JPH07301884A - 写真フイルム用ベースフイルム - Google Patents

写真フイルム用ベースフイルム

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JPH07301884A
JPH07301884A JP6094338A JP9433894A JPH07301884A JP H07301884 A JPH07301884 A JP H07301884A JP 6094338 A JP6094338 A JP 6094338A JP 9433894 A JP9433894 A JP 9433894A JP H07301884 A JPH07301884 A JP H07301884A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性、色相、耐デラミ性およびカール解消
性に優れた写真フイルム用ベースフイルムに用いうるポ
リエチレンナフタレートフイルムを提供する。 【構成】 ポリエチレンナフタレートを主成分とするポ
リエステルからなるポリエステルフイルムであって、該
フイルムの結晶化度が30%以上50%未満、ヘーズが
2.0%以下、イエローインデックス(YID)が5以
下、さらにアセトアルデヒド含有率が60ppm以下で
あることを特徴とする写真フイルム用ベースフイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真フイルム用ベースフ
イルムに関し、更に詳しくは、優れたカール解消性、透
明性、色相及び耐デラミ性を備えたポリエチレンナフタ
レートを素材とする写真フイルム用ベースフィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】写真フイルムには、X線用フイルム、製
版用フイルム、カットフイルム等の如きシート状フイル
ムで用いるものと、一般のカメラに装填して撮影に用い
るカラーまたは黒白ネガフイルム等の如きロールフイル
ムとして用いるものとがある。
【0003】このシート状フイルムのベースフイルムに
はポリエチレンテレフタレートからなる二軸延伸ポリエ
ステルフイルムが主として用いられ、またロールフイル
ムのベースフイルムにはトリアセチルセルロース(以下
『TAC』と略称することがある)に代表されるセルロ
ース系ポリマーからなるフイルムが主として用いられて
いる。
【0004】TACフイルムの特徴は光学的に異方性が
なく、透明性が高く、現像処理後のカール解消性に優れ
ている点にあるが、特にカール解消性は他素材フイルム
にみられない特徴と言われている。しかしながら、この
TACフイルムはその製造工程で有機溶剤を使用するた
め、溶剤回収を完全に行い、環境を汚染することがない
ように注意しなければならない。特に、最近は環境破壊
の問題が関心を集めており、環境汚染の恐れがある有機
溶剤を使用することは、なるべく避けようとする傾向が
強くなってきた。
【0005】一方、このような有機溶剤を使用せずに、
溶融押出法により製膜を行うことのできるフイルムとし
て、ポリエチレンテレフタレートフイルムがあり、前述
のシート状フイルムで用いる写真フイルムのベースフイ
ルムとして使用されるようになってきている。
【0006】しかしながら、ポリエチレンテレフタレー
トフイルムは、カール(巻き癖)が強く残留する性質が
あり、かつこれを取り除くのが難しいため写真フイルム
用としての使用範囲が限られている。例えば、ポリエチ
レンテレフタレートフイルムをロールフイルムとして使
用する用途に用いると、写真現像処理後のフイルムにカ
ールが強く残留する(カール解消性が悪い)ため、現像
後写真印画紙に画像を形成させる焼き付け工程で、フイ
ルムが傷付いたり、焦点がボケたりする問題が生じる。
このためポリエチレンテレフタレートフイルムはロール
フイルムとして使用する写真フイルム用には使い難い。
【0007】このポリエチレンテレフタレートフイルム
のカール解消性を改良する技術は種々提案されている。
【0008】例えば特開平1−244446号公報、或
いは特開昭53−146773号公報には、含水率が
0.5重量%以上である改質ポリエチレンテレフタレー
ト、或いはポリエチレングリコールや金属スルフォネー
トを有する芳香族ジカルボン酸を共重合した改質ポリエ
チレンテレフタレートをベースフイルムに用いた写真感
