に基づいて決
定され且つライン油圧差(Pl1−Pl2)は出力トルクTe
よび速度比eに基づいて決定されるから、結局補正油圧
ΔP2は速度比e,目標速度比e,出力トルクTeの関数と
なり、前式(4)が予め求められるのである。なお変速
制御弁44の油圧変化特性によっては補正油圧ΔP2が全域
にわたって小さい値となる場合があるがこのようなとき
は補正油圧ΔP2を予め定めた一定の値としてもよい。
そして、前記(7)式では、算出された第2ライン油圧
Pl2が得られるように予め第2調圧弁58の特性を考慮し
て記憶されたデータマップなどが用いられることによ
り、第2ライン油圧制御値V2が求められる。
続くステップS8においては、目標とする速度比を実現で
きる推力を必要かつ充分に発生させるための一次側油圧
シリンダ26内の油圧(目標油圧)Pin′が得られるよう
に、第1調圧弁48に対する制御値V1が決定される。すな
わち、先ず、予めROM104に記憶された次式(8)に示す
関係から目標速度比eおよびエンジン10の実際の出力
トルクTeに基づいて正駆動時の推力比γ(二次側油圧
シリンダ28の推力Wout/一次側油圧シリンダ26の推力
Win)が算出されるとともに、次式(9)から上記推力
比γおよび二次側油圧シリンダ28の推力Wout′から一
次側油圧シリンダ26の推力Win′が求められる。そし
て、次式(10)から一次側油圧シリンダ26の推力Win
一次側油圧シリンダ26の受圧面積Ain、一次側回転軸16
の回転速度Ninに基づいて油圧(算出値)Pin′を算出す
るとともに、次式(11)から上記油圧Pin′および補正
油圧ΔP1に基づいて一次側ライン油圧Pl1を算出し、そ
して、その算出された油圧Pl1が得られるように(12)
式から第1調圧弁48に対する制御値V1を決定する。前述
のように第1調圧弁48は第2ライン油圧Pl2を調圧の基
準油圧として調圧するように構成されているから、上記
制御値V1は上記のように算出された第1ライン油圧Pl1
と第2ライン油圧Pl2との差圧(Pl1−Pl2)の関数とな
る γ=f(e,Te) ・・・(8) Pl1=Pin′+ΔP1 ・・・(11) V1=f(Pl1−Pl2) ・・・(12) ここで、上記(8)式は広範な運転条件範囲全域にわた
って好適な変速応答性を得るに足る必要かつ充分な推力
比γを決定できるように予め求めた関係を示すもので
あって、この関係から目標速度比eおよび実際の出力
トルクTeと関連して決定された推力比γが得られるよ
うに、第1ライン油圧を制御するのである。また、上記
(10)式の関係において、第2項は回転速度Ninととも
に増加する遠心油圧を第1項から差し引いて補正するも
のであり、第2項のC1は一次側油圧シリンダ26の諸元お
よび作動油の比重から予め決定される。さらに、上記
(11)式は、(10)式により求められた油圧Pin′に補
正油圧ΔP1を加えることにより第1ライン油圧Pl1が決
定されるが、この補正油圧ΔP1は互いに相反する動力損
失および定常偏差Δe(ΔV0に対応)の均衡点において
決定される。すなわち、第8図(a)および(b)は上
記補正油圧ΔP1を変更した場合を示しており、補正油圧
ΔP1を小さくした(a)の場合は定常偏差が大きくなる
が、補正油圧ΔP1を大きくした(b)の場合には実際の
一次側油圧シリンダ26内油圧Pinおよび二次側油圧シリ
ンダ28内の油圧Poutが急激に変化するため定常偏差が小
さくなる。しかし、補正油圧ΔP1を大きくする程多くの
運転条件下で不要に大きな第1ライン油圧Pl1を発生さ
せてしまうのである。
そして、前記(12)式において、算出された第1ライン
油圧Pl1が得られるように予め第1調圧弁48の特性を考
慮して記憶されたデータマップなどが用いられることに
より制御値V1が求められる。
一方、前記ステップS6において車両がエンジンブレーキ
状態であると判断された場合には、ベルト式無段変速機
14における動力伝達方向が逆となるので、前記ステップ
S7およびS8と略同様なステップS9およびS10が実行され
ることにより、一次側油圧シリンダ26内に必要な油圧P
in′から第2ライン油圧制御値V2を決定し、二次側油圧
シリンダ28内に必要な油圧Pout′から第1調圧弁48に対
する制御値V1を決定する。すなわち、ステップS9におい
ては、予め記憶された次式(13)に示す関係から出力ト
ルクTe、速度比eに基づいて最適な一次側油圧シリンダ
26の推力Win′が算出されるとともに、次式(14)から
一次側油圧シリンダ26に供給すべき油圧Pin′が算出さ
れる一方、前記(5)式から補正油圧ΔP2が求められ、
