JP4858500B2 - エンジンの潤滑装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車等の車両用の多気筒型エンジン(内燃機関)に装備されるドライサンプ式の潤滑装置に関する。
特に、本発明に係るドライサンプ式の潤滑装置は、多気筒型エンジンのクランクケースからオイルをポンプで取り出して、前記エンジンから離隔したオイル貯留部に一旦貯留し、このオイル貯留部内のオイルを前記エンジンのメインギャラリやピストン冷却用のオイルジェット等へ供給するような構成になっている。
一般的に、ドライサンプ式の潤滑装置は、クランクケースからオイルやブローバイガスをスカベンジングポンプによって取り出し、クランクケースから離隔設置したオイルタンクに一旦貯留し、このオイルタンク内のオイルをフィードポンプによってエンジンのメインギャラリやオイルジェット等に供給するように構成されている(例えば特許文献1,2参照。)。
なお、オイルジェットは、公知のようにピストンを冷却するために、ピストンの裏側にオイルを噴射するものである。
このようなドライサンプ式の潤滑装置を装備するエンジンの場合、オイルタンク内でオイルを安定的に貯留できるので、クランク室内でのオイルの片寄りや泡立ちを防止できる等、フリクションロスを低減することが可能になるとともに、エンジンの被潤滑部位へオイルを安定的に供給することが可能になるというメリットがある。
その他、ドライサンプ式の潤滑装置を装備するエンジンの場合、その下部に一般的なエンジンのオイルパンに比べて大幅に小さいオイル貯留空間を確保すればよいので、あるいは一般的なエンジンの下部のオイルパンを無くすことが可能になるので、エンジンの小型化、低重心化が可能になるというメリットもある。このことから、ドライサンプ式の潤滑装置は、一般的に、スポーツカー用のエンジンに好適に採用される。
特開2000−227016号公報 特開2004−156451号公報
近年では、ドライサンプ式の潤滑装置を装備するエンジンにおいて、高回転高出力化を図るために、クランクケースをクランクシャフトのクランクジャーナルの位置毎に仕切り壁で仕切ることにより、クランクシャフトの各クランクピンが配置される空間を独立した部屋(クランク室)とし、各クランク室から個別にオイルを回収するように構成することが考えられている。
このようにクランクケースを複数のクランク室に区画すると、各クランク室間のガス流れによるポンプロスを大幅に低減できるので、フリクションロスならびに燃焼室へのオイル上がりを可及的に低減することが可能になって、高回転高出力化を図るうえで有利になると考えられている。
しかしながら、その場合、各クランク室内での圧力変動の振幅が大きくなるとともに、圧力変動のピークがエンジンの低回転側で発生するようになるために、例えばエンジンの低回転側において、クランク室が負圧になるときにオイルが逆流するなどしてオイル回収が悪化する他、クランク室が正圧のピークになるときに燃焼室へのオイル上がりが発生しやすくなって、オイル消費が増大することが懸念される。
そこで、前記仕切り壁に隣り合うクランク室を連通させるための連通路を設けると、圧力変動の振幅を小さくすることが可能になって、前記懸念された不具合を低減することが可能になる。
なお、連通路の開口面積を大きくすればするほど、圧力変動のピークがエンジンの高回転側に移動するようになる。しかし、連通路の開口面積を大きくし過ぎると、前記のようにクランクケースを複数に区画することの意味が無くなって、エンジンの高回転域でのポンピングロスの増大が懸念される。かといって、連通路の開口面積を小さくし過ぎると、連通路を設けない場合と遜色なくなる。ここに改良の余地がある。
ところで、例えば特開2007−40148号公報には、必要に応じて、オイルジェットからのオイル供給を遮断することが記載されている。
しかし、この先行技術は、ドライサンプ式の潤滑装置を装備するものではなく、また、クランクケースを複数のクランク室に区画したうえでクランク室を連通させるための連通路を設けて、圧力変動が大きくなるエンジン回転域を特定するといった記載が見られない。また、この先行技術では、オイル温度が低いモードのときや、オイル温度が一定温度以上でかつエンジン出力が小さい運転モードのときに、オイルジェットからのオイル供給を遮断し、オイル温度が一定温度以上でかつ一定エンジン出力以上となる運転モードのときに、オイルジェットからのオイル供給を行うようにしており、本発明とは相違している。このように、前記先行技術は、あくまでも参考例として提示しているだけである。
このような事情に鑑み、本発明は、多気筒型エンジンに装備されるドライサンプ式の潤滑装置において、エンジン回転域の広域におけるフリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりを可及的に低減可能とすることを目的としている。