光材料が開示されている。しかし、これ等の改質ポリエ
チレンテレフタレートを用いた写真フイルムではカール
解消性の効果は認められるが、含水率を高めているため
吸湿した際の寸法安定性が悪くなることや、金属スルホ
ネートを有する芳香族ジカルボン酸を共重合しているた
めガラス転移温度が低くなりフイルム端面部の変形が増
大すること等の欠点を有しており、写真フイルム用とし
て十分なものではない。
【0009】また、特開昭50−16783号公報や、
特開昭56−53754号公報には、固有粘度の異なる
ポリエステルを積層した二軸配向ポリエステルフイルム
にて、各層の収縮応力の差によりカールを相殺する等の
カール解消性改良技術が開示されている。しかし、これ
らの改良技術は収縮応力の差を調節するのが難しいこと
等の欠点を有する。
【0010】更に、カール解消性を改良したポリエステ
ルフイルムとして、例えばUSP−4141735号で
熱処理を施した二軸配向ポリエチレンテレフタレートフ
イルムやポリエチレンナフタレートフイルム等が開示さ
れているが、この技術では透明性、色相、耐デラミ性及
びカール解消性の全てを満足する写真フイルム用のベー
スフイルムを得ることが難しい。
【0011】更に近年、ロールフイルムとして使用する
写真フイルムに対する品質要求が高度化されており、例
えば写真撮影の際に従来よりも高速で搬送できる写真フ
イルムや、撮影装置を小型にするため従来よりも肉薄と
し、小さい巻径で巻いて使用できる写真フイルム等が要
求されている。従って写真フイルム用のベースフイルム
は、従来よりも高速での搬送に耐え得ること、従来より
も小さい巻径で巻いたときのカール解消性が良好である
こと、従来よりも薄膜にしても機械的強度や寸法安定性
が良好であること等が必要になる。これらの要求に対し
て、トリアセテートフイルム、改質ポリエチレンテレフ
タレートフイルム或いは熱処理を施した二軸配向ポリエ
チレンテレフタレートフイルムやポリエチレンナフタレ
ートフイルム等では十分対処できず、優れた特性を有す
る写真フイルム用ベースフイルムが望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透明
性、色相、耐デラミ性及びカール解消性に優れた写真フ
イルム用ベースフイルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
本発明によれば、ポリエチレンナフタレートを主成分と
するポリエステルからなるポリエステルフイルムであっ
て、該フイルムの結晶化度が30%以上50%未満、ヘ
ーズが2.0%以下、イエローインデックス(YID)が
5以下、さらにアセトアルデヒド含有率が60ppm以
下であることを特徴とする写真フイルム用ベースフイル
ムよって達成される。
【0014】本発明においてポリエチレンナフタレート
とは、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エ
チレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエ
ステルである。
【0015】上記のナフタレンジカルボン酸成分として
は、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸等を挙げることができるが、これらの中で特に2,
6−ナフタレンジカルボン酸が、優れた特性を有するベ
ースフイルム用のポリエチレンナフタレートとなるので
好ましい。主たる酸成分がナフタレンジカルボン酸でな
い場合、例えばフイルムのカール解消性が不良となるた
め好ましくない。
【0016】他の酸成分としては、芳香族ジカルボン酸
(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエタ
ンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニル
エーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカ
ルボン酸等);脂肪族ジカルボン酸(例えばアジピン
酸、セバシン酸等);脂環族ジカルボン酸(例えばシク
ロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等)等を例示するこ
