JPH10279758A - 塩化ビニル系プラスチゾル組成物 - Google Patents

塩化ビニル系プラスチゾル組成物

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JPH10279758A
JPH10279758A JP9043097A JP9043097A JPH10279758A JP H10279758 A JPH10279758 A JP H10279758A JP 9043097 A JP9043097 A JP 9043097A JP 9043097 A JP9043097 A JP 9043097A JP H10279758 A JPH10279758 A JP H10279758A
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vinyl chloride
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composition
weight
coating
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JP9043097A
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English (en)
Inventor
Shinichi Nakao
進市 中尾
Kiyoshi Gonda
清志 権田
Kimio Matsuda
公夫 松田
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Kanto Jidosha Kogyo KK
Toyota Motor East Japan Inc
Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kanto Jidosha Kogyo KK
Kanto Auto Works Ltd
Aisin Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着性等を損なうことなく、良好な塗膜の仕
上り外観性を得る。 【解決手段】 車体の耐チッピング用塗料等として使用
されるプラスチゾル組成物であって、水酸基含有塩化ビ
ニル系樹脂を含む塩化ビニル系樹脂と、可塑剤と、充填
剤と、ブロックイソシアネートと活性水素を含有するポ
リアミドからなる接着性付与剤とを含み、また、剪断速
度5.28s-1での粘度が7.0〜20.0Pa・s/
20℃、剪断速度9410s-1での粘度が180〜40
0mPa・s/25℃である。水酸基含有塩化ビニル系
樹脂によりチキソ性が向上され、適度な粘度回復時間に
よって十分にレベリングされて良好な仕上り外観性が得
られると共に、その後の高粘度化によってタレが抑制さ
れ、接着性低下の原因となるタレ止め剤の配合を最小限
度にできる。他方、ブロックイソシアネートによる水酸
基含有塩化ビニル系樹脂の架橋はポリアミドで適度に緩
和され、耐衝撃性が確保される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐チッピング用塗料
組成物、シーリング用組成物、或いはアンダーコート用
組成物等として使用される塩化ビニル系プラスチゾル組
成物に関するものであり、特に、良好な仕上り外観性を
有する塗膜を形成することができる塩化ビニル系プラス
チゾル組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体においては、そのフロア下
部やロッカパネル或いはホイールハウス等に、耐チッピ
ング、防錆等の目的で耐チッピング用塗料組成物やアン
ダーコート用組成物の塗装が施される。また、車体は鋼
板を溶接や接着剤等で接合して組立てられるが、その接
合部や継目部等には、水密、気密、防塵、防錆等の目的
でシーリング用組成物が施される。
【0003】そして、従来より、これらの耐チッピング
用塗料組成物等としては、厚膜で比較的弾性に富む塗膜
を形成することができ、防錆性に優れ、また、鋼板接合
部の隙間を良好に充填することができる等の理由から、
塩化ビニル系のプラスチゾル組成物が一般に使用されて
いる。このプラスチゾル組成物は、塩化ビニルの単独重
合体または酢酸ビニル等との共重合体からなる塩化ビニ
ル系樹脂と可塑剤とを主剤とし、これに炭酸カルシウム
等の充填剤、塗膜の接着性(付着性)を向上するための
接着性付与剤等を配合したものである。なお、この接着
性付与剤としては、これらのプラスチゾル組成物が一般
に電着塗装による下塗り塗装後に施されることから、特
に、カチオン型電着塗装塗膜に対して優れた接着性を発
現するポリアミドまたはブロックイソシアネートが一般
に用いられている。そして、この種の組成物に関して
は、例えば、特公平1−25515号(接着性付与剤と
して、特殊なブロック剤でブロックしたブロックイソシ
アネートの使用)、特開平4−161443号(その塗
膜上に塗装する、中塗りまたは上塗り塗膜の焼付時の割
れの防止)、特開平6−16891号(酸化カルシウム
による耐吸湿発泡性の向上)等において種々の態様また
は変形で開示されている。
【0004】ところで、このような塩化ビニル系のプラ
スチゾル組成物が耐チッピング用塗料組成物として、特
に、ロッカパネル(サイドシル)等に適用される場合に
は、形成される塗膜は、耐チッピング性、密着性等の一
般的な諸性能だけでなく、その外観性も重要であり、滑
らかで凸凹等が目立つことなく、仕上り性が良いことが
要求される。しかしながら、その塗装は通常エアレスス
プレー塗装によってなされるが、この種のプラスチゾル
組成物は、その組成上、一般に高粘度であるため、十分
な塗布パターン幅を得るためには高い吐出圧力でのスプ
レー塗装が必要であるだけでなく、スプレーノズルから
噴射する組成物の霧化粒子を十分に均一に微細化するこ
とが困難であり、その霧化粒子は比較的粗大な粒子を含
むものとなる傾向がある。また、これに加えて、塗装後
の塗布膜のレベリング(平滑化)は、その高い粘度のた
めに十分になされない。そのため、このプラスチゾル組
成物の塗膜の表面には、その比較的粗大な霧化粒子によ
る凸凹が生じ易い傾向がある。そして、そのような塗膜
表面の凸凹は、その外観上の見栄えを損ない、仕上り外
観性を著しく低下させるものである。
【0005】そこで、エアレススプレー塗装による塗膜
の表面のそのような凸凹の発生を抑制し、仕上り外観性
を向上するために、そのプラスチゾル組成物に減粘剤と
してミネラルスピリット、ナフサ等の有機溶剤を添加す
ることが知られ、また行われている。つまり、プラスチ
ゾル組成物を低粘度化して流動性を増し、スプレー塗装
性を向上して霧化粒子を十分均一に微細化すると共にレ
ベリング性を高め、それによって、凸凹の発生を抑制
し、仕上り外観性を向上することである。しかし、この
溶剤の添加による組成物の低粘度化は、当然のことなが
ら同時に耐タレ性を悪化させ、厚膜塗装時には塗装欠陥
であるタレ(垂れ)を生じさせることになる。そのた
め、減粘剤として有機溶剤を添加する場合には、これに
合せて、超微粒子炭酸カルシウム(コロイダル炭酸カル
シウム)、微粒子シリカ等のタレ止め剤を用いることが
