JPH07277212A - 車両のステアリング装置 - Google Patents

車両のステアリング装置

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JPH07277212A
JPH07277212A JP6961894A JP6961894A JPH07277212A JP H07277212 A JPH07277212 A JP H07277212A JP 6961894 A JP6961894 A JP 6961894A JP 6961894 A JP6961894 A JP 6961894A JP H07277212 A JPH07277212 A JP H07277212A
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JP
Japan
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steering
coefficient
rack
elastic
damping
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Application number
JP6961894A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Mori
宏 毛利
Fukashi Sugasawa
深 菅沢
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ゆっくりとした低周波側操舵入力に対しては転
舵の応答性を高めて操縦性を向上し得るステアリング装
置を提供する。 【構成】ステアリングコラムシャフトの途中に介装され
たコラムカップリング5の弾性係数K1 及び減衰係数C
1 から得られるゲイン増加開始折点周波数と、ラックハ
ウジング9を弾性支持するラックインシュレータ10の
弾性係数K2 及び減衰係数C2 を前記コラムカップリン
グ5の捩じり方向に換算した等価的な弾性係数K2'及び
減衰係数C2'から得られるゲイン増加折点周波数とを比
較し、何れか折点周波数の低い方のゲインの増加量が大
きくなるために,そのゲイン増加周波数帯域の幅を広げ
る弾性係数が小さくなるように、夫々の弾性係数K1
2及び減衰係数C1 ,C2 を設定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両のステアリング装置
に関するものであり、特にステアリングコラムシャフト
の回転に伴って弾性変形するコラムカップリングと、こ
のステアリングコラムシャフトの回転運動を直線運動に
変換するためのラックアンドピニオン機構のラックハウ
ジングを弾性支持するラックインシュレータとを備えた
車両のステアリング装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】このような車両のステアリング装置とし
ては、例えば本出願人が先に提案した特開昭60−16
1251号公報に記載されるものがある。このうち、前
記コラムカップリングは,ステアリングホイールの操舵
に伴って回転するステアリングコラムシャフトの途中に
介装されており、当該ステアリングコラムシャフトが回
転すると,その捩じり方向に弾性変形しながら、その捩
じり力,所謂操舵トルクに対して減衰力を発揮する。ま
た、前記ラックインシュレータは,前記ステアリングコ
ラムシャフトの回転運動を直線運動に変換するために設
けられたラックアンドピニオン機構のハウジング(以
下,ラックハウジングとも記す)を車体にマウントする
際に,当該車体とラックハウジングとの間に介装された
ものであり、主として当該ラックハウジングが,内装さ
れたラック軸の軸線方向に移動するのを弾性支持すると
共に、その移動力,即ち推力に対して減衰力を発揮す
る。
【0003】前記特開昭60−161251号公報に記
載される車両のステアリング装置では,これらの弾性変
形を許容する部材の弾性変形量又はその弾性変形速度を
拘束する手段又は規制する手段を設け、これらの拘束手
段又は規制手段を車両の走行状態或いは操舵状態等によ
って変更制御することで,操舵伝達系の剛性,所謂ステ
アリング剛性を変更制御し、これにより車両の操縦性や
走行安定性,或いは乗り心地等を向上可能とするもので
ある。つまり、前記弾性変形の拘束又は規制手段が,前
述の減衰力を積極的に発揮する部材或いはアクチュエー
タに相当すると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような車両のステアリング装置には、前記コラムカップ
リングやラックインシュレータの弾性係数や減衰係数が
ステアリング特性(自動車工学に言う車両旋回中のステ
アリング特性ではなく、むしろステアリング操作,舵取
り操作に対する車両挙動や転舵の応答性などのように、
所謂車両と運転者との間で構成されるフィードバック制
御系の中で,当該運転者が感じられる操縦感とか操舵感
といった方が理解し易い)に及ぼす影響は考慮されてお
らず、これらの弾性係数や減衰係数を如何様に設定する
かの開示がなされていないために、当該ステアリング装
置のもつ特性を十分に活かしきれず、特に操舵応答性の
向上効果がでないといった可能性がある。
