JPH07317519A - 内燃機関における潤滑・冷却装置 - Google Patents

内燃機関における潤滑・冷却装置

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JPH07317519A
JPH07317519A JP12989194A JP12989194A JPH07317519A JP H07317519 A JPH07317519 A JP H07317519A JP 12989194 A JP12989194 A JP 12989194A JP 12989194 A JP12989194 A JP 12989194A JP H07317519 A JPH07317519 A JP H07317519A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピストンが過冷却または過熱されるのを防止
すると共にシリンダ内壁とピストンとの間に潤滑作用が
常時適正に成されるようにして、ピストンによる騒音や
振動を確実に防止し、内燃機関の排出ガスの清浄化を意
図した内燃機関用シリンダ潤滑装置を提供する。 【構成】 オイルジェット本体3にシリンダ壁潤滑用オ
イル導管4及びピストン冷却用オイル導管5を連通設置
すると共に、前記両導管4,5へのオイル供給口33
a,33bをそれぞれ開閉する圧力弁36を配備し、且
つ、圧力弁36をオイルジェット本体3内の油温によっ
て弁作動させるサーモスタット37を装備して、両オイ
ル供給口33a,33bを圧力弁36によりオイルジェ
ット本体3の潤滑油圧と共に油温に応じて開閉制御する
ように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関のシリンダ壁
の潤滑及びピストンの冷却を行うようにした内燃機関用
潤滑・冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関におけるピストンの冷却
装置として、例えば実開昭57−73341号公報に記
載されたものが知られている。
【0003】これによると、ピストンのクラウン部の裏
側に潤滑油を噴出してピストンの冷却を行うもので、冷
却用の潤滑油供給回路内に設けられた調圧弁の内部に、
感温部を有するサーモスタットにより変位するピストン
からなる油温センサを設け、潤滑油温度に応じて調圧弁
の設定圧力を自動的に調整するようにしたピストンの冷
却装置である。
【0004】しかし、このようなピストンの冷却装置
は、ピストンのクラウン部の裏側のみを冷却しようとす
るものであることから、内燃機関の冷間始動時や高回転
時など、ピストンとシリンダ間の潤滑は、コネクチング
ロッドが掻き上げる潤滑油のみでは間に合わず、ピスト
ンとシリンダ間の潤滑が不十分となって、摩擦抵抗や騒
音の増加などが起こる恐れがある。
【0005】そこで、この点を改良するために、例えば
実開昭58−18006号公報に記載された内燃機関に
おけるシリンダー潤滑装置が提案されている。
【0006】これによると、シリンダの下方に設置され
且つ潤滑油主路に連通させてピストン冷却用のノズル
に、シリンダ壁面を指向するシリンダ壁面潤滑用噴孔を
成形すると共に、該ノズルにおけるピストン冷却用の噴
孔に、潤滑油圧が一定以下の場合に該噴孔を遮断する弁
を装備して、機関運転中における潤滑油圧が高い場合は
ピストン冷却用の潤滑油を噴射すると共に、シリンダ壁
面潤滑用噴孔からシリンダ壁面に向けて潤滑油を噴射
し、また所謂プライミング給油時における油圧の低い場
合にピストン冷却用噴孔を閉鎖することにより、シリン
ダ壁面に対する給油を確実になされるよう意図している
ものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ピストンの
冷却は、内燃機関の運転中に、ピストン冠面から受ける
高熱からピストンを保護するために行うもので、ピスト
ンがそれ程高熱になっていない暖機運転等に、ピストン
を冷却してしまうと、反ってピストンの熱膨張不足から
シリンダ内壁との間で騒音が発生したり、振動が増加す
る要因となり、また燃焼室内の温度をも低下させること
となってしまう。
【0008】このような点から、上記従来技術を検討す
