JP4300922B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に関する。
内燃機関の潤滑油(オイル)は、温度が低いと粘性が高いため、内燃機関の効率を低下させる。
そして、排気ポートの下にオイル通路パイプを通すことにより、油温を効率よく上昇させる技術(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
実開平6−40305号公報 特開平11−81954号公報 特開2000−297622号公報 実開平2−78703号公報
ところで、オイルの温度を更に速やかに上昇させることができれば、内燃機関の効率を更に向上させることができる。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、内燃機関において、オイルの温度をより速やかに上昇させることができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために本発明による内燃機関は、以下の手段を採用した。即ち、
内燃機関の燃焼室に接続され該燃焼室内から排出される排気が流通する排気ポートと、
シリンダヘッドへ供給されたオイルが流通する箇所に開口部を有し、該シリンダヘッドへ供給されたオイルが該シリンダヘッドから排出されるときに通過するオイル落し通路と、
オイルの温度が低いほど前記オイル落し通路を流通するオイルの量を減少させるオイル流通量調整手段と、
を備え、
前記シリンダヘッドは、前記オイル落し通路の開口部にオイルが集まるように形成され、且つ、前記オイル落し通路の開口部は、前記排気ポートを流通する排気の熱を受け該開口部においてオイルの温度が上昇するように排気ポートの近傍に形成されていることを特徴とする。
本発明の最大の特徴は、内燃機関の冷間始動時等のオイルの温度が低い場合であっても、温度の上昇が早い排気ポート近傍にオイルを集め、排気の熱を利用してオイルの温度を速やかに上昇させることにある。
即ち、冷間始動時等であって内燃機関全体の温度が低い場合でも、燃焼室から排出される排気により排気ポート壁面の温度は他の部位と比較して温度が早く上昇する。そして、排気ポート周辺にはその熱が伝わる。従って、この熱が伝わる位置にオイルを流通させる
と、オイルの温度を速やかに上昇させることができる。また、前記熱が伝わる位置にオイルを集めることにより、オイルがより多くの熱を受け、より速やかにオイルの温度が上昇する。そして、オイル流量調整手段によりオイルの温度が低いほど前記オイル落し通路を流通するオイルの量を少なくすることにより、オイルの受ける熱量が増加する。これにより、オイルの温度を速やかに上昇させることが可能となる。一方、オイルの温度が高くなると、オイル落し通路を流通するオイルの量が増加するので、オイルが必要以上に熱を受けることを抑制することが可能となる。
本発明においては、前記オイル落し通路は、前記排気ポートを流通する排気の熱を受けて該オイル落し通路を流通するオイルの温度が上昇する位置に形成されていても良い。
前記したように、排気ポートの近傍は温度の上昇が早いため、ここへオイルを流通させることにより、オイルの温度を速やかに上昇させることができる。即ち、前記したように、オイル落し通路の開口部を排気ポート近傍に設けることにより、オイル落し通路にオイルが流入するときに該オイルの温度を上昇させることができるが、更に、オイル落し通路を排気ポート近傍に設けることにより、該オイル落し通路においても排気の熱を受けることができ、より速やかにオイルの温度を上昇させることができる。
本発明においては、前記オイル落し通路の開口部に形成され、前記シリンダヘッドへ供給されたオイルを一時貯留可能で、且つ前記排気ポートを流通する排気の熱を受け、一時貯留されたオイルの温度を上昇させるオイル貯留手段を更に備えていても良い。
前記したように、排気ポートの近傍は温度の上昇が早いため、この近傍にオイルを一時貯留させることにより、より多くの熱を受けオイルの温度をより速やかに上昇させることができる。
本発明に係る内燃機関では、排気ポートを流通する排気の熱をオイルに多く伝えることができ、該オイルの温度を速やかに上昇させることができる。
以下、本発明に係る内燃機関の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る内燃機関を車両駆動用のガソリン機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、本実施例に係るエンジンの概略構成を示す図である。
図1に示すエンジン1は、4サイクル・ガソリン機関である。エンジン1は、シリンダヘッド1a、シリンダヘッド1aの下部に連結されたシリンダブロック1b、シリンダブロック1bの更に下部に連結されたオイルパン1cを備えて構成される。
