JPH0737683B2 - 金属酸化物繊維の製造法 - Google Patents

金属酸化物繊維の製造法

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JPH0737683B2
JPH0737683B2 JP61032208A JP3220886A JPH0737683B2 JP H0737683 B2 JPH0737683 B2 JP H0737683B2 JP 61032208 A JP61032208 A JP 61032208A JP 3220886 A JP3220886 A JP 3220886A JP H0737683 B2 JPH0737683 B2 JP H0737683B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 技術分野 本発明は、金属酸化物繊維の製造法に関する。さらに具
体的には、本発明は、焼成によって所望金属酸化物を与
える水溶性金属化合物またはこれと水分散性金属酸化物
と、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)とを含む
紡糸原液を乾式法により紡糸して、焼成する金属酸化物
繊維の製造法において、紡糸原液の曳糸性を大幅に改良
することによって乾式紡糸、特に連続的な乾式紡糸、を
極めて容易にするとともに、乾式紡糸法の一般的な欠点
であるところの紡糸口金の細孔部における紡糸原液の乾
燥凝固による口金細孔の閉塞現象を防止し、さらに得ら
れる緻密質な前駆体繊維を焼成することによって高強度
の金属酸化物繊維を提供することのできる、金属酸化物
繊維の製造法に関する。
先行技術 所望金属酸化物を与えうる前駆体化合物と有機重合体と
を含む水性液を紡糸および焼成して金属酸化物繊維を製
造する技術は、耐熱性の特に優れるアルミナ繊維やジル
コニア繊維の製造に利用されている。この場合の紡糸法
には、紡糸原液を高速で流れる湿った空気流中に押出し
て吹き飛ばす方法(特公昭55-36726号、同37610号、同5
7-44626号各公報)と、紡糸原液を遠心力で細孔から吹
き出させる遠心紡糸法(特開昭55-20234号、同20239
号、同30467号各公報)とがある。このようにして紡糸
し、焼成して得られる製品は、長さ数センチメートルな
いし数十センチメートルの短繊維であり、また強度も低
いことから主として断熱材に使用されている。
一方、上記方法において用いられているような紡糸原液
は、連続的に乾式紡糸するには曳糸性が不十分であるこ
とから、これを用いて工業的に連続繊維を生産すること
は困難であり、また強度も低いものしかできないという
欠点があった。
また、短繊維および連続繊維に共通する製造上の問題と
して、紡糸口金から直接乾燥雰囲気中へ紡糸する口金の
細孔部で原液が乾燥凝固して細孔が閉塞してしまうとい
う問題もあった。口金細孔の閉塞現象は、用いる紡糸原
液の凝固性を緩慢にすることによって防止することがで
きる。このような凝固性の緩慢な紡糸原液を得るために
は原液の固形分濃度を少し低くしたり、水より蒸気圧が
高くて乾きにくい溶媒を紡糸原液に適量添加したり、PV
Aの添加量を少し増やすなどの数々の方法が試みられて
いる。しかし、このようにすると乾燥雰囲気中で紡糸し
てもフィラメントが凝固するまでの時間が長いのでその
間にフィラメントが切れるため連続紡糸が困難であっ
た。
ところで、繊維が延伸されると繊維の構成分子が引張り
方向に配向して緻密になって強度も向上することは有機
質繊維についてはよく知られていることである。このこ
とは金属酸化物繊維を製造する場合にも同様であること
から、前駆体繊維が緻密であるか否かということは金属
酸化物繊維の強度と密接な関係がある。
〔発明の概要〕
要旨 本発明は上記の点に解決を与えることを目的とし、焼成
によって所望金属酸化物を与える水溶性金属化合物また
はこれと水分散性金属酸化物と、PVAとを含む水性組成
物に第三の成分として水溶性のホウ酸またはホウ酸塩を
添加してから該水性組成物を所望濃度まで濃縮してから
乾式紡糸法で紡糸することによってこの目的を達成しよ
うとするものである。
すなわち本発明による金属酸化物繊維の製造法は、焼成
によって所望金属酸化物を与える水溶性金属化合物また
