JPH07295266A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JPH07295266A
JPH07295266A JP8890794A JP8890794A JPH07295266A JP H07295266 A JPH07295266 A JP H07295266A JP 8890794 A JP8890794 A JP 8890794A JP 8890794 A JP8890794 A JP 8890794A JP H07295266 A JPH07295266 A JP H07295266A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電子写真用感光体において、その支持体である
アルミニウム基体の陽極酸化皮膜の耐熱性を向上させる
ことにより他の感光体構成材料の選択範囲を広げること
ができ、より高性能な感光体を得る。更に、感光体を高
温で乾燥可能になり製造時間の短縮につながる。 【構成】陽極酸化処理を施されたアルミニウムを基体と
した感光体において、その陽極酸化皮膜のアドミッタン
スを0.3S/m2 以上85S/m2 以下に抑えること
により、基体の耐熱性を良好にし、かつ充分な感度をも
つ感光体が得られる。その皮膜のアドミッタンスは陽極
酸化条件や封孔処理条件によって制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、プリンタある
いはファクシミリ等の電子写真プロセスにより画像形成
を行う際に用いられる電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、この種の電子写真用感光体の感光
層には、コストや廃棄の容易さ等の点で有利な有機材料
を用いたものが多く用いられるようになってきた。
【0003】そして、これらの有機材料は、ディップコ
ート法、リングコート法等などによってアルミニウム基
体上に塗料として塗布されている。この時、安定かつ均
一に塗料を塗るために塗料の分散性、溶解性は重要であ
り、様々な溶媒が使用されている。その中には沸点が非
常に高いものがあり、その溶剤を発揮させるために高温
乾燥を余儀なくされ、その結果、高温でダメージのある
材料が使用できず、材料の選択範囲が狭くなっている。
【0004】また、電子写真用感光体のアルミニウム基
体には、帯電位低下防止や光導電層の密着性向上、更に
洗浄の容易さを主な目的として陽極酸化処理が施されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
陽極酸化皮膜は耐熱性が弱く、高温では表面にクラック
が入り、絶縁破壊強度の低下や光導電層へのクラックの
成長が起こることから、それを防止するため分散性や溶
解性を満足する高沸点溶媒の使用が制限され、また、感
光体の乾燥を高温で行えず、乾燥時間が長くなるという
問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の問題
点を解決するものであり、その第1の目的とするところ
は塗料を基体上に安定かつ均一に塗布するため、幅広い
溶媒を選択可能とすることである。更に、第2の目的は
感光体の乾燥を高温で行うことを可能とし、乾燥時間を
短縮することにある。アルミニウム基体に陽極酸化皮膜
を施し、かつ上記目的を達成し得るためには陽極酸化皮
膜の耐熱性を向上することが必要である。
【0007】このため本発明のアルミニウムの陽極酸化
皮膜では、特定の膜厚の陽極酸化皮膜に特定の封孔処理
を施すことによって上記目的を達成し、かつ十分な感度
を保っている。
【0008】即ち、陽極酸化皮膜のアドミッタンスを
Y、アドミッタンスYの測定面積をSとした場合、単位
面積当りのアドミッタンスY/Sが0.3S/m2 (シ
ーメンス/平方メートル)以上85S/m2 以下である
ことを特徴とする。
【0009】本発明の感光体は、特定の陽極酸化皮膜を
有するアルミニウム基体上に光導電層が設けられる。基
体に用いられるアルミニウムは純AI系の材料の他にA
I−Mg−Si系、AI−Mn系統のアルミニウム合金
も使用できる。
【0010】アルミニウム基体は、陽極酸化処理を施す
前にアルキレン等の有機溶剤や界面活性剤、乳化脱脂法
等で脱脂処理し、さらにエッチングすることが好まし
い。
【0011】陽極酸化皮膜は公知の方法、例えば硫酸、
しゅう酸、クロム酸、ホウ酸等の酸性浴中で陽極酸化処
理することによって形成することができるが、特に硫酸
中での陽極酸化が好ましい。硫酸中での陽極酸化処理の
場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミイオン
濃度1〜10g/l、液温20℃前後、電解電圧は約2
0Vで行うのが望ましいが、これに限られるものではな
