JPH07287241A - 液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
かも絵素の輪郭と精度よく一致した液晶領域を有する表
示媒体を備えるようにする。 【構成】 一対の基板1に、ある波長域の光を通しにく
い透明電極部が形成されている。よって、その透明電極
部の外側から、上記波長域の光を照射すると、その光の
うち透明電極部を通る部分が減光または遮光されること
となる。つまり、本発明の液晶表示素子においては、透
明電極部が光を減光または遮光するフォトマスクの役割
を果している。
Description
製造方法に関し、さらに詳細には、高分子壁で仕切られ
た液晶滴を有するTNモード、STNモード、ECBモ
ード、強誘電性液晶表示モード、光散乱モードなどを利
用した液晶表示素子及びその製造方法に関する。
ドがある。例えば、電気光学効果を利用する液晶表示素
子には、ネマチック液晶を用いたTN(ツイステッドネ
マチック)モードや、STN(スーパーツイステッドネ
マチック)モードのものが実用化されている。また最近
では強誘電性液晶(FLC)を用いた液晶表示素子も実
用化されるレベルになっている。
は白濁状態を電気的にコントロールする方式のものが提
案されている。この方式は、基本的には表示媒体中の液
晶分子の常光屈折率と高分子の屈折率とを一致させ、電
圧を印加して液晶の配向方向が電場方向に揃うときに
は、透明状態を表示し、電圧無印加時には、液晶分子の
配向の乱れによる光散乱状態を表示する方式である。こ
の方式の液晶表示素子の製造方法としては、以下の5つ
が提案されている。
液晶を含有させて表示媒体を設ける方法がある(特表昭
58−501631号)。
化性樹脂と液晶とを混合し、樹脂を硬化させることによ
り、液晶を析出させて樹脂中に液晶領域を形成させる方
法がある(特表昭61−502128号)。
を制御する方法がある(特開平3−72317号)。
分に液晶を含浸させる方法がある(特開平3−5951
5号)。
透明電極間に設けた液晶中に、光の散乱源となるポリマ
ー製のビーズを浮遊させた液晶構造が開示されている
(特開平3−46621号)。
の方法による場合には、ポリマーカプセルに含有された
液晶が独立した液晶滴となっているため、液晶分子の配
向に変化を生じさせるための駆動電圧が各液晶滴毎に異
なり、液晶として全液晶滴を同時に動作させるための駆
動電圧が高くなり、液晶表示素子として利用できる範囲
が狭いものになっている。
ているために、前者の場合では液晶滴を平面的に精密に
配置することが困難であり、後者の場合では液晶滴の直
径を精密に制御することが困難であった。
るときに相分離を利用しないため、適応できる樹脂材料
や液晶の選択の自由度が非常に大きく、高分子多孔膜の
十分な精製が可能という利点を有するが、一方において
現状では、十分に液晶滴の直径を制御すること、及び基
板表面に沿った方向における液晶滴の位置を精密に配置
することができないという欠点を有する。
は大きいが、ビーズを均一に分散させることが難しく、
各絵素で同じ程度の散乱を発生させることが困難であ
り、表示むらが発生しやすいという欠点がある。
した高分子分散型液晶を使用する各液晶表示素子は、そ
の製造法上、液晶滴の形状が均一でなく、かつその基板
表面に沿った方向における液晶滴の位置を正確に規制す
ることが難しいものとなっていた。また、液晶滴の位置
を精度よく配置できないために、液晶滴ごとの駆動電圧
が異なり、そのため電気光学特性におけるしきい値の急
峻性に欠き、かつ相対的に駆動電圧が高くなっていた。
さらに光の散乱能の低い液晶滴が多数存在するために、
相対的にコントラストが低くなるという問題点があっ
た。また、上述した如く液晶滴の形状が均一でなく、か
つ基板表面に沿った方向における液晶滴の位置配置を規
制することが難しいため、高精細な状態で大画面化する
ことができないでいた。加えて、液晶表示素子を駆動さ
せる方式が信号をオン、オフさせて平均化した値より駆
動させるデューティー駆動方式である場合において、そ
のデューティ比を大きくすることができないでいた。
すべく、図12に示すように対向配設した一対の基板1
01a、101b間に液晶材料と光硬化性樹脂と光開始
剤との混合物113を注入し、その後、遮光部110と
透光部111とを有するフォトマスク114を、遮光部
110が絵素を覆う状態として一方の基板101a上に
被せ、フォトマスク114側から紫外線光108を混合
物113に照射し、図13に示すように、光弱照射領域
である絵素部分に液晶領域106が集まり、光強照射領
域である絵素以外の部分に高分子材料107が集まった
表示媒体層を有するようにした液晶表示素子400を提
案している(特願平5−30996)。この提案した液
晶表示素子において、フォトマスクを使用して絵素部分
を遮光部とするため、液晶領域を絵素部分に形成でき
る。
る上記提案の液晶表示素子400において、光を照射す
る際、フォトマスクと高分子壁形成部は基板の厚みだけ
光路差が生じる。つまり、基板に入射する光が精密な平
行光でなければ、形成されるべき高分子壁の形状とは異
なる、いわゆる光の散乱によってフォトマスクより幅の
広い壁ができたり、高分子と液晶が明確に相分離されな
い可能性があり表示品位を低下させる可能性がある。
れたものであり、セル外にフォトマスクを被せることな
く、しかも絵素の輪郭と精度よく一致した液晶領域を有
する表示媒体を備えた液晶表示素子及びその製造方法を
提供することを目的とする。
は、高分子と液晶からなる表示媒体を挟持する一対の基
板の少なくとも一方に、ある波長域の光を通しにくい透
明電極部が形成されているので、そのことにより上記目
的が達成される。
部が、前記一対の基板の両方各々に帯状に形成されたも
のであり、一対の基板が各基板上の該帯状の透明電極部
を交差して設けられ、該透明電極部の交差する部分で絵
素が構成されているようにしてもよい。
の両方に形成され、一方の基板の透明電極部がマトリッ
クス状に配された絵素電極を構成し、他方の基板の透明
電極部が該絵素電極と対向する厚肉部と他の部分の薄肉
部とを有し、該絵素電極に対応する部分で絵素が構成さ
れているようにしてもよい。
m以下の光において、前記基板が透明である場合におけ
る該基板を透過した光の透過率に対し、60%以下であ
るようにしてもよい。
モンがドープされた酸化錫膜を有するようにしてもよ
い。前記ITO膜が酸化スズの量を7wt%以上含有す
るようにしてもよい。前記アンチモンがドープされた酸
化錫膜が100nm以上の厚みをもつようにしてもよ
い。また、前記透明電極部が、ITO膜またはアンチモ
ンがドープされた酸化錫膜に加え酸化亜鉛膜を更に有す
るようにしてもよい。
前記表示媒体側に配向膜が形成されているようにしても
よい。
て形成された液晶領域と、該液晶領域を包囲する高分子
壁とからなるようにしてもよい。
くとも一方が透明な2つの基板上に、ある波長域の光を
通しにくい帯状の透明電極を形成する工程と、該2つの
基板上の透明電極が交差するように、該2つの基板を対
向させて貼り合わせる工程と、貼り合わされた該2つの
基板の間に、少なくとも液晶材料と光重合性樹脂との混
合物を注入する工程と、該混合物に、該2つの基板の少
なくとも一方側から光を照射する工程とを含むので、そ
のことにより上記目的が達成される。
くとも一方が透明な2つの基板のうち、他方の基板上に
絵素電極を構成する透明電極をマトリックス状に形成
し、かつ、該一方の基板上に、該絵素電極に対向したパ
ターンの厚肉部を有すると共に他の部分が薄肉部となっ
た、ある波長域の光を通しにくい透明電極を形成する工
程と、該2つの基板を、該絵素電極を構成する透明電極
と該厚肉部とが対向する状態に貼り合わせる工程と、貼
り合わされた該2つの基板の間に、少なくとも液晶材料
と光重合性樹脂との混合物を注入する工程と、該混合物
に、透明な該一方の基板側から光を照射する工程とを含
むので、そのことにより上記目的が達成される。
て、透明電極がITO膜からなる場合に、その透明電極
に酸素を含有させるべく、反応装置内に2sccm以下
の酸素を供給するようにしてもよい。
の少なくとも一方に酸化亜鉛膜を形成する工程を、更に
包含してもよい。
方に、ある波長域の光を通しにくい透明電極部が形成さ
れている。よって、その透明電極部の外側から、上記波
長域の光を照射すると、その光のうち透明電極部を通る
部分が減光または遮光されることとなる。つまり、本発
明の液晶表示素子においては、透明電極部が光を減光ま
たは遮光するフォトマスクの役割を果している。
なくとも液晶材料と光硬化性材料とを含む混合物を一対
の基板間に挟持しておき、上記減光または遮光手段の形
成されている基板側から、例えば400nm以下の光を
照射すると、その光は前記手段の形成されている部分以
外の領域部を透過する。そのため、混合物の光硬化性材
料が前記領域部において重合を開始し、その結果として
光照射部分を含む光強照射領域では高分子材料が主とし
て存在し、光弱照射領域である前記手段の形成されてい
る部分では液晶材料が存在することとなって、液晶領域
部と高分子部の領域を選択的に形成することができる。
晶領域を有し、他の部分に高分子壁を有する表示媒体が
形成される。
っている減光手段は、表示に寄与する400nm以上の
光を容易に透過するので何の支障もなく表示を行なうこ
とができる。
る。なお本発明は、以下に述べる実施例に限定されるも
のではない。
表示素子100を示す断面図である。この液晶表示素子
100は、対向配設された一対の基板1a、1bの間に
表示媒体層9が挟持されており、この表示媒体層9は絵
素12に対応する箇所に液晶領域6を有し、その液晶領
域6を包囲して高分子壁7が形成されている。
体層9側には、図2(a)に示すように、ITOからな
る帯状をした透明電極2a、2bが複数形成されてお
り、一方の基板1aに形成された透明電極2aと他方の
基板1bに形成された透明電極2bとは、相互に交差す
る状態、図示例では直交する状態になっている。
には、電気絶縁膜と配向膜(共に図示せず)とが、配向
膜を表示媒体層9側に位置させた状態で形成されてい
る。
クス型の液晶表示素子の製造方法を以下に説明する。
面に、帯状をした透明電極2a、2bを複数形成する。
透明電極2a、2bは、例えばスパッタ法により、幅を
280μm、間隔を20μm、厚みを200nmとして
形成される。この透明電極2a、2b(以下、透明電極
部という。)の光透過率は、250nmから400nm
の波長域において、透明電極2a、2bよりも外側の基
板1a、1b部分のみ(以下、非透明電極部という。)
を透過した光の透過率に比べて40%である。
気絶縁膜を形成する。この電気絶縁膜は、例えばSiO
2をスパッタ法により形成される。また、その厚みは、
例えば50nm〜300nm、好ましくは70nmから
100nmとした。
の有機材料からなる配向膜を形成する。配向膜の厚み
は、30nm〜200nm、好ましくは50nmから1
00nmとする。続いて、この配向膜をナイロン布など
でラビング処理を行う。
うにして作製された一対の基板1a、1bを、帯状の透
明電極2a、2bが互いに直交するように対向させると
共に、対向した基板1a、1b間にスペーサを介して両
基板1a、1bの周囲を、例えばエポキシ系のシール剤
により貼り合わせる。このとき、周囲の一部を注入孔と
して残しておく。なお、各基板1a、1bの透明電極2
a、2bは、互いに厳密に直交していなくてもよく、交
差していればよい。
b間に、液晶材料と光硬化性樹脂と光重合開始剤との混
合物を注入する。本実施例の混合物は、カイラル剤(S
−811)を0.3%添加した、液晶材料としてのZL
I−4792(メルク社)を4gと、光硬化性樹脂とし
てのR−684(日本化薬)を0.1gと、以下同様に
光硬化性樹脂としてのP−フェニルスチレンを0.07
gと、イソボルニルメタクリレートを0.8gと、パー
フルオロメタクリレートを0.1gと、光重合開始剤と
してのIrugacure651(チバガイギー)0.
003gとを混合したものを用いた。また、注入に際し
て、約30℃の温度雰囲気で混合物を注入した。なお、
本実施例では光重合開始剤を混入させたが、省略するこ
とができる。このことは以下同様である。
1bの外側から上記混合物に波長が400nm以下の光
8を照射する。光照射条件としては、一例として、光源
に平行光が得られる紫外線(UV)照射用の高圧水銀ラ
ンプを使用し、照射位置は高圧水銀ランプ下の10mW
/cm2(波長は365nm)のところとした。また、
照射方法としては、基板の両側から同時に5分間照射し
た。なお、一方の基板側から照射した後に他方の基板側
から照射するようにしてもよく、或は片側からのみ光を
照射してもよい。後者の場合には、一列に並んだ複数の
絵素に対応して1つの長い液晶領域が形成され、液晶領
域がストライプ状に並んだ状態となる。温度としては、
基板1a、1b間の液晶が液体状態となる温度域で行っ
てもよい。
示すように、各基板1a、1b間で直交する透明電極2
a、2bの重なる部分の間、つまり絵素部分に液晶領域
6が形成され、その重なる部分以外の箇所に高分子壁7
が形成され、高分子壁7が液晶領域6を包囲する状態と
なる。これにより、セルが作製される。ここで、包囲と
は、液晶領域6の周囲全部を高分子壁7が取り囲んでい
ない、つまり一部が取り囲まれていない状態を含む。
た場合、照射後において徐冷オーブン内で室温まで徐冷
を行う。徐冷の速度は3℃/h〜20℃/h、好ましく
は5℃/h〜10℃/hでよい。更に、高分子壁7を形
成した後に、必要に応じて、短時間かつ弱照度でのUV
照射を行ってもよい。これにより、未反応物が残ってい
てもそれを硬化させることができ、また、高分子の架橋
を十分行うことができる。
性樹脂を使用することができる。また、前記注入孔は、
基板の表示部に光が当たらない状態で、市販のUV硬化
樹脂で封止する。
に、偏光板を貼り合わせることによりTN型液晶表示素
子を製造した。
を顕微鏡で観察したところ、絵素部分に液晶が集中した
液晶領域6が形成され、液晶領域6と配向膜との界面に
高分子が残ることなく良好な配向状態が得られていた。
また、高分子壁7は内部に液晶を取り込むことなく形成
されており、絵素部分に高分子壁7が入り込まず、透明
電極2a、2bの重なる部分とほぼ同一の形状、面積の
液晶領域6が形成されていた。
光透過率の測定を行った結果を示す。
部の光透過率は、非透明電極部の光透過率に対して40
%程度であり、十分にフォトマスクとして機能すること
が分かる。
法を示す工程図である。本発明による場合は、一対の基
板を貼り合わせ、その後、液晶材料および光硬化性樹脂
などを混合した混合物を注入してUV露光することによ
り目的とする液晶表示素子を作製することができる。こ
れに対して、従来では図3(b)に示すように、一対の
基板を貼りあわせた後、フォトマスクを被せて混合物を
注入し、或は混合物を注入してフォトマスクを被せ、そ
の後、UV露光していた。よって、本発明による場合に
は、フォトマスクを被せる工程を省略でき、生産時の工
程を大幅に簡略化することができるという利点がある。
また、本発明にあっては、液晶表示素子の内部に、紫外
線に対しフォトマスクとして機能する電極が組み込まれ
ているので位置合わせも不要となる利点がある。
応じてカラーフィルターを配設してもよい。
トリックス型の液晶表示素子に適用する場合を説明す
る。
00を示す斜視図である。この液晶表示素子200は、
対向配設されたTFT基板30と対向基板31との間
に、液晶領域6を高分子壁7にて包囲した表示媒体層9
が挟持され、液晶領域6の形成部分がマトリックス状の
絵素12を構成する。
ス基板1bの表示媒体層9側にITOからなる複数の絵
素電極22がマトリックス状に配設され、隣り合う絵素
電極22の間を通って、可視光と紫外線光とを共に遮光
する遮光膜としても機能するバスライン23が縦横に配
線されている。縦横のバスライン23の一方がソースバ
スラインであり、他方がゲートバスラインである。縦横
の1組のバスライン23、23と上記絵素電極22とは
薄膜トランジスタ(TFT)20を介して電気的に接続
状態または非接続状態とされる。上記絵素電極22、バ
スライン23及びTFT20を覆ってガラス基板1b上
には配向膜4bが形成されており、この配向膜4bはラ
ビング処理されている。
ス基板1aの表示媒体層9側に対向電極21が形成され
ている。この対向電極21は、ある波長域の光を通し難
い透明電極であり、絵素12においてのみ厚くなってい
る。本実施例では、厚くする部分は2層構造とした。更
に、対向電極21の表示媒体層9側には配向膜4aが形
成されており、この配向膜4aはラビング処理されてい
る。
について説明する。
2、バスライン23、TFT20および配向膜4bを所
定の状態に形成し、TFT基板30を作製する。これと
前後して、もう片方のガラス基板1a上に、対向電極2
1および配向膜4aを形成し、対向基板31を作製す
る。ここで、上述したように2層構造となっている対向
電極21の製造方法について述べる。まず、1層目の対
向電極は、高周波スパッタリング法によって透過率の良
いITO膜を、例えば100nmの膜厚で形成する。次
に、2層目のITO膜を、例えば直流2極スパッタリン
グ法にて80℃の形成温度で100nmの厚みで形成
し、この2層目のITO膜をマトリックス状の絵素12
と同一のパターンにフォトリソグラフィにより加工す
る。このように形成した対向電極21においては、前述
した表1に示したように、2層目を有する部分(絵素
部)21aの光(紫外線)透過率は、1層目だけの部分
(非絵素部)のそれに対して約42%となる。
の各配向膜4a、4bに対して、所定のラビング処理を
施す。
および対向基板31を、絵素電極22と対向電極21の
2層目部分とが向かい合うように対向配設するととも
に、両基板30、31の間に6μmのスペーサを介して
両基板30、31の間の隙間を一定に保たせ、両基板3
0、31を貼り合わせた。なお、一部を注入孔として残
しておく。
対向基板31の間に、液晶材料と光硬化性樹脂と光重合
開始剤の混合物を注入孔より注入する。混合物として
は、本実施例では実施例1と同様に、カイラル剤(S−
811)を0.3%添加した、液晶材料としてのZLI
−4792(メルク社)4gと、光硬化性樹脂としての
R−684(日本化薬)0.1gと、以下同様に光硬化
性樹脂としてのP−フェニルスチレンを0.07gと、
イソボルニルメタクリレートを0.8gと、パーフルオ
ロメタクリレートを0.1gと、光重合開始剤としての
Irugacure651(チバガイギー)0.003
gとを混合したものを用いた。また、約30℃の温度雰
囲気下で両基板30、31の間に真空注入した。
た混合物に対し、波長400nm以下の光(紫外線)8
を照射する(図5参照)。本実施例は、光源に平行光を
得られる紫外線照射用の高圧水銀ランプを使用し、照射
位置は高圧水銀ランプ下の10mW/cm2(波長は3
65nm)の箇所で行った。また、照射は、この場合、
2層構造となっている対向電極21側から5分間行う。
このときの基板温度は、基板間の液晶状態が液体状態と
なる温度域であってもよい。
12と対応する対向電極21の2層構造部分では遮光さ
れ、その遮光部分に液晶領域6が形成される。また、光
の照射された部分では高分子壁7が形成され、高分子壁
7が液晶領域6を包囲する状態となる。なお、高温で行
った場合は、配向を安定させるために、照射後に徐冷オ
ーブン内で室温まで徐冷を行う。また、必要に応じて、
高分子壁7の形成後さらに短時間かつ弱照度でUV照射
を行って、未反応物を硬化させたり、また高分子の架橋
を十分行うようにしてもよい。
枚の偏光板を貼り合わせることにより液晶表示素子20
0を製造した。なお、高分子壁7の形成には、他の硬化
性樹脂を使用することができる。また、上記注入孔は、
基板の表示部に光が当たらない状態で、市販のUV硬化
樹脂で封止する。
00を顕微鏡で観察したところ、絵素12に液晶が集中
し、液晶と配向膜4との界面に高分子が残ることなく、
良好な配向状態が得られていた。また、高分子壁7の内
部に液晶を取り込むことなく、しかも絵素12の内側に
高分子壁7が入り込まず、対向電極21の2層目のIT
O膜とほぼ同一の形状、面積を持った液晶領域6が形成
されていた。
必要に応じてカラーフィルターを配設してもよい。
施例2で用いたITO膜の代替としてアンチモンがドー
プされた酸化錫膜(ATO膜と略す)を用いる場合であ
る。本明細書における「アンチモンがドープされた酸化
錫膜」は、いわゆるNESA膜と同様の組成及び性質を
有する膜である。「NESA」は米国PPG社の商品名
である。
O膜を用いて透明電極を形成し、図1の液晶表示素子1
00を製造した。この製造において、ATO膜の形成は
以下のように行った。透明電極として機能するATO膜
は、ガラス基板1を約450℃に加熱しておいて、脱イ
オン水、塩酸、4塩化スズ、3塩化アンチモンからなる
溶液をガラス基板1に吹き付け、約150nmの厚で実
施例1と同様に帯状に形成した。
%であり、ガラス基板1aまたは1bのみを透過した場
合の紫外光透過率である93%に比べて約36%であっ
た。なお、波長は365nmであった。
電極の重なる部分においては、実施例1と同様に液晶領
域が形成され、その液晶領域を包囲して高分子壁が形成
されることとなる。なお、ATO膜を用いて、実施例2
に説明したアクティブマトリックス型液晶表示素子にも
適用できることはもちろんである。
過率に関して説明する。
る従来技術のようにセルの外側にフォトマスクを配設さ
せるのではなく、透明電極自身がフォトマスクとして機
能させることを特徴としている。このフォトマスクとな
り得る透明電極は、紫外領域(〜400nm)において
は光透過率が非透明電極部に比べて60%以下、好まし
くは50%以下であるのが要求される。この理由を以下
に説明する。
が非透明電極部のそれに比べて70%の場合に、高分子
壁の出来具合、及び液晶と高分子との相分離性を表す。
図6(b)は、透明電極部の紫外光透過率が非透明電極
部のそれに比べて48%の場合に、高分子壁の出来具
合、及び液晶と高分子との相分離性を表す。
極部の紫外光透過率が十分に低くない場合には、明らか
に絵素部(透明電極部)に主として存在する液晶に高分
子の残りがあり、また非絵素部(非透明電極部)に形成
されるべき高分子壁内にも液晶の取り込みが観察され、
高分子壁は絵素の輪郭パターンに沿って形成されていな
い。一方、図6(b)から理解されるように、液晶と高
分子のお互いの取り込みは見られず、絵素の輪郭と一致
した状態で液晶領域と高分子壁との境界が形成されてい
る。 また、前述の透明電極部の光透過率につき、非透
明電極部の光透過率に比べた割合の許容範囲を調べた。
その結果、65%前後から分離性は向上し、液晶領域に
高分子の残りや高分子壁内での液晶の取り込みが若干あ
るものの、ほぼ分離は行われている様子であった。更に
透過率比を下げていくと、約50%前後において相分離
は完全に行われて、絵素部を覆う減光手段のパターンに
一致して高分子壁が形成されていた。
を形成する手法を、透明電極の種類別に詳しく以下に説
明する。
ズの混合物)の場合について述べる。ITOは、インジ
ウム金属を出発原料に選ぶ場合と、酸化インジウムを出
発原料に選ぶ場合がある。前者の場合は反応性蒸着、反
応性スパッタリング、反応性イオンプレーティングなど
の方法が選択できる。後者の場合は、真空蒸着、高周波
スパッタリング、プラズマCVDなどの方法を選択的に
選ぶことができる。いずれの場合も若干の酸素を含んだ
減圧雰囲気中において処理し、その後、焼成する。実際
にITO膜は、膜を生成する過程で酸素の含有量が多い
と光透過率が向上し、反対に酸素含有量が少ないと電気
伝導度が向上する。この点よりITO膜の製作工程で
は、酸化スズの添加量と膜生成過程における酸素の含有
量を適当に設定することで、紫外光の透過率を容易に変
えることができる。
が400nm以下の光の透過率との関係を示す。図7
は、酸化スズの添加量と波長と光透過率との関係を示
す。
%以下とするには、反応装置内に酸素を約2sccm以
下で供給し、透明電極に酸素を含有させるのが好まし
い。また、図7より理解されるように、波長が400n
m以下の光において、光透過率が60%とするには、S
nO2の量を約7wt%以上とするのがよい。
によって光透過率の加減をすることができる。図8は、
直流2極スパッタリング法により成膜温度80℃で形成
したITO電極の分光特性である。分光特性としては、
非ITOの場合(基板のみの場合)、ITO電極であっ
て厚みが70nmと100nmと200nmの場合の4
つを示している。
nmでは365nmで光透過率が約50%なのに対し、
厚み200nmでは25%である。よって、基板のみの
光透過率が78%なのでITO膜の形成条件によっても
異なるが、100nm以上、好ましくは150nm以上
の膜厚が必要となる。
っても光透過率を加減することができる。図9は、直流
2極スパッタリング法を用いた成膜温度と光透過率との
関係を調査した結果を示す。調査方法としては、膜厚を
200nmに固定し、温度を80℃、100℃、130
℃、200℃、300℃の5段階で変化させた場合の光
透過率(波長は365nm)を調べた。
では透過率比は68%であるが、130℃では53%で
ある。よって、成膜温度は、基板のみの光透過率が92
%なので、装置や手法によっても異なるが、150℃以
下とするのがよく、さらには130℃以下であるのが好
ましい。
紫外光の透過率について説明してきたが、電極の透過率
を制御するには、これらのパラメータの相乗効果を利用
する場合が多い。つまり、例えばITO薄膜が70nm
であってもスパッタ温度が80℃、SnO2の含有量が
5wt%であれば、これらの相乗効果により透過率比を
60%以下に抑制することができる。また、以上のパラ
メータは作製する素子によっても左右される。つまり、
例えば小型の液晶表示素子の場合、電極の膜厚はあまり
重要とはならない。よって、スパッタの形成温度を低く
したり、SnO2の含有量を多くしたりする工夫が必要
となる。
は、ガラス板を約450℃〜500℃に加熱しておい
て、脱イオン水、塩酸、4塩化スズ、3塩化アンチモン
からなる溶液を吹き付ける手法がある。また、蒸着法に
よっても形成できる。この場合、蒸着してから500〜
550℃の熱処理が必要である。一般的に前述のITO
膜に比べれば固有抵抗値が若干高く、光透過率も若干低
い。
m)を低下させる方法としては、膜厚を厚くするのがよ
い。図10は、その関係を示したものであり、横軸に波
長(nm)をとり、縦軸に透過率(%)をとっている。
対象としては、ガラス板のみと、そのガラス板に形成す
るATO膜の厚みを50nm、100nm、120nm
と変化させた4種類である。
板のみでは93%、50nmでは70%、100nmで
は48%なので、膜厚が100nm以上、好ましくは1
20nm以上必要である。
ITO膜、ATO膜について述べたが、形成温度、膜
厚、形成条件(ITOについては酸素量)によって紫外
光領域の光透過率が変化することが分かった。また、そ
れらに伴って高分子と液晶との分離性も左右されている
ことが図6(a)、(b)を参照すればわかる。これら
をまとめれば、透明電極部の非透明電極部に対する光透
過率(〜400nm)は60%以下であることが好まし
く、更には50%以下であることが望ましい。
一対の基板の両側に形成しているが、本発明はこれに限
らず、一対の基板の片側にのみ形成するようにしてもよ
い。
酸化亜鉛膜を形成して、透過率の調整を行った場合につ
いての実施例である。ここでは、一例として、STNモ
ードの液晶表示素子について説明する。
図を図11に示す。液晶表示素子300は、対向する2
枚の基板1a及び1bを有し、表示媒体層9をその間に
狭持している。各々の基板1a及び1bの表示媒体層9
側の表面には、複数のストライプ状の透明電極2a及び
2bが設けられている。透明電極2a及び2bは、互い
に直交するように配されている。透明電極2a及び2b
は必ずしも直交する必要はなく、交差するよう配置すれ
ばよい。透明電極2a及び2bが交差する部分が、絵素
12を構成する。透明電極2a及び2b上には、酸化亜
鉛膜32a及び32bがそれぞれ形成されている。酸化
亜鉛膜32a及び32bは、250nmから400nm
の波長を有する光の透過率を低下させる。酸化亜鉛膜3
2a及び32b上には、それぞれ、電気絶縁膜及び配向
膜(ともに不図示)が形成されている。表示媒体層9
は、高分子壁と高分子壁に包囲された液晶領域とを有し
ている。液晶領域の液晶分子の配向状態は、配向膜によ
って制御される。本実施例では、液晶領域の液晶分子
は、240°のツイスト配向を有している。
る。まず、基板1a及び1bに、スッパタ法を用いて、
幅280μm、膜厚200nmのITO膜を間隔20μ
mで形成することによって、ストライプ状の透明電極2
a及び2bを形成する。この透明電極2a及び2b上に
膜厚50nmの酸化亜鉛膜32a及び32bを形成す
る。酸化亜鉛膜32a及び32bの膜厚は、10nmか
ら100nmが好ましく、30nmから50nmがさら
に好ましい。酸化亜鉛膜32a及び32bの膜厚が薄す
ぎると抵抗が高くなり、液晶表示素子300を駆動する
ための電圧が高くなり好ましくない。また、酸化亜鉛膜
32a及び32bの膜厚が厚すぎると、可視光の透過率
が低下し、液晶表示素子300の表示品質が低下するの
で、好ましくない。本実施例では、酸化亜鉛膜32a及
び32bの膜厚を30nmとした。透明電極2a及び2
bとこれらの上に形成された酸化亜鉛膜32a及び32
bを透明電極部と呼ぶ。本明細書における「透明電極
部」とは、透明電極と、その上または下に形成されたあ
る波長領域の光を透過しにくい透明な膜とを含む。透明
電極上または下に形成される透明な膜は、導電性を有さ
なくてもよい。本実施例の透明電極部の透過率は、25
0nm〜400nmの波長領域の光に対して、基板1a
及び1bの透明電極部以外の(透明電極部の外側の)部
分の透過率の30%である。本実施例においては、酸化
亜鉛膜32a及び32bを透明電極2a及び2bの上部
に形成したが、透明電極2a及び2bの下部に形成して
もよい。
で形成することができる。有機酸亜鉛の溶液を基板上に
塗布し、焼成することによって、酸化亜鉛膜を形成す
る。その後、ホトリソグラフィ技術、例えば、リフト−
オフ法を用いて、得られた酸化亜鉛膜のパターニングを
行うことによって、透明電極2a及び2b上にのみ酸化
亜鉛膜を形成することができる。
32a及び32bとを覆うように、電気絶縁膜を形成す
る。例えば、SiO2からなる電気絶縁膜をスパッタ法
を用いて形成する。電気絶縁層の膜厚は、50nm〜1
00nmであることが好ましく、70nm〜100nm
がさらに好ましい。本実施例では、電気絶縁層の膜厚を
70nm〜100nmとした。
膜上に、ポリイミド等の有機材料からなる配向膜を形成
する。配向膜の材料としては、SE−150(日産化学
製)を用いることができる。配向膜の厚さは、30nm
〜200nmが好ましく、50nm〜100nmが更に
好ましい。得られた配向膜にナイロン布などを用いてラ
ビング処理を施す。本実施例では、液晶領域の液晶が、
基板1a及び1bの間において240度のツイスト配向
を有するように、ラビング処理を施した。
に作製された一対の基板1a及び1bを、帯状の透明電
極2aと2bとが対向し、直交するように配置する。基
板1aと1bとの間にスペーサを介し、両基板の周囲を
シール剤を用いてシールすることによって、基板1aと
1bとを接着する。このとき、周囲の一部に開口部を設
け、注入孔とする。シール剤としては、エポキシ樹脂系
シール剤を用いた。また、セルギャップを制御するため
のスペーサとしては、直径6.3μmのプラスチックビ
ーズを用いた。
開始剤の混合物を注入孔から注入する。本実施例におい
ては、液晶材料として、カイラル剤(S−811)を
0.5%添加したZLI−4427(メルク社製)を4
g、光硬化性樹脂として、アダマンチルアクリレートを
0.4g、ステアリルアクリレートを0.3g及びp−
フェニルスチレンを0.5g、光開始剤として、Irg
acure651(チバガイギー社製)0.05gとを
混合したものを用いた。なお、光開始剤を用いなくても
よい。注入は、約30℃の雰囲気下で行った。注入終了
後、市販の紫外線硬化樹脂を用いて、注入孔を封止し
た。なお、注入孔を封止するための紫外線硬化樹脂に紫
外線を照射する際、注入した混合物に(絵素に)紫外線
があたらないようにした。
び1bの外側から、注入された混合物に400nm以下
の波長の光8を照射する。光源としては、平行光線が得
られる紫外線照射用の高圧水銀ランプを用いた。照射強
度は10mW/cm2(波長365nmの光についての
照射強度)で、基板1a及び1bの両側から、同時に4
分間照射した。
い。また、基板1a及び1bの内の一方の基板側から照
射したのちに、他方の基板側から照射してもよい。さら
に、一方の基板側のみから照射することもできる。一方
の基板側のみから光照射を行うと、一列に並んだ複数の
絵素に対して1つの長い液晶領域が形成され、複数の液
晶領域がストライプ状に並んだ状態となる。光照射を行
うときの温度は、基板1a及び1bの間の液晶が等方性
液体となる温度以上の温度で行ってもよい。このよう
に、光照射を高温で行った場合には、光照射後、室温以
下の温度まで0.1〜0.5℃/分の速度で徐冷するこ
とが望ましい。
から光照射を行うと、図2(b)に示すように、透明電
極2aと2bとが交差する部分、すなわち絵素12に、
液晶領域6が形成され、絵素12以外の領域には高分子
壁7が形成される。その結果、表示媒体層9は、高分子
壁7が液晶領域6を包囲した構造を有する。このように
して、液晶セルが得られる。
造」とは、高分子壁7が液晶領域6の周囲全体を完全に
包囲するした構造に限らず、一部が包囲されていない構
造をも含む。また、上述の光照射によって高分子壁7が
形成された後に、必要に応じて、更に光照射を行っても
よい。光硬化性樹脂の未硬化成分が液晶領域内に残存し
ている場合、この光照射によって、未硬化成分を硬化す
ることができる。また、光硬化性樹脂の硬化反応が更に
進行するので、高分子壁7の機械的強度が向上する。こ
の光照射の条件は、弱照度の光を短時間照射することが
好ましい。高分子壁7を形成する材料としては、本実施
例で用いた材料に限られず他の光硬化性樹脂を用いるこ
とができる。本明細書において、光硬化性樹脂とは、線
状に重合するタイプ(単官能)及び架橋反応を行うタイ
プ(多官能)のいずれをも包む。また、その硬化反応が
光だけで反応するタイプに限らず、熱による反応を伴う
タイプであってもよい。
の基板1a及び1bの両側に偏光板を設け、また、一方
の基板と偏光板の間に位相差板(いずれも不図示)を設
けることによって、STNモードの液晶表示素子300
を製造した。また、液晶表示素子300の一方の基板に
反射板を設けることによって反射型液晶表示装置を得る
こともできる。
00を顕微鏡を用いて観察した結果、以下のことが明ら
かとなった。液晶領域6は、透明電極部が交差する絵素
12に形成されていた。これは、液晶と光硬化性樹脂と
を含む混合物が重合誘起相分離する過程で、光硬化性樹
脂の硬化反応の進行が遅い絵素12に液晶相が形成され
たためである。液晶領域6においては、液晶と配向膜と
の界面に、光硬化性樹脂の硬化物は形成されておらず、
液晶領域6内の液晶分子の配向は、配向膜によって制御
されており、良好なSTN配向を示した。また、高分子
壁7が絵素12に侵入した構造や、液晶領域6が絵素1
2以外に侵入した構造は、見られなかった。すなわち、
液晶領域6は、透明電極部が交差する絵素部と実質的に
同一の形状、面積を有していた。
向する一対の基板に密着した高分子壁を有しているの
で、外部からの力や衝撃に対して、セルギャップ(表示
媒体層の厚さ)の変化が少ない。従って、本発明の液晶
表示素子は携帯情報端末機器のような外部から力や衝撃
を受けやすい機器や、ペン入力型の機器に利用すること
ができる。
単純マトリクス液晶表示素子に適用する場合について説
明する。本実施例は、透明電極上に酸化亜鉛膜を形成し
ない点において、実施例4と異なる。本実施例の液晶表
示素子の構造は、図1の液晶表示素子100と同様であ
り、液晶表示素子100の液晶領域6の液晶分子の配向
がSTN配向である点において異なっている。本実施例
の液晶表示素子の製造方法を図1を参照しながら説明す
る。
用いて、幅280μm、膜厚200nmのITO膜を間
隔20μmで形成することによって、ストライプ状の透
明電極2a及び2bを形成する。本実施例の透明電極部
の透過率は、250nm〜400nmの波長領域の光に
対して、基板1a及び1bの透明電極部以外の(透明電
極部の外側の)部分の透過率の40%である。
に、電気絶縁膜を形成する。例えば、SiO2からなる
電気絶縁膜をスパッタ法を用いて形成する。電気絶縁層
の膜厚は、50nm〜100nmであることが好まし
く、70nm〜100nmがさらに好ましい。本実施例
では、電気絶縁層の膜厚を70nm〜100nmとし
た。
膜上に、ポリイミド等の有機材料からなる配向膜を形成
する。配向膜の材料としては、SE−150(日産化学
製)を用いることができる。配向膜の厚さは、30nm
〜200nmが好ましく、50nm〜100nmが更に
好ましい。得られた配向膜にナイロン布などを用いてラ
ビング処理を施す。本実施例では、液晶領域の液晶分子
が、基板1a及び1bの間において240度のツイスト
配向を有するように、ラビング処理を施した。
に作製された一対の基板1a及び1bを、帯状の透明電
極2aと2bとが対向し、互いに直交するように配置す
る。基板1aと1bとの間にスペーサを介し、両基板の
周囲をシール剤を用いてシールすることによって、基板
1aと1bとを接着する。このとき、周囲の一部に開口
部を設け、注入孔とする。シール剤としては、エポキシ
樹脂系シール剤を用いた。また、セルギャップを制御す
るためのスペーサとしては、直径6.3μmのプラスチ
ックビーズを用いた。
開始剤の混合物を注入孔から注入する。本実施例におい
ては、液晶材料として、カイラル剤(S−811)を
0.5%添加したZLI−4427(メルク社製)を4
g、光硬化性樹脂として、アダマンチルアクリレートを
0.4g、ステアリルアクリレートを0.3g及びp−
フェニルスチレンを0.5g、光開始剤として、Irg
acure651(チバガイギー社製)0.05gとを
混合したものを用いた。なお、光開始剤を用いなくても
よい。注入は、約30℃の雰囲気下で行った。注入終了
後、市販の紫外線硬化樹脂を用いて、注入孔を封止し
た。なお、注入孔を封止するための紫外線硬化樹脂に紫
外線を照射する際、注入した混合物に(絵素に)紫外線
があたらないようにした。
び1bの外側から、注入された混合物に400nm以下
の波長の光8を照射する。光源としては、平行光線が得
られる紫外線照射用の高圧水銀ランプを用いた。照射強
度は10mW/cm2(波長365nmの光についての
照射強度)で、基板1a及び1bの両側から、同時に4
分間照射した。
い。また、基板1a及び1bの内の一方の基板側から照
射したのちに、他方の基板側から照射してもよい。さら
に、一方の基板側のみから照射することもできる。一方
の基板側のみから光照射を行うと、一列に並んだ複数の
絵素に対して1つの長い液晶領域が形成され、複数の液
晶領域がストライプ状に並んだ状態となる。光照射を行
うときの温度は、基板1a及び1bの間の液晶が等方性
液体となる温度以上の温度で行ってもよい。このよう
に、光照射を高温で行った場合には、光照射後、室温以
下の温度まで0.1〜0.5℃/分の速度で徐冷するこ
とが望ましい。
から光照射を行うと、図2(b)に示すように、透明電
極2aと2bとが交差する部分、すなわち絵素12に、
液晶領域6が形成され、絵素12以外の領域には高分子
壁7が形成される。その結果、表示媒体層9は、高分子
壁7が液晶領域6を包囲した構造を有する。このように
して、液晶セルが得られる。なお、高分子壁7は液晶領
域6を完全に包囲しなくてもよい。
れた後に、必要に応じて、更に光照射を行ってもよい。
光硬化性樹脂の未硬化成分が液晶領域内に残存している
場合、この光照射によって、未硬化成分を硬化すること
ができる。また、光硬化性樹脂の硬化反応が更に進行す
るので、高分子壁7の機械的強度が向上する。この光照
射の条件は、弱照度の光を短時間照射することが好まし
い。高分子壁7を形成する材料としては、本実施例で用
いた材料に限られず他の光硬化性樹脂を用いることがで
きる。
の基板1a及び1bの両側に偏光板を設け、また、一方
の基板と偏光板の間に位相差板(いずれも不図示)を設
けることによって、STNモードの液晶表示素子を製造
した。また、液晶表示素子の一方の基板に反射板を設け
ることによって反射型液晶表示素子を得ることもでき
る。
顕微鏡を用いて観察した結果、以下のことが明らかとな
った。液晶領域6は、透明電極部が交差する絵素12に
形成されていた。これは、液晶と光硬化性樹脂とを含む
混合物が重合誘起相分離する過程で、光硬化性樹脂の硬
化反応の進行が遅い絵素12に液晶相が形成されたため
である。液晶領域6においては、液晶と配向膜との界面
に、光硬化性樹脂の硬化物は形成されておらず、液晶領
域6内の液晶分子の配向は、配向膜によって制御されて
おり、良好なSTN配向を示した。また、高分子壁7が
絵素12に侵入した構造や、液晶領域6が絵素12以外
に侵入した構造は、見られなかった。すなわち、液晶領
域6は、透明電極部が交差する絵素12と実質的に同一
の形状、面積を有していた。
は、対向する一対の基板に密着した高分子壁7を有して
おり、高分子壁7は一種のスペーサとして役割を果た
す。また、高分子壁7は絵素を取り囲むような格子状に
形成されているので、外部からの力や衝撃に対して、セ
ルギャップ(表示媒体層の厚さ)の変化を効果的に防止
することができる。なお、高分子壁7が絵素を取り囲む
構造でなくても、この効果は得られる。
mφのペン圧を加える圧力試験を行った。その結果、上
記のペン圧を加えた場合において、セル厚の変化に起因
する表示の乱れは発生しなかった。このことから、本実
施例の液晶表示素子はペン入力素子に適用できることが
わかる。本実施例の液晶表示素子は、ペン圧だけでな
く、外部から加えられる力や衝撃に対して、優れた信頼
性を有する。外部からの力や衝撃に対して信頼性が高い
という特徴は、本実施例のSTNモードの液晶表示装置
に限って得られる特徴ではない。TNモード、FLC
(強誘電性液晶)モードなど他のモードの液晶表示素子
や、単純マトリクス型やアクティブマトリクス型の液晶
表示素子についても、この特徴が得られる。
限らず、種々の液晶表示素子に適用することができる。
高分子壁で囲まれた液晶領域内の液晶材料及びその配向
状態を制御することによって、TN(Twisted Nemati
c),STN(Super-Twisted Nematic),FLC(Ferr
oelectric Liquid Crystal),ECB(ElectrilcallyC
ontrolled Birefringence)モードなどの液晶表示素子
に応用することができる。また、これらの液晶表示素子
は、アクティブマトリクス型または単純マトリクス型の
素子とすることができる。さらに、透過型および反射型
の液晶表示素子にも適用できる。
料は、特に限定されない。光を透過する透明固体、例え
ばガラス、プラスチックフィルムなどを使用できる。ま
た、一方の基板に、金属などを有する基板も使用するこ
とができる。
明電極そのものがフォトマスクの役目を果たし、光強照
射領域と光弱照射領域とを選択的に形成できる。従っ
て、従来の方法では必要としていたフォトマスクを別途
設ける必要が無くなり、製造工程を大幅に簡略化するこ
とができ、また製造時におけるスループットを格段に向
上できる。また、紫外線の透過率が低い透明薄膜である
酸化亜鉛膜を透明電極の上部または下部に設けること
で、透明電極部の紫外線透過率を効果的に低下させるこ
とができるので、液晶領域と高分子領域とを明確に分離
することができる。また、フォトマスクとして機能する
透明電極部は液晶セルの内部に形成されているので、光
照射の際にフォトマスクの位置合わせを行う必要がな
い。従って、液晶表示素子の基板外部にフォトマスクを
配設する方法に比べて、光照射の際の位置合わせ精度が
格段によくなり、生産性も大幅に向上することができ
る。
あり、(a)は光照射を行っている状態を示し、(b)
は光照射後の状態を示す。
を示し、(b)は従来のフォトマスクを用いる液晶表示
素子の製造工程を示す図である。
す斜視図である。
極部の紫外線透過率の70%の場合の、高分子壁の状態
および液晶と高分子との相分離状態を示す図であり、
(b)は透明電極部の紫外光透過率が非透明電極部の紫
外線透過率の48%の場合の、高分子壁の状態および液
晶と高分子との相分離状態を示す図である。
示す図である。
℃で形成したITO電極の分光特性を示す図である。
光透過率との関係を示す図である。
図である。
る。
合を示す斜視図である。
斜視図である。
Claims (16)
- 【請求項1】 高分子と液晶からなる表示媒体を挟持す
る一対の基板の少なくとも一方に、ある波長域の光を通
しにくい透明電極部が形成されている液晶表示素子。 - 【請求項2】 前記透明電極部が、前記一対の基板の両
方各々に帯状に形成されたものであり、一対の基板が各
基板上の該帯状の透明電極部を交差して設けられ、該透
明電極部の交差する部分で絵素が構成されている請求項
1に記載の液晶表示素子。 - 【請求項3】 前記透明電極部が、前記一対の基板の両
方に形成され、一方の基板の透明電極部がマトリックス
状に配された絵素電極を構成し、他方の基板の透明電極
部が該絵素電極と対向する厚肉部と他の部分の薄肉部と
を有し、該絵素電極に対応する部分で絵素が構成されて
いる請求項1に記載の液晶表示素子。 - 【請求項4】 前記透明電極部が、波長が400nm以
下の光において、前記基板が透明である場合における該
基板を透過した光の透過率に対し、60%以下である請
求項1乃至3のいずれかに記載の液晶表示素子。 - 【請求項5】 前記透明電極部がITO膜を有する請求
項1に記載の液晶表示素子。 - 【請求項6】 前記ITO膜が酸化スズの量を7wt%
以上含有している請求項5に記載の液晶表示素子。 - 【請求項7】 前記透明電極部がアンチモンがドープさ
れた酸化錫膜を有する請求項1に記載の液晶表示素子。 - 【請求項8】 前記アンチモンがドープされた酸化錫膜
が100nm以上の厚みをもつ請求項7に記載の液晶表
示素子。 - 【請求項9】 前記一対の基板の少なくとも一方の前記
表示媒体側に配向膜が形成されている請求項1に記載の
液晶表示素子。 - 【請求項10】 前記透明電極部が、酸化亜鉛膜を有す
る請求項1、5又は7に記載の液晶表示素子。 - 【請求項11】 前記表示媒体が、前記絵素に対応して
形成された液晶領域と、該液晶領域を包囲する高分子壁
とからなる請求項2に記載の液晶表示素子。 - 【請求項12】 前記表示媒体が、前記絵素に対応して
形成された液晶領域と、該液晶領域を包囲する高分子壁
とからなる請求項3に記載の液晶表示素子。 - 【請求項13】 少なくとも一方が透明な2つの基板上
に、ある波長域の光を通しにくい帯状の透明電極を形成
する工程と、 該2つの基板上の透明電極が交差するように、該2つの
基板を対向させて貼り合わせる工程と、 貼り合わされた該2つの基板の間に、少なくとも液晶材
料と光重合性樹脂との混合物を注入する工程と、 該混合物に、該2つの基板の少なくとも一方側から光を
照射する工程と、 を含む液晶表示素子の製造方法。 - 【請求項14】 少なくとも一方が透明な2つの基板の
うち、他方の基板上に絵素電極を構成する透明電極をマ
トリックス状に形成し、かつ、該一方の基板上に、該絵
素電極に対向したパターンの厚肉部を有すると共に他の
部分が薄肉部となった、ある波長域の光を通しにくい透
明電極を形成する工程と、 該2つの基板を、該絵素電極を構成する透明電極と該厚
肉部とが対向する状態に貼り合わせる工程と、 貼り合わされた該2つの基板の間に、少なくとも液晶材
料と光重合性樹脂との混合物を注入する工程と、 該混合物に、透明な該一方の基板側から光を照射する工
程と、 を含む液晶表示素子の製造方法。 - 【請求項15】 前記透明電極がITO膜からなる場合
に、その透明電極に酸素を含有させるべく、反応装置内
に2sccm以下の酸素を供給する請求項13又は14
に記載の液晶表示素子の製造方法。 - 【請求項16】 前記透明電極の上部及び下部のうちの
少なくとも一方に酸化亜鉛膜を形成する工程を、更に包
含する請求項13又は14に記載の液晶表示素子の製造
方法。
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