はこれと水分散性金属酸化物と、ポリビニルアルコール
とを含む水性組成物を、所望濃度に濃縮して乾式紡糸法
によって前駆体繊維を形成させ、これを焼成することか
らなる金属酸化物繊維の製造法において、該水性組成物
に水溶性のホウ酸および(または)ホウ酸塩を添加して
から濃縮して該水性組成物のみかけの粘度をホウ酸およ
び(または)ホウ酸塩無添加の場合と比べて少なくとも
10%増大させて、これを乾燥雰囲気で紡糸することを、
特徴とするものである。
効果 本発明の効果の要点は、金属酸化物連続繊維の先駆体繊
維を乾燥雰囲気中で紡糸することによって容易に製造で
きることであり、すでに述べたような細孔の閉塞という
トラブルもなく、しかも焼成によって優れた強度の製品
が得られるということである。
このような効果は、従来のような金属化合物と有機重合
体との二種の必須成分から成る水性組成物に第三の必須
成分としてホウ酸またはホウ酸塩を添加して濃縮するこ
とによって得られたものである。
ホウ酸またはホウ酸塩のこのような作用は、本発明水性
組成物中においてこれらの添加剤とその他の成分との間
に架橋結合が生成した結果であろうと思われる(しかし
これは本発明の範囲を限定するものではない)。上記添
加剤のこのような作用によって従来の紡糸原液よりは低
い濃縮度(即ち急速には乾燥しないような濃度)でも優
れた曳糸性を持つ紡糸原液が得られるようになった。そ
のため通常の乾式紡糸法によって容易に連続紡糸ができ
るようになるとともに、細孔の閉塞というトラブルも解
決された。
すなわち、本発明は、繊維の早すぎる乾燥を防止するた
めに湿った雰囲気下で紡糸を行う方法という手段の代り
に紡糸原液の粘度を組成物の「変性」によって上昇させ
るという手段に依ったものである。
本発明の紡糸原液は、上記のような優れた曳糸性を持つ
という特徴の他に、優れた延伸性をも兼ねそなえてい
る。そのことはすでに述べたように強い金属酸化物繊維
を得ようとする場合に紡糸原液に要求される重要な性質
である。
以上のような曳糸性と延伸性という二つの性質を兼ねそ
なえているということが本発明紡糸原液の最大の特徴で
あるが、このような紡糸原液は、従来の金属酸化物とPV
Aとの二種の成分からは得られなかったものである。ま
た本発明者の知る限り、金属化合物とホウ酸(またはそ
の塩)との二成分からも、あるいはPVAとホウ酸(また
はその塩)との二成分からも、上記のような紡糸原液は
得られていない。このことから本発明の以上のような効
果は、金属化合物とPVAとホウ酸(またはその塩)との
必須三成分の相乗作用によって生じたものと考えなけれ
ばならない。従って、ホウ酸またはその塩を従来の二成
分に添加することによって上記のような効果を得ること
ができたのは、思いがけなかったことと言えよう。
〔発明の具体的説明〕
紡糸原液 本発明で使用する紡糸原液は、焼成によって所望金属酸
化物を与える水溶性金属化合物またはこれと水分散性金
属酸化物と、PVAとを含む水性組成物にホウ酸および
(または)ホウ酸塩を添加してから所望の濃度まで濃縮
して得られた乾燥雰囲気で優れた曳糸性を示す粘稠性の
水溶液ないし分散液(好ましくは前者)である。
水溶性金属化合物 本発明で対象とする金属の種類は繊維の構成材としての
金属酸化物として何を選ぶかによって決まることはいう
までもなく、水溶性かつ焼成によって酸化物への転換可
能な化合物を与えるものである限り任意のものでありう
る。このような金属化合物としては、例えば、アルミニ
ウム、マグネシウム、ジルコニウムの塩化物、硝酸塩、
これらの塩基性塩などがある。これらは単独でまたは併
用して用いることもできる。また、この水溶性金属化合
物には必要に応じて水分散性金属酸化物を併用すること
ができるが、のような水分散性金属酸化物としては、中
性ないし酸性のシリカゲルやアルミナゾルのようなコロ
イド性の水分散液が好ましい。このように本発明でいう
「金属」とはケイ素を包含するものである。
これらの金属化合物の中でも実用上重要なものは塩基性
塩化アルミニウムであり、この意味で、本発明はアルミ
ナを主な成分とする金属酸化物繊維を製造する場合に特
に有効である。このような塩基性塩化アルミニウムは式
〔Al2(OH)nCl6-nmで表わされる無機高分子化合物であ