本発明は、多気筒型エンジンのクランクケースからオイルをポンプで取り出して、前記エンジンから離隔したオイル貯留部に一旦貯留し、このオイル貯留部内のオイルを前記エンジンのメインギャラリやピストン冷却用のオイルジェット等へ供給する潤滑装置であって、前記クランクケースに、クランクシャフトのクランクジャーナルの位置毎に仕切る仕切り壁を設けることにより、クランクシャフトの各クランクピンが配置される空間を独立したクランク室としたうえで、前記仕切り壁に連通路を設け、前記クランク室内の圧力変動が大きくなるエンジン回転域において前記オイルジェットからのオイル噴射を禁止する、ことを特徴としている。
この構成では、クランク室内の圧力変動が大きくなるエンジン回転域において、オイル噴射を禁止することによりクランク室に集まるオイル量を可及的に少なくするようにしている。
これにより、クランク室内の圧力変動が大きくなるエンジン回転域において、クランク室内に集まるオイルが少なくなるので、オイルの飛散、攪拌を低減することが可能になり、フリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりを低減するうえで有利となる。
そもそも、前記の構成のように、クランクケース内を仕切り壁で複数のクランク室に区画している場合、高回転域でのオイル回収性能が向上して、フリクションロスが低減される傾向となる。
このような仕切り壁に連通路を設ける場合には、この連通路の開口面積を任意に調整することでクランク室内の圧力変動のピークが発生するエンジン回転域を特定することが可能になる。
ちなみに、連通路の開口面積を大きくすればするほど、クランク室内の圧力変動のピークが、エンジンの高回転側で発生するようになる。逆に言えば、前記連通路の開口面積を小さくすればするほど、クランク室内の圧力変動のピークが、エンジンの低回転側で発生するようになる。
一般的に、エンジンの高回転域では、ピストンの温度が上昇しやすいので、オイルジェットからのオイル噴射を行ってピストン冷却を行うことが好ましいが、エンジンの低回転域では、ピストンの温度が上昇しにくいので、オイルジェットからのオイル噴射を行わなくても差し支えないと言える。
これらのことを考慮すると、例えばドライサンプ式の潤滑装置を採用する可能性の高い高回転高出力型エンジンを設計する場合、連通路の開口面積を可及的に小さくすることにより、クランク室内の圧力変動のピークを、エンジンの高回転側で発生させずに、低回転側で発生させるように画策するのが好ましいと言える。
その理由としては、そもそも、高回転域でのオイル回収性能を高めるように仕切り壁を設けているので、高回転域においてオイル噴射によるピストン冷却を積極的に行えるようになる。その一方で、低回転域において圧力変動のピークを発生させるように連通路の開口面積を特定したうえで、そのときのオイル噴射を禁止させるようにすると、クランク室内に集まるオイルが少なくなるので、圧力変動が大きくなる低回転域でもオイルの飛散、攪拌を低減することが可能になる。このように、エンジン回転域の広域において、フリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりを低減することが可能になる。
好ましくは、前記オイル噴射の禁止は、現エンジン回転数が、前記クランク室内の圧力変動がピークとなるときのエンジン回転数より高い側に設定される閾値以下となる期間において行われる。
この構成では、前記クランク室内の圧力変動のピークを、エンジン回転数で表すように特定しているから、オイル噴射を禁止するタイミングを容易に設定することが可能になる。
好ましくは、前記オイルジェットへのオイル供給を許容または遮断するバルブと、このバルブを制御する制御手段とをさらに含み、前記制御手段は、オイル噴射を禁止するにあたって前記バルブを閉じるものとされる。
この構成では、オイルジェットからのオイル噴射を禁止するための手段を特定して、その動作を制御するように特定しているから、本発明を実施するための形態が明確になる。
好ましくは、前記連通路の開口面積は、前記圧力変動のピークをエンジンの低回転側で発生させるように設定される。
そもそも、連通路の開口面積を小さくすればするほど、クランク室内の圧力変動のピークがエンジンの低回転側で発生するようになる。逆に言えば、連通路の開口面積を大きくすればするほど、クランク室内の圧力変動のピークがエンジンの高回転側で発生するようになる。このことからすると、前記構成では、連通路の開口面積を小さく設定している、と記載されていることになる。