一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物の塗膜の仕上り外観性を向上す
る手段としては、その組成物に有機溶剤を減粘剤として
添加すると共に、コロイダル炭酸カルシウム等の無機質
の微粉末をタレ止め剤として配合することが一般的であ
る。
【0007】ここで、タレ止め剤としてのコロイダル炭
酸カルシウム等は、組成物にチキソ性(チキソトロピ
ー)を与え、その組成物の低剪断速度下(静止時)での
粘度(及び降伏値)を増大させて耐タレ性を高める一
方、高剪断速度下での粘度を低く維持する。即ち、低剪
断速度下または静止状態では、配合された炭酸カルシウ
ム微粒子が組成物中で互いにゆるく結合(凝集)して三
次元構造を形成するため、組成物の粘度は増大される
が、この微粒子間の結合力は弱いため、高剪断速度下で
は、つまり、エアレススプレーにより噴射霧化されると
きには、その剪断によって構造の一部また全部が破壊さ
れて流動性が増し、見掛けの粘度が低下する。そのた
め、このコロイダル炭酸カルシウム等のタレ止め剤の配
合によって、有機溶剤の添加により減粘されたプラスチ
ゾル組成物は、低剪断速度下での粘度は高められ、それ
により耐タレ性が向上されるが、高剪断速度下での粘度
は余り増大されないため、エアレススプレーによる塗装
性を良好な範囲に維持することができる。また、エアレ
ススプレー塗装により高速での剪断が与えられた組成物
が被塗装物に付着した後には、そのチキソ性(時間依存
性)によって、構造が回復され、粘度が再び回復するま
でに時間的遅れが生じるため、この粘度回復の時間的特
性が塗布膜のレベリングに寄与することにもなる。
【0008】しかしながら、この有機溶剤の添加による
手段にも限界があり、特に、500μmまたはそれ以上
の膜厚でなされるロッカパネル等の耐チッピング塗装の
場合には、それによって良好な仕上り外観性を得ること
は実際上困難であった。つまり、そのような高膜厚での
耐タレ性を十分に確保するためには、コロイダル炭酸カ
ルシウム等のタレ止め剤を比較的多量に配合する必要が
あるが、このタレ止め剤の多量の配合によって低剪断速
度下での粘度が増加するだけでなく、高剪断速度下での
粘度も累加的に増大し、スプレー塗装性が低下する一
方、チキソ性により粘度回復に時間的特性が付与される
とは言え、その粘度回復は比較的早いため、塗装後のレ
ベリング性もむしろ低下するからである。更に、このコ
ロイダル炭酸カルシウム等のタレ止め剤の多量の配合
は、塗膜の接着性(付着性)を低下させる傾向もあっ
た。これは、このコロイダル炭酸カルシウム等が非常に
微細な粒子であるため、プラスチゾル組成物と、これが
施される被塗装面との界面に均一に分散し、その結合を
阻害するためである。
【0009】そのため、このような実情から、塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物を特にロッカパネル等に塗装す
る場合には、コロイダル炭酸カルシウム等のタレ止め剤
の増量による接着性の低下等を伴うことなく、耐タレ性
を十分に確保できる一方、その仕上り外観性を向上する
ことができる手段が要望されていた。
【0010】そこで、本発明は、接着性等の他の物性を
低下させることなく、良好な仕上り外観性を十分な耐タ
レ性と共に得ることができる塩化ビニル系プラスチゾル
組成物の提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
の解決のために種々の試行錯誤を繰返した結果、塩化ビ
ニル系樹脂の少なくとも一部として水酸基を分子中に含
有する水酸基含有塩化ビニル系樹脂を使用し、低剪断速
度下の粘度と高剪断速度下の粘度とを適切な範囲とする
ことによって、組成物のチキソ性を大幅に向上すること
ができ、それによって、接着性等を低下させることな
く、十分な耐タレ性を確保できると共に良好な仕上り外
観性を得ることができること、またそれと共に、接着性
付与剤としてブロックイソシアネートとポリアミドとを
組合せて用いることにより、形成される塗膜の耐衝撃性
を良好に維持できることを見出し、また確認した。
【0012】即ち、請求項1にかかる塩化ビニル系プラ
スチゾル組成物は、水酸基を分子中に含有する水酸基含
有塩化ビニル系樹脂を含む塩化ビニル系樹脂と、可塑剤
と、充填剤と、ブロックイソシアネートと活性アミノ基
を含有するポリアミドとの併用系からなる接着性付与剤
とを必須成分として含み、剪断速度5.28s-1での粘
度が7.0〜20.0Pa・s/20℃であり、かつ、
剪断速度9410s-1での粘度が180〜400mPa
・s/25℃であることを特徴とするものである。
【0013】このように、このプラスチゾル組成物にお
いては、水酸基含有塩化ビニル系樹脂が使用され、適度
な低剪断速度下の粘度と高剪断速度下の粘度とを有して
いるため、後述の試験結果からも明らかなように、十分
な耐タレ性(タレ止め性)を確保できる一方、エアレス
スプレー塗装による塗膜の表面の凸凹の発生が有効に抑
制され、良好な仕上り外観性が得られる。これは、その
水酸基含有塩化ビニル系樹脂の粒子が組成物中で水酸基
相互の水素結合によるゆるい三次元構造を形成すること
によって、チキソ性が大幅に向上されるためであると考
えられる。即ち、エアレススプレーにより噴射霧化され
る高剪断速度下では、その構造が破壊されて流動性が増
し、それによって霧化粒子が十分に均一に微細化される
一方、組成物が被塗装物に付着した後には、その構造が
再び形成されることにより粘度が回復され、それによっ
て高い耐タレ性が確保されると共に、その粘度の回復は
水素結合反応に従う適度な時間でなされるため、その粘
度回復時間の間に塗布膜が十分にレベリングされること
である。したがってまた、コロイダル炭酸カルシウム等
のタレ止め剤の配合は最小限に止めることができるの
で、それの多量の配合による接着性の低下が防止され
る。
【0014】また、接着性付与剤として、ブロックイソ
シアネートと共に活性アミノ基を含有するポリアミドを
合せて使用しているので、ブロックイソシアネートによ
る水酸基含有塩化ビニル系樹脂の架橋が過剰に進むこと
をそのポリアミドにより緩和し、塗膜が硬化し過ぎるこ
とが防止され、その耐衝撃性(柔軟性)が良好に確保さ
れる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物について更に詳細に説明する。
【0016】〈塩化ビニル系樹脂〉塩化ビニル系樹脂は
塩化ビニルの単独重合体または共重合体、即ち、塩化ビ
ニルと他のビニル系単量体との共重合体であり、本プラ
スチゾル組成物においては、そのうちの少なくとも一部
として、分子中に水酸基を含有する水酸基含有塩化ビニ
ル系樹脂が使用される。
【0017】この塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルと水
酸基を含有するビニル単量体、及び必要に応じて更にそ
の他のビニル単量体とを共重合して得ることができる。
そして、その水酸基含有ビニル単量体としては、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒド
ロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸またはメ
タクリル酸の炭素数2〜24のヒドロキシアルキルエス
テル類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロー
ルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルア
ミド、N−ジヒドロキシエチルメタクリルアミド等のア
クリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜12のヒドロ
キシアルキルアミド類等が挙げられる。ただし、これら
の中でも、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート等のアクリル酸またはメタク
リル酸の比較的低炭素数のヒドロキシアルキルエステル
類が一般に好適に使用される。そして、こうして得られ
る塩化ビニル系樹脂の水酸基価は、比較的少ない5〜3
0(mgKOH/g)程度であることが好ましい。含有する水酸
基が余り多いとブロックイソシアネートによる架橋密度
が高くなり、塩化ビニル系樹脂としての特性が損なわれ
るからである。
【0018】また、この塩化ビニル系樹脂は、所望の塗
膜特性等に応じて任意の割合で配合することができる。
しかし、その割合が余り少ないと、チキソ性の向上が不
十分となり、低剪断速度下での粘度、即ち、被塗装物に
付着後の粘度を十分に確保することができず、十分な耐
タレ性(タレ止め性)を得ることが困難になる。また逆
に、その割合が余り多いと、特に低剪断速度下での粘度
が過度に高くなり、塗膜にヨリが発生する傾向となる。
そのため、この水酸基含有塩化ビニル系樹脂は、特に、
仕上り外観性の点から、プラスチゾル組成物全体に対し
て8〜19重量%の割合で使用することが好ましく、ま
た、10〜16重量%の割合がより好ましい。したがっ
てまた、この塩化ビニル系樹脂は、その他の塩化ビニル
系樹脂と併用することが好ましい。
【0019】そして、この水酸基含有塩化ビニル系樹脂
以外の塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重
合体または非官能性ビニル系単量体との共重合体の任意
の1種以上を使用することができる。ここで、塩化ビニ
ルと共重合される非官能性のビニル系単量体としては、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル
等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニル
イソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ジエチルマ
レエート等のマレイン酸エステル類、ジブチルフマレー
ト等のフマル酸エステル類、メチルアクリレート、エチ
ルアクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸アル
キルエステル類、アクリロニトリル、塩化ビニリデン等
が挙げられる。そして、これらは、その任意の1種また
は2種以上を使用することができ、また、一般に30重
量%以下、好ましくは20重量%以下の割合で塩化ビニ
ルと共重合させることができる。しかし、これらの中で
も、塩化ビニルと共重合させる単量体としては、酢酸ビ
ニルが最も一般的であり、また塗膜の接着性のためにも
好ましい。
【0020】なお、これらの塩化ビニル系樹脂として
は、乳化重合によって得られたそのペーストレジンを使
用することができるが、この種のプラスチゾル組成物で
は一般的であるように、懸濁重合等によって得られたブ
レンド用レジン或いは更にその他のレジンを使用するこ
ともできる。そして、その具体的組成または配合は用途
等に応じて適宜に定めることができるが、ペーストレジ
ンとブレンド用レジンとを併用して使用する場合、それ
らの比率は重量比で2:1〜1:2程度が一般に好まし
い。
【0021】〈可塑剤〉上記の塩化ビニル系樹脂を可塑
化するための可塑剤としては、この種のプラスチゾル組
成物を形成するために一般に使用されている任意のもの
を用いることができる。
【0022】そのような可塑剤としては、例えば、フタ
ル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジ−2−エチルヘ
キシル、フタル酸ジイソノニル(DINP)等のフタル
酸エステル、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DO
A)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、セバ
チン酸エステル、アゼライン酸エステル等の芳香族及び
脂肪族のジ及びトリカルボン酸エステル、リン酸トリフ
ェニル、リン酸トリクレシル等のリン酸エステル、エポ
キシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤、等が挙げられる。
そして、これらの可塑剤は、要求されるプラスチゾル組
成物の粘度、硬化性等の物性に応じて適宜選択して使用
することができ、また、一般に、塩化ビニル系樹脂10
0重量部に対して70〜150重量部の範囲で配合する
ことができる。ただし、耐吸湿発泡性を向上する上で
は、この可塑剤は比較的少ない割合で使用することが好
ましく、例えば、塩化ビニル系樹脂よりも少ない分量で
使用することが好ましい。
【0023】なお、可塑剤は、その一部を減粘剤として
の有機溶剤に代えることができ、それによって、塗装後
の塗膜のレベリング性を高め、その仕上り外観性をより
向上することができる。そして、そのような溶剤として
は、ナフサ、テレピン油、ミネラルスピリット等の石油
系溶剤、芳香族系溶剤等、比較的高沸点の溶剤が好まし
い。ただし、このような有機溶剤の配合は、多過ぎると
タレの原因となるため、組成物全体に対して2〜9重量
%程度の比較的少ない割合が好ましい。
【0024】〈充填剤〉充填剤は、プラスチゾル組成物
を増量すると共に、形成される塗膜に適度な強度を与え
るために配合される。
【0025】このような充填剤としては、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等のアルカリ土類
金属の炭酸塩及び硫酸塩、マイカ、シリカ、タルク、珪
藻土、カオリン等を挙げることができ、これらは、単独
で、または適宜組合わせて使用することができる。ま
た、セルロース粉、粉末ゴム等の有機質の充填剤も、必
要に応じて使用することができる。そして、これらの充
填剤は、プラスチゾル組成物の具体的用途等に応じて、
塩化ビニル系樹脂100重量部に対して一般に70〜2
00重量部の割合で使用し、配合することができる。
【0026】なお、この充填剤は、その一部を無機質の
微粒子からなるタレ止め剤に代えることができる。それ
によって、組成物のチキソ性を向上し、低剪断速度下で
の粘度を高め、塗膜の耐タレ性をより向上することがで
きる。そして、そのような充填剤を兼ねるタレ止め剤と
しては、超微粒子炭酸カルシウム(コロイダル炭酸カル
