JPH0728025Y2 - 側部全開式貨物車両のｌ型屋根と煽との密閉状態保持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、側部全開式貨物車両
（以下ウイング車両という）のＬ型屋根と、荷台側部に
蝶着している煽との密閉状態保持構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】図２，図３及び図４に従来のウイング車
両を示す。図２において１は荷台、２は前壁、３は扉４
を備えた後壁、５は天井部5aと側壁部5bを剛体の隅部材
5cを使用してＬ型に組付けたＬ型屋根で、前壁２と後壁
３の上部中央に架設した支軸６に蝶着結合されている。
７は荷台側縁に蝶着された煽である。そして図示されて
いない油圧又は空圧シリンダ等の開閉手段でＬ型屋根５
は上方に、又煽７は手動で、それぞれ上下に開放され、
完全に開放された側方からの荷役ができるようになって
いる。

【０００３】さて、従来のウイング車は、Ｌ型屋根５と
煽７を閉じたとき、Ｌ型屋根５の下端縁と煽７の上端縁
とは図３の如く重り合っていて、煽７の長手方向に適宜
間隔で設けた緊締装置８の操作で、抑え片９をＬ型屋根
の側壁を押しつけること（図４）によって両者は緊締さ
れ密閉状態が保持される。

【０００４】かゝるウイング車において、Ｌ型屋根の開
閉操作時には必らず複数個の緊締装置８を操作しなけれ
ばならず面倒であった。又ウイング車の長手方向に間隔
をあけてとりつけられていて、隣接する緊締装置８は比
較的に間隔を大きくとりつけられているので、荷台側か
らの圧力(積荷の荷くずれ)がかゝると、緊締装置８，８
間の側壁が外側にふくらみ、そこから室内側に雨水が浸
入する事故があった。

【０００５】さらに又、緊締装置８は煽７の外表面に突
起物として存在しているので、安全上又美観上からも好
ましいものではなかった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】Ｌ型屋根パネルの側壁
下端の枠材に外向きのＬ字片を設ける一方、煽７の上端
部に内向きの鍵形Ｌ字片を設け、Ｌ型屋根及び煽を閉じ
て密閉状態にしたとき、前記外向きのＬ字片と内向きの
鍵形Ｌ字片が上下に重り合い、緊締装置を不要にするこ
とを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】Ｌ型屋根の側壁下端部の
側枠材の内側に外向きのＬ字片１２を一体に設けると共
に、煽上端の外側に内向きの鍵形Ｌ字片１６を一体に設
け、Ｌ型屋根と煽を閉じたとき、前記側枠材の外向きの
Ｌ字片と煽上端の内向き鍵形Ｌ字片とが上下に重合して
配置されるようにした。又側枠材の外向きＬ字片１２の
垂直片12aあるいは煽の内向き鍵形Ｌ字片１６の自由端
縁のいずれかに弾性体からなる緩衝部材が固着されてい
る。

【０００８】

【実施例】図１に基いて説明する。図１で１０はＬ型屋
根の側壁下端の側枠材、１５は煽７の最上段パネルであ
る。側枠材１０は最下部の中空部１１の下部にＬ字片１
２が一体に設けられている。１３はＬ字の先端立上り部
である。１４はガスケットで、Ｌ字片１２と対向して、
側枠材１０の外側部最下端に固着されている。

【０００９】図１で２点鎖線で示した符号１８は、弾性
体からなる緩衝部材である。緩衝部材１８は、Ｌ字片１
２側の垂直辺12aの内面に適宜固着手段で取付けられ
る。緩衝部材１８によって、荷台側からの圧力がかゝっ
た時Ｌ字片１２の先端が煽の鍵形Ｌ字片１６の垂直部16
aとの金属接触を防止することができる。

【００１０】なお上述の説明では緩衝部材１８をＬ字片
１２側に固着したが、これを煽７の鍵形Ｌ字片１６の自
由端側に固着してもよい。

【００１１】煽の最上段パネル１５は最上端外側に前記
Ｌ字片１２と逆向きの鍵形Ｌ字片１６が一体に設けられ
ている。そして図１の如く煽の最上段パネル１５上にＬ
型屋根が閉じられたとき、お互いにＬ字片１２と鍵形Ｌ
字片１６が相手側Ｌ字片内に進入する。１７は最上段パ
ネル１５の上端内側部に設けたガスケットで、Ｌ型屋根
が煽上に閉じられたとき、ガスケット１４は鍵形Ｌ字片
１６の上面と、又ガスケット１７はＬ字片１２の下面と
接触する。

