JP2794689B2 - 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置

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JP2794689B2
JP2794689B2 JP61179350A JP17935086A JP2794689B2 JP 2794689 B2 JP2794689 B2 JP 2794689B2 JP 61179350 A JP61179350 A JP 61179350A JP 17935086 A JP17935086 A JP 17935086A JP 2794689 B2 JP2794689 B2 JP 2794689B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置に
係り、特に車両の運転状態に応じて求められた目標値と
実際の速度比または一次側回転軸の回転速度との偏差が
小さくなるように変速制御弁をフィードバック制御する
油圧制御装置の改良に関するものである。 従来技術 一次側回転軸および二次側回転軸にそれぞれ設けられ
た一対の一次側可変プーリおよび二次側可変プーリと、
それら一対の可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達す
る伝動ベルトと、前記一対の可変プーリの有効径をそれ
ぞれ変更する一対の一次側油圧シリンダおよび二次側油
圧シリンダとを備えた車両用ベルト式無段変速機が知ら
れている。そして、かかる車両用ベルト式無段変速機の
油圧制御装置として、スプール弁子の移動に伴って前記
一対の油圧シリンダにそれぞれ接続された一対の第1出
力ポートおよび第2出力ポートの油圧を相反的に増減さ
せることにより、前記一対の可変プーリの推力バランス
を変化させて前記無段変速機の速度比を制御する変速制
御弁を有し、前記スプール弁子の移動量を、車両の運転
状態に応じて求められた目標速度比(目標値)と実際の
速度比との偏差を小さくするようにフィードバック制御
するようにしたものが考えられている。例えば、本願出
願人が先に出願した特願昭61−37576号に記載されてい
る装置はその一例である。なお、この場合に、二次側回
転軸の回転速度が定まれば速度比と一次側回転軸の回転
速度とは一定の関係になるため、車両の運転状態に応じ
て求められた一次側回転軸の目標回転速度と実際の回転
速度との偏差を小さくするようにフィードバック制御し
ても、全く同一の作用効果が得られる。 発明が解決すべき問題点 しかしながら、かかる従来の油圧制御装置において
は、必ず目標速度比と実際の速度比との間に定常偏差を
生じるという問題があった。すなわち、前記変速制御弁
の出力油圧特性は、例えば第4図に示されているよう
に、スプール弁子の中立位置からの移動量に対応する速
度比制御値V0が正すなわち正トルク状態の場合には、一
次側油圧シリンダ内の油圧Pinを二次側圧シリンダ内の
油圧Poutよりも大きくする一方、速度比制御値V0が負す
なわちエンジンブレーキ状態の場合には、二次側油圧シ
リンダ内の油圧Poutを一次側油圧シリンダ内の油圧Pin
よりも大きくするようになっている。また、かかる速度
比制御値V0は、無段変速機の実際の速度比と目標速度比
との偏差が小さくなるように、実際の速度比をe,目標速
度比をeとした時、次式 V0=K(e−e)/e (但し、Kは比例定数) に従って算出される。このため、両油圧シリンダ内の油
圧Pin,Poutが一致する速度比以外の速度比を実現しよう
とすると、必ず目標速度比eと実際の速度比eとの間
に定常偏差が生じてしまうのである。例えば、両油圧シ
リンダ内の油圧が○印で示す油圧においてある速度比が
実現されているとすると、この時の速度比制御値V0はΔ
V0となり、このΔV0に対応する大きさの定常偏差が生じ
るのである。 このため、従来は、出力油圧特性の傾きが急、すなわ
ち上記速度比制御値V0に対する油圧Pin,Poutの変化率が
大きく、定常偏差の小さい変速制御弁が採用されていた
が、この場合でも上記定常偏差を零とすることは不可能
なのであり、また、変速制御弁の製造に際して高い工作
精度が要求されて製造コストが嵩むという不都合があっ
た。また、変速制御弁に供給する第1ライン油圧Pl1
高くすれば、出力油圧特性の傾きを急にすることができ
るが、この場合には油圧源の駆動損失を招来するという
問題があった。 一方、比例積分動作でフィードバック制御を行うこと
が、例えば特開昭60−249759号公報などに記載されてお
り、その場合には積分動作項の存在で速度比eが徐々に
目標速度比eに近づけられ、定常偏差が略零となる
が、応答性が悪くてe≒eとなるまでに時間がかか
る。積分動作項の制御ゲインを大きくすれば応答性が向
上するが、ハンチング等が生じ易くなって変速制御が不
安定となる。 問題点を解決するための手段 本発明は以上の事情を背景として為されたものであ
り、その要旨とするところは、前記変速制御弁のスプー
ル弁子の移動量を、車両の要求出力に応じて設定された
目標値と実際の速度比または前記一次側回転軸の回転速
度との偏差に比例定数を乗算した比例動作項によりその
偏差が小さくなるようにフィードバック制御する油圧制
御装置であって、前記フィードバック制御の際に前記目
標値と実際の速度比または前記一次側回転軸の回転速度
の実測値との偏差が略零となるようにその目標値を補正
してフィードバック制御の直接の目標値である第2の目
標値を算出するとともに、その偏差が略零となった時の
補正量をその目標値と関連させて記憶手段に記憶してお
き、その後に同じ目標値が設定された時には、その記憶
手段から補正量を読み出し、その補正量だけその目標値
を補正して前記第2の目標値とする補正手段を有するこ
とにある。 作用および発明の効果 このようにすれば、フィードバック制御の際に目標値
と速度比または一次側回転軸の回転速度の実測値との偏
差が略零となるようにその目標値を補正してフィードバ
ック制御の直接の目標値である第2の目標値が算出され
るため、その第2の目標値と実測値との間には定常偏差
が生じるものの、車両の要求出力に応じて設定される本
来の目標値と実際の速度比または一次側回転軸の回転速
度との定常偏差は殆ど零になり、車両の要求出力などの