ると、潤滑油圧の高低によってピストン冷却用噴孔を開
閉させることから、ピストン冷却用噴孔による冷却が必
要となるほど機関が高温となっていないときでも、潤滑
油の油圧が上昇すれば、ピストン冷却用噴孔から潤滑油
が噴出されてしまい、必要以上にピストンを冷却するこ
ととなって、ピストンの熱膨張不足からシリンダ内壁と
の間で騒音が発生したり、振動が増加する要因となり、
また燃焼室内の温度をも低下させることとなってしま
う。
【0009】また、内燃機関の長時間運転等によって、
潤滑油の油圧が高くなった場合、従来技術では、シリン
ダ内壁の潤滑と共に、ピストンの冷却をも行うこととな
るが、ディーゼルエンジンや高性能過給機付きエンジン
等の内燃機関においては、ピストンは熱負荷が特に大き
く潤滑油が高温となってしまうこととなり、このような
場合、潤滑油はシリンダ内壁側よりむしろピストン側の
冷却をより多く必要とし、シリンダー内壁側の潤滑はせ
いぜいコネクチングロッドによって掻き上げられた潤滑
油程度で十分であるといえるが、相変わらずシリンダ内
壁に潤滑油が配分されているため、ピストン冷却のため
の潤滑油が不十分となって過熱しまうことが考えられ
る。
【0010】本発明は、かかる点に鑑み、ピストンが過
冷却または過熱されるのを防止すると共にシリンダ内壁
とピストンとの間に潤滑作用が常時適正に成されるよう
にして、ピストンによる騒音や振動を確実に防止し、内
燃機関の排出ガスの清浄化を意図した内燃機関用シリン
ダ潤滑装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の内燃機関用潤滑
・冷却装置は、オイルジェット本体内にシリンダ壁潤滑
用オイル導管及びピストン冷却用オイル導管を連通設置
すると共に、該両導管の開口部を開閉する圧力弁を配備
し、且つ、該圧力弁を前記オイルジェット本体内の油温
によって弁作動させるサーモスタットを装備して、前記
両導管の連通室への開口部を前記圧力弁によりオイルジ
ェット本体内の潤滑油圧および油温に応じて開閉制御す
るように構成した。
【0012】
【作用】オイルジェット本体内の潤滑油圧および油温に
よって、圧力弁がシリンダ壁潤滑用オイル導管及びピス
トン冷却用オイル導管の連通室への開口部を開閉制御
し、ピストンの過冷却又は過熱を防止すると共にシリン
ダ内壁とピストンとの間の潤滑作用を常時適正に行う。
【0013】
【実施例】次に、本発明の第1実施例につき、図1乃至
図5を用いて説明する。
【0014】図1は、本考案の実施例を採用した内燃機
関の要部断面図、図2は、本考案の第1実施例の縦断面
図、図3は同じく平面図、図4は本考案の第1実施例に
使用する圧力弁を潤滑油温により作動させるサーモスタ
ットの縦断面図、図5は第1実施例の作動状態を説明す
る図2と同じ縦断面図である。
【0015】図において、1はシリンダーブロックを示
し、このシリンダーブロック1には、ライナー11がウ
ォータジャケット部12を形成すべく間隙をおいて嵌合
してシリンダー13を形成している。このシリンダー1
3には、ピストン14が往復摺動可能に挿入されてい
る。
【0016】2はシリンダブロック1に形成されたオイ
ルギャラリーで、このオイルギャラリー2は図示しない
オイルポンプに接続している。
【0017】3はオイルギャラリー2により供給された
潤滑油によってシリンダー13の内壁を潤滑し又ピスト
ン14を冷却するオイルジェット本体である。
【0018】このオイルジェット本体3は、一端開口の
有底筒状を呈してオイル収容室30を有し、このオイル
収容室30の底部30aが上側に配されて、前記オイル
ギャラリー2からの潤滑油を導入する導入口31が形成
されている。又オイル収容室30の開口側は、下側に配
されており、蓋体32で閉塞されている。底部30aの
外周には、雄ねじ部30aが刻設され、オイルジェッ
ト本体3をシリンダーブロック1に螺着するようになっ
ている。
【0019】オイルジェット本体3の側壁21には、2
つのオイル供給口33a及び33bが上下方向にそれぞ
れずれて形成されていて、第1のオイル供給口33a
は、上側に位置してシリンダ壁潤滑用オイル導管4の一
端がOリング22によって油密にされて連通しており、
第2のオイル供給口33bは、下側に位置してピストン
冷却用導管5の一端が連通している。