とができる。これらの酸成分の割合は、全酸成分に対し
20モル%以下であることが好ましく、更に5モル%以
下、特に2モル%以下であることが、例えばフイルムの
カール解消性が良好となるため好ましい。
【0017】エチレングリコール以外のグリコール成分
としては、脂肪族グリコール(例えばトリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレング
リコール等のごとき炭素数3〜10のポリメチレングリ
コール等);脂環族グリコール(例えばシクロヘキサン
ジメタノール等);芳香族ジオール(例えばハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン等);ポリオキシアルキレングリコール
(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等)などを例示する
ことができる。これらのグリコール成分の割合は、全グ
リコール成分に対し20モル%以下であることが好まし
く、更に5モル%以下、特に2モル%以下であること
が、例えばフイルムのカール解消性が良好となるため好
ましい。
【0018】また、本発明におけるポリエチレンナフタ
レートには本発明の効果を損なわない範囲で、例えばヒ
ドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω−ヒドロキ
シカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン
酸に由来する成分を、全酸成分に対し20モル%以下で
共重合させることもできる。
【0019】本発明におけるポリエチレンナフタレート
は実質的に線状のポリエステルであるが、本発明の効果
を損なわないかぎり、例えば全酸成分に対し2モル%以
下の量で、3官能以上のポリカルボン酸又はポリヒドロ
キシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエリスリト
ール等を共重合させることもできる。
【0020】更に、本発明におけるポリエチレンナフタ
レートには、ポリエステルフイルムの透明性、表面平坦
性、および熱安定性を損なわない程度であれば、例えば
滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、遮光剤(例
えばシリカ、架橋ポリスチレン、テラゾールブルー、イ
ルガノックス、コバルト等)の如き添加剤を必要に応じ
て配合させることもできる。
【0021】本発明におけるポリエチレンナフタレート
は、前記のナフタレンジカルボン酸及び/又はその低級
アルキルエステルを主成分とする酸成分と、エチレング
リコールを主成分とするグリコール成分とを重縮合させ
ることにより製造できるが、特に、ナフタレンジカルボ
ン酸の低級アルキルエステルを主成分とする酸成分とエ
チレングリコールを主成分とするグリコール成分とをエ
ステル交換反応させて得られる反応生成物を重縮合させ
て製造することが、色相が良好で透明性の良いフイルム
が得られるため好ましい。
【0022】上記ナフタレンジカルボン酸の低級アルキ
ルエステルとしては、例えば、ジメチルエステル、ジエ
チルエステル、ジプロピルエステル等を挙げることがで
き、特にジメチルエステルが好ましい。
【0023】本発明のポリエステルフイルムは結晶化度
が30%以上50%未満であり、好ましくは35%以上
45%未満である。この結晶化度が50%を越えるとフ
イルムの透明性が不足しカール解消性が悪くなり、30
%に満たないとフイルムの耐デラミ性が不良となるため
写真フイルム用ベースフイルムとして好ましくない。
【0024】ポリエステルフイルムの上記耐デラミ性
(以下『デラミ特性』ということがある)は、折り目デ
ラミ白化率の測定により特定できる。この折り目デラミ
白化率は、10%以下であることが好ましく、10%を
越えると、フイルムが層剥離(デラミ)をおこし易く、
層剥離した部分が白化すること、パーフォレーション孔
あけ時の層剥離し易いこと、金属等との接触によって生
ずる傷が成長し易いこと等の問題が起こるため好ましく
ない。
【0025】本発明の結晶化度が30%以上50%未満
のポリエステルフイルムは、例えばフイルムを製造する
際の延伸および熱固定条件を適切なものとすることによ
り得られる。
【0026】本発明のポリエステルフイルムのヘーズは