【0005】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、コラムカップリング及びラックインシュ
レータの弾性係数や減衰係数を適切に設定することによ
り、当該ステアリング装置のもつ特性を十分に発揮し
て,特に操縦応答性に関する操縦感や操舵感を向上可能
な車両のステアリング装置を提供することを目的とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果,以下の知見を得
て本発明を開発した。即ち、前述のような操縦感とか操
舵感といったものを考えた場合、ゆっくりとした操舵,
即ち運転者によるステアリングホイールの操舵速度が比
較的遅いときには、実際の転舵輪の転舵角がより大きい
或いは速いほうが当該転舵輪のコーナリングフォースの
発生を早めるから,車両の回頭性が向上して所謂きびき
びした車両挙動が望め、従って操縦性が向上する。従っ
て、ステアリングホイールの操舵速度を周波数入力とし
て捉えた場合、より低周波数帯域の操舵入力に対しては
転舵出力の応答性を高く設定して車両挙動を鋭敏にする
ことが望まれる。
【0007】さて、前述のように弾性力を有しながら減
衰力を発揮するコラムカップリング及びラックインシュ
レータを備えたステアリング装置にあっては、当該コラ
ムカップリングもラックインシュレータも夫々に弾性係
数と減衰係数とを併せ持っていると考えられる。一方、
操舵入力に対する転舵出力の伝達関数に着目すると、例
えばゲイン(利得)の増加傾きが一定である場合には,
前述のように低周波数帯域の操舵入力に対してゲインの
増加量を増大することが,前記ゆっくりとした操舵時に
転舵出力の応答性を高くすることであり、これは当該低
周波数帯域の操舵入力に対する転舵出力の位相進み角を
大きくすること,即ちゲインを大きくすることでも達成
される。そこで、コラムカップリング及びラックインシ
ュレータの夫々による,操舵入力に対する転舵出力の伝
達関数に着目すると、夫々の減衰系による位相進み,即
ち微分的な作用によってゲインが増加する操舵入力周波
数帯域の存在することが分かる。ここで、コラムカップ
リング及びラックインシュレータの夫々によるゲインの
増加開始操舵入力周波数を折点周波数と定義すると、夫
々の折点周波数は,夫々の弾性係数及び減衰係数から一
意に設定され、具体的には弾性係数の減衰係数に対する
比(実質的には更にそれを2πで除した形)で表され
る。今、コラムカップリング及びラックインシュレータ
に要求される仕様諸元から両者の夫々による位相進み,
即ち前記ゲインの増加傾きがほぼ一定であるとすると、
前記目的を達成するためには,より折点周波数が低周波
数側に位置する,つまり前記弾性係数の減衰係数に対す
る比が小さい方のゲインの増加量を確保する,或いは積
極的に大きくすることが必須要件となり、具体的には当
該折点周波数の小さい,即ち弾性係数の減衰係数に対す
る比の小さい方の弾性係数を小さくすることで,前記ゲ
インの増加周波数帯域の幅を広くすることができること
を見出した。
【0008】ここで、コラムカップリングが,ステアリ
ングコラムシャフトの回転方向(厳密には捩じり方向)
への力(回転力,偶力)に対して弾性力や減衰力を発揮
するのに対して、ラックインシュレータは,ラックアン
ドピニオン機構のラックハウジングの移動方向,即ちラ
ック軸の移動方向への力(直線推力)に対して弾性力や
減衰力を発揮することに着目すると、これらの各弾性係
数や減衰係数をそのまま用いたのでは,前記運動方程式
から導出される伝達関数と特性方程式から導出される折
点周波数との相関が不明瞭なものになってしまう。勿
論、最終的に設定されるべきは,これら運動方向の異な
る力に対する弾性係数や減衰係数であることは間違いな
いのであるが、伝達関数と折点周波数との相関を明瞭に
するために,考え方としてラックインシュレータの弾性
係数及び減衰係数を,コラムカップリングの捩じり方向
への等価的な弾性係数及び減衰係数に換算し、この等価
的な弾性係数及び減衰係数を用いたゲインの増加周波数
帯域同志を比較して所望するステアリング応答特性を得
ようとするものである。
【0009】ところで、前記操舵入力周波数に対する転
舵出力の伝達関数は、当該操舵入力周波数に対してコラ
ムカップリングやラックインシュレータが線形に弾性力
や減衰力を発現することを前提としている。若し、これ
らの周波数特性が非線形であるとすると,即ち何らかの
ヒステリシスを有するものであるとすると、前述した折
点周波数やゲインの増加周波数帯域が変化してしまい,
或いはゲインの増加傾きが変化してしまうから、前記所
望するステアリング応答特性の設定が困難となって実車
へのチューニングは非常に困難なものとなる。従って、
実車レベルでのチューニングを考慮すると、コラムカッ
プリング及びラックインシュレータの操舵入力周波数特
性は線形であることが望ましい。そして、少なくとも現
時点で,このような線形周波数特性を有する弾性・減衰
部材には、所謂剪断変形を伴って弾性力や減衰力を発現
するものが好適である。従って、剪断変形を伴って弾性
力や減衰力を発現するコラムカップリング及び/又はラ
ックインシュレータを用いることで,前記ステアリング
応答特性を設定,チューニングし易くなる。
【0010】而して、本発明のうち請求項1に係るステ
アリング装置は、ステアリングコラムシャフトの回転に
伴って弾性変形しながら減衰力を有するコラムカップリ
ングと、このステアリングコラムシャフトの回転運動を