運転状態に応じて最適な速度比、或いは一次側回転軸の
回転速度が実現される。 しかも、本発明では上記偏差が略零となった時の補正
量を目標値と関連させて記憶手段に記憶しておき、その
後に同じ目標値が設定された時には、その記憶手段から
補正量を読み出して目標値を補正することにより第2の
目標値を求め、その第2の目標値に基づいて比例動作項
によるフィードバック制御を行うようになっているた
め、比例積分動作でフィードバック制御する場合に比較
して優れた応答性が得られ、実際の速度比または一次側
回転軸の回転速度が速やかに目標値に一致させられると
ともに、ハンチングなどで変速制御が不安定になる恐れ
もない。 また、変速制御弁としては多少の定常偏差があっても
差支えないため、従来のように、出力油圧特性の傾きが
急で定常偏差の小さいものを採用する必要がなくなり、
変速制御弁に要求される工作精度が緩和されて製造コス
トの低減を図ることができ、更には、その変速制御弁に
油圧を供給する油圧源の駆動損失をも低減することが可
能となる。 実施例 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。 第1図において、車両に設けられたエンジン10の出力
はクラッチ12を介してベルト式無段変速機14の一次側回
転軸16へ伝達される。 ベルト式無段変速機14は、一次側回転軸16および二次
側回転軸18と、それら一次側回転軸16および二次側回転
軸18に取りつけられた有効径が可能な一次側可変プーリ
20および二次側可変プーリ22と、それら一次側可変プー
リ20および二次側可変プーリ22に巻き掛けられて動力を
伝達する伝動ベルト24と、一次側可変プーリ20および二
次側可変プーリ22の有効径を変更する一次側油圧シリン
ダ26および二次側油圧シリンダ28とを備えている。これ
ら一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28は
同等の受圧面積となるように形成されており、上記一次
側可変プーリ20および二次側可変プーリ22の外径が同等
とされてベルト式無段変速機14が小型となっている。そ
して、上記一次側可変プーリ20および二次側可変プーリ
22は、一次側回転軸16および二次側回転軸18にそれぞれ
固定された固定回転体31および32と、上記一次側回転軸
16および二次側回転軸18にそれぞれ相対回転不能かつ軸
方向の移動可能に設けられて前記固定回転体31および32
との間にV溝を形成する可動回転体34および36とから成
る。 上記ベルト式無段変速機14の二次側回転軸18からの出
力は、図示しない副変速機、差動歯車装置などを経て車
両の駆動輪へ伝達されるようになっている。 このように構成された車両の動力伝達装置を作動させ
るための油圧制御回路は以下に説明するように構成され
る。すなわち、図示しない還流路を経てオイルタンク38
に還流した作動油はストレーナ40および吸入油路41を介
してオイルポンプ42に吸引され、変速制御弁44の入力ポ
ート46および第1調圧弁48と接続された第1ライン油路
50へ圧送される。このオイルポンプ42は、本実施例の油
圧源を構成し、図示しない駆動軸を介して前記エンジン
10により駆動される。第1調圧弁48は、後述の第1駆動
信号VD1にしたがって第1ライン油路50内の作動油の一
部を第2ライン油路52へ流出させることにより第1ライ
ン油圧Pl1を制御する。この第2ライン油路52は前記変
速制御弁44の第1排出ポート54および第2排出ポート56
と第2調圧弁58とにそれぞれ接続されている。この第2
調圧弁58は、後述の第2駆動信号VD2にしたがって第2
ライン油路52内の作動油の一部をドレン油路60へ流出さ
せることにより第1ライン油圧Pl1よりも相対的に低い
第2ライン油圧Pl2を制御する。上記第1調圧弁48およ
び第2調圧弁58は、所謂電磁比例リリーフ弁から構成さ
れている。 前記変速制御弁44は、所謂比例制御用電磁弁であっ
て、前記入力ポート46,第1排出ポート54および第2排
出ポート56,前記一次側油圧シリンダ26および二次側油
圧シリンダ28に接続油路29および30を介してそれぞれ接
続された一対の第1出力ポート62および第2出力ポート
64にそれぞれ連通するようにバルブボデー65に形成され
たシリンダボア66と、そのシリンダボア66内に摺動可能
に嵌合された1本のスプール弁子68と、このスプール弁
子68の両端部から中立位置に向かって付勢することによ
りそのスプール弁子68を中立位置に保持する一対の第1
スプリング70および第2スプリング72と、上記スプール
弁子68の両端部にそれぞれ設けられてスプール弁子68を
第2スプリング72または第1スプリング60の付勢力に抗
して連続的に移動させる第1電磁ソレノイド74および第
2電磁ソレノイド76とを備えている。上記スプール弁子
68には4つのランド78,80,82,84が一端から順次形成さ
れているとともに、中間部に位置する一対のランド80お
よび82はスプール弁子68が中立位置にあるときスプール
弁子68の軸方向において前記第1出力ポート62および第
2出力ポート64と同じ位置に形成されている。また、シ
リンダボア66の内周面であって、スプルー弁子68が中立
位置にあるとき一対のランド80および82と対向する位
置、すなわち上記第1出力ポート62および第2出力ポー
ト64がシリンダボア66の内周面に開口する位置には、そ
のランド80および82よりも僅かに大きい幅寸法の一対の
第1環状溝86および第2環状溝88が形成されている。こ
の第1環状溝86および第2環状溝88はランド80および82
との間で作動油の流通を制御するために連続的に流通断
面積が変化する絞りを形成している。 これにより、スプール弁子68が中立位置にあるときに
は、前記第1出力ポート62および第2出力ポート64が前
記入力ポート46および排出ポート54,56に僅かな流通断
面積が均等に連通させられ、漏れを補充する程度の量の
作動油が一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリン
ダ28に供給され、また、僅かな量の作動油が排出ポート
54,56から流出させられる。 しかし、スプール弁子68が中立位置からその一軸方
向、たとえば第2電磁ソレノイド76に接近する方向(す
なわち図の右方向)へ移動させられるに伴って、第1出