2.0%以下であり、好ましくは1.5%以下、更に好
ましくは1.0%以下である。このヘーズが2.0%を
越えると、フイルムの透明性が低下するため好ましくな
い。
【0027】また本発明のポリエステルフイルムのイエ
ローインデックス(YID)は、5以下である。YIDが5
を越えると、カラー写真フイルム用として使用した時に
画像が偏った色調となるため、好ましくない。
【0028】更に、本発明において、ポリエステルフイ
ルム中のアセトアルデヒド(以下『AA』と略記するこ
とがある)含有率は60ppm以下、好ましくは50p
pm以下、更に好ましくは40ppm以下である。この
AA含有率が60ppmを越えると、フイルムの色相が
悪くなるばかりでなく、写真フイルム用ベースフイルム
として使用したとき、ベースフイルムの表面に塗設した
感光剤を変性させ、偏った色調となるため好ましくな
い。
【0029】本発明のAA含有率が60ppm以下のポ
リエステルフイルムを得るには、例えばポリエチレン
ナフタレートを溶融重合する際に、ナフタレンジカルボ
ン酸及び/又はその低級アルキルエステルに対し2〜2
0ミリモル%のアルカリ金属塩および1〜50ミリモル
%の4級アンモニウム塩を添加配合し、AA生成量を抑
制して得られたポリエチレンナフタレートをフイルムの
製造に用いる方法、溶融重合で得られたポリエチレン
ナフタレートを減圧下または窒素ガス気流下において1
90℃以上、融点より10℃低い温度の範囲で固相重合
して得られたAA含有量の低いポリエチレンナフタレー
トをフイルムの製造に用いる方法、二軸延伸して得ら
れたポリエチレンナフタレートフイルムを、更に(Tg
+60)℃〜(Tg+120)℃(Tg:ポリエチレン
ナフタレートのガラス転移温度)の温度でフイルムの結
晶化度が30〜50%の範囲となる条件で窒素ガス気流
下にて熱固定処理する方法等を挙げることができる。
【0030】本発明のポリエチレンナフタレートフイル
ムは、その製造方法によって特に制限されることはな
く、例えば以下の方法で好ましくは製造できる。例え
ば、ポリエチレンナフタレートを(Tm+10)℃ない
し(Tm+30)℃(但し、Tmはポリエチレンナフタ
レートの融点)の温度で溶融し、シート状に押出し、冷
却ドラムにて冷却して未延伸フイルムを得、次いで該未
延伸フイルムを1軸方向(縦方向または横方向)に(T
g−10)℃ないし(Tg+50)℃の温度(但し、T
gはポリエチレンナフタレートのガラス転移温度)で2
〜5倍の倍率で延伸し、次いで上気延伸方向と直角方向
(1段目延伸が縦方向の場合には、2段目延伸は横方向
となる)に(Tg)〜(Tg+50)℃の温度で2〜5
倍の倍率で延伸し、その後更にTgよりも60℃以上か
つ120℃以下の温度で熱固定し、必要であれば熱弛緩
処理することによって目的のポリエチレンナフタレート
フイルムを製造することができる。その際フイルムの表
面特性、密度、熱収縮率等の性質は、延伸条件その他の
製造条件により変わるので、必要に応じて適宜条件を選
択することができる。
【0031】上記熱固定温度がTg+60℃よりも低い
場合、フイルムの折り目デラミ白化率が不良となるため
好ましくない。また該熱固定温度がTg+120℃より
も高い場合、ポリエチレンナフタレートが過度に結晶化
するためにフイルムが白化し、透明性が不良となるため
好ましくない。得られたフイルムは更にカール解消性を
良くするため、該ポリエチレンナフタレートのTgより
も60℃以上かつ120℃以下の温度で熱処理すること
ができる。
【0032】本発明のポリエステルフイルムの厚みはベ
ースフイルムとして使用する写真フイルムの用途によっ
て適宜選択できるが、25〜250μmが好ましく、特
に40〜150μmが好ましい。
【0033】本発明のポリエチレンナフタレートフイル
ムには、用途に応じて易滑性を付与することもできる。
易滑性を付与する手段は特に限定されるものではない
が、ポリマー中へ滑剤粒子を分散させる方法、或いは易
滑性を有する層をフイルムの表面に設ける方法等の一般
的手法を用いることができる。
【0034】ポリマー中へ滑剤粒子を分散させる方法に
は、SiO2 、BaSO4 、CaCO3 、アルミナシリ
ケート、架橋有機粒子等をポリマー中に添加する方法、
ポリエチレンナフタレートの重合時に触媒等を析出させ
る方法等が挙げられる。このうち滑剤粒子をポリマー中