直線運動に変換するためのラックアンドピニオン機構の
ラックハウジングを弾性支持しながら減衰力を有するラ
ックインシュレータとを備えた車両のステアリング装置
において、前記コラムカップリングの弾性係数及び減衰
係数から算出される当該弾性係数の減衰係数に対する比
が,ラックインシュレータの弾性係数及び減衰係数をコ
ラムカップリングの捩じり方向に換算した等価的な弾性
係数及び減衰係数から算出される当該等価的な弾性係数
の等価的な減衰係数に対する比以下であるとき、前記コ
ラムカップリングの弾性係数が前記ラックインシュレー
タの等価的な弾性係数以下となるように、前記両者の弾
性係数,減衰係数を設定したことを特徴とするものであ
る。
【0011】また、本発明のうち請求項2に係る車両の
ステアリング装置は、ステアリングコラムシャフトの回
転に伴って弾性変形しながら減衰力を有するコラムカッ
プリングと、このステアリングコラムシャフトの回転運
動を直線運動に変換するためのラックアンドピニオン機
構のラックハウジングを弾性支持しながら減衰力を有す
るラックインシュレータとを備えた車両のステアリング
装置において、前記ラックインシュレータの弾性係数及
び減衰係数をコラムカップリングの捩じり方向に換算し
た等価的な弾性係数及び減衰係数から算出される当該等
価的な弾性係数の等価的な減衰係数に対する比が,コラ
ムカップリングの弾性係数及び減衰係数から算出される
当該弾性係数の減衰係数に対する比以下であるとき、前
記ラックインシュレータの等価的な弾性係数が前記コラ
ムカップリングの弾性係数以下となるように、前記両者
の弾性係数,減衰係数を設定したことを特徴とするもの
である。
【0012】また、本発明のうち請求項3に係る車両の
ステアリング装置は、前記コラムカップリングが、剪断
変形に伴って前記弾性力及び減衰力を発現するものであ
ることを特徴とするものである。また、本発明のうち請
求項4に係る車両のステアリング装置は、前記ラックイ
ンシュレータが、剪断変形に伴って前記弾性力及び減衰
力を発現するものであることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】本発明のうち請求項1に係る車両のステアリン
グ装置では、前記コラムカップリングの弾性係数の減衰
係数に対する比が,前記ラックインシュレータの等価的
な弾性係数の等価的な減衰係数に対する比以下であると
きには、コラムカップリングの折点周波数がラックイン
シュレータの折点周波数より小さいから、操舵入力周波
数に対する当該コラムカップリングによるゲインの増加
周波数帯域はより低周波数側にあるとして、このコラム
カップリングによってゲインの増加量を確保する或いは
積極的に大きくするように,即ち当該コラムカップリン
グの弾性係数が小さくなってそのゲイン増加周波数帯域
の幅が広がるように,コラムカップリング及びラックイ
ンシュレータの弾性係数及び減衰係数を設定したことに
より、前述のようにゆっくりとした操舵入力に対しては
車両挙動が鋭敏になり、運転者にはきびきびとした操縦
性が感じられるというステアリング応答特性を得ること
ができる。
【0014】本発明のうち請求項2に係る車両のステア
リング装置では、前記ラックインシュレータの等価的な
弾性係数の等価的な減衰係数に対する比が,前記コラム
カップリングの弾性係数の減衰係数に対する比以下であ
るときには、ラックインシュレータの折点周波数がコラ
ムカップリングの折点周波数より小さいから、操舵入力
周波数に対する当該ラックインシュレータによるゲイン
の増加周波数帯域はより低周波数側にあるとして、この
ラックインシュレータによってゲインの増加量を確保す
る或いは積極的に大きくするように,即ち当該ラックイ
ンシュレータの等価的な弾性係数が小さくなってそのゲ
イン増加周波数帯域の幅が広がるように,コラムカップ
リング及びラックインシュレータの弾性係数及び減衰係
数を設定したことにより、前述のようにゆっくりとした
操舵入力に対しては車両挙動が鋭敏になり、運転者には
きびきびとした操縦性が感じられるというステアリング
応答特性を得ることができる。
【0015】本発明のうち請求項3に係る車両のステア
リング装置では、前記コラムカップリングが,剪断変形
を伴って弾性力や減衰力を発現するもの,つまり線形周
波数特性を有するものであるために、前記ステアリング
応答特性の特性や実車へのチューニングが容易になり、
前記発明を実用化し易くなる。本発明のうち請求項4に
係る車両のステアリング装置では、前記ラックインシュ
レータが,剪断変形を伴って弾性力や減衰力を発現する
もの,つまり線形周波数特性を有するものであるため
に、前記ステアリング応答特性の特性や実車へのチュー
ニングが容易になり、前記発明を実用化し易くなる。
【0016】
【実施例】次に本発明の車両のステアリング装置につい
て図面を引用しながら詳細に説明する。図1〜図3は本
発明の車両のステアリング装置の一実施例を示すもので
ある。なお、この実施例では,所謂パワーステアリング
装置を介装しないステアリング装置について説明する。
【0017】図1aにおいて、ステアリングホイール1
にはステアリングコラムシャフト2が嵌合されており、
運転者のステアリングホイール1の回転操舵によって,
このステアリングコラムシャフト2も同等の位相で回転
する。このステアリングコラムシャフト2の回転運動,
