JPH0734117U - 組立式埋込定着体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】コンクリート内に埋め込まれるＰＣ鋼棒の定着
部を形成するための、埋込定着体をかさばらない形状
で、安価に製造する。 【構成】定着板１、スリーブ３、フランジ４、組立用パ
イプ５をそれぞれ単独の部品として操作する。定着板１
は中心孔１１に雌ねじ１２を設け、これにパイプ５をね
じ込み、パイプ５の他端のねじをナット６で締めること
によりそれぞれ別体の定着板１、スリーブ３、フランジ
４、型枠１０を一体に結合し、ＰＣ鋼棒９の定着に必要
な空間をコンクリート７中に形成する。スリーブ３は、
コンクリート７打設後、コンクリート中から抜き取るこ
とができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プレストレストコンクリートのＰＣ鋼材定着装置であって組立式埋 込定着体に関する。

【０００２】

【従来の技術】

本出願人は特公昭５１−４４３２９号公報において、図４、図５に示すＰＣ鋼 棒定着装置１００を開示している。この装置１００は、コンクリート１０４内に ＰＣ鋼棒１０３の定着部を定着する定着装置の構造に関するもので、 （ａ）コンクリート１０４内に定着する定着板１０８の一方の面に雌ねじ１０９ つきスリーブ形状のＰＣ鋼棒頭部被覆筒１０６を取付け、他方の面にシース１０ ２に取付ける筒１１５を一体的に結合した雌形金具Ａ （ｂ）上記雌ねじ１０９と係合可能な雄ねじ１１０、フランジ１１１、型枠１２ ０を貫通するロッド１０１を一体的に結合した雄形金具Ｂ の２個の金具をねじ１０９、１１０を係合させることによって着脱自在に組み立 てるように構成したもので、図４にその分解斜視図を示した。そしてこの装置１ ００は図５に示すように、型枠１２０を貫通するロッド１０１によって型枠１２ ０に取付けられるものである。この装置１００はシース１０２の端部に装着され 、シース１０２内に挿通されたＰＣ鋼棒１０３を仮止めしておき、コンクリート １０４を打設後、ナット１０５を外し、型枠１２０を取り去り、ロッド１０１を 捻回してスリーブ１０６のねじ１０９を外し、コンクリート１０４内に定着板１ ０８とスリーブ１０６を残置し、ＰＣ鋼棒１０３にプレストレスを導入し、スリ ーブ１０６内でＰＣ鋼棒１０３を定着板１０８に定着するものである。

【０００３】 この装置１００では、雌形金具Ａは内部に雌ねじを加工したスリーブ１０６を 溶接構造１０７で定着板１０８に固定しなければならず、でき上った雌形金具Ａ 全体が嵩ばった形状となり、運搬その他のハンドリング上も改善が要望されてい た。また、スリーブ１０６は埋め殺しとなるので、経済的にも好ましくない等の 問題がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、 （イ）上記雌形金物Ａの定着板とスリーブとの溶接を不要とし、定着板が雌形金 物Ａのようにかさばる形状となるのを避け、スリーブは繰り返し使用できるよう にすること （ロ）雄形金具Ｂをフランジと切離してかさばらないようにし、スリーブの内ね じを廃止し、簡単化すること （ハ）運搬、取付けなどのハンドリングを容易にすること を課題とし、新規に開発された組立式埋込定着体の構造を提供することを目的と する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記問題点を解決するためになされたもので、中心孔に雌ねじを備 えコンクリート内部に配設される定着板と、この定着板に一端を当接しコンクリ ート内にＰＣ鋼材の定着空間を形成する独立のスリーブと、このスリーブの他の 端面に当接するフランジと、このフランジを貫通し一端は前記定着板の雌ねじに 螺合し他端は型枠外面で締め付けナットに螺合するパイプとからなることを特徴 とする組立式埋込定着体である。定着板に設ける雌ねじは、ＰＣ鋼材を挿通する 孔の内面に設ける。このねじに螺合するパイプは、その内径をＰＣ鋼材が通る寸 法とする。このパイプは、型枠を貫通して型枠外でナットを掛けて締め付け可能 となっている。

