JPH073099B2 - プレキャストｐｃ梁の架設方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は主として合成スラブの構築に際し、プレキャス
トコンクリート柱に支持させてプレストレストコンクリ
ート（以下PCと記す）製のプレキャスト梁を架設するプ
レキャストPC梁の架設方法に関する。

（従来の技術） 従来プレキャスト梁を使用した多階建築物の構築が多く
提案されており、そのプレキャスト梁の架設に際して
は、PC梁の先端に連結用鉄骨を突設しておき、その連結
用鉄骨を鉄骨コンクリート柱から水平に突出させた梁連
結用鉄骨に対してボルト止めし、その鉄骨部分の周囲を
場所打コンクリートで埋めるようにしたものや、プレキ
ャスト梁の先端に鉄筋を突出させ、これをプレキャスト
柱から突出させた鉄筋に溶接やカプラージョイントによ
って固着し、その鉄筋を埋め込んで連結部分の場所打コ
ンクリートを打設するものが一般的であった。

（発明が解決しようとする課題） 上述の如き従来の方法では梁の架設に際し、支保工を必
要とし、また連結部分の周囲に場所打コンクリートを打
設するために型枠を組まなければならず、しかも連結部
分のプレキャストコンクリートと場所打コンクリートの
一体化ができないため、応力の分布を一様なものにでき
ないという問題があった。

このため、柱を挾んで連結される複数の梁内にアンボン
ドケーブルを挿入し、梁の架設後、複数の梁に連続させ
てプレストレスを付与する方法があるが、この種の従来
の方法では柱を貫通させてPC鋼線を柱両側の梁に挿通す
るものであるため、あらかじめ柱に貫通孔を開口してお
かなければならず、その製造に手数を要するとともに、
架設作業も困難の伴うものであった。

本発明はこのような従来の問題にかんがみ、柱部分にお
ける梁の応力分布を一様なものとなすとともに、プレキ
ャスト梁の架設端部や、プレキャスト柱の製造が容易
で、しかも架設作業も能率よく行うことができるプレキ
ャストPC梁の架設方法の提供を目的としたものである。

（課題を達成するための手段） 上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成する
ための本発明の要旨とするところは、周囲にフランジ状
の梁架設用の張出部を一体に有する複数のプレキャスト
コンクリート柱を立設し、前記張出部間にプレキャスト
PC梁の端部を支持させて掛け渡すとともに、該PC梁の端
面と前記プレキャストコンクリート柱の側面との間に後
打コンクリート用の空隙を設けておき、該空隙に延長方
向に対向配置のPC梁の端部間を緊張する端部緊張PCケー
ブルを挿通するとともに、場所打コンクリートを該空隙
に打設して前記端部緊張PCケーブルを緊張することを特
徴としてなるプレキャストPC梁の架設方法に存する。

（作用） このプレキャストPC梁の架設方法においては、PC梁をプ
レキャストコンクリート柱の梁架設用の張出部間に掛け
渡し、その互いに延長方法にあるPC梁先端間を端部緊張
PCケーブルにて緊張することにより、柱を挾んだPC梁間
にもプレストレスが付与され、これによって複数の梁に
またがらせて長手方向に連続したプレストレスが付与さ
れることとなり、また端部緊張PCケーブルはプレキャス
ト柱を貫通せずにその側面外に挿通されるため、作業性
が良くなったものである。

（実施例） 次に本発明の実施例を図面について説明する。

図において１はプレキャストコンクリート柱であり、2,
2……はプレキャストPC梁である。プレキャストコンク
リート柱１には梁架設高さ位置に梁架設用の張出部３が
一体に成形されている。