力ポート62と第1排出ポート54との流通断面積は連続的
に増加させられる一方、第2出力ポート64と入力ポート
46との流通断面積は連続的に増加させられるので、第1
出力ポート62から一次側油圧シリンダ26へ出力する作動
油圧は、第2出力ポート64から二次側油圧シリンダ28へ
出力する作動油圧に比較して低くなる。このため、ベル
ト式無段変速機14における一次側油圧シリンダ26および
二次側油圧シリンダ28の推力の平衡が崩れるので、二次
側油圧シリンダ28内へ作動油が流入する一方、一次側油
圧シリンダ26内の作動油が流出し、ベルト式無段変速機
14の速度比e(二次側回転軸18の回転速度Nout/一次側
回転軸16の回転速度Nin)が小さくなる。 反対に、スプール弁子68が中立位置から第1電磁ソレ
ノイド74に接近する方向、すなわち図の左方向へ移動さ
せられるに伴って、第1出力ポート62と入力ポート46と
の流通断面積は連続的に増加させられる一方、第2出力
ポート64と第2排出ポート56との流通断面積は連続的に
増加させられるので、第1出力ポート62から一次側油圧
シリンダ26へ出力する作動油圧は、第2出力ポート64か
ら二次側油圧シリンダ28へ出力する作動油圧に比較して
高くなる。このため、ベルト式無段変速機14における一
次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28の推力
の平衡が崩れるので、一次側油圧シリンダ26内へ作動油
が流入する一方、二次側油圧シリンダ28内の作動油が流
出し、ベルト式無段変速機14の速度比eが大きくなる。
このように、上記変速制御弁44は、油圧シリンダ26およ
び28の一方へ高圧の作動油を供給し他方へ低圧の作動油
を供給する切り換え弁機能と、連続的に作動油の流量を
調節する流量制御弁機能とを併有しているのである。 また、前記第2ライン油路52と一次側油圧シリンダ26
(接続油路29)との間には、作動油の流通を制限する絞
り110を備えた絞り油路112が接続されている一方、その
第2ライン油路52と二次側油圧シリンダ28(接続油路3
0)との間には、作動油の流通を制御する絞り114を備え
た絞り油路116が接続されている。これにより、それら
絞り油路112または絞り油路116を通して高圧側(駆動
側)の油圧シリンダ26または28から第2ライン油路52へ
作動油が流されるので、第4図に示すように、変速制御
弁44の出力油圧(一次側油圧シリンダ26の油圧Pinおよ
び二次側油圧シリンダ28の油圧Pout)がスプール弁子68
の中立位置において第2ライン油圧Pl2と近接させられ
る。したがって、低圧側(従動側)の油圧シリンダ26ま
たは28内の油圧PinまたはPoutが第2ライン油圧Pl2と略
一致させられるようになる。 車両のベルト式無段変速機14には、一次側回転軸16の
回転速度Ninを検出するための第1回転センサ90,および
二次側回転軸18の回転速度Noutを検出するための第2回
転センサ92が設けられており、それら第1回転センサ90
および第2回転センサ92からは回転速度Ninを表す回転
信号SR1および回転速度Noutを表す回転信号SR2がコント
ローラ94へ出力される。また、車両のエンジン10には、
車両の要求出力を表す量としてスロットル弁開度θth
検出するためのスロットルセンサ96と、エンジン回転速
度Neを検出するためのエンジン回転センサ98が設けられ
ており、それらスロットルセンサ96およびエンジン回転
センサ98からはスロットル弁開度θthを表すスロットル
信号Sθおよびエンジン回転速度Neを表す回転信号SEが
コントローラ94へ出力される。 上記コントローラ94は、CPU102,ROM104,RAM106などを
含む所謂マイクロコンピュータであって、本実施例の制
御手段を構成する。上記CPU102は、RAM106の記憶機能を
利用しつつ予めROM104に記憶されたプログラムにしたが
って入力信号を処理し、第1ライン油圧Pl1および第2
ライン油圧Pl2を制御するために第1調圧弁48および第
2調圧弁58へ第1駆動信号VD1および第2駆動信号VD2を
それぞれ供給すると同時に、速度比eを制御するために
第1電磁ソレノイド74および第2電磁ソレノイド76を駆
動するための速度比信号RA1およびRA2をそれらに供給す
る。 以下、本実施例の作動を第2図および第3図のフロー
チャートに従って説明する。 先ず、ステップS1が実行されることにより、一次側回
転軸16の回転速度Nin,二次側回転軸18の回転速度Nout,
スロットル弁開度θth,エンジン回転速度Neが回転信号S
R1およびSR2,スロットル信号Sθ,回転信号SEに基づい
てRAM106に読み込まれる。次いで、ステップS2では次式
(1)に従って実際の速度比eが上記回転速度Ninおよ
びNoutから算出される。また、ステップS3では予めROM1
04に記憶された次式(2)の関係から、一次側回転軸16
の目標回転速度Nin が車両の要求出力であるスロット
ル弁開度θthに基づいて求められる。これは、例えば第
5図に示すものであって、第6図に示す最小燃費率曲線
上でエンジン10が専ら作動するように予め設定されたも
のである。また、続いて実行されるステップS4では、次
式(3)の関係から目標回転速度Nin が実現された時
のエンジン10の要求出力トルクTe がスロットル弁開度
θthに基づいて求められ、更にステップS5では、次式
(4)に従って目標回転速度Nin と二次側回転軸18の
実際の回転速度Noutとから目標速度比(目標値)e
算出される。 e=Nout/Nin ・・・(1) Nin =f1(θth) ・・・(2) Te =f2(θth) ・・・(3) e=Nout/Nin ・・・(4) 続くステップS6では、上記目標速度比eと要求出力
トルクTe とに基づいて補正量マップから目標速度比e
の補正量Sを呼び出す。補正量マップはRAM106に記憶
されているもので、後述のステップS14において、目標
速度比eと要求出力トルクTe とによって定まる運転
状態に応じてその運転状態における目標速度比eの補
正量Sが逐次書き込まれるようになっている。したがっ
て、前記(3)式,(4)式で求められた要求出力トル
クTe および目標速度比eによって定まる運転状態が
既に実現されている場合には、その運転状態における目
