JP2745503B2 - 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置

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JP2745503B2
JP2745503B2 JP62014613A JP1461387A JP2745503B2 JP 2745503 B2 JP2745503 B2 JP 2745503B2 JP 62014613 A JP62014613 A JP 62014613A JP 1461387 A JP1461387 A JP 1461387A JP 2745503 B2 JP2745503 B2 JP 2745503B2
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hydraulic
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speed ratio
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置に
関し、特に、速度比の変化に際して運転状態に拘わらず
好適な変化速度を得る技術に関するものである。 従来技術 有効径が可変の一次側可変プーリおよび二次側可変プ
ーリ間に巻き掛けられた伝動ベルトを介して動力が伝達
され、且つ前記一次側可変プーリおよび二次側可変プー
リの少なくとも一方の挟圧力が油圧シリンダによって変
化させられる形式の車両用ベルト式無段変速機が知られ
ている。そして、このような形式の無段変速機には、そ
の速度比を調節するための変速制御弁と、前記油圧シリ
ンダに供給すべき作動油圧を調圧する調圧弁とを有する
油圧制御装置が備えられる。たとえば、特開昭59-21704
8号公報に記載された油圧制御装置がそれである。 発明が解決すべき問題点 ところで斯る従来の油圧制御装置では、変速制御弁が
全開とされると上記油圧シリンダに供給されたり或いは
油圧シリンダから排出される作動油流量が最も多くされ
ているベルト式無段変速機の速度比が最大変化速度とさ
れるとともに、その最大変化速度は調圧弁によって調圧
される作動油の油圧によって決定される。このため、上
記のような従来の油圧制御装置では、所望の速度比を実
現可能な値に作動油を調圧するだけでは充分な速度比変
化速度が速度比変化範囲全般にわたって得られ難いこと
から、充分な速度比変化速度を得るためのさらに高い値
まで作動油が調圧弁により常時調圧される。 しかしながら、車両では、速度比が略一定である定常
走行状態や速度比をそれ程急速に変化させない比較的緩
やかな過渡的状態の割合がきわめて多く、速度比変化速
度を最大値とする割合は極めて少ないのが実情である。
このため、上記のように充分な速度比変化速度を得るた
めのさらに高い値に調圧弁が作動油を常時調圧する形式
の従来の油圧制御装置では、調圧弁が作動油を不要に高
い圧に常時調圧していることになることから、油圧ポン
プを駆動するための動力損失が大きく、それに起因して
車両の燃費が低減することが避けられなかった。 問題点を解決するための手段 本願発明は以上の事情を背景として為されたものであ
り、その要旨とするところは、有効径が可変の一次側可
変プーリおよび二次側可変プーリ間に巻き掛けられた伝
動ベルトを介して動力が伝達され、且つ前記一次側可変
プーリおよび二次側可変プーリの挟圧力が一次側油圧シ
リンダおよび二次側油圧シリンダによってそれぞれ変化
させられる形式の車両用ベルト式無段変速機において、
油圧源から供給される作動油の油圧を高圧の高圧側作動
油および低圧の低圧側作動油に調圧する高圧側調圧弁お
よび低圧側調圧弁と、それら高圧側調圧弁により調圧さ
れた高圧側作動油および低圧側調圧弁により調圧された
低圧側作動油を前記一次側油圧シリンダおよび二次側油
圧シリンダへ相逆的に供給する流量を制御して前記ベル
ト式無段変速機の速度比を調節する変速制御弁とを有す
る油圧制御装置であって、(a)車両の運転状態と関連
して前記ベルト式無段変速機の速度比の目標変化速度を
決定する目標変化速度決定手段と、(b)前記ベルト式
無段変速機の実際の速度比変化速度を検出する速度比変
化速度検出手段と(c)前記目標変化速度と実際の速度
比変化速度とが一致するように前記高圧側調圧弁による
高圧側作動油の調圧または低圧側調圧弁による低圧側作
動油の調圧を制御する制御手段とを、含むことを特徴と
することにある。 作用および発明の効果 この結果、目標変化速度決定手段による車両の運転状
態と関連して決定されたベルト式無段変速機の目標変化
速度と、速度比変化速度検出手段により検出された実際
の速度比変化速度とが一致するように、制御手段が高圧
側調圧弁による高圧側作動油の調圧または低圧側調圧弁
による低圧側作動油の調圧を制御するので、その調圧弁
により調圧された作動油圧は車両の運転状態に拘わらず
速度比変化速度を目標変化速度とするに必要かつ充分な
値とされる。このため、車両の運転状態に応じて最適な
ベルト式無段変速機の速度比変化速度が得られることか
ら、油圧シリンダへ供給される作動油を常時高い値に調
圧する必要がないので、油圧ポンプの動力損失が低減さ
れ、車両の燃費を向上することができる。 また、運転状態全域にわたって所望の速度比変化速度
を得るために油圧シリンダに供給される作動油圧(ライ
ン油圧)を運転状態に対応して一時的に調圧する形式の
装置(特願昭61-37571号)に比較して、運転状態に対応
した制御定数を多数記憶することが不要となるので、制
御が簡単となるとともにコントローラの記憶容量を増大
させる必要がない。しかも、速度比定数偏差と目標偏差
とを一致させるように作動油圧(ライン油圧)を調圧す
る形式の装置(特願昭61-172566号)に比較して、変速
の過渡時においても調圧弁により調圧される作動油圧が
