JP4606830B2 - 内燃機関のオイル温度制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は内燃機関内の高温部を冷却するために循環するオイルを、その温度に応じて、必要あればオイルクーラへ循環させて冷却するオイル温度制御装置に関するものである。
従来、サーモスタット(感温式バルブ組立体)をオイルフィルタのハウジングに一体化させると共に、このハウジングを内燃機関の前面に配置することが行われていた(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−34915号公報(図1、図2)。
従来の構成では、サーモスタットはオイルフィルタと一体化され内燃機関の前面に取付けられていたので、外観性の向上や、またオイルフィルタのメンテナンス性が課題となる。また従来は、冷却系オイルと潤滑系オイルを共にサーモスタットに流入させていたので、内燃機関の冷却に使用するオイルにおいては、冷却したい部分のオイル温度制御が緩慢になり易いという課題もある。。
本発明は、サーモスタットをオイルフィルタとは独立に配置し、且つサーモスタットには高温となる冷却系オイルのみを流すようにして温度制御のレスポンスを向上させ、さらに外観性のよいオイル温度制御装置の配置を提供しようとするものである。
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、小型車両搭載用内燃機関(1)に設けられた略前傾したシリンダ(14)と、上記シリンダ(14)に接続されたシリンダヘッド(8)に形成され、シリンダヘッド(8)の冷却を行うオイルジャケット(40)と、内燃機関(1)前方に配置されるオイルクーラ(65)と、上記オイルクーラ(65)への冷却用オイル導入か迂回かを制御するサーモスタット(43)を備えた内燃機関のオイル温度制御装置において、上記オイルジャケット(40)を通過した冷却用オイルは、シリンダヘッド(8)の内燃機関前側に送られ、上記サーモスタット(43)はクランクケース(6)前面に内燃機関(1)の幅方向の略中央に直接取付けられ、内燃機関前側に送られた冷却用オイルは、上記サーモスタット(43)を通過した後、温度条件に応じて、上記内燃機関前方に配置される上記オイルクーラ(65)へ連結パイプ(A8)を経由して送られて戻り配管(A10)を経由して上記オイルクーラ(65)を迂回するバイパス通路(A9)に連なるオイル戻り通路(46)へ送られるか、または上記オイルクーラ(65)を迂回するバイパス通路(A9)へ直接送られるようにされ、上記内燃機関は、上記オイルジャケット(40)と、上記サーモスタット(43)と、上記オイルクーラ(65)またはバイパス通路(A9)とに冷却用オイルを供給する冷却系用オイルポンプ(32A)を含む冷却系オイル回路を備えるとともに、さらに、上記内燃機関の可動部にオイルを送って潤滑をする潤滑系用オイルポンプ(32B)を含む潤滑系オイル回路を独立して有し、上記サーモスタット(43)は、小型車両側面視で、内燃機関(1)の排気管(68)と同内燃機関(1)に囲まれた空間に設けられ、小型車両前面視で、小型車両の左右に分かれたフレーム(63)に囲まれた位置に設けられ、オイルクーラ(65)からの上記戻り配管(A10)は、上記サーモスタット(43)の直下部で上記バイパス通路(A9)に連なるオイル戻り通路(46)に接続され、上記内燃機関(1)の前部は小型車両の左右に分かれた上記フレ−ム(63)に支持され、上記サーモスタット(43)と上記オイルクーラ(65)を連結する上記連結パイプ(A8)は、小型車両前面視で、内燃機関幅方向略中央の上記サーモスタット(43)への連結部から該幅方向外側に延出した後屈曲され、左右に分かれたフレーム(63)の一方に沿って上記オイルクーラ(65)に向かい、上記戻り配管(A10)は、上記オイルクーラ(65)から、左右に分かれた上記フレーム(63)の他方に沿つて延出した後、小型車両前面視で、内燃機関幅方向で内側に向けて屈曲されて、上記バイパス通路(A9)