【００１２】上述の如く閉止されたＬ型屋根は長手方向
両側で緊締装置で緊締され、その中間部分は剛性強度の
大きい煽によって保持され、Ｌ型屋根の垂直かつ密閉さ
れた状態が保持される。

【００１３】

【作動】従来構造においては、Ｌ型屋根と煽の開閉順序
は開放時には最初にまずＬ型屋根を上方に開いた後、煽
を下方に開いて側部を全面開放し、閉塞時はその逆であ
る。しかし本考案ではこれとまったく逆の操作で行なわ
れる。即ち、まず煽を下方に開いた時、Ｌ型屋根を上方
に開くことができるようになっている。閉塞時はその逆
である。

【００１４】

【効果】Ｌ型屋根と煽とを閉じたとき、Ｌ型屋根の側壁
下端の側枠材に、外向きのＬ字片を、又煽の上端に内向
きの鍵形Ｌ字片を設け、これらが互いに向き合い、かつ
上下に重合するようになっているので、Ｌ型屋根に荷物
等のずれで内圧がかゝった時でも、側枠材のＬ字片の先
端が煽の鍵形Ｌ字片の垂直部と接触し、又煽の鍵形Ｌ字
片１６の先端が側枠材のＬ字片の垂直部と接触し、それ
以上移動するのを防止するので、Ｌ型屋根のふくらみを
防止できる。然もＬ型屋根の長手方向全長に渡って防止
できるものであるから、係合部のシ−ル性も充分維持で
きる。

【００１５】万が一シ−ル用のガスケットの部分から雨
水が浸入しても、Ｌ字片が溝状をなしているので、雨水
は前後方向に流れ、内部に浸入しないので、内部の荷物
の保護の上で好適である。

【００１６】煽の長手方向の両端に緊締具があれば、中
間の緊締は不要となる。この為Ｌ型屋根側壁下端の突起
物が従来に比し極めて少くなり、安全であると共に、意
匠的効果を向上させることができる。

【００１７】従来ウイング車の側方から小さな荷物を搬
出入する場合でもＬ型屋根を開放し次に煽を開放して側
面を全開しなければならなかったが、本考案では煽のみ
を下方に開放できるので、小さな荷物の搬出入が容易に
できるようになり、極めて機動性に富む煽付きウイング
車両を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るＬ型屋根と煽の密閉保持構造の断
面図。

【図２】本考案を施すウイング車両を示す。

【図３】公知のＬ型屋根と煽の密閉構造を示す。

【図４】公知構造における緊締装置を示す。

【符号の説明】

１ 荷台 ２ 前壁 ３ 後壁 ４ 扉 ５ Ｌ型屋根 5a 天井部 5b 側壁部 5c 隅部材 ６ 支軸 ７ 煽 ８ 緊締装置 ９ 抑え片 １０ 側枠材 １１ 中空部 １２ Ｌ字片 １３ （Ｌ字片先端の）立上り部 １４ ガスケット １５ 最上段パネル １６ 鍵形Ｌ字片 １７ ガスケット １８ 緩衝部材

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 側部全開式貨物車両において、Ｌ型屋根
   の側壁下端部の側枠材(10)の内側に外向きのＬ字片(12)
   を一体に設けると共に、煽の最上段パネルの外側に内向
   きの鍵形Ｌ字片(16)を一体に設け、Ｌ型屋根と煽を閉じ
   たとき、前記側枠材(10)の外向きのＬ字片(12)と煽の内
   向き鍵形Ｌ字片(16)とが重合して配置されるようにした
   ことを特徴とする側部全開式貨物車両のＬ型屋根と煽と
   の密閉状態保持構造。
2. 【請求項２】 側枠材の外向きＬ字片(12)の垂直片(12
   a)あるいは煽の内向き鍵形Ｌ字片(16)の自由端縁のいず
   れかに弾性体からなる緩衝部材が固着されていることを
   特徴とする請求項１の側部全開式貨物車両のＬ型屋根と
   煽との密閉状態保持構造。