即ちステアリングホイール1の回転運動は、上方ジョイ
ント3aを介してインターミディエートシャフト4に伝
達され、更に下方ジョイント3bを介してスタブシャフ
ト6に伝達される。
【0018】このスタブシャフト6にはピニオン7が取
付けられ、このピニオン7にラック軸8のラック8aが
噛合していて、両者で所謂ラックアンドピニオン機構を
なす。このラックアンドピニオン機構は、既知のように
前記ステアリングホイール1から伝達されたピニオン6
の回転運動を,ラック8aを介してラック軸8の直線運
動(並進運動)に変換するものであり、当該ラック軸8
の直線推力はその軸線方向に一致又はほぼ一致すると考
えてよい。
【0019】このように並進運動に変換されたラック軸
8の直線推力は、内側ジョイント21aを介してサイド
ロッド(タイロッド)11に伝達され、このサイドロッ
ド11に掛かる直線推力が,外側ジョイント21bを介
してナックルアーム12を腕とする偶力に変換され、こ
の偶力によって転舵輪13が転舵する。前記インターミ
ディエートシャフト4の中間部には、従来と同様に高ロ
スファクターゴムのラバーカップリング等からなるコラ
ムカップリング5が介装されている。このコラムカップ
リング5は、主として操舵入力として与えられるステア
リングコラムシャフト2の回転力(実質的にはインター
ミディエートシャフト4に伝達された回転力)の,当該
インターミディエートシャフト4の捩じり方向に作用す
る捩じり力に対して弾性力を発揮するものであるが、通
常のラバーカップリングと同様にこのインターミディエ
ートシャフト4の捩じり方向への捩じり力に対して減衰
力も発揮する。更に本発明では,このコラムカップリン
グ5が捩じり力に対して弾性力や減衰力を線形に発現す
るために、当該コラムカップリング5が捩じり力によっ
て剪断変形する部材で構成しており、具体的には例えば
実開昭64−18634号公報に記載される,所謂チュ
ーブインチューブタイプのコラムカップリングが採用さ
れる。前述したようにコラムカップリングによる操舵入
力周波数に対する転舵出力の伝達関数を考慮した場合、
当該コラムカップリングによるゲイン増加開始操舵入力
周波数,つまり折点周波数やその増加周波数帯域,或い
はその増加傾きは、当該コラムカップリングの弾性係数
や減衰係数から一意に設定されるべきであるが、この弾
性係数や減衰係数に相当する弾性力や減衰力が,操舵入
力周波数に対して線形特性を有さない,つまり何らかの
ヒステリシスを有するとすると、これらの設定されるべ
き数値も変化してしまって後述するステアリング応答特
性を設定することが困難となり、実車へのチューニング
は非常に困難になる。その点、前述のように剪断変形を
伴って弾性力や減衰力を発現するコラムカップリングで
は,その出力周波数特性が線形であって、所望するステ
アリング応答特性の設定や実車へのチューニングが容易
となる。逆に、例えば特開平4−157210号公報に
記載されるコラムカップリングのように,圧縮変形や引
張変形を伴って弾性力や減衰力を発現するものにあって
は、ヒステリシスが大きくて実車へのチューニングが非
常に困難となることが予想される。なお、このようにコ
ラムカップリングが弾性力と減衰力とを同時に発揮する
ものであることから、前記特開昭60−161251号
公報に記載されるように,弾性力はラバーカップリング
に主として専任させ、減衰力はオリフィスを通過する粘
性流体によって主として専任的に発揮されるようにして
も差し支えない。また、このコラムカップリング5は、
タイヤを介して転舵輪13に伝達される路面入力が、前
記操舵力伝達経路を逆上ってステアリングコラムシャフ
ト2(最終的にはステアリングホイール1)に伝達され
る際にも、この路面入力のインターミディエートシャフ
ト4の捩じる方向への捩じり力に対して弾性力及び減衰
力を発揮するが、ここでは単に操舵力の伝達方向への弾
性力及び減衰力についてのみ説明を行う。
【0020】また、前記ラック軸8のラック8a(ピニ
オン7を含む)はラックハウジング9に内装されてお
り、このラックハウジング9が,ラックインシュレータ
10を介して車体側部材20に連結されている。このラ
ックインシュレータ10は,従来と同様に高ロスファク
ターゴムのラバーインシュレータ等からなり、前記ラッ
クハウジング9が,前記ラック軸8の移動方向,即ち当
該ラック軸8の軸線方向に移動しようとする直線推力に
対して主として弾性力を発揮するものであるが、通常の
ラバーインシュレータと同様にこのラックハウジング9
のラック軸線方向への移動推力に対して減衰力も発揮す
る。更に本発明では,このラックインシュレータ10が
前記直線推力に対して弾性力や減衰力を線形に発現する
ために、当該ラックインシュレータ10が直線推力によ
って剪断変形する部材で構成している。ここでも、前述
したようにラックインシュレータによる操舵入力周波数
に対する転舵出力の伝達関数を考慮した場合、当該ラッ
クインシュレータによるゲイン増加開始操舵入力周波
数,つまり折点周波数やその増加周波数帯域,或いはそ
の増加傾きは、当該ラックインシュレータの弾性係数や
減衰係数から一意に設定されるべきであるが、この弾性
係数や減衰係数に相当する弾性力や減衰力が,操舵入力
周波数に対して線形特性を有さない,つまり何らかのヒ
ステリシスを有するとすると、これらの設定されるべき
数値も変化してしまって後述するステアリング応答特性
を設定することが困難となり、実車へのチューニングは