に連なるオイル戻り通路(46)に接続されることを特徴とする小型車両搭載内燃機関のオイル温度制御装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の小型車両搭載内燃機関のオイル温度制御装置において、上記オイルジャケット(40)のオイル流入通路(39)は吸気ポート(22)の二叉部の間に形成され、上記オイルジャケット(40)のオイル流出通路(41)は排気ポート(23)の二叉部の間に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の小型車両搭載内燃機関のオイル温度制御装置において、上記オイルジャケット(40)内のオイル通路において、吸気ポート(22)の二叉部の間に設けられたオイル流入通路(39)の表面積より、排気ポート(23)の二叉部の間に設けられたオイル流出通路(41)の表面積の方が大きいことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の内燃機関のオイル温度制御装置において、上記サーモスタットは、車両側面視で、排気管と内燃機関に囲まれた空間に設けられ、車両前面視で、左右をフレームに囲まれた位置に設けられたことを特徴とする。
請求項1の発明によって、燃焼室の冷却系を経由したオイルのみをサーモスタットに導くので、燃焼室の熱負荷の状況によるオイル温度制御が適確に実現できる。また、クランクケース前面にサーモスタットを直接取付けたので、サーモスタットの取付け剛性が上がると共に、サーモスタットの表面積が内燃機関自体の放熱面積に加わることにより内燃機関の冷却性が向上する。また、冷却系オイル回路と潤滑系オイル回路を独立して有し、冷却系の戻りオイルのみをサーモスタットに経由させるので、潤滑系の油温に影響されることなく冷却系が必要とする冷却性能を確保するよう適切に温度制御ができる。さらに、保護部材を追加することなく、サーモスタットを保護することができる。また、配管の配置が最適化でき、左右対称の内燃機関の略中央に配管を設けてあるので、外観性が向上する。
請求項4の発明によって、保護部材を追加することなく、サーモスタットを保護することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る4気筒DOHCウェットサンプ式内燃機関1の縦断面を右方から見た図に、冷却系オイル回路を示した図である。矢印Fは前方を指している。この内燃機関1は動力発生部2と変速機部3とが一体化されている。内燃機関1の外殻は、 下クランクケース5、上クランクケース6、シリンダブロック7、シリンダヘッド8、シリンダヘッドカバー9、及びオイルパン10からなっている。上下に2分割されているクランクケース5、6の合わせ面の軸受に、クランク軸11、変速機のメイン軸12、カウンタ軸13が回転可能に支持されている。
シリンダブロック7は4気筒であり、各シリンダ穴14の中には、それぞれピストン15が摺動可能に収容され、コンロッド16を介して、クランク軸11と接続されている。各ピストン15の上面に向き合うシリンダヘッド8の下部に燃焼室20が設けてある。
シリンダヘッド8の上方から、上記各燃焼室20の上部中央に、それぞれ点火プラグ21が挿入され、その先端が燃焼室20内に臨んでいる。シリンダヘッド8には、各燃焼室20に連なる吸気ポート22と排気ポート23が設けられ、その内端が燃焼室に開口している。吸気ポート22と排気ポート23の内端開口には、それぞれの開口を開閉する吸気弁24と排気弁25が設けてある。シリンダヘッド8とシリンダヘッドカバー9の合わせ面の近くに吸気カム軸26、排気カム軸27を始めとする動弁機構28が設けられている。
下クランクケース5の下部、に浅底部10Aと深底部10Bとを備えたオイルパン10が接続されている。オイルパン10の深底部10Bにストレーナ30を備えたオイル吸入管31が設けられ、その上部にオイルポンプ32が接続されている。オイルポンプ32は冷却系用オイルポンプ32Aと潤滑系用オイルポンプ32Bとからなり、同一のオイルポンプ軸33に接続されている。