標速度比eの補正量Sが補正量マップから呼び出され
る。しかし、未だその運転状態が実現されていない場合
には、補正量マップには補正量Sが記憶されていないた
め、補正量Sとして0が呼び出されるようになってい
る。 次に、ステップS7が実行され、無段変速機14が定常状
態であるか変速状態であるかが判断される。これは、例
えば目標速度比eと実際の速度比eとの偏差|e−e|
/eがある値より大きいか否か、或いは目標速度比e
たは速度比eの変化率の絶対率|de/dt|,|de/dt|があ
る値より大きいか否か等により決定される。そして、変
速状態であると判断された場合にはステップS8以下が実
行され、定常状態であると判断された場合にはステップ
S9以下が実行される。ここでは先ず、ステップS7におい
て定常状態であると判断された場合について説明する。 ステップS9では、前記ステップS6において呼び出され
た補正量Sが0であるか否か、換言すれば運転状態に応
じた補正量Sが既に記憶されているか否かが判断され
る。補正量Sが既に記憶されている場合、すなわち補正
量Sが0以外の場合には続いてステップS10が実行され
るが、車両の運転開始直後等において未だその運転状態
における補正量Sが記憶されていない場合、すなわち補
正量Sが0の場合にはステップS11が実行され、次式
(5)に従って前記目標速度比eに速度比偏差(e
−e)/eによる積分項を加算することにより、第2の目
標速度比(第2の目標値)e゜が算出される。なお、か
かる(5)式のC11は比例定数である。 ステップS9において補正量Sが0と判断され、ステッ
プS11で上記(5)式により第2の目標速度比e゜が求
められた場合には、次にステップS12が実行され、目標
速度比eと実際の速度比eとが等しいか否かが判断さ
れる。目標速度比eと速度比eとが等しい場合にはス
テップS13およびS14を経てステップS15が実行される
が、そうでない場合には直ちにステップS15が実行され
る。ステップS15は、前記(5)式で求められた第2の
目標速度比e゜と実際の速度比eとの偏差により、次式
(6)に従って速度比制御値V0が算出される。なお、
(6)式のKは比例定数である。 V0=K(e゜−e)/e ・・・(6) そして、後述のステップS25においては、この速度比
制御値V0が正である場合にはスプール弁子68が左方向へ
移動させられて二次側回転軸18の回転速度Noutが増加す
るように前記速度比信号RA2が出力され、負である場合
にはスプール弁子68が右方向へ移動させられて一次側回
転軸16の回転速度Ninが増加するように前記速度比信号R
A1が出力される。また、速度比制御値V0の大きさは速度
比信号RA1または速度比信号RA2の大きさ、すなわちスプ
ール弁子68の中立位置からの移動量に対応する。したが
って、変速制御弁44は、この速度比制御値V0に従って実
際の速度比eと第2の目標速度比e゜とが一致するよう
にフィードバック制御されるのであり、第2の目標速度
比e゜はフィードバック制御の直接の目標値なのであ
る。 ここで、このような変速制御弁44の出力油圧特性は前
記第4図に示されているが、今、正トルク状態(Pin>P
out)においてある速度比eが実現されており、この時
の油圧Pin,Poutがそれぞれ○印で示す油圧であるとする
と、速度比制御値V0はΔV0となり、このΔV0は前記
(6)式にて表されるところから、第2の目標速度比e
゜と速度比eとの間にはΔV0に対応する大きさの定常偏
差が生じていることになる。このため、従来のように目
標速度比eと速度比eとの偏差に基づいて次式(7)
に従って速度比制御値V0を算出すると、その目標速度比
と速度比eとの間にはΔV0に対応する大きさの偏差
が必ず生じ、この場合には速度比eは目標速度比e
りも小さい値となってしまうのである。これに対し、本
実施例では前記(5)式において目標速度比eに積分
項(この場合には正になる)が加算されて目標速度比e
よりも大きい第2の目標速度比e゜が算出され、その
第2の目標速度比e゜と速度比eとが一致するように変
速制御値V0が決定されるため、速度比eは次第に大きく
なって最終的に目標速度比eと一致させられるのであ
る。なお、エンジンブレーキ状態(Pin<Pout)の場合
には速度比eは目標速度比eよりも大きくなるが、前
記(5)式の積分項は負となるため、速度比eは次第に
小さくなって最終的に目標速度比eと一致させられ
る。 V0=K(e−e)/e ・・・(7) このようにして実際の速度比eと目標速度比eとが
一致させられると、前記(5)式の積分項は一定値に保
持されて第2の目標速度比e゜も一定の値に維持され、
その時の運転状態において最適な速度比e(目標速度比
)が実現される一方、前記ステップS12における判
断がYESとなるため、ステップS13が実行される。このス
テップS13においては、次式(8)に従って前記(5)
式の積分項が最適な補正量Sとされ、続いて実行される
ステップS14において、その補正量Sが目標速度比e
の補正量マップに記憶される。 上記補正量マップは、前記ステップS6に示されている
ように目標速度比eと要求出力トルクTe との二次元
マップであるが、これは以下の理由による。すなわち、
本実施例の油圧特性は、前記第4図に示されているよう
に変速制御弁44自体の特性と第1ライン油圧Pl1および
第2ライン油圧Pl2とによって一義的に定められるもの
であり、両ライン油圧Pl1,Pl2は何れもエンジン10の出
力トルクTeと速度比eとによって決定されるため、これ
等の出力トルクTeと速度比eとによって油圧特性は求め
られる。また、この油圧特性における偏差は油圧Pin,P
outによって求めることができ、油圧Pin、Poutは何れも
出力トルクTeと速度比eとの関数として表されるため、
これ等の出力トルクTeと速度比eとが決まれば、油圧特
性の偏差も一義的に定められる。したがって、目標速度
比eと要求出力トルクTe とのマップにより、目標速
度比eの補正量Sが求まるようにすれば、全ての運転
条件において有効な補正量Sを記憶することができるの
である。 このようにしてある運転状態における補正量Sが補正
量マップに記憶されると、その後に同じ運転状態となっ
た時、すなわちステップS4およびS5において求められた
要求出力トルクTe および目標速度比eが同じ時に
