JPH10152592A - 塩化ビニル系プラスチゾル組成物 - Google Patents

塩化ビニル系プラスチゾル組成物

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JPH10152592A
JPH10152592A JP31480196A JP31480196A JPH10152592A JP H10152592 A JPH10152592 A JP H10152592A JP 31480196 A JP31480196 A JP 31480196A JP 31480196 A JP31480196 A JP 31480196A JP H10152592 A JPH10152592 A JP H10152592A
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vinyl chloride
chloride resin
weight
composition
resin
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JP31480196A
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English (en)
Inventor
Shinichi Nakao
進市 中尾
Kiyoshi Gonda
清志 権田
Masayuki Fuji
正之 藤
Kimio Matsuda
公夫 松田
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Kanto Jidosha Kogyo KK
Toyota Motor East Japan Inc
Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kanto Jidosha Kogyo KK
Kanto Auto Works Ltd
Aisin Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜中に吸収された水分による焼付硬化時に
おける塗膜の膨れ、割れの発生を抑制する。 【解決手段】 自動車車体のシーリング用、耐チッピン
グ塗料用等として、特に、カチオン型電着塗装面に使用
されるプラスチゾル組成物において、水酸基を分子中に
含有する水酸基含有架橋型塩化ビニル系樹脂を、樹脂成
分全体に対して25重量%以上の割合で含む塩化ビニル
系樹脂と、可塑剤と、充填剤と、組成物全体に対して
1.0〜4.0重量%の割合からなる活性アミノ基を含
有するポリアミドと、ブロックイソシアネートとの併用
系からなる接着性付与剤とを含む。架橋型塩化ビニル樹
脂がブロックイソシアネートで架橋されることにより、
プラスチゾル組成物の塗膜が強化され、吸湿された水分
の気化による塗膜の膨れ及び割れの発生が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシーリング用組成
物、アンダーコート用組成物、或いは耐チッピング塗料
組成物等として使用される塩化ビニル系プラスチゾル組
成物に関するものであり、特に、その塗膜の焼付硬化時
の吸湿発泡性を改善した塩化ビニル系プラスチゾル組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体は鋼板を溶接や接着剤等で
接合して組立られ、その接合部や継目部等には、水密、
気密、防塵、防錆等の目的でシーリング用組成物が施さ
れる。また、車体のフロア下部やロッカパネル或いはホ
イールハウス等には、耐チッピング、防錆等の目的でア
ンダーコート用組成物或いは耐チッピング用塗料組成物
が施されている。
【0003】そして、従来より、これらのシーリング用
組成物等としては、防錆性に優れ、鋼板接合部の隙間を
良好に充填し、また、比較的厚く弾性に富む塗膜を形成
することができる等の理由で、塩化ビニル系のプラスチ
ゾル組成物が一般に使用されている。このプラスチゾル
組成物は、塩化ビニルの単独重合体または酢酸ビニル等
との共重合体からなる塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを主
剤とし、これに炭酸カルシウム等の充填剤、塗膜の接着
性(密着性)を向上するための接着性付与剤等を配合し
たものである。なお、接着性付与剤としては、これらの
プラスチゾル組成物が一般に電着塗装による下塗り塗装
後に施されることから、特に、カチオン型電着塗装塗膜
に対する接着性が優れている活性アミノ基含有化合物で
あるポリアミドとブロックイソシアネートとが、併用し
て用いられている。そして、このような塩化ビニル系プ
ラスチゾル組成物については、例えば、特公昭59−5
2901号公報、特公昭63−6103号公報、特開昭
59−78279号公報、特開昭59−131669号
公報等において、種々の態様または変形で開示されてい
る。
【0004】ところで、このような塩化ビニル系のプラ
スチゾル組成物は材質的にも吸湿し易い材料からなり、
また、特に、接着性付与剤としてのポリアミドは吸湿性
が高いため、梅雨期、夏期等の高温多湿の雰囲気におい
て、そのプラスチゾル組成物が車体等に塗布された後長
時間放置されると、その塗膜の加熱焼付時に膨れ、割れ
等が発生することがある。これは、放置中に塗膜に吸収
された水分が焼付時の熱で一度に気化し、その時の圧力
で塗膜が膨れ、或いはその膨れが破裂するためである。
また、この傾向は、プラスチゾル組成物の膜厚が大きい
程、より顕著となるものである。
【0005】そして、このような吸湿発泡による塗膜の
膨れ、割れ等は、外観上見栄えが悪いばかりでなく、防