って、通常0.1≦n≦5.1、m≦10程度のものの水溶液と
して入手されるが、本発明で使用する場合は、3≦n≦
5、m≦10程度のものが焼成のときの塩素ガス発生量が
少ないので特に好ましい。
PVA 紡糸原液のもう一つの必須成物であるPVAは合目的的な
種々のものでありうる。紡糸原液の曳糸性だけを主とし
て改良するのであれば、PVAは高重合度のものやケン化
度の高いものが優れているといえる。しかし、あまり重
合度が高いものやケン化度の高いものは、水溶性金属化
合物との相溶性がよくない。従って好ましいPVAの重合
度は500〜2500、より好ましくは1000〜2000、である。
本発明では、ケン化度は99%以下の部分的に残留有機酸
基(通常は酢酸基)を有するPVAを使用することができ
る。しかしながら、ケン化度が98%以上の通称完全ケン
化PVAといわれるものは、結晶性が高く、水溶液中でも
分子間の相互作用が大きいため、このようなPVAを使っ
た紡糸原液は曳糸性は優れているものの延伸されにくい
ので緻密な前駆体繊維を得にくいという欠点がある。
従って、本発明で特に好ましいPVAは、伸長度も水溶性
も優れている残留有機酸基を2モル%以上有する部分ケ
ン化物である。
ホウ酸およびホウ酸塩 ホウ酸およびホウ酸塩は紡糸原液の曳糸性を高めるため
に添加されるものであって、この目的を達成するもので
ある限り任意のものでありうる。例えば本発明では塩基
度が2以上のもの、またはそれらの塩、を使用すること
ができる。このようなものとしてはオルトホウ酸、四−
ホウ酸、オルトホウ酸塩、二−ホウ酸塩、五−ホウ酸
塩、八−ホウ酸塩、メタホウ酸、メタホウ酸塩、などを
例示することができる。本発明ではこれらの中から選ば
れた少なくとも1種の化合物を使用すればよい。
このようなホウ酸および(または)ホウ酸塩を添加して
つくった紡糸原液は乾燥雰囲気中において優れた曳糸性
を示すと同時に延伸され易いという長所も有している。
本発明ではオルトホウ酸、オルトホウ酸塩、が特に好ま
しい。
量比 これら必須成分の量比は、すでに述べてきたように優れ
た曳糸性と延伸性を有し、かつ細孔から直接乾燥雰囲気
中へ押出しても細孔が閉塞しない程度に適度の凝固速度
を持つ紡糸原液を得るという条件のもとで任意のもので
ありうる。
本発明紡糸原液の優れた曳糸性は主としてホウ酸または
ホウ酸塩の添加によって得られるものであるが、原液中
のPVAの含有率が水溶性金属化合物の酸化物換算で100重
量部に対して10重量部以上である場合に特に優れた延伸
性を示し、しかも凝固速度も適当なものが得られる。し
かし、あまりPVAが多すぎると原液の凝固性が低下しす
ぎたり、焼成の際の脱離成分が増すことによって焼成物
の強度が低下するいという逆効果が現われるようにな
る。従って、好ましいPVAの添加量は水溶性金属化合物
の相当する酸化物換算で100重量部に対して1〜50重量
部である。
もうひとつの必須成分であるホウ酸またはホウ酸塩は、
上記の金属化合物とPVAとを含む水性組成物に添加して
この水性組織物の粘度を増大させ、さらにこれを濃縮す
ることによって、この濃縮液が乾燥雰囲気中で優れた曳
糸性を示すようにするために添加するものであって、こ
の意味において添加量は任意のものでありうる。しか
し、PVAと同様に過度に用いることは必ずしも良い結果
をもたらさない。従って、上記の目的を達成するために
好ましい添加量は通常水溶性金属化合物の相当する酸化
物換算で100重量部に対して0.01〜10重量部程度であ
る。
本発明では、水性組成物に、たとえば前記した量のホウ
酸またはホウ酸塩を添加して、この水性組成物のみかけ
の粘度をホウ酸ないしホウ酸無添加の場合に比べて少な
くとも10%増大させたものを用いる。
補助成分 上記三成分を必須成分とする本発明紡糸原液には、必要
に応じて次に示すような種々の添加物を加えることもで
きる。
(a)PVA以外の水溶性高分子化合物、たとえばポリア
クリルアミド、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシ
ド、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、
アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、