は、ステップS6においてその記憶された補正量Sが補正
量マップから呼び出される。この補正量Sは0でないた
め、ステップS9の判断はNOとなり、続いてステップS10
が実行されることにより、次式(9)に従って目標速度
比eにその補正量Sが加算されることにより直ちに第
2の目標速度比e゜が算出され、このようにして求めら
れた第2の目標速度比e゜と速度比eとが一致するよう
にステップS15において速度比制御値V0が決定される。 e゜=e+S ・・・(9) この場合には、その運転状態における最適な補正量S
が直ちに目標速度比eに加算されて第1の目標速度比
e゜が算出されるため、前記ステップS11において積分
項を加算することにより徐々に目標速度比eを補正す
る場合に比較して、実際の速度比eが目標速度比e
一致させられるまでの時間が短縮され、エンジン10は直
ちに最小燃費率点で運転させられるようになる。また、
上記補正量マップはRAM106内に設けられた通常の揮発性
のメモリにて構成されており、エンジンキーがOFF位置
へ操作されることにより記憶内容がクリアされるように
なっている。このため、新たに運転を開始する毎に最適
な補正量Sを算出して記憶することとなり、変速制御弁
44の特性に経時変化があっても、これに対応することが
できる。 一方、前記ステップS7において無段変速機14が変速状
態であると判断された場合には、続いてステップS8が実
行され、次式(10)に従って前記(5)式の積分値が0
とされる。これは、その後に定常状態となった場合に
(5)式の積分項を0の状態からスタートさせるためで
ある。 その後、ステップS10が実行されて前記(9)式に従
って第2の目標速度比e゜が算出され、その第2の目標
速度比e゜と速度比eとが一致するようにステップS15
において速度比制御値V0が決定される。したがって、変
速状態においても実際の速度比eは目標速度比eに最
も効率的に接近させられることとなる。なお、この変速
状態においては目標速度比eと実際の速度比eとの偏
差|e−e|/eが過大となり、前記(5)式の積分項の絶
対値は非常に大きくなるため、本実施例では定常状態の
場合にのみステップS11以下が実行されるようになって
いる。 以上のステップにより速度比制御値V0が決定される
と、次にステップS16が実行され、予めROM104に記憶さ
れた良く知られた関係からスロットル弁開度θthおよび
エンジン回転速度Neに基づいてエンジン10の実際の出力
トルクTeが決定される。また、続いて実行されるステッ
プS17では、エンジン10の実際の出力トルクTeが正であ
るか否か、すなわちエンジン10から動力が出力されてい
る正トルク状態かあるいはエンジンブレーキ状態である
かが判断される。このような判断が必要な理由は、正ト
ルク状態とエンジンブレーキ状態とで動力伝達方向が異
なるため油圧シリンダの速度比eに対する油圧変化特性
が変化するからである。たとえば、第7図および第8図
は正トルク状態およびエンジンブレーキ状態における一
次側油圧シリンダ26内の油圧Pinおよび二次側油圧シリ
ンダ28内の油圧Poutの油圧変化特性をそれぞれ示してお
り、油圧Pinと油圧Poutとの大小関係が反対となり、何
れも駆動側の油圧が従動側の油圧よりも大きくなってい
る。この現象は本来は一次側油圧シリンダ26および二次
側油圧シリンダ28の推力相互間にて論じられるものであ
るが、本実施例では一次側油圧シリンダ26および二次側
油圧シリンダ28の受圧面積が同等であるので、油圧の大
小関係にそのまま現れているのである。 ステップS17において出力トルクTeが正であると判断
された場合には、ステップS18が実行されることによ
り、伝動ベルト24に対する挟圧力を必要かつ充分に発生
させるための二次側油圧シリンダ28内の油圧(目標油
圧)Pout′が得られるように第2ライン油圧制御値V2
決定される。すなわち、先ず、予めROM104に記憶された
次式(11)の関係から、エンジン10の実際の出力トルク
Teおよび実際の速度比eに基づいて最適な二次側油圧シ
リンダ28の推力Wout′を算出する。また、次式(13)か
ら上記推力Wout′,二次側油圧シリンダ28の受圧面積A
out,二次側回転軸18の回転速度Noutに基づいて油圧(算
出値)Pout′(本実施例では絞り油路112、116により第
2ライン油圧Pl2と同等の油圧とされている)を算出す
るとともに、予ROM104に記憶された次式(13)の関係か
ら上記算出された油圧Pl2(=Pout′)が得られるよう
に第2ライン油圧制御値V2を決定する。 Wout′=f(Te,e) ・・・(11) V2=f(Pout′) ・・・(13) 上記(11)式は伝動ベルト24の張力、すなわち伝動ベ
ルト24に対する挟圧力を必要かつ充分な値とするために
予め求められたものであり、推力Wout′は出力トルクTe
および速度比eの商とともに比例的に増加させられる。
また、(12)式の関係において、第2項は回転速度Nout
とともに増大する遠心油圧を第1項から差し引いて油圧
Pout′を補正するためのものである。第2項のC2は遠心
力補正係数であり、二次側油圧シリンダ28の諸元および
作動油の比重から予め決定される。また、上記(13)式
では、算出された第2ライン油圧Pl2が得られるように
予め第2調圧弁58の特性を考慮して記憶されたデータマ
ップなどが用いられることにより、第2ライン油圧制御
値V2が求められる。 続くステップS19においては、目標とする速度比e
を実現できる推力を必要かつ充分に発生させるための一
次側油圧シリンダ26内の油圧(目標油圧)Pin′が得ら
れるように、第1ライン油圧制御値V1が決定される。す
なわち、先ず、予めROM104に記憶された次式(14)に示
す関係から目標速度比eおよびエンジン10の実際の出
力トルクTeに基づいて正トルク状態の推力比γ(二次
側油圧シリンダ28の推力Wout/一次側油圧シリンダ26の
推力Win)が算出されるとともに、次式(15)から上記
推力比γおよび二次側油圧シリンダ28の推力Wout′か
ら一次側油圧シリンダ26の推力Win′が求められる。そ
して、次式(16)から一次側油圧シリンダ26の推力
Win′,一次側油圧シリンダ26の受圧面積Ain,一次側回
転軸16の回転速度Ninに基づいて油圧(算出値)Pin′を
算出するとともに、次式(17)から上記油圧Pin′およ
