JP2699327B2 - 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents
車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置Info
- Publication number
- JP2699327B2 JP2699327B2 JP61188169A JP18816986A JP2699327B2 JP 2699327 B2 JP2699327 B2 JP 2699327B2 JP 61188169 A JP61188169 A JP 61188169A JP 18816986 A JP18816986 A JP 18816986A JP 2699327 B2 JP2699327 B2 JP 2699327B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pressure
- line
- hydraulic
- primary
- speed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H61/00—Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
- F16H61/66—Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing specially adapted for continuously variable gearings
- F16H61/662—Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing specially adapted for continuously variable gearings with endless flexible members
- F16H2061/66286—Control for optimising pump efficiency
Landscapes
- Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
- Control Of Transmission Device (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
技術分野
本発明は車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置に
係り、特に無段変速機の速度比が減少方向へ変化する変
速時に低圧側の第2ライン油圧を一時的に低下させて速
度比の変化速度を高めるようにした油圧制御装置に関す
るものである。 従来技術 一次側回転軸および二次側回転軸にそれぞれ設けられ
た一対の一次側可変プーリおよび二次側可変プーリと、
それら一対の可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達す
る伝動ベルトと、前記一対の可変プーリの有効径をそれ
ぞれ変更する一対の一次側油圧シリンダおよび二次側油
圧シリンダとを備えた車両用ベルト式無段変速機が知ら
れている。そして、かかる車両用ベルト式無段変速機の
油圧制御装置として、(a)油圧源から作動油が供給さ
れる第1ライン油路内の油圧を第1ライン油圧に調圧す
る第1調圧弁と、(b)前記第1ライン油路内の作動油
を前記一次側油圧シリンダおよび二次側油圧シリンダの
一方に供給すると同時に他方内の作動油を第2ライン油
路へ流出させることにより、前記一次側可変プーリおよ
び二次側可変プーリの有効径を変化させて、前記二次側
回転軸の回転速度Noutと前記一次側回転軸の回転速度N
inとの商Nout/Ninで定まる前記無段変速機の速度比e
を調節する変速制御弁と、(c)実際の速度比eが車両
の運転状態に応じて求められた目標多速度比と一致する
ように前記変速制御弁を制御する速度比制御手段と、
(d)前記第2ライン油路内の作動油の圧力を調圧する
第2調圧弁と、(e)エンジンの出力状態に基づいて前
記伝動ベルトの滑りが生じない範囲で第2ライン油圧を
決定する第2ライン油圧決定手段と、(f)前記第2ラ
イン油路内の作動油の圧力が前記第2ライン油圧となる
ように前記第2調圧弁を制御する第2ライン油圧制御手
段とを有するものがある。本願出願人が先に出願した特
願昭61-37571号に記載されている装置はその一例であ
る。 ここで、上記第1ライン油圧は目標とする速度比を実
現する駆動側可変プーリ推力を発生させ且つ動力損失が
生じない必要かつ充分な値となるように調圧される。ま
た、速度比eが減少方向へ変化する変速時、すなわちア
クセルペダルが踏み込まれて車両の要求出力が増加した
時には、一時的に第1ライン油圧を高めるとともに第2
ライン油圧を低下させることにより、両ライン油圧の差
を拡大して速度比eの変化速度を高め、優れた変速応答
性が得られるようになっている。 発明が解決しようとする問題点 ところで、上記変速時における両ライン油圧は、従
来、速度比eと車両の運転状態に応じて求められた目標
速度比e*との偏差|e*−e|/eに基づいて決定されるよう
になっていた。また、このような変速時における伝動ベ
ルトの滑りを防止するため、作動油が流出する側の油圧
シリンダ推力低下量が作動油が流入する側の油圧シリン
ダ推力増加量よりも小さくなるように、第1ライン油圧
の増加量が第2ライン油圧の低下量よりも大きくなるよ
うに設定されていた。 しかしながら、このように第1ライン油圧の増加量を
大きくすることは、ポンプの駆動損失の増加を招くため
好ましくない。また、速度比の偏差に基づいて決定され
た第2ライン油圧は、必ずしも伝動ベルトの滑りが生じ
ない必要最低限の油圧になっているとは限らず、伝動ベ
ルトの耐久性が損なわれる恐れがあった。 すなわち、変速時に両ライン油圧の差を拡大すること
によって同じ程度の変速応答性を達成する場合には、第
2ライン油圧を伝動ベルトの滑りが生じない必要最低限
の油圧まで低下させるとともに、第1ライン油圧の増加
量をできるだけ小さくすることが、ポンプの駆動損失を
低減して車両の燃費向上を図り、且つ伝動ベルトの耐久
性向上を図る上で好都合なのである。 問題点を解決するための手段 本発明は以上の事情を背景として為されたものであ
り、その要旨とするところは、前記(a)第1調圧弁
と、(b)変速制御弁と、(c)速度比制御手段と、
(d)第2調圧弁と、(e)第2ライン油圧決定手段
と、(f)第2ライン油圧制御手段とを有する車両用ベ
ルト式無段変速機の油圧制御装置であって、(g)前記
一次側回転軸の回転速度Ninを検出する回転速度検出手
段と、(h)前記速度比eが減少方向へ変化する変速時
に、前記第2ライン油圧決定手段によって決定される前
記第2ライン油圧を、前記一次側回転軸の回転速度Nin
の変化率に対応する量だけ低下させる補正手段とを設け
たことにある。 作用および発明の効果 すなわち、速度比eの変化方向が減少方向となる場合
は、スロットル弁開度やアクセルペダル操作量等によっ
て求められる車両の要求出力が大きくなった場合で、一
次側回転軸の回転速度はNinはエンジンの出力増大に伴
って上昇させられるが、この時、一次側回転軸に伝達さ
れるトルクはスロットル弁開度やエンジン回転速度等に
よって求められる定常状態のエンジン出力トルクよりも
小さい。これは、一次側回転軸系の慣性、具体的にはエ
ンジンの回転部分,フライホイール,クラッチ,一次側
可変プーリ等の回転慣性の影響により、エンジンの燃焼
による正味トルクは、その一次側回転軸系の回転を引き
上げるためにある程度費やされるからであり、残りのト
ルクが一次側回転軸から伝動ベルトを介して二次側回転
軸に伝達されることとなる。 ここで、上記一次側回転軸系の慣性により費やされる
トルクの大きさは、一次側回転軸の回転速度Ninの変化
率に比例する。したがって、この回転速度Ninを回転速
度検出手段によって検出するとともに、検出比eが減少
方向へ変化する変速時に、第2ライン油圧決定手段によ
って決定される第2ライン油圧を、補正手段により上記
回転速度Ninの変化率に対応する量だけ低下させるよう
に補正し、その補正された第2ライン油圧となるように
第2ライン油圧制御手段によって第2調圧弁を制御すれ
ば、従来のように速度比eの偏差に基づいて第2ライン
油圧を決定する場合に比例して、伝動ベルトの滑りが生
じない範囲において第2ライン油圧を合理的に低下させ
ることができる。これにより、伝動ベルトの耐久性が向
上させられるのであり、また、同じ程度の変速応答性を
達成する場合には、第2ライン油圧が低くされた分だけ
第1ライン油圧の増加量を小さくできるため、ポンプの
駆動損失が低減されて車両の燃費が向上させられる。な
お、第1ライン油圧の増加量を従来のままとすれば、両
ライン油圧の差が一層拡大されるため、更に優れた変速
応答性が得られることとなる。 実施例 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。 第1図において、車両に設けられたエンジン10の出力
はクラッチ12を介してベルト式無段変速機14の一次側回
転軸16へ伝達される。 ベルト式無段変速機14は、一次側回転軸16および二次
側回転軸18と、それら一次側回転軸16および二次側回転
軸18に取りつけられた有効径が可変な一次側可変プーリ
20および二次側可変プーリ22と、それら一次側可変プー
リ20および二次側可変プーリ22に巻き掛けられて動力を
伝達する伝動ベルト24と、一次側可変プーリ20および二
次側可変プーリ22の有効径を変更する一次側油圧シリン
ダ26および二次側油圧シリンダ28とを備えている。これ
ら一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28は
同等の受圧面積となるように形成されており、上記一次
側可変プーリ20および二次側可変プーリ22の外径が同等
とされてベルト式無段変速機14が小型となっている。そ
して、上記一次側可変プーリ20および二次側可変プーリ
22は、一次側回転軸16および二次側回転軸18にそれぞれ
固定された固定回転軸31および32と、上記一次側回転軸
16および二次側回転軸18にそれぞれ相対回転不能かつ軸
方向の移動可能に設けられて前記固定回転体31および32
との間にV溝を形成する可動回転体34および36とから成
る。 上記ベルト式無段変速機14の二次側回転軸18からの出
力は、図示しない副変速機、差動歯車装置などを経て車
両の駆動輪へ伝達されるようになっている。 このように構成された車両の動力伝達装置を作動させ
