JPH0737684B2 - SiC−C系連続無機繊維およびその製造方法 - Google Patents

SiC−C系連続無機繊維およびその製造方法

Info

Publication number
JPH0737684B2
JPH0737684B2 JP61051398A JP5139886A JPH0737684B2 JP H0737684 B2 JPH0737684 B2 JP H0737684B2 JP 61051398 A JP61051398 A JP 61051398A JP 5139886 A JP5139886 A JP 5139886A JP H0737684 B2 JPH0737684 B2 JP H0737684B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sic
inorganic fiber
continuous inorganic
producing
pitch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP61051398A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62215016A (ja
Inventor
良雄 長谷川
清人 岡村
Original Assignee
財団法人特殊無機材料研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 財団法人特殊無機材料研究所 filed Critical 財団法人特殊無機材料研究所
Priority to JP61051398A priority Critical patent/JPH0737684B2/ja
Priority to PCT/JP1987/000147 priority patent/WO1987005612A1/ja
Priority to GB8726078A priority patent/GB2198446B/en
Priority to DE19873790151 priority patent/DE3790151T/de
Priority to DE3790151A priority patent/DE3790151C2/de
Priority to DE3744872A priority patent/DE3744872C2/de
Priority to US07/131,139 priority patent/US4879334A/en
Publication of JPS62215016A publication Critical patent/JPS62215016A/ja
Publication of JPH0737684B2 publication Critical patent/JPH0737684B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、SiC−C系連続無機繊維、詳しくはオルガノ
ポリアリールシランを紡糸、不溶化後、非反応性雰囲気
中で焼成してなる新規なSiC−C系連続無機繊維および
その製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来知られているSiC系連続無機繊維は、有機ケイ素化
合物を熱重合して得られる重合体を原料とするもので、
特開昭51-139929号、同51-130324号、同51-130325号、
同51-149925号、同51-149926号、同51-147623号、同51-
147624号、同52-1136号、同52-5321号、同52-31126号、
同52-103529号、同52-59724号、同52-63427号、同52-70
122号、同52-96237号、同52-103529号、同53-103025号
および同54-82435号各公報に開示されている。一方、炭
素繊維は、レーヨン、ポリアクリロニトリル、ピッチ等
を原料として得られ、これらの繊維やその製造方法およ
び応用については膨大な特許出願がなれ、工業的にも大
量生産がなされるに至っている。しかしながら前者は、
耐熱性や耐酸化性、金属との複合特性には優れているも
のの、電気伝導性が低く、体積抵抗率が102Ω・cm程度
で、その制御が困難であること、また機械的特性面で
も、例えば弾性率の制御は焼成温度に頼らざるを得ず、
組成変更による品質の制御はほとんど不可能であるこ
と、更に高価であることなど種々の欠点があった。一方
後者は、耐熱性や電気伝導性が高く、プラスチックとの