最大となることが解消される。 また、前記目標変化速度決定手段は、好適には、前記
ベルト式無段変速機の速度比の変化が速やかに実行され
るように前記目標変化速度を変化させるものであり、ま
た、前記目標変化速度決定手段は、前記ベルト式無段変
速機の速度比の変化過程における前記作動油圧が必要且
つ最小値となるように前記目標変化速度を変化させるも
のである。 さらに、前記目標変化速度決定手段は、好適には、前
記変速制御弁に対する速度比制御値に関連して目標変化
速度を変化させるものである。 実施例 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。 第1図において、車両に設けられたエンジン10の出力
はクラッチ12を介してベルト式無段変速機14の一次側回
転軸16へ伝達される。 ベルト式無段変速機14は、一次側回転軸16および二次
側回転軸18と、それら一次側回転軸16および二次側回転
軸18に取りつけられた有効径が可変な一次側可変プーリ
20および二次側可変プーリ22と、それら一次側可変プー
リ20および二次側可変プーリ22に巻き掛けられて動力を
伝達する伝動ベルト24と、一次側可変プーリ20および二
次側可変プーリ22の有効径を変更する一次側油圧シリン
ダ26および二次側油圧シリンダ28とを備えている。これ
ら一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28は
同等の受圧面積となるように形成されており、上記一次
側可変プーリ20および二次側可変プーリ22の外形が同等
とされてベルト式無段変速機14が小型となっている。そ
して、上記一次側可変プーリ20および二次側可変プーリ
22は、一次側回転軸16および二次側回転軸18にそれぞれ
固定された固定回転体31および32と、上記一次側回転軸
16および二次側回転軸18にそれぞれ相対回転不能かつ軸
方向の移動可能に設けられて前記固定回転体31および32
との間にV溝を形成する可動回転体34および36とから成
る。 上記ベルト式無段変速機14の二次側回転軸18からの出
力は、図示しない副変速機、差動歯車装置などを経て車
両の駆動輪へ伝達されるようになっている。 このように構成された車両の動力伝達装置を作動させ
るための油圧制御回路は以下に説明するように構成され
る。すなわち、図示しない還流路を経てオイルタンク38
に還流した作動油はストレーナ40および吸入油路41を介
してオイルポンプ42に吸引され、変速制御弁44の入力ポ
ート46および第1調圧弁48と接続された第1ライン油路
50へ圧送される。このオイルポンプ42は、本実施例の油
圧源を構成し、図示しない駆動軸を介して前記エンジン
10により駆動される。第1調圧弁48は、後述の第1駆動
信号VD1にしたがって第1ライン油路50内の作動油の一
部を第2ライン油路52へ流出させることにより第1ライ
ン油圧Pl1を制御する。この第2ライン油路52は前記変
速制御弁44の第1排出ポート54と第2排出ポート56と第
2調圧弁58とにそれぞれ接続されている。この第2調圧
弁58は、後述の第2駆動信号VD2にしたがって第2ライ
ン油路52内の作動油の一部をドレン油路60へ流出させる
ことにより第1ライン油圧Pl1よりも相対的に低い第2
ライン油圧Pl2を制御する。上記第1調圧弁48および第
2調圧弁58は、所謂電磁比例リリーフ弁から構成されて
いる。本実施例においては、第1調圧弁48が高圧側調圧
弁に対応するとともに、第2調圧弁58が低圧側調圧弁に
対応する。 前記変速制御弁44は、所謂比例制御用電磁弁であっ
て、前記入力ポート46、第1排出ポート54および第2排
出ポート56、前記一次側油圧シリンダ26および二次側油
圧シリンダ28に接続油路29および30を介してそれぞれ接
続された一対の第1出力ポート62および第2出力ポート
64にそれぞれ連通するようにバルブボデー65に形成され
たシリンダボア66と、そのシリンダボア66内に摺動可能
に嵌合された1本のスプール弁子68と、このスプール弁
子68の両端部から中立位置に向かって付勢することによ
りそのスプール弁子68を中立位置に保持する一対の第1
スプリング70および第2スプリング72と、上記スプール
弁子68の両端部にそれぞれ設けられてスプール弁子68を
第2スリーブ72または第1スプリング70の付勢力に抗し
て移動させる第1電磁ソレノイド74および第2電磁ソレ
ノイド76とを備えている。上記スプール弁子68には4つ
のランド78、80、82、84が一端から順次形成されている
とともに、中間部に位置する一対のランド80および82は
スプール弁子68が中立位置にあるときスプール弁子68の
軸方向において前記第1出力ポート62および第2出力ポ
ート64と同じ位置に形成されている。また、シリンダボ
ア66の内周面であって、スプール弁子68が中立位置にあ
るとき一対のランド80および82と対向する位置、すなわ
ち上記第1出力ポート62および第2出力ポート64がシリ
ンダボア66の内周面に開口する位置には、そのランド80
および82よりも僅かに大きい幅寸法の一対の第1環状溝
86および第2環状溝88が形成されている。この第1環状
溝86および第2環状溝88はランド80および82との間で作
動油の流通を制御するために連続的に流通断面積が変化
する絞りを形成している。 これにより、スプール弁子68が中立位置にあるときに
は、前記第1出力ポート62および第2出力ポート64が前
記入力ポート46および排出ポート54、56に僅かな流通面
積で均等に連通させられ、漏れを補充する程度の量の作
動油が一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ
28に供給され、また、僅かな量の作動油が排出ポート5
4、56から流出させられる。 しかし、スプール弁子68が中立位置からその一軸方
向、たとえば第2電磁ソレノイド76に接近する方向(す