ヒドロキシアルキルセルロース、澱粉、デキストリンカ
ゼイン、膠、ゼラチンなど。本発明はPVAを繊維形成性
ポリマーとするものであるから、これらの水溶性高分子
化合物の使用量はPVAのそれより少なくあるべきであ
る。
(b)表面活性剤およびPVAに対する可塑剤など、たと
えばアルコール類、グリコール類、グリセリン、アニオ
ン系非イオン系界面活性剤など。
(c)コロイド安定剤、たとえばギ酸、酢酸、塩酸な
ど。
(d)消泡剤、たとえばオクチルアルコール、シクロヘ
キサノールなど高級アルコール系のもの、およびシリコ
ーン系のもの。
このうち(a)および(b)に示したものは、紡糸原液
の急速な凝固を抑制する効果もある。
紡糸原液の製造 紡糸原液は、通常上記金属化合物の水溶液ないし水分散
液とPVA水溶液とを混合して、これを撹拌しながら、ホ
ウ酸またはホウ酸塩の水溶液を少しずつ添加して混合
し、これを濃縮することによって得られる。
各成分は、一時にあるいは任意の順序で段階的に合体さ
せて、最終的に均質な組成の水溶液ないし分散液を得る
任意の方法によって混合することができる。混合は加熱
下に行なってもよい。混合(および濃縮)は好ましくは
80℃以下、特に60℃以下、で行なうことが好ましい。濃
縮は、上記のような配慮の下で加熱下および(または)
減圧下で行なうことがふつうである。このようにして、
通常100ポイズ以上の粘度になるまで紡糸原液を濃縮す
る。
このようにして得られた紡糸原液は乾燥雰囲気中におい
ても優れた曳糸性を示す。
紡糸 本発明紡糸原液は特別の紡糸技術(たとえば、繊維を凝
固させるための特別の凝固溶媒浴を用いたり、逆に凝固
を抑制するための特別の湿度雰囲気中で乾式紡糸をした
りする技術)を必要とせずに通常の乾式紡糸法によって
細孔から直接乾燥雰囲気中へ押出すことによって容易に
繊維化が可能である。
紡糸原液を紡糸する場合の雰囲気は、実質的に空気であ
ることが好ましく、相対混度60%以下の空気雰囲気が特
に好ましい。本発明の紡糸原液は、細孔より押出して高
速の空気流で吹き飛ばすという所謂「吹込み紡糸法」
や、遠心力で吹き飛ばす「遠心紡糸法」においてもその
特徴を発揮しうるが、本発明の紡糸原液は連続紡糸法に
よって連続繊維を紡糸する場合に用いたときに最も好ま
しい特徴を有するものである。この連続紡糸法では、一
般的な乾式紡糸法に従ってたとえば紡糸口金から乾燥雰
囲気中(通常は空気中)へ押し出して繊維状にしながら
連続的に巻取るかあるいは回転ローラーを通して適当な
繊維補集容器に蓄えることによって連続長繊維を得るこ
とができる。このとき、紡糸の際の張力によってフィラ
メントは延伸されて細長化しながら乾燥凝固する。フィ
ラメントを補集する際は適当な方法でこれを加熱して完
全に乾燥させながら補集することが望ましい。
なお、この様に補集された繊維を本発明では先駆体繊維
という。
焼成 上記のようにして製造された前駆体繊維の焼成はそれ自
体公知であり、従って本発明でも合目的的な任意の態様
でこの工程を実施することができる。
本発明では、たとえば、弛緩状態あるいは緊張状態の前
駆体繊維を空気中または不活性ガス雰囲気中で加熱して
PVAやその他の有機物質をゆっくり炭化させ、さらに酸
化性雰囲気下、好ましくは空気中、で加熱して炭化有機
物質を燃焼除去すると共に金属化合物を相当する酸化物
に変換させる。この酸化物はさらに真空中または水素雰
囲気で焼成してもよい。また、加熱はこのように不活性
ガス雰囲気下と酸化性雰囲気下の二段階に行なうことの
外に、一段階に行なってもよい。
実験例 実施例1 塩基度75%、Al 11.1重量%を含有するポリ塩化アルミ
ニウム(以下PACと略す)477gと、ケン化度88%平均重
合度1700のPVAを10重量%溶解した水溶液200gとを十分
に混合して、これにオルトホウ酸水溶液100ml(H3BO3
1.0g含有)を添加してからロータリーエバポレーターを
使って濃縮した。得られた粘稠液は金属酸化物(換算
値)22.1重量%を含有し、20℃で410ポイズの見掛け粘
度を示した。この粘度は、ホウ酸無添加で金属酸化物濃
度を同一にした場合の粘度より43%増であった。
これを孔径100μm、50ホールの紡糸口金相対湿度45%