プレキャストPC梁２は、柱１より幅の広いフラットな形
状に成形され、先端下面に架設用の段部４が形成されて
いる。この段部４は、張出部３の突出長さより短く形成
されている。プレキャストPC梁２の端部を除く中央部分
は側面に凹陥部５が長手方向に成形され、その凹陥部の
端部を閉じる向きに一体に成形された端板部６にPCケー
ブル挿通孔７（第５図に示す）が開口されている。ま
た、このプレキャストPC梁２には通常の補強鉄筋の他
に、全長にわたってコンクリートに付着させたボンドタ
イプのPC鋼線８（第３図に示す）が埋設されているとと
もに、上面に場所打コンクリートと一体化させるための
フープ状の連結鉄筋９が突設されている。

このように構成されるプレキャストPC梁２を柱１の張出
部３に支持させて架設するものであり、まず柱１を立設
し、その張出部３の縁部上に端部の架設用の段部４を嵌
合させて横架する。このとき、段部４より張出部３の張
出長さが長いため、柱１の側面とプレキャストPC梁２の
端面との間に空隙10が形成される。このようにして柱１
の四周囲の縁部にプレキャストPC梁の先端を支持させ、
その互いに延長方向にあるプレキャストPC梁2,2の対向
面に形成されているPCケーブル挿通孔7,7に空隙10を通
してシースに挿通させた端部緊張PCケーブル11を挿通
し、各端板部６の背面にてPCケーブル11を定着金具12に
よって仮定着させる。

この状態で空隙10内に目地コンクリート13を埋め、その
硬化を待ってPCケーブル11を一端から緊張し、両プレキ
ャストPC梁2,2を互いに引き寄せる方向に緊張し、プレ
ストレスを付与する。

このようにしてプレキャストPC梁2,2……を架設後、第
３図、第４図に示すように互いに平行な向きに隣り合っ
ているプレキャスト梁2,2間にプレキャストコンクリー
ト版14,14……を掛け渡し、その上に各プレキャストPC
梁２の上面の連結鉄筋９に連結させて配筋し、場所打コ
ンクリート層15を打設し、該場所打コンクリート層15と
プレキャストコンクリート版及びプレキャストPC梁２と
が一体化された合成スラブとなす。

（発明の効果） 上述したように本発明のプレキャストPC梁の架設方法に
おいては、互いに延長方向にあるプレキャストPC梁の端
部間を端部緊張PCケーブルにて互いに引き寄せる方向に
緊張することにより、柱を挾んだ梁間に連続したプレス
トレスが付与され、しかもその梁自体にも全長にプレス
トレスが付与されているため、延長方向の複数の梁に連
続したプレストレスが付与されることとなり、梁の連結
部分に応力が集中しない構造となすことができる。更
に、端部緊張PCケーブルは、プレキャストPC梁の端面と
柱側面とに形成される空隙を通して柱の側面外に配置さ
れるものであるため、柱には端部緊張PCケーブル用の貫
通孔が不要になり、その製造が容易であるととともに端
部緊張PCケーブルの配設作業も容易であり、作業性良く
架設がなし得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は梁架設状態の平面図、第２図は同側面図、第３
図は完成合成スラブの断面図、第４図は第３図中のA-A
線断面図、第５図はプレキャストPC梁の端部の斜視図で
ある。 １……プレキャストコンクリート柱、２……プレキャス
トPC梁、３……張出部、４……段部、５……凹陥部、６
……端板部、７……PCケーブル挿通孔、８……PC鋼線、
９……連結鉄筋、10……空隙、11……PCケーブル、13…
…目地コンクリート、14……コンクリート版、15……場
所打コンクリート層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】周囲にフランジ状の梁架設用の張出部を一
   体に有する複数のプレキャストコンクリート柱を立設
   し、前記張出部間にプレキャストPC梁の端部を支持させ
   て掛け渡すとともに、該PC梁の端面と前記プレキャスト
   コンクリート柱の側面との間に後打コンクリート用の空
   隙を設けておき、該空隙に延長方向に対向配置のPC梁の
   端部間を緊張する端部緊張PCケーブルを挿通するととも
   に、場所打コンクリートを該空隙に打設して前記端部緊
   張PCケーブルを緊張することを特徴としてなるプレキャ
   ストPC梁の架設方法。