るための油圧制御回路は以下に説明するように構成され
る。すなわち、図示しない還流路を経てオイルタンク38
に還流した作動油はストレーナ40および吸入油路41を介
してオイルポンプ42に吸引され、変速制御弁44の入力ポ
ート46および第1調圧弁48と接続された第1ライン油路
50へ圧送される。このオイルポンプ42は、本実施例の油
圧源を構成し、図示しない駆動軸を介して前記エンジン
10により駆動される。第1調圧弁48は、後述の第1駆動
信号VD1にしたがって第1ライン油路50内の作動油の一
部を第2ライン油路52へ流出させることにより第1ライ
ン油路50内の油圧(第1ライン油圧)を制御する。第2
ライン油路52は前記変速制御弁44の第1排出ポート54お
よび第2排出ポート56と第2調圧弁58とにそれぞれ接続
されている。第2調圧弁58は、後述の第2駆動信号VD2
にしたがって第2ライン油路52内の作動油の一部をドレ
ン油路60へ流出させることにより、その第2ライン油路
52内の油圧(第2ライン油圧)を前記第1ライン油路よ
りも相対的に低い値に制御する。上記第1調圧弁48およ
び第2調圧弁58は、所謂電磁比例リリーフ弁から構成さ
れている。 前記変速制御弁44は、所謂比例制御用電磁弁であっ
て、前記入力ポート46,第1排出ポート54および第2排
出ポート56,前記一次側油圧シリンダ26および二次側油
圧シリンダ28に接続油路29および30を介してそれぞれ接
続された一対の第1出力ポート62および第2出力ポート
64にぞれぞれ連通するようにバルブボデー65に形成され
たシリンダボア66と、そのリシンダボア66内に摺動可能
に嵌合された1本のスプール弁子68と、このスプール弁
子68の両端部から中立位置に向かって付勢することによ
りそのスプール弁子68を中立位置に保持する一対の第1
スプリング70および第2スプリング72と、上記スプール
弁子68の両端部にそれぞれ設けられてスプール弁子68を
第2スプリング72または第1スプリング70の付勢力に抗
して移動させる第1電磁ソレノイド74および第2電磁ソ
レノイド76とを備えている。上記スプール弁子68には4
つのランド78,80,82,84が一端から順次形成されている
とともに、中間部に位置する一対のランド80および82は
スプール弁子68が中立位置にあるときスプール弁子68の
軸方向において前記第1出力ポート62および第2出力ポ
ート64と同じ位置に形成されている。また、シリンダボ
ア66の内周面であって、スプール弁子68が中立位置にあ
るとき一対のランド80および82と対向する位置、すなわ
ち上記第1出力ポート62および第2出力ポート64がシリ
ンダボア66の内周面に開口する位置には、そのランド80
および82よりも僅かに大きい幅寸法の一対の第1環状溝
86および第2環状溝88が形成されている。この第1環状
溝86および第2環状溝88はランド80および82との間で作
動油の流通を制御するために連続的に流通断面積が変化
する絞りを形成している。 これにより、スプール弁子68が中立位置にあるときに
は、前記第1出力ポート62および第2出力ポート64が前
記入力ポート46および排出ポート54,56に僅かな流通面
積で均等に連通させられ、漏れを補充する程度の量の作
動油が一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ
28に供給され、また、僅かな量の作動油が排出ポート5
4,56から流出させられる。 しかし、スプール弁子68が中立位置からその一軸方
向、たとえば第2電磁ソレノイド76に接近する方向(す
なわち図の右方向)へ移動させられるに伴って、第1出
力ポート62と第1排出ポート54との流通断面積が連続的
に増加させられる一方、第2出力ポート64と入力ポート
46との流通断面積が連続的に増加させられるので、第1
出力ポート62から一次側油圧シリンダ26へ出力する作動
油圧は、第2出力ポート64から二次側油圧シリンダ28へ
出力する作動油圧に比較して低くなる。このため、ベル
ト式無段変速機14における一次側油圧シリンダ26および
二次側油圧シリンダ28の推力の平衡が崩れるので、二次
側油圧シリンダ28内へ作動油が流入する一方、一次側油
圧シリンダ26内の作動油が流出し、ベルト式無段変速機
14の速度比e(二次側回転軸18の回転速度Nout/一次側
回転軸16の回転速度Nin)が小さくなる。 反対に、スプール弁子68が中立位置から第1電磁ソレ
ノイド74に接近する方向、すなわち図の左方向へ移動さ
せられるに伴って、第1出力ポート62と入力ポート46と
の流通断面積が連続的に増加させられる一方、第2出力
ポート64と第2排出ポート56との流通断面積が増加させ
られるので、第1出力ポート62から一次側油圧シリンダ
26へ出力する作動油圧は、第2出力ポート64から二次側
油圧シリンダ28へ出力する作動油圧に比較して高くな
る。このため、ベルト式無段変速機14における一次側油
圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28の推力の平衡
が崩れるので、一次側油圧シリンダ26内へ作動油が流入
する一方、二次側油圧シリンダ28内の作動油が流出し、
ベルト式無段変速機14の速度比eが大きくなる。このよ
うに、上記変速制御弁44は、油圧シリンダ26および28の
一方の高圧の作動油を供給し他方へ低圧の作動油を供給
する切り換え弁機能と、連続的に作動油の流量を調節す
る流量制御弁機能とを併有しているのである。 車両のベルト式無段変速機14には、一次側回転軸16の
回転速度Ninを検出するための第1回転センサ90、およ
び二次側回転軸18の回転速度Noutを検出するための第2
回転センサ92が設けられており、それら第1回転センサ
90および第2回転センサ92からは回転速度Ninを表す回
転信号SR1および回転速度Noutを表す回転信号SR2がコン
トローラ94へ出力される。第1回転センサ90は回転速度
検出手段に相当する。また、エンジン10には、車両の要
求出力を表す量としてスロットル弁開度θthを検出する
ためのスロットルセンサ96と、エンジン回転速度Neを検
出するためのエンジン回転センサ98が設けられており、
それらスロットルセンサ96およびエンジン回転センサ98
からはスロットル弁開度θthを表すスロットル信号Sθ
おびエンジン回転速度Neを表す回転信号SEがコントロー
ラ94へ出力される。 上記コントローラ94は、CPU102,ROM104,RAM106などを
含む所謂マイクロコンピュータである。上記CPU102は、
RAM106の記憶機能を利用しつつ予めROM104に記憶された
プログラムにしたがって入力信号を処理し、第1ライン
油圧および第2ライン油圧を制御するために第1調圧弁
48および第2調圧弁58へ第1駆動信号VD1および第2駆
動信号VD2をそれぞれ供給すると同時に、速度比eを制
御するために第1電磁ソレノイド74および第2電磁ソレ
ノイド76を駆動するための速度比信号RA1およびRA2をそ
れらに供給する。 以下、本実施例の作動を第2図および第3図のフロー
チャートに従って説明する。 先ず、ステップS1が実行されることにより、一次側回
転軸16の回転速度Nin,二次側回転軸18の回転速度
Nout,スロットル弁開度θth,およびエンジン回転速度
Neが回転信号SR1およびSR2,スロットル信号Sθ,回転
信号SEに基づいてRAM106に読み込まれる。次いで、ステ
ップS2では予めROM104に記憶された次式(1)に従って
速度比eが上記回転速度NinおよびNoutから算出され
る。 e=Nout/Nin ・・・(1) また、ステップS3では、ROM104に記憶された関係から
スロットル弁開度θthなどに基づいて目標回転速度Nin *
を決定し、且つ上記(1)式からその目標回転速度Nin *
と実際の回転速度Noutから目標速度比e*を算出する。上
記目標回転速度Nin *を決定するための関係は、例えば第
4図に示すものであって、第5図に示す最小燃費率曲線
上でエンジン10が専ら作動するように予め求められたも
のである。続くステップS4では、予めROM104に記憶され
た次式(2)にしたがって速度比制御値V0が算出され
る。後述のステップS15においては、この速度比制御値V
0が正である場合にはスプール弁子68が左方向へ移動さ
せられて二次側回転軸18の回転速度Noutが増加するよう
に前記速度比信号RA2が出力され、負である場合にはス
プール弁子68が右方向へ移動させられて一次側回転軸16
の回転速度Ninが増加するように前記速度比信号RA1が出
力される。また、速度比制御値V0の大きさは速度比信号
RA1または速度比信号RA2の大きさ、すなわちスプール弁
子68の移動量に対応する。したがつて、次式(2)から
明らかなように、上記速度比制御値V0は実際の速度比e
と目標速度比e*とを一致させるように決定されるのであ
る。なお、(2)式のKは制御定数である。 V0=K(e*−e)/e ・・・(2) そして、ステップS5では、予めROM104に記憶された良
く知られた関係からスロットル弁開度θthおよびエンジ
ン回転速度Neに基づいてエンジン10の実際の出力トルク
Teが決定されるとともに、ステップS6ではエンジン10の
実際の出力トルクTeが正であるか否か、すなわちエンジ
ン10から動力が出力されている正トルク状態かあるいは
エンジンブレーキ状態であるかが判断されるのである。
このような判断が必要な理由は、正トルク状態とエンジ
ンブレーキ状態とで動力伝達方向が異なるため油圧シリ
ンダ26,28の速度比eに対する油圧変化特性が変化する
からである。例えば、第6図および第7図は正トルク状
態およびエンジンブレーキ状態における一次側油圧シリ
ンダ26内の油圧Pinおよび二次側油圧シリンダ28内の油
圧Poutの油圧変化特性をそれぞれ示しており、油圧Pin
と油圧Poutとの大小関係が反対となり、何れも駆動側の
油圧が従動側の油圧よりも大きくなっている。この現象
は本来は一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリン
ダ28の推力相互間にて論じられるものであるが、本実施
例では一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ
28の受圧面積が同等であるので、油圧の大小関係にその
まま現れているのである。 ステップS6において出力トルクTeが正であると判断さ
れた場合には、ステップS7が実行されることにより、伝
動ベルト24に対する挟圧力を必要かつ充分に発生させる
ための二次側油圧シリンダ28内の油圧(目標油圧)
Pout′が得られるように、第2調圧弁58にて調圧すべき