【０００６】

【作用】

本考案の組立式埋込定着体は、 ｉ）定着板とスリーブを分離し、フランジと組み立て用ロッド（本考案ではパイ プ）を分離したこと ii）定着体を組み立てるねじを一本のパイプの両端に設けこれを同一のねじとし たこと を特徴とするものである。このような構造としたため、 ａ）スリーブは内部に雌ねじを設ける必要がなく、また定着板に溶接する必要も ないので、金属筒とする必要がなく、例えば合成樹脂筒でもよく、コンクリート 打設後抜き取り容易であり、繰り返し使用することができるので、経済的である 。またＰＣ鋼材にストレスを導入した後、跡埋めするコンクリート又はモルタル がスリーブ内でなく直接コンクリートと付着するので、付着が確実である。 ｂ）定着板は型鍛造により、ねじを含めて簡易に製造することができる。 ｃ）定着板、スリーブ、フランジ、組み立て用ロッド（本考案ではパイプ）がそ れぞれ分離独立の単体となったので、かさばることがなく、運搬、収納、取り扱 い手間、その他ハンドリングが容易となる。 ｄ）組み立てねじも従来のような大小２種類のねじが不要で、パイプの両端外周 に設けたねじでよく、安価に製造することができる。

【０００７】

【実施例】

図１に本考案の実施例の縦断面図を示した。図２はその分解斜視図である。ま た、図３には実施例の組立式埋込定着体を型枠に取付けコンクリートを打設した 状態を示す断面図を示した。 定着板１は中心孔１１に雌ねじ１２を設けてあり、モルタル注入用孔１３を備 えている。またスリーブ３が嵌る位置決め用のリング状突起１４を突出している 。反対側の面にはシース８の端部を挿入するシース筒２を備えている。

【０００８】 スリーブ３は、両端が平行な単独の単なる円筒である。スリーブ３は、金属製 の円筒でもよく、合成樹脂の円筒でもよい。スリーブ３は定着板１のコンクリー ト内深さを規定する長さを有し、ＰＣ鋼棒９の定着に必要な空間をコンクリート ７中に形成する。スリーブ３は、コンクリート７打設後、コンクリート中から抜 き取ることができる。また、スリーブ３は常に両端が平行な円筒である必要はな く、抜き取り易いように、外側の径を太くした円錐台状をしたものでもよい。

【０００９】 フランジ４はスリーブ３の端面に当接する大きさを有し、中心にパイプ５が通 る孔４１を設けてある。フランジ４は、スリーブ３の端面をふさぎ、また、スリ ーブ３を定着板１に押し付けるものである。 パイプ５は、フランジ４を貫通し一端には前記定着板の雌ねじ１２に螺合する ねじ５１を設けてあり、他端には型枠１０外面で締め付けナット６に螺合するね じ５２を設けてある。パイプ５は、実施例の組立式埋込定着体を一体に組み立て るもので、一端のねじを定着板１にねじ込み、他端のねじをナット６で締めるこ とにより定着板１、スリーブ３、フランジ４、型枠１０を一体に結合する。パイ プ５の内径は、ＰＣ鋼棒９が挿通する大きさの孔５３となっている。

【００１０】 図３に示す状態でコンクリート７を打設し、養生後、ナット６を取り外し、型 枠１０を取り去り、フランジ４、スリーブ３を取り去り、パイプ５を抜き取ると 、ＰＣ鋼棒９を定着板１に定着するための空間がコンクリート内に形成される。 ＰＣ鋼棒９を緊張し、定着板１に定着した後、グラウト孔１３からシース内にグ ラウトを施し、ついで定着空間をコンクリート又はモルタルで充填する。この充 填はコンクリート面と密着し、ほぼ永久期間に亘って安定した状態を保持する。 また、本例はＰＣ鋼棒について述べたがＰＣ鋼より線やＦＲＰ製緊張材にも適用 可能である。

【００１１】

【考案の効果】

本考案によれば、簡単な構造の組立式埋込定着体により、定着板とスリーブと の溶接を不要とし、かさばる形状でなく、スリーブは繰り返し使用でき運搬、取 付けなどのハンドリングが容易となり、スリーブは内部に雌ねじを設ける必要が なく、跡埋めするコンクリート又はモルタルが完全となる。

【００１２】 また、安価に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の縦断面図である。

【図２】図１の実施例の分解斜視図である。

【図３】実施例の組立式埋込定着体を型枠に取付けコン
クリートを打設した状態を示す断面図である。

【図４】従来のＰＣ鋼棒定着装置の斜視図である。

【図５】従来のＰＣ鋼棒定着装置のコンクリート内組立
断面図である。

【符号の説明】

１ 定着板 ２ シース筒 ３ スリーブ ４ フランジ ５ パイプ ６ ナット ７ コンクリート ８ シース ９ ＰＣ鋼棒 １０ 型枠

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心孔に雌ねじを備えコンクリート内部
   に配設される定着板と、該定着板に一端を当接しコンク
   リート内にＰＣ鋼材の定着空間を形成する独立のスリー
   ブと、該スリーブの他の端面に当接するフランジと、該
   フランジを貫通し一端は前記定着板の雌ねじに螺合し他
   端は型枠外面で締め付けナットに螺合するパイプとから
   なることを特徴とする組立式埋込定着体。