【0020】シリンダ壁潤滑用オイル導管4の他端は、
二股に分かれて前記シリンダ13のピストン14のスカ
ート部14aが接触する方向を指向してオイルを噴出す
るシリンダ壁潤滑用噴出孔4a,4bとなっている。
【0021】ピストン冷却用導管5の他端は、ピストン
14の裏面に指向してオイルを噴出するピストン冷却用
噴出孔5aとなっている。
【0022】前記オイルジェット本体3のオイル収容室
30の内壁には、導入口31との間で、段部34が形成
されている。この収容室30内には、該収容室30内の
潤滑油圧が所定値以上になると、前記両導管4,5と導
入口31とを連通させるキャップ状の圧力弁36がその
底部36a側を導入口31側に位置させて摺動可能に内
蔵されている。また、収容室30には、蓋体32に載置
され固定されたサーモスタット37が内蔵されており、
このサーモスタット37と圧力弁36との間に、スプリ
ング38が縮設されている。前記蓋体32には、空気抜
き孔32aが穿設されている。
【0023】前記サーモスタット37は、図4に示すよ
うに、後述のワックス23を収容する油温センサー室2
4を有し、この油温センサー室24の前記導入口31側
には、前記スプリング38のスプリング支承部25が設
けられている。そして、サーモスタット37の油温セン
サー室24には、スプリング支承部25に形成された摺
動孔25aを摺動するロッド部26aを有する断面T字
形のピストン26が内蔵されており、このピストン26
のピストン部26bの上部側に、油温の上昇により膨脹
するワックス23が内蔵されており、またピストン部2
6bの下部には、リターンスプリング27が縮設されて
いる。したがって、サーモスタット37の初期状態(内
燃機関が運転されていない状態)では、ピストン26
は、リターンスプリング27によって、上方に移動させ
られて、ロット部26aを油温センサー室24の上部よ
り突出させており、潤滑油温が設定値以上に到達する
と、ロッド部26aは油温センサー室24内方向に引き
込まれる。
【0024】そして、図2に示す状態は、内燃機関が運
転されていない初期状態を示しており、圧力弁36はス
プリング38によって段部34方向に付勢されて、第1
のオイル供給口33aおよび第2のオイル供給口33b
と導入口31との連通を遮断している。
【0025】そして、内燃機関が始動され暖機運転等の
状態となると、潤滑油圧および油温が共に上昇するも未
だ低い状態である。この状態では、圧力弁36が図2の
状態で維持されるようにスプリング38のスプリング力
が設定されていることから、導入口31と第1および第
2のオイル供給口33a,33bとの連通が遮断された
状態が維持され、シリンダ壁潤滑用オイル導管4および
ピストン冷却用導管5のいずれからも潤滑油がオイルギ
ャラリー2より供給されていないこととなる(図8のA
の状態)。
【0026】そして、内燃機関が通常走行状態になる
と、潤滑油温は未だ設定値以下であるが、潤滑油圧が設
定値以上に上昇して高圧状態に達することとなる。従っ
て、この潤滑油圧を圧力弁36が受けて、第1のオイル
供給口33aおよび第2のオイル供給口33bよりも下
降して、この第1および第2のオイル供給口33a,3
3bと導入口31とが連通できるように、スプリング3
8のスプリング力が設定されているも、未だ潤滑油温が
設定値以下の低温の状態にあるので、サーモスタット3
7において、そのピストン26のロッド部26aが油温
センサー室24のスプリング支承部25より上方に突出
しているため、このピストン26によって圧力弁36
は、第1のオイル供給口33aと第2のオイル供給口3
3bとの間に保持されていて、第1のオイル供給口33
aのみを開口させている(図5(1)の状態)。この状
態では、オイルギャラリー2から供給された潤滑油は、
導入口31、オイル収容室30および第1のオイル供給
口33aを経て、シリンダ壁潤滑用オイル導管4を通っ
てシリンダ壁潤滑用噴出孔4a,4bから、シリンダー
13の内壁にのみ噴射され、該内壁とピストン14との
間の潤滑作用が十分行われることとなる(図8のBの状
態)。
【0027】また、通常の走行状態で長時間走行した
後、内燃機関をアイドリング状態にした場合等では、潤
滑油の油圧は設定値以下の低圧となるも、油温が未だ設
