JPH07309713A

JPH07309713A - 皮膚組成物

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Publication number: JPH07309713A
Application number: JP6131059A
Authority: JP
Inventors: Naoyuki Onishi; 尚之大西
Original assignee: NARISU COSMETIC CO Ltd; NARISU KESHOHIN KK
Current assignee: NARISU COSMETIC CO Ltd; NARISU KESHOHIN KK
Priority date: 1994-05-20
Filing date: 1994-05-20
Publication date: 1995-11-28
Anticipated expiration: 2019-04-12
Also published as: JP3517274B2

Abstract

(57)【要約】【目的】安全性の高い天然型ヒトＩＦＮ誘発物質を提
供すること、並びにその有効な投与方法として該物質を
含有することを特徴とする皮膚組成物を提供すること。【構成】黄連、骨砕補、金果欖、小花棘豆、蒙古久苓
草、細辛、白茨、苦豆子、香附、問荊、陳皮、現証拠、
乾姜、桃仁、黄ごん、辛夷、防己、ウコン、厚朴、紅
花、椎茸、セロリ及びバナナから抽出されるヒトインタ
ーフェロン誘発物質並びに該物質を含有することを特徴
とする皮膚組成物。【効果】植物由来のヒトインターフェロン誘発物質及
びそれを含有する皮膚組成物に関し、医療用から一般大
衆向けに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は植物由来のヒトインタ
ーフェロン誘発物質及びそれを含有する皮膚組成物に関
し、医療用から一般大衆向けに用いることができる。

【０００２】

【従来の技術】インターフェロン（以下 IFN と略記
する）はもともと抗ウイルス作用を持つサイトカインと
して同定されたが、現在ではきわめて多くの生物活性を
有することが明らかにされている。その中で臨床的にも
っとも期待されているのが抗腫瘍活性であり、Hairy ce
ll leukemia や慢性骨髄性白血病、悪性黒色腫等に高い
効果が認められている。この他にも IFN は様々な臨床
応用が試みられており、アトピー性皮膚炎に対する IFN
の使用もその一例である。

【０００３】しかし IFN には種特異性があるため、ヒ
トにはヒト IFN を処方しなければならない。そこで臨
床的にはリコンビナントのヒト IFN が用いられている
が、リコンビナントを用いることに起因する副作用や、
ヒト由来の細胞から産生された天然型の IFN ほどの効
果が得られない等の問題があった。

【０００４】これらの問題点を解決する手段として、IF
N そのものではなく IFN の誘発物質を投与することに
よって生体に IFN を産生させることが考えられるが、
このためには投与する IFN の誘発物質に高い安全性が
要求される。

【０００５】動物ウイルス以外の天然型ヒト IFN の誘
発物質としては poly I:C や LPS 等が知られている
が、これらは人体にとって無害であるとは言えない。ま
た、植物由来の IFN 誘発物質に関する報告（特開昭62-
19525 等）もなされてはいるが、IFN の産生細胞にマウ
スやウサギ由来の細胞を用いているため、これらがヒト
に於いても種特異性のある IFN を産生させ得るかどう
かは不明である。また、これらの報告では IFN 力価の
測定にバイオアッセイを用いているため、サンプル中に
含まれるかもしれない TNF の様な抗ウイルス活性を示
すサイトカイン等の影響を受けている可能性もあり、こ
れら IFN 誘発物質の効果には疑問が残る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】そこで、ヒト由来の
細胞に対する安全性の高い IFN 誘発物質が望まれてい
た。またこの IFN の誘発物質を皮膚組成物等の形態で
投与することにより皮膚内に IFN を産生させれば、ウ
イルスに起因するヘルペスや悪性黒色腫等の腫瘍に効果
を発揮するだけでなく、アトピー性皮膚炎等の炎症によ
る肌荒れの改善や、IFN の持つ生物活性、例えばヒアル
ロン酸産生促進作用による真皮マトリックス成分の増
加、コラゲナーゼ産生促進作用（ M. R.Duncan et al.
; Arch. Dermatol. Res., 281, 11, 1989 ）による真
皮中の古いコラーゲンの代謝促進等により、水々しく弾
力のある健康な肌をつくることが期待される。