び補正油圧ΔP1に基づいて第1ライン油圧Pl1を算出
し、そして、その算出された油圧Pl1が得られるように
(18)式から第1ライン油圧制御値V1を決定する。 γ=f(e,Te) ・・・(14) Pl1=Pin′+ΔP1 ・・・(17) V1=f(Pl1) ・・・(18) ここで、上記(14)式は広範な運転条件範囲全域に亘
って推力比γを決定できるように予め求めた関係を示
すものであって、この関係から目標速度比eおよび実
際の出力トルクTeと関連して決定された推力比γが得
られるように、第1ライン油圧を制御するのである。ま
た、上記(16)式の関係において、第2項は回転速度N
inとともに増加する遠心油圧を第1項から差し引いて補
正するものであり、第2項のC1は一次側油圧シリンダ26
の諸元および作動油の比重から予め決定される。さら
に、上記(17)式は、(16)式により求められた油圧P
in′に補正油圧ΔP1を加えることにより第1ライン油圧
Pl1が決定される。そして、前記(18)式において、算
出された第1ライン油圧Pl1が得られるように予め第1
調圧弁48の特性を考慮して記憶されたデータマップなど
が用いられることにより第1ライン油圧制御値V1が求め
られる。 ここで、上記補正油圧ΔP1が大きいと第1ライン油圧
Pl1も大きくなり、油圧特性の傾きが急になって前記第
4図におけるΔV0が小さくなるため、目標速度比e
実際の速度比eとの偏差から前記(7)式に従って速度
比制御値V0を決定していた従来の場合には、この補正油
圧ΔP1を比較的大きく設定する必要があった。これに対
し、本実施例では(5)式または(9)式に従って目標
速度比eを補正することにより、その目標速度比e
と実際の速度比eとの間の偏差がなくなるようになって
いるため、補正油圧ΔP1を低くしてポンプ42の駆動損失
を低減することができる。 一方、前記ステップS17において車両がエンジンブレ
ーキ状態であると判断された場合には、ベルト式無段変
速機14における動力伝達方向が逆となるので、前記ステ
ップS18およびS19と略同様なステップS20およびS21が実
行されることにより、従動側となる一次側油圧シリンダ
26内に必要な油圧Pin′から第2ライン油圧制御値V2
決定し、二次側油圧シリンダ28内に必要な油圧Pout′か
ら第1ライン油圧制御値V1を決定する。すなわち、ステ
ップS20においては、予め記憶された次式(19)に示す
関係から出力トルクTe、速度比eに基づいて最適な一次
側油圧シリンダ26の推力Win′算出されるとともに、次
式(20)から一次側油圧シリンダ26に供給すべき油圧P
in′が算出され、そして次式(21)から上記油圧Pin
に基づいて第2ライン油圧制御値V2が決定される。ま
た、ステップS21においては、次式(22)から目標速度
比e,出力トルクTeに基づいて推力比γを算出する
とともに、次式(23)から上記推力比γを得るための
二次側油圧シリンダ28の推力Wout′を推力比γおよび
一次側油圧シリンダ26の推力Win′に基づいて求めると
ともに、(24)式から二次側油圧シリンダ28内に必要な
油圧Pout′を求め、さらに次式(25)から上記油圧
Pout′および補正油圧ΔP1に基づいて第1ライン油圧Pl
1を決定し、前記(18)式からその第1ライン油圧Pl1
得るための第1ライン油圧制御値V1を決定する。 Win′=f(Te,e) ・・・(19) V2=f(Pin′) ・・・(21) γ=f(e,Te) ・・・(22) Wout′=γ・Win′ ・・・(23) Pl1=Pout′+ΔP1 ・・・(25) このようにして、第2ライン油圧制御値V2および第1
ライン油圧制御値V1が決定されると、次のステップS22
が実行されて目標速度比eと実際の速度比eとの偏差
(e−e)が正であるか否かが判断され、正であれば
ステップS23において次式(26)および(27)から上記
第1ライン油圧制御値V1および第2ライン油圧制御値V2
が補正される。また、負であればステップS24において
次式(28)および(29)から上記第1ライン油圧制御値
V1および第2ライン油圧制御値V2が補正される。 V1=V1+K1(e−e)/e ・・・(26) V2=V2−K2(e−e)/e ・・・(27) V1=V1+K3(e−e)/e ・・・(28) V2=V2−K4(e−e)/e ・・・(29) 但し、K1,K2,K3,K4はそれぞれ比例定数である。 上式から明らかなように、ステップS23およびS24は偏
差|e−e|/eの増加とともに第1ライン油圧Pl1と第2
ライン油圧Pl2との差を拡大してベルト式無段変速機14
の速度比変化速度を高くするためのものである。すなわ
ち、たとえば正トルク状態では、第1ライン油圧Pl1
一次側油圧シリンダ26内の油圧Pin(高圧側の油圧シリ
ンダ内油圧:エンジンブレーキ状態ではPout)に対して
補正油圧(余裕油圧)ΔP1分だけ高くされているが、動
力損失の面からあまり高くできず速度比変化速度の点で
充分でない場合がある。しかし、本実施例では偏差|e
−e|/eが大きくなる過渡状態においてPl1とPl2との差を
拡大することにより速度比変化速度を一層高められるの
で、極めて好適な変速応答性が得られるのである。 ここで、上式(26),(27),(28),(29)におい
て比例定数は変速応答性を変えるためのものであって、
一般的には減速変速が増速変速に比較して速い方が走行
感覚が好ましいので、K1<K3,K2<K4となるように決定
されている。第9図は上式(26),(27),(28),
(29)を液用して制御した場合における、正トルク状態
(Pin>Pout)の速度比変化時の各油圧値の時間的変化
特性を示すものである。図から明らかなように、前記変
速制御弁44のスプール弁子68の作動により増速変速(速
度比増加)時には過渡的に一次側油圧シリンダ26内の油
圧Pinが高められると同時に二次側油圧シリンダ28内の
油圧Poutが低められる一方、減速変速(速度比減少)時
には過渡的に一次側油圧シリンダ26内の油圧Pinが低め
られると同時に二次側油圧シリンダ28内の油圧Poutが高
められる。これにより過渡状態において大きな推力差が
両油圧シリンダ26および28において生じるので、速度比
制御における好適な変速応答性が得られるのである。 一連のステップ内の最後のステップS25では、それ以
