JP2973009B2 - 合成鉄骨梁と鉄筋または鉄骨鉄筋コンクリート柱の仕口構法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は鉄骨梁の上部にコンクリートを打設した合成
梁と鉄筋または鉄骨鉄筋コンクリート柱の仕口構法に係
るものである。

（従来の技術） 柱を鉄筋コンクリート柱（以下RC柱と呼称する）また
は鉄骨鉄筋コンクリート柱（以下SRC柱と呼称する）と
し、梁として鉄骨梁の上部にコンクリートスラブを打設
した合成梁を使用した構造形式は各方面で種々の方法で
行なわれている。

従来この種の構法では第６図及び第７図に示すよう
に、いずれも梁鉄骨（ａ）を柱（ｂ）の中に貫通させる
方法をとっている。

図中（ｃ）は柱主筋、（ｄ）はフープ筋、（ｅ）はス
ラブコンクリートである。

（発明が解決しようとする課題） しかしながらRC柱またはSRC柱はいずれも柱軸方向に
鉄筋が通っており、同鉄筋が鉄骨梁フランジと交叉する
ため、配筋が困難である。

また柱部分のコンクリートを打設する際に、梁フラン
ジの下部にコンクリートを確実に充填することは難かし
く多大の労力を要する。

本発明は前記従来技術の問題点に鑑みて提案されたも
ので、柱鉄筋の組立が容易で、柱コンクリートの打設が
簡単でしかも確実に行なわれる合成鉄骨梁と鉄筋または
鉄骨鉄筋コンクリート柱の仕口構法を提供する点にあ
る。

（課題を解決するための手段） 前記の目的を達成するため、本発明に係る合成鉄骨梁
と鉄筋または鉄骨鉄筋コンクリート柱の仕口構法は、二
方向の隣り合う鉄骨梁の端部間に斜め梁を接合し、この
斜め梁を、柱を取り巻いて、同柱の柱頭部に載架し、柱
梁仕口部コンクリート及びスラブコンクリートを打設し
て柱梁を一体化するように構成されている。

（作用） 本発明によれば前記したように、梁鉄骨を柱内部に貫
通させることなく鉄骨梁に柱を取り巻く斜め梁を設け
て、同斜め梁を柱頭に載架するようにしたので、柱鉄筋
が梁鉄骨によって邪魔されることなく配筋されるととも
に、柱コンクリートが容易に、しかも確実に打設され
る。

更に本発明によれば前記したように、柱頭部に柱を取
り巻く形で鉄骨梁端部の斜め梁を載架したのち、仕口部
コンクリート及びスラブコンクリートを打設して柱梁を
一体化することによって、仕口部における柱梁間の応力
の伝達が確実に行なわれる。

（実施例） 以下本発明を図示の実施例について説明する。

（１）はRC柱、（1A）は上階RC柱、（1B）は下階RC柱
で（２）は柱鉄筋、（３）は同柱鉄筋（２）に捲装され
るフープ筋である。

（４）は前記RC柱（１）に接合される合成梁における
鉄骨梁で、Ｈ型鋼より構成され、同梁（４）の端部をRC
柱（１）内部に貫通させることなく、前記各梁（４）に
亘ってRC柱（１）を取り巻く斜め梁（4a）を形成し、同
斜め梁（4a）を前記RC柱（１）の柱頭部に載架したの
ち、柱梁仕口部コンクリート（５）及びスラブコンクリ
ート（６）を打設し、前記RC柱（１）と各鉄骨梁（４）
とを一体に接合するとともに、鉄骨梁上にコンクリート
スラブを重層された合成梁を構成する。

第３図は前記各鉄骨梁（４）間のジヨイント部（J₁）
（J₂）（J₃）を示し、（J₁）をジヨイント部とする場
合、各鉄骨梁（４）を梁本体より斜め梁（4a）を岐出さ
せたＹ字状部材とし、相隣る鉄骨梁（４）の端部片間を
接合するものである。

また（J₂）をジヨイント部とする場合、各鉄骨梁
（４）の端部にRC柱（１）を取り巻く枠形の斜め梁（4
a）の各隅角部を接合するものである。

更に（J₃）をジヨイント部とする場合、斜め梁（4a）
からなる枠の各隅角部より鉄骨梁（４）ブラケットを突
設し、同鉄骨梁（４）ブラケットを鉄骨梁本体に接合す
るものである。