このような構成を採用すれば、クランク室の圧力変動のピークがエンジンの低回転側で発生するようになるとともに、この低回転側でオイルジェットによるオイル噴射を禁止させるようになるから、エンジンの低回転側において、クランク室内に集まるオイルが少なくなって、オイルの飛散、攪拌が低減されることになる。その結果、エンジンの低回転側でのフリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりを低減することが可能になる。
しかも、エンジンの高回転側においてオイル回収性能を高めるような構成を採用しているとともに、クランク室内の圧力変動が小さくなるから、エンジンの高回転側においてピストン冷却のためのオイルジェットによるオイル噴射を積極的に行っても、オイル回収が良好に行われるようになって、オイルの飛散、攪拌が低減されることになる。その結果、エンジンの高回転側でのフリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりが低減されることになる。
本発明では、多気筒型エンジンに装備されるドライサンプ式の潤滑装置において、エンジン回転域の広域におけるフリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりを可及的に低減することが可能になるとともに、エンジンの高回転域での冷却性能を高めることが可能になる。したがって、高性能かつ信頼性の高いエンジンを提供することが可能になる。
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1から図4に、本発明の一実施形態を示している。まず、図1において、自動車等の車両に搭載される多気筒型エンジンに装備されるドライサンプ式の潤滑装置の概略構成について説明する。
図1は、例えば直列多気筒型のエンジン1をフロント側から示す図である。この図に示すように、エンジン1のシリンダブロック2に一列(図1の紙面に直交する方向)に設けられる各シリンダ(符号省略)には、ピストン3が上下方向に往復移動可能に収容されている。ピストン3の往復運動は、コネクティングロッド4を介してクランクシャフト5の回転運動に変換される。
このエンジン1には、ドライサンプ式の潤滑装置が採用されている。このドライサンプ式の潤滑装置とは、要するに、エンジン1のクランクケース6からスカベンジポンプ21によりオイルを取り出して、エンジン1の外部に離隔設置されているオイル貯留部としてのオイルタンク22に一旦貯留し、このオイルタンク22内のオイルを、フィードポンプ23によりシリンダブロック2に設けられるメインギャラリ(またはメインオイルホール)7やオイルジェット8から適宜の被潤滑部位に供給するように構成されたものである。
なお、メインギャラリ7に供給されるオイルは、コネクティングロッド4やクランクシャフト5の軸受部分などに供給されるようになっている。また、オイルジェット8に供給されるオイルは、例えばピストン3の裏側や、ピストン3とシリンダとの摺動部分に供給されるようになっている。これらの使用後のオイルは、エンジン1の下部に集められ、上述した閉ループ内で循環される。
また、クランクケース6からオイルタンク22までのオイル取り出し通路24やオイルタンク22からメインギャラリ7やオイルジェット8までのオイル供給通路25,26の適宜位置には、図示していないが、オイルを濾過してオイル中の摩耗金属粉やスラッジ等を除去するためのオイルストレーナ等を設けてもよい。
さらに、スカベンジングポンプ21やフィードポンプ23は、例えばトロコイド式ポンプあるいはギヤ式ポンプなどの機械式オイルポンプとされる。これらのスカベンジングポンプ21やフィードポンプ23は、それらの回転軸心を同軸上に配置し、エンジン1のクランクシャフト5でもって同時に駆動させるようにすることができる。その場合、エンジン運転時に、スカベンジポンプ21やフィードポンプ23が自動的に駆動されるようになる。
次に、本発明の特徴を適用した部分について詳細に説明する。
まず、図2および図3に示すように、クランクケース6には、クランクシャフト5のクランクジャーナル5aの位置毎に仕切る仕切り壁6a・・・が設けられている。この仕切り壁6aは、クランクケース6内においてクランクシャフト5の各クランクピン5bの配置空間を、独立した部屋(クランク室9・・・)に区画するものである。
このように区画されるクランク室9・・・の数は、直列多気筒型のエンジン1の場合、シリンダ数と同数、言い換えるとクランクシャフト5においてコネクティングロッド4の大端部4a(図2のみ記載)が結合されるクランクピン5bの数と同数とされる。
このように複数に区画されたクランク室9・・・内に集まってくるオイルやブローバイガスは、スカベンジポンプ21により個別に取り出されてオイルタンク22に送られるようになる。