シリンダブロック1bは、往復運動を行うピストン2及び該ピストン2の往復運動を回転運動に変換するクランクシャフト3を備えて構成される。ピストン2はピストンピン(図示省略)を介してコネクティングロッド4の一端と接続され、該コネクティングロッド4の他端は、クランクシャフト3と接続されている。
シリンダヘッド1aには、吸気ポート5及び排気ポート6が形成されており、この吸気ポート5及び排気ポート6と燃焼室7との境界には、上下に往復し該吸気ポート5及び排気ポート6を開閉する吸気弁8及び排気弁9が備えられている。吸気弁8は吸気カムシャ
フト10により、排気弁9は排気カムシャフト11により上下に往復される。以下、クランクシャフト3、吸気カムシャフト10、排気カムシャフト11が摺動する箇所を被潤滑部と称する。
一方、シリンダブロック1bには、クランクシャフト3の回転数に応じた量のオイルを吐出するオイルポンプ12が備えられている。このオイルポンプ12には、オイル通路13が接続されている。オイル通路13の途中には、オイルを被潤滑部に分配するメインオイルギャラリ14が設けられている。また、オイル通路13は、オイルパン1cに貯留されているオイル中にその一端が開口している。一方、オイル通路13の他端は、クランクシャフト3、吸気カムシャフト10、排気カムシャフト11等の被潤滑部に接続されている。そして、オイルパン1cに貯留されているオイルは、オイルポンプ12によりメインオイルギャラリ14へ汲み上げられ、その後、オイル通路13を流通して前記被潤滑部に供給される。その結果、被潤滑部の潤滑が行われる。
尚、シリンダヘッド1aには、動弁室1dが形成され、該動弁室1dに吸気カムシャフト10や排気カムシャフト11が設置されている。そして、シリンダヘッド1aの被潤滑部に供給されたオイルは、動弁室1d内に流れ落ちる。
ここで、エンジン1には、シリンダヘッド1aの動弁室1dとオイルパン1cを連通するオイル落し通路15が設けられている。このオイル落し通路15は、動弁室1dからシリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bを貫通してオイルパン1cに至る通路である。オイル落し通路15は、動弁室1dの底面に開口しているが、この開口部にオイルが集まりやすいように、該開口は動弁室1dの底面の比較的低い部分に形成されている。また、該開口にオイルを集まりやすくするために、動弁室1dの底面を傾斜させ開口部が低くなるようにしても良い。
更に、オイル落し通路15の開口部は、排気ポート6の近傍で且つ排気ポート6を流通する排気の熱を受けやすい位置に形成する。
ここで、図2は、シリンダヘッド1aの形状図である。図2(A)はシリンダヘッド1aの下面視、図2(B)はシリンダヘッド1aの上面視である。
オイル落し通路15は、一の気筒の燃焼室に接続されている排気ポートと、それに隣接する他の気筒の燃焼室に接続されている排気ポートと、の間に形成されている。
また、排気ポート6の上側、及び、オイル落し通路15の開口部には、シリンダブロック1b側へ窪み、オイルを一時貯留可能なオイル溜まり16が設けられている。このオイル溜まり16は、オイル落し通路15の開口部周辺の動弁室1dの底面を一部窪ませたものであり、且つ全ての気筒に接続される全ての排気ポートの上側を覆うように形成されている。
このように構成されたシリンダヘッド1aでは、シリンダヘッド1aの被潤滑部を潤滑したオイルは、動弁室1d内に流れ落ちる。その後、オイルは動弁室1dの底面を流れてオイル落し通路15の開口部に集められ、最初にオイル溜まり16に流入し、該オイル溜まり16に一時滞留する。そして、開口部から自重によりオイル落し通路15を落下してオイルパン1cに戻される。
ここで、オイル溜まり16は、排気ポート6を流通する排気の熱を受ける位置に設けられているため、オイル溜まり16に滞留しているオイルは加熱され温度が速やかに上昇される。
また、動弁室1dに設けられたオイル落し通路15の開口部は、排気ポート6を流通する排気の熱により暖められ、該開口を通過するオイルの温度が上昇される。
更に、オイル落し通路15を排気ポート6の近傍に設けることにより、オイル落し通路15を流通するときにも、オイルは排気の熱を受けることができるので、更に速やかな温度上昇が可能となる。
一方、シリンダヘッド1aとシリンダブロック1bとの合わせ面であって、シリンダヘッド1a側のオイル落し通路15には、温度が高くなるに従い開弁量が大きくなる油量調整弁17が備えられている。この油量調整弁17は、例えば、温度に応じて変形するバイメタルを用いて、自動的に開度が調整されるものであっても良く、また、オイルの温度をセンサにより測定し、この測定された温度に基づいて弁開度がモータ等により調整されるものであっても良い。この油量調整弁17は、オイルの温度がいかに低くても、完全に閉弁することはない。