第2ライン油圧Pl2が求められる。すなわち、先ず、予
めROM104に記憶された次式(3)の関係からエンジン10
の実際の出力トルクTe,実際の速度比eに基づいて最適
な二次側油圧シリンダ28の推力(算出値)Wout′を算出
する。また、次式(4)から、上記推力Wout′,二次側
油圧シリンダ28の受圧面積Aout,二次側回転軸18の回転
速度Noutに基づいて油圧(算出値)Pout′を算出すると
ともに、予めROM104に記憶された次式(5)の関係から
実際の速度比e,目標速度比e*,エンジン10の実際の出力
トルクTeに基づいて補正油圧ΔP2を算出する。そして、
次式(6)から上記油圧Pout′および補正油圧ΔP2に基
づいて第2ライン油圧Pl2を算出するのである。 Wout′=f(Te,e) ・・・(3) ΔP2=f(e,e*,Te) ・・・(5) Pl2=Pout′−ΔP2 ・・・(6) ここで、上記(3)式は伝動ベルト24に対する挟圧力
を、その伝動ベルト24との間で滑りを生じることのない
必要かつ充分な値とするために予め求められたものであ
り、推力Wout′は出力トルクTeおよび速度比eと関連し
て変化させられる。また、(4)式の関係において、第
2項は回転速度Noutとともに増大する遠心油圧を第1項
から差し引いて油圧Pout′を補正するためのものであ
る。第2項のC2は遠心力補正係数であり、二次側油圧シ
リンダ28の諸元および作動油の比重から予め決定され
る。 また、上記(5)式は補正油圧ΔP2を算出するために
予め求められたものである。第8図の(a)および
(b)は変速制御弁44において一次側油圧シリンダ26内
油圧Pinおよび二次側油圧シリンダ28内油圧Poutの速度
比制御値V0(スプール弁子68の位置)に対する変化特性
を、異なるライン油圧状態でそれぞれ示すものである
が、ΔV0で推力が平衡するとすると、このときの二次側
油圧シリンダ28内油圧Poutは第2ライン油圧Pl2に対し
てΔP2だけ大きな値となる。したがって、(4)式にて
算出した油圧Pout′から(5)式にて算出した補正油圧
ΔP2を差し引くことにより制御すべき第2ライン油圧Pl
2が求められる。この補正油圧ΔP2は変速制御弁44の出
力油圧変化特性,速度比制御値V0,ライン油圧差(Pl1
−Pl2)で決定されるが、速度比制御値V0は(e*−e)
に基づいて決定され且つライン油圧差(Pl1−Pl2)は出
力トルクTeおよび速度比eに基づいて決定されるから、
結局補正油圧ΔP2は速度比e,目標速度比e*,出力トルク
Teの関数となり、前式(5)が予め求められるのであ
る。なお、変速制御弁44の油圧変化特性によっては補正
油圧ΔP2が全域に亘って小さい値となる場合があるが、
このようなときは補正油圧ΔP2を予め定めた一定の値と
してもよい。 続くステップS8においては、目標とする速度比を実現
できる推力を発生させるための一次側油圧シリンダ26内
の油圧(目標油圧)Pin′が得られるように、第1調圧
弁48にて調圧すべき第1ライン油圧Pl1が求められる。
すなわち、先ず、予めROM104に記憶された次式(7)に
示す関係から目標速度比e*およびエンジン10の実際の出
力トルクTeに基づいて正駆動時の推力比γ+(二次側油
圧シリンダ28の推力Wout/一次側油圧シリンダ26の推力
Win)が算出されるとともに、次式(8)から上記推力
比γ+および二次側油圧シリンダ28の推力Wout′から一
次側油圧シリンダ26の推力Win′が求められる。そし
て、次式(9)から一次側油圧シリンダ26の推力
Win′,一次側油圧シリンダ26の受圧面積Ain,一次側回
転軸16の回転速度Ninに基づいて油圧(算出値)Pin′を
算出するとともに、次式(10)から上記油圧Pin′およ
び余裕油圧ΔP1に基づいて第1ライン油圧Pl1を算出す
るのである。 γ+=f(e*,Te) ・・・(7) Pl1=Pin′+ΔP1 ・・・(10) 上記(7)式は広範な運転条件範囲全域に亘って推力
比γ+を決定できるように予め求めた関係を示すもので
あって、この関係から目標速度比e*および実際のトルク
Teと関連して決定された推力比γ+が得られるように、
第1ライン油圧Pl1を求めるのである。また、上記
(9)式の関係において、第2項は回転速度Ninととも
に増加する遠心油圧を第1項から差し引いて補正するも
のであり、第2項のC1は一次側油圧シリンダ26の諸元お
よび作動油の比重から予め決定される。さらに、上記
(10)式は、(9)式により求められた油圧Pin′に余
裕油圧ΔP1を加えることにより第1ライン油圧Pl1が決
定される。 ここで、上記余裕油圧ΔP1は速度比eと目標速度比e*
との定常偏差|e*−e|/eを小さくする上で必要なもので
ある。すなわち、本実施例の出力油圧特性は前記第8図
に示されているが、今、両油圧シリンダ26,28内の油圧P
in,Poutが●印で示されている油圧においてある速度比
eが実現されているとすると、速度比制御値V0は前記
(2)式にて表されるところから、速度比eと目標速度
比e*との間にはΔV0に対応する大きさの定常偏差|e*−
e|/eが生じる。この定常偏差|e*−e|/eは、第1ライン
油圧Pl1を大きくすれば第8図(b)に示されているよ
うに油圧特性の傾斜が急になるため小さくなり、第1ラ
イン油圧Pl1を小さくすれば第8図(a)に示されてい
るように油圧特性の傾斜が緩やかになるため大きくな
る。しかし、第1ライン油圧Pl1を大きくするとそれだ
けポンプ42の駆動損失も増大するため、余裕油圧ΔP
1は、互いに相反する駆動損失と定常偏差との均衡点に
おいて決定されることとなる。 一方、前記ステップS6において車両がエンジンブレー
キ状態であると判断された場合には、ベルト式無段変速
機14における動力伝達方向が逆となるので、前記ステッ
プS7およびS8と略同様なステップS9およびS10が実行さ
れることにより、一次側油圧シリンダ26内に必要な油圧
Pin′から第2ライン油圧Pl2を算出し、二次側油圧シリ
ンダ28内に必要な油圧Pout′から第1ライン油圧Pl1を
算出する。すなわち、ステップS9においては、予め記憶
された次式(11)に示す関係から出力トルクTe,速度比
eに基づいて最適な一次側油圧シリンダ26の推力Win′
が算出されるとともに、次式(12)から一次側油圧シリ
ンダ26に供給すべき油圧Pin′が算出される一方、前記
(5)式から補正油圧ΔP2が求められ、そして次式(1
3)から上記油圧Pin′および補正油圧ΔP2に基づいて第
2ライン油圧Pl2が算出されるのである。また、ステッ
プS10においては、次式(14)から目標速度比e*,出力
トルクTeに基づいて推力比γ-を算出するとともに、次
式(15)から上記推力比γ-を得るための二次側油圧シ
リンダ28の推力Wout′を推力比γ-および一次側油圧シ
リンダ26の推力Win′に基づいて求め、更に、(16)式
から二次側油圧シリンダ28内に必要な油圧Pout′を求め
るとともに、次式(17)から上記油圧Pout′および余裕
油圧ΔP1に基づいて第1ライン油圧Pl1を算出する。 Win′=f(Te,e) ・・・(11) Pl2=Pin′−ΔP2 ・・・(13) γ-=f(e*,Te) ・・・(14) Wout′=γ-・Win′ ・・・(15) Pl1=Pout′+ΔP1 ・・・(17) このようにして、第2ライン油圧Pl2および第1ライ
ン油圧Pl1が求められると、次のステップS11が実行され
て目標速度比e*と実際の速度比eとの差(e*−e)が正
であるか否か、換言すれば速度比eの変化方向が増加方
向であるか減少方向であるが判断される。そして、差
(e*−e)が負である場合、すなわち実際の速度比eよ
りも目標速度比e*の方が小さく、速度比eが減少方向へ
変化する減速変速時には、ステップS13において次式(1
8)および(19)に従って上記第1ライン油圧Pl1および
第2ライン油圧Pl2が補正される。なお、K1,K2はそれ
ぞれ比例定数である。 Pl1=Pl1+K1|e*−e|/e ・・・(18) 上記(18)式は、変速比偏差|e*−e|/eの増加ととも
に第1ライン油圧Pl1を上昇させる一方、(19)式は、
一次側回転軸16の回転速度Ninの変化率dNin/dtに基づ
いて第2ライン油圧Pl2を低下させるもので、これによ
り、両ライン油圧Pl1とPl2との差が拡大されてベルト式
無段変速機14の変速比変化速度が高くなる。すなわち、
例えば正トルク状態では、第1ライン油圧Pl1は一次側
油圧シリンダ26内の油圧Pin(高圧側の油圧シリンダ内
油圧:エンジンブレーキ状態ではPout)に対して余裕油
圧ΔP1分だけ高くされているが、動力損失の面からあま
り高くできず速度比変化速度の点で充分でない場合があ
る。このため、速度比eが変化する過渡状態において、
ライン油圧Pl1とPl2との差を拡大することにより、速度
比変化速度を高めて好適な変速応答性が得られるように
してあるのである。なお、速度比eの変化が小さい準定
常状態においては、上記(18)式の速度比偏差|e*−e|
/e,(19)式の変化率dNin/dtは共に小さく、かかるス
テップS13は無段変速機14の速度比eが減少方向へ変化
する変速時に両ライン油圧Pl1,Pl2の圧力差を一時的に
拡大する作用を為すものである。 ここで、このように速度比eの変化方向が減少方向と
なる場合は、スロットル弁開度θthが大きくなった場合
で、回転速度Ninはエンジン10の出力増大に伴って上昇
させられるが、この時、一次側回転軸16に伝達されるト
ルクは前記ステップS5において求められた出力トルクTe
よりも小さい。これは、エンジン10の回転部分,フライ
ホイール,クラッチ12,一次側可変プーリ20等の一次側
回転軸系の回転慣性の影響により、エンジン10の燃焼に
よる正味トルクは、その一次側回転軸系の回転を引き上
げるためにある程度費やされるためであり、残りのトル
クが一次側回転軸16から伝動ベルト24を介して二次側回
転軸18に伝達されることとなる。 一方、上記一次側回転軸系の慣性により費やされるト
ルクの大きさΔT(Kg・m)は、一次側回転軸系の慣性
モーメントをI(Kg・m・sec2),回転速度Ninの変化
率をdNin/dt(r.p.m./sec)とすると、次式(20)で表
される。 上記(20)式から明らかなように、一次側回転軸系の
慣性によるトルクの低下量、換言すれば伝動ベルト24に
よる伝達トルクの低下量は、回転速度Ninの変化率dNin
/dtに比例しているため、前記(19)式のように第2ラ
イン油圧Pl2から変化率dNin/dtに比例した量を減算す
ることにより、伝動ベルト24の滑りが生じない範囲にお