そして次式(15)から上記油圧Pin′および補正油圧ΔP
2に基づいて第2ライン油圧Pl2が算出されるとともに、
前記(7)式により第2ライン油圧制御値V2が決定され
る。また、ステップS10においては、次式(16)から目
標速度比e、出力トルクTeに基づいて推力比γを算
出するとともに、次式(17)から上記推力比γを得る
ための二次側油圧シリンダ28の推力Wout′を推力比γ
および一次側油圧シリンダ26の推力Win′に基づいて求
めるとともに、(18)式から二次側油圧シリンダ28内の
油圧Pout′を求め、さらに次式(19)から上記油圧
Pout′および補正油圧ΔP1に基づいて第1ライン油圧Pl
1を決定し、前記(12)式からその第1ライン油圧Pl1
得るための第1調圧弁48に対する制御値V1を決定する。
Win′=f(Te,e) ・・・(13) Pl2=Pin′−ΔP2 ・・・(15) γ=f(e,Te) ・・・(16) Wout′=γ・Win′ ・・・(17) Pl1=Pout′+ΔP1 ・・・(19) このようにして、第2ライン油圧制御値V2、第1調圧弁
48に対する制御値V1が決定されると、次のステップS11
が実行されて目標速度比eと実際の速度比eとの偏差
Δeが正であるか否かが判断され、正であればステップ
S12において次式(20)および(21)から上記制御値V1
および第2ライン油圧制御値V2が補正される。また、負
であればステップS13において次式(22)および(23)
から上記制御値V1および第2ライン油圧制御値V2が補正
される。
V1=V1+k1(e−e)/e ・・・(20) V2=V2−k2(e−e)/e ・・・(21) V1=V1+k3(e−e)/e ・・・(22) V2=V2−k4(e−e)/e ・・・(23) 但し、k1、k2、k3、k4はそれぞれ比例定数である。
上式から明らかなように、ステップS12およびS13は偏差
|Δe|の増加とともに第1ライン油圧Pl1と第2ライン
油圧Pl2との差を拡大してベルト式無段変速機14の速度
比変化速度を高くするためのものである。すなわち、た
とえば正トルク状態では、第1ライン油圧Pl1は一次側
油圧シリンダ26内の油圧Pin(高圧側の油圧シリンダ内
油圧:エンジンブレーキ状態ではPout)に対して補正油
圧(余裕油圧)ΔP1分だけ高くされているが、動力損失
の面からあまり高くできず速度比変化速度の点で充分で
ない場合がある。しかし、本実施例では偏差|Δe|が大
きくなる過渡状態においてPl1とPl2との差を拡大するこ
とにより速度比変化速度を一層高められるので、極めて
好適な変速応答性が得られるのである。
ここで、上式(20)、(21)、(22)、(23)において
比例定数は変速応答性を変えるたものものであって、一
般的には減速変速が増速変速に比較して速い方が走行感
覚が好ましいので、k1<k3、k2<k4となるように決定さ
れている。第9図は上式(20)、(21)、(22)、(2
3)を適用して制御した場合における、正トルク状態(P
in>Pout)の速度比変化時の各油圧値の時間的変化特性
を示すものである。図から明らかなように、前記変速制
御弁44のスプール弁子68の作動により増速変速(速度比
増加)時には過渡的に一次側油圧シリンダ26内の油圧P
inが高められると同時に二次側油圧シリンダ28内の油圧
Poutが低められる一方、減速変速(速度比減少)時には
過渡的に一次側油圧シリンダ26内の油圧Pinが低められ
ると同時に二次側油圧シリンダ28内の油圧Poutが高めら
れる。これにより過渡状態において大きな推量差が両油
圧シリンダ26および28において生じるので、速度比制御
における好適な変速応答性が得られるのである。
一連のステップの内の最後のステップS14では、それ以
前のステップにおいて決定された速度比制御値V0、第1
調圧弁48に対する制御値V1、第2ライン油圧制御値V2
出力される。これにより、前記第6図、第7図、第8図
および第9図に示すように、速度比e、第1ライン油圧
Pl1、第2ライン油圧Pl2が制御される。
このように、本実施例によれば、第1調圧弁48および第
2調圧弁58により第1ライン油圧Pl1および第2ライン
油圧Pl2が用意されているので、それらの差圧によって
前記一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28
の一方に供給される作動油或いはそれから排出される作
動油の流量が決定される。したがって、変速比変化速度
はベルト式無段変速機14の実際の速度比や伝達トルク
(出力トルクTe)に拘わらず第1ライン油圧Pl1および