このような油量調整弁17を備えることにより、オイルの温度が低い場合には、オイル落し通路15を流通するオイルの速度が低下し、また、オイル溜まり16にオイルが滞留する時間が長くなり、オイル落し通路15やその開口部、及びオイル溜まり16においてより多くの熱を受けることが可能となる。
尚、本実施例においては、油量調整弁17を備える代わりに、オイル落し通路15の通路断面積を一部小さくしておいても良い。
図3は、オイル落し通路15の途中に絞り15aを備えたエンジンの概略構成図である。このように、通路断面積を一部小さくしておくと、オイルの温度が低く粘性が高い場合には、該オイルは流れ難くなりオイル溜まり16に貯留されるオイルの量を多くし、また、オイル落し通路15を流通するオイルの速度を遅くすることができる。一方、オイルの温度が高くなり粘性が低下すると、該オイルは流れやすくなりオイルパン1cに速やかに流れ落ちる。
尚、本実施例においては、メインオイルギャラリ14を排気ポート6の直下のシリンダヘッド1aに設けるようにしても良い。
図4は、メインオイルギャラリ14を排気ポート6の直下に設けたエンジンの概略構成を示す図である。
メインオイルギャラリ14を排気ポート6の直下に設け、更に、メインオイルギャラリ14からクランクシャフト3へ至るオイル通路13の途中には、サブオイルギャラリ14aが設けられている。このサブオイルギャラリ14aから、クランクシャフト3の被潤滑部にオイルが供給される。このようにすることで、メインオイルギャラリ14に蓄えられたオイルが排気の熱を受けることができ、オイルの温度を速やかに上昇させることができる。
以上説明したように、本実施例によれば、エンジン1の冷間始動時等であって、オイルの温度が低い場合には、オイル溜まり16でオイルが受ける熱量が増大し、オイルの温度を速やかに上昇させることができる。これにより、エンジン1の暖機を速やかに完了させることができる。また、オイルの温度を速やかに上昇させることにより、該オイルの粘性を速やかに低下させることができ、エンジン1の効率を向上させることができる。従って、燃費を向上させることができる。
一方、オイルの温度が高くなると、オイル落し通路15を流通するオイルの量が増加するので、必要以上に排気の熱を受けることがなく該オイルの温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
本願発明の実施例に係るエンジンの概略構成を示す図である。 図2(A)はシリンダヘッドの下面視、図2(B)はシリンダヘッドの上面視である。 オイル落し通路の途中に絞りを備えたエンジンの概略構成図である。 メインオイルギャラリを排気ポートの直下に設けたエンジンの概略構成を示す図である。
符号の説明
1 エンジン
1a シリンダヘッド
1b シリンダブロック
1c オイルパン
1d 動弁室
2 ピストン
3 クランクシャフト
4 コネクティングロッド
5 吸気ポート
6 排気ポート
7 燃焼室
8 吸気弁
9 排気弁
10 吸気カムシャフト
11 排気カムシャフト
12 オイルポンプ
13 オイル通路
14 メインオイルギャラリ
14a サブオイルギャラリ
15 オイル落し通路
16 オイル溜まり
17 油量調整弁

Claims (3)

  1. 内燃機関の燃焼室に接続され該燃焼室内から排出される排気が流通する排気ポートと、
    シリンダヘッドへ供給されたオイルが流通する箇所に開口部を有し、該シリンダヘッドへ供給されたオイルが該シリンダヘッドから排出されるときに通過するオイル落し通路と、
    オイルの温度が低いほど前記オイル落し通路を流通するオイルの量を減少させるオイル流通量調整手段と、
    を備え、
    前記シリンダヘッドは、前記オイル落し通路の開口部にオイルが集まるように形成され、且つ、前記オイル落し通路の開口部は、前記排気ポートを流通する排気の熱を受け該開口部においてオイルの温度が上昇するように排気ポートの近傍に形成されていることを特徴とする内燃機関。
  2. 前記オイル落し通路は、前記排気ポートを流通する排気の熱を受けて該オイル落し通路を流通するオイルの温度が上昇する位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記オイル落し通路の開口部に形成され、前記シリンダヘッドへ供給されたオイルを一時貯留可能で、且つ前記排気ポートを流通する排気の熱を受け、一時貯留されたオイルの温度を上昇させるオイル貯留手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
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