JPH07316484A - 被覆用プラスチゾル組成物 - Google Patents

被覆用プラスチゾル組成物

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JPH07316484A
JPH07316484A JP11572194A JP11572194A JPH07316484A JP H07316484 A JPH07316484 A JP H07316484A JP 11572194 A JP11572194 A JP 11572194A JP 11572194 A JP11572194 A JP 11572194A JP H07316484 A JPH07316484 A JP H07316484A
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vinyl chloride
coating film
foaming
coating
viscosity
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Koushiyou Ishikawa
亘祥 石川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗膜中に吸収された水分による焼付硬化時の
発泡、膨れ等を防止する。 【構成】 塩化ビニルの単独重合体と共重合体との混合
物からなる塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを必須成分と
すると共に、焼付硬化時の加温下における粘性が対数減
衰率λで0.4以下であるようにする。塩化ビニルの単
独重合体はその粘性を十分に低下させるために、また、
酢酸ビニル等との共重合体は塗膜の物性を維持するため
に、それぞれ適切な割合で混合される。焼付硬化時の塗
膜の粘性が低いために、塗膜中で気化する水分は容易に
揮散し、そのため発泡、膨れ等が生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車車体のシーリング
用組成物、アンダーコート用組成物、耐チッピング塗料
等として使用される被覆用プラスチゾル組成物に関する
もので、特に、塗膜の焼付硬化時の発泡、膨れを防止し
た塩化ビニル系の被覆用プラスチゾル組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車の鋼板接合部や鋼板エ
ッジ部等には、水密、気密、防塵、防錆等の目的でシー
リング用組成物やアンダーコート用組成物が塗布、充填
され、また、自動車のフロア下部やホイルハウス等に
は、耐チッピング、防錆等の目的で耐チッピング塗料が
塗布されている。
【0003】そしてこれらの被覆用組成物としては、防
錆性に優れ、鋼板接合部等の隙間を良好に充填し、また
比較的厚い塗膜を形成することができ耐チッピング性に
優れる等の理由で、塩化ビニル系のプラスチゾル組成物
が一般に使用されている。
【0004】このプラスチゾル組成物は、塩化ビニルの
単独重合体、または酢酸ビニル等との共重合体からなる
塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを主成分とし、これに充填
材、及びその他の添加剤を配合したものである。そし
て、このような塩化ビニル系プラスチゾル組成物からな
る被覆用組成物の例としては、例えば、特開昭59−7
8279号公報、特開昭63−10682号公報、特開
昭63−251445号公報、特開平3−111481
号公報等に記載の技術を挙げることができる。
【0005】ところが、このような塩化ビニル系のプラ
スチゾル組成物は材質的にも吸湿しやすい材料からな
り、そのため、梅雨期、夏期等の多湿時において車体等
に塗布後長時間放置されると、塗膜の焼付硬化時に発
泡、膨れ等の不具合が発生することがあった。これは、
放置中に吸収された水分が焼付硬化時の熱で急激に蒸発
し、塗膜中から排出されず、そのまま硬化してしまうた
めに生じるものである。
【0006】このような塗膜の発泡、膨れ等は、外観上
見栄えが悪いばかりでなく、防錆性、密封性等を著しく
低下させるものである。そのために、塗膜に発泡等が生
じた場合には、後の工程において再度手直しすることが
必要であり、多大な手間と工数とを要した。
【0007】そこで、本出願人は、そのような塗膜の吸
湿による発泡、膨れ等を防止するために、塩化ビニル系
プラスチゾル組成物からなる被覆組成物に酸化カルシウ
ム(CaO)の粉末を添加することを先の出願において
提案した(特開平6−16891号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の本出願人の提案
による被覆用プラスチゾル組成物によれば、塗膜中に吸
収された水分は酸化カルシウムと水和反応してそれに捕