複合特性等に優れた特長を有するものの耐空気酸化性に
劣り、また金属との複合には反応性の面で問題を有し、
特にピッチを原料とする場合、優れた特性の繊維とする
ためには、特殊な処理を施したピッチを用いることが必
要で、必ずしも経済的ではなかった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、前記、従来のSiC繊維や炭素繊維の欠点を克
服し、従来にない新しい機械的、電気的特性等を具え、
優れた新規な無機繊維を提供することを目的とするもの
である。
本発明者等は別途、ポリシランとピッチとの共熱分解縮
合物であるオルガノポリアリールシランを発明し特許出
願したが、本発明者等は更に、上記出願明細書に開示さ
れた新規なオルガノポリアリールシランを用いて、これ
からSiC−C系連続無機繊維を製造することにより、上
記本発明の目的を達成することに成功した。即ち、上記
オルガノポリアリールシランを原料として紡糸した繊維
を焼成して得られる繊維は、SiC繊維と炭素繊維との間
の電気伝導性を有し、しかも組成を自由に制御できるた
め、電気伝導性や機械的特性を広い範囲で制御し得るば
かりでなく、炭素繊維に比べて、耐空気酸化性に優れて
いることを確認し、これに基づいて本発明を完成したも
のである。
(問題点を解決するための手段) 本発明方法は、骨格部分が主として芳香族縮合環構造よ
りなる芳香環セグメントと骨格部分が主としてカルボシ
ランおよびポリシラン構造よりなるオルガノシランセグ
メントとがケイ素−炭素連結基を介してランダム結合し
てなるオルガノポリアリールシランを溶融紡糸するか、
または該オルガノポリアリールシランの有機溶媒溶液を
乾式紡糸し、得られた紡糸繊維を不融化し、不融化した
繊維を非反応性雰囲気、例えば真空中あるいは不活性ガ
ス雰囲気中、800〜3000℃の温度範囲で焼成するこを特
徴とするSiC−C系連続無機繊維の製造方法である。
更に上記本発明方法によれば、非晶質および/もしくは
結晶質炭素と非晶質および/もしくは結晶質SiCとを主
たる構成成分とする分子よりなり、5〜55重量%のケイ
素、40〜95重量%の炭素および0.01〜15重量%の酸素を
含む組成を有しており、優れた耐熱性と耐酸化性とを具
えると共に10〜10-3Ω・cmの体積抵抗率を示すことを特
徴とするSiC−C系連続無機繊維が提供される。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明方法に使用する出発原料である上記オルガノポリ
アリールシランは、ポリシランと有機溶媒に可溶なピッ
チまたはタールとを混合し、不活性雰囲気下で加熱して
共熱分解縮合させることによって得られる。このポリシ
ランは、 なる構造を有し、環状あるいは分岐状であってもよい。
n≧2ならばよく、また、R1およびR2は、それぞれ水
素、ハロゲン、炭素数6個までの低級アルキル基あるい
は炭素数12個までのアリール基であり、特に好適なポリ
シランは、R1およびR2の50%以上がメチル基であるか、
ポリシランの混合物を用いる場合は、全てのR1およびR2
の50%以上がメチル基であるポリシランである。これら
のポリシランは任意の公知方法により合成される。
更に本発明方法の出発原料であるオルガノポリアリール
シランを製造するために使用するもう一つの原料である
ピッチは、通常の、石炭、石油等の有機物を熱分解した
時に得られる。芳香族縮合環を主に骨格としている固体
あるいは半固体のもので、例えば、石炭系ピッチや石油
系ピッチを用いることができる。ピッチは通常の有機溶
媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒド
ロフラン等に溶解するものが好ましい。勿論、溶媒に不
溶の成分を含むピッチも用いることができるが、合成後
生成した重合体から溶媒不溶の不純物を除去する際、溶
媒に不溶のピッチ中の成分から生成した、溶媒不溶の生
成物も不純物と共に除去される。また後述する如く合成
の収率がこの不溶成分により低下する。また、ピッチ類
似物として、芳香族縮合環を有する化合物、例えば室温
で液状のタール等も用いることができる。また単離され
た芳香族化合物も用いることができるが経済的ではな
い。
上記の方法においては、前記ポリシラン類の少なくとも
一種の100重量部に対して前記ピッチまたはタールを2
〜500重量部混合し、その混合物を反応に対して不活性
な雰囲気において加熱して共熱分解縮合させる。
かくして、骨格部分が主として芳香族縮合環構造よりな
る芳香環セグメントと、骨格部分が主としてカルボシラ