定値以上の高温で保持されていることから、サーモスタ
ット37において、そのピストン26のロッド部26a
は油温センサー室24の内側に引っ込んでいて、圧力弁
36を下降させようとするも、油圧が設定値以下である
ために、スプリング38の付勢力により、圧力弁36は
上昇し、導入口31と第1および第2のオイル供給口3
3a,33bとの連通を遮断して(図2の状態)、シリ
ンダ壁潤滑用オイル導管4およびピストン冷却用導管5
のいずれにも潤滑油がオイルギャラリー2より供給され
ないこととなる(図8のCの状態)。
【0028】また、長時間高速走行或いは登坂走行等の
内燃機関の高負荷運転時においては、潤滑油の油温が設
定値以上に達するので、この結果、サーモスタット37
におけるピストン26が、ワックス23の膨脹によりリ
ターンスプリング27に抗して下降し、そのロッド部2
6aを油温センサー室24側に引っ込めて、圧力弁36
を、潤滑油の油圧によりスプリング38に抗して下降さ
せ、第1のオイル供給口33aと共に第2のオイル供給
口33bと導入口31とを連通させて(図5(2)の状
態)、オイルギャラリー2から供給された潤滑油を、ピ
ストン冷却用導管5を経てピストン冷却用噴出孔5aよ
り、ピストン14のクラウン部裏面に噴出させて、シリ
ンダー13の内壁の潤滑と共に、ピストン14の冷却を
も行うこととなる(図8のDの状態)。従って、高負荷
運転時におけるシリンダー13の内壁の潤滑及びピスト
ン14の冷却が確実に行われることとなる。
【0029】図6は、本考案の第2の実施例を示すもの
で、前述第1実施例に対して、圧力弁36を、若干長め
なものを使用しており、その底部36aをサーモスタッ
ト37側に向けて、オイル収容室30内に摺動可能に内
蔵させたもので、この圧力弁36の側部には、第1及び
第2オイル供給口33a,33bを同時に開口させるよ
うな大きさを持った連通孔36bが穿設されている。
【0030】そして、内燃機関が運転されていない初期
状態では、図6(1)に示すとおり、圧力弁36は、ス
プリング38によって段部34方向に付勢されて、第1
及び第2のオイル供給口33a,33bと導入口31と
の連通を遮断している。
【0031】内燃機関が暖機運転等になると、潤滑油圧
及び油温が上昇するも、未だ設定値以下であるために、
図6(1)に示す状態が維持され、圧力弁36は、スプ
リング38によってオイル収容室30の段部34側に移
動して、第1及び第2オイル供給口33a,33bと導
入口31とを連通させていない(図8のAの状態)。
【0032】そして、内燃機関が通常走行状態になる
と、油温は未だ設定値以下であるが、油圧が設定値以上
に上昇することから、図6(2)に示すように、圧力弁
36は、この油圧を受けて下降するも、サーモスタット
37のロッド部26aに当接して、連通孔36bを第1
のオイル供給口33aのみに連通させて、シリンダー壁
潤滑用オイル導管4aのシリンダ壁潤滑用噴出孔4a,
4bから、潤滑油をシリンダー13の内壁に噴出させる
(図8のCの状態)。
【0033】また長時間高速走行或いは登坂走行等の内
燃機関の高負荷運転時においては、潤滑油温が設定値以
上に達する結果、図6(3)に示すように、サーモスタ
ット37のロッド部が引っ込んで、圧力弁36を更に下
降させて、連通孔36bが第2のオイル供給口33bに
も連通することとなり、潤滑油は、シリンダー13の内
壁の潤滑と共に、ピストン冷却用導管5のピストン冷却
用噴出孔5aより噴出されて、ピストン14の冷却をも
行うこととなる(図8のDの状態)。
【0034】図7(1)は、本考案による第3実施例を
示すもので、前記第2実施例に対し、圧力弁36の連通
孔36bの大きさを、第1のオイル供給口33aまたは
第2のオイル供給口33bそれぞれの大きさより大であ
るが、両オイル供給口33a,33bの両者が同時に連
通できないほど小になっている。従って、内燃機関の初
期状態、暖機運転状態及び通常走行状態では、上記第1
及び第2実施例と同様な作動を行うが(図9のE、F及
びGの状態)、高負荷運転時には、圧力弁36は、第2
のオイル供給口33aを閉じ、第2のオイル供給口33
bのみに連通孔36bを連通させ、オイルジェット本体
3によるシリンダー13の内壁の潤滑を遮断して、ピス
トン14の冷却のみ行うようになっている(図9のHの