なわち図の右方向)へ移動させられるに伴って、第1出
力ポート62と第1排出ポート54との流通断面積が連続的
に増加させられる一方、第2出力ポート64と入力ポート
46との流通断面積が連続的に増加させられるので、第1
出力ポート62から一次側油圧シリンダ26へ出力する作動
油圧は、第2出力ポート64から二次側油圧シリンダ28へ
出力する作動油圧に比較して低くなる。このため、ベル
ト式無段変速機14における一次側油圧シリンダ26および
二次側油圧シリンダ28の推力の平衡が崩れるので、二次
側油圧シリンダ28内へ作動油が流入する一方、一次側油
圧シリンダ26内の作動油が流出し、ベルト式無段変速機
14の速度比e(二次側回転軸18の回転速度Nout/一次
側回転軸16の回転速度Nin)が小さくなる。 反対に、スプール弁子68が中立位置から第1電磁ソレ
ノイド74に接近する方向(すなわち図の左方向)へ移動
させられるに伴って、第1出力ポート62と入力ポート46
との流通断面積が連続的に増加させられる一方、第2出
力ポート64と第2排出ポート56との流通断面積が増加さ
せられるので、第1出力ポート62から一次側油圧シリン
ダ26へ出力する作動油圧は、第2出力ポート64から二次
側油圧シリンダ28へ出力する作動油圧に比較して高くな
る。このため、ベルト式無段変速機14における一次側油
圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28の推力の平衡
が崩れるので、二次側油圧シリンダ28内の作動油が流出
する一方、一次側油圧シリンダ26内へ作動油が流入し、
ベルト式無段変速機15の速度比eが大きくなる。このよ
うに、上記変速制御弁44は、油圧シリンダ26および28の
一方へ高圧の作動油を供給し他方へ低圧の作動油を供給
する切り換え弁機能と、連続的に作動油の流量を調節す
る流量制御弁機能とを併有しているのである。 車両のベルト式無段変速機14には、一次側回転軸16の
回転速度Ninを検出するための第1回転センサ90、およ
び二次側回転軸18の回転速度Noutを検出するための第
2回転センサ92が設けられており、それら第1回転セン
サ90および第2回転センサ92からは回転速度Ninを表す
回転信号SR1および回転速度Noutを表す回転信号SR2が
コントローラ94へ出力される。また、エンジン10には、
その吸気配管に設けられたスロットル弁開度θthを検出
するためのスロットルセンサ96と、エンジン回転速度N
eを検出するためのエンジン回転センサ98が設けられて
おり、それらスロットルセンサ96およびエンジン回転セ
ンサ98からはスロットル弁開度θthを表すスロットル信
号Sθおよびエンジン回転速度Neを表す回転信号SEが
コントローラ94へ出力される。 上記コントローラ94は、CPU102、ROM104、RAM106など
を含む所謂マイクロコンピュータであって、本実施例の
制御手段を構成する。上記CPU102は、RAM106の記憶機能
を利用しつつ予めROM104に記憶されたプログラムにした
がって入力信号を処理し、第1ライン油圧および第2ラ
イン油圧を制御するために第1調圧弁48および第2調圧
弁58へ第1駆動信号VD1および第2駆動信号VD2をそれぞ
れ供給すると同時に、速度比eを制御するために第1電
磁ソレノイド74および第2電磁ソレノイド76を駆動する
ための速度比信号RA1およびRA2をそれらに供給する。 以下、本実施例の作動を第2図のフローチャートにし
たがって説明する。 先ず、ステップS1が実行されることにより、一次側回
転軸16の回転速度Nin、二次側回転軸18の回転速度N
out、スロットル弁開度θth、およびエンジン回転速度
eなどが回転信号SR1およびSR2、スロットル信号S
θ、回転信号SEなどに基づいてRAM106に読み込まれる。
次いで、ステップS2では予めROM104に記憶された関係
(1)からスロットル弁開度θthなどに基づいて目標回
転速度Nin *が決定される。 Nin *=f(θth) …(1) 上記関係(1)は、たとえば第3図に示すものであっ
て、第4図に示す最小燃費率曲線上で、或いは燃費と運
転性とを両立させた最適曲線上でエンジン10を専ら作動
させるように予め求められたものである。ついで、ステ
ップS3では、予め記憶された関係(2)からスロットル
弁開度θthおよびエンジン回転速度Neに基づいてエン
ジン10の出力トルクTeが算出される。 Te=f(θth,Ne) …(2) ステップS4では、予めROM104に記憶された次式(3)
にしたがって実際の速度比eが上記回転速度Ninおよび
outから算出されるとともに、実際の速度比変化速度d
e/dtが算出される。この速度比変化速度de/dtは、たと
えば前回のサイクルにおいて算出された速度比en-1
今回のサイクルにおいて算出された速度比enとの差de
(=en−en-1)をその算出周期dtによって除すことに
より算出される。本実施例では、このステップS4が速度
比変化速度検出手段として機能する。 e=Nout/Nin …(3) また、ステップS5では、ステップS2にて求められた目
標回転速度Nin *と上記関係(3)とから目標速度比e*
を算出する。そして、ステップS6では、予めROM104に記
憶された次式(4)に従って速度比制御値V0が算出さ
れる。 V0=K0(e*−e)/e …(4) 上記速度比制御値V0は目標速度比e*と実際の速度比
eとの偏差を解消するためのものであり、後述のステッ
プS14においては、この速度比制御値V0が正である場合
にはスプール弁子68が左方向へ移動させられて一次側回
転軸16の回転速度Ninが減少するように前記速度比信号
RA2が出力され、負である場合にはスプール弁子68が右
方向へ移動させられて一次側回転軸16の回転速度Nin
増加するように前記速度比信号RA1が出力される。ま
た、速度比制御値V0の大きさは速度比信号RA1または速