い。
【0012】形成された陽極酸化皮膜は感度を上げるた
め純粋沸騰水中煮沸処理等で封孔処理を施すが、純粋沸
騰水よりも主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液
中に浸漬する封孔処理が望ましい。酢酸ニッケル水溶液
を用いる場合、濃度は5〜10g/l、処理濃度は55
〜75℃、またpHは5〜6の範囲内で使用するのが好
ましい。
【0013】このようにして形成された陽極酸化皮膜は
必要に応じて純水による洗浄等の措置が取られ、乾燥を
行う。
【0014】以上のようにして形成された陽極酸化皮膜
のアドミッタンスは次のように測定できる。まず、皮膜
表面に合成樹脂あるいはゴムなどの非導電性の測定面積
Sの電解セルを密着させ、35g/lの硫酸カリウム水
溶液を電解セルに注入し皮膜表面に接触させ、30分間
放置する。そして、アドミッタンス測定装置の一方の電
極の一端をアルミニウム基体の素地に接続し、他方の電
極を電解セル中の硫酸カリウム水溶液中に挿入して、周
波数1kHzのもとでアドミッタンスYを測定する。こ
の測定法はJIS規格に定められた封孔度測定法の1つ
を利用したものである。
【0015】次に、この陽極酸化皮膜上に光導電層を設
ける。この光導電層には、電荷発生層と電荷移動層、場
合によってはさらに保護層を積層した複数の層より構成
されたもの、あるいは、電荷発生層のみ、または電荷発
生層中に電荷移動材を混合したような単一層で形成され
るもの等がある。
【0016】また、陽極酸化皮膜と光導電層の間に、各
種の中間層を設けることもできる。中間層は、ポリアミ
ド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリ
ル酸、エポキシ樹脂、またはこれらの樹脂に導電性微粒
子を分散させたものにより形成できる。これらの中間層
は、単層でも、2層以上に積層されたものでも良い。こ
の中間層の膜厚は0.1〜20μmであり、好ましくは
0.2〜10μmが適当である。
【0017】電荷発生層は、電荷発生材料を樹脂に分散
した樹脂層、あるいは、さらにこの樹脂層に電荷移動材
料を混合したものなどで構成される。
【0018】電荷発生材料としては、各種フタロシアニ
ン顔料、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、インジゴ顔料、キナ
クリドン顔料等の公知の材料が用いられる。また、これ
らの電荷発生材料は、1種または2種以上組み合わせて
使う事もできる。電荷発生層を形成する樹脂としては、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、
ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、フェ
ノール樹脂等が用いられる。これらの樹脂は単独、また
は混合して用いられる。これらの樹脂により電荷発生層
を形成する際に用いられる塗布液の溶剤としては、トル
エン、塩化メチレン、モノクロルベンゼン、メチルアル
コール、エチルアルコール、酢酸エチル、テトラヒドロ
フラン、シクロヘキサン等がある。これらの溶剤も単
独、または混合して用いられる。電荷発生層の膜厚は、
電荷移動層を積層して用いる場合には0.05〜5μ
m、好ましくは0.1〜2μm程度が適当である。電荷
発生層単独で用いる場合には、10〜30μm、好まし
くは15〜20μmが適当である。
【0019】電荷発生層を形成する塗布液を製造する際
に、電荷発生材料を塗布液中に分散させる方法として
は、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー、ディスパ
ーザー、マイクロナイザー、超音波等の公知の方法が利
用できる。
【0020】電荷移動層は、電荷移動材料を樹脂に相溶
させて形成される。
【0021】電荷移動材料は、電子移動物質と正孔移動
物質がある。電子移動物質としては、クロルアニル、ブ
ロモアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノ
ジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フロオレノ
ン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン
等の電子吸引性物質やこれらを高分子化したもの等があ
る。
【0022】正孔移動物質としては、ピレン、N−エチ
ルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−
メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9
−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ
−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−
ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチル
フェノチアジン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド
−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノ
ベンズアルデヒド−N−α−ナフチル−N−フェニルヒ
ドラゾン等のヒドラゾン類、2,5−ビス(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、
1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−
5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−
[キノリル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン、1−[ピリジル(3)]−3−(p−ジエチルアミ
ノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピ
ラゾリン等のピラゾリン類、トリアリールメタン化合
物、オキサジアゾール系化合物、チアゾール系化合物、
トリフェニルアミン、ポリ−N−ビニルカルバゾール等
があり、これら公知の電荷移動材料を1種または2種以
上組み合わせて用いる事ができる。電荷移動層の樹脂と
しては、ポリスチレン、ケトン樹脂、フェノール樹脂、
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルホルマール、ポリアクリルアミド、ポリ
アミド等が用いられる。これらの樹脂は単独、または混
合して用いられる。また、これら樹脂に通常用いられる
各種添加剤、例えば、紫外線吸収剤や酸化防止剤等を適
宜添加することができる。これらの樹脂により電荷移動
層を形成する際に塗布液の溶剤としては、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、シクロヘキサン、トルエン、ジク
ロルエタン、塩化メチレン、モノクロルベンゼン等が使
用できる。これらの溶剤も単独、または混合して使用で
きる。電荷移動層の膜厚は5〜40μm、好ましくは1
5〜25μm程度が適当である。
【0023】塗布液を用いて感光層を形成する場合の塗
布方法は、スピンコーター、アプリケーター、スプレー
コーター、バーコーター、浸漬コーター、ドクターブレ
ード等の公知の手法が用いられる。塗布された感光層は
熱風、赤外線などにより加熱して乾燥させる。
【0024】
【実施例】次に、本発明の実施例について詳細に説明す
る。 (実施例1)AI−Si−Mg系のアルミニウム合金か
らなる直径80mm、肉厚1.25mmの鏡面仕上げし
た円筒状のパイプを有機溶剤で脱脂洗浄し、エッチング
を行った。そして、水洗後、電解質溶液として150g
/lの硫酸を用い、液温を20℃に維持しながら、直流
電圧20Vで15分間陽極酸化を行い平均膜厚約7μm
の陽極酸化皮膜を形成した。
【0025】その後、陽極酸化皮膜を形成し水洗したア
ルミニウム基体を酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤の
6g/l、55℃の水溶液に5分間浸漬し、封孔処理を
行い、純水で洗浄し、最後に乾燥を行った。
【0026】この陽極酸化皮膜の単位面積あたりのアド
ミッタンスY/Sを測定したところ9.0S/m2 であ
った。このようにして得られたドラムを基体aとする。
【0027】一方、チタニルフタロシアニン2部(重量
部、以下同様)、ポリビニルブチラール2部をテトラヒ
ドロフラン100部と共にボールミルで24時間分散し
た。この分散液に先の陽極酸化皮膜を設けたアルミニウ
ム基体を浸漬塗工した後、加熱乾燥して約0.2μmの
電荷発生層を形成した。次に、式1で示される電荷移動
物質20部とポリカーボネート樹脂(Z−200,三菱
瓦斯化学製)20部を塩化メチレン100部に溶解した
塗布液を電荷発生層上に浸漬塗工した後、加熱乾燥して
約20μmの電荷移動層を形成して電子写真用感光体を
作成した。
【0028】
【0029】このようにして得られたドラムを感光体A
とする。 (実施例2,3)実施例1と同様にして陽極酸化皮膜を
形成し水洗したアルミニウム基体を酢酸ニッケルを主成
分とする封孔剤の6g/l水溶液に図1に示す温度(実
施例2では55℃、実施例3では65℃)で5分間浸漬
し封孔処理を行い、純水で洗浄した。
【0030】このようにして得られたドラムを基体b、
cとする。このとき形成された陽極酸化皮膜の単位体積