非常に困難になる。その点、前述のように剪断変形を伴
って弾性力や減衰力を発現するラックインシュレータで
は,その出力周波数特性が線形であって、所望するステ
アリング応答特性の設定や実車へのチューニングが容易
となる。逆に、圧縮変形や引張変形を伴って弾性力や減
衰力を発現するラックインシュレータにあっては、ヒス
テリシスが大きくて実車へのチューニングが非常に困難
となることが予想される。なお、このラックインシュレ
ータは前述のようにラックハウジングの直線推力に対し
て弾性力と減衰力とを同時に発揮するものであることか
ら、前記特開昭60−161251号公報に記載される
ように,オリフィスを通過する粘性流体及び当該粘性流
体の圧力制御弁等を用いて構成しても差し支えない。ま
た、このラックインシュレータ10は、車体から前記ラ
ックハウジング9に伝達される振動入力が、前記操舵力
伝達経路を逆上ってステアリングコラムシャフト2(最
終的にはステアリングホイール1)に伝達される際に
も、この車体振動入力のラック軸線方向への直線推力に
対して弾性力及び減衰力を発揮するが、ここでは単に操
舵力の伝達方向への弾性力及び減衰力についてのみ説明
を行う。
【0021】この図1aのステアリング装置を模式化し
たのが図1bである。この図1bでは、前記ステアリン
グコラムシャフト2から伝達されるインターミディエー
トシャフト4の捩じり方向への捩じり力に対して,コラ
ムカップリング5が発揮する弾性力及び減衰力に係る弾
性係数K1 及び減衰係数C1 を、前記捩じり方向に合わ
せて図のように表記してみた。
【0022】また、前記ラックハウジング9のラック軸
線方向への直線推力に対して,前記ラックインシュレー
タ10が発揮する弾性力及び減衰力に係る弾性係数K2
及び減衰係数C2 を、前記ラック軸線方向への直線推力
に合わせて図のように表記した。なお、ステアリングホ
イール1からピニオン7に回転力を伝達するステアリン
グコラムシャフト2,上方ジョイント3a,インターミ
ディエートシャフト4,下方ジョイント3b,スタブシ
ャフト6までは機械的に一連の剛体(制御応答からは直
達系)であるとして取扱う。また、ラック軸8,内側ジ
ョイント21a,サイドロッド11,外側ジョイント2
1bまでも,機械的に一連の剛体(制御応答からは直達
系)であるとして,ラック軸8を代表的に取扱う。ま
た、ナックルアーム12から転舵輪13までも機械的に
一連の剛体であるとして取扱う。
【0023】ここで、図1b中の各記号について説明す
る。図中、前述のようにK1 はコラムカップリング5の
弾性係数,C1 はコラムカップリングの減衰係数であ
り、K 2 はラックインシュレータ10の弾性係数,C2
はラックインシュレータの減衰係数である。また、rは
ピニオン7の有効(ピッチ円)半径で,操舵入力である
操舵角θに対してピニオン7の回転角をθ1 とする。こ
れに対して、前記ラックアンドピニオン機構のギヤ比を
Nとし、前記ピニオン7の回転角θ1 によるラック軸8
の軸線方向直線推力をFとする。このラック軸8の軸線
方向直線推力Fによって,ナックルアーム12及び転舵
輪13は,キングピン(仮想的なキングピンを含む)
K.P回りに回転されることになり、ここでナックルア
ーム12の着力点PからキングピンK.Pまでの腕の長
さをLとし、このキングピンK.P回りのナックルアー
ム12及び転舵輪13(タイヤやホイールを含む)の慣
性モーメントをIとする。更に、前記ナックルアーム1
2及び転舵輪13に係る偶力(回転力,モーメント)に
よる転舵輪13の実転舵角をδとし、転舵輪13のタイ
ヤの捩じり弾性係数をK3 とする。また、前記ラックハ
ウジング9のラック軸方向への直線推力による前記ラッ
クインシュレータ10の撓み量(変位)をyとする。
【0024】次に、本発明の基本原理を説明するため
に,このステアリング装置回りの運動方程式を以下のよ
うに構築する。まず、キングピンK.P回りの偶力の運
動方程式は下記1式で表される。 Iδ”+K3 δ=LF ……… (1) また、ラックインシュレータ10に作用する推力の運動
方程式は下記2式で表される。
【0025】 K2 y+C2 y’=F ……… (2) また、コラムカップリング5に作用する偶力の運動方程
式は下記3式で表される。 K1 (θ−θ1 )+C1 (θ’−θ1 ’)=rF ……… (3) 但し、転舵輪13の実転舵角δ及びラックアンドピニオ
ン機構のギヤ比Nは、夫々下記4式及び5式で与えられ
る。
【0026】 δ=(rθ−y)/L ……… (4) N=L/r ……… (5) そして、ここでは前記キングピンK.P回りの慣性モー
メントIは微小であるとして,I≒0として扱う。ここ
で、前記各条件を用いて推力F,変位y,ピニオン半径
rを消去するようにこれら1式〜5式を整理すると、下
記6式及び7式を得る。
【0027】
【数1】
【0028】ここで、前述のようにラックインシュレー
タ10の弾性係数K2 及び減衰係数C2 またタイヤの捩
じり弾性係数K3 を,コラムカップリング5の捩じり方
向への等価的な弾性係数K2 ’及び減衰係数C2 ’また
弾性係数K3 ’に換算する。即ち、前記6式及び7式に
おいて,これらの各係数K2 ,C2 ,K3 が乗じられる
位相及び角速度の成分は,何れも当該コラムカップリン
グの捩じり方向(つまり回転方向)に一致されていると
考えられるから、各係数K2 ,C2 ,K3 に乗じられる