度比信号RA2の大きさ、すなわちスプール弁子68の移動
量に対応する。なお、(2)式のK0は制御定数であ
る。 そして、ステップS7では、ステップS3にて求められた
エンジン10の実際の出力トルクTeが正であるか否か、
すなわちエンジン10から動力が出力されている正トルク
状態かあるいはエンジンブレーキ状態であるかが判断さ
れる。このような判断が必要な理由は、正トルク状態と
エンジンブレーキ状態とで動力伝達方向が異なるため油
圧シリンダ26、28の速度比eに対する油圧変化特性が変
化するからである。すなわち、正トルク状態では一次側
油圧シリンダ26内の油圧Pinが二次側油圧シリンダ28内
の油圧Poutよりも高く、また、エンジンブレーキ状態
では油圧Pinと油圧Poutとの大小関係が反対となり、
いづれも駆動側の油圧が従動側の油圧よりも大きくな
る。この現象は本来は一次側油圧シリンダ26および二次
側油圧シリンダ28の推力相互間にて論じられるものであ
るが、本実施例では一次側油圧シリンダ26および二次側
油圧シリンダ28の受圧面積が同等であるので、油圧の大
小関係にそのまま現れているのである。 ステップS7において出力トルクTeが正であると判断
された場合には、ステップS8が実行されることにより、
伝動ベルト24に対する挾圧力を必要かつ充分に発生させ
るための二次側油圧シリンダ28内の油圧(目標油圧)P
outが得られるように第2ライン油圧Pl2が決定される。 すなわち、先ず、予めROM104に記憶された次式(5)
の関係からエンジン10の実際の出力トルクTe、実際の
速度比eに基づいて最適な二次側油圧シリンダ28の推力
(算出値)Woutを算出する。また、次式(6)から、
上記推力Woutを得るための第2ライン油圧Pl2が、推力
out、二次側油圧シリンダ28の受圧面積Aout、二次側
回転軸18の回転速度Noutに基づいて算出される。 Wout=f(Te,e) …(5) ここで、上記(5)式は伝動ベルト24の張力、すなわ
ち伝動ベルト24に対する挟圧力を必要かつ充分な値とす
るために予め求められたものであり、推力Wouは出力ト
ルクTeおよび速度比eの商とともに比例的に増加させ
られる。また、(6)式の関係において、第2項は回転
速度Noutとともに増大する遠心油圧を第1項から差し
引いて第2ライン油圧Poutを補正するためのものであ
る。第2項のC2は遠心力補正係数であり、二次側油圧
シリンダ28の諸元および作動油の比重から予め決定され
る。 なお、予めROM104に記憶された関係から実際の速度比
e、目標速度比e*、エンジン10の実際の出力トルクTe
に基づいて算出された補正油圧ΔP2が必要に応じて上
式(6)の右辺から差し引かれてもよい。すなわち、こ
の補正油圧ΔP2は、変速制御弁44における一次側油圧
シリンダ26内油圧Pinおよび二次側油圧シリンダ28内油
圧Poutの速度比制御値V0(スプール弁子68の位置)に
対する変化特性において、ΔV0で推力が平衡しかつこ
のときの速度比がe(=e*−Δe)であるとすると、
このときの二次側油圧シリンダ28内油圧Poutは第2ラ
イン油圧Pl2に対してΔP2だけ大きな値となるので、
(6)式にて算出した油圧Pl2から補正油圧ΔP2を差し
引くことにより制御すべき第2ライン油圧Pl2が正確に
求められる。この補正油圧ΔP2は変速制御弁44の出力
油圧変化特性、速度比制御値V0、ライン油圧差(Pl1
Pl2)で決定されるが、通常、速度比制御値V0は(e*
−e)に基づいて決定され且つライン油圧差(Pl2−P
l2)は出力トルクTeおよび速度比eに基づいて決定さ
れるから、結局補正油圧ΔP2は速度比e、目標速度比
*、出力トルクTeの関数となるのである。なお、変速
制御弁44の油圧変化特性によっては補正油圧ΔP2が全
域にわたって小さい値となる場合があるがこのようなと
きは補正油圧ΔP2を予め定めた一定の値としてもよ
い。また、一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリ
ンダ28と第2ライン油路52とを絞りまたは逆止弁にて接
続する場合には補正油圧ΔP2を零としても差し支えな
いのである。 続くステップS9においては、目標とする速度比を実現
できる推力を必要かつ充分い発生させるための一次側油
圧シリンダ26内の油圧(目標油圧)Pinが得られるよう
に、第1ライン油圧Pl1が決定される。すなわち、先
ず、予めROM104に記憶された次式(7)に示す関係から
実際の速度比e或いは目標速度比e*とエンジン10の実
際の出力トルクTeとに基づいて正駆動時の推力比γ
+(二次側油圧シリンダ28の推力Wout/一次側油圧シリ
ンダ26の推力Win)が算出されるとともに、次式(8)
から上記推力比γ+および二次側油圧シリンダ28の推力
outから一次側油圧シリンダ26の推力Winが求められ
る。そして、次式(9)から一次側油圧シリンダ26の推
力Win、一次側油圧シリンダ26の受圧面積Ain、一次側
回転軸16の回転速度Ninに基づいて油圧(算出値)Pin
が算出されるとともに、次式(10)から上記油圧Pin
よび補正油圧ΔP1に基づいて一次側ライン油圧Pl1が算
出される。 γ+=f(e*,Te) …(7) Pl1=Pin+ΔP1 …(10) ここで、上記(7)式は広範な運転条件範囲全域にわ
たって好適な変速応答性を得るに足る必要かつ充分な推
力比γ+を決定できるように予め求めた関係を示すもの
であって、この関係から目標速度比e*および実際の出
力トルクTeと関連して決定された推力比γ+が得られる
ように、第1ライン油圧Pl1を制御するのである。ま
た、上記(9)式の関係において、第2項は回転速度N
inとともに増加する遠心油圧を第1項から差し引いて補
正するものであり、第2項のC1は一次側油圧シリンダ2
6の諸元および作動油の比重から予め決定される。さら