錆性、密封性等を著しく低下させる。また、このプラス
チゾル組成物が耐チッピング塗料組成物としてロッカパ
ネル等に適用される場合には、これの塗布及びプレヒー
トによる予備硬化後に、中塗り塗装、及び上塗り塗装が
順次施されるが、これらの中塗り塗装や上塗り塗装後に
そのような割れ、膨れ等が発生すると、これらの塗装塗
膜までもが損傷を受けることになり、その補修のために
煩雑な作業を必要とする。
【0006】そこで、塩化ビニル系プラスチゾル組成物
の塗膜の焼付硬化時に発生するこのような吸湿発泡によ
る塗膜の膨れ、割れ等を抑制するために、プラスチゾル
組成物に、水分と反応してこれを吸収する酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム等の吸収剤を添加し、配合するこ
とが知られている。そして、その例としては、例えば、
本出願人の提案にかかる特開平6−16891号公報に
記載のものがあり、ここでは、酸化カルシウムが塩化ビ
ニル系プラスチゾル組成物に配合され、また、この酸化
カルシウムとしては、水分との反応速度が高い平均粒径
2μm以下の微粉末が好ましいこと等を教示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物の吸湿発泡性を改善する手段と
しては、その組成物中に酸化カルシウム等の水分吸収剤
を配合することが知られている。そして、これによれ
ば、プラスチゾル組成物の塗膜が高温、多湿下に、例え
ば、休日等によって長時間放置された場合であっても、
それによって塗膜中に吸湿された水分はその酸化カルシ
ウムと反応して、これに水和(水化)し吸収される。そ
のため、焼付硬化時の発泡の原因となる水分が除去され
るため、膨れや割れ等の発生を抑制することができる。
また、この無機質の粉体である酸化カルシウムは充填剤
成分をなすため、塗膜性能に対して余り悪影響を及ぼさ
ない利点も有している。
【0008】しかしながら、この酸化カルシウム等の水
分吸収剤は水和(水化)反応によって水分を吸収するも
のであるため、その水分吸収作用には限界があると共
に、その作用力自体も時間の経過に伴って徐々に減少す
る。そのため、水分吸収剤を用いたプラスチゾル組成物
の調製と取扱、管理については、細心の注意を払う必要
があった。また特に、この水分吸収剤を比較的多く配合
したプラスチゾル組成物の場合であっても、加熱焼付前
の多湿下での放置が2回以上となるような場合、例え
ば、プレヒート後と中塗り塗装後とにそれぞれ放置され
るような場合、2回目以降における吸湿発泡性は十分に
は改善されない傾向があった。したがって、このような
実状から、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の吸湿発泡
性に関しては、なおその改善が要望されていた。
【0009】そこで、本発明は、焼付硬化時の塗膜の膨
れ、割れ等の発生を抑制することができる塩化ビニル系
プラスチゾル組成物の提供を課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、焼付硬化
時の吸湿発泡による塗膜の膨れ、割れ等の発生を抑制す
る方策として、従来のように発泡の原因となる水分を取
除くということではなく、焼付硬化時に気化した水分に
対して塗膜自体が発泡し難いような特性を有するものと
すればよいことに着目し、種々の模索と検討とを重ね
た。そして、その結果、塩化ビニル系樹脂として水酸基
を分子中に含有する架橋型の塩化ビニル系樹脂を所定の
割合で使用し、また、接着性付与剤としてブロックイソ
シアネートと併用するポリアミドの配合割合を適切な範
囲とすることにより、塗膜の吸湿発泡を有効に抑制でき
ることを見出し、また確認した。
【0011】即ち、請求項1にかかる塩化ビニル系プラ
スチゾル組成物は、水酸基を分子中に含有する水酸基含
有架橋型塩化ビニル系樹脂を、樹脂成分全体に対して2
5重量%以上の割合で含む塩化ビニル系樹脂と、可塑剤
と、充填剤と、組成物全体に対して1.0〜4.0重量
%の割合からなる活性アミノ基を含有するポリアミド
と、ブロックイソシアネートとの併用系からなる接着性
付与剤とを含むものである。
【0012】このように、このプラスチゾル組成物にお
いては、水酸基含有架橋型塩化ビニル系樹脂が樹脂成分
全体に対して25重量%以上の割合で使用され、また、
ポリアミドの配合割合が組成物全体に対して1.0〜
4.0重量%とされているため、後述の試験結果からも
明らかなように、吸湿発泡による塗膜の膨れ、割れ等が
有効に抑制され、防止される。その理由については確か
ではないが、配合された水酸基含有の架橋型塩化ビニル
系樹脂が、焼付硬化時にブロックイソシアネートによっ
て架橋硬化され、それによって塗膜が強化されて、気化
した水分の圧力に対する抵抗力が与えられるため、吸湿
された水分による塗膜の焼付硬化時の発泡、即ち、膨れ
とその破裂による割れ等の発生が抑制される、と考えら
れる。なおこの場合、ポリアミドの配合割合が特定の範
囲であるため、上記のブロックイソシアネートの架橋反
応が阻害されることなく、カチオン型電着塗装面に対す
る十分な接着性が確保される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物について更に詳細に説明する。
【0014】〈塩化ビニル系樹脂〉塩化ビニル系樹脂は
塩化ビニルの単独重合体または共重合体、即ち、塩化ビ
ニルと他のビニル系単量体との共重合体であり、本プラ
スチゾル組成物においては、そのうちの少なくとも一部
として、分子中に水酸基を含有する水酸基含有架橋型塩
化ビニル系樹脂が使用される。
【0015】この架橋型塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニ
ルと水酸基を含有するビニル単量体、及び必要に応じて
更にその他のビニル単量体とを共重合して得ることがで
きる。そして、この水酸基含有ビニル単量体としては、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸
またはメタクリル酸の炭素数2〜24のヒドロキシアル
キルエステル類、N−メチロールアクリルアミド、N−
メチロールメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルア
クリルアミド、N−ジヒドロキシエチルメタクリルアミ
ド等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜12
のヒドロキシアルキドアミド類等が挙げられる。ただ
し、これらの中でも、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸ま
たはメタクリル酸の比較的低炭素数のヒドロキシアルキ
ルエステル類が一般に好適に使用される。そして、こう
して得られる架橋型塩化ビニル系樹脂の水酸基価は、比
較的少ない5〜30(mgKOH/g)程度であることが好まし
い。含有する水酸基が余り多いとブロックイソシアネー
トによる架橋密度が高くなり、塩化ビニル系樹脂として
の特性が損なわれるからである。
【0016】また、この架橋型塩化ビニル系樹脂は、塩
化ビニル系樹脂成分全体に対して25重量%以上の割合
で使用されることが好ましい。その割合が余り少なく、
一般に25重量%よりも少ないと、焼付硬化時の塗膜の
強度を十分に高めることができなくなり、吸湿発泡性を
実用上十分に改善することが困難になる。そして、より
好ましい割合は、40重量%以上である。ただし、架橋
型塩化ビニル系樹脂の多い割合での使用は吸湿発泡を抑
制する上では好ましいが、組成物の貯蔵安定性が低下
し、特に、高温下で貯蔵される場合にはその粘度が著し
く増加する傾向がある。そのため、この架橋型塩化ビニ
ル系樹脂の使用割合は、2/3(67重量%)を限度と
することが実用上好ましい。
【0017】そして、この水酸基含有架橋型塩化ビニル
系樹脂以外の塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの
単独重合体または非官能性共重合体の任意の1種以上を
使用することができる。ここで、塩化ビニルと共重合さ
れる非官能性のビニル系単量体としては、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエ
ステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエ
ーテル等のビニルエーテル類、ジエチルマレエート等の
マレイン酸エステル類、ジブチルフマレート等のフマル
酸エステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト等のアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステル
類、アクリロニトリル、塩化ビニリデン等が挙げられ
る。そして、これらは、その任意の1種または2種以上
を使用することができ、また、一般に30重量%以下、
好ましくは20重量%以下の割合で塩化ビニルと共重合
させることができる。しかし、これらの中でも、塩化ビ
ニルと共重合させる単量体としては、酢酸ビニルが最も
一般的であり、また塗膜の接着性のためにも好ましい。
【0018】なお、これらの塩化ビニル系樹脂として
は、乳化重合によって得られたそのペーストレジンを一
般に使用することができるが、これに懸濁重合等によっ
て得られたブレンド用レジン或いは更にその他のレジン
を併用することもできる。そして、その具体的組成また
は配合は用途等に応じて適宜に定めることができるが、
ペーストレジンとブレンド用レジンとを併用して使用す
る場合、それらの比率は重量比で2:1〜1:2程度が
一般に好ましい。
【0019】〈可塑剤〉上記の塩化ビニル系樹脂を可塑
化するための可塑剤としては、この種のプラスチゾル組
成物を形成するために一般に使用されている任意のもの
を用いることができる。
【0020】そのような可塑剤としては、例えば、フタ
ル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジ−2−エチルヘ
キシル、フタル酸ジイソノニル(DINP)等のフタル
酸エステル、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DO
A)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、セバ
チン酸エステル、アゼライン酸エステル等の芳香族及び
脂肪族のジ及びトリカルボン酸エステル、リン酸トリフ
ェニル、リン酸トリクレシル等のリン酸エステル、エポ
キシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤、等が挙げられる。
そして、これらの可塑剤は、要求されるプラスチゾル組
成物の粘度、硬化性等の物性に応じて適宜選択して使用
することができ、また、一般に、塩化ビニル系樹脂10
0重量部に対して70〜150重量部の範囲で配合する
ことができる。ただし、吸湿発泡性をより低減する上で
は、この可塑剤は比較的少ない割合で使用することが好
ましく、例えば、塩化ビニル系樹脂よりも少ない分量で
使用することが好ましい。
【0021】なお、可塑剤は、その一部を有機溶剤に代
えることができる。ただし、そのような溶剤としては、
ナフサ、テレピン油、ミネラルスピリット等の石油系溶