いて第2ライン油圧Pl2を合理的に低下させることがで
きるのである。前記比例定数K2は、伝動ベルト24の滑り
が生じることのない必要最低限の第2ライン油圧Pl2が
得られるように予め設定されている。 このような第2ライン油圧Pl2の低下方法において
は、速度比eの減少に伴って回転速度Ninが増加する
と、第2ライン油圧Pl2はその回転速度Ninの変化率dN
in/dtに応じて低下させられ、その影響で速度比eの変
化速度が速められる。このため、回転速度Ninの変化率
dNin/dtは更に大きくなり、それに伴って第2ライン油
圧Pl2が一層低下させられると、速度比eの変化速度は
更に速められるというように、速度比eの変化速度は発
散的に速められる。しかも、この時、一次側回転軸系の
慣性の影響で実際の伝達トルクは低下しているため、伝
動ベルト24の滑りが生じることもないのである。そし
て、速度比eが目標速度比e*に近ずくと、変速制御弁44
のスプール弁子68の移動量が小さくなるため、速度比e
の変化速度は遅くなり、この結果第2ライン油圧Pl2の
低下量も小さくなって、やがて本来の値に戻るのであ
る。 第9図の実線は、このようにして変化する第2ライン
油圧Pl2を速度比eの変化と対比させて示したグラフで
あり、一点鎖線は従来の速度比偏差|e*−e|/eに基づい
て第2ライン油圧Pl2を低下させた場合のグラフであ
る。かかる第9図から明らかなように、本実施例による
第2ライン油圧Pl2の低下方法においては、実際の伝達
トルク変化にその理論的な裏付けを置いているため、従
来の速度比偏差|e*−e|/eに基づいて第2ライン油圧Pl
2を低下させる場合に比較して、第2ライン油圧Pl2を伝
動ベルト24の滑りが生じることのない範囲において一層
低い油圧値まで低下させることができるのである。この
結果、従来と同程度の変速応答性を達成する場合には、
第1ライン油圧Pl1の増加量を小さくすることが可能と
なり、前記(18)式の比例定数K1は第2ライン油圧Pl2
の低下量の増加に対応させて小さい値に設定されてい
る。 このようにして第1ライン油圧Pl1および第2ライン
油圧Pl2が決定されると、次にステップS14が実行され、
次式(21)および(22)に従って第1ライン油圧制御値
V1および第2ライン油圧制御値V2が決定される。これ等
の式(21),(22)は、それぞれ第1ライン油圧Pl1,
第2ライン油圧Pl2が得られるように第1調圧弁48,第2
調圧弁58の特性を考慮して記憶されたデータマップなど
を用いて、第1ライン油圧制御値V1,第2ライン油圧制
御値V2を求めるものである。 V1=f(Pl1) ・・・(21) V2=f(Pl2) ・・・(22) なお、前記ステップS11の判断がYESの場合、すなわち
実際の速度比eよりも目標速度比e*の方が大きく、速度
比eの変化方向が増加方向である場合には、ステップS7
〜S10において求められた第1ライン油圧Pl1,第2ライ
ン油圧Pl2を補正することなく、その第1ライン油圧P
l1,第2ライン油圧Pl2を用いて直ちにステップS14が実
行される。これは、速度比eが増加方向へ変化する増速
変速の場合には、前述した減速変速の場合に比較して高
速速度を高くする必要がなく、一次側回転軸系の慣性モ
ーメントによる影響も小さいため、第1ライン油圧P
l1,第2ライン油圧Pl2を必ずしも補正する必要がない
からである。 そして、一連のステップの内の最後のステップS15で
は、それ以前のステップにおいて決定された速度比制御
値V0,第1ライン油圧制御値V1および第2ライン油圧制
御値V2が出力される。これにより、前記第6図,第7
図,第8図に示すように、速度比e,第1ライン油圧P
l1,第2ライン油圧Pl2がそれぞれ制御され、以後、ス
テップS1以下が繰返し実行される。 このように、本実施例においては、速度比eが減少方
向へ変化する減速変速時には、一次側回転軸16の回転速
度Ninの変化率dNin/dtに応じて第2ライン油圧Pl2を低
下させるようになっているため、従来のように速度比偏
差|e*−e|/eに基づいて第2ライン油圧Pl2を低下させ
る場合に比較して、伝動ベルト24の滑りが生じない範囲
において第2ライン油圧Pl2を合理的に低下させること
ができる。これにより、伝動ベルト24の耐久性が向上さ
せられるのであり、また、本実施例では第2ライン油圧
Pl2の低下量が増加した分だけ第1ライン油圧Pl1の増加
量が小さくされているため、従来と同程度の変速応答性
を維持しつつポンプ42の駆動損失が低減されて車両の燃
費が向上させられるのである。 本実施例では、コントローラ94による一連の信号処理
のうち、ステップS4およびS15は速度比制御手段に相当
し、ステップS7およびS9は第2ライン油圧決定手段に相
当し、ステップS11およびS13は補正手段に相当し、ステ
ップS14およびS15は第2ライン油圧制御手段に相当す
る。 以上、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
したが、本発明はその他の態様で実施することもでき
る。 たとえば、前記実施例ではステップS13において第2
ライン油圧Pl2を変化率dNin/dtに応じて低下させると
ともに、第1ライン油圧Pl1を速度比偏差|e*−e|/eに
基づいて上昇させるようになっているが、第1ライン油
圧Pl1を上昇させることなく第2ライン油圧Pl2を低下さ
せるだけでも差支えない。 また、前記実施例では第2ライン油圧Pl2の低下量が
増加した分だけ第1ライン油圧Pl1の増加量が小さくさ
れているが、第1ライン油圧Pl1の増加量を従来通りと
することも可能である。その場合には、両ライン油圧Pl
1,Pl2の油圧差が大きくなるため、更に優れた変速応答
性が得られることとなる。 また、前記実施例では目標速度比e*と速度比eとの差
(e*−e)が負の場合には常にステップS13が実行され
るようになっているが、速度比eの変化の程度が大きい
場合にのみステップS13を実行するようにしても差支え
ない。 また、前記実施例では速度比eの変化方向が減少方向
の場合にのみ両ライン油圧Pl1,Pl2を補正するようにな
っているが、速度比eが増加方向へ変化する増速変速時
にも、速度比偏差|e*−e|/eや回転速度Ninの変化率dN
in/dt等に基づいて第1ライン油圧Pl1,第2ライン油圧
Pl2を補正するようにすることも可能である。 その他一々例示はしないが、本発明はその精神を逸脱
しない範囲で種々変更が加えられ得るものである。すな
わち、本発明は、少なくとも速度比eが減少方向へ変化
する減速変速時に、第2ライン油圧Pl2を回転速度Ninの
変化率dNin/dtに応じて低下させるようになっておれば
良いのである。
係り、特に無段変速機の速度比が減少方向へ変化する変
速時に低圧側の第2ライン油圧を一時的に低下させて速
度比の変化速度を高めるようにした油圧制御装置に関す
るものである。 従来技術 一次側回転軸および二次側回転軸にそれぞれ設けられ
た一対の一次側可変プーリおよび二次側可変プーリと、
それら一対の可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達す
る伝動ベルトと、前記一対の可変プーリの有効径をそれ
ぞれ変更する一対の一次側油圧シリンダおよび二次側油
圧シリンダとを備えた車両用ベルト式無段変速機が知ら
れている。そして、かかる車両用ベルト式無段変速機の
油圧制御装置として、(a)油圧源から作動油が供給さ
れる第1ライン油路内の油圧を第1ライン油圧に調圧す
る第1調圧弁と、(b)前記第1ライン油路内の作動油
を前記一次側油圧シリンダおよび二次側油圧シリンダの
一方に供給すると同時に他方内の作動油を第2ライン油
路へ流出させることにより、前記一次側可変プーリおよ
び二次側可変プーリの有効径を変化させて、前記二次側
回転軸の回転速度Noutと前記一次側回転軸の回転速度N
inとの商Nout/Ninで定まる前記無段変速機の速度比e
を調節する変速制御弁と、(c)実際の速度比eが車両
の運転状態に応じて求められた目標多速度比と一致する
ように前記変速制御弁を制御する速度比制御手段と、
(d)前記第2ライン油路内の作動油の圧力を調圧する
第2調圧弁と、(e)エンジンの出力状態に基づいて前
記伝動ベルトの滑りが生じない範囲で第2ライン油圧を
決定する第2ライン油圧決定手段と、(f)前記第2ラ
イン油路内の作動油の圧力が前記第2ライン油圧となる
ように前記第2調圧弁を制御する第2ライン油圧制御手
段とを有するものがある。本願出願人が先に出願した特
願昭61-37571号に記載されている装置はその一例であ
る。 ここで、上記第1ライン油圧は目標とする速度比を実
現する駆動側可変プーリ推力を発生させ且つ動力損失が
生じない必要かつ充分な値となるように調圧される。ま
た、速度比eが減少方向へ変化する変速時、すなわちア
クセルペダルが踏み込まれて車両の要求出力が増加した
時には、一時的に第1ライン油圧を高めるとともに第2
ライン油圧を低下させることにより、両ライン油圧の差
を拡大して速度比eの変化速度を高め、優れた変速応答
性が得られるようになっている。 発明が解決しようとする問題点 ところで、上記変速時における両ライン油圧は、従
来、速度比eと車両の運転状態に応じて求められた目標
速度比e*との偏差|e*−e|/eに基づいて決定されるよう
になっていた。また、このような変速時における伝動ベ
ルトの滑りを防止するため、作動油が流出する側の油圧
シリンダ推力低下量が作動油が流入する側の油圧シリン
ダ推力増加量よりも小さくなるように、第1ライン油圧
の増加量が第2ライン油圧の低下量よりも大きくなるよ
うに設定されていた。 しかしながら、このように第1ライン油圧の増加量を
大きくすることは、ポンプの駆動損失の増加を招くため
好ましくない。また、速度比の偏差に基づいて決定され
た第2ライン油圧は、必ずしも伝動ベルトの滑りが生じ
ない必要最低限の油圧になっているとは限らず、伝動ベ
ルトの耐久性が損なわれる恐れがあった。 すなわち、変速時に両ライン油圧の差を拡大すること
によって同じ程度の変速応答性を達成する場合には、第
2ライン油圧を伝動ベルトの滑りが生じない必要最低限
の油圧まで低下させるとともに、第1ライン油圧の増加
量をできるだけ小さくすることが、ポンプの駆動損失を
低減して車両の燃費向上を図り、且つ伝動ベルトの耐久
性向上を図る上で好都合なのである。 問題点を解決するための手段 本発明は以上の事情を背景として為されたものであ
り、その要旨とするところは、前記(a)第1調圧弁
と、(b)変速制御弁と、(c)速度比制御手段と、
(d)第2調圧弁と、(e)第2ライン油圧決定手段