シウム)、微粒子シリカ等を好適に使用することがで
き、組成物全体に対して一般に5重量%以上の割合で使
用することができる。ただし、これを余り多く添加する
と、これらのタレ止め剤が極めて微細な粒子であるた
め、塗膜の接着性が損なわれる。そのため、これらのタ
レ止め剤の配合割合は、組成物全体に対して一般に20
重量%より少ないことが好ましく、また15重量%以下
がより好ましい。
【0027】〈接着性付与剤〉本塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物においては、その塗膜の接着性(付着性)を
向上するための接着性付与剤として、特にカチオン型電
着塗装面に対して優れた接着性を発現するブロックイソ
シアネートに加えて、ポリアミドを併用して使用する。
【0028】ここで、ブロックイソシアネートは、塗料
用硬化剤としても一般に用いられているものであり、比
較的低分子のポリイソシアネート成分をメチルエチルケ
トンオキシム(MEKO)等のブロック剤でブロックし
たものである。そして、そのポリイソシアネート成分と
しては、ヘキサメチレンジアミン(HDI)等の脂肪族
ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TD
I)等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、水添TDI等の脂環式ジイソシアネート、ま
たは、これらのジイソシアネートのビューレット体、イ
ソシアヌレート体、エチレングリコール、トリメチロー
ルプロパン等の多価アルコールとのアダクト体、或い
は、ウレタンプレポリマ等が挙げられる。しかし、これ
らの中でも、接着性付与剤としては、そのウレタンプレ
ポリマをブロックしたブロックウレタンプレポリマを、
一般に最も好適に使用することができる。
【0029】また、接着性付与剤としてのポリアミド
は、エポキシ樹脂等の硬化剤としても一般に使用される
活性アミノ基を含有するポリアミド化合物であり、一般
に、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、また
は芳香族ジアミン等のポリアミン類と多塩基酸とを反応
させて得られる。なお、この種の接着性付与剤としては
活性水素を有するアミノ化合物であればよく、脂肪族ジ
アミン等も使用することができるが、これらは揮発性が
あり毒性もあるため、本プラスチゾル組成物においては
そのポリアミドが使用される。そして、このようなポリ
アミドとしては、代表的には、リノール酸等の不飽和脂
肪酸を熱重合したダイマー酸またはトリマー酸等の重合
脂肪酸とポリアミンとの反応生成物が挙げられる。
【0030】そして、これらのブロックイソシアネート
とポリアミドとの併用系によれば、加熱焼付時の温度で
ブロックイソシアネートのブロック剤が解離され、再生
されたイソシアネート成分のイソシアネート基が、カチ
オン型電着塗装塗膜に残存する活性水素と結合すること
によって、また特に、水酸基含有塩化ビニル系樹脂を含
む本プラスチゾル組成物ではその水酸基とも結合するこ
とによって、それに対するプラスチゾル組成物の塗膜の
接着性が向上される。また、ポリアミドは、そのブロッ
クイソシアネートの解離を促進して低温焼付時の接着性
を向上すると共に、それに含有される活性アミノ基やア
ミド結合部がカチオン型電着塗装塗膜の極性基(アミノ
基、カルボキシル基、水酸基等)と水素結合して、優れ
た接着性を発現させる。
【0031】また、その一方、焼付硬化時の加熱により
再生した塗膜中のポリイソシアネート成分は、水酸基含
有塩化ビニル系樹脂の水酸基と結合して、これを相互に
架橋する。そのため、その架橋によって塗膜の強度も高
められる。しかし、その架橋が余り過度になされると塗
膜は硬化し、反って耐チッピング性が低下するだけでな
く、耐衝撃性に対して弱くなる。ここで、活性水素を有
する化合物である上記のポリアミドは、その架橋反応を
ある程度阻害し、硬化が進み過ぎることを抑えて適度な
柔軟性(弾性)を確保し、十分な耐衝撃性を有する塗膜
を形成する働きも有している。
【0032】そのため、ポリアミドの配合量は、カチオ
ン型電着塗装塗膜との優れた接着性と共に十分な耐衝撃
性を確保するために、組成物全体に対して一般に1.0
重量%以上であることが好ましい。ただし、ポリアミド
は吸湿性が高いことから、余り多く用いると焼付時に膨
れが生じる等、耐吸湿発泡性が低下する。そのため、組
成物全体に対して一般に4.0重量%以下であることが
好ましい。即ち、ポリアミドは、組成物全体に対して
1.0〜4.0重量%の割合で配合することが好まし
い。また、より好ましいのは1.0〜3.0重量%の割
合であり、更に、ブロックイソシアネートよりも少ない
割合とすることが好ましい。なお、ブロックイソシアネ
ートは、従来と同様に、組成物全体に対して一般に1.
0〜10.0重量%の割合で使用することができ、また
最も好ましくは2.0〜5.0重量%程度の割合で使用
することができる。
【0033】〈その他〉なお、以上の成分の他に、本塩
化ビニル系プラスチゾル組成物には、従来と同様に、安
定剤、レベリング剤、顔料、その他の添加剤を適宜に添
加し、配合することができる。
【0034】ここで、安定剤としては、エポキシ系安定
剤、金属石ケン類、無機酸塩類、有機金属化合物等が挙
げられる。そして、これらの中でも、ジブチルスズジラ
ウレート等の有機スズ系化合物、三塩基性硫酸鉛等が代
表的であり、最も普通に使用することができる。なお、
これらの安定剤は、ブロックイソシアネートが接着性付
与剤として用いられる本組成物の場合、焼付硬化時のそ
のブロック剤の解離を促進する触媒としても作用する。
【0035】レベリング剤は塗膜のレベリング性(平滑
化性)をより向上するために適宜使用され、例えば、シ
リコン樹脂、或いは、高粘度型または低粘度型のダイマ
ー酸変性エポキシ樹脂等を使用することができる。ただ
し、これを余り多く添加すると耐タレ性が悪化するた
め、これを使用する場合には、その添加量は最少限度と
することが好ましい。
【0036】また、顔料としては、任意の顔料を適宜に
使用することができるが、酸化チタン、カーボンブラッ
ク等の体質顔料を兼ねた着色顔料を特に好ましく用いる
ことができる。更に、その他の添加物としては、有機ベ
ントナイト等の増粘剤等が挙げられ、また、酸化カルシ
ム、酸化マグネシウム等の無機質水分吸収剤も、耐吸湿
発泡性の向上のために適宜使用することができる。
【0037】〈粘度の調整〉ところで、このような成分
からなるプラスチゾル組成物において、その粘度は仕上
り外観性だけでなく、その他の塗膜性能及び塗装作業性
能等にも関係する。即ち、高剪断速度下の粘度が過度に
高いと、例えば、十分な塗布幅(パターン幅)を得るた
めに高い吐出圧が必要となり、設備的にも厳しくなる。
また、低剪断速度下の粘度が高過ぎると塗膜にヨリが生
じ易く、逆に低過ぎると耐タレ性が悪化する。このた
め、このプラスチゾル組成物の粘度(見掛け粘度)は、
高剪断速度(9410s-1)下では25℃において、一
般に180〜400mPa・s、より好ましくは200
〜350mPa・sであり、かつ、低剪断速度(5.2
8s-1)下では20℃において、一般に7.0〜20.