なお施工に際しては、従来構法のように、鉄骨梁
（４）を支保工によって支持し、柱及びスラブと同時に
仕口部分のコンクリートを打設してもよいが、下階RC柱
（1B）のコンクリートを予め打設し、同打設コンクリー
トの硬化後、これに鉄骨梁（４）を架けて、残りのスラ
ブと仕口部分のコンクリートを打設してもよく、また下
階柱をプレキヤスト柱として同様の方法を適用してもよ
い。

前記実施例の方法によれば合成梁の梁鉄骨は柱との仕
口部分でRC柱を取り巻く形で隣接する他の鉄骨梁（４）
と、斜め梁（4a）を介して接合されることによって、柱
鉄筋と梁鉄骨のフランジとが交叉することがなく、柱鉄
筋の組立が容易になり、且つ柱コンクリートの打設も簡
単にしかも確実に行なわれ、鉄骨梁のフランジ下部にま
で密実に充填される。

また柱梁の仕口部の応力伝達については、第４図及び
第５図に示す如く鉄骨梁（４）からRC柱（１）に伝達さ
れる力として鉛直剪断力Q₁と曲げ応力M₁とがある。

このうち鉛直剪断力Q₁は鉄骨梁（４）のウエブから鉄
骨梁（４）のフランジに剪断力Q₂として伝達され、更に
仕口部コンクリート（５）に剪断力Q₃として伝達され
る。（第４図参照） 一方、曲げ応力M₁は引張力T₁と圧縮力C₁の偶力に分解
され、圧縮力C₁は鉄骨梁（４）から直接、柱梁仕口部コ
ンクリート（５）に伝達され、引張力T₁は前記斜め梁
（4a）におけるフランジに引張力T₂として伝達され、更
に反対側の鉄骨梁（４）のフランジに引張力T₃として伝
達されたのち、同鉄骨梁（４）のウエブから支圧力C₃と
して仕口部コンクリート（５）に伝達される。（第５図
参照） 以上、本発明をRC柱と合成鉄骨梁との仕口構法に適用
した場合について説明したが、本発明は勿論SRC柱と合
成鉄骨梁との仕口構法にも適用される。

（発明の効果） 本発明によれば前記したように、鉄骨梁に設けた、柱
を取り巻く斜め梁を同柱の柱頭部に載架し、柱梁仕口部
コンクリート及びスラブコンクリートを打設して柱梁を
一体化することによって、柱鉄筋を梁鉄骨によって邪魔
されることなく容易に組立てることができ、柱コンクリ
ートも簡単でしかも確実に打設することができるととも
に、柱梁の仕口としての応力の伝達が確実に行なわれ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る合成鉄骨梁と鉄筋または鉄骨鉄筋
コンクリート柱の仕口構法の一実施例の実施状況を示す
縦断面図で第２図の矢視Ｉ−Ｉ図、第２図は平面図で第
１図の矢視II−II図、第３図は鉄骨梁及び斜め梁のジヨ
イント部を示す平面図、第４図及び第５図は本発明の方
法で施工された柱梁仕口部の応力伝達経路を示す説明
図、第６図は従来構法によって施工された合成鉄骨梁と
鉄筋コンクリート柱との接合部を示す平面図で第７図の
矢視VI−VI図、第７図はその縦断面図で第６図の矢視VI
I−VII図である。 （１）……RC柱、（４）……鉄骨梁、 （4a）……斜め梁、 （５）……柱梁仕口部コンクリート、 （６）……フラブコンクリート。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田 新 東京都新宿区西新宿１丁目25番１号 大 成建設株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E04B 1/16 E04B 1/30

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】二方向の隣り合う鉄骨梁の端部間に斜め梁
   を接合し、 この斜め梁を、柱を取り巻いて、同柱の柱頭部に載架
   し、 柱と斜め梁の仕口部のコンクリート及びスラブのコンク
   リートを打設して柱梁を一体化することを特徴とする、 合成鉄骨梁と鉄筋または鉄骨鉄筋コンクリート柱の仕口
   構法。