剤、芳香族系溶剤等、可塑剤と同程度の高沸点の溶剤が
好ましい。そして、このように有機溶剤を使用すること
によって、塗装仕上り性をある程度向上することができ
る。
【0022】〈充填剤〉充填剤は、プラスチゾル組成物
を増量すると共に、形成される塗膜に適度な強度を与え
るために配合される。
【0023】このような充填剤としては、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等のアルカリ土類
金属の炭酸塩及び硫酸塩、マイカ、シリカ、タルク、珪
藻土、カオリン等を挙げることができ、これらは、単独
で、または適宜組合わせて使用することができる。ま
た、セルロース粉、粉末ゴム等の有機質の充填剤も、必
要に応じて使用することができる。そして、これらの充
填剤は、プラスチゾル組成物の具体的用途等に応じて、
塩化ビニル系樹脂100重量部に対して一般に70〜2
00重量部の割合で使用し、配合することができる。
【0024】〈接着性付与剤〉本塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物においては、その塗膜の接着性(密着性)を
向上するための接着性付与剤として、カチオン型電着塗
装面に対して優れた接着性を発現するポリアミドとブロ
ックイソシアネートとの併用系を使用する。
【0025】ここで、接着性付与剤としてのポリアミド
は、エポキシ樹脂等の硬化剤としても一般に使用される
活性アミノ基を含有するポリアミド化合物であり、一般
に、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、また
は芳香族ジアミン等のポリアミン類と多塩基酸とを反応
させて得られる。なお、接着性付与剤としては活性水素
を有するアミノ化合物であればよく、脂肪族ジアミン等
も使用することができるが、これらは揮発性があり毒性
もあるため、本プラスチゾル組成物においてはそのポリ
アミドが使用される。そして、このようなポリアミドと
しては、代表的には、リノール酸等の不飽和脂肪酸を熱
重合したダイマー酸またはトリマー酸等の重合脂肪酸と
ポリアミンとの反応生成物が挙げられる。
【0026】また、ブロックイソシアネートは、ポリイ
ソシアネート成分をメチルエチルケトンオキシム(ME
KO)等のブロック剤でブロックしたものである。そし
て、そのポリイソシアネート成分としては、ヘキサメチ
レンジアミン(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート、
トリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート、水添TDI
等の脂環式ジイソシアネート、または、これらのジイソ
シアネートのビューレット体、イソシアヌレート体、エ
チレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価ア
ルコールとのアダクト体、或いは、ウレタンプレポリマ
等が挙げられる。しかし、これらの中でも、接着性付与
剤としては、そのウレタンプレポリマをブロックしたブ
ロックウレタンプレポリマを、一般に最も好適に使用す
ることができる。
【0027】そして、これらのポリアミドとブロックイ
ソシアネートとの併用系によれば、加熱焼付時の温度で
ブロックイソシアネートのブロック剤が解離され、再生
されたイソシアネート成分のイソシアネート基がカチオ
ン型電着塗装塗膜の水酸基と結合することによって、そ
れに対するプラスチゾル組成物の塗膜の接着性が向上さ
れる。また、ポリアミドは、そのブロックイソシアネー
トの解離を促進して低温焼付時の接着性を向上すると共
に、それに含有される活性アミノ基やアミド結合部がカ
チオン型電着塗装塗膜の極性基(アミノ基、水酸基等)
と水素結合して、優れた接着性を発現させる。またその
一方、焼付硬化時の加熱により再生した塗膜中のポリイ
ソシアネート成分は、上記の架橋型塩化ビニル系樹脂の
水酸基と結合し、これを架橋し硬化して、吸湿発泡に対
して抵抗性のあるプラスチゾル組成物塗膜を形成する。
【0028】そのため、ポリアミドの配合量は、カチオ
ン型電着塗装塗膜との優れた接着性を確保するために、
組成物全体に対して一般に1.0重量%以上であること
が好ましく、また、ブロックイソシアネートと架橋型塩
化ビニル系樹脂との架橋反応を阻害しないように、組成
物全体に対して一般に4.0重量%以下であることが好
ましい。即ち、ポリアミドは、組成物全体に対して1.
0〜4.0重量%の割合で配合されることが好ましい。
また、より好ましいその割合は、1.0〜4.0重量%
である。なお、ブロックイソシアネートの配合割合は、
従来と同様に、組成物全体に対して1.0〜10重量%
が好ましく、また、2.0〜5.0重量%程度がより好
ましい。
【0029】〈その他〉なお、以上の成分の他に、本塩
化ビニル系プラスチゾル組成物には、従来と同様に、安
定剤、タレ止め剤、レベリング剤、顔料、その他の添加
剤を適宜に添加し、配合することができる。
【0030】ここで、安定剤としては、エポキシ系安定
剤、金属石ケン類、無機酸塩類、有機金属化合物等が挙
げられる。そして、これらの中でも、ジブチルスズジラ
ウレート等の有機スズ系化合物、三塩基性硫酸鉛等が代
表的であり、最も普通に使用することができる。なお、
これらの安定剤は、ブロックイソシアネートが接着性付
与剤として用いられる場合、焼付硬化時のそのブロック
剤の解離を促進する触媒としても作用する。
【0031】タレ止め剤は、他の成分とのバランスを取
りながら組成物の粘度(チキソ性)を調整して、塗布膜
のタレを防止するために使用され、超微粒子炭酸カルシ
ウム、微粒子シリカ等を、充填剤を兼ねて好適に使用す