0Pa・s、より好ましくは10.0〜20.0Pa・
sであることが適切である。
【0038】即ち、高剪断速度下での粘度が400mP
a・sより高いと、一般に塗装作業性が低下し、また、
エアレススプレー塗装時に霧化粒子を十分に、かつ、均
一に微細化させることが困難となり、良好なパターン幅
が得られなくなるだけでなく、その粘度の高さに応じて
塗膜に凸凹が生じて仕上り外観性が低下する傾向とな
る。これとは反対に、高剪断速度下での粘度が低いこと
は好ましいことではあるが、余り低く、一般に180m
Pa・sよりも低いと、通常のスプレー塗装条件では霧
化粒子が飛散し易くなり、反って塗装作業性を損なうこ
とになる。また、低剪断速度下での粘度については、こ
れが7.0Pa・sより低いと、耐タレ性が低下し、例
えば、耐チッピング塗膜として必要な十分に厚膜の塗膜
を形成することが困難となり、逆に、これが20.0P
a・sより高いと、ヨリが生じて仕上り外観性が低下す
る傾向となる。そのため、このプラスチゾル組成物の高
剪断速度下及び低剪断速度下での粘度は、上記の範囲が
好ましく、また適切である。そして、このような粘度へ
の調整は、主に水酸基含有塩化ビニル系樹脂の配合割合
の調整によって、更には有機溶剤とタレ止め剤との添加
量を適宜調節することによって行うことができるが、塗
膜の接着性の低下原因ともなるこのタレ止め剤を配合す
る場合でも、その水酸基含有塩化ビニル系樹脂によって
チキソ性が向上されるので、その配合量は最小限に止め
ることができる。なお、このプラスチゾル組成物の粘度
において、BH型回転粘度計により、ロータ回転数が2
rpmの時と20rpmの時とにおける粘度/20℃の
比として算出されるTI値(チキソトロピックインデッ
クス)は、4.8〜6.0の範囲であることが好まし
い。
【0039】そして、これらの水酸基含有塩化ビニル系
樹脂を含む塩化ビニル系樹脂と、可塑剤と、充填剤と、
ポリアミドとブロックイソシアネートとの併用系からな
る接着性付与剤とを必須成分として含み、適度な低剪断
速度下の粘度と高剪断速度下の粘度とを有する本プラス
チゾル組成物は、自動車車体等の耐チッピング用塗料組
成物、シーリング用組成物、或いはアンダーコート用組
成物等として、特に、カチオン型の電着塗装による下塗
り塗装表面に有利に適用することができる。また、この
組成物は、エアレススプレー塗装等の通常の塗装手段に
よって任意の厚さ及び塗装形態において塗装することが
でき、そして、その焼付硬化は、例えば、80〜140
℃またはそれ以上の温度でプレヒートして予備硬化した
後、その塗膜上に上塗り塗装される中塗り塗料及び上塗
り塗料の焼付硬化と合わせて行うことができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明する。
【0041】図1及び図2はそれぞれ本発明の実施例及
び比較例の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の配合組成
と、評価試験の結果とを示す表図である。
【0042】即ち、図1に示す配合(重量%)で、自動
車のロッカパネル等の耐チッピング用塗料として使用さ
れる本発明の実施例1乃至実施例7の塩化ビニル系プラ
スチゾル組成物を調製した。また、これらとの対比のた
めに、図2に示す配合(重量%)で、比較例1乃至比較
例7の塩化ビニル系プラスチゾル組成物も合わせて調製
した。そして、これらの実施例及び比較例の各プラスチ
ゾル組成物について、その低剪断速度下及び高剪断速度
下の粘度を測定すると共に、エアレススプレー塗装によ
る塗膜の仕上り外観性、及びその塗装作業性に関する評
価試験を行った。また、これに加えて、その塗膜の耐衝
撃性、接着性(付着性)、耐吸湿発泡性、及び耐タレ性
に関する評価試験も併せて行った。
【0043】〔組成物の調製〕図1及び図2のように、
これらの実施例及び比較例のプラスチゾル組成物は、塩
化ビニル系樹脂A,B,C、可塑剤、充填剤、タレ止め
剤、溶剤、ブロックイソシアネートとポリアミドとの併
用系からなる接着性付与剤、及び安定剤及び水分吸収剤
(その他添加剤として示す)とから形成されている。た
だし、各実施例及び比較例において、塩化ビニル系樹脂
の種類及び配合割合とポリアミドとブロックイソシアネ
ートの配合割合等が種々に変えられている。なお、ここ
で使用したこれらの各配合材料は、次の成分または組成
からなっている。
【0044】主剤である塩化ビニル系樹脂としては、3
種類の塩化ビニル系樹脂A,B,Cを使用した。塩化ビ
ニル系樹脂Aは、水酸基を分子中に含有する水酸基含有
塩化ビニル系樹脂であり、具体的には、水酸基価12(m
gKOH/g)、重合度1400を有するペーストレジン
(『P−300』三菱化成ビニル社製)からなる。塩化
ビニル系樹脂Bは、酢酸ビニル7重量%を含有する塩化
ビニルのコポリマからなる重合度2000のペーストレ
ジン(『PCH−22』カネカ社製)であり、また、塩
化ビニル系樹脂Cは、酢酸ビニル3重量%を含有する塩
化ビニルのコポリマからなる重合度1000のブレンド
用レジン(『G−51』日本ゼオン社製)である。
【0045】これらの塩化ビニル系樹脂に対する可塑剤
としては、ジオクチルフタレート(DOP)を使用し
た。
【0046】充填剤としては、平均粒径2〜4μmの重
質炭酸カルシウム(竹原化学社製)を使用した。また、
充填剤を兼ねるタレ止め剤としては、平均粒径0.07
μmの超微粒子(コロイダル)炭酸カルシウム(『ネオ
ライトSP』竹原化学社製)を使用した。
【0047】溶剤は石油系高沸点溶剤(ミネラルスピリ
ット)(『シエルゾール』シエル化学社製)からなる。
なお、この溶剤は、主に塗膜の仕上り外観性(平滑性)
の向上のためのものである。
【0048】そして、一方の接着性付与剤成分であるブ
ロックイソシアネートとしては、ウレタンプレポリマを
イソシアネート成分とするブロックイソシアネート
(『AM−801』共栄社製)を、また、もう一方の接
着性付与剤成分であるポリアミドとしては、ダイマー酸
系のポリアミド(『トーマイド275』富士化成社製)
を、それぞれ使用した。
【0049】更に、プラスチゾル組成物を安定化するた
めの安定剤としては三塩基性硫酸塩(『DLP』堺化学
社製)を使用し、水分吸収剤としては、酸化カルシウム
(『CHL#41』近江化学社製)を使用した。
【0050】〈実施例1〜7〉そして、実施例1乃至実
施例7の塩化ビニル系プラスチゾル組成物については、
水酸基含有塩化ビニル系樹脂のペーストレジンである塩
化ビニル系樹脂Aと、酢酸ビニル含有塩化ビニル系樹脂
のブレンド用レジンである塩化ビニル系樹脂Cとの混合
物からなる主剤としての塩化ビニル系樹脂26重量%、
可塑剤23重量%、充填剤22重量%、タレ止め剤14
重量%、溶剤7重量%、接着性付与剤6.0重量%、及
びその他添加剤2重量%(安定剤1重量%、水分吸収剤
1重量%)の配合組成を固定条件とし、塩化ビニル系樹
脂A及び塩化ビニル系樹脂Cの相互の配合比率を変え、
また、接着性付与剤の一方の成分であるポリアミドの配
合割合を1.0〜3.0重量%の範囲で変えると共に、
それに応じてもう一方の成分であるブロックイソシアネ
ートの配合割合も増減して、それぞれ調製した。
【0051】具体的には、実施例1では、ペーストレジ
ンである水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aの配合を比較的
少なくして8重量%とし、ブレンド用レジンである塩化
ビニル系樹脂Cを18重量%としたものである。また、