に添加する方法が、易滑性を付与する効果が顕著である
ため好ましい。特に、ポリエチレンナフタレートの屈折
率に近い屈折率を有する滑剤粒子、例えばBaSO4
アルミナシリケート、架橋有機粒子(架橋ポリスチレン
等)を添加する方法が易滑性を付与でき、かつフイルム
の透明性を良好に保つことができるために好ましい。
【0035】また、易滑性を有する層をフイルムの表面
に設ける方法では、滑剤粒子を実質的に含まないポリエ
チレンナフタレートフイルムの少なくとも片面に滑剤粒
子を有する層を薄く積層する方法が易滑性と透明性の良
好なフイルムを得るために好ましく、この手段として
は、例えば複数の押出機とフィードブロックやマルチマ
ニフォールドとを組み合わせて共押出しする方法を有効
な手段として挙げることができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない範囲で実施例
に限定されるものではない。尚、実施例中の各特性値は
次の方法により測定した。また、実施例中「部」とある
のは「重量部」を表わす。
【0037】(1)アセトアルデヒド(AA)濃度 液体窒素中でポリエチレンナフタレートフイルムを微粉
末状に粉砕し、この粉末を高感度ガスクロマトグラフの
ガラスインサートに封入し、170℃の温度で10分間
に捕捉されるアセトアルデヒドを定量する。
【0038】(2)フイルムヘーズ(透明性) JIS−K6714に準じ、日本精密光学(株)製、積
分球式HTRメーターにより、フイルム1枚当たりの全
ヘーズ値(%)を測定する。このヘーズをフイルムの透
明性を示す指標として使用する。
【0039】(3)折り目デラミ白化率(耐デラミ性) 80mm×80mmの大きさにフイルムサンプルを切り
出し、手で軽く2つに折りながら、平坦な一対の金属板
で挟んだ後、プレス機により所定の圧力P1 (kg/c
2 G)で20秒間プレスする。プレス後、2つ折りの
フイルムサンプルを手で元の状態に戻し、前記金属板に
挟んで、圧力P1 (kg/cm2 G)で20秒間プレス
する。その後、フイルムサンプルを取り出し、折り目に
現われた白化部分の長さ(mm)を測定して合計する。
それぞれ新しいフイルムサンプルを使用し、プレス圧力
1 =1,2,3,4,5,6(kg/cm2 G)につ
いて上記測定を繰り返す。各プレス圧力における白化部
分の長さ(mm)の合計の平均値が、折り目の全長(8
0mm)に占める割合(%)をもって、折り目デラミ白
化率(%)とし、この値をフイルムの層剥離(デラミ)
の起こり難さ(耐デラミ性)を示す指標として使用す
る。
【0040】
【数1】
【0041】(4)イエローインデックス(YID) 日本電色工業(株)製色差計SZ−Σ90を用い、フイ
ルムのイエローインデックス(YID)を下記式により求
める。
【0042】
【数2】
【0043】式中の X,Y,Z=国際照明委員会が定
める光の3刺激値
【0044】(5)カール回復率(カール解消性) 120mm×25mmの大きさのフイルムサンプルを平
坦な状態で23℃×50%RHの雰囲気にて24時間調
整後、直径7mmの巻芯に長手方向に巻き付け巻き戻ら
ないように仮固定し、80℃にて2時間加熱処理した
後、巻芯から解放する。次いで40℃の蒸留水に15分
間浸漬した後、サンプルを長手方向に垂直に吊し、3
3.5gの荷重下55℃の空気恒温槽で3分間乾燥す
る。続いて、荷重を除いてフイルムの上端部と下端部の
距離(A:mm)を求める。カール回復率(%)(『カ
ール回復性』ということもある)を下記の式で表わしカ
ール解消性を示す指標とする。
【0045】
【数3】
【0046】(6)結晶化度 ポリエステルフイルムの密度を密度勾配管により測定
し、下記式より結晶化度を求めた。
【0047】
【数4】
【0048】式中 ρ :ポリエステルフイルムサンプ
ルの密度 ρa :1.325(ポリエチレンナレフタレートの完全
非晶密度) ρc :1.407(ポリエチレンナレフタレートの完全
結晶密度) 単位はいずれもg/cm3
【0049】[実施例1]2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸メチルエステル100部とエチレングリコール60
部とを、エステル交換触媒として酢酸マンガン4水塩
0.03部(1.23モル)を使用して、常法にてエス
テル交換反応させた後、トリメチルフォスフェート0.