ンおよびポリシラン構造よりなオルガノシランセグメン
トとが、ケイ素−炭素連結基を介してランダム結合して
なり且つ有機溶媒可溶分を主体とするオルガノポリアリ
ールシランが提供される。
上記の方法において最も好ましい態様としては、混合物
の共熱分解縮合反応を液相と気相の両方で行わせること
である。すなわち反応装置は液相で反応を行わせる反応
容器と、反応容器中で生成した混合物の蒸気および混合
物の熱分解により生じた低沸点成分の蒸気を反応容器中
の反応温度以上に保持又は加熱して気相で反応を行わせ
る反応塔により成り、反応塔を通過した蒸気および生成
物は冷却されて再び反応容器にもどされる。
すなわち本発明の出発物質であるオルガノポリアリール
シランの製造方法においては、液相および気相の両方で
熱分解縮合を行わせるために、反応が速やかに進行する
と同時に、従来のポリシランの熱分解縮合により行われ
ていたポリカルボシランの合成の際の低分子量の気相部
分の存在による重合体の低収率という問題を解決し、ピ
ッチまたはタールの添加量の少ない場合にも高収率でオ
ルガノポリアリールシラン重合体が得られる。
上記の方法においては、共熱分解縮合を、反応に不活性
なガス雰囲気下において行うことが必要であり、例えば
窒素、アルゴン等が好適である。また反応は常圧のガス
気流下で行うことが好ましく、温度上昇や反応中に生成
する例えば水素のようなガスによる圧力上昇を防ぐため
の配慮が望まれる。
また、加熱温度は、反応容器中、すなわち液相で反応す
る部分では300〜500℃であり、300℃以下では原料の熱
分解縮合がほとんど進行しないし、500℃以上では生成
物の熱分解やゲル化が起こり好ましくない。また反応塔
の温度は300〜800℃であり、この温度は原料の種類によ
り異なり、ポリシランあるいはポリシランの熱分解物の
沸点が低いもの程高くしなければならないが、一般に80
0℃以上では反応塔内で無機物が生成し、300℃以下では
冷却による還流が起るだけで有効な熱分解が起こらない
ばかりか、反応容器中の温度を低下させてしまうので好
ましくなく、少なくとも反応容器中の温度以上に保つこ
とが望ましい。
更にまた、上記の方法における反応時間は通常所定の温
度に達してから1〜10時間の如き比較的短時間で完了す
るが、原料によってはさらに長時間を要する場合があ
る。
以上のような共熱分解縮合により得られた重合体は溶媒
に溶かして濾過により不溶物を除去し、その後溶媒を除
去して精製することができ、必要ならば常圧あるいは減
圧下で低分子量成分を蒸留により除去するか、溶媒によ
り分別して分子量を調節することができる。
かくして得られるオルガノポリアリールシランの重要且
つ新規な特徴は、本来相溶性に乏しいカルボシランやポ
リシラン骨格を有するオルガノシラン重合体セグメント
と、芳香族縮合環を骨格とするピッチまたはタールの芳
香環セグメントとを、共熱分解縮合という方法で1分子
中にランダム結合して包含させたことである。これは後
述する紡糸工程で均一な繊維が得られる原因であり、Si
C−C系連続無機繊維の合成を可能としたものである。
得られた重合体は数平均分子量500〜10,000で、非酸化
性雰囲気中で焼成した場合の残留率が高い。
本発明方法において上記のオルガノポリアリールシラン
重合体を繊維化する工程は、紡糸工程、不融化工程、焼
成工程の各工程からなる。
先ず紡糸工程においては前記重合体を加熱溶融させて紡
糸原液を造り、これを通常用いられる溶融紡糸装置によ
り紡糸する。紡糸する際の紡糸原液の温度は原料の重合
体の軟化温度によって異なるが、100〜400℃の温度範囲
で、巻取り速度を大きくすることにより細い直径の繊維
とすることができ、一般的には50〜5000m/分の範囲で良
い結果が得られる。本発明の製造方法の紡糸工程は、溶
融紡糸法のほかに、該重合体を例えばベンゼン、トルエ
ン等の溶媒に溶解させ紡糸原液とし、通常の乾式紡糸装
置により紡糸することもできるが、溶融紡糸法の方が容
易である。
本発明方法の紡糸工程においては、前記オルガノポリア
リールシラン重合体を用いるので、例えば有機ケイ素重
合体とピッチとを混合してブレンド紡糸しようとする際
のように、それらの相溶性が低いために分子レベルで均
一に混合することができず不均一繊維が生成するのみな
らず甚だしい場合は紡糸不能に陥るというような問題は
起こらない。しかも、混合物を原料として用いる場合に
はそれぞれを後の不融化工程や焼成工程に適した特性に
調整しなければならず、この処理はますますそれらの相
溶性を低めることになる。
次に本発明方法における不融化工程においては、前記紡