接着性付与剤については、ポリアミドの配合を2.0重
量%とし、ブロックイソシアネートを4.0重量%とし
たものである(合計6.0重量%)。
【0052】実施例2は、実施例1に対して、ポリアミ
ド及びブロックイソシアネートの配合割合はそのままと
し、水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aを1重量%増量して
組成物全体に対して10重量%とし、また、塩化ビニル
系樹脂Cをその分減量して16重量%としたものであ
る。
【0053】実施例3は、実施例1及び実施例2に対し
て、ポリアミド及びブロックイソシアネートの配合割合
はそのままとし、水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aの配合
を更に増量して組成物全体に対して13重量%とし、こ
れと同じ割合に減量した塩化ビニル系樹脂Cとの等量混
合物として使用したものである。
【0054】実施例4は、実施例1乃至実施例3に対し
て、ポリアミド及びブロックイソシアネートの配合割合
はそのままとし、水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aの配合
割合を更に多くして組成物全体に対して16重量%と
し、塩化ビニル系樹脂Cをその分少なくして10重量%
としたものである。
【0055】実施例5は、実施例1乃至実施例3に対し
て、ポリアミド及びブロックイソシアネートの配合割合
はそのままとし、水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aの配合
割合をより更に多くして組成物全体に対して19重量%
とし、塩化ビニル系樹脂Cをその分少なくして7重量%
としたものである。
【0056】実施例6及び実施例7は、実施例3に対し
て、各塩化ビニル系樹脂A,Cの配合割合はそのままと
し、ポリアミドとブロックイソシアネートとの相互の配
合割合を変えたものである。即ち、これらの実施例6,
7において、塩化ビニル系樹脂Aと塩化ビニル系樹脂C
の配合割合は共に組成物全体に対して13重量%であ
る。そして、実施例6ではポリアミドの配合割合を減ら
して1.0重量%とし、実施例7ではポリアミドの配合
割合を増加して3.0重量%とした。したがって、ブロ
ックイソシアネートの配合割合は、実施例6では5.0
重量%、実施例7では3.0重量%である。
【0057】〈比較例1〜7〉これらの実施例に対し
て、比較例1の塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、水
酸基含有塩化ビニル系樹脂Aを配合しないものである。
具体的には、この比較例1では、主剤である塩化ビニル
系樹脂は、酢ビ系ペーストレジンである塩化ビニル系樹
脂Bの13重量%と、ブレンド用レジンである塩化ビニ
ル系樹脂Cの13重量%との混合物(合計26重量%)
からなる。また、接着性付与剤としては、ブロックイソ
シアネートのみを配合し(6.0重量%)、ポリアミド
は無配合とした。なお、その他の成分の配合割合は各実
施例と同じであり、可塑剤23重量%、充填剤22重量
%、タレ止め剤14重量%、溶剤7重量%、その他添加
剤2重量%(安定剤1重量%、水分吸収剤1重量%)で
ある。つまり、この比較例1は、実施例3(及び実施例
6,7)において、塩化ビニル系樹脂Aを塩化ビニル系
樹脂Bに代え、また、接着性付与剤としてブロックイソ
シアネートのみを使用したものに相当する。
【0058】比較例2及び比較例3は、比較例1と同じ
く水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aを配合しない塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物において、充填剤を兼ねるタレ
止め剤の配合を比較的多くしたものであり、比較例1に
対して、タレ止め剤の配合割合を6重量%増加して20
重量%としたものである。そして、その増加分だけ、比
較例2では、充填剤の配合を少なくして16重量%と
し、比較例3では、主剤である塩化ビニル系樹脂の配合
を少なくして20重量%(塩化ビニル系樹脂B:10重
量%、塩化ビニル系樹脂C:10重量%)とした。
【0059】比較例4は、比較例1と同じく水酸基含有
塩化ビニル系樹脂Aを配合しない塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物において、溶剤の配合を多くしたものであ
り、具体的には、比較例1に対して、溶剤の配合割合を
9重量%としたものである。なお、溶剤の配合を多くし
た分、充填剤の配合を少なくし、20重量%とした。
【0060】比較例5は、水酸基含有塩化ビニル系樹脂
Aをより多く配合したものであり、具体的には、実施例
1乃至実施例5に対して、水酸基含有塩化ビニル系樹脂
Aの配合割合を21重量%とし、塩化ビニル系樹脂Cの
配合割合を5重量%としたものである。
【0061】比較例6は、水酸基含有塩化ビニル系樹脂
Aを含む塩化ビニル系プラスチゾル組成物において、ポ
リアミドの配合を少なくし、0.5重量%としたもので
ある。そして、接着性付与剤のもう一方の成分であるブ
ロックイソシアネートの配合をその分だけ増加し、5.
5重量%とした(合計6.0重量%)。なお、塩化ビニ
ル系樹脂及びその他の成分の配合に関しては、実施例3
(及び実施例6,7)と同じである。
【0062】比較例7は、ポリアミドの配合を逆に過度
に多くしたものであり、具体的には、実施例3(及び実
施例6,7)に対して、ポリアミドの配合割合を5.0
重量%とし、その分ブロックイソシアネートの配合を減
らして1.0重量%としたものである。
【0063】なお、これらの配合組成からなる実施例及
び比較例の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の調製は、
プラネタリーミキサーを用いて材料を均一に混合した
後、60分間真空脱泡撹拌することによって行った。
【0064】〔評価試験〕次いで、このように主剤であ
る塩化ビニル系樹脂の配合組成と、接着性付与剤である
ポリアミド及びブロックイソシアネートの配合割合とを
変えて調製した実施例及び比較例の各塩化ビニル系プラ
スチゾル組成物について、それの低剪断速度下及び高剪
断速度下での粘度(見掛け粘度)をそれぞれ測定すると
共に、エアレススプレー塗装による塗膜の仕上り外観性
及びその塗装作業性に関する評価試験を行った。また、
これに加えて、各プラスチゾル組成物による塗膜の耐衝
撃性、接着性(付着性)、耐吸湿発泡性、及び耐タレ性
(タレ止め性)に関する評価試験も併せて行った。これ
らの各評価試験の詳細は、次のとおりである。
【0065】〈粘度測定〉低剪断速度下での粘度につい
ては、BH型回転粘度計を用いて、温度20℃、剪断速
度5.28s-1における粘度を測定した。また、高剪断
速度下の粘度については、ハーケー社製粘度計を用い
て、温度25℃、剪断速度9410s-1における粘度を
測定した。
【0066】また、これとは別に、BH型回転粘度計を
用いて、ロータ(No.6)を回転数2rpm及び20
rpmで回転させたときの粘度(温度20℃)をそれぞ
れ測定し、その比をTI値として算出した。なお、この
BH型回転粘度計は試料の中に漬けたロータをゆっくり
低速回転させ、その試料から受けるトルクを粘度に換算
するものである。
【0067】〈塗装作業性〉塗装作業性(パターン幅)
の評価試験は、次のように行った。