定数項をこの係数にまとめることで,前記等価的な弾性
係数K2 ’及び減衰係数C2 ’また弾性係数K3 ’への
換算が可能となる。
【0029】従って、前記コラムカップリング5の捩じ
り方向へのラックインシュレータ10の等価的な弾性係
数K2 ’及び減衰係数C2 ’,またコラムカップリング
5の捩じり方向へのタイヤの等価的な弾性係数K3
は、夫々下記8式〜10式で与えられる。 K2 ’=(L2 /N2 )K2 ……… (8) C2 ’=(L2 /N2 )C2 ……… (9) K3 ’=(1/N2 )K3 ………(10) 従って、この8式〜10式を前記6式及び7式に代入す
れば、当該6式及び7式は微分演算子Sを用いて下記1
1式及び12式に表される。
【0030】 (C2 ’S+K2 ’)(θ1 −Nδ)=(C1 S+K1 )(θ−θ1 ) ………(11) K3 ’Nδ=(C2 ’S+K2 ’)(θ1 −Nδ) ………(12) この11式,12式で与えられる運動方程式は,図2に
示すタイヤの一端が路面に固定されているモデルと等価
であることが分かる。ここで、前記作用する力の方向を
統一するように変換して得られた等価的なタイヤと,同
じく等価的なラックインシュレータとの間に仮想質点m
(=0)が存在すると想定し、この仮想質点mにラック
インシュレータ側から力F2 とタイヤ側から力F3 とが
作用している状態を想定する。ここで、各力F2 ,F3
は夫々下記13式〜15式で表される。
【0031】 F2 =(C2 ’S+K2 ’)(θ1 −Nδ)=(C1 S+K1 )(θ−θ1 ) ………(13) F3 =K3 ’Nδ ………(14) F2 −F3 =mS2 Nδ ………(15) ここで、前記13式からピニオンの回転角θ1 を消去す
ると,下記16式を得る。
【0032】
【数2】
【0033】次に、前記15式に前記14式及び16式
を代入して整理すると,下記17式を伝達関数として得
る。
【0034】
【数3】
【0035】ここで、前記17式において,分母を微分
演算子Sの一次式の積の形で近似し、また仮想質点m=
0を代入すると,当該17式の分母は下記18式で与え
られる。
【0036】
【数4】
【0037】但し、 A=K1 2'+K2'K3'+K3'K1 ………(19) であり、また前記18式で表される17式の分母の第2
項,つまり微分演算子の二乗S2 の項は微小値であると
してネグレクトする。ここで、
【0038】
【数5】
【0039】とおくと、前記17式の伝達関数は下記2
2式で表される。
【0040】
【数6】
【0041】この22式で与えられる操舵角θに対する
ギヤ比・実転舵角Nδの伝達関数Nδ/θをボード線図
化すると図3に示すような周波数応答特性を得ることが
できる。同図において,図3aはゲイン|Nδ/θ|,
図3bは位相∠(Nδ/θ)を示す。そして、この伝達
関数によれば図3aに示すように操舵周波数入力に対し
てゲイン|Nδ/θ|が増加する,或いは位相∠(Nδ
/θ)が進む周波数帯域A,Bが存在する。
【0042】ここで、例えば前記コラムカップリングの
弾性係数と減衰係数との比(K1 /C1 )が,前記等価
的なラックインシュレータの弾性係数と減衰係数との比
(K 2'/C2')以下であると想定すると、より低周波数
帯域に折点周波数を有するコラムカップリングの低周波
数寄り折点周波数fL ,つまりより低周波数寄りでゲイ
ン|Nδ/θ|が増加し始める周波数は下記23式で与
えられる。
【0043】 fL =K1 /2πC1 ………(23) また、このコラムカップリングで,前記操舵力伝達経路
のゲイン|Nδ/θ|が増加する,即ち位相∠(Nδ/
θ)が進んでいる領域の低周波数寄りゲイン増加周波数
上限値fL ' は、下記24式で与えられる。 fL ' =fL /(1−K123 /K1 ) ………(24) 同様に、より高周波数帯域に折点周波数を有する等価的
なラックインシュレータの高周波数寄り折点周波数
H ,つまりより高周波数寄りでゲイン|Nδ/θ|が
増加し始める周波数は下記25式で与えられる。
【0044】 fH =K2'/2πC2' ………(25) また、この等価的なラックインシュレータで,前記操舵
力伝達経路のゲイン|Nδ/θ|が増加する,即ち位相
∠(Nδ/θ)が進んでいる領域の高周波数寄りゲイン
増加周波数上限値fH ' は、下記26式で与えられる。 fH ' =fH /(1−K123 /K2') ………(26) また、前記操舵入力に対する操舵力伝達経路の定常ゲイ
ン(1−k)は下記27式で与えられる。
【0045】 1−k=1−K123 /K12 ………(27) ここで、図3a,bの各横軸は対数表示されているた
め、前記ゲイン|Nδ/θ|の増大する周波数帯域A,
Bの幅は、下記28式及び29式で得られる。
【0046】
【数7】
【0047】然るに、図3において,増大するゲイン|
Nδ/θ|の傾きは20dB/dec.程度で一定であると
すると、操舵入力の高周波数側でゲイン|Nδ/θ|が
必ず“1”に飽和することから、前記ゲイン|Nδ/θ
|の増大する周波数帯域A,Bの幅の和は,前記定常ゲ
イン(1−k)で決定されてしまうことになる。つま
り、このゲイン|Nδ/θ|が増加する周波数帯域A,
Bの幅を適切に設定することで、操舵力伝達系の周波数
応答特性を良好にすることができる。
【0048】ここで、例えば自動車技術会論文集1970.