の空気中に押出して繊維状とし、このフィラメントを約
2mにわたって引伸しながら乾燥凝固させた。引き続き約
150℃の熱風中に、これを通して完全に乾燥させながら
連続的に巻取って前駆体繊維を得た。この前駆体繊維を
空気中で1000℃まで焼成してアルミナ質の連続長繊維を
得た。このもののX線回折像は、この繊維が主としてγ
−アルミナから成ることを示した。この繊維から繊維長
30mmの強度測定用試料を作成して、その繊維径と引張強
度を測定した。10検体の測定値の平均は直径7μm、引
張強度12t/cm2であった(以下の繊維径と引張強度は上
記方法と同様にして測定したものである)。
比較例1 実施例1においてホウ酸を添加しなかった他は全く同じ
条件で、同じ金属酸化物濃度の紡糸原液をつくった。20
℃での見掛け粘度は287ポイズであった。これを実施例
1と同様に紡糸したところ原液の曳糸性は極めて低く、
細孔からはほとんど液滴となって流出した。
次に、これと同じ組成の溶液をより高粘度になるまで濃
縮して見掛けの粘度が446ポイズの紡糸原液を得た。濃
縮時に濃縮フラスコの内壁には部分的に乾燥凝固した固
形物が生成した。粘液部を取り上記と同様に紡糸したが
フィラメントはたびたび切断した。切断した細孔からは
新しいフィラメントが押し出されてきたが、先端には液
滴の乾燥したショットが付着しており、これが繊維の中
に多数混入した。紡糸開始から30分ないし1時間のうち
に多くの細孔部が原液の乾燥凝固による閉塞現象がみら
れた。
実施例2 実施例1と同じPACとPVA水溶液を使って、PAC405gとPVA
水溶液300gとを混合して、これにSiO2を20重量%含有す
るコロイダルシリカ(日産化学製「スノーテックス−
0」)75gを加えた。この混合物にオルトホウ酸水溶液1
00ml(H3BO31g含有)を加えてから実施例1と同様にし
て濃縮して、室温で960ポイズの紡糸原液を得た。この
粘度は、ホウ酸無添加の場合のそれの約39%増であっ
た。これを実施例1と同じ紡糸装置を使って相対湿度33
%の空気中で紡糸し、熱風乾燥してから連続的に巻取っ
て前駆体繊維を得た。これを空気中で1200℃まで焼成し
て平均直径7.5μm、平均引張強度16t/cm2のアルミナ−
シリカ連続長繊維を得た。
比較例2 実施例2においてH3BO3を添加しないで紡糸原液を調整
して紡糸、焼成した。濃縮時に濃縮用フラスコの内壁に
一部固形物が生成し始めた時点で、濃縮を止めた。紡糸
原液の粘度は745ポイズであった。紡糸の際にフィラメ
ントが頻繁に切れるので連続紡糸が困難であった。紡糸
原液の粘稠性をもっと高めるために濃縮度を上げようと
したが、濃縮用フラスコの内壁に乾燥凝固した固形物が
生成してしまうために粘稠性を大巾に向上させることは
できなかった。また、実施例2のH3BO3のかわりにHNO3
を5g添加して濃縮して、715ポイズの紡糸原液を得た。
このものの連続紡糸もH3BO3無添加のものと同様に困難
であった。また、紡糸原液をさらに濃縮して粘稠性を大
巾に向上させることもH3BO3無添加のものと同じ理由で
困難であった。
実施例3 実施例2と同じPAC、PVA水溶液、コロイダルシリカを用
いて、PAC 572g、PVA水溶液 450g、コロイダルシリカ
150gの混合液をつくった。これにホウ砂の100ml水溶
液(Na2B4O7・10H2O、3g含有)を添加して濃縮した。濃
縮液は少し白濁したが20℃で560ポイズの見掛け粘度を
示し、曳糸性も良好であった。この粘度はホウ砂無添加
の場合のそれより68%増であった。これを実施例2と同
様にして、紡糸、焼成して径7μm、15t/cm2のアルミ
ナ−シリカ連続繊維を得た。
実施例4 塩基度80%、Al 12.5重量%含有するPAC421gにMgCl2・6H
2O、1gを加えて溶解させ、さらに実施例1と同じPVA水
溶液200gを加えて混合し、オルトホウ酸水溶液10ml(H3
BO3、0.5g含有)を添加してから実施例1と同様に濃縮
して20℃で405ポイズの粘稠液を得た。これはホウ酸無
添加の場合のそれの42%増であった。この紡糸原液を実
施例1のように紡糸し、空気中で1100℃まで焼成して径
6.8μm、引張強度12t/cm2のγ−アルミナより成る連続
長繊維を得た。