上記内燃機関には冷却系オイル回路と潤滑系オイル回路が独立に設けられている。それぞれのオイル回路には、上記冷却系用オイルポンプ32Aと潤滑系用オイルポンプ32Bとから別々にオイルが供給される。図1には冷却系オイル回路が示してあり、図2には潤滑系オイル回路が示してある。
図1の冷却系オイル回路において、冷却系用オイルポンプ32Aに連なる冷却系吐出管A1が上方へ向かって伸びている。この管は、下クランクケース内オイル通路A2、上クランクケース内オイル通路A3を経て、シリンダブロック7内に設けられた冷却系供給側オイルギャラリ38に達する。同オイルギャラリ38に油温センサ47が設けてある。同オイルギャラリ38からのオイル進路は、シリンダブロック7の後壁内に気筒毎に設けられた冷却系供給オイル通路A4に分岐し、各オイル通路はそれぞれシリンダヘッド8内に気筒毎に独立設けられたオイルジャケット40につながる。このオイルジャケット40は、シリンダブロック7の前壁に設けられた冷却系戻りオイル通路A5につながり、上クランクケース6に設けられた戻りオイル通路A6を経て、冷却系戻り側オイルギャラリ42に達する。
ここから先のオイル通路は1本となり、上クランクケース6に設けられた連絡オイル通路A7を経て、サーモスタット43に達する。この装置において、油温が高い場合にはオイルクーラへつながるオイルポートが開き、オイルはオイルクーラ連結パイプA8へ流れる。油温が低い時はオイルクーラへつながるオイルポートが閉じて、オイルはバイパス通路A9を経て、上クランクケース内オイル戻り通路45へ流入する。オイルクーラにつながる戻り連結パイプA10からの戻りオイルは、上記流路45につながる下クランクケース内オイル戻り通路46へ、オイルクーラ戻りパイプ取付け部67を経て流入するようになっている。クランクケース内オイル戻り通路45、46に流入したオイルは下方へ流れ、オイルパン10内へ戻る。以上が冷却系オイル回路の概要である。
図2の潤滑系オイル回路において、潤滑系オイルポンプ32Bに連なる潤滑系吐出管B1が、オイルパン10の中で湾曲しながら前方へ伸び、オイルフィルタ50に接続されている。下クランクケース内でオイルフィルタ50の上方かつクランク軸11の下方にメインギャラリ51が設けてあり、オイルフィルタ50の中央から伸びるオイルフィルタ出口配管B2が接続されている。クランク軸11を支持するために、下クランクケース5の複数の仕切り壁と上クランクケース6の複数の仕切り壁との間にジャーナル軸受52が設けてある。上記メインギャラリ51から分岐して上記複数のジャーナル軸受52へ向かうオイル通路B3が下クランクケースの各仕切り壁の壁体内に穿設されている。
上クランクケース6の上部にオイルジェット用オイルギャラリ53が設けてある。このオイルギャラリ53は、上クランクケース仕切り壁に穿設されたオイル通路B4によって、中央部の一つのジャーナル軸受52と連通している。各シリンダ穴14毎に上記オイルジェット用オイルギャラリ53に連なる後部噴射ノズル54が設けられ、各シリンダ穴の後部へオイルが噴射される。チェーンテンショナ55を潤滑するオイルが上記オイルジェット用オイルギャラリ53からオイル通路B5によって供給される。各シリンダ穴14の側部の上クランクケース仕切り壁には各ジャーナル軸受52に連通する前部噴射ノズル56が設けられ、ジャーナル軸受52を通過したオイルが各シリンダ穴14の前部へ噴射される。
中央部の上記とは別の、一つのジャーナル軸受52の周囲部に連通し、シリンダ上方へ向かうオイル通路B6が上クランクケース仕切り壁の一つに穿設され、シリンダブロック内オイル通路B7、シリンダヘッド内オイル通路B8、及び上部オイル通路B9を経て、吸気カム軸26および排気カム軸27に潤滑用オイルが送られる。カム軸等を潤滑したオイルは、中央部のカムチェーン室を経てオイルパン10へ戻る。以上が潤滑系オイル回路の概要である。