状態)。
【0035】従って、この第3実施例は、ディーゼルエ
ンジンや高性能過給機付きエンジン等の内燃機関におけ
る長時間運転等に対処したもので、このような場合、ピ
ストンに熱負荷が特に大きくかかり潤滑油が高温となる
が、オイルジェット本体3から供給される潤滑油をすべ
てピストン14側の冷却に振り向け、シリンダー内壁側
はコネクチングロッドによって掻き上げられた潤滑油に
よって潤滑を行うようにしたものである。この結果、ピ
ストン14の冷却を十分行って、熱負荷によるピストン
14の焼き付き、摩耗、変形等を防止したものである。
【0036】図7(2)は、本考案の第4実施例を示す
もので、圧力弁46は、オイルジェット本体3のオイル
収容室30を上室30b及び下室30cに区画し、且つ
潤滑油圧を受けてオイル収容室30に摺動可能に収容さ
れており、下部開口の有底筒状のものを使用して油温セ
ンサー室44を形成している。この油温センサー室44
内には、ピストン45が挿入されている。このピストン
45のロッド部45aは、前記圧力弁46の下部に突出
形成された筒状のロッド案内部46aを挿通して、オイ
ル収容室30の下室30cに突出している。
【0037】前記ピストン45のピストン部45bと油
温センサー室44の上壁44aとの間には、リターンス
プリング45が縮設されている。またピストン部45b
と油温センサー室44の下壁44bが区画形成する小室
には、ワックス43が封入されている。
【0038】更に、圧力弁46とオイルジェット本体3
の開口部を塞ぐ蓋体42との間には、圧力弁46を、導
入孔31側に付勢するスプリング48が縮設されてい
る。
【0039】そして、図示する状態は、内燃機関が運転
されていない初期状態を示しており、圧力弁46によっ
て第1及び第2のオイル供給口33a,33bはいずれ
も閉じられており、この状態は潤滑油圧及び油温が共に
低い暖気運転等に引き継がれる(図8のA状態)。
【0040】この状態より、通常走行状態に入ると、潤
滑油圧が設定値以上に到達して圧力弁46を下降させる
も、潤滑油温が未だ設定値以下であるので、ワックス4
3が膨脹しないので、ピストンロッド45のロッド部4
5aが図に示すような突出状態に保持されて、蓋体42
に当接して圧力弁46を第1のオイル供給口33aのみ
を開口し、シリンダー13の内壁への潤滑を行うことと
なる(図8のB状態)。
【0041】又、通常の走行状態で長時間走行した後、
内燃機関をアイドリング状態にした場合等では、潤滑油
温は未だ高く設定値以上であるので、ワックス43が膨
脹してロッド部45aを油温センサー室44内に引っ込
んでいるも、油圧が設定値以下の低圧となることから、
スプリング48の付勢力により圧力弁46は、上昇し
て、第1及び第2のオイル供給口33a,33b共に閉
じて、シリンダー13の内壁の潤滑及びピストン14の
冷却のいずれも行われないこととなる(図8のCの状
態)。
【0042】更に、長時間高速走行或いは登坂走行等の
内燃機関の高負荷運転時では、潤滑油温が上昇して設定
値以上に達するので、ピストン45のロッド部45aが
ワックス43の膨脹により油温センサー室44にリター
ンスプリング47に抗して引っ込むことにより、圧力弁
46が潤滑油圧により下降して、第1のオイル供給口3
3aと共に第2のオイル供給口33bをも開口して、シ
リンダー13の内壁の潤滑と共に、ピストン14の冷却
が行われることとなる。
【0043】
【発明の効果】以上の構成にかかる本発明の内燃機関に
おける潤滑・冷却装置は、オイルジェット本体にシリン
ダ壁潤滑用オイル導管及びピストン冷却用オイル導管を
連通設置すると共に、前記両導管へのオイル供給口をそ
れぞれ開閉する圧力弁を配備し、且つ、該圧力弁を前記
オイルジェット本体内の油温によって弁作動させるサー
モスタットを装備して、前記両オイル供給口を前記圧力
弁によりオイルジェット本体の潤滑油圧と共に油温に応
じて開閉制御するように構成したので、オイルジェット
本体内の潤滑油圧と共に油温によっても、圧力弁がシリ
ンダ壁潤滑用オイル導管及びピストン冷却用オイル導管
へのオイル供給口をそれぞれ開閉制御して、内燃機関の
運転状況に合わせて、シリンダ内壁に潤滑油を噴射する
ことによって、シリンダ内壁とピストンとの間の潤滑状