糸繊維を酸化性雰囲気中で室温〜350℃の温度範囲で酸
化処理して前記紡糸繊維を不融化する。この酸化処理の
目的は、紡糸繊維を形成する原料分子間を架橋させ、繊
維を後述の焼成工程で融着させないようにするためであ
り、酸化性雰囲気としては、空気、酸素、オゾン、ハロ
ゲンガスのうちから選ばれるいずれか一種または二種以
上のガス雰囲気が好ましく、350℃を超える温度では酸
化が進行しすぎるので好ましくない。
上記酸化処理の時間は前記温度と関連し、高温域では短
時間、低温域では長時間を要するが、所定の温度までの
昇温速度は5℃〜50℃/時で、所定の温度での保持時間
は2時間以下で十分である場合が多い。
本発明方法の不融化工程においてはさらに前記酸化性雰
囲気中で処理する方法のほかに、該紡糸繊維に、酸化性
雰囲気あるいは非酸化性雰囲気で、室温〜350℃の温度
範囲で紫外線照射、γ線照射、あるいは電子線照射して
不融化することができる。この照射を前記酸化性雰囲気
で行う場合は、酸化を促進し、酸化が遅い重合体の場合
には都合がよい。また不活性ガスあるいは真空中等の非
酸化性雰囲気で照射する目的は、紡糸繊維を形成する重
合体分子相互を架橋させ不融化し、特に繊維中の酸素量
を最小に抑えることであり、照射線量は106〜1010γが
適当である。
次に本発明方法の焼成工程においては前記不融化した繊
維を800〜3000℃の温度範囲で焼成し、SiC−C系連続無
機繊維とする。
前記焼成は、非反応性雰囲気、例えば真空あるいは不活
性ガス雰囲気中、800〜3000℃の温度範囲で張力あるい
は無張力下に行われ、不融化された繊維を形成する重合
体は熱重縮合反応と熱分解反応とにより易揮発性成分を
放出する。易揮発性成分は300〜800℃で主に生成し、こ
のために前記不融化繊維は収縮して繊維が屈曲する場合
があるが、焼成中に張力を作用させるとこの屈曲を防止
することができる。また、高温における張力の作用は、
特に炭素量の多い繊維のときに繊維の特性を向上させ得
る場合があり有利である。この際の張力の大きさは0.01
kg〜10kg/mm2の範囲である。焼成温度が800℃以下では
小さい張力しかかけられないが800℃以上では繊維の強
度が十分に大きいので、大きな張力をかけることがで
き、一般的に前記範囲の張力で良い結果が得られる。な
お前記焼成は雰囲気、温度、時間等の条件を変えた多段
焼成法で行うこともできる。
以上に説明した本発明方法により製造されるSiC−C系
連続無機繊維の組成は、Si,5〜55重量%;C,40〜95重量
%;0,0.01〜15重量%よりなる。焼成温度が比較的低温
のときは微量の水素が含まれることがあり、また不純物
程度の窒素やイオウ等が含まれることもある。このよう
な組成の繊維は、主として非晶質および/もしくは結晶
質炭素と非晶質および/もしくは結晶質SiCより形成さ
れており、非晶質と結晶質との明確な区別はないが、該
繊維を形成する結晶子の平均的な大きさは焼成温度の上
昇と共に徐々に大きくなっていく。また結晶子の平均的
な大きさは、原料重合体を形成するセグメントの大きさ
によって影響を受け、芳香環セグメントが大きくオルガ
ノシランセグメントが小さい時にはSiCの結晶子の大き
さは算出できない程度に小さかったり、高温までその大
きさが増大しにくくなるが、逆にオルガノシランセグメ
ントが大きい時にSiCはβ−SiC結晶の回折線を示し、例
えばポリジメチルシラン100重量部にトルエン可溶の石
油系ピッチを5重量部混合し、合成した重合体を紡糸22
0℃の空気中で2時間不融化した後、真空中、1200℃で
焼成して得た繊維はSi:15.1重量%、C:40.0重量%、0:
8.9重量%の組成を示すが、焼成繊維中のβ−SiCの結晶
子の大きさは焼成温度900,1200,1500℃の場合に各々約1
0,30,70Åである。また1400℃以上の温度では、繊維中
のケイ素原子と結合して存在する酸素は炭素と反応して
ガスとして放出されると同時に、ケイ素原子と炭素とが
反応してSiCを生成するため、酸素量が多い繊維の場合
には結晶子の大きさがさらに大きくなる。また温度1000
℃以上になるとα−SiCが生成する。このような結晶成
長や相変化は繊維の機械的特性に悪影響を及ぼすので、
大きいオルガノシランセグメントを含む重合体を用いる
場合は、1800℃以下の焼成温度で機械的特性の優れた繊
維が得られる。
一方、芳香環セグメントが大きい重合体を原料として合
成された繊維では、SiCの結晶子の大きさは前述の値よ
り小さくなり、一方炭素の黒鉛結晶に相当する(002)