に、上記(10)式は、(9)式により求められた油圧P
inに補正油圧ΔP1を加えることにより第1ライン油圧P
l1が決定されるが、この補正油圧ΔP1は互いに相反す
る動力損失および定常偏差Δe(ΔV0に対応)の均衡
点において決定される。すなわち、補正油圧ΔP1を小
さくした場合は定常偏差が大きくなるが、補正油圧ΔP
1を大きくした場合には実際の一次側油圧シリンダ26内
油圧Pinおよび二次側油圧シリンダ28内の油圧Pout
0の変化に対応して急激に変化する特性となるため定
常偏差が小さくなる。しかし、補正油圧ΔP1を大きく
する程多くの運転条件下で不要に大きな第1ライン油圧
Pl1を発生させてしまうのである。 一方、前記ステップS7において車両がエンジンブレー
キ状態であると判断された場合には,ベルト式無段変速
機14における動力伝達方向が逆となるので、前記ステッ
プS8およびS9と略同様なステップS10およびS11が実行さ
れることにより、一次側油圧シリンダ26内に必要な推力
inを得るための第2ライン油圧Pl2を決定し、二次側
油圧シリンダ28内に必要な推力Woutを得るための第1
ライン油圧Pl1を決定する。すなわち、ステップS10にお
いては、予め記憶された次式(11)に示す関係から出力
トルクTe、速度比eに基づいて最適な一次側油圧シリ
ンダ26の推力Winが算出されるとともに、一次側油圧シ
リンダ26に供給すべき適当な油圧Pin(目標値)が得ら
れるように第2ライン油圧Pl2が次式(12)から算出さ
れる。また、ステップS11においては、次式(13)から
目標速度比e*、出力トルクTeに基づいてエンジンブレ
ーキ状態の推力比γ-が算出されるとともに、次式(1
4)から上記推力比γ-を得るための二次側油圧シリンダ
28の推力Woutが推力比γ-および一次側油圧シリンダ26
の推力Winに基づいて求められ、また、次式(15)およ
び(16)から二次側油圧シリンダ28内に必要な油圧P
out、およびその油圧Poutを得るための第1ライン油圧
Pl1が決定される。 Win=f(Te,e) …(11) γ-=f(e*,Te) …(13) Wout=γ-・Win …(14) Pl1=Pout+ΔP1 …(16) このようにして、正トルク状態或いはエンジンブレー
キ状態の第2ライン油圧Pl2および第1ライン油圧Pl1
決定されると、次のステップS12が実行されて目標速度
比e*と実際の速度比eとの偏差(e−e*)/eが予め設
定された判断基準値Cよりも大きいか否かが判断され、
大きければ速度比変化速度をフィードバック制御するた
めのステップS13乃至S15が実行されるが、大きくなけれ
ばそれらステップS13乃至S15がスキップされられてステ
ップS16以下が実行される。 上記ステップS13では、予めROM104に記憶された関係
(17)から実際のスロットル弁開度θthおよび二次側回
転軸18の回転速度Noutに基づいて目標変化速度s*が算
出される。この関係(17)は、車両の運転状態、たとえ
ばアクセルペダルの踏み込み量および車速に応じて最適
の変速感覚が得られるようにまた迅速なシフトが得られ
るように且つ第1ライン油圧Pl1が必要最小値となるよ
うに予め求められた関係であり、たとえば第5図に示す
ように、スロトッル弁開度θthが大きくなる程、また回
転速度Noutが低くなる程目標変化速度s*が大きくなる
ように決定されている。本実施例では、上記ステップS1
3が目標変化速度s*を決定するための目標変化速度決定
手段に対応する。 s*=f(θth,Nout) …(17) ステップS14では、(18)式に示すように、ステップS
9またはS11にて決定された第1ライン油圧Pl1に、ステ
ップS13にて求められた目標変化速度s*と実際の速度比
変化速度|de/dt|/eとの偏差〔s*−|de/dt|/e〕に比例
した油圧値を加えることにより、最終的な第1ライン油
圧Pl1が求められる。 Pl1=Pl1+ K1・〔s*−|de/dt|/e〕 …(18) そして、ステップS15では、(19)式に示すように、
ステップS8またはS10にて決定された第2ライン油圧Pl2
に、ステップS13にて求められた速度比変化速度s*と実
際の速度比変化速度|de/dt|/eとの偏差〔s*−|de/dt|/
e〕に比例した油圧値を加えることにより、最終的な第
2ライン油圧Pl2が求められる。したがって、本実施例
では、上記ステップS14およびS15が、第1調圧弁48およ
び第2調圧弁58を制御するための制御手段としてそれぞ
れ機能する。 Pl2=Pl2− K2・〔s*−|de/dt|/e〕 …(19) V1=f(Pl1) …(20) V2=f(Pl2) …(21) 上記(18)式および(19)式の右辺第2項は、実際の
速度比変化速度|de/dt|/eを目標変化速度s*に一致させ
るためにフィードバック制御する制御項であり、K1
よびK2は制御定数である。なお、上記速度比変化速度
には1/eが乗算されているが、これは速度比eの依存性
を出さないようにするためのものであり、1/eが乗算さ
れない値であっても勿論制御可能である。 ステップS16では、以上のようにして求められた第1
ライン油圧Pl1および第2ライン油圧Pl2を得るために出
力される第1ライン油圧制御値V1および第2ライン油
圧制御値V2が(20)式および(21)式にしたがって決
定される。上記関係式(20)式および(21)式は、算出
された第1ライン油圧Pl1および第2ライン油圧Pl2が得
られるように予め第1調圧弁48および第2調圧弁58の特
性を考慮して求められている。そして、ステップS17に
おいて各制御値V0、V1およびV2が出力されて、変速
制御弁44、第1調圧弁48および第2調圧弁58が作動させ
られる。これにより、速度比eおよびその変化速度de/d
t、第1ライン油圧Pl1、第2ライン油圧Pl2が制御され
る。 ここで、前記ステップS12における判断基準値Cは、