前のステップにおいて決定された速度比制御値V0,第1
ライン油圧制御値V1,第2ライン油圧制御値V2が出力さ
れる。これにより、前記第7図,第8図,および第9図
に示すように、速度比e,第1ライン油圧Pl1,第2ライン
油圧Pl2が制御される。 上述のように、本実施例においては、目標速度比e
を前記(5)式または(9)式に従って補正することに
より、フィードバック制御の直接の目標値である第2の
目標速度比e゜を算出し、その第2の目標速度比e゜と
実際の速度比eとが一致するように変速制御弁44の速度
比制御値V0が決定されるようになっているため、第2の
目標速度比e゜と速度比eとの間には定常偏差が生じる
ものの、車両の運転状態に応じて求められた本来の目標
速度比eと速度比eとの間の定常偏差は零となる。し
たがって、車両の運転状態に応じた最適な速度比e(目
標速度比e)が実現されることとなり、エンジン10は
最小燃費率点で運転させられるのである。 特に、本実施例では、運転開始直後においては(5)
式に従って積分項による補正が行われるものの、そのよ
うにして算出された最後の補正量Sは目標速度比e
よび要求出力トルクTe が異なる各種の運転状態におい
て逐次補正量マップに記憶され、その後に同じ運転状態
となった時にはその記憶された補正量Sにより(9)式
に従って補正が行われるようになっているため、直ちに
速度比偏差のない運転状態が実現されて燃費が大幅に向
上させられるとともに、比例積分動作でフィードバック
制御する場合のようにハンチングなどで変速制御が不安
定になる恐れもない。 一方、変速制御弁44としては多少の定常偏差があって
も差支えないところから、従来のように、出力油圧特性
の傾きが急で定常偏差の小さいものを採用する必要がな
くなり、変速制御弁44に要求される工作精度が緩和され
て製造コストの低減を図ることができる。また、定常偏
差を小さくするために第1ライン油圧Pl1を特に大きく
する必要がないため、その第1ライン油圧Pl1を低くす
ることにより、具体的には前記(17)式または(25)式
の補正油圧ΔP1を小さい値に設定することにより、ポン
プ42の駆動損失を低減することも可能となるのである。
しかし、変速制御弁44の出力油圧特性の傾きを余りにも
緩やかにしたり、第1ライン油圧Pl1を余りにも小さく
したりすると、制御可能な速度比の範囲が狭くなるた
め、それ等の設定に際して一定の限度があることは勿論
である。 なお、この実施例ではコントローラ94による一連の信
号処理のうち前記ステップS6,S10,S11,S12,S13およびS1
4を実行する部分が補正手段に相当し、補正量Sに関す
る補正量マップを記憶しているRAM106は記憶手段に相当
する。 次に、本発明の他の実施例を説明する。 第10図は、前記第1実施例におけるフローチャートの
ステップS9,S11,S12,S13およびS14の替わりにステップS
26〜S30を設けたものである。すなわち、前記ステップS
7において無段変速機14が定常状態であると判断された
場合には、ステップS6において呼び出された補正量Sが
0であるか否かに拘らずステップS26が実行され、次式
(30)に従って目標速度比eに補正量Sと積分項とが
加算されることにより第2の目標速度比e゜が算出され
る。 上記(30)式において補正量Sが0の場合には、前記
実施例におけるステップS11と同様に積分項のみによっ
て目標速度比eが補正される。このため、最初のうち
は積分項は最適な値ではなく、実際の速度比eと目標速
度比eとの間に偏差があるため、続いて実行されるス
テップS27の判断はNOとなって直ちにステップS15以下が
実行される。しかし、これ等のステップが繰り返される
うちに積分項は次第に大きくなるため、最終的に速度比
eは目標速度比eと一致させられ、ステップS27に続
いてステップS28が実行されて、最適な補正量Sが次式
(31)に従って決定される。 上記(31)式において、ステップS28が実行される前
の補正量Sは0であるため積分項のみによって補正量S
は決定され、ステップS29ではこの補正量Sが補正量マ
ップに記憶される。また、続くステップS30では、ステ
ップS8と同様に前記(10)式に従って上記(30)式およ
び(31)式の積分値が0とされる。このため、次にステ
ップS26が実行される際には、最適な補正量Sが存在す
るとともに積分項は0となっている(ステップS30によ
り積分値は0とされ、且つこの状態においては目標速度
比eと速度比eとが等しいから)ため、(30)式によ
り得られる第2の目標速度比e゜は目標速度比eに補
正量Sを加えた値となり、ステップS28における積分項
も0であるため補正値Sは変化しない。 このようにして、種々の運転状態における最適な補正
量Sが補正量マップに記憶されることにより、その後に
同じ運転状態となった時にはその記憶された補正量Sに
よって目標速度比eが補正され、前記第1実施例と同
様に直ちに最適な速度比e(目標速度比e)が実現さ
れる。しかし、この実施例では常にステップS26が実行
されるようになっているため、最初に補正量マップに記
憶された補正量Sを用いても目標速度比eと実際の速
度比eとの間に偏差が生じた場合には、(30)式におい
て補正量Sとともに積分項が目標速度比eに加算され
る。その場合にはステップS27の判断はNOとなり、直ち
にステップS1S5以下が実行されるため、ステップS30に
おいて(30)式の積分値が0とされることはない。した
がって、(30)式の積分項はステップS26が繰り返され
る毎に加算され、最終的に速度比eと目標速度比e
が一致させられる。そして、ステップS27に続いてステ
ップS28が実行されることにより、元の補正量Sにその
時の積分項が加算された新たな補正量Sが決定され、ス
テップS29においてはその新たな補正量Sを補正量マッ
プに記憶する。 このように、かかる第2実施例においては、補正量マ
ップに補正量Sが記憶されていてもステップS26が実行
されることにより、速度比eと目標速度比eとが一致
していない場合には(30)式の積分項が加算されて補正
量Sが逐次修正されるようになっているため、常に最適
な補正量Sにて補正された第2の目標速度比eが得ら
れる。したがって、例えば運転開始直後の冷間時と充分
に暖機された後の作動油の粘度の違いにより変速制御弁