回折線から得られる結晶子の大きさは、焼成温度が高く
なるにつれて大きくなるが、100Å以下にとどまる。
(作用) 次に本発明の作用を本発明繊維の特性と共に述べる。
本発明のSiC−C系連続無機繊維の特長は電気伝導性に
あり、10〜10-3Ω・cmの範囲の体積抵抗率を示すことで
ある。すなわちこの値は従来1400℃で焼成して得られた
SiC連続繊維の体積抵抗率が102Ω・cm以上であるのに対
して前述の組成の本発明のSiC−C繊維は1200℃で焼成
したにもかかわらず約1Ω・cmであり、従来のSiC繊維
の1/100以下となっている。
さらにC量が増加するにつれ、また、焼成温度が高くな
るにつれてこの値は徐々に低下し5×10-4Ω・cm程度ま
でとなる。原料に僅かのピッチを混合して合成した重合
体を用いてもこのように体積抵抗率が著しく低下するこ
とは予想できなかった効果で、例えば炭素の微粉末を有
機ケイ素重合体に混合して繊維に出来たとしてもこのよ
うな現象は到底起こらない。これは、すでに述べたよう
に芳香環セグメントとオルガノシランセグメントとが分
子レベルで均一に混合され結合した重合体を原料として
いるため、焼成により生成した繊維の構造が非常に均一
であり、特に焼成温度が1400℃以下ではSiCもCも共に
非晶質であって、しかも各々の粒子の大きさはまさに重
合体の分子レベルの大きさであり、一種のnmレベルの複
合体といえるもので全く新しい構造である。
低い体積抵抗率はこの構造に起因している。さらに本発
明のSiC−C系連続無機繊維は、機械的特性にも優れ
る。特に耐空気酸化性は、一般のピッチ等から得られた
炭素繊維が350℃付近から酸化を受けはじめ、400〜500
℃では使用できないのに対して、本発明の繊維はSiCが
存在するために、特に非晶質の領域では、500℃以上で
の空気酸化でも、酸化の初期に強度は僅かに低下する
が、その後酸化被膜が形成され、強度の低下は止まり、
従来の炭素繊維では使用できない高温でも用いることが
できる。
(実施例) 次に本発明を実施例について説明する。
実施例1 ジクロロジメチルシランをキシレン中、金属Naで脱塩素
縮合させて得られたポリ(ジメチルシラン)に、石油系
ピッチのトルエン可溶分(数平均分子量320,炭素含有量
92.1%)を種々の割合で混合し、反応塔の温度を575℃
とし、反応容器中の温度(反応温度)と反応時間を種々
の値に設定して混合物の共熱分解縮合を行った。反応終
了後、トルエン溶液として、濾過により不溶物を除去
し、その後300℃まで窒素雰囲気中で加熱して低分子量
成分を蒸留により除去し、それぞれ重合体を得た。各々
の重合体の合成条件を第1表に示す。これらの重合体を
300〜350℃に加熱溶融して500μmの口金より、500m/分
の紡糸速度で紡糸し、その後10℃/時の昇温速度で空気
中で所定の温度まで加熱し1時間保持して不融化後、真
空中で100℃/時の昇温速度で1200℃まで加熱し1時間
保持して焼成し、直径10〜15μmの繊維を得た。繊維の
機械的特性をゲージ長25mm、クロスヘッドスピード2mm/
分で測定した。また体積抵抗率も測定した。不融化温度
と機械的特性、体積抵抗率および繊維の化学分析値(S
i,C,0のみ)も第1表に示す。
実施例2 実施例1で合成した、No.4の重合体を実施例1と同様の
方法で紡糸、不融化し、200cc/分のアルゴンガス気流中
で100℃/時の昇温速度で加熱し1000,1200あるいは1500
℃で1時間焼成して繊維を得た。これらの繊維の機械的
特性、体積抵抗率および化学分析値の結果を第2表に示
す。
実施例3 実施例1で合成したNo.6の重合体を実施例1と同様の方
法で紡糸した後、窒素ガス雰囲気中で1.5×109γの電子
線を照射して不融化した後、200cc/分のアルゴンガス気
流中で700℃まで加熱した後、さらに約4kg/mm2の張力の
作用のもとで1200,2000あるいは2500℃まで加熱し1時
間保持して焼成して、繊維を得た。これらの繊維の機械
的特性、体積抵抗率および化学分析値の結果を第3表に
示す。
実施例4 実施例1で用いたポリ(ジメチルシラン)70gとヘキサ
メチルジシラン10gに、実施例1で用いたピッチを20g混
合し、反応塔の温度を680℃、反応温度400℃、反応時間
10時間で共熱分解縮合させ、反応終了後実施例1と同様
の処理しをて得られた重合体をNo.7とする。またエチル
メチルジクロロシランを金属Naでキシレン中で脱塩素縮
合させて得られたポリシラン50gに実施例1で用いたピ
ッチ50gを混合し、反応塔の温度を400℃、反応温度400