ることができる。他方、レベリング剤は塗布膜のレベリ
ング性を向上するために使用され、例えばシリコン樹
脂、或いは、高粘度型または低粘度型のダイマー酸変性
エポキシ樹脂等を使用することができる。ただし、これ
を余り多く添加するとタレ性が悪化する。
【0032】また、顔料としては、任意の顔料を適宜に
使用することができるが、酸化チタン、カーボンブラッ
ク等の体質顔料を兼ねた着色顔料を特に好ましく用いる
ことができる。更に、その他の添加物としては、有機ベ
ントナイト等の増粘剤等が挙げられ、また、酸化カルシ
ム、酸化マグネシウム等の無機質水分吸収剤も、吸湿発
泡性の一層の向上のために適宜使用することができる。
【0033】そして、これらの水酸基含有架橋型塩化ビ
ニル系樹脂を含む塩化ビニル系樹脂及び可塑剤と、充填
剤と、ポリアミドとブロックイソシアネートとの併用系
からなる接着性付与剤とを必須成分として含む本プラス
チゾル組成物は、自動車車体等のシーリング用組成物、
アンダーコート用組成物、或いは耐チッピング塗料組成
物等として、特に、カチオン型の電着塗装による下塗り
塗装表面に有利に適用することができる。また、この組
成物は、スプレー塗布等の通常の塗布手段によって任意
の厚さ及び塗布形態において塗布することができ、そし
て、その焼付硬化は、例えば、70〜120℃またはそ
れ以上の温度でプレヒートして予備硬化した後、その塗
膜上に上塗り塗装される中塗り塗料及び上塗り塗料の焼
付硬化と合わせて行うことができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明する。
【0035】図1は本発明の実施例と比較例の塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物の配合組成と、評価試験の結果
とを示す表図である。
【0036】即ち、図1に示す配合(重量部)で、自動
車のロッカパネル等の耐チッピング塗料として使用され
る本発明の実施例1乃至実施例7の塩化ビニル系プラス
チゾル組成物を調製した。また、これらとの対比のため
に、比較例1乃至比較例5の塩化ビニル系プラスチゾル
組成物も合わせて調製した。そして、これらの実施例及
び比較例の各プラスチゾル組成物について、その吸湿発
泡性を試験評価すると共に、その塗膜の剪断接着性とそ
れの貯蔵安定性とに関する評価試験も併せて行った。
【0037】〔組成物の調製〕図1のように、これらの
実施例及び比較例のプラスチゾル組成物は、塩化ビニル
系樹脂A,B,C、可塑剤、充填剤、溶剤及び安定剤、
及びブロックイソシアネートとポリアミドとの併用系か
らなる接着性付与剤とから形成されている。ただし、各
実施例及び比較例において、塩化ビニル系樹脂の種類及
び配合量とポリアミドの添加量とが種々に変えられてい
る。なお、ここで使用したこれらの各配合材料は、次の
成分または組成からなっている。
【0038】主剤である塩化ビニル系樹脂としては、3
種類の塩化ビニル系樹脂A,B,Cを使用した。塩化ビ
ニル系樹脂Aは、水酸基を分子中に含有する水酸基含有
架橋型塩化ビニル系樹脂であり、具体的には、水酸基価
12(mgKOH/g)、重合度1400を有するペーストレジ
ン(『P−100』三菱化成ビニル社製)からなる。塩
化ビニル系樹脂Bは、酢酸ビニル7重量%を含有する塩
化ビニルのコポリマからなる重合度2000のペースト
レジン(『39J』日本ゼオン社製)であり、また、塩
化ビニル系樹脂Cは、酢酸ビニル3重量%を含有する塩
化ビニルのコポリマからなる重合度1000、粒径40
μmのブレンド用レジン(『103ZX』日本ゼオン社
製)である。
【0039】これらの塩化ビニル系樹脂に対する可塑剤
としては、ジオクチルフタレート(DOP)を使用し
た。
【0040】充填剤としては、平均粒径2〜4μmの重
質炭酸カルシウムと、タレ止め剤を兼ねるコロイダル炭
酸カルシウムとを等量混合物として使用した。
【0041】溶剤は石油系高沸点溶剤(ミネラルスピリ
ット)からなり、また、プラスチゾル組成物を安定化す
るための安定剤としては三塩基性硫酸鉛を使用した。な
お、この溶剤は、主に塗膜の仕上り性(平滑性)の向上
のためのものである。
【0042】そして、一方の接着性付与剤成分であるブ
ロックイソシアネートとしては、ウレタンプレポリマを
イソシアネート成分とし、有効NCO含有量1.3%で
あるブロックイソシアネート(『アデスタ#751』三
菱化成ビニル社製)を、また、もう一方の接着性付与剤
成分であるポリアミドとしては、アミン価が190(mgK
OH/g)であるダイマー酸系のポリアミド(『KC−51
6』ケミオックス社製)を、それぞれ使用した。
【0043】〈実施例1〜7〉そして、実施例1乃至実
施例7の塩化ビニル系プラスチゾル組成物については、
水酸基含有架橋型塩化ビニル系樹脂である塩化ビニル系
樹脂Aを少なくとも含む塩化ビニル系樹脂28重量部
と、可塑剤22重量部及び充填剤40重量部と、溶剤4
重量部及び安定剤1.0重量部(合計5重量部)と、更
に3.0重量部のブロックイソシアネートとを固定条件
とし、塩化ビニル系樹脂A,B,Cの種類と相互の配合
比率とを変え、また、ポリアミドの添加量を1.0〜
4.0重量部の範囲で変えて、それぞれ調製した。
【0044】具体的には、実施例1では、主剤としての
塩化ビニル系樹脂は、ペーストレジンである水酸基含有
架橋型塩化ビニル系樹脂A:7重量部、酢ビ系のペース
トレジンである塩化ビニル系樹脂B:7重量部、及びブ
レンド用レジンである塩化ビニル系樹脂C:14重量部
からなっている。つまり、架橋型塩化ビニル系樹脂Aの
配合は比較的少なく、樹脂成分全体に対して25重量%
である。また、ポリアミドの添加量は、最も少ない1.