この各クランク室9・・・は、シリンダブロック2の各シリンダ(符号省略)と個別に連通しているので、ピストン3の上下運動に伴い、個別に区画されたクランク室9・・・毎に圧力変動が発生する。例えば、ピストン3が上死点から下死点に下降する過程では、それに対応するクランク室9の圧力が正圧となり、また、ピストン3が下死点から上死点に上昇する過程では、それに対応するクランク室9の圧力が負圧となる。但し、エンジン回転数によって、圧力変動の振幅は異なる。
そして、前記の各仕切り壁6aには、隣り合うクランク室9・・・を連通するための連通路6bが設けられている。この連通路6bを設けると、各クランク室9・・・内の圧力変動の振幅を小さくすることが可能になる。しかも、この連通路6bの開口面積を適宜に調整することによって、各クランク室9・・・内の圧力変動のピークが発生するエンジン回転域を変更することが可能になる。
例えば、連通路6bの開口面積を大きくすればするほど、クランク室9・・・内の圧力変動のピークが、エンジン1の高回転側で発生するようになる。逆に言うと、連通路6bの開口面積を小さくすればするほど、クランク室9・・・内の圧力変動のピークが、エンジン1の低回転側で発生するようになる。
そして、オイルタンク22からオイルジェット8に至るオイル供給通路26の途中には、当該通路26の開度を調整するための電磁バルブ27が設けられている。
この電磁バルブ27を開放させていると、オイルジェット8からのオイル噴射を許容させることができるが、この電磁バルブ27を閉塞させると、オイルジェット8からのオイル噴射が禁止されることになる。
このような電磁バルブ27の開度調整動作は、コントローラ30により制御される。このコントローラ30は、電子制御ユニット(ECU)31と、ドライバユニット(EDU)32とを含んで構成されている。このコントローラ30が請求項に記載の制御手段に相当している。
ECU31は、詳細に図示していないが、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROM、RAM、SRAM、EEPROM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路等を含んで構成される周知構造のコンピュータとされる。EDU32は、ECU31のケース内に内蔵されるものであっても良い。
このECU31は、入力される各種のセンサ類の信号(運転パラメータ:車両の走行状態、内燃機関の運転状態に応じた信号)に基づいて、少なくとも電磁バルブ27の作動制御信号をEDU32に与え、このEDU32は、ECU31から入力される前記制御信号に基づいて電磁バルブ27に駆動電圧を印加する。
なお、前記の運転パラメータを検出する各種のセンサ類としては、図示していないが、アクセル開度を検出するアクセルセンサ、エンジン回転数やクランク角を検出する回転数センサ、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ、エンジンオイルの温度を検出する油温センサ等が少なくとも挙げられる。
以上説明したような構成を有するエンジン1は、その設計段階において、まず、要求されるエンジン特性に応じて、クランクケース6に設ける連通路6bの開口面積を適宜に調整することにより圧力変動のピークが発生するエンジン回転域を特定する。その後、コントローラ30については、エンジン1の通常運転時に、前記特定したエンジン回転域においてオイルジェット8からのオイル噴射を禁止させることにより、クランク室9・・・内へのオイル供給量を可及的に少なくさせるためのプログラムを組み込むように設計する。
以下、図4を参照して具体例を説明する。
例えば図4に示す圧力変動曲線A1〜A5は、連通路6bの開口面積を一定寸法刻みで5段階に設定することによって得ている。なお、連通路6bの開口面積は、A1<A2<A3<A4<A5の関係に設定されている。
この連通路6bの開口面積については、エンジン1に要求される特性に応じて、実験などによって経験的に把握して設定することができる。
ちなみに、高回転高出力型エンジンを設計する場合には、例えば図4の圧力変動曲線A1〜A3で示すように連通路6bの開口面積を可及的に小さくすることにより、クランク室9・・・の圧力変動のピークを低回転域で発生させるように設定するのが好ましい。
また、一般的な中回転型エンジンを設計する場合には、例えば図4の圧力変動曲線A4,A5で示すように連通路6bの開口面積を比較的大きくすることにより、クランク室9・・・の圧力変動のピークを中回転域から高回転域で発生させるように設定するのが好ましい。
次に、オイル噴射を禁止させるタイミングについて説明する。
つまり、現在のエンジン回転数が、各クランク室9・・・内の圧力変動がピークとなるときのエンジン回転数より適宜に高い側に設定される閾値以下となる期間において、オイルジェット8からのオイル噴射を禁止させるように設定する。