第2ライン油圧Pl2の差圧にしたがって決まるので、変
速比制御の充分な過渡応答特性が得られるのである。
しかも、第1調圧弁48をエンジン10の出力トルクTeおよ
び実際の速度比eと関連させて制御することにより、第
1ライン油圧Pl1が変速比変化速度が充分に得られかつ
動力損失が生じないように必要かつ充分な値に制御され
るとともに、第2調圧弁58を速度比や伝達トルクと関連
させて制御することにより、第2ライン油圧Pl2が伝動
ベルト24の滑りが生じない範囲で必要かつ充分な値に制
御されるので、車両の動力損失が大幅に軽減される利点
がある。
また、本実施例によれば、第1調圧弁48の基準圧ポート
124がパイロットドレン油路122を介して第2ライン油路
52と連通させられて、第1ライン油圧Pl1の調圧基準圧
が第2ライン油圧Pl2とされているので、第1調圧弁48
は第2調圧弁58と同様の共通仕様のものを用いることが
でき、油圧制御装置の価格が低減される利点がある。
また、本実施例によれば、第1調圧弁48と第2調圧弁58
とが直列に接続されることにより、第1調圧弁48から流
出した作動油を第2調圧弁58が調圧するので、第2調圧
弁58の調圧に必要な油量が節約され得て、オイルポンプ
42の吐出容量を小さくできるとともに動力損失が一層軽
減される利点がある。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実
施例において同様の機能を備えた部分には同一の符号を
付して説明を省略する。
第10図には、ベルト式無段変速機14の油圧制御回路にお
いて第1調圧弁48および第2調圧弁58の接続位置が異な
る実施例が示されている。すなわち、第1調圧弁48を通
して第1ライン油路50から流出させられた作動油はドレ
ン油路130を介して直接的にオイルポンプ42の吸入側に
戻される一方、オイルポンプ42から吐出された作動油は
絞り132を備えた油路134を通して第2ライン油路52へも
供給される。この油路134は第2調圧弁58の調圧作動に
必要な油量を確保するとともに、第1ライン油圧Pl1
よび第2ライン油圧Pl2の差圧を確実に形成させるため
のものである。そして、第2調圧弁58は、上記油路134
を通して供給された作動油、および変速制御弁44の第1
排出ポート54および第2排出ポート56から流出する作動
油の圧力を調圧する。そして、第1調圧弁48のパイロッ
トドレン油路122が第2ライン油路52と接続されて、第
1調圧弁48における調圧の基準圧力が第2ライン油圧Pl
2とされている。
このように構成された本実施例でも、前述の実施例と同
様に第1ライン油圧Pl1および第2ライン油圧Pl2が必要
かつ充分に調圧されるので、同様の効果が得られるので
ある。また、第1調圧弁48の調圧基準圧力が第2ライン
油圧Pl2とされているので、第1調圧弁48と第2調圧弁5
8に共通仕様のものを用いることができる。
次に、油圧により調圧作動する形式の第1調圧弁140を
説明する。第11図および第12図は、この第1調圧弁140
が第1図および第10図の第1調圧弁48にそれぞれ替えて
用いられる例が示されている。この第1調圧弁140は、
第1ライン油路50と第2ライン油路52またはドレン油路
130との間を開閉するスプール弁子142と、スプール弁子
142に閉弁方向の付勢力を作用させる第2ライン油圧Pl2
を導くための基準圧ポート144と、第2ライン油路52と
基準圧ポート144とを接続する油路146と、スプール弁子
142を閉弁方向へ付勢するスプリング148とを備えてい
る。このため、上記スプール弁子142は次式(24)が成
立する平衡状態となる位置に位置決めされることにより
第1ライン油圧Pl1が第13図に示すように調圧される。
ここで、(24)式においてWはスプリング148の付勢
力、Sはスプール弁子142の第1ライン油圧Pl1を受ける
受圧面積、および第2ライン油圧Pl2を受ける受圧面積
である。
Pl1=W/S+Pl2 ・・・(24) 上記式(24)から明らかなように、第1調圧弁140は第
2ライン油圧Pl2を基準とし、これよりも一定の値W/Sだ
け大きくなるように第1ライン油圧Pl1を調圧するので
ある。したがって、上記油路146は調圧の基準となる第
2ライン油圧Pl2を導く基準圧油路として機能する。
本実施例では、上述のように調圧される結果、前述の実
施例の効果に加えて、第1調圧弁140を調圧するための
制御、すなわち第3図のステップS8およびS10が不要と
なり一層制御装置が安価となる利点がある。
また、上記第1調圧弁140に替る第1調圧弁150を用いる