0重量部である。
【0045】実施例2は、実施例1に対して、塩化ビニ
ル系樹脂の配合組成はそのままとし、ポリアミドの添加
量を増やし、2.0重量部としたものである。
【0046】実施例3乃至実施例6は、主剤である塩化
ビニル系樹脂については塩化ビニル系樹脂Aの配合を多
くして14重量部とし、同じ量のブレンド用レジンCと
の混合物として使用したものである。即ち、これらの実
施例において、塩化ビニル系樹脂Aの配合は樹脂成分全
体に対して50重量%の割合である。そして、ポリアミ
ドの添加量を種々に変え、実施例3では1.0重量部、
実施例4では2.0重量部、実施例5では3.0重量
部、そして実施例6では4.0重量部とした。
【0047】実施例7は、塩化ビニル系樹脂Aの配合量
を更に多くしたものであり、ここでは塩化ビニル系樹脂
は塩化ビニル系樹脂A:18重量部と塩化ビニル系樹脂
C:10重量部とからなっている。即ち、塩化ビニル系
樹脂Aの樹脂成分全体に対する割合は、64重量%であ
る。なお、ポリアミドの添加量は2.0重量部である。
【0048】〈比較例1〜5〉これらの実施例に対し
て、比較例1の塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、架
橋型塩化ビニル系樹脂Aを配合しないものであって、従
来からの一般的なものに相当する。具体的には、この比
較例1では、塩化ビニル系樹脂は酢ビ系ペーストレジン
である塩化ビニル系樹脂B:14重量部と、ブレンド用
レジンである塩化ビニル系樹脂C:14重量部とからな
り、また、ポリアミドの添加量は2.0重量部である。
なお、その他の成分の配合については、実施例と同じで
ある。
【0049】比較例2は、比較例1に対して、架橋型塩
化ビニル系樹脂Aを少しだけ配合したものである。具体
的には、比較例2の塩化ビニル系樹脂の配合は、その架
橋型塩化ビニル系樹脂A:3重量部、塩化ビニル系樹脂
B:11重量部、及び塩化ビニル系樹脂C:14重量部
からなっている。なお、ここでは、塩化ビニル系樹脂A
の樹脂成分全体に対する割合は、約11重量%である。
【0050】比較例3及び比較例4は、ポリアミドの添
加量を少なくし、0.5重量部としたものである。な
お、塩化ビニル系樹脂及びその他の成分の配合に関して
は、比較例3は実施例1及び実施例2と、また、比較例
4は実施例3乃至実施例6とそれぞれ同じである。
【0051】比較例5はポリアミドの添加量を逆に過度
に多くしたものであり、具体的には、実施例3乃至実施
例6に対して、ポリアミドの添加量を5.0重量部とし
たものである。
【0052】なお、これらの配合組成からなる実施例及
び比較例の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の調製は、
プラネタリーミキサーを用いて材料を均一に混合した
後、60分間真空脱泡撹拌することによって行った。
【0053】〔評価試験〕次いで、このように主剤であ
る塩化ビニル系樹脂の配合組成と、接着性付与剤である
ポリアミドの添加量とを変えて調製した実施例及び比較
例の各塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、その
吸湿発泡性の評価試験を、塗膜厚さを500μmとした
場合と600μmとした場合とのそれぞれについて行っ
た。また、これに加えて、各プラスチゾル組成物による
塗膜の剪断接着性と、それの貯蔵安定性とに関する評価
試験も併せて行った。これらの各評価試験の詳細は、次
のとおりである。
【0054】〈吸湿発泡性〉吸湿発泡性の評価試験につ
いては、自動車のロッカパネルの実際の塗装条件に対応
して、具体的に次のように行った。
【0055】試験に際して、予め、適当な大きさのダル
鋼板にエポキシ系のカチオン型電着塗装を施し(約20
μm)、次いで焼付したものを試験板として準備した。
そして、この試験板に、実施例及び比較例の各プラスチ
ゾル組成物を500μm及び600μmの2種類の塗膜
厚さでそれぞれ塗布し、次いで、110℃に7分間キー
プしてプレヒート(予備加熱)を行い、塗布したプラス
チゾル組成物をプレキュア(予備硬化)させた。その
後、その予備硬化したプラスチゾル組成物の塗膜上に、
ポリエステル−メラミン系の中塗り塗料を、乾燥時の膜
厚で約20μmの厚さに塗装した。
【0056】次いで、この中塗り塗料を塗装した試験板
を、そのまま温度30℃、相対湿度90%の雰囲気中に
48時間(2日間)放置し、それによってプラスチゾル
組成物の塗膜に空気中の水分を吸収させた。そして、こ
の吸湿処理を行った塗装試験板を、180℃の最高温度
に5分間保持する加熱条件で焼付し、中塗り塗料と共に
プラスチゾル組成物の焼付硬化を行った。
【0057】そして、この焼付硬化した塗装試験板につ
いて、その塗膜(中塗り塗膜)表面の発泡、即ち、膨
れ、割れ等の発生の有無を目視にて詳細に観察して、吸
湿発泡性を評価した。なお、この吸湿発泡性の評価は次
の基準で行った。 ○:異状なし(割れ、膨れ等の発生なし)。 ×:膨れ、割れ等の発生が僅かにもある。
【0058】〈剪断接着性〉実施例及び比較例の各プラ
スチゾル組成物の塗膜の接着性については、次のように
接合試験片を作製し、次いで引張り試験を行って、剪断
接着力を測定すると共に、破断面の状態を観察し評価し