あたりのアドミッタンスY/Sは図1に示すとおりであ
った。その後は実施例1と同様な方法で感光体B、Cを
作製した。 (比較例1)実施例1と同様にして陽極酸化皮膜を形成
し水洗したアルミニウム基体を酢酸ニッケルを主成分と
する封孔剤の6g/l、90℃の水溶液に5分間浸漬
し、封孔処理を行い、純水で洗浄した。
【0031】このようにして得られたドラムを基体dと
する。このとき形成された陽極酸化皮膜の単位体積あた
りのアドミッタンスY/Sは0.29S/m2 であっ
た。その後は実施例1と同様な方法で感光体Dを作製し
た。 (比較例2)実施例1と同様にして陽極酸化皮膜を形成
し水洗したアルミニウム基体を封孔処理を施さずに純水
で洗浄し、乾燥を行った。
【0032】このようにして得られたドラムを基体eと
する。このとき形成された陽極酸化皮膜の単位体積あた
りのアドミッタンスY/Sは85.1S/m2 であっ
た。その後は実施例1と同様な方法で感光体Eを作製し
た。
【0033】図2は、比較例1,2の諸条件を示す表で
ある。
【0034】基体a〜eを135℃で60分間加熱した
後急冷し、それを更に2回繰り返した後、クラックの観
察を行った。また、感光体A〜EをNEC製ページプリ
ンタに搭載して25℃、50%RHの環境下で露光部電
位の測定を行った。その結果を図3に示す。
【0035】基体a〜cおよびeには加熱によるクラッ
クの発生は無かったが、基体dには無数のクラックが発
生した。また、感光体Eは露光部電位が十分に下がら
ず、感度が十分に得られないのに対し、感光体A〜Dは
良好な感度が得られた。総合的には基体a〜cを用いた
感光体が良好な結果となった。
【0036】上記以外の測定結果を合わせると、陽極酸
化皮膜のアドミッタンスY、アドミッタンス測定部位の
面積Sとの比すなわち、Y/Sが0.3(S/m2 )以
上85(S/m2 )以下では、クラックが発生せず、ま
た感光体としての感度が良くなり露光が良好に行われ
る。
【0037】Y/Sが0.3S/m2 より小さくなる
と、耐熱性が悪くなりクラックが発生しやすくなる。ま
た、Y/Sが85S/m2 より大きくなると、感光体の
感度が低下する結果となる。
【0038】Y/Sの値は陽極酸化皮膜の膜厚及び封孔
処理の度合いによって変化するが、本発明では膜厚を5
〜10μmとし、酢酸ニッケル水溶液の封孔処理用水溶
液を使用する場合、酢酸ニッケル水溶液の濃度が5〜1
0g/l、処理温度が55〜75℃、処理時間約5分
が、Y/Sを0.3〜85S/m2 にするための条件と
なる。この場合、処理温度が55℃より低くなると、封
孔処理が不十分となりY/Sが85S/m2 より大きく
なり、感度が劣化する。このため、図3の比較例2と同
様な結果となる。一方、処理温度が75℃より高くなる
と、封孔処理が過剰となりY/Sが0.3S/m2 より
小さくなり、耐熱性が劣化しクラックが発生しやすくな
る。このため、図3の比較例1と同様な結果となる。
【0039】なお、処理温度は酢酸ニッケルの濃度が5
〜10g/l以外のときには、それに応じて変化させる
必要があるが、Y/Sの値は0.3S/m2 以上85S
/m2 以下を維持する必要がある。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は感光体に
使用するアルミニウム基体の陽極酸化皮膜のアドミッタ
ンスを所定の範囲に規定したことにより、基体の耐熱性
が良好となり、かつ感度も十分に維持できる優れた感光
体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1,2および3の封孔処理温度
と単位面積当りのアドミッタンスとを示す表である。
【図2】比較例1および2の封孔処理温度と単位面積当
りのアドミッタンスを示す表である。
【図3】本発明の実施例と比較例の測定結果を示す表で
ある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化皮膜を有するアルミニウム基体
    上に、光導電層が設けられた電子写真感光体において、
    前記陽極酸化皮膜の単位面積当りのアドミッタンスが
    0.3(S/m2 )以上85(S/m2 )以下であるこ
    とを特徴とする電子写真用感光体。
  2. 【請求項2】 前記陽極酸化皮膜は、表面が酸化ニッケ
    ル水溶液で封孔処理されたものであることを特徴とする
    請求項1に記載の電子写真用感光体。
  3. 【請求項3】 前記酸化ニッケル水溶液は、濃度が5〜
    10(g/l)、封孔処理濃度55〜75(℃)で、封
    孔処理時間が約5分であることを特徴とする請求項2に
    記載の電子写真用感光体。
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