図3は上記内燃機関1の要部縦断面図である。矢印Fは前方を指している。図において、冷却系用オイルポンプ32Aに連なる冷却系吐出管A1が上方へ向かって伸びている。この管は、下クランクケース内オイル通路A2、上クランクケース内オイル通路A3を経て、シリンダブロック7内に設けられた冷却系供給側オイルギャラリ38に達する。同オイルギャラリ38からのオイル進路は、シリンダブロック7の後壁7b内に設けられた気筒毎に独立の冷却系供給オイル通路A4に分かれ、更に、気筒毎に独立に設けられたシリンダヘッド冷却用オイルジャケット40のオイル流入通路39につながる。オイル流入通路39、オイルジャケット40、及びオイル流出通路41は前後方向に連なっている。オイルジャケット40のオイル流出通路41は、シリンダブロック前壁7aに設けられた気筒毎に独立の冷却系戻りオイル通路A5につながり、上クランクケース6に設けられたオイル通路A6を経て、冷却系戻り側オイルギャラリ42に達する。
図4はシリンダブロック7の上面を上方から見た図である。矢印Fは前方を指している。中央にカム軸駆動用チェーンを収容するチェーン室57が設けられ、その両側にシリンダ穴14が各2個づつ、合計4個配置されている。シリンダの前部に左右方向に長いシリンダ前壁7a、後部に左右方向に長いシリンダ後壁7b、両側部に前後方向に長いシリンダ側壁7c、およびチェーン室57とシリンダ穴14との間、シリンダ穴14相互の間に前後方向に長い仕切り壁7dが設けられ、シリンダの内部空間即ちチェーン室57と複数のシリンダ穴14が囲まれている。上記各壁体が交わる部分にシリンダブロック7、シリンダヘッド8、シリンダヘッドカバー9を上クランクケース6に結合するための連結ボルト挿通孔58が設けてある。シリンダの周囲に空冷用フィン7eが張り出している。
シリンダブロック後壁7bの下部に、冷却系供給側オイルギャラリ38が設けてあり、オイルポンプ32Aからのオイルを供給するオイル通路A3の上端が、チェーン室57の近くで、上記オイルギャラリ38に接続されている。上記オイルギャラリ38から分岐してシリンダヘッドの各オイルジャケット40へ向かう冷却系供給オイル通路A4は、各シリンダ後壁7bにそれぞれ設けられている。冷却系供給オイル通路A4の上端には、後述のシリンダヘッド8に設けられているオイルジャケット40のオイル流入通路39が連通する。各オイルジャケット40のオイル流出通路41に連なる冷却系戻りオイル通路A5はシリンダ前壁7aの各シリンダ穴14の前側に設けられている。
図5はシリンダヘッド8の下部を上方から透視的に見た図であり、一部にオイルジャケット40の横断面を上方から見た図が示してある。矢印Fは前方を指している。中央にカム軸駆動用チェーン室57の開口があり、その両側に上記シリンダ穴14に対向する燃焼室20が2個づつ、合計4個配置されている。各燃焼室20の周囲部には、上記シリンダブロックの連結ボルト挿通孔58に連続する連結ボルト挿通孔59が設けてある。各燃焼室20の後部には吸気ポート22が設けられ、前部には排気ポート23が設けられている、吸気ポート22と排気ポート23は共に燃焼室付近で二叉に分岐し、吸気ポート22の燃焼室側の開口22a、及び排気ポート23の燃焼室側の開口23aはそれぞれ2個づつとなっている。
各燃焼室20の中央には、その中心に点火プラグ装着孔60を備えた点火プラグ装着部61が設けてある。各点火プラグ装着部61の周囲にはオイルジャケット40が設けられ、その前後部が前後に伸びて、オイル流入通路39とオイル流出通路41が形成されている。オイル流入通路39は上記シリンダブロック7の冷却系供給オイル通路A4に連通し、オイル流出通路41は上記シリンダブロック7の冷却系戻りオイル通路A5に連通している。
各オイルジャケット40のオイル流入通路39から流入したオイルは点火プラグ装着部61で二手に分かれて点火プラグ装着部61の周辺部を冷却し、再び合流してオイル流出通路41へ流出する。上記オイルジャケット40のオイル流入通路39は吸気ポート22の二叉部の間に形成され、上記オイル流出通路41は排気ポート23の二叉部の間に形成されている。これによって、点火プラグ21の周辺だけでなく、吸気ポート22および排気ポート23の周辺の冷却が可能である。