44の油圧特性に変動があった場合,比較的短期の経時変
化があった場合,或いは何等かの理由により異常な値が
補正量Sとされた場合等においても、補正量Sは常にそ
の運転状態における最適値に書き換えられ、常に速度比
偏差のない運転状態が実現されるのである。 また、このように補正量Sが常に最適値に書き換えら
れるところから、変速制御弁44の油圧特性等に基づいて
予め個々の運転状態における補正量Sを求め、補正量マ
ップに記憶させておくことも可能である。その場合に
は、運転開始直後においても補正量Sが呼び出され、積
分項による補正量が少なくて済むため、速やかに速度比
偏差のない運転状態が実現される利点がある。 なお、この実施例ではステップS6,S10,S26,S27,S28,S
28およびS30が、第2の目標速度比e゜を作成する補正
手段に相当する。 以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明し
たが、本発明は他の態様で実施することもできる。 例えば、前記実施例では速度比eと目標速度比e
を一致させるように構成されているが、一次側回転軸16
の回転速度Ninとその目標回転速度(目標値)Nin とを
一致させるように構成しても全く同一の機能,効果が達
成される。その場合には、前記(5)式,(6)式,
(30)式の替わりに次式(32),(33),(34)がそれ
ぞれ適用される。また、前記(8)式,(9)式,(1
0)式,(31)式もそれに対応して変更され、前記ステ
ップS12,S27は実際の回転速度Ninと目標回転速度Nin
とが等しいか否かを判断するようにしても差支えない。
なお、これ等の式において、C12,K′はそれぞれ比例定
数であり、Nin゜は第2の目標回転速度(第2の目標
値)である。 V0=K′(Nin−Nin )/Nin ・・・(33) また、前記実施例では第2の目標速度比e゜を算出す
る際に積分項のみが用いられているが、収束を速めるた
め、更に比例項を加えるようにすることも可能である。
その場合には、前記(5)式,(30)式の替わりに次式
(35),(36)がそれぞれ適用される。なお、Cpは比例
ゲインである。 また、前記実施例では無段変速機14が変速状態にある
場合でも目標速度比eに補正量Sが加算されて第2の
目標速度比e゜が算出されるようになっているが、本発
明は定常状態における偏差を零にすることを目的とする
ものであり、変速状態においては必ずしも目標速度比e
を補正する必要はない。 その他一々例示はしないが、本発明はその精神を逸脱
することなく当業者の知識に基づいて種々の変更,改良
を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例である車両用ベルト式無段変
速機の油圧制御装置の構成を示す図である。第2図およ
び第3図は第1図の実施例の作動を説明するためのフロ
ーチャートである。第4図は第1図の変速制御弁の出力
油圧特性を示す図である。第5図は第1図の実施例にお
けるスロットル弁開度と一次側回転軸目標回転速度との
関係を示す図である。第6図は第1図のエンジンの最小
燃費率曲線を示す図である。第7図および第8図は第1
図の実施例において速度比に対する各部の油圧の変化特
性をそれぞれ示す図であり、第7図は正トルク状態を、
第8図はエンジンブレーキ状態を示している。第9図は
第1図の実施例の過渡状態における各部の油圧変化特性
を示す図である。第10図は本発明の他の実施例における
作動を説明するためのフローチャートの要部である。 14:ベルト式無段変速機 16:一次側回転軸、18:二次側回転軸 20:一次側可変プーリ 22:二次側可変プーリ 24:伝動ベルト 26:一次側油圧シリンダ 28:二次側油圧シリンダ 44:変速制御弁、62:第1出力ポート 64:第2出力ポート、68:スプール弁子 94:コントローラ、106:RAM(記憶手段) ステップS6,S10,S11,S12,S13,S14:補正手段 ステップS6,S10,S26,S27,S28,S29,S30:補正手段

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.一次側回転軸および二次側回転軸にそれぞれ設けら
    れた一対の一次側可変プーリおよび二次側可変プーリ
    と、該一対の可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達す
    る伝動ベルトと、前記一対の可変プーリの有効径をそれ
    ぞれ変更する一対の一次側油圧シリンダおよび二次側油
    圧シリンダとを備えた車両用ベルト式無段変速機におい
    て、 スプール弁子の中立位置からの移動に伴って前記一対の
    油圧シリンダにそれぞれ接続された一対の第1出力ポー
    トおよび第2出力ポートの油圧を相反的に増減させるこ
    とにより、前記一対の可変プーリの推力バランスを変化
    させて前記無段変速機の速度比を制御する変速制御弁を
    有し、前記スプール弁子の移動量を、車両の要求出力に
    応じて設定された目標値と実際の速度比または前記一次
    側回転軸の回転速度との偏差に比例定数を乗算した比例
    動作項により該偏差が小さくなるようにフィードバック
    制御する油圧制御装置であって、 前記フィードバック制御の際に前記目標値と実際の速度
    比または前記一次側回転軸の回転速度の実測値との偏差
    が略零となるように該目標値を補正して該フィードバッ
    ク制御の直接の目標値である第2の目標値を算出すると
    ともに、該偏差が略零となった時の補正量を該目標値と
    関連させて記憶手段に記憶しておき、その後に同じ目標
    値に設定された時には、該記憶手段から該補正量を読み
    出し、該補正量だけ該目標値を補正して前記第2の目標
    値とする補正手段を有することを特徴とする車両用ベル
    ト式無段変速機の油圧制御装置。
JP61179350A 1986-07-30 1986-07-30 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 Expired - Lifetime JP2794689B2 (ja)

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