上記速度比変化速度のフィードバック制御を減速変速時
のみにおいて実行させるために正の値とされている。速
度比の増速変速時(増加時)には、速度比を速やかに変
化させる必要がないからである。また、判断基準値Cの
大きさは、速度比変化速度のフィードバック制御により
不要に第1ライン油圧Pl1および第2ライン油圧Pl2を変
化させないように、偏差範囲を限定する値に決定されて
いる。すなわち、図示しないアクセルペダルが踏み込ま
れることにより速度比偏差(e−e*)/eが大きくなっ
て判断基準値Cを超えると、速度比eの目標変化速度s
*が求められ且つその目標変化速度s*と実際の速度比変
化速度|de/dt|/eとを一致させるために第1ライン油圧P
l1が増加させられ且つ第2ライン油圧Pl2が低下させら
れる。そして、実際の速度比変化速度|de/dt|/eが目標
変化速度s*に接近するに伴って第1ライン油圧Pl1の増
加量および第2ライン油圧Pl2の減少量が軽減されて或
る値で平衡する。この或る値は比例動作特有の定常偏差
である。もし、定常偏差が生じなくて目標変化速度s*
と実際の速度比変化速度|de/dt|/eとが一致する状態で
はステップS14およびS15における増加若しくは減少補正
が行われないが、実際には必ず行われる。このような定
常偏差の存在する平衡状態が持続すると、実際の速度比
eは目標速度比e*に接近し、変速制御弁44の弁子の移
動ストロークが小さくなるため、第1ライン油圧Pl1
高く且つ第2ライン油圧Pl2が低くても変速比変化速度
は遅くなる。この場合においては、(18)および(19)
式が第1ライン油圧Pl1を更に高く且つ第2ライン油圧P
l2を更に低くするように機能するが、こおときには変速
制御弁44ではかなり流通断面積が絞られた状態となって
いるので、もはや第1ライン油圧Pl1および第2ライン
油圧Pl2の増減による影響はない。このときにおいて
は、寧ろ、第1ライン油圧Pl1および第2ライン油圧Pl2
の不要な増減による問題、たとえばオイルポンプ42の駆
動損失、伝動ベルト24に対する挟圧力不足が発生するの
である。そして、そのような状態になる前に速度比変化
速度のフィードバック制御から離脱するように前記判断
基準値Cの大きさが決定されるのである。 上述のように、本実施例によれば、ベルト式無段変速
機14の速度比変化速度が車両の運転状態に応じた最適値
*となるように自動制御されるので、第6図のタイミ
ングチャートに示すように各部の油圧が変化し、自然な
変速感覚が得られる利点がある。すなわち、目標変化速
度決定手段に対応するステップS13により車両の運転状
態と関連して決定された目標変化速度s*と、速度比変
化速度検出手段に対応するステップS4により検出された
実際の速度比変化速度|de/de|/eとが一致するように、
制御手段として機能するステップS14およびS15が第1調
圧弁48および第2調圧弁58を制御するので、これらの調
圧弁48および58により調圧された第1ライン油圧Pl1
よび第2ライン油圧Pl2は車両の運転状態に拘わらず速
度比変化速度|de/dt|/eを目標変化速度s*とするに必要
な値とされる。このため、ベルト式無段変速機14におい
て、車両の運転状態に対応した最適の速度比変化速度が
適切に得られることから、油圧シリンダへ供給される作
動油を常時高い値に調圧する必要がないので、油圧ポン
プの動力損失が低減され、車両の燃費を向上することが
できる。 しかも、運転状態に対応した制御定数を多数記憶する
ことが不要となるので、制御が簡単となるとともにコン
トローラの記憶容量を増大させる必要がない。また、上
記のように調圧弁48および58が制御されるため、変速の
過渡時においても調圧弁48および58により調圧される第
1ライン油圧Pl1および第2ライン油圧Pl2が過大となる
ことがない。 次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の
実施例において前述の実施例と共通する部分には同一の
符号を付して説明を省略する。 第7図に示すように、変速制御弁44の第1排出ポート
54を通して流出させられた作動油はドレン油路110を介
して直接的にオイルタンク38へ戻される一方、第1ライ
ン油路50と第2ライン油路52とを絞り112を介して接続
するようにしてもよい。この場合には、第1調圧弁48と
第2調圧弁58とは並列に接続されており、上記絞り112
は第1ライン油圧Pl1および第2ライン油圧Pl2の差圧を
確実に形成させるとともに、第2調圧弁58の調圧作動に
必要な作動油量を確保するために設けられている。 以下、本実施例の作動を、第8図のフローチャートに
従って説明する。 図において、ステップSS1乃至SS5では、前述の実施例
におけるステップS1乃至S5と略同様に、目標入力軸回転
速度Nin *、エンジン10の出力トルクTe、実際の速度比
e、速度比制御値V0が算出される。上記速度比制御値
0は、速度比偏差ではなく入力軸回転速度偏差(Nin
−Nin *)/Nin *に基づいて決定される。そして、ステッ
プSS6では、第2ライン油圧Pl2が次式(22)から決定さ
れる。この式(22)は、伝動ベルト24の張力を必要且つ
充分な値に維持するために予め求められたものであっ
て、車両が正トルク状態とエンジンブレーキ状態とに共
通に適用される。本実施例では、エンジンブレーキ時に
おいてベルト挟圧力を発生させる一次側シリンダ油圧P
inを第2調圧弁58により直接に制御できず、実際のPin
は第2ライン油圧Pl2よりも小さい値となるので、第2
ライン油圧Pl2を高く調圧してPinを一層高くすること
により伝動ベルト24が滑らないようにすることが必要と
なる。しかし、このようなエンジンブレーキ時において
は、正トルク状態に比較して伝達トルクが小さいため、
エンジンブレーキ時の伝動ベルト24に対する挟圧力制御