℃、反応時間5時間で共熱分解縮合させ、反応終了後、
トルエン溶液として不溶物を濾過により除去した後、30
0℃/1mmHgの沸点までの低分子量成分を減圧蒸留により
除去して得られた重合体をNo.8とする。また、実施例1
で用いたポリ(ジメチルシラン)100gに石油系ピッチ
(炭素含有量94.5%、トルエン不溶分59.1%)を10g混
合してNo.1の重合体と同様に共熱分解縮合して得られた
重合体をNo.9とする。さらにジクロロジメチルシランに
ジフェニルジクロロシランを30mol%添加し、キシレン
中で金属Naで脱塩素縮合して得られたポリシラン20gに
石炭系ピッチのトルエン可溶分(平均分子量280,炭素含
有量91.5%)を80g混合し、反応塔の温度を600℃、反応
温度350℃、反応時間10時間で共熱分解縮合させ、反応
終了後実施例1と同様の処理をして得られた重合体をN
o.10とする。
これらの重合体を280〜350℃に加熱溶融して500μmの
口金より300m/分の紡糸速度で紡糸し、その後5℃/時
の昇温速度で空気中で所定の温度まで加熱して2時間保
持して不融化した。その後、200cc/分の窒素ガス気流中
で100℃/時の昇温速度で1200℃まで加熱し1時間保持
して焼成し、直径12〜18μmの繊維を得た。これらの繊
維の機械的特性、体積抵抗率、化学分析値の結果を不融
化温度と合わせて第4表に示す。
実施例5 実施例1でNo.6の重合体から製造した繊維を空気中で55
0℃および600℃で各々1時間熱処理して、繊維の酸化に
よる機械的特性の変化を調べた結果を第5表に示す。こ
の結果は酸化の初期に機械的特性は低下するもののその
後一定値に近づき、酸化の進行が抑制されることを示
す。
(発明の効果) 本発明のSiC−C系連続無機繊維は以上述べたように、
耐熱性、耐酸化性に優れ、体積抵抗率が10〜10-3Ω・cm
であり、機械的特性も優れているから、これらの性質を
利用した複合材料用補強材をはじめとして、電気電子関
係材料や宇宙・航空関係の耐熱材料や構造材料として広
汎な用途が考えられる。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】骨格部分がピッチまたはタールから誘導さ
    れた主として芳香族縮合環構造よりなる芳香環セグメン
    トと骨格部分が主としてカルボシランおよび一般式 で表される主鎖構造を有するポリシランよりなるオルガ
    ノシランセグメントとがケイ素−炭素連結基を介してラ
    ンダム結合してなるオルガノポリアリールシランより紡
    糸され、不融化後に焼成されてなり、5−55重量%のケ
    イ素、40-95重量%の炭素および0.01-15重量%の酸素を
    含む化学組成を有することを特徴とするSiC−C系連続
    無機繊維。
  2. 【請求項2】前記芳香環セグメントが有機溶媒に可溶な
    ピッチまたはタールから誘導されたものである特許請求
    の範囲第1項記載のSiC−C系連続無機繊維。
  3. 【請求項3】前記有機溶媒が、ベンゼン、トルエン、キ
    シレンおよびテトラヒドロフランよりなる群から選ばれ
    た少なくとも1種である特許請求の範囲第2項記載のSi
    C−C系連続無機繊維。
  4. 【請求項4】前記オルガノポリアリールシランが500〜1
    0,000の数平均分子量を有する特許請求の範囲第1項乃
    至第3項の何れか1項に記載のSiC−C系連続無機繊
    維。
  5. 【請求項5】ピッチまたはタールと、一般式 で表される主鎖構造を有する線状、環状または分岐状ポ
    リシランとを混合し、不活性雰囲気下で加熱して共熱分
    解縮合させて、骨格部分が主として芳香族縮合環構造よ
    りなる芳香環セグメントと骨格部分が主としてカルボシ
    ランおよびポリシラン構造よりなるオルガノシランセグ
    メントとがケイ素−炭素連結基を介してランダム結合し
    てなるオルガノポリアリールシランを生成し、該オルガ
    ノポリアリールシランを紡糸し、不融化させた後非反応
    性雰囲気中800〜3000℃の温度で焼成することを特徴と
    するSiC−C系連続無機繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】前記芳香環セグメントが、有機溶媒に可溶
    なピッチまたはタールから誘導されたものである特許請
    求の範囲第5項記載のSiC−C系連続無機繊維の製造方
    法。
  7. 【請求項7】前記有機溶媒が、ベンゼン、トルエン、キ