ことができる。第14図および第15図は上記第1調圧弁15
0を用いた第11図および第12図に相当する図である。第
1調圧弁150は、第1調圧弁140と基本的に同様に構成さ
れているが、第1ライン油圧Pl1を受ける受圧面積S1
第2ライン油圧Pl2を受ける受圧面積S2とが異なり、受
圧面積S1が受圧面積S2よりも大きく設定されている。こ
のため、上記第1調圧弁150のスプール弁子142は次式
(25)が成立する平衡状態となる位置に位置決めされる
ことにより第1ライン油圧Pl1が第16図に示すように調
圧される。
Pl1=W/S1+Pl2・S2/S1 ・・・(25) 上記式(25)から明らかなように、第1調圧弁150は第
2ライン油圧Pl2・S2/S1を基準とし、これよりもW/S1
け大きくなるように第1ライン油圧Pl1を調圧するので
ある。
したがって、本実施例によれば、第11図および第12図の
実施例と同様の効果が得られる。また、本実施例によれ
ば、第16図の斜線領域に示すように余裕油圧が必要かつ
充分に制御されるので、第13図の斜線領域に示す余裕油
圧と比較して大幅に小さくされ、車両の無用な動力損失
が一層軽減される利点がある。
以上、本発明の一実施例を示す図面に基づいて説明した
が、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例の第2調圧弁58は電磁比例リリ
ーフ弁であったが、油圧によって調圧作動させられる形
式の調圧弁であってもよいのである。
また、前記第2調圧弁58は相対的に低圧側の油圧シリン
ダ内の油圧値を制御するものであるため、厳密には油圧
シリンダ毎に制御式が用意されねばならない。第1図の
実施例において一次側油圧シリンダ26および二次側油圧
シリンダ28は同一の受圧面積を備えたものであるので、
共通の制御式を用いてもそれほど制御精度が低下しな
い。したがって第2図のステップS7とS9と共通のステッ
プとしてステップS6の前に位置させることができる。こ
の場合、遠心油圧を補正する項が異なるが、車両は正ト
ルク状態である場合が多いので二次側回転軸18の回転速
度Noutを代表させて用いることができる。
また、第2図のステップS12およびS13において比例定数
k1、k2、k3、k4が用いられていたが、それらは速度比
e、出力トルクTe、エンジン回転速度Ne、車速Vの関数
としてもよい。
また、前述の実施例においては、変速制御弁44は、目標
速度比eと実際の速度比eとが一致するように制御さ
れていたが、ステップS3において求めた目標回転速度N
in と一次側回転軸16の回転速度Ninとが一致するよう
に制御されても差支えなく、また、車両の要求出力と実
際の駆動力とが一致するように制御されてもよい。
また、前述の実施例では、車両の要求出力を表す量とし
てスロットル弁開度が検出されていたが、ディーゼルエ
ンジンなとを搭載した車両においては、アクセルペダル
操作量などが用いられてもよい。
また、前述の実施例では、スプール弁子68の位置を連続
的に変化させることにより変速制御弁44の出力が比例的
に制御されていたが、オンオフ作動の時間比率を連続的
に変化させるデューティ制御が用いられても良い。そし
て、このようなデューティ制御は前述のように電磁ソレ
ノイド74、76によって直接スプール弁子68が駆動される
直動型の他に、比較的小型の電磁弁にてオンオフ制御さ
れるパイロット圧にてスプール弁68を駆動するようにし
ても良い。
さらに、前述の変速制御弁44には、そのスプール弁子68
を駆動するための電磁ソレノイド74、76が設けられてい
たが、パルスモータなどの他の電磁アクチュエータが設
けられていてもよい。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であ
り、本発明はその精神を逸脱しない範囲で種々変更が加
えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の構成を示す図である。第2
図は第1図の第1調圧弁の構成を説明する図である。第
3図は第1図の実施例の作動を説明するためのフローチ
ャートである。第4図は第2図のフローチャートの作動
の説明に用いられる関係を示す図である。第5図は第1
図のエンジンの最小燃費率曲線を示す図である。第6図
および第7図は第1図の実施例において速度比に対する
各部の油圧の変化特性をそれぞれ示す図であり、第6図
は正トルク状態を、第7図はエンジンブレーキ状態を示
している。第8図は第1図の変速制御弁の出力特性を示
す図であって、(a)は第1ライン油圧と第2ライン油