No.1,P89 〜P94 の「人動車の進路変更特性」(平尾
収,安部 正人)によれば、操舵入力が低周波数側であ
る場合,即ちゆっくりとした操舵時に、転舵応答性向
上,つまり前記ゲイン|Nδ/θ|が増大することは運
転者(人間)にとって望ましいことが述べられている。
経験的には、ゆっくりとした操舵,即ち運転者によるス
テアリングホイールの操舵速度が比較的遅いときには、
実際の転舵輪の転舵角がより大きい或いは速いほうが当
該転舵輪のコーナリングフォースの発生を早めるから,
車両の回頭性が向上して所謂きびきびした車両挙動が望
め、従って操縦性が向上することなどで言い表されよ
う。
【0049】従って、今、仮に前記ゲイン|Nδ/θ|
が増加する低周波数帯域Aの幅よりも,同じくゲイン|
Nδ/θ|が増加する高周波数帯域Bの幅を大きく(広
く)設定してしまったとすると、前記操舵入力の低周波
数側での位相進みやゲイン増大といった微分的な,つま
り一次進み成分による効果が小さくなり、本来的にこの
ステアリング装置が有する機能を十分に活かしていると
は言い難い。ここでは、前述のような操舵応答性の向上
が望まれる周波数帯域は,一般に0〜5Hz程度の低周
波数帯域であることから、ゲイン|Nδ/θ|が増加す
る低周波数帯域Aの幅を,同じくゲイン|Nδ/θ|が
増加する高周波数帯域Bの幅以上に設定することにす
る。この条件式は、前記28式及び29式を用いて,下
記30式で与えられることになる。
【0050】
【数8】
【0051】この30式より、前述のようにコラムカッ
プリングの折点周波数が,等価的なラックインシュレー
タの折点周波数よりも小さい(低い)とき、コラムカッ
プリングの弾性係数の減衰係数に対する比が,ラックイ
ンシュレータの等価的な弾性係数の等価的な減衰係数に
対する比以下であるときには、当該等価的なラックイン
シュレータの弾性係数K2'が,コラムカップリングの弾
性係数K1 以上になればよいことになる。
【0052】逆に、等価的なラックインシュレータの折
点周波数が,コラムカップリングの折点周波数よりも小
さい(低い)ときには、より低周波数帯域に折点周波数
を有する等価的なラックインシュレータの低周波数寄り
折点周波数fL ,つまりより低周波数寄りでゲイン|N
δ/θ|が増加し始める周波数は下記31式で与えられ
る。
【0053】 fL =K2'/2πC2' ………(31) また、この等価的なラックインシュレータで,前記操舵
力伝達経路のゲイン|Nδ/θ|が増加する,即ち位相
∠(Nδ/θ)が進んでいる領域の低周波数寄りゲイン
増加周波数上限値fL ' は、下記32式で与えられる。 fL ' =fL /(1−K123 /K2') ………(32) 同様に、より高周波数帯域に折点周波数を有するコラム
カップリングの高周波数寄り折点周波数fH ,つまりよ
り高周波数寄りでゲイン|Nδ/θ|が増加し始める周
波数は下記33式で与えられる。
【0054】 fH =K1 /2πC1 ………(33) また、このコラムカップリングで,前記操舵力伝達経路
のゲイン|Nδ/θ|が増加する,即ち位相∠(Nδ/
θ)が進んでいる領域の高周波数寄りゲイン増加周波数
上限値fH ' は、下記34式で与えられる。 fH ' =fH /(1−K123 /K1 ) ………(34) ここで、前記ゲイン|Nδ/θ|の増大する周波数帯域
A,Bの幅は、下記35式及び36式で得られる。
【0055】
【数9】
【0056】ここで、前述と同様にゲイン|Nδ/θ|
が増加する低周波数帯域Aの幅を,同じくゲイン|Nδ
/θ|が増加する高周波数帯域Bの幅以上に設定するこ
とにすれば、その条件式は、前記35式及び36式を用
いて,下記37式で与えられることになる。
【0057】
【数10】
【0058】この37式より、前述のように等価的なラ
ックインシュレータの折点周波数が,コラムカップリン
グの折点周波数よりも小さい(低い)とき、即ちラック
インシュレータの等価的な弾性係数の等価的な減衰係数
に対する比が,コラムカップリングの弾性係数の減衰係
数に対する比以下であるときには、当該コラムカップリ
ングの弾性係数K1 が,等価的なラックインシュレータ
の弾性係数K2'以上になればよいことになる。
【0059】次に、本実施例のステアリング装置で,実
際に設定されたコラムカップリングの弾性係数及び減衰
係数,ラックインシュレータの弾性係数及び減衰係数の
一例について、前記発明原理を検証してみる。ここで
は、ラックインシュレータが,より低周波数側の操舵入
力に対して周波数応答特性を向上するために、これらの
各係数は以下のように設定された。
【0060】 コラムカップリングの弾性係数K1 : 337Nm/rad. コラムカップリングの減衰係数C1 : 16.1Nm/rad./sec. ラックインシュレータの弾性係数K2 : 2940000N/m ラックインシュレータの減衰係数C2 : 561500N/m/sec. また、ナックルアームの腕の長さL:0.13m,ラッ
クアンドピニオン機構のギヤ比N:18である。
【0061】ここで、前記8式及び9式で算出されるラ
ックインシュレータの等価的な弾性係数K2'及び減衰係
数C2'は以下のようになる。 ラックインシュレータの等価的な弾性係数K2': 153Nm/rad. ラックインシュレータの等価的な減衰係数C2': 29.3Nm/rad./sec. 従って、コラムカップリングの弾性係数の減衰係数に対
する比は20.93となり、等価的なラックインシュレ
ータの弾性係数の減衰係数に対する比は5.22とな
り、前述した条件を満足している。
【0062】また、ラックインシュレータの折点周波数
は,前記31式に従って0.8Hz程度となり、コラム
カップリングの折点周波数は,前記33式に従って3.