    シレンおよびテオラヒドロフランよりなる群から選ばれ
    た少なくとも1種である特許請求の範囲第6項記載のSi
    C−C系連続無機繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】オルガノポリアリールシランが500〜10,00
    0の数平均分子量を有する特許請求の範囲第5項乃至第
    7項の何れか1項に記載のSiC−C系連続無機繊維の製
    造方法。
  9. 【請求項9】前記ポリシランは、そのR1およびR2のすく
    なくとも50%がメチル基である特許請求の範囲第5項乃
    至第8項の何れか1項に記載のSiC−C系連続無機繊維
    の製造方法。
  10. 【請求項10】前記ポリシラン100重量部に対してピッ
    チまたはタールを2〜500重量部混合する特許請求の範
    囲第5項乃至第9項の何れか1項に記載のSiC−C系連
    続無機繊維の製造方法。
  11. 【請求項11】共熱分解縮合反応が液相と気相の両相で
    行われる特許請求の範囲第5項乃至第10項の何れか1項
    に記載のSiC−C系連続無機繊維の製造方法。
  12. 【請求項12】前記液相反応を300〜500℃で、また気相
    反応を300〜800℃で行う特許請求の範囲第11項記載のSi
    C−C系連続無機繊維の製造方法。
  13. 【請求項13】共熱分解縮合反応を常圧で行う特許請求
    の範囲第5項乃至第12項の何れか1項に記載のSiC−C
    系連続無機繊維の製造方法。
  14. 【請求項14】焼成温度が高々1800℃である特許請求の
    範囲第5項乃至第13項の何れか1項に記載のSiC−C系
    連続無機繊維の製造方法。
  15. 【請求項15】焼成温度が高々1400℃である特許請求の
    範囲第14項記載のSiC−C系連続無機繊維の製造方法。
JP61051398A 1986-03-11 1986-03-11 SiC−C系連続無機繊維およびその製造方法 Expired - Lifetime JPH0737684B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61051398A JPH0737684B2 (ja) 1986-03-11 1986-03-11 SiC−C系連続無機繊維およびその製造方法
PCT/JP1987/000147 WO1987005612A1 (en) 1986-03-11 1987-03-10 Organopolyarylsilane, process for its production, and fibers prepared therefrom
GB8726078A GB2198446B (en) 1986-03-11 1987-03-10 Organopolyarysilane, process for its production, and fibers prepared therefrom
DE19873790151 DE3790151T (ja) 1986-03-11 1987-03-10
DE3790151A DE3790151C2 (ja) 1986-03-11 1987-03-10
DE3744872A DE3744872C2 (de) 1986-03-11 1987-03-10 Anorganische Endlosfasern
US07/131,139 US4879334A (en) 1986-03-11 1987-03-10 Organopolyarylsilanes, process for manufacturing the same and fibers comprising the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61051398A JPH0737684B2 (ja) 1986-03-11 1986-03-11 SiC−C系連続無機繊維およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62215016A JPS62215016A (ja) 1987-09-21
JPH0737684B2 true JPH0737684B2 (ja) 1995-04-26

Family

ID=12885834