上記オイルジャケット40内のオイル通路において、吸気ポート22の二叉部の間に設けられたオイル流入通路39の表面積より、排気ポート23の二叉部の間に設けられたオイル流出通路41の表面積の方を大きくしてある。熱負荷の高い排気側の受熱面積が大きいので、熱バランスに優れた冷却が可能である。
上記オイルジャケット40内のオイル通路において、吸気ポート22の二叉部の間を通るオイル流入通路39のシリンダ上面視における通路幅は略一定であるが、上記のように排気側の受熱面積の増加に伴って、排気ポート23の二叉部の間を通るオイル流出通路41のシリンダ上面視における通路幅は、点火プラグ60から排気側に向けて徐々に拡大するように形成されている。これによって、シリンダヘッド鋳造時にオイルジャケット形成のための中子を自立させることができ、鋳造が容易となる。
図6は、上クランクケース6、シリンダブロック7、シリンダヘッド8の要部断面を後方から見て重ね合わせた図である。シリンダブロック7には中央にチェーン室57があり、その左右に2個づつのシリンダ穴14があり、これらは左右の側壁7cと仕切り壁7dとによって仕切られている。シリンダブロック7の後部(図では手前側)に横方向に長い冷却系供給側オイルギャラリ38が設けてある。シリンダブロック7の下側に接続されている上クランクケース6にはオイル通路A3が設けてあり、上記オイルギャラリ38の中央付近に接続され、オイルが供給される。上クランクケース6の前部(図では向こう側)には横方向に長い冷却系戻り側オイルギャラリ42が設けてある。シリンダヘッド8にはオイルジャケット40が設けてある。
シリンダの後部に関連して、図の右半部に、冷却系供給側オイルギャラリ38から分岐する冷却系供給オイル通路A4、オイルジャケットのオイル流入通路39、及びオイルジャケット40が描いてある。図の左半部には、供給オイル通路A4の一部を残して、上記オイル通路は図示省略してある。チェーン室の後部にチェーンテンショナ取付け座77が設けられている。また、チェーンテンショナ取付け座77の下方の、オイルギャラリ38の、オイル通路A3との接続部の近くに、油温センサ取付け座78が設けてある。
シリンダの前部に関連して、図の左半部に、オイルジャケット40、オイルジャケットのオイル流出通路41、冷却系戻りオイル通路A5、上クランクケース内戻りオイル通路A6が描いてあり、戻りオイル通路A6が冷却系戻り側オイルギャラリ42に接続されている状態が示してある。図の右半部には、オイル通路A6の一部を残して、上記オイル通路は図示省略してある。冷却系戻り側オイルギャラリ42の中央にサーモスタット43へつながる1本の連絡オイル通路A7が接続されている。
図7は上記内燃機関1の前部の縦断面図であり、チェーン室57の断面を示している。クランク軸11に設けられたスプロケットと吸気カム軸26に設けられたスプロケットとに架け回されたチェーン69と、吸気カム軸26に設けられたスプロケットと排気カム軸27に設けられたスプロケットとに架け回されたチェーン70が示されている。内燃機関1の前部は、フレーム63に内燃機関支持部64を介して支持されている。オイルクーラ65もフレーム63に支持され、これは支持ボルト66を介して支持されている。
図8は同内燃機関1を前方から見た図である。上クランクケース6の前面の、内燃機関1の幅方向中央にサーモスタット43が直接取付けてある。サーモスタット43は、車両側面視で排気管68と内燃機関のクランクケース5、6に囲まれた空間に設けられ、車両前面視で左右をフレーム63に囲まれた位置に設けられている。上記サーモスタット43は、オイルクーラ65へ向かうオイルポートとバイパス通路A9へ向かうオイルポートを備えた感温式バルブ組立体であり、流入するオイルの温度に応じて上記オイルポートを開閉するものである。オイルクーラ戻りパイプA10の下クランクケース5側の取付け部67は、上記サーモスタット43の直下部の、下クランクケース5の前面に取付けてある。