と、(f)第2ライン油圧制御手段とを有する車両用ベ
ルト式無段変速機の油圧制御装置であって、(g)前記
一次側回転軸の回転速度Ninを検出する回転速度検出手
段と、(h)前記速度比eが減少方向へ変化する変速時
に、前記第2ライン油圧決定手段によって決定される前
記第2ライン油圧を、前記一次側回転軸の回転速度Nin
の変化率に対応する量だけ低下させる補正手段とを設け
たことにある。 作用および発明の効果 すなわち、速度比eの変化方向が減少方向となる場合
は、スロットル弁開度やアクセルペダル操作量等によっ
て求められる車両の要求出力が大きくなった場合で、一
次側回転軸の回転速度はNinはエンジンの出力増大に伴
って上昇させられるが、この時、一次側回転軸に伝達さ
れるトルクはスロットル弁開度やエンジン回転速度等に
よって求められる定常状態のエンジン出力トルクよりも
小さい。これは、一次側回転軸系の慣性、具体的にはエ
ンジンの回転部分,フライホイール,クラッチ,一次側
可変プーリ等の回転慣性の影響により、エンジンの燃焼
による正味トルクは、その一次側回転軸系の回転を引き
上げるためにある程度費やされるからであり、残りのト
ルクが一次側回転軸から伝動ベルトを介して二次側回転
軸に伝達されることとなる。 ここで、上記一次側回転軸系の慣性により費やされる
トルクの大きさは、一次側回転軸の回転速度Ninの変化
率に比例する。したがって、この回転速度Ninを回転速
度検出手段によって検出するとともに、検出比eが減少
方向へ変化する変速時に、第2ライン油圧決定手段によ
って決定される第2ライン油圧を、補正手段により上記
回転速度Ninの変化率に対応する量だけ低下させるよう
に補正し、その補正された第2ライン油圧となるように
第2ライン油圧制御手段によって第2調圧弁を制御すれ
ば、従来のように速度比eの偏差に基づいて第2ライン
油圧を決定する場合に比例して、伝動ベルトの滑りが生
じない範囲において第2ライン油圧を合理的に低下させ
ることができる。これにより、伝動ベルトの耐久性が向
上させられるのであり、また、同じ程度の変速応答性を
達成する場合には、第2ライン油圧が低くされた分だけ
第1ライン油圧の増加量を小さくできるため、ポンプの
駆動損失が低減されて車両の燃費が向上させられる。な
お、第1ライン油圧の増加量を従来のままとすれば、両
ライン油圧の差が一層拡大されるため、更に優れた変速
応答性が得られることとなる。 実施例 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。 第1図において、車両に設けられたエンジン10の出力
はクラッチ12を介してベルト式無段変速機14の一次側回
転軸16へ伝達される。 ベルト式無段変速機14は、一次側回転軸16および二次
側回転軸18と、それら一次側回転軸16および二次側回転
軸18に取りつけられた有効径が可変な一次側可変プーリ
20および二次側可変プーリ22と、それら一次側可変プー
リ20および二次側可変プーリ22に巻き掛けられて動力を
伝達する伝動ベルト24と、一次側可変プーリ20および二
次側可変プーリ22の有効径を変更する一次側油圧シリン
ダ26および二次側油圧シリンダ28とを備えている。これ
ら一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28は
同等の受圧面積となるように形成されており、上記一次
側可変プーリ20および二次側可変プーリ22の外径が同等
とされてベルト式無段変速機14が小型となっている。そ
して、上記一次側可変プーリ20および二次側可変プーリ
22は、一次側回転軸16および二次側回転軸18にそれぞれ
固定された固定回転軸31および32と、上記一次側回転軸
16および二次側回転軸18にそれぞれ相対回転不能かつ軸
方向の移動可能に設けられて前記固定回転体31および32
との間にV溝を形成する可動回転体34および36とから成
る。 上記ベルト式無段変速機14の二次側回転軸18からの出
力は、図示しない副変速機、差動歯車装置などを経て車
両の駆動輪へ伝達されるようになっている。 このように構成された車両の動力伝達装置を作動させ
るための油圧制御回路は以下に説明するように構成され
る。すなわち、図示しない還流路を経てオイルタンク38
に還流した作動油はストレーナ40および吸入油路41を介
してオイルポンプ42に吸引され、変速制御弁44の入力ポ
ート46および第1調圧弁48と接続された第1ライン油路
50へ圧送される。このオイルポンプ42は、本実施例の油
圧源を構成し、図示しない駆動軸を介して前記エンジン
10により駆動される。第1調圧弁48は、後述の第1駆動
信号VD1にしたがって第1ライン油路50内の作動油の一
部を第2ライン油路52へ流出させることにより第1ライ
ン油路50内の油圧(第1ライン油圧)を制御する。第2
ライン油路52は前記変速制御弁44の第1排出ポート54お
よび第2排出ポート56と第2調圧弁58とにそれぞれ接続
されている。第2調圧弁58は、後述の第2駆動信号VD2
にしたがって第2ライン油路52内の作動油の一部をドレ
ン油路60へ流出させることにより、その第2ライン油路
52内の油圧(第2ライン油圧)を前記第1ライン油路よ
りも相対的に低い値に制御する。上記第1調圧弁48およ
び第2調圧弁58は、所謂電磁比例リリーフ弁から構成さ
れている。 前記変速制御弁44は、所謂比例制御用電磁弁であっ
て、前記入力ポート46,第1排出ポート54および第2排
出ポート56,前記一次側油圧シリンダ26および二次側油
圧シリンダ28に接続油路29および30を介してそれぞれ接
続された一対の第1出力ポート62および第2出力ポート
64にぞれぞれ連通するようにバルブボデー65に形成され
たシリンダボア66と、そのリシンダボア66内に摺動可能
に嵌合された1本のスプール弁子68と、このスプール弁
子68の両端部から中立位置に向かって付勢することによ
りそのスプール弁子68を中立位置に保持する一対の第1
スプリング70および第2スプリング72と、上記スプール
弁子68の両端部にそれぞれ設けられてスプール弁子68を
第2スプリング72または第1スプリング70の付勢力に抗
して移動させる第1電磁ソレノイド74および第2電磁ソ
レノイド76とを備えている。上記スプール弁子68には4
つのランド78,80,82,84が一端から順次形成されている
とともに、中間部に位置する一対のランド80および82は
スプール弁子68が中立位置にあるときスプール弁子68の
軸方向において前記第1出力ポート62および第2出力ポ
ート64と同じ位置に形成されている。また、シリンダボ
ア66の内周面であって、スプール弁子68が中立位置にあ
るとき一対のランド80および82と対向する位置、すなわ
ち上記第1出力ポート62および第2出力ポート64がシリ
ンダボア66の内周面に開口する位置には、そのランド80
および82よりも僅かに大きい幅寸法の一対の第1環状溝
86および第2環状溝88が形成されている。この第1環状
溝86および第2環状溝88はランド80および82との間で作
動油の流通を制御するために連続的に流通断面積が変化
する絞りを形成している。 これにより、スプール弁子68が中立位置にあるときに
は、前記第1出力ポート62および第2出力ポート64が前
記入力ポート46および排出ポート54,56に僅かな流通面
積で均等に連通させられ、漏れを補充する程度の量の作
動油が一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ
28に供給され、また、僅かな量の作動油が排出ポート5
4,56から流出させられる。 しかし、スプール弁子68が中立位置からその一軸方
向、たとえば第2電磁ソレノイド76に接近する方向(す
なわち図の右方向)へ移動させられるに伴って、第1出
力ポート62と第1排出ポート54との流通断面積が連続的
に増加させられる一方、第2出力ポート64と入力ポート
46との流通断面積が連続的に増加させられるので、第1
出力ポート62から一次側油圧シリンダ26へ出力する作動
油圧は、第2出力ポート64から二次側油圧シリンダ28へ
出力する作動油圧に比較して低くなる。このため、ベル
ト式無段変速機14における一次側油圧シリンダ26および
二次側油圧シリンダ28の推力の平衡が崩れるので、二次
側油圧シリンダ28内へ作動油が流入する一方、一次側油
圧シリンダ26内の作動油が流出し、ベルト式無段変速機
14の速度比e(二次側回転軸18の回転速度Nout/一次側
回転軸16の回転速度Nin)が小さくなる。 反対に、スプール弁子68が中立位置から第1電磁ソレ
ノイド74に接近する方向、すなわち図の左方向へ移動さ
せられるに伴って、第1出力ポート62と入力ポート46と
の流通断面積が連続的に増加させられる一方、第2出力
ポート64と第2排出ポート56との流通断面積が増加させ
られるので、第1出力ポート62から一次側油圧シリンダ
26へ出力する作動油圧は、第2出力ポート64から二次側
油圧シリンダ28へ出力する作動油圧に比較して高くな
る。このため、ベルト式無段変速機14における一次側油
圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ28の推力の平衡
が崩れるので、一次側油圧シリンダ26内へ作動油が流入
する一方、二次側油圧シリンダ28内の作動油が流出し、
ベルト式無段変速機14の速度比eが大きくなる。このよ
うに、上記変速制御弁44は、油圧シリンダ26および28の
一方の高圧の作動油を供給し他方へ低圧の作動油を供給
する切り換え弁機能と、連続的に作動油の流量を調節す
る流量制御弁機能とを併有しているのである。 車両のベルト式無段変速機14には、一次側回転軸16の
回転速度Ninを検出するための第1回転センサ90、およ
び二次側回転軸18の回転速度Noutを検出するための第2
回転センサ92が設けられており、それら第1回転センサ
90および第2回転センサ92からは回転速度Ninを表す回
転信号SR1および回転速度Noutを表す回転信号SR2がコン
トローラ94へ出力される。第1回転センサ90は回転速度
検出手段に相当する。また、エンジン10には、車両の要
求出力を表す量としてスロットル弁開度θthを検出する
ためのスロットルセンサ96と、エンジン回転速度Neを検
出するためのエンジン回転センサ98が設けられており、
それらスロットルセンサ96およびエンジン回転センサ98
からはスロットル弁開度θthを表すスロットル信号Sθ
おびエンジン回転速度Neを表す回転信号SEがコントロー
ラ94へ出力される。 上記コントローラ94は、CPU102,ROM104,RAM106などを