捉されるため、焼付硬化時の発泡、膨れ等は有効に防止
されるものであった。
【0009】しかしながら、酸化カルシウムの粉末の添
加量は自ずと限度があるために、塗布後の期間が特に長
い場合には、発泡、膨れ等の防止効果にも限界があっ
た。また、その酸化カルシウムの粉末を含むプラスチゾ
ル組成物の塗膜が一旦焼付硬化されると、酸化カルシウ
ムの吸水効果が低下する傾向にあり、そのため、その塗
膜が上塗り塗料の焼付乾燥等によって再度加熱される場
合に、塗膜中に水分が吸収されていると、発泡、膨れ等
が同様に発生することがあった。
【0010】そこで、本発明は、吸湿による塗膜の発
泡、膨れ等をより効果的に防止することができる被覆用
プラスチゾル組成物の提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、吸収された
水分によって焼付硬化時に塗膜に発泡、膨れ等が生じる
のは、塗膜の粘性が高いためであることに着目して検討
を重ねた。そしてその結果、塩化ビニル系樹脂として塩
化ビニルの単独重合体と共重合体とを併用すると共に、
焼付硬化時の加温下における粘性が一定値以下になるよ
うにすることによって、上記の課題が効果的に解決され
ることを見出した。
【0012】即ち、本発明にかかる被覆用プラスチゾル
組成物は、塩化ビニルの単独重合体と共重合体との混合
物からなる塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを必須成分と
し、焼付硬化時の加温下における粘性が対数減衰率λで
0.4以下であるものである。
【0013】ここで、粘性の対数減衰率λは、例えば、
振り子式粘弾性測定装置(オリエンティック社製 バイ
ブロンDDV−OPA)を使用して測定することができ
る。そして、本発明にかかる被覆用プラスチゾル組成物
では、この対数減衰率λが、焼付硬化時の加温下、例え
ば140℃において、0.4以下となるようにされる。
また、より好ましくは、この対数減衰率λが0.3以下
となるようにされる。
【0014】この本発明にかかる被覆用プラスチゾル組
成物について、以下、更に詳細に説明する。
【0015】本発明の被覆用プラスチゾル組成物は塩化
ビニル系樹脂と可塑剤とを必須成分とするプラスチゾル
組成物からなるが、塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの
単独重合体と共重合体、即ち塩化ビニルと他のビニル系
単量体との共重合体、との混合物からなる。
【0016】このビニル系単量体としては、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニ
ルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチ
ルエーテル等のビニルエーテル類、ジエチルマレエート
等のマレイン酸エステル類、ジブチルフマレート等のフ
マル酸エステル類、メチルアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト等のアクリル酸エステル類または同様のメタアクリル
酸エステル類、アクリロニトリル、塩化ビニリデン等が
挙げられる。これらは、その任意の1種または2種以上
を使用することができるが、一般に30重量%以下、好
ましくは20重量%以下の割合で塩化ビニルと共重合さ
れる。しかし、これらの中でも、塩化ビニルと共重合さ
せる単量体としては、酢酸ビニルが最も一般的であり、
また好ましいものである。
【0017】本発明において塩化ビニルの単独重合体と
共重合体樹脂とを併用するのは、塩化ビニルの単独重合
体は焼付硬化時の粘性を低下させるためには好ましい
が、単独での使用は密着性等の塗膜物性が十分に得られ
ないためである。そして、塩化ビニルの共重合体は、塩
化ビニル系樹脂の全体量に対して、好ましくは10重量
%以上、より好ましくは20重量%以上の割合で使用す
ることができる。またこれに対して、塩化ビニルの単独
重合体は、焼付硬化時の粘性を十分に低下させるために
比較的多く使用され、好ましくは30重量%以上、より
好ましくは50重量%以上の割合で配合される。
【0018】また、本発明において可塑剤としては、塩
化ビニル系プラスチゾルに一般に使用されている任意の
ものを使用することができる。そのような可塑剤として
は、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸
ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル(DI
NP)等のフタル酸エステル、セバチン酸エステル、ア
ゼライン酸エステル等の脂肪族のジ及びトリカルボン酸
エステル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル等
のリン酸エステル、エポキシ化大豆油等のエポキシ系可