圧との差圧が小さい状態を、(b)は第1ライン油圧と
第2ライン油圧との差圧が大きい状態を示している。第
9図は第1図の実施例における各部の油圧の過渡特性を
示す図である。第10図、第11図、第12図、第14図、およ
び第15図は本発明の他の実施例の要部をそれぞれ示す図
である。第13図は第11図および第12図の実施例の調圧特
性を示す図であり、第16図は第14図および第15図の実施
例の調圧特性を示す図である。 14:ベルト式無段変速機 16:一次側回転軸、18:二次側回転軸 20:一次側可変プーリ 22:二次側可変プーリ 24:伝動ベルト 26:一次側油圧シリンダ 28:二次側油圧シリンダ 44:変速制御弁 48,140,150:第1調圧弁 58:第2調圧弁 122:パイロットドレン油路(基準圧油路) 124,144:基準圧ポート 146:油路(基準圧油路)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 克己 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−39875(JP,A) 特開 昭59−83865(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一次側回転軸および二次側回転軸にそれぞ
    れ設けられた一対の一次側可変プーリおよび二次側可変
    プーリと、該一対の可変プーリに巻き掛けられて動力を
    伝達する伝動ベルトと、前記一対の可変プーリの有効径
    をそれぞれ変更する一対の一次側油圧シリンダおよび二
    次側油圧シリンダとを備えた車両用ベルト式無段変速機
    の、油圧制御装置であって、 油圧源から供給される作動油を調圧して第1ライン油圧
    とする第1調圧弁と、 前記第1ライン油圧に調圧された作動油を前記一次側油
    圧シリンダおよび二次側油圧シリンダの一方に供給する
    と同時に、他方内の作動油を流出させることにより、前
    記一次側可変プーリおよび二次側可変プーリの有効径を
    変化させて前記無段変速機の速度比を調節する変速制御
    弁と、 該変速制御弁を通して前記一次側油圧シリンダおよび二
    次側油圧シリンダの他方から流出する作動油の圧力を調
    圧し、前記第1ライン油圧よりも低い第2ライン油圧と
    する第2調圧弁と、 前記第1調圧弁の調圧基準圧力が付与されるべき基準圧
    ポートと前記第2ライン油圧を導く第2ライン油路との
    間を接続し、該第1調圧弁の調圧基準圧力を第2ライン
    油圧とする基準圧油路と、 を含むことを特徴とする車両用ベルト式無段変速機の油
    圧制御装置。
  2. 【請求項2】前記第1調圧弁は、絞りを備えて前記第1
    ライン油路と連通するパイロット油路と前記基準圧油路
    との間に設けられ、絞りを介して該第1ライン油路から
    導かれた作動油を該基準圧油路へ流出させることにより
    該絞りの下流に連続的に変化するパイロット圧を発生さ
    せるリニアソレノイド弁と、前記第1ライン油圧を導く
    第1ライン油路と前記第2ライン油路またはドレイン油
    路との間を開閉するように設けられ、かつ前記パイロッ
    ト圧により閉弁方向へ付勢されるスプール弁子と、を備
    えたものである特許請求の範囲第1項に記載の車両用ベ
    ルト式無段変速機の油圧制御装置。
  3. 【請求項3】前記第1調圧弁は、前記第1ライン油圧を
    導く第1ライン油路と第2ライン油路またはドレン油路
    との間を開閉するように設けられたスプール弁子と、該
    スプール弁子に形成され、前記第1ライン油圧を受けて
    該スプール弁子を開弁方向へ付勢する第1受圧面と、前
    記スプール弁子に形成され、前記基準圧油路を介して供
    給された第2ライン油圧を受けて該スプール弁子を閉弁
    方向へ付勢する第2受圧面と、前記スプール弁子を閉弁
    方向へ付勢するスプリングと、を備えたものである特許
    請求の範囲第1項に記載の車両用ベルト式無段変速機の
    油圧制御装置。
JP61037577A 1986-02-22 1986-02-22 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 Expired - Lifetime JPH0743031B2 (ja)

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