は比較的大まかで良いのである。 Pl2=f(Te,e) …(22) ステップSS7では、一次側回転軸回転速度偏差の絶対
値|Nin−Nin *|/Nin *が予め設定された判断基準値Dよ
りも大きいか否かが判断される。この判断基準値Dの大
きさは、前述の判断基準値Cと同様に決定される。ステ
ップSS7にて大きくないと判断された場合には定常状態
の第1ライン油圧Pl1を決定するためのステップSS11が
実行される。ステップSS11では、次式(23)にしたがっ
て第1ライン油圧Pl1が決定される。そして、ステップS
S12では、後述のステップSS9において算出されている速
度比変化速度のフィードバック制御のための積分操作値
が解消される。この(23)式に示す関係には、一次側回
転軸回転速度偏差が所定値εと一致させるための比例動
作項および積分動作項が含まれている。ここで、前述の
(3)式に示す関係から、本実施例の一次側回転軸回転
速度偏差の絶対値|Nin−Nin *|/Nin *は前述の実施例に
おける速度比偏差|e*−e|/eと等価である。 上記(23)により第1ライン油圧Pl1を制御すると、
定常時には必要最小油圧が得られてオイルポンプ42を駆
動するための動力損失が低減される。しかし、ベルト式
無段変速機14の変速比が変化させられる過渡時には上記
一次側回転軸回転速度偏差が大きくなるため、第1ライ
ン油圧Pl1が過大な値とされていた。このような速度比
変化時のために、ステップSS8以下が用意されている。 前記ステップSS7において、一次側回転軸回転速度偏
差の絶対値|Nin−Nin *|/Nin *が予め設定された判断基
準値Dより大きいと判断された場合には、速度比変化速
度をフィードバック制御するためのステップSS8以下が
実行される。先ずステップSS8では、前述の実施例のス
テップS13と同様に、目標変化速度s*が決定され、続く
ステップSS9では、その目標変化速度s*と実際の速度比
変化速度の等価値|dNin/dt|/Ninとを一致させるための
第1ライン油圧Pl1が次式(24)にしたがって決定され
る。 上記(24)から明らかなように、速度比が変化させら
れる過渡時の第1ライン油圧Pl1は、速度比変化速度に
対応する一次側回転軸16の回転速度変化率|dNin/dt|/N
inと目標変化速度S*とを一致させるために作用する積
分動作項により決定される。なお、上記(24)式の右辺
には、比例動作項が加えられても良い。また、ベルト式
無段変速機14の速度比変化(シフト)が完了すると、前
記ステップSS12により次のシフトに備えて上記積分動作
項による積分値が零とされる。 続くステップSS10では、前記ステップSS11の制御式に
おける積分動作項の積分値が零にリセットされる。 このようにして第1ライン油圧Pl1、第2ライン油圧P
l2が決定されると、前述の実施例と同様に、ステップSS
13において第1ライン油圧制御値V1および第2ライン
油圧制御値V2が決定され、且つステップSS14において
各制御値V0、V1、V2が出力される。 本実施例においても、過渡時における一次側回転軸回
転速度の変化率|dNin/dt|/Ninが目標変化速度s*と一致
させられるように第1ライン油圧Pl1が調圧されるの
で、第1ライン油圧Pl1の過昇圧が防止されてオイルポ
ンプ駆動損失および燃費が軽減される等の、前述の実施
例と同様の効果が得られる。また、目標変化速度s*
一致させられるように第1ライン油圧Pl1が調圧される
ので、前述の実施例と同様に、車両状態に対応して最適
な変速感覚が得られるのである。第9図は本実施例にお
ける各部の油圧変化特性を示している。また、第10図は
ステップSS11における制御式のみで第1ライン油圧を制
御する形式の従来の場合を示す。 以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明した
が、本発明はその他の態様においても適用される。 たとえば、第2図の実施例ではベルト式無段変速機14
の速度比変化速度|de/dt|/eが目標変化速度s*と一致す
るように第1ライン油圧Pl1および第2ライン油圧Pl2
調圧され、第8図の実施例では一次側回転軸16の回転速
度変化率|dNin/dt|/Ninと目標変化速度s*と一致するよ
うに第1ライン油圧Pl1のみが調圧されていたが、第2
ライン油圧Pl2のみが調圧されてもよいのである。 また、前述の実施例の(18)式、(19)式,(24)式
においては目標変化速度s*を目標値としてフィードバ
ック制御されるが、s*・|e−e*|/eやs*・|Nin−Nin
*|/Ninを目標値としても差支えないのである。通常、定
常状態に近づくに伴って制御偏差|e−e*|/eや|Nin−N
in *|/Ninが小さくなると、変速制御弁44の開度が小さく
されて速度比変化速度が必ず減少するが、目標変化速度
*が大きいままであると、第1ライン油圧Pl1が不要に
高くなったり第2ライン油圧Pl2が不要に低くなったり
する。しかし、上記のように制御偏差と関連して変化す
る目標値とすれば、そのような不都合が解消される。た
とえば、第2図の実施例において上記のような制御を実
行すると、判断基準値Cの大きさを最適値に決定するこ
とによりフィードバック制御から離脱させる必要がな
く、第11図に示すように、油圧変化が円滑となる利点が
ある。変速制御弁44に対する速度比制御値V0は上記制
御偏差|e−e*|/eや|Nin−Nin *|/Ninに制御定数K0
掛けたものであるから、上記のような目標変化速度S*
・|e−e*|/eやS*・|Nin−Nin *|/Ninは実質的には速
度比制御値V0と関連して変化させられる。 また、前述の実施例における変速制御弁44は1本のス
プール弁子68を備えて構成されているが、第12図および
第13図に示すように、2本或いは4本のスプール弁子か
ら構成される形式のものであってもよい。第12図に示す