た。
【0059】即ち、上記の吸湿発泡性試験と同様に、予
め、エポキシ系のカチオン型電着塗装を施した25×1
00mmの短冊状の試験用鋼板を2枚ずつ用意し、その
一方の試験用鋼板の長手方向一端部から25mmの長さ
範囲に亘って、実施例及び比較例の各プラスチゾル組成
物を3.0mmの厚さで塗布し、次いで、もう一方の試
験用鋼板の一端部をそのプラスチゾル組成物の塗布面に
重ねて、直線状に接合した。そして、これを140℃で
20分間焼付硬化し、各プラスチゾル組成物の硬化塗膜
を介して接合された接合試験片を作製した。
【0060】次いで、この接合試験片を、引張り試験機
(島津製作所製)を用いて、引張速度50mm/分で破
断するまで長手方向に引張り、その時の剪断接着力(M
Pa)を測定した。
【0061】また、破断面を目視で観察して、プラスチ
ゾル組成物の塗膜の破壊の状態、即ち、凝集破壊である
か、界面破壊であるかを調べた。そして、完全な凝集破
壊である場合を「CF」とし、また、少しでも界面破壊
部分が含まれる場合を「AF」として評価した。なお、
塗膜の接着性(密着性)としては、凝集破壊であること
が優れ、接着力にかかわらず界面破壊であることは一般
に好ましくはない。
【0062】〈貯蔵安定性〉貯蔵安定性ついては、実施
例及び比較例の各塩化ビニル系プラスチゾル組成物を4
0℃の雰囲気中に10日間放置し、その放置後の組成物
粘度を初期の粘度で割り、粘度変化率として求めた。即
ち、貯蔵安定性は、 粘度変化率=(40℃×10日)放置後粘度/初期粘
度、 で与えられる。
【0063】実施例及び比較例の各プラスチゾル組成物
について行ったこれらの評価試験の結果を、図1にその
配合組成と合わせて示す。
【0064】〔試験結果〕図1のように、まず、従来か
らの一般的な塩化ビニル系プラスチゾル組成物に相当
し、塩化ビニル系樹脂として水酸基含有架橋型塩化ビニ
ル系樹脂Aを含まない比較例1では、剪断接着性及び貯
蔵安定性は共に良好であるが、吸湿発泡性が悪い。即
ち、高温多湿環境下に放置されることによってプラスチ
ゾル組成物の塗膜に吸収された水分が、焼付硬化時の加
熱により気化し、溶融状態のその塗膜を発泡させるた
め、その塗膜表面(中塗り塗膜表面)に膨れ、割れ等が
発生している。また、この傾向は、架橋型塩化ビニル系
樹脂Aの配合割合の少ない比較例2の場合でも同様であ
る。
【0065】これに対して、主剤である塩化ビニル系樹
脂としてその架橋型塩化ビニル系樹脂Aを十分な割合で
用いた各実施例においては、少なくとも500μmの膜
厚の場合では、いずれも吸湿発泡性が良好であり、焼付
硬化時の塗膜の膨れや割れの発生が有効に抑制されてい
る。そして、特に、他の条件が同じである実施例2、実
施例4、及び実施例7を対比すると、架橋型塩化ビニル
系樹脂Aの配合割合が多い程、吸湿発泡性に関して好ま
しい結果が得られている。
【0066】そこで、水酸基含有架橋型塩化ビニル系樹
脂Aの配合割合は、樹脂成分全体に対して25重量%以
上であることが好ましく、また、より好ましいのは、約
半分以上であることが分かる。ただし、その配合割合が
多い程、貯蔵安定性はより低下する傾向が見られ、64
重量%の割合である実施例7では、粘度が2倍にまで増
加している。そのため、その配合割合は、樹脂成分全体
の2/3程度を限度とすることが更に好ましい。
【0067】このように、この試験結果から、水酸基含
有架橋型塩化ビニル系樹脂を十分な割合で用いることに
より、吸湿発泡を有効に抑制できることが分かる。この
理由については、推測ではあるが、次のように考えられ
る。つまり、その架橋型塩化ビニル系樹脂が、焼付時の
加熱により、解離したブロックイソシアネートのイソシ
アネート成分によって架橋硬化され、その結果、溶融状
態にあるプラスチゾル組成物の塗膜が強化され、気化し
た水分の圧力に対して抵抗性が与えられるため、それに
よって、塗膜が発泡により膨れ、またその膨れが破裂し
て割れが生じることが抑制される、と考えられる。
【0068】これは推測にすぎないものであるが、吸湿
発泡性が架橋型塩化ビニル系樹脂のブロックイソシアネ
ートによる架橋と関係することは確かである。そのた
め、吸湿発泡性は、カチオン型の電着塗装面に対する接
着性を確保するために、接着性付与剤としてブロックイ
ソシアネートと併用されるポリアミドの配合量とも関連
する。つまり、ポリアミドの配合割合が多すぎると、ブ
ロックイソシアネートとポリアミドとの反応のみが優先
的となり、架橋型塩化ビニル系樹脂の架橋が不十分とな
るためである。また、ポリアミドの配合量と吸湿発泡性
とは、ポリアミドの吸湿性が高いことも関係すると考え
られる。
【0069】そして、このポリアミドの配合割合につい
ては、塩化ビニル系樹脂の配合条件が同じである実施例
3乃至実施例6、及び比較例4及び比較例5の結果か
ら、吸湿発泡性の点では、組成物全体に対して4.0重
量%以下であることが好ましいこと、また、より好まし
くは3.0重量%以下であることが分かる。即ち、ポリ
アミドの添加量が多くなる程、吸湿発泡性が悪化し、
5.0重量部配合した比較例5では、膜厚が500μm
の場合にも吸湿発泡性が悪くなっている。
【0070】ただし、ポリアミドの配合量が余り少ない
と、比較例3及び比較例4のように、プラスチゾル組成
物の塗膜の接着力が低下するだけでなく、破壊状態が界