3Hz程度となり、前記所望するステアリング特性の周
波数応答特性条件を満足している。なお、この数値は,
前記実施例における一例に過ぎず、本来的には車両特性
に応じて設定されるべきものであり、本発明では前記の
設定条件が満足されれば,前述した所望するステアリン
グ装置の周波数応答特性を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように本発明のステアリン
グ装置によれば、操舵力伝達経路に存在するコラムカッ
プリング及びラックインシュレータの弾性係数及び減衰
係数を適切に設定することができるため、低周波数帯域
の操舵入力に対する転舵出力のゲインの増加量が大きく
なって応答性が高くなり、ゆっくりとした操舵入力に対
しては車両挙動が鋭敏になって運転者にはきびきびとし
た操縦性が感じられることを可能とする。また、コラム
カップリングやラックインシュレータが剪断変形を伴っ
て弾性力や減衰力を発現するものとすれば、それらの周
波数特性が線形となって前記ステアリング応答特性を設
定し易くなり,実車へのチューニングも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステアリング装置の一実施例を示すも
のであり、(a)は概略構成図,(b)は同図aの模式
図である。
【図2】図1のステアリング装置のモデル図である。
【図3】図1のステアリング装置の伝達関数のボード線
図である。
【符号の説明】
1はステアリングホイール 2はスアテアリングコラムシャフト 3a,3bはジョイント 4はインターミディエートシャフト 5はコラムカップリング 6はスタブシャフト 7はピニオン 8はラック軸 9はラックハウジング 10はラックインシュレータ 11はタイロッド 12はナックルアーム 13は転舵輪 20は車体側部材 K1 はコラムカップリングの弾性係数 C1 はコラムカップリングの減衰係数 K2 はラックインシュレータの弾性係数 C2 はラックインシュレータの減衰係数 K2'はラックインシュレータの等価的な弾性係数 C2'はラックインシュレータの等価的な減衰係数

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングコラムシャフトの回転に伴
    って弾性変形しながら減衰力を有するコラムカップリン
    グと、このステアリングコラムシャフトの回転運動を直
    線運動に変換するためのラックアンドピニオン機構のラ
    ックハウジングを弾性支持しながら減衰力を有するラッ
    クインシュレータとを備えた車両のステアリング装置に
    おいて、前記コラムカップリングの弾性係数及び減衰係
    数から算出される当該弾性係数の減衰係数に対する比
    が,ラックインシュレータの弾性係数及び減衰係数をコ
    ラムカップリングの捩じり方向に換算した等価的な弾性
    係数及び減衰係数から算出される当該等価的な弾性係数
    の等価的な減衰係数に対する比以下であるとき、前記コ
    ラムカップリングの弾性係数が前記ラックインシュレー
    タの等価的な弾性係数以下となるように、前記両者の弾
    性係数,減衰係数を設定したことを特徴とする車両のス
    テアリング装置。
  2. 【請求項2】 ステアリングコラムシャフトの回転に伴
    って弾性変形しながら減衰力を有するコラムカップリン
    グと、このステアリングコラムシャフトの回転運動を直
    線運動に変換するためのラックアンドピニオン機構のラ
    ックハウジングを弾性支持しながら減衰力を有するラッ
    クインシュレータとを備えた車両のステアリング装置に
    おいて、前記ラックインシュレータの弾性係数及び減衰
    係数をコラムカップリングの捩じり方向に換算した等価
    的な弾性係数及び減衰係数から算出される当該等価的な
    弾性係数の等価的な減衰係数に対する比が,コラムカッ
    プリングの弾性係数及び減衰係数から算出される当該弾
    性係数の減衰係数に対する比以下であるとき、前記ラッ
    クインシュレータの等価的な弾性係数が前記コラムカッ
    プリングの弾性係数以下となるように、前記両者の弾性
    係数,減衰係数を設定したことを特徴とする車両のステ
    アリング装置。
  3. 【請求項3】 前記コラムカップリングは、剪断変形に
    伴って前記弾性力及び減衰力を発現するものであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の車両のステアリン
    グ装置。
  4. 【請求項4】 前記ラックインシュレータは、剪断変形
    に伴って前記弾性力及び減衰力を発現するものであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両の
    ステアリング装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007269278A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jtekt Corp 車両用操舵装置
KR20140083803A (ko) * 2012-12-26 2014-07-04 현대모비스 주식회사 차선 유지 보조 시스템 및 전자동 조향 장치의 협력 시스템 및 이를 위한 방법

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