023部(1.64モル)を添加し実質的にエステル交
換反応を終了させた。この時点で、酸成分に対し2ミリ
モル%のヒドロキシテトラエチルアンモニウムを添加し
た。
【0050】更に、三酸化アンチモン0.024部
(0.82モル)を添加後、引き続き高温高真空下で常
法にて重縮合反応を行ない、固有粘度(フェノール/テ
トラクロロエタン混合溶媒にて35℃で測定)0.62
dl/gのポリエチレンナフタレートを得た。
【0051】このポリエチレンナフタレートのペレット
を180℃で5時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、
溶融温度300℃で溶融し、この溶融ポリマーを1mm
のスリット状ダイを通して表面温度40℃の回転冷却ド
ラム上に押出し、未延伸フイルムを得た。このようにし
て得られた未延伸フイルムを120℃にて予熱し、更に
低速、高速のロール間で15mm上方より900℃の表
面温度のIRヒーター1本にて加熱して3.0倍に延伸
し、続いてステンターに供給し、140℃にて横方向に
3.3倍に延伸した。得られた二軸配向フイルムを21
5℃の温度で、窒素気流下10秒間熱固定し、厚み75
μmのポリエチレンナフタレートフイルムを得た。この
フイルムの固有粘度は0.60dl/gであった。
【0052】得られたフイルムを115℃にて2日間熱
処理し、フイルム特性を測定したが、表−1に示す通り
良好であった。
【0053】[実施例2]フイルム熱固定を235℃の
温度で実施する以外は、実施例1と同様の条件で検討を
行ないフイルムを得たが、表1に示す通り、写真フイル
ム用ベースフイルムとして良好な特性を示した。
【0054】[実施例3]フイルム熱固定を185℃の
温度で実施する以外は、実施例1と同様の条件で検討を
行ないフイルムを得たが、表1に示す通り、AA濃度の
低い、写真フイルム用ベースフイルムとして良好な特性
を示した。
【0055】[比較例1]エステル交換反応の終了時点
で、ヒドロキシテトラエチルアンモニウムを添加せず、
実施例2と同様の条件で検討を行いフイルムを得たが、
表1に示す通りAA濃度が60ppmを越えてしまい、
さらに他のフイルムの特性も不良となり、写真フイルム
用ベースフイルムとしての要求特性を満足することがで
きなかった。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明のポリエチレンナフタレートから
なるポリエステルフイルムは、優れた透明性、色相、耐
デラミ性およびカール解消性を有するため、例えば撮影
用フイルム、スチル写真用ロールフイルム、映画用ロー
ルフイルム、X線用ロールフイルム、製版用フイルム等
の幅広い写真用途のベースフイルムとして使用できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンナフタレートを主成分とす
    るポリエステルからなるポリエステルフイルムであっ
    て、該フイルムの結晶化度が30%以上50%未満、ヘ
    ーズが2.0%以下、イエローインデックス(YID)が
    5以下、さらにアセトアルデヒド含有率が60ppm以
    下であることを特徴とする写真フイルム用ベースフイル
    ム。
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EP19950302478 EP0678777B1 (en) 1994-04-19 1995-04-13 Base film for photographic film
DE1995617551 DE69517551T2 (de) 1994-04-19 1995-04-13 Trägerfilm für photographischen Film
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