【0068】試験に際して、予め、適当な大きさのダル
鋼板にエポキシ系のカチオン型電着塗料(『GT−1
0』関西ペイント社製)を用いて電着塗装を施し、次い
で焼付硬化して電着塗装塗膜を形成したものを試験板と
して準備した。そして、この試験板に、実施例及び比較
例の各プラスチゾル組成物を、ノズルチップ(#51
7)を装着した塗装ガンを用いて塗装した。なお、この
塗装作業は、塗装ガンを試験板の表面から30cm離し
てこれに直角に配置し、圧力(ガン先圧力、静圧)1
3.0MPaでノズルチップから噴射霧化して行った。
即ち、塗装作業条件は次のとおりである。 温度:25℃ 圧力:13.0MPa ガン距離:30cm ガン角度:面直。
【0069】そして、各実施例及び比較例のプラスチゾ
ル組成物について、試験板に施された塗膜のパターン幅
を測定し、その塗装作業性能を評価した。
【0070】〈仕上り外観性〉仕上り外観性について
は、実施例及び比較例の各プラスチゾル組成物を、上記
の試験板に、上記塗装作業性試験と同じ塗装条件でエア
レススプレー塗装し、そして、その試験板上に形成され
た塗膜(塗布膜)の表面状態を観察し、目立った凸凹の
有無及びヨリの発生の有無等を調べて、その仕上り外観
性の評価を行なった。
【0071】〈耐衝撃性〉耐衝撃性については、次のよ
うに塗装試験板を作製し、次いでデュポン式衝撃試験を
行って評価した。
【0072】即ち、上記の塗装作業性試験等と同様に、
予めエポキシ系のカチオン型電着塗装を施した試験板を
用意し、これに実施例及び比較例の各プラスチゾル組成
物を塗布膜厚で500μmになるように塗装した。そし
て、これを110℃で20分間焼付硬化して各プラスチ
ゾル組成物の塗装試験板を作製した。
【0073】次いで、この塗装試験板についてデュポン
式衝撃試験を行い(試験片である塗装板に、高さhの位
置から重さ500gの重錘を落下して衝突させ、試験片
を衝撃変形させる)、塗膜表面に亀裂が生じる臨界高さ
を測定した。
【0074】〈接着性〉接着性については、上記の耐衝
撃性試験と同様に作製した塗装試験板について碁盤目接
着性試験を行った。
【0075】即ち、カチオン型電着塗装板に耐衝撃性試
験と同じ条件で実施例及び比較例の各プラスチゾル組成
物を塗装し、焼付硬化して塗装試験板を作製した。そし
て、この塗装試験板に、縦横に2mm間隔でそれぞれ1
1本の平行線を金属面に達するまでナイフで入れ、4c
2 の中に10×10=100個の枡目ができるように
碁盤目状の切り傷を付けた。次いで、この碁盤目状の切
り傷を付けた塗装板にセロハンテープを当てて剥がし、
剥離したプラスチゾル組成物の塗膜の枡目数を測定し
て、その接着性を評価した。
【0076】〈耐吸湿発泡性〉耐吸湿発泡性の評価試験
については、次のように行った。
【0077】上記の塗装作業性試験等と同様に、カチオ
ン型電着塗装を施した試験板に実施例及び比較例の各プ
ラスチゾル組成物を塗装し、次いで、この試験板を、そ
のまま温度25℃、相対湿度95%の雰囲気中に72時
間(3日間)放置し、それによってプラスチゾル組成物
の塗膜に空気中の水分を吸収させた。そして、この吸湿
処理を行った塗装試験板を、160℃で5分間加熱し、
プラスチゾル組成物の焼付硬化を行った。
【0078】そして、この焼付硬化した塗装試験板につ
いて、その塗膜表面の発泡、即ち、膨れ等の発生の有無
を目視にて詳細に観察して、膨れ等が発生しない最高膜
厚(膨れ限界膜厚)を測定した。
【0079】〈耐タレ性〉耐タレ性(タレ止め性)につ
いては、カチオン型電着塗装を施した試験板に、塗装作
業性試験と同じ作業条件で実施例及び比較例の各プラス
チゾル組成物を塗装し、これを垂直に立てて30分間放
置した後、120℃で30分間の焼付を行った。そし
て、その塗膜にタレが発生しない最高膜厚(タレ限界膜
厚)を測定した。
【0080】実施例及び比較例の各プラスチゾル組成物
について行ったこれらの評価試験の結果を、図1及び図
2にその配合組成と合わせて示す。ただし、図1及び図
2の耐衝撃性(臨界高さ〔cm〕)について、上記のデ
ュポン式衝撃試験においては、高さ50cmの位置から
重錘を落下させても塗膜表面に亀裂が生じなかったとき
には、その後の試験を省略し、塗膜表面に亀裂が生じる
その臨界高さを測定しなかった。したがって、その耐衝
撃性が『50(臨界高さ〔cm〕)』で示されるとき
は、実際の臨界高さ〔cm〕は、50cmを超えるそれ
以上であることを示している。
【0081】〔試験結果〕図1及び図2のように、主剤
である塩化ビニル系樹脂成分として水酸基含有塩化ビニ
ル系樹脂Aを含み、また、接着性付与剤はブロックイソ
シアネートとポリアミドとの併用系からなり、更に、低
剪断速度(5.28s-1)下の粘度が7.0〜20.0
Pa・sの範囲にあり、かつ、高剪断速度(9410s
-1)下の粘度が180〜400mPa・sの範囲にある
各実施例においては、エアレススプレー塗装による塗膜
の仕上り外観性がいずれも良好であり、目立った凸凹や
ヨリの発生等が無いと共に、塗装作業性(パターン
幅)、耐衝撃性、接着性、耐吸湿発泡性、及び耐タレ性
についても極めて良好な範囲にある。
【0082】そして、特に、主剤である塩化ビニル系樹
脂成分における水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aの配合割
合のみが異なり、その他の組成上の条件が同じである実
施例1乃至実施例5を対比すると、水酸基含有塩化ビニ
ル系樹脂Aの配合割合が多いほど、高剪断速度時の粘度
がより低下し、それによって、塗装作業性がより向上
し、より大きなパターン幅が得られている。また、それ
と共に、低剪断速度時の粘度がより増加し(したがっ
て、TI値もより増加し)、それによって、耐タレ性が
より向上し、タレ限界膜厚が増加している。つまり、水
酸基含有塩化ビニル系樹脂Aの配合割合が多いほどチキ
ソ性(チキソトロピー)が高められ、塗装作業性及び耐
タレ性において、より好ましい結果が得られることが分
かる。ただし、比較例5の場合のように、この水酸基含
有塩化ビニル系樹脂Aの配合割合が多すぎると、低剪断
速度(5.28s-1)時の粘度が20.0を超え、その
ため、形成された塗膜にはヨリが発生している。したが
って、水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aの配合割合は、そ
の低剪断速度時の粘度が20.0を超えない範囲とする
必要があることが分かる。
【0083】これらの実施例に対して、主剤である塩化
ビニル系樹脂成分として水酸基含有塩化ビニル系樹脂A
を含まない比較例1乃至比較例4についてみると、実施
例3の水酸基含有塩化ビニル系樹脂Aを酢ビ系のペース
トレジンである塩化ビニル系樹脂Bに代えたものに相当
する比較例1では、高剪断速度下での粘度がその実施例
3よりも高く、パターン幅が減少している。また、それ
と共に、低剪断速度(5.28s-1)時の粘度は実施例
3と同じであるが、形成された塗膜には目立つ凸凹が生
じており、良好な外観性が得られていない。つまり、構
造粘性は有するがチキソ性が不足し、粘度の回復が早い
ため、十分なレベリング性が得られていない。そして、
このチキソ性を向上するために、コロイダル炭酸カルシ
ウムからなるタレ止め剤を比較的多量に配合した比較例
2及び比較例3では、高剪断速度下での粘度も高くな
り、十分な塗装作業性(パターン幅)が得られないだけ
でなく、特に低剪断速度時の粘度が過度に高くなり、タ
レ限界膜厚はかなり増加しているが、塗膜の仕上り外観
性が悪く、凸凹やヨリが生じている。しかも、塗膜の接