面破壊となるため、好ましくない。したがって、ポリア
ミドの配合割合は、これの使用目的である良好な接着性
の確保の点から、組成物全体に対して1.0重量%以上
であることが好ましいこと、そして、吸湿発泡を十分に
抑制する点と合わせて、1.0〜4.0重量%が好まし
いことが分かる。
【0071】なお、実施(試験)例として、自動車のロ
ッカパネル等に使用する耐チッピング塗料組成物として
具体化した例を説明したが、本発明を実施する場合に
は、この例に限定されるものではなく、塩化ビニル系樹
脂、可塑剤、接着性付与剤及びその他の成分の種類と配
合割合は種々に変更することができる。また、そのプラ
スチゾル組成物は、耐チッピング塗料としてだけではな
く、自動車車体のシーリング用組成物、或いはアンダー
コート用組成物等としても好適に適用することができ
る。更に、そのプラスチゾル組成物は自動車車体だけで
なく、例えば、鉄道等の自動車以外の車両、或いは家電
機器等にも有利に適用することができる。
【0072】
【発明の効果】以上のように、請求項1にかかる塩化ビ
ニル系プラスチゾル組成物は、水酸基を分子中に含有す
る水酸基含有架橋型塩化ビニル系樹脂を、樹脂成分全体
に対して25重量%以上の割合で含む塩化ビニル系樹脂
と、可塑剤と、充填剤と、組成物全体に対して1.0〜
4.0重量%の割合からなる活性アミノ基を含有するポ
リアミドと、ブロックイソシアネートとの併用系からな
る接着性付与剤とを含むものである。
【0073】したがって、この組成物においては、塩化
ビニル系樹脂として水酸基含有架橋型塩化ビニル系樹脂
を所定の割合で含み、また、接着性付与剤としてブロッ
クイソシアネートと併用するポリアミドを所定の割合と
しているため、その架橋型塩化ビニル系樹脂がブロック
イソシアネートによって架橋硬化されることにより、焼
付硬化時の塗膜の強度を高めることができ、気化した水
分の圧力に対して抵抗性を与え、吸湿発泡性を改善する
ことができる。また、その一方、特に、カチオン型電着
塗装面に対するその塗膜の接着性は、適性な配合割合の
ポリアミドによって、十分に確保することができる。
【0074】即ち、この塩化ビニル系プラスチゾル組成
物によれば、塗布後高温多湿下に長時間放置されること
によって塗膜中に水分が吸収された場合でも、焼付硬化
時のその水分の気化による塗膜の膨れ、割れ等の発生を
抑制することができる。また、それによって、プラスチ
ゾル組成物の厚塗りが可能となり、膨れ限界膜厚を向上
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例と比較例の塩化ビニル
系プラスチゾル組成物の配合組成(重量部)と、評価試
験の結果とを示す表図である。(なお、図において、破
壊状態CF:凝集破壊,AF:界面破壊、貯蔵安定率:
粘度変化率=40℃×10日放置後粘度/初期粘度であ
る。)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 権田 清志 愛知県西加茂郡藤岡町大字飯野字大川ケ原 1141番地1 アイシン化工株式会社内 (72)発明者 藤 正之 神奈川県横須賀市田浦港町無番地 関東自 動車工業株式会社内 (72)発明者 松田 公夫 神奈川県横須賀市田浦港町無番地 関東自 動車工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を分子中に含有する水酸基含有架
    橋型塩化ビニル系樹脂を、樹脂成分全体に対して25重
    量%以上の割合で含む塩化ビニル系樹脂と、 可塑剤と、 充填剤と、 組成物全体に対して1.0〜4.0重量%の割合からな
    る活性アミノ基を含有するポリアミドと、ブロックイソ
    シアネートとの併用系からなる接着性付与剤とを含むこ
    とを特徴とする塩化ビニル系樹脂プラスチゾル組成物。
JP31480196A 1996-11-26 1996-11-26 塩化ビニル系プラスチゾル組成物 Pending JPH10152592A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001115097A (ja) * 1999-05-11 2001-04-24 Tosoh Corp 表面処理用添加剤およびそれよりなる表面処理用組成物、並びにその用途
JP2006117942A (ja) * 2005-10-20 2006-05-11 Hitachi Chem Co Ltd 疑似架橋型樹脂組成物、これから得られる成形材、シート又はフィルムおよび光学用部品
JP2009138104A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Aisin Chem Co Ltd 熱可塑性樹脂ゾル組成物
JP2011132385A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Adeka Corp プラスチゾル組成物及びその製造方法
CN102732104A (zh) * 2012-05-16 2012-10-17 常州市康宝涂料化工有限公司 一种环境友好型pvc塑溶胶及其制备方法

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