塑剤、等が挙げられる。そしてこれらの可塑剤は、望ま
れるプラスチゾルの粘度、硬化性等の物性に応じて適宜
選択して使用することができ、一般に、塩化ビニル系樹
脂100重量部に対して30〜300重量部の範囲で配
合することができる。
【0019】なお、可塑剤は、その一部を有機溶剤等に
変えることができる。そして、そのような溶剤として
は、芳香族系溶剤等、好ましくは可塑剤と同程度の高沸
点の溶剤が用いられる。
【0020】そして、本発明の被覆用プラスチゾル組成
物には、従来と同様に、充填剤、接着性付与剤、タレ止
め剤、顔料、その他の添加剤を適宜に配合し、または添
加することができる。
【0021】充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸
塩及び硫酸塩、マイカ、シリカ、タルク、珪藻土、カオ
リン等を挙げることができ、これらは、単独で、または
適宜組合わせて使用することができる。また、セルロー
ス粉、粉末ゴム、等の有機質充填剤も、必要に応じて使
用することができる。
【0022】接着性付与剤は、被塗物に対する塗膜の接
着性を高めるためのもので、エポキシ系、アクリル系、
ポリアミド系、イソシアネート系等の任意のものを単独
で、または組合わせて使用することができる。しかし、
これらの中でも、ポリアミド、ブロックウレタンプレポ
リマー、ブロックイソシアヌレート等を特に好適に使用
することができる。
【0023】また、タレ止め剤は他の成分とのバランス
を取りながら、組成物の粘度を調整するために使用さ
れ、超微粒子炭酸カルシウム、微粒子シリカ等を、充填
剤を兼ねて好適に使用することができる。また、顔料と
しては、任意の顔料を使用することができるが、酸化チ
タン、カーボンブラック等の体質顔料を兼ねた着色顔料
を特に好ましく用いることができる。更に、その他の添
加物としては、金属石ケン類、無機酸塩類、有機金属化
合物等のプラスチゾル安定剤、有機ベントナイト等の増
粘剤、等が挙げられ、これらも必要に応じて使用するこ
とができる。
【0024】更に、本発明の被覆用プラスチゾル組成物
には、発泡、膨れ等の防止効果をより高めるために、吸
湿剤または吸水剤として前述の酸化カルシウムの粉末を
添加することができ、また望ましい。そして、この酸化
カルシウムの粉末は粒子径が小さい程好ましいが、組成
物の全体量に対して1.5〜8.5重量%程度の割合で
添加することができる。
【0025】このような本発明の被覆用プラスチゾル組
成物は、スプレー等の適宜の塗布手段によって任意の厚
さで塗布することができる。また、塗膜の焼付硬化は、
一般に120〜160℃程度に加熱することによって行
うことができる。
【0026】
【作用】本発明にかかる被覆用プラスチゾル組成物にお
いては、塩化ビニル系樹脂として塩化ビニルの単独重合
体と共重合体との混合物が用いられ、また、焼付硬化時
の加温下における粘性が対数減衰率λで0.4以下とさ
れているので、塗膜中に吸収されて焼付硬化時の加温下
で気化した水分は、気泡となる前に、粘性の低い塗膜を
破断して容易に外部に揮散する。また、破断した塗膜
は、気化した水分が揮散した後直ちに元の状態に戻る。
このため、気化した水分が気泡状となって塗膜中に残留
して発泡、膨れ等を生じることが防止される。なお、塩
化ビニルの単独重合体は、前記の粘性を十分に低下させ
る。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって更
に具体的に説明する。
【0028】本発明の被覆用プラスチゾル組成物を耐チ
ッピング塗料として具体化し、図1に示す配合(重量
部)で実施例1〜3の耐チッピング塗料を調製した。ま
た、比較のために、比較例1〜6の耐チッピング塗料を
合わせて調製した。
【0029】〔配合〕これらの耐チッピング塗料は、塩
化ビニル系樹脂、吸湿剤、接着性付与剤、可塑剤、及び
充填剤の他に、添加剤としての二酸化チタン及び高沸点
溶剤を配合したものである。
【0030】ここで、塩化ビニル系樹脂としては、塩化
ビニルの単独重合体と共重合体とが使用されている。そ
して、塩化ビニル系樹脂Aは酢酸ビニルを7%含有する
塩化ビニル共重合体からなり、重合度2000、平均粒
径1μmのものである(日本ゼオン社製 39J)。こ
れに対して、塩化ビニル系樹脂Bは単独重合体からな
り、重合度1500、平均粒径1μmのものである(鐘
淵化学社製 PSH−90)。これらの塩化ビニル系樹
脂A,Bは合計して280重量部配合されているが、そ
れぞれの配合割合は実施例1〜3及び比較例1〜6にお
いて種々に変えられている。
【0031】また、吸湿剤は酸化カルシウムCaOの粉
末からなり、各実施例及び比較例において30重量部配
合されているが、比較例3,4ではそれぞれ60重量
部、90重量部に増量して配合されている。
【0032】接着性付与剤としては、ポリアミドからな