前記の閾値は、例えば図4に示している圧力変動曲線A1〜A4の場合、例えば図4中のα1,α2,α3,α4で示すエンジン回転数とすることができる。
但し、図4に示す圧力変動曲線A5のように、圧力変動のピークが高回転側上限(レッドゾーン)付近で発生するように連通路6bの開口面積を大きく設定している場合には、実用回転域の全域をオイル噴射禁止期間に設定する必要がある。
そのように設定すると、ピストン冷却が不十分になると考えられるので、そのような場合には、前記のようなオイル噴射禁止期間を設けたうえで、そのオイル噴射禁止期間中においてピストン3の温度が所定の閾値以上になったときに、オイル噴射禁止をキャンセルして、オイル噴射を許容させるようにと、条件を増やすのが好ましい。
ここで、コントローラ30による動作について説明する。
そもそも、エンジン1の冷間始動時には、エンジン冷却水やエンジンオイルの温度が温間運転時に維持される規定温度よりも低いので、電磁バルブ27を閉じることにより、オイルジェット8からのオイル噴射を禁止させることにより、エンジン冷却水やエンジンオイルの温度を早期に上昇させて、暖機運転を終了させて温間運転に移行させるようにする。
但し、この実施形態では、スカベンジポンプ21やフィードポンプ23は、エンジン1の始動に伴い作動されるので、常時において、メインギャラリ7からエンジンの潤滑必要部位へのオイル供給が行われる。
そして、エンジン1の暖機運転が終了して通常の温間運転に移行すると、スカベンジポンプ21やフィードポンプ23を作動したまま、電磁バルブ27の開閉状態をエンジン回転数に応じて制御する。
まず、現在のエンジン回転数が、例えば図4に示す圧力変動曲線A1〜A4それぞれに設定した閾値α1,α2,α3,α4以下となる期間について、電磁バルブ27を閉じることにより、オイルジェット8からのオイル噴射を禁止させるようにする。この閾値α1,α2,α3,α4以下となる期間を、オイル噴射禁止期間と言う。
このように圧力変動のピークが発生するエンジン回転域を含む所定期間においてオイル噴射を禁止させると、このオイル噴射禁止期間において各クランク室9・・・内に集まるオイル量が少なくなるので、オイルの飛散、攪拌が低減されることになる。その結果、このオイル噴射禁止期間におけるフリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりを低減することが可能になる。
しかし、現在のエンジン回転数が、前記閾値α1,α2,α3を超えたときには、電磁バルブ27を開いて、オイルジェット8からオイル噴射を行わせる。
このオイル噴射を行うと、ピストン3およびシリンダが冷却されるようになる。このオイル噴射を行うエンジン回転域では、各クランク室9・・・内に集まるオイルが前記オイル噴射禁止期間よりも多くなるものの、各クランク室9・・・内の圧力変動が小さくなるので、各クランク室9・・・内でオイルの飛散、攪拌が低減されるとともに、この各クランク室9・・・内のオイルがスカベンジポンプ31により効率よく吸い出されることになる。その結果、オイル噴射を行うエンジン回転域においては、ピストン3およびシリンダが冷却を優先しながらも、フリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりを低減することが可能になる。
以上説明したように、本発明の特徴構成を適用した実施形態では、クランクケース6内を仕切り壁6aで複数のクランク室9・・・に区画する構成を前提とし、前記仕切り壁6aに設ける連通路6bの開口面積を必要に応じて調整することによりクランク室9・・・内の圧力変動のピークが発生するエンジン回転域を特定し、さらに、その特定したエンジン回転域においてオイルジェット8からのオイル噴射を禁止させることにより、圧力変動のピークが発生するエンジン回転域において、クランク室9・・・内に集まるオイル量を少なくさせて、オイルの飛散、攪拌を低減させるようにしている。
そこで、仮に、エンジン1の低回転側において、クランク室9・・・の圧力変動のピークを発生させるようにして、オイルジェット8からのオイル噴射を禁止させるようにすれば、エンジン1の高回転側ではクランク室9・・・内の圧力変動が小さくなってオイル回収性能が損なわれなくなる。
これにより、エンジン1の低回転側においては、クランク室9・・・内に集まるオイルが少なくなるので、圧力変動が大きくなってもオイルの飛散、攪拌が低減されることになる。但し、このエンジン1の低回転側ではピストン3の温度がそれほど上昇しないので、オイルジェット8からオイル噴射を行わなくても差し支えない。
その一方で、エンジン1の高回転側においては、温度上昇しやすいピストン3の冷却のためにオイルジェット8からのオイル噴射を積極的に行っても、圧力変動が小さいことからクランク室9・・・に集まるオイルが多くなってもオイルの飛散、攪拌が低減されるとともに、オイル回収が良好に行われるようになる。