含む所謂マイクロコンピュータである。上記CPU102は、
RAM106の記憶機能を利用しつつ予めROM104に記憶された
プログラムにしたがって入力信号を処理し、第1ライン
油圧および第2ライン油圧を制御するために第1調圧弁
48および第2調圧弁58へ第1駆動信号VD1および第2駆
動信号VD2をそれぞれ供給すると同時に、速度比eを制
御するために第1電磁ソレノイド74および第2電磁ソレ
ノイド76を駆動するための速度比信号RA1およびRA2をそ
れらに供給する。 以下、本実施例の作動を第2図および第3図のフロー
チャートに従って説明する。 先ず、ステップS1が実行されることにより、一次側回
転軸16の回転速度Nin,二次側回転軸18の回転速度
Nout,スロットル弁開度θth,およびエンジン回転速度
Neが回転信号SR1およびSR2,スロットル信号Sθ,回転
信号SEに基づいてRAM106に読み込まれる。次いで、ステ
ップS2では予めROM104に記憶された次式(1)に従って
速度比eが上記回転速度NinおよびNoutから算出され
る。 e=Nout/Nin ・・・(1) また、ステップS3では、ROM104に記憶された関係から
スロットル弁開度θthなどに基づいて目標回転速度Nin *
を決定し、且つ上記(1)式からその目標回転速度Nin *
と実際の回転速度Noutから目標速度比e*を算出する。上
記目標回転速度Nin *を決定するための関係は、例えば第
4図に示すものであって、第5図に示す最小燃費率曲線
上でエンジン10が専ら作動するように予め求められたも
のである。続くステップS4では、予めROM104に記憶され
た次式(2)にしたがって速度比制御値V0が算出され
る。後述のステップS15においては、この速度比制御値V
0が正である場合にはスプール弁子68が左方向へ移動さ
せられて二次側回転軸18の回転速度Noutが増加するよう
に前記速度比信号RA2が出力され、負である場合にはス
プール弁子68が右方向へ移動させられて一次側回転軸16
の回転速度Ninが増加するように前記速度比信号RA1が出
力される。また、速度比制御値V0の大きさは速度比信号
RA1または速度比信号RA2の大きさ、すなわちスプール弁
子68の移動量に対応する。したがつて、次式(2)から
明らかなように、上記速度比制御値V0は実際の速度比e
と目標速度比e*とを一致させるように決定されるのであ
る。なお、(2)式のKは制御定数である。 V0=K(e*−e)/e ・・・(2) そして、ステップS5では、予めROM104に記憶された良
く知られた関係からスロットル弁開度θthおよびエンジ
ン回転速度Neに基づいてエンジン10の実際の出力トルク
Teが決定されるとともに、ステップS6ではエンジン10の
実際の出力トルクTeが正であるか否か、すなわちエンジ
ン10から動力が出力されている正トルク状態かあるいは
エンジンブレーキ状態であるかが判断されるのである。
このような判断が必要な理由は、正トルク状態とエンジ
ンブレーキ状態とで動力伝達方向が異なるため油圧シリ
ンダ26,28の速度比eに対する油圧変化特性が変化する
からである。例えば、第6図および第7図は正トルク状
態およびエンジンブレーキ状態における一次側油圧シリ
ンダ26内の油圧Pinおよび二次側油圧シリンダ28内の油
圧Poutの油圧変化特性をそれぞれ示しており、油圧Pin
と油圧Poutとの大小関係が反対となり、何れも駆動側の
油圧が従動側の油圧よりも大きくなっている。この現象
は本来は一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリン
ダ28の推力相互間にて論じられるものであるが、本実施
例では一次側油圧シリンダ26および二次側油圧シリンダ
28の受圧面積が同等であるので、油圧の大小関係にその
まま現れているのである。 ステップS6において出力トルクTeが正であると判断さ
れた場合には、ステップS7が実行されることにより、伝
動ベルト24に対する挟圧力を必要かつ充分に発生させる
ための二次側油圧シリンダ28内の油圧(目標油圧)
Pout′が得られるように、第2調圧弁58にて調圧すべき
第2ライン油圧Pl2が求められる。すなわち、先ず、予
めROM104に記憶された次式(3)の関係からエンジン10
の実際の出力トルクTe,実際の速度比eに基づいて最適
な二次側油圧シリンダ28の推力(算出値)Wout′を算出
する。また、次式(4)から、上記推力Wout′,二次側
油圧シリンダ28の受圧面積Aout,二次側回転軸18の回転
速度Noutに基づいて油圧(算出値)Pout′を算出すると
ともに、予めROM104に記憶された次式(5)の関係から
実際の速度比e,目標速度比e*,エンジン10の実際の出力
トルクTeに基づいて補正油圧ΔP2を算出する。そして、
次式(6)から上記油圧Pout′および補正油圧ΔP2に基
づいて第2ライン油圧Pl2を算出するのである。 Wout′=f(Te,e) ・・・(3) ΔP2=f(e,e*,Te) ・・・(5) Pl2=Pout′−ΔP2 ・・・(6) ここで、上記(3)式は伝動ベルト24に対する挟圧力
を、その伝動ベルト24との間で滑りを生じることのない
必要かつ充分な値とするために予め求められたものであ
り、推力Wout′は出力トルクTeおよび速度比eと関連し
て変化させられる。また、(4)式の関係において、第
2項は回転速度Noutとともに増大する遠心油圧を第1項
から差し引いて油圧Pout′を補正するためのものであ
る。第2項のC2は遠心力補正係数であり、二次側油圧シ
リンダ28の諸元および作動油の比重から予め決定され
る。 また、上記(5)式は補正油圧ΔP2を算出するために
予め求められたものである。第8図の(a)および
(b)は変速制御弁44において一次側油圧シリンダ26内
油圧Pinおよび二次側油圧シリンダ28内油圧Poutの速度
比制御値V0(スプール弁子68の位置)に対する変化特性
を、異なるライン油圧状態でそれぞれ示すものである
が、ΔV0で推力が平衡するとすると、このときの二次側
油圧シリンダ28内油圧Poutは第2ライン油圧Pl2に対し
てΔP2だけ大きな値となる。したがって、(4)式にて
算出した油圧Pout′から(5)式にて算出した補正油圧
ΔP2を差し引くことにより制御すべき第2ライン油圧Pl
2が求められる。この補正油圧ΔP2は変速制御弁44の出
力油圧変化特性,速度比制御値V0,ライン油圧差(Pl1
−Pl2)で決定されるが、速度比制御値V0は(e*−e)
に基づいて決定され且つライン油圧差(Pl1−Pl2)は出
力トルクTeおよび速度比eに基づいて決定されるから、
結局補正油圧ΔP2は速度比e,目標速度比e*,出力トルク
Teの関数となり、前式(5)が予め求められるのであ
る。なお、変速制御弁44の油圧変化特性によっては補正
油圧ΔP2が全域に亘って小さい値となる場合があるが、
このようなときは補正油圧ΔP2を予め定めた一定の値と
してもよい。 続くステップS8においては、目標とする速度比を実現
できる推力を発生させるための一次側油圧シリンダ26内
の油圧(目標油圧)Pin′が得られるように、第1調圧
弁48にて調圧すべき第1ライン油圧Pl1が求められる。
すなわち、先ず、予めROM104に記憶された次式(7)に
示す関係から目標速度比e*およびエンジン10の実際の出
力トルクTeに基づいて正駆動時の推力比γ+(二次側油
圧シリンダ28の推力Wout/一次側油圧シリンダ26の推力
Win)が算出されるとともに、次式(8)から上記推力
比γ+および二次側油圧シリンダ28の推力Wout′から一
次側油圧シリンダ26の推力Win′が求められる。そし
て、次式(9)から一次側油圧シリンダ26の推力
Win′,一次側油圧シリンダ26の受圧面積Ain,一次側回
転軸16の回転速度Ninに基づいて油圧(算出値)Pin′を
算出するとともに、次式(10)から上記油圧Pin′およ
び余裕油圧ΔP1に基づいて第1ライン油圧Pl1を算出す
るのである。 γ+=f(e*,Te) ・・・(7) Pl1=Pin′+ΔP1 ・・・(10) 上記(7)式は広範な運転条件範囲全域に亘って推力
比γ+を決定できるように予め求めた関係を示すもので
あって、この関係から目標速度比e*および実際のトルク
Teと関連して決定された推力比γ+が得られるように、
第1ライン油圧Pl1を求めるのである。また、上記
(9)式の関係において、第2項は回転速度Ninととも
に増加する遠心油圧を第1項から差し引いて補正するも
のであり、第2項のC1は一次側油圧シリンダ26の諸元お
よび作動油の比重から予め決定される。さらに、上記
(10)式は、(9)式により求められた油圧Pin′に余
裕油圧ΔP1を加えることにより第1ライン油圧Pl1が決
定される。 ここで、上記余裕油圧ΔP1は速度比eと目標速度比e*
との定常偏差|e*−e|/eを小さくする上で必要なもので
ある。すなわち、本実施例の出力油圧特性は前記第8図
に示されているが、今、両油圧シリンダ26,28内の油圧P
in,Poutが●印で示されている油圧においてある速度比
eが実現されているとすると、速度比制御値V0は前記
(2)式にて表されるところから、速度比eと目標速度
比e*との間にはΔV0に対応する大きさの定常偏差|e*−
e|/eが生じる。この定常偏差|e*−e|/eは、第1ライン
油圧Pl1を大きくすれば第8図(b)に示されているよ
うに油圧特性の傾斜が急になるため小さくなり、第1ラ
イン油圧Pl1を小さくすれば第8図(a)に示されてい
るように油圧特性の傾斜が緩やかになるため大きくな
る。しかし、第1ライン油圧Pl1を大きくするとそれだ
けポンプ42の駆動損失も増大するため、余裕油圧ΔP
1は、互いに相反する駆動損失と定常偏差との均衡点に
おいて決定されることとなる。 一方、前記ステップS6において車両がエンジンブレー
キ状態であると判断された場合には、ベルト式無段変速
機14における動力伝達方向が逆となるので、前記ステッ
プS7およびS8と略同様なステップS9およびS10が実行さ
れることにより、一次側油圧シリンダ26内に必要な油圧
Pin′から第2ライン油圧Pl2を算出し、二次側油圧シリ
ンダ28内に必要な油圧Pout′から第1ライン油圧Pl1を
算出する。すなわち、ステップS9においては、予め記憶
された次式(11)に示す関係から出力トルクTe,速度比
eに基づいて最適な一次側油圧シリンダ26の推力Win′
が算出されるとともに、次式(12)から一次側油圧シリ
ンダ26に供給すべき油圧Pin′が算出される一方、前記
(5)式から補正油圧ΔP2が求められ、そして次式(1
3)から上記油圧Pin′および補正油圧ΔP2に基づいて第
2ライン油圧Pl2が算出されるのである。また、ステッ