図7と図8において、冷却系戻り側オイルギャラリ42とサーモスタット43との間は連絡オイル通路A7によって連通している。サーモスタット43とオイルクーラ65の入口との間はオイルクーラ連結パイプA8によって接続されている。サーモスタット43の入口の近くにバイパス通路A9が設けてあり、これによってサーモスタット43のバイパス側オイルポートと上クランクケース内オイル戻り通路45とが連通している。オイルクーラ65の出口はオイルクーラ戻りオイルパイプA10によって下クランクケース内オイル戻り通路46に接続されている。
上記上クランクケース内オイル戻り通路45と下クランクケース内オイル戻り通路46とは上下方向に1本につながっている。サーモスタット43、バイパス通路A9、オイルクーラ連結パイプA8、オイルクーラ65、オイルクーラ戻りパイプA10、オイルクーラ戻りパイプ取付け部67等からなる全体がオイル温度制御装置である。
連絡オイル通路A7を経てサーモスタット43に流入した冷却系戻りオイルの油温が高い場合には、サーモスタット43のバイパス通路A9へつながるオイルポートが閉じ、オイルクーラ65へつながるオイルポートが開き、オイルはオイルクーラ連結パイプA8へ流れる。油温が低い時はオイルクーラ65へつながるオイルポートが閉じ、バイパス通路A9へつながるオイルポートが開き、オイルはバイパス通路A9を経て上クランクケース内オイル戻り通路45へ流入する。油温に応じて上記オイルポートは中間開度となる。その場合は、オイルポートの開度に応じて、オイルの流れはオイルクーラ方向とバイパス方向へ配分される。オイルクーラ65で冷却されてから、戻りオイル通路A10を経て戻るオイルは、上記戻り通路45につながる下クランクケース内オイル戻り通路46へ流入する。クランクケース内オイル戻り通路45、46に流入したオイルは下方へ流れ、オイルパン10内へ戻る。
本実施形態のオイル温度制御装置は上記のように構成され、作用するので、次のような効果がある。
(1)燃焼室の冷却系を経由したオイルのみをサーモスタットに導くので、燃焼室の熱負荷の状況によるオイル温度制御が適確に実現できる。クランクケース前面にサーモスタットを直接取付けたので、サーモスタットの取付け剛性が上がると共に、サーモスタットの表面積が内燃機関自体の放熱面積に加わることにより内燃機関の冷却性が向上する。
(2)冷却系オイル回路と潤滑系オイル回路を独立して有し、冷却系の戻りオイルのみをサーモスタットに経由させるので、潤滑系の油温に影響されることなく冷却系が必要とする冷却性能を確保するよう適切に温度制御ができる。
(3)サーモスタットは上記内燃機関の幅方向の略中央に設けてあるので、配管の配置が最適化できる。また、左右対象の内燃機関の略中央に設けてあるので、外観性が向上する。
(4)バイパス通路A9経由のオイルとオイルクーラ65からの戻りオイルを1本につながったオイル通路45、46に戻すことができるため、クランクケースの構造が簡略化できる。また、配管長を最適化することができる。
(5)サーモスタット43は、車両側面視で排気管68と内燃機関のクランクケース5、6に囲まれた空間に設けられ、車両前面視で左右をフレーム63に囲まれた位置に設けられているので、保護部材を追加することなく、サーモスタットを保護することができる。
(6)サーモスタットをオイルフィルタとは離れた位置に独立に設けてあるので、互いに他方のメンテナンス作業に支障を与えることが防がれる。
本実施形態の内燃機関の冷却系オイル回路を示した図である。 本実施形態の内燃機関の潤滑系オイル回路を示した図である。 上記内燃機関の要部縦断面図である。 シリンダブロックの上面を上方から見た図である。 シリンダヘッドの下部を上方から透視的に見た図である。 上クランクケース、シリンダブロック、シリンダヘッドの要部断面を後方から見て重ね合わせた図である。 上記内燃機関の前部の縦断面図である。 上記内燃機関を前方から見た図である。
符号の説明
、A8…オイルクーラ連結パイプ、A9…バイパス通路、A10…オイルクーラ戻りパイプ、5…下クランクケース、6…上クランクケース、7…シリンダブロック、8…シリンダヘッド、9…シリンダヘッドカバー、10…オイルパン、11…クランク軸、40…オイルジャケット、43…サーモスタット、50…オイルフィルタ、63…フレーム、65…オイルクーラ、67…オイルクーラ戻りパイプ取付け部、68…排気管

Claims (3)

  1. 小型車両搭載用内燃機関(1)に設けられた略前傾したシリンダ(14)と、
    上記シリンダ(14)に接続されたシリンダヘッド(8)に形成され、シリンダヘッド(8)の冷却を行うオイルジャケット(40)と、
    内燃機関(1)前方に配置されるオイルクーラ(65)と、
    上記オイルクーラ(65)への冷却用オイル導入か迂回かを制御するサーモスタット(43)を備えた内燃機関のオイル温度制御装置において、
    上記オイルジャケット(40)を通過した冷却用オイルは、シリンダヘッド(8)の内燃機関前側に送られ、上記サーモスタット(43)はクランクケース(6)前面に内燃機関(1)の幅方向の略中央に直接取付けられ、
    内燃機関前側に送られた冷却用オイルは、上記サーモスタット(43)を通過した後、温度条件に応じて、上記内燃機関前方に配置される上記オイルクーラ(65)へ連結パイプ(A8)を経由して送られて戻り配管(A10)を経由して上記オイルクーラ(65)を迂回するバイパス通路(A9)に連なるオイル戻り通路(46)へ送られるか、または上記オイルクーラ(65)を迂回するバイパス通路(A9)へ直接送られるようにされ、
    上記内燃機関は、上記オイルジャケット(40)と、上記サーモスタット(43)と、上記オイルクーラ(65)またはバイパス通路(A9)とに冷却用オイルを供給する冷却系用オイルポンプ(32A)を含む冷却系オイル回路を備えるとともに、さらに、上記内燃機関の可動部にオイルを送って潤滑をする潤滑系用オイルポンプ(32B)を含む潤滑系オイル回路を独立して有し、
    上記サーモスタット(43)は、小型車両側面視で、内燃機関(1)の排気管(68)と同内燃機関(1)に囲まれた空間に設けられ、小型車両前面視で、小型車両の左右に分かれたフレーム(63)に囲まれた位置に設けられ、
    オイルクーラ(65)からの上記戻り配管(A10)は、上記サーモスタット(43)の直下部で上記バイパス通路(A9)に連なるオイル戻り通路(46)に接続され、
    上記内燃機関(1)の前部は小型車両の左右に分かれた上記フレ−ム(63)に支持され、
    上記サーモスタット(43)と上記オイルクーラ(65)を連結する上記連結パイプ(A8)は、小型車両前面視で、内燃機関幅方向略中央の上記サーモスタット(43)への連結部から該幅方向外側に延出した後屈曲され、左右に分かれたフレーム(63)の一方に沿って上記オイルクーラ(65)に向かい、
    上記戻り配管(A10)は、上記オイルクーラ(65)から、左右に分かれた上記フレーム(63)の他方に沿つて延出した後、小型車両前面視で、内燃機関幅方向で内側に向けて屈曲されて、上記バイパス通路(A9)に連なるオイル戻り通路(46)に接続される
    ことを特徴とする小型車両搭載内燃機関のオイル温度制御装置。
  2. 上記オイルジャケット(40)のオイル流入通路(39)は吸気ポート(22)の二叉部の間に形成され、上記オイルジャケット(40)のオイル流出通路(41)は排気ポート(23)の二叉部の間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の小型車両搭載内燃機関のオイル温度制御装置。
  3. 上記オイルジャケット(40)内のオイル通路において、吸気ポート(22)の二叉部の間に設けられたオイル流入通路(39)の表面積より、排気ポート(23)の二叉部の間に設けられたオイル流出通路(41)の表面積の方が大きいことを特徴とする請求項2に記載の小型車両搭載内燃機関のオイル温度制御装置。
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