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61051398A Expired - Lifetime JPH0737684B2 (ja) 1986-03-11 1986-03-11 SiC−C系連続無機繊維およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0737684B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0791694B2 (ja) * 1987-06-18 1995-10-04 日本カ−ボン株式会社 炭化ケイ素とカ−ボンより成る連続繊維の製造方法
EP0394463B1 (en) 1988-08-12 1995-06-28 Ube Industries, Ltd. Carbide fibers with high strength and high modulus of elasticity and polymer composition used for their production
JPH0737696B2 (ja) * 1989-01-27 1995-04-26 宇部興産株式会社 複合材料用繊維体並びにその製造方法
JPH04126823A (ja) * 1990-09-14 1992-04-27 Ube Ind Ltd 炭素質無機繊維及びその製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5756522A (en) * 1980-09-24 1982-04-05 Seishi Yajima Novel continuous inorganic fiber and its preparation

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62215016A (ja) 1987-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4604367A (en) Method for the preparation of an inorganic fiber containing silicon, carbon, boron and nitrogen
EP0200326B2 (en) Process for preparing ceramic materials with reduced carbon levels
CN106521710A (zh) 一种含钛硼碳化硅基陶瓷纤维的制备方法
JPH0541727B2 (ja)
JPS6347752B2 (ja)
US4746480A (en) Process for providing a protective oxide coating on ceramic fibers
CA1305810C (en) Infusible preceramic polymers via nitric oxide treatment
WO2006085479A1 (ja) 炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法
US4879334A (en) Organopolyarylsilanes, process for manufacturing the same and fibers comprising the same
JPH0737684B2 (ja) SiC−C系連続無機繊維およびその製造方法
Clade et al. A new type of precursor for fibers in the system Si–C
JP2609323B2 (ja) 高性能ケイ素系セラミック繊維の製造方法
JP2663360B2 (ja) 耐熱性炭化ケイ素繊維の製造法
JPH0978358A (ja) 高耐熱性セラミックス繊維及びその製造方法
JPH062818B2 (ja) オルガノポリアリ−ルシランとその製造方法
JP3279126B2 (ja) 無機繊維及びその製造方法
JPH0340814A (ja) 高温特性に優れた炭化ケイ素系繊維の製造方法
JPH07103493B2 (ja) 高強度・高弾性率無機繊維及びその製造方法
JPH06146115A (ja) 無機長繊維
JPH0764653B2 (ja) 繊維強化炭素材料
JPH02293379A (ja) シリコンカーバイド系成形物
JPH0417888B2 (ja)
JPH03234821A (ja) 高強度・高弾性率無機繊維の製造方法
JPH0725891B2 (ja) 金属含有多環状芳香族重合体並びにその製造方法
JPH0670138B2 (ja) 珪素含有多環状芳香族重合体並びにその製造方法