態を良好にして、摩擦低減による燃費向上や機関の高回
転を得ることができることはもちろん、ピストン冷却用
オイル導管へのオイル供給口は、潤滑油温により開閉制
御されることとなって、潤滑油温に応じたピストン冷却
機能を果たすことができ、よって、ピストンの過冷却、
延いては機関の燃焼室の過冷却を防止することができ、
暖機運転の時間短縮を図ることができると共に、機関の
騒音・振動を低減させ、排気ガスのより一層の清浄化を
図ることができる。特に、本発明では、潤滑油圧と共に
潤滑油温により圧力弁を制御することにより、ディーゼ
ルエンジンや高性能過給機付きエンジン等の内燃機関に
おいて、ピストンが大きな熱負荷を受けた場合に、シリ
ンダー内壁への潤滑油の供給を遮断して、潤滑油をピス
トンの冷却のみに振り分けるようにできるのでピストン
の冷却を充分にして、ピストンの加熱による焼き付き、
摩耗、変形等を確実に防止することができることとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を採用した内燃機関の要部断面
図である。
【図2】本考案の第1実施例の初期状態を示す縦断面図
である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】本考案の第1実施例に使用する圧力弁を油温に
より作動させるサーモスタットの縦断面図である。
【図5】第1実施例の作動状態を示す図2と同じ縦断面
図であり、(1)は潤滑油の低圧・低温時を示し、
(2)は同じく高圧・高温時を示している。
【図6】本考案の第2実施例の要部断面図であり、
(1)は初期状態、(2)は潤滑油圧が設定値以上で、
油温が設定値以下の場合を示し、(3)は潤滑油圧及び
油温が設定値以上の場合を示す。
【図7】(1)は本考案の第3実施例の要部断面図、
(2)は本考案の第4実施例の要部断面図である。
【図8】本考案の第1実施例、第2実施例および第4実
施例の作動状態を説明するためのマトリックス図であ
る。
【図9】本考案の第3実施例の作動状態を説明するため
のマトリックス図である。
【符号の説明】
3 オイルジェット本体 4 シリンダ壁潤滑用導管 5 ピストン冷却用導管 13 シリンダー 14 ピストン 24,44 油温センサー室 30 オイル収容室 31 導入口 33a 第1のオイル供給口(シリンダ壁潤滑用導管
側) 33b 第2のオイル供給口(ピストン冷却用導管側) 36 46 圧力弁 37 サーモスタット 38 スプリング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オイルジェット本体にシリンダ壁潤滑用
    オイル導管及びピストン冷却用オイル導管を連通設置す
    ると共に、前記両導管へのオイル供給口をそれぞれ開閉
    する圧力弁を配備し、且つ、該圧力弁を前記オイルジェ
    ット本体内の油温によって弁作動させるサーモスタット
    を装備して、前記両オイル供給口を前記圧力弁によりオ
    イルジェット本体の潤滑油圧と共に油温に応じて開閉制
    御するように構成したことを特徴とする内燃機関におけ
    る潤滑・冷却装置。
  2. 【請求項2】 前記圧力弁は、オイルジェット本体の油
    圧が設定圧以上で且つ油温が設定温以下のとき前記シリ
    ンダ壁潤滑用オイル導管側の前記オイル供給口のみを開
    口し、オイルジェット本体の油圧が設定圧以上で且つ油
    温が設定温以上のとき前記シリンダ壁潤滑用オイル導管
    側のオイル供給口および前記ピストン冷却用オイル導管
    側のオイル供給口を開口するように構成した請求項1記
    載の内燃機関における潤滑・冷却装置。
  3. 【請求項3】 前記圧力弁は、オイルジェット本体の油
    圧が設定圧以上で且つ油温が設定温以下のとき前記シリ
    ンダ壁潤滑用オイル導管側のオイル供給口のみを開口
    し、オイルジェット本体の油圧が設定圧以上で且つ油温
    が設定温以上のとき前記ピストン冷却用オイル導管側の
    オイル供給口のみを開口するように構成した請求項1記
    載の内燃機関における潤滑・冷却装置。
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