着性も悪化している。また、これらの比較例2,3に対
して、溶剤の添加量を増加した比較例4では、低剪断速
度下及び高剪断速度下での粘度が共に低下し、それによ
って、良好な仕上り外観性が得られているが、同時に耐
タレ性がかなり悪化している。即ち、タレ止め剤である
微粒子状炭酸カルシウムの増量、或いはレベリング性向
上のための溶剤の増量のみによっては、他の諸性能を良
好に維持しつつ仕上り外観性を向上することが困難であ
る。
【0084】そこで、各実施例とこれらの比較例1乃至
比較例4の評価試験の結果から、主剤である塩化ビニル
系樹脂の少なくとも一部として水酸基含有塩化ビニル系
樹脂を使用することによって、プラスチゾル組成物のチ
キソ性を向上し、塗装作業性、接着性、耐タレ性等の諸
性能を損なうことなく、良好な仕上り外観性を容易に得
られることが分かる。また、この場合、低剪断速度
(5.28s-1)時の粘度は20.0を超えないことが
必要であるが、耐タレ性の点では10.0以上であるこ
とがより好ましく、また、高剪断速度(9410s-1
時の粘度は、パターン幅(塗装作業性)の点から350
mPa・s程度以下であることがより好ましいことも分
かる。
【0085】なお、比較例6及び比較例7は、実施例6
及び実施例7と共に、実施例3の塩化ビニル系樹脂及び
可塑剤等の配合条件を固定し、接着性付与剤であるブロ
ックイソシアネートとポリアミドの併用系の相互の配合
割合のみを変えたものであるが、ポリアミドの配合割合
が0.5重量%と過少である比較例6では耐衝撃性が低
下しており、また、逆にポリアミドの配合割合が5.0
重量%と過大である比較例7では、ポリアミドの高い吸
湿性によって耐吸湿発泡性が低下し、膨れ限界膜厚が少
なくなっている。そこでこの結果から、ポリアミドの配
合割合は1.0〜4.0程度がより好ましいことが分か
る。
【0086】ところで、実施(試験)例として、自動車
のロッカパネル等に使用する耐チッピング用塗料組成物
として具体化した例を説明したが、本発明を実施する場
合には、この例に限定されるものではなく、塩化ビニル
系樹脂、可塑剤、接着性付与剤及びその他の成分の種類
と配合割合は種々に変更することができる。また、その
プラスチゾル組成物は、耐チッピング用塗料としてだけ
ではなく、自動車車体のシーリング用組成物、或いはア
ンダーコート用組成物等としても好適に適用することが
できる。更に、そのプラスチゾル組成物は自動車車体だ
けでなく、例えば、鉄道等の自動車以外の車両、或いは
家電機器等にも有利に適用することができる。
【0087】
【発明の効果】以上のように、請求項1にかかる塩化ビ
ニル系プラスチゾル組成物は、水酸基を分子中に含有す
る水酸基含有塩化ビニル系樹脂を含む塩化ビニル系樹脂
と、可塑剤と、充填剤と、ブロックイソシアネートと活
性アミノ基を含有するポリアミドとの併用系からなる接
着性付与剤とを必須成分として含み、また、剪断速度
5.28s-1での粘度が7.0〜20.0Pa・s/2
0℃であり、かつ、剪断速度9410s-1での粘度が1
80〜400mPa・s/25℃であることを特徴とす
るものである。
【0088】したがって、このプラスチゾル組成物にお
いては、主剤である塩化ビニル系樹脂として水酸基含有
塩化ビニル系樹脂が含まれているため、その水酸基相互
が水素結合してゆるい三次元構造を形成することにより
チキソ性(チキソトロピー)が向上され、高剪断速度下
ではその構造が破壊されて十分に粘度が低下する一方、
低剪断速度下ではその構造が回復されて十分に粘度が増
加し、しかも、その粘度の回復は適度な時間の遅れを伴
なってなされる。そのため、エアレススプレーによる噴
射霧化時には、霧化粒子をより均一に微細化することが
できると共に、塗装直後の塗膜の凸凹は、粘度が回復す
るまでの適度な時間の間に十分にレベリングさせること
ができ、これらの相乗作用によって、厚膜であるにもか
かわらず、良好な仕上り外観性を有する塗膜を形成する
ことができる。また、そのレベリング後には粘度が回復
されるため、その適度に高い粘度によって十分な耐タレ
性を確保することができ、またそれによって、接着性低
下の原因となる微粒子状炭酸カルシウム等のタレ止め剤
の配合をより少なくすることができる。そして、低剪断
速度下及び高剪断速度下での粘度が適切な範囲にあるの
で、良好な塗装作業性、即ち、比較的低圧のエアレスス
プレー塗装により十分なパターン幅を得ることができる
一方、過度に高い粘度によるヨリの発生を防止すると共
に、十分なタレ限界膜厚を確保することができる。更
に、このプラスチゾル組成物においては、接着性付与剤
はブロックイソシアネートにポリアミドを加えた併用系
からなるので、ブロックイソシアネートのイソシアネー
ト成分により水酸基含有塩化ビニル系樹脂を架橋させ、
形成される塗膜の強度を向上させることができると共
に、ポリアミドによってその架橋が適度に緩和されるこ
とにより、塗膜の耐衝撃性を確保することができる。
【0089】即ち、この塩化ビニル系プラスチゾル組成
物によれば、接着性等の塗膜性能を損うことなく、十分
な耐タレ性(タレ止め性)と共に、エアレススプレー塗
装による塗膜の表面の凸凹等の発生を抑制し、良好な仕
上り外観性を得ることができ、また、塗膜の耐衝撃性を
確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例の塩化ビニル系プラス
チゾル組成物の配合組成(重量%)と、評価試験の結果
とを示す表図である。
【図2】 図2は比較例の塩化ビニル系プラスチゾル組
成物の配合組成(重量%)と、評価試験の結果とを示す
表図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 権田 清志 愛知県西加茂郡藤岡町大字飯野字大川ケ原 1141番地1 アイシン化工株式会社内 (72)発明者 松田 公夫 神奈川県横須賀市田浦港町無番地 関東自 動車工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を分子中に含有する水酸基含有塩
    化ビニル系樹脂を含む塩化ビニル系樹脂と、 可塑剤と、 充填剤と、 ブロックイソシアネートと活性アミノ基を含有するポリ
    アミドとの併用系からなる接着性付与剤とを必須成分と
    して含み、 剪断速度5.28s-1での粘度が7.0〜20.0Pa
    ・s/20℃であり、かつ、剪断速度9410s-1での
    粘度が180〜400mPa・s/25℃であることを
    特徴とする塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
JP9043097A 1997-04-09 1997-04-09 塩化ビニル系プラスチゾル組成物 Pending JPH10279758A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116355466A (zh) * 2023-04-27 2023-06-30 广东时利和汽车实业集团有限公司 一种高阻尼效果的汽车用pvc塑溶胶及其制备方法

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CN116355466A (zh) * 2023-04-27 2023-06-30 广东时利和汽车实业集团有限公司 一种高阻尼效果的汽车用pvc塑溶胶及其制备方法

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