このようなことから、エンジン1の低回転域から高回転域の広域におけるクランク室9〜14内のフリクションロス、ポンピングロスならびに燃焼室へのオイル上がりを可及的に低減することが可能になるとともに、エンジン1の高回転側での冷却性能を高めることが可能になる。したがって、高性能かつ信頼性の高いエンジン1を提供することが可能になる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
(1)上記実施形態では、本発明を自動車用のエンジン1の潤滑装置に適用した例を挙げているが、本発明は、自動車用に限らず、他の用途に使用されるエンジンの潤滑装置にも適用することが可能である。
(2)上記実施形態では、直列多気筒型のエンジン1を例に挙げているが、そのシリンダ数は特に限定されないし、また、シリンダ配列形態についてもV型エンジン等、特に限定されるものでない。
特に、V型エンジンの場合だと、クランクケース6内をクランクシャフト5のクランクジャーナル5a毎に仕切り壁6aで仕切ることができる。つまり、V型エンジンの場合には、クランク室9・・・の区画数が、片側バンクのシリンダ数となる。
(3)上記実施形態では、スカベンジングポンプ21やフィードポンプ23を機械式オイルポンプとした例を挙げているが、電動式オイルポンプとすることも可能である。その場合、これらスカベンジポンプ21やフィードポンプ23の動作は、コントローラ30により必要に応じて制御される。
この電動式オイルポンプを採用した場合、エンジン1の運転とは関係なく、車両の走行状態に応じて必要な量のオイルを適切なタイミングで供給することが可能になる。
(4)上記実施形態では、スカベンジングポンプ21の数を特定していないが、その使用数は任意である。例えば、スカベンジングポンプ21の使用数は、1つ、2つまたは、クランク室9・・・と同数とすることが可能である。
本発明に係るエンジンの潤滑装置の一実施形態における概略構成を示す図である。 図1のエンジンのクランク室を側方から見た断面図である。 図1のエンジンのクランクケース単体を上から見た平面図である。 図1の潤滑装置において連通路の開口面積の大きさに応じたクランク室の圧力変動とエンジン回転数との関係を示す図表である。
符号の説明
1 エンジン
2 シリンダブロック
3 ピストン
4 コネクティングロッド
5 クランクシャフト
5a クランクジャーナル
5b クランクピン
6 クランクケース
6a クランクケースの仕切り壁
6b 仕切り壁の連通路
7 メインギャラリ
8 オイルジェット
9 クランク室
21 スカベンジポンプ
22 オイルタンク(オイル貯留部)
23 フィードポンプ
27 電磁バルブ
30 コントローラ(制御手段)

Claims (4)

  1. 多気筒型エンジンのクランクケースからオイルをポンプで取り出して、前記エンジンから離隔したオイル貯留部に一旦貯留し、このオイル貯留部内のオイルを前記エンジンのメインギャラリやピストン冷却用のオイルジェット等へ供給する潤滑装置であって、
    前記クランクケースに、クランクシャフトのクランクジャーナルの位置毎に仕切る仕切り壁を設けることにより、クランクシャフトの各クランクピンが配置される空間を独立したクランク室としたうえで、前記仕切り壁に連通路を設け、
    前記クランク室内の圧力変動が大きくなるエンジン回転域において前記オイルジェットからのオイル噴射を禁止する、ことを特徴とするエンジンの潤滑装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの潤滑装置において、
    前記オイル噴射の禁止は、現エンジン回転数が、前記クランク室内の圧力変動がピークとなるときのエンジン回転数より高い側に設定される閾値以下となる期間において行われる、ことを特徴とするエンジンの潤滑装置。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンの潤滑装置において、
    前記オイルジェットへのオイル供給を許容または遮断するバルブと、このバルブを制御する制御手段とをさらに含み、
    前記制御手段は、オイル噴射を禁止するにあたって前記バルブを閉じる、ことを特徴とするエンジンの潤滑装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載のエンジンの潤滑装置において、
    前記連通路の開口面積は、前記圧力変動のピークをエンジンの低回転側で発生させるように設定される、ことを特徴とするエンジンの潤滑装置。
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