プS10においては、次式(14)から目標速度比e*,出力
トルクTeに基づいて推力比γ-を算出するとともに、次
式(15)から上記推力比γ-を得るための二次側油圧シ
リンダ28の推力Wout′を推力比γ-および一次側油圧シ
リンダ26の推力Win′に基づいて求め、更に、(16)式
から二次側油圧シリンダ28内に必要な油圧Pout′を求め
るとともに、次式(17)から上記油圧Pout′および余裕
油圧ΔP1に基づいて第1ライン油圧Pl1を算出する。 Win′=f(Te,e) ・・・(11) Pl2=Pin′−ΔP2 ・・・(13) γ-=f(e*,Te) ・・・(14) Wout′=γ-・Win′ ・・・(15) Pl1=Pout′+ΔP1 ・・・(17) このようにして、第2ライン油圧Pl2および第1ライ
ン油圧Pl1が求められると、次のステップS11が実行され
て目標速度比e*と実際の速度比eとの差(e*−e)が正
であるか否か、換言すれば速度比eの変化方向が増加方
向であるか減少方向であるが判断される。そして、差
(e*−e)が負である場合、すなわち実際の速度比eよ
りも目標速度比e*の方が小さく、速度比eが減少方向へ
変化する減速変速時には、ステップS13において次式(1
8)および(19)に従って上記第1ライン油圧Pl1および
第2ライン油圧Pl2が補正される。なお、K1,K2はそれ
ぞれ比例定数である。 Pl1=Pl1+K1|e*−e|/e ・・・(18) 上記(18)式は、変速比偏差|e*−e|/eの増加ととも
に第1ライン油圧Pl1を上昇させる一方、(19)式は、
一次側回転軸16の回転速度Ninの変化率dNin/dtに基づ
いて第2ライン油圧Pl2を低下させるもので、これによ
り、両ライン油圧Pl1とPl2との差が拡大されてベルト式
無段変速機14の変速比変化速度が高くなる。すなわち、
例えば正トルク状態では、第1ライン油圧Pl1は一次側
油圧シリンダ26内の油圧Pin(高圧側の油圧シリンダ内
油圧:エンジンブレーキ状態ではPout)に対して余裕油
圧ΔP1分だけ高くされているが、動力損失の面からあま
り高くできず速度比変化速度の点で充分でない場合があ
る。このため、速度比eが変化する過渡状態において、
ライン油圧Pl1とPl2との差を拡大することにより、速度
比変化速度を高めて好適な変速応答性が得られるように
してあるのである。なお、速度比eの変化が小さい準定
常状態においては、上記(18)式の速度比偏差|e*−e|
/e,(19)式の変化率dNin/dtは共に小さく、かかるス
テップS13は無段変速機14の速度比eが減少方向へ変化
する変速時に両ライン油圧Pl1,Pl2の圧力差を一時的に
拡大する作用を為すものである。 ここで、このように速度比eの変化方向が減少方向と
なる場合は、スロットル弁開度θthが大きくなった場合
で、回転速度Ninはエンジン10の出力増大に伴って上昇
させられるが、この時、一次側回転軸16に伝達されるト
ルクは前記ステップS5において求められた出力トルクTe
よりも小さい。これは、エンジン10の回転部分,フライ
ホイール,クラッチ12,一次側可変プーリ20等の一次側
回転軸系の回転慣性の影響により、エンジン10の燃焼に
よる正味トルクは、その一次側回転軸系の回転を引き上
げるためにある程度費やされるためであり、残りのトル
クが一次側回転軸16から伝動ベルト24を介して二次側回
転軸18に伝達されることとなる。 一方、上記一次側回転軸系の慣性により費やされるト
ルクの大きさΔT(Kg・m)は、一次側回転軸系の慣性
モーメントをI(Kg・m・sec2),回転速度Ninの変化
率をdNin/dt(r.p.m./sec)とすると、次式(20)で表
される。 上記(20)式から明らかなように、一次側回転軸系の
慣性によるトルクの低下量、換言すれば伝動ベルト24に
よる伝達トルクの低下量は、回転速度Ninの変化率dNin
/dtに比例しているため、前記(19)式のように第2ラ
イン油圧Pl2から変化率dNin/dtに比例した量を減算す
ることにより、伝動ベルト24の滑りが生じない範囲にお
いて第2ライン油圧Pl2を合理的に低下させることがで
きるのである。前記比例定数K2は、伝動ベルト24の滑り
が生じることのない必要最低限の第2ライン油圧Pl2が
得られるように予め設定されている。 このような第2ライン油圧Pl2の低下方法において
は、速度比eの減少に伴って回転速度Ninが増加する
と、第2ライン油圧Pl2はその回転速度Ninの変化率dN
in/dtに応じて低下させられ、その影響で速度比eの変
化速度が速められる。このため、回転速度Ninの変化率
dNin/dtは更に大きくなり、それに伴って第2ライン油
圧Pl2が一層低下させられると、速度比eの変化速度は
更に速められるというように、速度比eの変化速度は発
散的に速められる。しかも、この時、一次側回転軸系の
慣性の影響で実際の伝達トルクは低下しているため、伝
動ベルト24の滑りが生じることもないのである。そし
て、速度比eが目標速度比e*に近ずくと、変速制御弁44
のスプール弁子68の移動量が小さくなるため、速度比e
の変化速度は遅くなり、この結果第2ライン油圧Pl2の
低下量も小さくなって、やがて本来の値に戻るのであ
る。 第9図の実線は、このようにして変化する第2ライン
油圧Pl2を速度比eの変化と対比させて示したグラフで
あり、一点鎖線は従来の速度比偏差|e*−e|/eに基づい
て第2ライン油圧Pl2を低下させた場合のグラフであ
る。かかる第9図から明らかなように、本実施例による
第2ライン油圧Pl2の低下方法においては、実際の伝達
トルク変化にその理論的な裏付けを置いているため、従
来の速度比偏差|e*−e|/eに基づいて第2ライン油圧Pl
2を低下させる場合に比較して、第2ライン油圧Pl2を伝
動ベルト24の滑りが生じることのない範囲において一層
低い油圧値まで低下させることができるのである。この
結果、従来と同程度の変速応答性を達成する場合には、
第1ライン油圧Pl1の増加量を小さくすることが可能と
なり、前記(18)式の比例定数K1は第2ライン油圧Pl2
の低下量の増加に対応させて小さい値に設定されてい
る。 このようにして第1ライン油圧Pl1および第2ライン
油圧Pl2が決定されると、次にステップS14が実行され、
次式(21)および(22)に従って第1ライン油圧制御値
V1および第2ライン油圧制御値V2が決定される。これ等
の式(21),(22)は、それぞれ第1ライン油圧Pl1,
第2ライン油圧Pl2が得られるように第1調圧弁48,第2
調圧弁58の特性を考慮して記憶されたデータマップなど
を用いて、第1ライン油圧制御値V1,第2ライン油圧制
御値V2を求めるものである。 V1=f(Pl1) ・・・(21) V2=f(Pl2) ・・・(22) なお、前記ステップS11の判断がYESの場合、すなわち
実際の速度比eよりも目標速度比e*の方が大きく、速度
比eの変化方向が増加方向である場合には、ステップS7
〜S10において求められた第1ライン油圧Pl1,第2ライ
ン油圧Pl2を補正することなく、その第1ライン油圧P
l1,第2ライン油圧Pl2を用いて直ちにステップS14が実
行される。これは、速度比eが増加方向へ変化する増速
変速の場合には、前述した減速変速の場合に比較して高
速速度を高くする必要がなく、一次側回転軸系の慣性モ
ーメントによる影響も小さいため、第1ライン油圧P
l1,第2ライン油圧Pl2を必ずしも補正する必要がない
からである。 そして、一連のステップの内の最後のステップS15で
は、それ以前のステップにおいて決定された速度比制御
値V0,第1ライン油圧制御値V1および第2ライン油圧制
御値V2が出力される。これにより、前記第6図,第7
図,第8図に示すように、速度比e,第1ライン油圧P
l1,第2ライン油圧Pl2がそれぞれ制御され、以後、ス
テップS1以下が繰返し実行される。 このように、本実施例においては、速度比eが減少方
向へ変化する減速変速時には、一次側回転軸16の回転速
度Ninの変化率dNin/dtに応じて第2ライン油圧Pl2を低
下させるようになっているため、従来のように速度比偏
差|e*−e|/eに基づいて第2ライン油圧Pl2を低下させ
る場合に比較して、伝動ベルト24の滑りが生じない範囲
において第2ライン油圧Pl2を合理的に低下させること
ができる。これにより、伝動ベルト24の耐久性が向上さ
せられるのであり、また、本実施例では第2ライン油圧
Pl2の低下量が増加した分だけ第1ライン油圧Pl1の増加
量が小さくされているため、従来と同程度の変速応答性
を維持しつつポンプ42の駆動損失が低減されて車両の燃
費が向上させられるのである。 本実施例では、コントローラ94による一連の信号処理
のうち、ステップS4およびS15は速度比制御手段に相当
し、ステップS7およびS9は第2ライン油圧決定手段に相
当し、ステップS11およびS13は補正手段に相当し、ステ
ップS14およびS15は第2ライン油圧制御手段に相当す
る。 以上、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
したが、本発明はその他の態様で実施することもでき
る。 たとえば、前記実施例ではステップS13において第2
ライン油圧Pl2を変化率dNin/dtに応じて低下させると
ともに、第1ライン油圧Pl1を速度比偏差|e*−e|/eに
基づいて上昇させるようになっているが、第1ライン油
圧Pl1を上昇させることなく第2ライン油圧Pl2を低下さ
せるだけでも差支えない。 また、前記実施例では第2ライン油圧Pl2の低下量が
増加した分だけ第1ライン油圧Pl1の増加量が小さくさ
れているが、第1ライン油圧Pl1の増加量を従来通りと
することも可能である。その場合には、両ライン油圧Pl
1,Pl2の油圧差が大きくなるため、更に優れた変速応答
性が得られることとなる。 また、前記実施例では目標速度比e*と速度比eとの差
(e*−e)が負の場合には常にステップS13が実行され
るようになっているが、速度比eの変化の程度が大きい
場合にのみステップS13を実行するようにしても差支え
ない。 また、前記実施例では速度比eの変化方向が減少方向
の場合にのみ両ライン油圧Pl1,Pl2を補正するようにな
っているが、速度比eが増加方向へ変化する増速変速時
にも、速度比偏差|e*−e|/eや回転速度Ninの変化率dN
in/dt等に基づいて第1ライン油圧Pl1,第2ライン油圧
Pl2を補正するようにすることも可能である。 その他一々例示はしないが、本発明はその精神を逸脱
しない範囲で種々変更が加えられ得るものである。すな
わち、本発明は、少なくとも速度比eが減少方向へ変化