【０００７】そこで本発明の目的は、請求項１のヒトイ
ンターフェロン誘発物質が、黄連、骨砕補、金果欖、
小花棘豆、蒙古久苓草、細辛、白茨、苦豆子、香附、問
荊、陳皮、現証拠、乾姜、桃仁、黄ごん、辛夷、防己、
ウコン、厚朴、紅花、椎茸、セロリ及びバナナを用いる
ことにより安全性の高い天然型ヒト IFN 誘発物質を提
供すること、並びにその有効な投与方法として該物質を
含有することを特徴とする皮膚組成物を提供することに
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】安全性の高い天然型ヒ
ト IFN 誘発物質を提供するため、従来から良く知られ
ている各種天然物試料のヒト末梢血単核球に対する IFN
誘発能試験を鋭意行い、黄連、骨砕補、金果欖、小花
棘豆、蒙古久苓草、細辛、白茨、苦豆子、香附、問荊、
陳皮、現証拠、乾姜、桃仁、黄ごん、辛夷、防己、ウコ
ン、厚朴、紅花、椎茸、セロリ及びバナナの抽出物にヒ
ト IFN 誘発活性があることを見い出し、本発明を為す
に至った。

【０００９】ヒト IFN 誘発物質の抽出方法は特に限定
しないが、その抽出溶媒としては水やリン酸緩衝液の様
な公知の緩衝塩類溶液、また、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、アセトンの様な有機溶
媒の適当な濃度、及びこの２種以上を混合して得られる
溶媒を用いることができる。この場合、加熱抽出を行う
ことにより抽出効率を上げることができる。尚、緩衝塩
類溶液や有機溶媒は例示した種類に限定されるものでは
ない。

【００１０】

【実施例】本発明のヒト IFN 誘発物質は、ヒト由来
の細胞に対する IFN 誘発活性を有する。この効果は、
以下の実験及び試験によって裏付けられる。

【００１１】実験例１乾燥した骨砕補１kgを粉砕し、
これに水10Lを加えて60℃で24時間抽出を行った。濾過
により抽出液と残渣に分け、残渣に水10Lを加えて再度6
0℃で24時間抽出を行った後、濾過により得た抽出液を
先の抽出液と合わせた。こうして得られた抽出液を減圧
下で濃縮した後、凍結乾燥することにより骨砕補水抽出
物約200gを得た。

【００１２】試験例１上記骨砕補水抽出物を試験試料
とし、下記試験法によりヒト末梢血単核球に対する IFN
誘発能試験を行った。

【００１３】健常人より末梢血をヘパリン加採血し、Fi
coll-paque を用いて常法により末梢血単核球を得た。
これを、FBS を10％含む RPMI1640培地を用いて１×10⁶
cells/mlになるように調整した。この細胞浮遊液１ml
に、実験例１に記載した方法に準じて得られたヒト IFN
誘発物質を所定量添加し、37℃で48時間培養した。培
養液を遠心処理して上澄み液を回収し、その IFN 活性
を測定した。IFN-α誘発の陽性対照にはセンダイウイル
ス（以下 HVJ と略記する）を、IFN-γ誘発の陽性対照
にはフィトヘマグルチニン（以下 PHA と略記する）を
用いた。

【００１４】IFN 活性の測定には、抗ヒト白血球由来天
然型 IFN-αウマポリクローナル抗体或いは抗ヒト白血
球由来天然型 IFN-γウサギポリクローナル抗体を用い
た蛍光免疫測定法を使用した。バイオアッセイではなく
免疫測定法を用いることにより、TNF の様な抗ウイルス
活性を示すサイトカイン等の影響を受けることなく、IF
N のみを測定することができる。

【００１５】表１は、実験例１で得た試験試料を表１に
示した濃度になるように添加したときの試験結果であ
る。表中の IFN 活性は、国際単位で示した。表１の結
果から、骨砕補水抽出物にヒト IFN の誘発活性が認め
られた。

【表１】

【００１６】試験例２黄連、金果欖、小花棘豆、蒙古
久苓草、細辛、白茨、苦豆子、香附、問荊、陳皮、現証
拠、乾姜、桃仁、黄ごん、辛夷、防己、ウコン、厚朴、
紅花、椎茸の乾燥物を実験例１に記載した方法に準じて
処理し、これらを試験試料として試験例１に記載した方
法に準じてヒト末梢血単核球に対する IFN 誘発能試験
を行った。

【００１７】表２は、試験例２に於いて、実験例１に記
載した方法に準じて処理して得た各試験試料を表２に示
した濃度になるように添加したときの試験結果である。
表２の結果から、黄連、金果欖、小花棘豆、蒙古久苓
草、細辛、白茨、苦豆子、香附、問荊、陳皮、現証拠、
乾姜、桃仁、黄ごん、辛夷、防己、ウコン、厚朴、紅
花、椎茸の各抽出物にヒト IFN の誘発活性が認められ
た。

【表２】

【００１８】実験例２成熟した生のバナナ果実１kgを
ミキサーにかけ、圧搾によりバナナ果汁を得た。このと
き、圧搾しやすくするために水を適宜加えても良い。こ
のバナナ果汁を凍結乾燥することにより、バナナ抽出物
約50gを得た。

【００１９】試験例３上記バナナ抽出物及び、生のセ
ロリを実験例２に記載した方法に準じて処理して得たセ
ロリ抽出物を試験試料として、試験例１に記載した方法
に準じてヒト末梢血単核球に対する IFN 誘発能試験を
行った。

【００２０】表３は、バナナ抽出物或いはセロリ抽出物
を表３に示した濃度になるように添加したときの試験結
果である。表３の結果から、バナナ及びセロリの抽出物
にヒト IFN の誘発活性が認められた。

【表３】

【００２１】次に、本発明のヒト IFN 誘発物質を含有
する化粧料の処方例を示す。本発明に配合する本発明の
ヒト IFN 誘発物質の配合量は、特に限定しないが通常
0.001〜20.00 重量％（以下 wt% と略記する）が用いら
れる。製品への臭いや着色の影響及び肌への効果を考慮
すると、0.1〜5.0 wt% が望ましい。この処方例により
本発明の皮膚組成物が何らの制限を受けるものではな
い。

【００２２】処方例１クリーム ( wt % ) 水相：ジプロピレングリコール２.０グリセリン３.０精製水３０.０実験例１の骨砕補抽出物１.０油相：セタノール８.０ホホバ油５.０スクワラン３７.５ミツロウ６.０乳化剤：親油性モノステアリン酸グリセリン２.０ホ゜リオキシエチレンソルヒ゛タンモノラウリン酸エステル ( 20. E. O. ) ２.０香料適量防腐剤適量

【００２３】製法水相の成分を混合し、加熱して70℃
に保ち水相部とする。一方、他の成分を混合し、加熱溶
解して70℃に保ち油相部とする。この油相部を前述の水
相部に加えて乳化を行い、30℃まで冷却して製品のクリ
ームを得る。

【００２４】処方例２クリーム状ファンデーション ( wt % ) 顔料：酸化チタン８.０カオリン５.０タルク２.０ベントナイト１.０着色顔料適量水相：トリエタノールアミン１.２ソルビット３.０精製水５０.０実験例２のバナナ抽出物１.０油相：ステアリン酸５.０モノステアリン酸グリセリン２.５セタノール１.０モノラウリン酸プロピレングリコール３.０スクワラン７.０オクタン酸セチル８.０香料適量防腐剤適量

【００２５】製法水相を調製し、これに混合した顔料
を加えて分散させた後、75℃に加熱する。油相を調製
し、80℃に加熱する。油相を水相に攪拌しながら加えて
乳化した後に冷却し、香料を加え、30℃まで冷却して製
品を得る。

【００２６】処方例３口紅 ( wt % ) 基剤：細辛抽出物１.０ヒマシ油４５.０ヘキサデシルアルコール２５.０ミツロウ５.０キャンデリラロウ７.０カルナバロウ６.０ラノリン４.０色材：酸化チタン２.０着色料適量香料適量

【００２７】製法基剤原料を加熱融解し、色材を加え
てロールミルで練り、均一に色材を分散させる。その後
再融解して香料を加え、型に流し込んで製品の口紅を得
る。

【００２８】

【発明の効果】本発明の効果を明らかにするため、人
による使用試験を行った。すなわち、

【００２９】試験例４処方例１に示したクリームとそ
こから本発明による IFN 誘発物質を除いたクリーム
を、顔面左右半顔ずつに通常通りの使用方法で10名のパ
ネラーに１ヶ月間連続塗布し、その後肌のはり、つや、
水々しさ、滑らかさの４項目について官能評価を行っ
た。

【００３０】表４に、試験例４で実施した官能評価の評
価基準を示した。肌のはり、つや、水々しさ、滑らかさ
のそれぞれを、“ほとんどない”の１点から“非常にあ
る”の５点までの５段階評価で表わした。

【表４】

【００３１】表５に、試験例４の結果を示した。表中の
数字は、表４の評価基準に基づいて評価した10名のパネ
ラーの平均点である。表５の結果から明らかなように、
本発明のヒト IFN 誘発物質を含有した化粧料は、対照
品に比べて優れた整肌効果が認められた。

【表５】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所 // Ａ６１Ｋ 38/21

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ヒトインターフェロン誘発物質を含有す
ることを特徴とする皮膚組成物。
【請求項２】請求項１のヒトインターフェロン誘発物
質が、黄連、骨砕補、金果欖、小花棘豆、蒙古久苓
草、細辛、白茨、苦豆子、香附、問荊、陳皮、現証拠、
乾姜、桃仁、黄ごん、辛夷、防己、ウコン、厚朴、紅
花、椎茸、セロリ及びバナナから抽出される物質である
こと。