実施例5 オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)40gを実施例1
と同じPAC477gに溶解させ、実施例1と同じPVA水溶液30
0gを混合した後、オルトホウ酸水溶液50ml(H2BO3、0.2
g含有)を添加してから液温40℃以下で減圧濃縮して20
℃で228ポイズの粘稠液を得た。この粘度はホウ酸無添
加の場合のそれの65%増であった。これを実施例1と同
様に紡糸、焼成して径6.5μmの光沢と屈曲性に富んだ
アルミナ−ジルコニア連続長繊維を得た。
実施例6 実施例5においてホウ酸を1.0gとした他は同一条件で同
一濃度(金属酸化物換算)の紡糸液をつくったところ粘
度は855ポイズまで上昇した。これを実施例5と同様に
紡糸、焼成して径7.5μmの光沢と屈曲性に富んだアル
ミナ−ジルコニア連続長繊維を得た。
実施例7 オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)267gを塩化カ
ルシウム(CaCl2・6H2O)5.3gを水300mlに溶解し、これ
にケン化度98%以上の完全ケン化PVA(平均重合度170
0)の10重量%水溶液150gと、実施例1と同じPVA水溶液
150gとを加えて、十分に混合した。この混合液にオルト
ホウ酸水溶液100ml(H3BO3、1.5g含有)を少しずつ加え
て十分に混合した。これを実施例1と同様にして濃縮し
て20℃で125ポイズの粘稠液を得た。この粘度はホウ酸
無添加の場合の32%増であった。この紡糸原液を孔径約
60μmの口金から相対湿度29%の空気中に押出して以下
実施例1と同様に紡糸し、これを空気中で1000℃まで焼
成して径3ないし4μmの細くて屈曲性に富んだジルコ
ニア繊維を得た。
一方、ホウ酸無添加の場合の濃縮度はほとんど曳糸性を
示さないので紡糸が不可能であった。より高濃度にまで
濃縮すると金属塩類が結晶となって析出してきた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼成によって所望金属酸化物を与える水溶
    性金属化合物またはこれと水分散性金属酸化物と、ポリ
    ビニルアルコールとを含む水性組成物を、所望濃度に濃
    縮して乾式紡糸法によって前駆体繊維を形成させ、これ
    を焼成することからなる金属酸化物繊維の製造法におい
    て、該水性組成物に水溶性のホウ酸および(または)ホ
    ウ酸塩を添加してから濃縮して該水性組成物のみかけの
    粘度をホウ酸および(または)ホウ酸塩無添加の場合に
    比べて少なくとも10%増大させて、これを乾燥雰囲気で
    紡糸することを特徴とする、金属酸化物繊維の製造法。
  2. 【請求項2】ポリビニルアルコールの含量が、水溶性金
    属化合物の相当する酸化物換算で100重量部に対して10
    重量部以上含むものである、特許請求の範囲第1項に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】ポリビニルアルコールが、残留有機酸基を
    2モル%以上有する部分ケン化物である、特許請求の範
    囲第1〜2項のいずれか1項に記載の方法。
  4. 【請求項4】水溶性金属化合物が、式 〔Al2(OH)nCl6-nm(ただし3≦n≦5、m≦10)で表
    わされるポリ塩化アルミニウムから主としてなるもので
    ある、特許請求の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載
    の方法。
  5. 【請求項5】水溶性のホウ酸および(または)ホウ酸塩
    の含量が水溶性金属化合物の相当する酸化物換算で100
    重量部に対して0.01〜10重量部である、特許請求の範囲
    第1〜4項のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】紡糸を相対湿度60%以下の空気雰囲気下で
    行なう、特許請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記
    載の方法。
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