変速制御弁装置116は、特願昭61-37575号に記載されて
いるものと同様であって、シリンダボア内に摺動可能に
嵌合された2本のスプール弁子118および120を駆動する
電磁ソレノイド122および123を備えた2組のスプール弁
126および128から構成されている。また、第13図に示す
変速制御弁装置130は、特願昭61-37578号に記載されて
いるものと同様であって、シリンダボア内に摺動可能に
嵌合された4本のスプール弁子132、134、136および138
と、それらの内の2本に選択的にパイロット油圧を作用
させて駆動するための一対の電磁開閉弁140、142とを備
えて構成されている。リリーフ弁144はパイロット油路1
46へ作動油を流入させるものであり、絞り148はパイロ
ット油路146内にパイロット油圧を発生させるものであ
る。 また、前述の実施例では、目標変化速度s*がスロッ
トル弁開度θthおよび二次側回転軸回転速度Noutに基
づいて決定されていたが、車両の運転状態と関連して変
化する他のパラメータが用いられても差支えないのであ
る。 また、前述の実施例では、スロットル弁開度θthが検
出されていたが、ディーゼルエンジンなどを搭載した車
両においては、たとえばアクセルペダル操作量などの車
両の要求出力を表す量が用いられてもよい。 なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であ
り、本発明はその精神を逸脱しない範囲で種々変更が加
えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例の構成を示す図である。第2
図は第1図の実施例の作動を説明するためのフローチャ
ートである。第3図は第2図のフローチャートの作動の
説明に用いられる関係を示す図である。第4図は第1図
のエンジンの最小燃費率曲線を示す図である。第5図は
第2図のフローチャートにおいて目標変化速度を求める
ための関係を示す図である。第6図は第1図の実施例の
作動を示すタイミングチャートである。第7図は本発明
の他の実施例における油圧制御回路を示す図である。第
8図は第7図の実施例の作動を説明するフローチャート
である。第9図は第8図の実施例の作動を示す各部の油
圧過渡特性図である。第10図は従来のベルト式無段変速
機の油圧制御装置の作動を示す各部の油圧過渡特性図で
ある。第11図は本発明の他の実施例の作動を示す各部の
油圧過渡特性図である。第12図および第13図は本発明の
他の実施例の油圧制御装置の要部をそれぞれ示す図であ
る。第14図は本発明のクレーム対応図である。 14:ベルト式無段変速機 20:一次側可変プーリ 22:二次側可変プーリ 24:伝動ベルト 26:一次側油圧シリンダ 28:二次側油圧シリンダ 44:変速制御弁 48:第1調圧弁(高圧側調圧弁) 58:第2調圧弁(低圧側調圧弁) 94:コントローラ

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.有効径が可変の一次側可変プーリおよび二次側可変
    プーリ間に巻き掛けられた伝動ベルトを介して動力が伝
    達され、且つ前記一次側可変プーリおよび二次側可変プ
    ーリの挟圧力が一次側油圧シリンダおよび二次側油圧シ
    リンダによってそれぞれ変化させられる形式の車両用ベ
    ルト式無段変速機において、油圧源から供給される作動
    油の油圧を高圧の高圧側作動油および低圧の低圧側作動
    油に調圧する高圧側調圧弁および低圧側調圧弁と、該高
    圧側調圧弁により調圧された高圧側作動油および低圧側
    調圧弁により調圧された低圧側作動油を前記一次側油圧
    シリンダおよび二次側油圧シリンダへ相逆的に供給する
    流量を制御することによって前記ベルト式無段変速機の
    速度比を調節する変速制御弁とを有する油圧制御装置で
    あって、 車両の運転状態と関連して前記ベルト式無段変速機の速
    度比の目標変化速度を決定する目標変化速度決定手段
    と、 前記ベルト式無段変速機の実際の速度比変化速度を検出
    する速度比変化速度検出手段と、 前記目標変化速度と実際の速度比変化速度とが一致する
    ように前記高圧側調圧弁による高圧側作動油の調圧また
    は低圧側調圧弁による低圧側作動油の調圧を制御する制
    御手段と を、含むことを特徴とする車両用ベルト式無段変速機の
    油圧制御装置。 2.前記制御手段は、車両の走行状態と関連して必要と
    される前記ベルト式無段変速機の速度比が実現される作
    動油圧が得られるように前記調圧弁を制御するものであ
    る特許請求の範囲第1項に記載の車両用ベルト式無段変
    速機の油圧制御装置。 3.前記目標変化速度決定手段は、前記ベルト式無段変
    速機の速度比の変化が速やかに実行されるように前記目
    標変化速度を変化させるものである特許請求の範囲第1
    項または第2項に記載の車両用ベルト式無段変速機の油
    圧制御装置。 4.前記目標変化速度決定手段は、前記ベルト式無段変
    速機の速度比の変化過程における前記作動油圧が必要且
    つ最小値となるように前記目標変化速度を変化させるも
    のである特許請求の範囲第1項または第2項に記載の車
    両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。 5.前記目標変化速度決定手段は、前記変速制御弁に対
    する速度比制御値に関連して前記目標変化速度を変化さ
    せるものである特許請求の範囲第1項または第2項に記
    載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
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