る接着性付与剤Cと、ブロックウレタンプレポリマーか
らなる接着性付与剤Dとを併用し、各実施例及び比較例
においてそれぞれ10重量部配合されている。ただし、
比較例5,6では20重量部に増量して配合されてい
る。
【0033】可塑剤はフタル酸ジオクチル(DOP)か
らなり、各実施例及び比較例においてそれぞれ320重
量部配合されている。充填剤としては、タレ止め剤を兼
ねたコロイダル炭酸カルシウム200重量部と、粒径2
〜4μmの重質炭酸カルシウム120重量部とが併用さ
れ、各実施例及び比較例において同じ分量で(合計32
0重量部)配合されている。また、二酸化チタン10重
量部と高沸点溶剤50重量部も、各実施例及び比較例に
おいて同じ分量で配合されている。
【0034】〔評価試験〕以上の配合の実施例1〜3及
び比較例1〜6の各耐チッピング塗料について、吸湿に
よる塗膜の発泡性の評価試験を行った。
【0035】試験は、耐チッピング塗料を塗布した後、
そのままの状態で温湿下に放置した試験(ゾル放置)
と、耐チッピング塗料を塗布した後一旦焼付硬化し、次
いで温湿下に放置した試験(硬化後放置)との二種類で
行った。それぞれの試験は、具体的には次のものであ
る。
【0036】ゾル放置・・・耐チッピング塗料を試験板
に1mm厚で塗布し、そのまま35℃×80%RHの温
湿下で10日間放置した。そして、140℃×20分の
加熱条件で焼付を行い、塗膜の発泡、膨れ等の有無を観
察し、評価した。
【0037】硬化後放置・・耐チッピング塗料を試験板
に1mm厚で塗布した後、直ちに140×20分の焼付
を行い、上記と同じ条件で吸湿させた後、上記と同じ加
熱条件で再度焼付を行い、塗膜の発泡、膨れ等の有無を
観察し、評価した。
【0038】この吸湿発泡性の評価試験の結果を図2に
示す。評価基準は、次のとおりである。
【0039】○:発泡、膨れ等が無い △:外観上目立たない僅かな発泡、膨れ等が有る ×:発泡、膨れ等が有る なお、実施例1〜3及び比較例1〜6の各耐チッピング
塗料について、その焼付硬化時の加温下における粘性
(対数減衰率λ)を測定した。この測定には、振り子式
粘弾性測定装置(オリエンティック社製 バイブロンD
DU−OPA)を使用し、各塗料組成物を140℃で加
熱した時の10〜15分後の粘性を対数減衰率λとして
測定した(振り子:エッジタイプ,アベレージ:3回,
インターバル:20秒,昇温条件:20℃から140℃
に10分で昇温)。そして、この対数減衰率λを、図2
に合わせて示す。
【0040】また、上記の吸湿発泡性試験とは別に、実
施例1〜3及び比較例1〜6の各耐チッピング塗料につ
いて塗膜の耐チッピング性と密着性の試験を行い、チッ
ピング強度と接着強度とを測定した。この測定結果も図
2に合わせて示す。ここで、チッピング強度と接着強度
とは、それぞれ以下のように試験し測定したものであ
る。
【0041】チッピング強度(耐チッピング性)・・・
電着塗装を施した試験板に、実施例及び比較例の各耐チ
ッピング塗料を膜厚500μmの厚さで塗布し、140
℃で20分間焼付硬化させた。そして、ナット落下試験
機にて摩耗試験を行い、素地が露出するまでのナットの
総重量(kg)を測定した。
【0042】接着強度(密着性)・・・電着塗装を施し
た試験板に、実施例及び比較例の各耐チッピング塗料を
25×25mm、3.0mmの厚さで塗布し、140℃
で20分間焼付硬化させた後、引張速度50mm/分で
剪断接着強度(kg/cm2)を測定した。
【0043】〔試験結果と考察〕図2のように、実施例
1〜3の耐チッピング塗料は、焼付硬化時の加温下での
粘性が対数減衰率λで0.4以下となるものであり、非
吸湿発泡性(発泡、膨み等が生じないこと)においてい
ずれも良好な結果を示している。また、チッピング強度
(耐チッピング性)及び接着強度(密着性)についても
十分なものである。ただ、実施例1には非吸湿発泡性が
若干劣る傾向がみられる。そこで、特に優れた非吸湿発
泡性を得るためには、対数減衰率λが0.3以下である
ことが好ましいことが分かる。
【0044】これに対して、塩化ビニル系樹脂として塩
化ビニルの共重合体Aのみを用いた比較例1の耐チッピ
ング塗料は、チッピング強度及び接着強度は優れている
が、吸湿による発泡、膨み等を生じるものである。ま
た、塩化ビニル系樹脂として単独重合体Bのみを用いた
比較例2の耐チッピング塗料は、対数減衰率λが低く、
優れた非吸湿発泡性を有している。しかし、チッピング
強度及び接着強度は極度に低い。
【0045】そこで、これらの対比から、良好な非吸湿
発泡性と塗膜物性とを同時に得るためには、塩化ビニル
系樹脂として、塩化ビニルの共重合体Aと単独重合体B
とを適切な割合で混合して使用すればよいことが分か
る。そしてこの場合、単独重合体Bの割合が多い程対数
減衰率λは低下し、非吸湿発泡性が向上するが、反対に
塗膜物性は低下するので、単独重合体Bは良好な非吸湿