する減速変速時に、第2ライン油圧Pl2を回転速度Ninの
変化率dNin/dtに応じて低下させるようになっておれば
良いのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御
装置の一例を説明する構成図である。第2図および第3
図は第1図の装置の作動を説明するためのフローチャー
トである。第4図は第1図の装置における一次側回転軸
の目標回転速度とスロットル弁開度との関係を示す図で
ある。第5図は第1図のエンジンの最小燃費率曲線を示
す図である。第6図および第7図は第1図の装置におい
て速度比に対する各部の油圧の変化特性をそれぞれ示す
図であり、第6図は正トルク状態を、第7図はエンジン
ブレーキ状態を示している。第8図は第1図の変速制御
弁の出力油圧特性を示す図であって、(a)は第1ライ
ン油圧と第2ライン油圧との差圧が小さい状態を、
(b)は第1ライン油圧と第2ライン油圧との差圧が大
きい状態を示している。第9図は第1図の装置における
第2ライン油圧の変化を従来の場合と比較して示す図で
ある。 14:ベルト式無段変速機 16:一次側回転軸、18:二次側回転軸 20:一次側可変プーリ 22:二次側可変プーリ 24:伝動ベルト 26:一次側油圧シリンダ 28:二次側油圧シリンダ 44:変速制御弁、48:第1調圧弁 58:第2調圧弁、94:コントローラ 90:第1回転センサ(回転速度検出手段) ステップS4,S15:速度比制御手段 ステップS7,S9:第2ライン油圧決定手段 ステップS11,S13:補正手段 ステップS14,S15:第2ライン油圧制御手段
装置の一例を説明する構成図である。第2図および第3
図は第1図の装置の作動を説明するためのフローチャー
トである。第4図は第1図の装置における一次側回転軸
の目標回転速度とスロットル弁開度との関係を示す図で
ある。第5図は第1図のエンジンの最小燃費率曲線を示
す図である。第6図および第7図は第1図の装置におい
て速度比に対する各部の油圧の変化特性をそれぞれ示す
図であり、第6図は正トルク状態を、第7図はエンジン
ブレーキ状態を示している。第8図は第1図の変速制御
弁の出力油圧特性を示す図であって、(a)は第1ライ
ン油圧と第2ライン油圧との差圧が小さい状態を、
(b)は第1ライン油圧と第2ライン油圧との差圧が大
きい状態を示している。第9図は第1図の装置における
第2ライン油圧の変化を従来の場合と比較して示す図で
ある。 14:ベルト式無段変速機 16:一次側回転軸、18:二次側回転軸 20:一次側可変プーリ 22:二次側可変プーリ 24:伝動ベルト 26:一次側油圧シリンダ 28:二次側油圧シリンダ 44:変速制御弁、48:第1調圧弁 58:第2調圧弁、94:コントローラ 90:第1回転センサ(回転速度検出手段) ステップS4,S15:速度比制御手段 ステップS7,S9:第2ライン油圧決定手段 ステップS11,S13:補正手段 ステップS14,S15:第2ライン油圧制御手段
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.一次側回転軸および二次側回転軸にそれぞれ設けら
れた一対の一次側可変プーリおよび二次側可変プーリ
と、該一対の可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達す
る伝動ベルトと、前記一対の可変プーリの有効径をそれ
ぞれ変更する一対の一次側油圧シリンダおよび二次側油
圧シリンダとを備えた車両用ベルト式無段変速機におい
て、 油圧源から作動油が供給される第1ライン油路内の油圧
を第1ライン油圧に調圧する第1調圧弁と、 前記第1ライン油路内の作動油を前記一次側油圧シリン
ダおよび二次側油圧シリンダの一方に供給すると同時に
他方内の作動油を第2ライン油路へ流出させることによ
り、前記一次側可変プーリおよび二次側可変プーリの有
効径を変化させて、前記二次側回転軸の回転速度Noutと
前記一次側回転軸の回転速度Ninとの商Nout/Ninで定ま
る前記無段変速機の速度比eを調節する変速制御弁と、 実際の速度比eが車両の運転状態に応じて求められた目
標速度比と一致するように前記変速制御弁を制御する速
度比制御手段と、 前記第2ライン油路内の作動油の圧力を調圧する第2調
圧弁と、 エンジンの出力状態に基づいて前記伝動ベルトの滑りが
生じない範囲で第2ライン油圧を決定する第2ライン油
圧決定手段と、 前記第2ライン油路内の作動油の圧力が前記第2ライン
油圧となるように前記第2調圧弁を制御する第2ライン
油圧制御手段と を有する油圧制御装置であって、 前記一次側回転軸の回転速度Ninを検出する回転速度検
出手段と、 前記速度比eが減少方向へ変化する変速時に、前記第2
ライン油圧決定手段によって決定される前記第2ライン
油圧を、前記一次側回転軸の回転速度Ninの変化率に対
応する量だけ低下させる補正手段と を設けたことを特徴とする車両用ベルト式無段変速機の
油圧制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61188169A JP2699327B2 (ja) | 1986-08-11 | 1986-08-11 | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61188169A JP2699327B2 (ja) | 1986-08-11 | 1986-08-11 | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6343838A JPS6343838A (ja) | 1988-02-24 |
JP2699327B2 true JP2699327B2 (ja) | 1998-01-19 |
Family
ID=16218961
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61188169A Expired - Lifetime JP2699327B2 (ja) | 1986-08-11 | 1986-08-11 | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2699327B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101134300B1 (ko) | 2005-02-17 | 2012-04-13 | 현대자동차주식회사 | 무단 변속기의 유압제어시스템 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57167571A (en) * | 1981-04-06 | 1982-10-15 | Nissan Motor Co Ltd | Valve body |
-
1986
- 1986-08-11 JP JP61188169A patent/JP2699327B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6343838A (ja) | 1988-02-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4772249A (en) | Hydraulic control system for continuously variable transmission for automotive vehicle | |
US4778435A (en) | Hydraulic control system for continuously variable transmission for automotive vehicle | |
JP2699322B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP2699327B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP2699323B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP3102723B2 (ja) | ベルト式無段変速機のプーリ側圧制御装置 | |
JPH04285361A (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の制御装置 | |
JP2699343B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP2653052B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP2794689B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JPH0359296B2 (ja) | ||
JP2699339B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP2699326B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP2653054B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP2699337B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JP3107417B2 (ja) | ロックアップトルコン付無段変速機の変速制御装置 | |
JP2745503B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JPH0359299B2 (ja) | ||
JPS61167761A (ja) | ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JPH01176845A (ja) | 無段変速機の制御装置 | |
JPH04277363A (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の制御装置 | |
JPH0359300B2 (ja) | ||
JPH0285559A (ja) | 車両用無段変速機の変速比制御方法 | |
JPH0743031B2 (ja) | 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 | |
JPH0359298B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |