JP7391686B2 - 液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置は、外形の大きさを変えずに、表示領域を大きくしたいという要求が強い。そうすると、表示領域の端部から液晶表示装置の端部までの幅が小さくなり、いわゆる、狭額縁とする必要がある。
狭額縁にすると、非表示領域が小さくなる。非表示領域には、TFT基板と対向基板を接着するシール材が形成されている。また、液晶表示装置の表示領域には、液晶分子を初期配向させるための配向膜が形成されている。配向膜は、表示領域を確実に覆う必要があるので、配向膜の塗布面積は、表示領域の面積よりも大きくしなければならない。配向膜がシール材とTFT基板との間、あるいは、シール材と対向基板との間に存在すると、シール材の接着の信頼性を損ねるおそれがある。しかし、狭額縁になると、シール材と配向膜とが重なることを回避することは難しい。
また、近時、配向膜は、光配向処理によって、液晶層の液晶分子を初期配向する性能(配向制御能)が付与される光配向膜が多く利用されている。そのような光配向膜には、適用対象とされる液晶表示装置のタイプに応じた物性が要求されている。例えば、業務用モニター、車載用モニター等の液晶表示装置に適用される光配向膜には、高い配向制御能が要求される。また、モバイル端末等の非表示領域が小さい狭額縁タイプの表示装置に適用される光配向膜には、シール材との高い密着性が要求される。
特開2016-224361号公報
配向制御能が高い光配向膜を得ようとする場合と、密着性が高い光配向膜を得ようとする場合とでは、それぞれの場合に応じて、使用する光配向膜用ワニスを変更することが通常である。
本実施形態の目的は、高い配向制御能を有する部分及び高い密着性を有する部分を備えた光配向膜を生成させ得る液晶表示装置の製造方法を提供し、かつ、シール部の信頼性を確保した液晶表示装置を実現することである。
一実施形態に係る液晶表示装置の製造方法は、光配向処理によって配向制御能が付与された配向膜を含む液晶表示装置の製造方法であって、基板に、光配向膜用ワニスを塗布する第1工程と、前記第1工程において塗布された前記光配向膜用ワニスを加熱し、前記配向膜を成膜する第2工程と、前記配向膜に偏光紫外線を照射して、配向制御能を付与する第3工程と、を含む。前記第3工程において、前記液晶表示装置の表示領域と前記表示領域を囲む非表示領域とで前記偏光紫外線の照射量が異なる。
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の概略平面図である。 図2は、本実施形態に係る液晶表示装置の概略断面図である。 図3は、本実施形態に係る液晶表示装置の別の概略断面図である。 図4は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図5は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における偏光紫外線の照射量と、光配向膜の密着率及び液晶分子の軸角度の測定前後の差との関係を示すグラフである。 図6は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における光配向処理の工程(工程S4)を示す概略断面図である。 図7は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における光配向膜への偏光紫外線の照射量とリタデーション値との関係を示す図である。 図8は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における光配向膜への偏光紫外線の照射量と光配向膜の膜厚との関係を示す図である。 図9は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における偏光紫外線の照射量と、他の光配向膜の密着率及び液晶分子の軸角度の測定前後の差との関係を示すグラフである。 図10は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における他の光配向膜への偏光紫外線の照射量とリタデーション値との関係を示す図である。 図11は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における他の光配向膜への偏光紫外線の照射量と光配向膜の膜厚との関係を示す図である。
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
<液晶表示装置>
本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法から生成された光配向膜を備えた液晶表示装置DSPを、図1~図3を参照して説明する。図1は液晶表示装置DSPの概略平面図であり、図2及び図3は液晶表示装置DSPの概略断面図である。
なお、液晶表示装置DSPの短辺に平行な方向を第1方向Xとし、液晶表示装置DSPの長辺に平行な方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yに垂直な方向を第3方向Zとしている。第1方向X及び第2方向Yは、本実施形態では互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。
また、ここでは、第3方向Zの正の向きを上又は上方と定義し、第3方向Zの負の向きを下又は下方と定義する。さらに、液晶表示装置DSPを上方から見ることを平面視と定義する。平面視での液晶表示装置DSPは、図1の平面図に示されている。
図1に示すように、液晶表示装置DSPは、表示パネルPNLと、駆動ICチップ1と、フレキシブルプリント回路(FPC)基板2と、を備えている。表示パネルPNLは、液晶表示パネルであり、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、後述する液晶層LCと、シール材SEと、非表示領域NDAと、表示領域DAと、を備えている。
第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、第3方向Zにおいて互いに対向して配置されている。第1基板SUB1は、第2基板SUB2と対向する領域と、第2基板SUB2よりも第2方向Yに延出した実装部MTとを有する。言い換えると、第1基板SUB1の実装部MTは、第2基板SUB2の端縁よりも外側に延出している。
駆動ICチップ1及びFPC基板2は、実装部MTに実装されている。画像表示に必要な信号は、FPC基板2を介して駆動ICチップ1に供給される。駆動ICチップ1は、例えば表示パネルPNLを制御するコントローラとしての機能を有している。
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と第2基板SUB2とが対向する領域において、画像表示のための画素PXが形成された表示領域DAと、表示領域DAを囲む非表示領域NDAと、を有している。例えば、異なる色に対応する複数の画素PXによって、カラー表示のための1つの主画素が構成される。各画素PXは、副画素と呼ばれることもある。
第1基板SUB1と第2基板SUB2とは、非表示領域NDAにおいて、枠状に形成されたシール材SEにより接着されている。第1基板SUB1と第2基板SUB2との間、及びシール材SEの内側には、液晶材料が封入され、後述する液晶層LCを形成している。
表示パネルPNLは、第1基板SUB1の背面側からの光を選択的に透過させることで画像を表示する透過表示機能を備えた透過型、第2基板SUB2の前面側からの光を選択的に反射させることで画像を表示する反射表示機能を備えた反射型、あるいは、透過表示機能及び反射表示機能を備えた半透過型のいずれであってもよい。
また、表示パネルPNLの詳細な構成について、ここでは説明を省略するが、表示パネルPNLは、基板主面に沿った横電界を利用する表示モード、基板主面の法線に沿った縦電界を利用する表示モード、基板主面に対して斜め方向に傾斜した傾斜電界を利用する表示モード、さらには、上記の横電界、縦電界、及び傾斜電界を適宜組み合わせて利用する表示モードに対応したいずれの構成を備えていてもよい。ここでの基板主面とは、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面と平行な面である。
第1基板SUB1は、表示領域DAにおいて、第1方向Xに沿って延びるとともに第2方向Yに沿って並ぶ複数のゲート配線Gと、第2方向Yに沿って延びるとともに第1方向Xに沿って並ぶ複数のソース配線Sと、を備えている。各画素PXは、例えば、隣り合う2本のゲート配線Gと隣り合う2本のソース配線Sとによって区画されている。
各画素PXにおいて、第1基板SUB1は、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SWと、スイッチング素子SWと電気的に接続された画素電極PEと、を備えている。画素電極PEは、複数の画素PXに対して共通に設けられた共通電極CEとの間で、液晶層LCを駆動するための電界を形成する。共通電極CEは、第2基板SUB2に設けられてもよいし、第1基板SUB1に設けられてもよい。
各ゲート配線Gは図示しないゲートドライバと電気的に接続され、各ソース配線Sは図示しないソースドライバと電気的に接続されている。例えば、ゲートドライバは、非表示領域NDAにおいて表示領域DAの第2方向Yに沿う辺に沿って設けられている。ソースドライバは、非表示領域NDAにおいて表示領域DAと実装部MTとの間に設けられている。なお、ゲートドライバ及びソースドライバは、他の態様で第1基板SUB1に設けられてもよいし、第1基板SUB1の外部に設けられてもよい。
図2に示すように、第1基板SUB1は、第1絶縁基板10、アンダーコート層(図示せず)、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14、スイッチング素子SW、共通電極CE、画素電極PE、及び、第1配向膜AL1を備えている。なお、図2に示す例は、横電界を利用する表示モードの一つであるFFS(Fringe Field Switching)モードが適用された例に相当する。
第1絶縁基板10は、ガラス基板、可撓性の樹脂基板のような光透過性の基板である。第1絶縁基板10の下面には、第1偏光板PL1を含む光学素子OD1が接着されている。なお、光学素子OD1は、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層等を備えていてもよい。光学素子OD1の下には、照明装置BLが設けられている。
アンダーコート層は、第1絶縁基板10を覆っている。スイッチング素子SWは、ポリシリコンなどの半導体層と、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、を備えている(いずれも図示せず)。半導体層は、アンダーコート層の上に配置されている。
第1絶縁膜11は、アンダーコート層及び半導体層を覆っている。スイッチング素子SWのゲート電極は、第1絶縁膜の上に形成され、半導体層と対向している。ゲート電極は、ゲート配線Gと電気的に接続されている。第2絶縁膜12は、ゲート電極及び第1絶縁膜11を覆っている。なお、ゲート電極は、ゲート配線Gと一体的に形成されていてもよい。
スイッチング素子SWのソース電極及びドレイン電極は、第2絶縁膜12の上に形成されている。ソース電極は、ソース配線Sと電気的に接続されている。ソース電極及びドレイン電極は、それぞれ第1絶縁膜11及び第2絶縁膜12を貫通するコンタクトホールを通して半導体層にコンタクトしている。なお、ソース電極は、ソース配線Sと一体的に形成されていてもよい。
第3絶縁膜13は、スイッチング素子SW及び第2絶縁膜12を覆い、スイッチング素子SWにより生じる凹凸を平坦化している。第3絶縁膜13は、例えば有機樹脂材料で形成されており、有機平坦化膜などと呼ばれることもある。例えば、第3絶縁膜13は、第1絶縁基板10の上に形成される要素の中で最も厚い層である。
共通電極CEは、第3絶縁膜13の上に形成されている。共通電極CEは、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明な導電材料によって形成された透明電極である。
第4絶縁膜14は、共通電極CE及び第3絶縁膜13を覆っている。
画素電極PEは、第4絶縁膜14の上に形成され、共通電極CEと対向している。画素電極PEは、ITOやIZO等の透明な導電材料によって形成された透明電極である。画素電極PEは、第3絶縁膜13及び第4絶縁膜14を貫通するコンタクトホールを介してスイッチング素子SWのドレイン電極と電気的に接続されている。図2に示した例において、画素電極PEは、スリットSLAを有している。第1配向膜AL1は、画素電極PE及び第4絶縁膜14を覆っている。
第2基板SUB2は、第2絶縁基板20、カラーフィルタCF、遮光膜BM、オーバーコート層OC、及び、第2配向膜AL2を備えている。
第2絶縁基板20は、第1絶縁基板10と同様に、ガラス基板、可撓性の樹脂基板のような光透過性の基板である。第2絶縁基板20の上面には、第2偏光板PL2を含む光学素子OD2が接着されている。なお、光学素子OD2は、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層等を備えていてもよい。
遮光膜BMは、第2絶縁基板の下面に形成されている。遮光膜BMは、表示領域DAにおいて、各画素PXを区画して開口領域を形成するとともに、第1基板SUB1に設けられたゲート配線Gやソース配線S、さらにはスイッチング素子SWなどに対向している。
カラーフィルタCFは、開口領域を覆うように形成され、その一部が遮光膜BMに重畳している。カラーフィルタCFは、例えば画素PXに応じた色に着色されたカラーレジストにより形成されている。
オーバーコート層OCは、遮光膜BMやカラーフィルタCFを覆っている。オーバーコート層OCは、遮光膜BMやカラーフィルタCFの表面の凹凸を平坦化する。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。第2配向膜AL2は、第1配向膜AL1と同じ材料によって形成されている。
図3に示すように、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間にスペーサSPが配置されている。スペーサSPは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間のセルギャップを保持している。図3の例においては、スペーサSPは、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向けて突出している。スペーサSPは、遮光膜BMと対向している。このようなスペーサSPは、表示領域DA及び非表示領域NDAにおいて複数配置されている。スペーサSPは、樹脂材料によって形成されている。
シール材SEは、非表示領域NDAにおいて、枠状に形成されており(図1)、第1基板SUB1及び第2基板SUB2とともに液晶層LCを封止している。シール材SEは、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の間に位置しており、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2に接触している。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シール材SEによって接着されている。なお、シール材SEが形成される位置に対応する部分をシール部という。
シール材SEは、例えば、アクリレート骨格を有しないエポキシ樹脂と、アクリレート骨格を有する樹脂とを含む。例えば、アクリレート骨格を有しないエポキシ樹脂は熱硬化性樹脂として機能し、アクリレート骨格を有する樹脂は光硬化性樹脂として機能する。
液晶層LCは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の間に位置し、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に挟持されている。液晶層LCは、液晶分子を備えている。液晶層LCは、ポジ型(誘電率異方性が正)の液晶材料、あるいは、ネガ型(誘電率異方性が負)の液晶材料によって構成されている。
このような表示パネルPNLにおいては、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていないオフ状態において、液晶分子は、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の間で所定の方向に初期配向している。このようなオフ状態では、照明装置BLから表示パネルPNLに向けて照射された光は、光学素子OD1及び光学素子OD2によって吸収され、暗表示となる。一方、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されたオン状態においては、液晶分子は、電界により初期配向方向とは異なる方向に配向し、その配向方向は電界によって制御される。このようなオン状態では、照明装置BLからの光の一部は、光学素子OD1及び光学素子OD2を透過し、明表示となる。
<液晶表示装置の製造方法>
本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を、図4を参照して説明する。図4は、液晶表示装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
表示パネルは、マザー基板といわれる大判の基板を用いて形成される。例えば、複数の第1基板が形成された第1マザー基板、及び、複数の第2基板が形成された第2マザー基板を用意する。その後、一方のマザー基板にシール材を形成し、シール材で囲まれた内側に液晶材料を滴下し、第1マザー基板及び第2マザー基板を貼り合わせる。その後、第1マザー基板及び第2マザー基板を割断し、表示パネルが形成される。光配向膜は、第1マザー基板の表面、及び、第2マザー基板の表面にそれぞれ形成される。以下、光配向膜の形成方法について説明する。
まず、光配向膜を形成する基板の表面をUV/オゾン法、エキシマUV法、酸素プラズマ法等の表面処理方法を用いて洗浄する(工程S1)。
つぎに、配向膜材料をスクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等の印刷方法を用いて、基板上に塗布する(工程S2、第1工程)。
配向膜材料は、少なくとも一種以上の化合物を溶剤に溶解した光配向膜用ワニスを用いることができる。例えば、光配向膜用ワニスとして、有機溶媒中に、第1ポリアミド酸化合物と第2ポリアミド酸化合物との混合物を含有するものや、第1ポリアミド酸エステル化合物と第2ポリアミド酸エステル化合物との混合物を含有するもの、第1ポリアミド酸化合物と第1ポリアミド酸エステル化合物との混合物を含有するものなどを用いることができる。
つぎに、外部から熱を加え、配向膜材料に含まれる溶剤を揮発させて、配向膜を成膜する(工程S3、第2工程)。この工程において、配向膜材料は、例えばポリイミドを含む有機膜である配向膜へ変換される。加熱温度が過度に低い場合、配向膜への変換が十分に行われないおそれがある。また、加熱温度が過度に高い場合、配向膜が着色するおそれがある。そのため、例えば、170℃以上270℃以下の温度で加熱することが好ましい。
つぎに、配向膜の表面に偏光紫外線を照射して、配向膜に液晶分子を初期配向する性能(配向制御能)を付与する(工程S4、第3工程)。偏光紫外線を照射することで、配向膜中に含まれる高分子の主鎖が切断される。この分子鎖長が短くなった高分子が紫外線の偏光方向と直交する方向に配列することで、配向制御能が付与される。この工程における処理を、光配向処理ともいう。このように、偏光紫外線が照射されることで配向制御能を有する配向膜を光配向膜と称する。
なお、偏光紫外線を照射後、加熱を行ってもよいし、溶液等を用いての洗浄を行ってもよい。加熱や洗浄を行うことにより、光配向膜の表面にある不要物を除去することができ、より高い配向制御能を付与することができる。
<評価1:軸ずれ度合い評価試験(配向制御能の評価試験)>
上記製造方法において、偏光紫外線の照射量と配向制御能との関係についての評価を行った。この評価は、それぞれ光配向膜を備える第1基板SUB1及び第2基板SUB2を用意し、一方の基板の周縁にシール材を設け、液晶材料を封入するように、第1基板SUB1及び第2基板SUB2を貼り合わせて作製した液晶セルを用いた。第1基板SUB1と第2基板SUB2とのギャップは4μmとした。液晶材料としては、ネガ型の液晶材料(Δn=0.11)を用いた。光配向膜としては、第1配向膜材料を使用し、230℃で加熱して成膜したものを用いた。
液晶セルの光配向膜に対しては、254nmから365nmの波長領域の偏光紫外線を照射する光配向処理が行われた。光配向処理の光源には、ロングアーク光源(ウシオ電機製、APL-L05012S1-ATD01)を使用した。光配向処理における偏光紫外線の照射量が異なる4種類の液晶セルのサンプルを用意した。サンプル1の液晶セルにおける照射量は約200mJ/cmとし、サンプル2の液晶セルにおける照射量は約300mJ/cmとし、サンプル3の液晶セルにおける照射量は約450mJ/cmとし、サンプル4の液晶セルにおける照射量は約600mJ/cmとした。なお、いずれの照射量も、積算照度計(ウシオ電機製、UIT-250+UVD-S254SB)で測定した値である。
まず、サンプル1乃至4の液晶セルの液晶層における液晶分子の軸角度をそれぞれ測定した。次いで、サンプル1乃至4の液晶セルの画面全体にわたり、最大輝度(256/256階調)となる白色画面を120時間、表示させた。その後、白色の表示を停止した後に、サンプル1乃至4の液晶セルの液晶層における液晶分子の軸角度をそれぞれ再測定した。画像表示前後での液晶分子の軸角度の差(軸ずれ度合い)を算出し、その結果を図5に三角形でプロットした。
例えば図5において、液晶分子の軸角度の測定前後の差が0.15未満である場合、光配向膜の配向制御能が高いことを示し、液晶分子の軸角度の測定前後の差が0.15以上0.20以下である場合、光配向膜の配向制御能が比較的高いことを示している。
<評価2:剥離試験(密着性試験)>
さらに、上記製造方法において、偏光紫外線の照射量に対するシール材と光配向膜との密着性の関係についての評価を行った。この評価は、それぞれITO膜の上に光配向膜を備える第1評価用基板及び第2評価用基板を用意し、一方の評価用基板の周縁にシール材を設け、第1評価用基板及び第2評価用基板を貼り合わせて作成した評価セルを用いた。光配向膜としては、評価1で使用したのと同一の第1配向膜材料を使用し、230℃で加熱して成膜したものを用いた。なお、評価セルには液晶材料が封入されていないが、液晶材料が封入されていてもよい。
評価セルの光配向膜に対しては、254nmから365nmの波長領域の偏光紫外線を照射する光配向処理が行われた。光配向処理の光源には、評価1と同様のロングアーク光源を使用した。光配向処理における偏光紫外線の照射量が異なる4種類の評価セルのサンプルを用意した。サンプル5の評価セルにおける照射量は0mJ/cmとし、サンプル6の評価セルにおける照射量は約100mJ/cm、サンプル7の評価セルにおける照射量は約300mJ/cm、サンプル8の評価セルにおける照射量は約400mJ/cm、サンプル9の評価セルにおける照射量は約550mJ/cm、サンプル10の評価セルにおける照射量は約650mJ/cm、サンプル11の評価セルにおける照射量は約1200mJ/cmとした。なお、評価1と同様に、いずれの照射量も積算照度計で測定した値である。
サンプル5乃至11の評価セルを1台ずつ準備し、それぞれ第1評価用基板と第2評価用基板とを剥離させ、どこから剥離が起きているかを観察した。ここでは、シール材が第1評価用基板と第2評価用基板との両方に別れるように分離した(シール材が開裂して剥がれた)場合を100%とし、シール材全部が第1評価用基板又は第2評価用基板のどちらか一方のみに密着して剥がれた(シール材が光配向膜との界面で剥がれた)場合を0%とした。各サンプルについて、複数台の評価セルの剥離試験を行い、シール材が開裂して剥がれた割合を密着率として算出し、その結果を、評価1の結果と合わせて図5に菱形でプロットした。例えば、サンプル5は、複数台の評価セルについて剥離試験を行ったところ、すべての評価セルにおいてシール材が開裂しており、密着率は100%と算出された。また、サンプル7は、複数台の評価セルについて剥離試験を行ったところ、約半数の評価セルにおいてシール材が開裂しており、密着率は約50%と算出された。
例えば図5において、光配向膜の密着率が70%以上である場合、光配向膜の密着性が高いことを示し、光配向膜の密着率が40%以上70%以下である場合、光配向膜の密着性が比較的高いことを示す。
上述した評価1及び評価2で使用した第1配向膜材料の場合、図5に示したように、偏光紫外線の照射量を増やすと、次第に配向制御能が向上するものの、照射量を約350mJ/cm以上に増やしても、配向制御能は向上せず、むしろ低下する傾向にあることがわかる。図示した例では、第1配向膜材料を用いた光配向膜の配向制御能は、約300mJ/cm~約450mJ/cmの間の照射量でピークに達している。このことから、高い配向制御能を得るための偏光紫外線の照射量は、約200mJ/cm~約500mJ/cmの間が好ましく、さらに約300mJ/cm~約450mJ/cmの間がより好ましいことがわかる。
一方で、光配向膜の密着率は、偏光紫外線の照射量を増やすと次第に低下し、偏光紫外線の照射量を約300mJ/cm以上に増やすと向上する傾向にあることがわかる。特に図示した例では、高い配向制御能を得ることができる約300mJ/cm~約450mJ/cmの間の照射量で、密着率が低くなっている。すなわち、第1配向膜材料に関しては、高い配向制御能を得るために適した偏光紫外線の照射量で光配向処理を行うと、シール材との密着性が悪くなってしまう。したがって、表示領域DAにおいて高い配向制御能を得るためには、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量を200mJ/cm以上、500mJ/cm以下、より好ましくは、300mJ/cm以上、450mJ/cm以下とすることが望ましく、また、非表示領域NDAにおいて高い密着性を得るためには、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量を500mJ/cm以上とすることが望ましい。
図6は、本実施形態における、光配向処理の工程(工程S4)の一例を示す概略断面図である。
図6に示した例では、光配向膜に偏光紫外線を照射する工程において、表示領域DAを紫外線カットフィルムFL等でマスクする一方で非表示領域NDAをマスクすることなく偏光紫外線を照射している。なお、ここで適用する紫外線カットフィルムFLは、紫外線を100%カットするものではない。これにより、例えば、非表示領域NDAに、500mJ/cm以上1200mJ/cm以下の照射量の偏光紫外線が照射された場合、表示領域DAに200mJ/cm以上500mJ/cm以下の照射量の偏光紫外線が照射される。つまり、表示領域DAを紫外線カットフィルムFL等でマスクしたことによって、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量は、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量の約1/2となる。いくつかの実施形態において、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量は、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量の40%以上60%以下であり、例えば40%、45%、50%、55%、又は60%である。
なお、光配向膜に偏光紫外線を照射する工程は、図6に示した方法に限らない。例えば、表示領域DAに200mJ/cm以上500mJ/cm以下の照射量の偏光紫外線を照射した後に、表示領域DAをメタルマスクで覆い、非表示領域NDAに500mJ/cm以上の照射量の偏光紫外線を照射してもよい。また、図5に示したように、偏光紫外線の照射量を増やすほど密着性が向上していることから、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量は、少なくとも表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量より多ければよく、1200mJ/cm以上でもよい。
マスクによって表示領域DAと非表示領域NDAとで偏光紫外線の照射量を変えることで、それぞれの領域に適した光配向膜を形成することができる。すなわち、表示領域DAでは高い配向制御能を有し、非表示領域NDAでは高い密着性を有する光配向膜を形成することができる。
また、図5に示したように、非表示領域NDAには偏光紫外線を照射しなくても高い密着性を有することができる。しかし、偏光紫外線を照射しないと、配向制御能を得ることはできない。そのため、非表示領域NDAに重畳すべきマスク(紫外線の照射量を低減するマスク)がずれて、表示領域DAの一部の領域に十分な偏光紫外線が照射されなかった場合、その領域で配向不良が発生し、表示に悪影響を与えるおそれがある。
本実施形態においては、非表示領域NDAに、表示領域DAよりも多い照射量の偏光紫外線を照射している。そのため、マスクがずれたとしても、表示領域DA及び非表示領域NDAの両方に必ず偏光紫外線が照射される。照射量は異なるものの、偏光紫外線が照射されれば、偏光紫外線が照射されない場合に比べて高い配向制御能を得ることができ、表示品位の低下を抑制することができる。
図7は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における光配向膜への偏光紫外線の照射量とリタデーション値との関係を示す図である。ここで説明する光配向膜は、第1配向膜材料を用いて形成されたものである。図7において、偏光紫外線の照射量が約200mJ/cm、約300mJ/cm、約400mJ/cm、約500mJ/cm、約550mJ/cm、約600mJ/cm、約700mJ/cm、約850mJ/cm、及び、約1300mJ/cmの場合のそれぞれのリタデーション値(n=2)を円形でプロットした。
偏光紫外線を照射して、光配向膜に液晶分子を初期配向させる配向制御能を持つように異方性を付与する光配向処理をすると、図2に示した第1偏光板PL1を透過した光の偏光状態は第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2を通過することによって変化する。そうすると、表示パネルPNLへ入射した光の一部は、図2に示した第2偏光板PL2を通過できるようになる。光配向膜の配向制御能は、偏光紫外線の照射量に伴って変化するので、光配向膜のリタデーションを測定することによって、光配向膜に対する偏光紫外線の照射量を評価することができる。
図7に示した例では、偏光紫外線の照射量が約400mJ/cmでの光配向膜のリタデーション値を1nmとして、光配向膜のリタデーション値を測定した。例えば、リタデーション値が1から0.6に下がった場合、その場所の照射量が約400mJ/cmよりも多い場合もあり得るし、その場所の照射量が約400mJ/cmよりも少ない場合もあり得る。つまり、リタデーション値だけでは偏光紫外線の照射量が約400mJ/cmよりも多いのか少ないのかを判別することは困難である。
図8は、実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における光配向膜への偏光紫外線の照射量と光配向膜の膜厚の関係を示す図である。図8において、偏光紫外線の照射量が0mJ/cm、約300mJ/cm、及び、約1200mJ/cmの場合のそれぞれの光配向膜の膜厚(n=2)を円形でプロットし、光配向膜の平均膜厚を黒丸でプロットした。
偏光紫外線を照射して、光配向膜に光配向処理をすると、配向膜中に含まれる高分子の主鎖が切断されるような光分解が起きる。光分解が起きることで配向膜中の高分子の分子鎖長が短くなるため、光配向膜の膜厚も変化する。偏光紫外線の照射量が増えれば光分解によって分解される量も増えるので、光配向膜の膜厚を測定することによって、光配向膜に対する偏光紫外線の照射量を評価することができる。
図8に示した例では、偏光紫外線の照射量が0mJ/cmの場合の光配向膜の膜厚が約102nmであり、そこから照射量に応じての膜厚の変化を測定した。図示した例では、照射量が約300mJ/cmの場合の膜厚が約94nmであり、照射量が約1200mJ/cmの場合の膜厚が約92nmである。そのため、例えば、表示領域DAと非表示領域NDAとで光配向膜の膜厚が異なる場合、表示領域DAと非表示領域NDAとで偏光紫外線の照射量が異なることがわかる。また、光配向膜の膜厚に関して、非表示領域NDAの膜厚が表示領域DAの膜厚より小さい場合に、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量が表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量より多いことがわかる。なお、図8における膜厚は、51×22cmの基板と平行な面における光配向膜の膜厚である。
第1配向膜材料を用いた光配向膜に関しては、図7及び図8で示したように、例えば、非表示領域NDAにおける光配向膜のリタデーション値が表示領域DAにおけるリタデーション値よりも小さく、かつ、非表示領域NDAにおける光配向膜の膜厚が表示領域DAにおける光配向膜の膜厚よりも小さい場合、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量は、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量よりも多いことがわかる。
次に、他の配向膜材料を用いて形成した光配向膜について説明する。
図9は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における偏光紫外線の照射量と、他の光配向膜の密着率及び液晶分子の軸角度の測定前後の差との関係を示すグラフである。ここでの光配向膜は、上記の第1配向膜材料とは異なる第2配向膜材料を用いて形成されたものである。
まず、上記の評価1により、偏光紫外線の照射量と配向制御能との関係についての評価を行った。評価に用いる液晶セルにおいて、第1基板SUB1と第2基板SUB2とのギャップは4μmとした。液晶材料としては、ネガ型の液晶材料(Δn=0.11)を用いた。光配向膜としては、第2配向膜材料を使用し、230℃で加熱して成膜したものを用いた。光配向処理の光源には、上記のロングアーク光源を使用した。光配向処理における偏光紫外線の照射量が異なる3種類の液晶セルのサンプルを用意した。サンプル21の液晶セルにおける照射量は約100mJ/cmとし、サンプル22の液晶セルにおける照射量は約800mJ/cmとし、サンプル23の液晶セルにおける照射量は約1600mJ/cmとした。なお、いずれの照射量も、上記の積算照度計で測定した値である。
これらのサンプル21乃至23の液晶セルについて、軸ずれ度合いを算出し、その結果を図9に三角形でプロットした。
次に、上記の評価2により、偏光紫外線の照射量に対するシール材と光配向膜との密着性の関係についての評価を行った。評価に用いる評価セルにおいて、光配向膜としては、第2配向膜材料を使用し、230℃で加熱して成膜したものを用いた。光配向処理の光源には、上記のロングアーク光源を使用した。光配向処理における偏光紫外線の照射量が異なる7種類の評価セルのサンプルを用意した。サンプル24の評価セルにおける照射量は0mJ/cmとし、サンプル25の評価セルにおける照射量は約100mJ/cm、サンプル26の評価セルにおける照射量は約800mJ/cm、サンプル27の評価セルにおける照射量は約900mJ/cm、サンプル28の評価セルにおける照射量は約160mJ/cm、サンプル29の評価セルにおける照射量は約4000mJ/cm、サンプル30の評価セルにおける照射量は約8000mJ/cmとした。なお、いずれの照射量も、上記の積算照度計で測定した値である。
サンプル24乃至30の評価セルを1台ずつ準備し、それぞれ第1評価用基板と第2評価用基板とを剥離させ、どこから剥離が起きているかを観察し、密着率を算出した。
上述した評価1及び評価2で使用した第2配向膜材料の場合、図9に示したように、偏光紫外線の照射量を増やすと、次第に配向制御能が向上するものの、照射量を約800mJ/cm以上に増やしても、配向制御能は低下する傾向にあることがわかる。図示した例では、第2配向膜材料を用いた光配向膜の配向制御能は、約600mJ/cm~約1000mJ/cmの間の照射量でピークに達している。このことから、高い配向制御能を得るための偏光紫外線の照射量は約600mJ/cm以上、約1000mJ/cm以下が好ましいことがわかる。
一方で、光配向膜の密着率は、偏光紫外線の照射量が0mJ/cmの場合を除けば、偏光紫外線の照射量を増やすと向上する傾向にあることがわかる。特に、第2配向膜材料を用いた光配向膜の密着率は、4000mJ/cm以上の照射量で大幅に向上し、6000mJ/cm以上の照射量で50%以上を達成できることがわかる。
図示した例では、高い配向制御能を得ることができる約600mJ/cm~約1000mJ/cmの間の照射量で、密着率が低くなっている。したがって、表示領域DAにおいて高い配向制御能を得るためには、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量を600mJ/cm以上、1000mJ/cm以下とすることが望ましく、また、非表示領域NDAにおいて高い密着性を得るためには、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量を6000mJ/cm以上とすることが望ましい。
他の観点では、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量は、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量の6倍以上とすることが望ましい。
図10は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における他の光配向膜への偏光紫外線の照射量とリタデーション値との関係を示す図である。ここで説明する光配向膜は、第2配向膜材料を用いて形成されたものである。図10において、偏光紫外線の照射量が約100mJ/cm、約800mJ/cm、約1600mJ/cm、約4000mJ/cm、及び、約8000mJ/cmの場合のそれぞれのリタデーション値を円形でプロットした。例えば、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量を800mJ/cmとし、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量を8000mJ/cmとした場合、表示領域DAのリタデーション値(約1.2)は非表示領域NDAのリタデーション値(約0.3)の約4倍となる。
図10に示した例では、リタデーション値が1.2から0.5に下がった場合、その場所の照射量が約800mJ/cmから約4000mJ/cmに上がったことがわかる。
図11は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法における他の光配向膜への偏光紫外線の照射量と光配向膜の膜厚との関係を示す図である。ここで説明する光配向膜は、第2配向膜材料を用いて形成されたものである。図11において、偏光紫外線の照射量が約800mJ/cm、約4000mJ/cm、及び、約8000mJ/cmの場合のそれぞれの光配向膜の膜厚を円形でプロットし、光配向膜の平均膜厚を黒丸でプロットした。図8に示した第1配向膜材料の場合と同様に、第2配向膜材料を用いた光配向膜の膜厚は、照射量の増加に伴って減少する傾向がある。そのため、例えば、表示領域DAと非表示領域NDAとで光配向膜の膜厚が異なる場合、表示領域DAと非表示領域NDAとで偏光紫外線の照射量が異なることがわかる。また、光配向膜の膜厚に関して、非表示領域NDAの膜厚が表示領域DAの膜厚より小さい場合に、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量が表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量より多いことがわかる。
例えば、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量を800mJ/cmとし、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量を8000mJ/cmとした場合、表示領域DAの光配向膜の膜厚(約92.8nm)は非表示領域NDAの光配向膜の膜厚(約86.9nm)の約1.07倍となる。
第2配向膜材料を用いた光配向膜に関しては、図10及び図11で示したように、非表示領域NDAにおける光配向膜のリタデーション値が表示領域DAにおけるリタデーション値よりも小さく、かつ、非表示領域NDAにおける光配向膜の膜厚が表示領域DAにおける光配向膜の膜厚よりも小さい場合、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量は、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量よりも多いことがわかる。
また、偏光紫外線の照射量が約1000mJ/cmを超える場合、光配向膜の変色(透明度の低下)が生じる場合がある。このため、非表示領域NDAにおける光配向膜の透過率が表示領域DAにおける光配向膜の透過率よりも小さい場合、非表示領域NDAにおける偏光紫外線の照射量は、表示領域DAにおける偏光紫外線の照射量よりも多いことがわかる。
このように、本実施形態によれば、1つの配向膜材料で配向制御能が高い光配向膜又は密着性が高い光配向膜のいずれの光配向膜であっても形成することができるので、適用される製品に応じて配向膜材料を変える必要がなく、製造が容易になる。また、偏光紫外線の照射量を領域によって変えて光配向膜を形成することによって、シール材と光配向膜の密着性を向上させることができ、シール部の信頼性も維持することができる。
なお、上記実施形態において、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を用いて形成されるが、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の少なくとも一方が、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を用いて形成されていればよい。
また、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2で異なる特性を持つように形成してもよい。例えば、第1配向膜AL1は、本実施形態に係る配向膜であり、第2配向膜AL2は、表示領域DA及び非表示領域NDAの両方で密着性が高い配向膜であってもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、高い配向制御能を有する部分及び高い密着性を有する部分を備えた光配向膜を生成させ得る液晶表示装置の製造方法を提供し、かつ、シール部の信頼性を確保した液晶表示装置を実現することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
DSP…液晶表示装置 PNL…表示パネル 1…駆動ICチップ 2…フレキシブル回路基板 SUB1…第1基板 SUB2…第2基板 DA…表示領域 NDA…非表示領域 LC…液晶層 SE…シール材 MT…実装部 PX…画素 G…ゲート配線
S…ソース配線 SW…スイッチング素子 PE…画素電極 CE…共通電極 10…第1絶縁基板 11…第1絶縁膜 12…第2絶縁膜 13…第3絶縁膜 14…第4絶縁膜 20…第2絶縁基板 AL1…第1配向膜 AL2…第2配向膜 OD1、OD2…光学素子 BL…照明装置 SLA…スリット BM…遮光膜 CF…カラーフィルタ
OC…オーバーコート層 PL1、PL2…偏光板 SP…スペーサ

Claims (8)

  1. 光配向処理によって配向制御能が付与された配向膜を含む液晶表示装置の製造方法であって、
    基板に、光配向膜用ワニスを塗布する第1工程と、
    前記第1工程において塗布された前記光配向膜用ワニスを加熱し、前記配向膜を成膜する第2工程と、
    前記配向膜に偏光紫外線を照射して、配向制御能を付与する第3工程と、を含み、
    前記第3工程において、前記液晶表示装置の表示領域と前記表示領域を囲む非表示領域とで前記偏光紫外線の照射量が異なり、
    前記第3工程において、前記表示領域をマスクで覆って前記偏光紫外線を照射する、液晶表示装置の製造方法。
  2. 前記第3工程において、前記表示領域における前記偏光紫外線の照射量は、200mJ/cm以上500mJ/cm以下である、請求項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  3. 前記第3工程において、前記非表示領域における前記偏光紫外線の照射量は、500mJ/cm以上である、請求項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  4. 前記第3工程において、前記非表示領域における前記偏光紫外線の照射量は、500mJ/cm以上1200mJ/cm以下である、請求項記載の液晶表示装置の製造方法。
  5. 光配向処理によって配向制御能が付与された配向膜を含む液晶表示装置の製造方法であって、
    基板に、光配向膜用ワニスを塗布する第1工程と、
    前記第1工程において塗布された前記光配向膜用ワニスを加熱し、前記配向膜を成膜する第2工程と、
    前記配向膜に偏光紫外線を照射して、配向制御能を付与する第3工程と、を含み、
    前記第3工程において、前記液晶表示装置の表示領域と前記表示領域を囲む非表示領域とで前記偏光紫外線の照射量が異なり、
    前記第3工程において、前記表示領域における前記偏光紫外線の照射量は、前記非表示領域における前記偏光紫外線の照射量の40%以上60%以下である液晶表示装置の製造方法。
  6. 前記第3工程において、前記表示領域における前記偏光紫外線の照射量は、600mJ/cm以上、1000mJ/cm以下である、請求項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  7. 前記第3工程において、前記非表示領域における前記偏光紫外線の照射量は、6000mJ/cm以上である、請求項1または6に記載の液晶表示装置の製造方法。
  8. 光配向処理によって配向制御能が付与された配向膜を含む液晶表示装置の製造方法であって、
    基板に、光配向膜用ワニスを塗布する第1工程と、
    前記第1工程において塗布された前記光配向膜用ワニスを加熱し、前記配向膜を成膜する第2工程と、
    前記配向膜に偏光紫外線を照射して、配向制御能を付与する第3工程と、を含み、
    前記第3工程において、前記液晶表示装置の表示領域と前記表示領域を囲む非表示領域とで前記偏光紫外線の照射量が異なり、
    前記第3工程において、前記非表示領域における前記偏光紫外線の照射量は、前記表示領域における前記偏光紫外線の照射量の6倍以上である液晶表示装置の製造方法。
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