発泡性が得られる最低限の割合で使用されることが好ま
しい。この意味では、本実施例の組成配合においては、
実施例2が最も好ましいものである。
【0046】また、比較例3,4は吸湿剤である酸化カ
ルシウムの配合量を多くしたものであり、それによっ
て、塗布後の塗膜をそのまま温湿下に放置したゾル放置
では、非吸湿発泡性が向上されている。しかし、塗膜を
一旦焼付硬化した後に温湿下に放置した硬化後放置で
は、非吸湿発泡性においては良好な結果が得られていな
い。また、塗膜物性においても低下する傾向が見られ
る。したがって、この結果から、非吸湿発泡性を向上す
るために吸湿剤を増量することには、限界があることが
分かる。
【0047】また、比較例5,6は接着性付与剤である
ポリアミドCとブロックウレタンプレポリマーDとを増
量したものであるが、それによって、チッピング強度と
接着強度は向上しているが、非吸湿発泡性においては良
好な結果が得られていない。特に、ポリアミドCは吸湿
しやすい材料でもある。そこでこの結果から、ポリアミ
ド等の接着性付与剤を増量することは、非吸湿発泡性を
向上するためには好ましくないことが分かる。
【0048】このように、本実施例の耐チッピング塗料
(プラスチゾル組成物)は、塩化ビニルの共重合体Aと
単独重合体Bとの混合物からなる塩化ビニル系樹脂と可
塑剤とを必須成分とし、焼付硬化時の加温下における粘
性が対数減衰率λで0.4以下であるものである。この
ため、塗膜中に吸収された水分による焼付硬化時の発
泡、膨れ等の発生を防止することができる。また、本実
施例では塩化ビニルの共重合体Aと単独重合体Bとが適
切な割合で配合されているので、耐チッピング性、密着
性に優れた塗膜を形成することができる。
【0049】以上、本発明の被覆用プラスチゾル組成物
を耐チッピング塗料として具体化した実施例について説
明したが、本発明の被覆用プラスチゾル組成物は、耐チ
ッピング塗料としてだけでなく、自動車車体のシーリン
グ用組成物、アンダーコート用組成物等としても好適に
適用することができる。また、自動車車体だけでなく、
例えば、鉄道等の自動車以外の車両、或いは家電機器等
のシーリング用組成物、アンダーコート用組成物等とし
ても有利に適用することができる。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる被覆用プ
ラスチゾル組成物は、塩化ビニルの単独重合体と共重合
体との混合物からなる塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを
必須成分とし、焼付硬化時の加温下における粘性が対数
減衰率λで0.4以下であるものである。
【0051】したがって、焼付硬化時の加温下における
粘性が低いために、焼付硬化時に塗膜中で気化した水分
は塗膜から容易に排出される。そのため、塗布後の塗膜
が湿潤環境下に長時間放置され塗膜中に水分が吸収され
ても、焼付硬化時にその水分によって発泡、膨れ等が発
生することは防止できる。また、塗膜が一旦焼付硬化さ
れた後に再度加熱される場合にも、吸湿による発泡、膨
れ等は同様に防止することができる。そして、塩化ビニ
ル系樹脂として、塩化ビニルの単独重合体と共重合体と
を混合して使用しているので、単独重合体によって粘性
を十分に低下させることができると共に、共重合体によ
って密着性等の塗膜物性を十分に維持することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例及び比較例の耐チッピン
グ塗料の配合組成を示す表図である。
【図2】図2は本発明の実施例及び比較例の耐チッピン
グ塗料による塗膜の評価試験の結果を示す表図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニルの単独重合体と共重合体との
    混合物からなる塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを必須成
    分とし、 焼付硬化時の加温下における粘性が対数減衰率λで0.
    4以下であることを特徴とする被覆用プラスチゾル組成
    物。
JP11572194A 1994-05-27 1994-05-27 被覆用プラスチゾル組成物 Pending JPH07316484A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001115097A (ja) * 1999-05-11 2001-04-24 Tosoh Corp 表面処理用添加剤およびそれよりなる表面処理用組成物、並びにその用途
JP2010180359A (ja) * 2009-02-06 2010-08-19 Aisin Chem Co Ltd 接着組成物

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