JP3282698B2 - 車両用補助舵角制御装置 - Google Patents

車両用補助舵角制御装置

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JP3282698B2
JP3282698B2 JP33522493A JP33522493A JP3282698B2 JP 3282698 B2 JP3282698 B2 JP 3282698B2 JP 33522493 A JP33522493 A JP 33522493A JP 33522493 A JP33522493 A JP 33522493A JP 3282698 B2 JP3282698 B2 JP 3282698B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヨーレイトフィードバ
ック制御等により補助舵角を与える車両用補助舵角制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フィードフォワード制御+ヨーレ
イトフィードバック制御により後輪に補助舵角を与える
車両用補助舵角制御装置としては、例えば、特開平2−
18168号公報に記載の装置が知られている。
【0003】この従来出典には、所望のヨーレイト応答
モデルである規範モデルを持ち、車速と操舵角と規範モ
デルを用いてヨーレイト目標値を決め、このヨーレイト
目標値に遅れ要素を介在させて得られた値をヨーレイト
フィードバック系で用いるヨーレイト推定値とすること
で、フィードバック系は主に外乱やパラメータ変動を吸
収する場合でのみ作動するようにした技術が開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の車両用補助舵角制御装置にあっては、ヨーレイトフ
ィードバック系でヨーレイト偏差に対応した後輪舵角フ
ィードバック目標値の算出処理において位相を何ら調整
することなく後輪舵角フィードバック目標値が設定され
るため、ヨーレイト偏差が生じフィードバック制御が効
く外乱発生時、真に制御したい外乱発生時期に対して実
際にフィードバック制御が実行される時期に遅れが生
じ、ドライバに違和感を与える。
【0005】つまり、ヨーレイトフィードバック制御に
より後輪に補助舵角を与える場合、車両で発生するヨー
レイトに対しヨーレイトセンサを介して信号として読み
取るヨーレイトは位相遅れがある。しかも、外乱に対す
る車両の過渡応答時のように外乱の入力周波数が高周波
域であればあるほど位相遅れによる影響が大きくなり、
フィードバック制御を行なっても外乱がうまく収束され
ず車両挙動が表われ、フィードバック制御効果(外乱安
定性の向上)が実現されないことになる。
【0006】そこで、本出願人は、ヨーレイト偏差に基
づくフィードバック補償部に1次/1次のフィルタ構成
による位相進み補償器を用い、補償器のフィルタ定数の
設定により所定の入力周波数域で対外乱性能を向上させ
る内容の出願を先に行なった(特願平5−332702
号)。
【0007】しかし、この場合、対外乱性能が向上する
周波数域が特定の周波数域に限られるため、轍等の路面
不整の外乱に対し、後輪入力外乱のように周波数の高い
路面不整に補償器のフィルタ定数を合わせると、周波数
の低い路面不整に対し外乱抑止性能が悪くなってしま
う。また、前輪入力外乱のように周波数の低い路面不整
に補償器のフィルタ定数を合わせると、周波数の高い路
面不整に対し外乱抑止性能が悪くなってしまう。
【0008】本発明は、上記のような問題に着目してな
されたもので、その目的とするところは、ヨーレイトフ
ィードバック制御等により補助舵角を与える車両用補助
舵角制御装置において、低周波数域の入力外乱に対する
外乱抑止性能と高周波数域の入力外乱に対する外乱抑止
性能との両立を図ると共に、低車速から高車速まで安定
した応答による位相補償を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の本発明では、図1のクレーム対応図に示
すように、車速検出手段aと、ステアリング舵角検出手
段bと、車速検出値とステアリング舵角検出値に基づい
て自車に生じる運動状態量を推定する運動状態量推定手
段cと、推定される運動状態量と同種の運動状態量を検
出する運動状態量検出手段dと、運動状態量検出値と運
動状態量推定値との偏差を算出する運動状態量偏差算出
手段eと、運動状態量偏差に基づく補償により補助舵角
フィードバック目標値を算出する補助舵角フィードバッ
ク目標値算出手段fと、補助舵角フィードバック目標値
が得られる制御指令を補助舵角アクチュエータgに出力
する補助舵角制御手段hとを備えている車両用補助舵角
制御装置において、前記補助舵角フィードバック目標値
算出手段fは、運動状態量偏差に低周波補償と高周波補
償を組み合わせた補償を施す補償器f1を有し、 前記補
償器f1として、 ψ'c(S)={(T11s+1)/(T21s+1)} {(T12s+1)/(T22s+1)} ψ'e(s) または、 ψ'c(S)={(T11s+1)/(T21s+1)+(T12s+1)/(T22s+1)} ψ'e(s) ここで、T11,T21,T12,T22は補償器の時定数 ψ'eは運動状態量偏差 ψ'c(S)は補償器出力 を用い、かつ、補償器f1の時定数T11,T21,T12,T22
を、低車速域では位相進みを大きく、車速が大になるほ
ど位相進みを小さく抑えるように与えた ことを特徴とす
る。
【0010】
【0011】
【作用】車両走行時、運動状態量推定手段cにおいて、
車速検出手段aからの車速検出値とステアリング舵角検
出手段bからのステアリング舵角検出値に基づいて自車
に生じる運動状態量が推定され、運動状態量検出手段d
において、推定される運動状態量と同種の運動状態量が
検出され、運動状態量偏差算出手段eにおいて、運動状
態量検出値と運動状態量推定値との偏差が算出され、補
助舵角フィードバック目標値算出手段fにおいて、運動
状態量偏差に基づく補償により補助舵角フィードバック
目標値が算出され、補助舵角制御手段hにおいて、補助
舵角フィードバック目標値が得られる制御指令が補助舵
角アクチュエータgに出力される。上記補助舵角フィー
ドバック目標値算出手段fで補助舵角フィードバック目
標値を算出するにあたっては、補償器f1において、運
動状態量偏差に低周波補償と高周波補償を組み合わせた
補償が施される。
【0012】したがって、外乱入力により車両で発生す
る運動状態量に対し運動状態量検出手段dで検出される
運動状態量検出値の位相ずれを補償するに際し、例え入
力される外乱に低周波数域の外乱と高周波数域の外乱と
が共に含まれていても補償器f1による低周波補償と高
周波補償で共に位相ずれがキャンセルされることにな
り、低周波数域の入力外乱に対する外乱抑止性能と高周
波数域の入力外乱に対する外乱抑止性能との両立が図ら
れる。加えて、補償器f1により位相補償を施すにあた
っては、補償器f1の時定数T11,T21,T12,T22を、低車
速域では位相進みを大きく、車速が大になるほど位相進
みを小さく抑えるように与えていることで、車両の動特
性が車速が高車速であるほど高応答となるのに追従させ
た位相補償ゲインとなり、低車速から高車速まで安定し
た応答による位相補償、つまり、車両の動特性の影響を
受けない位相補償により、外乱に対する車両安定性の向
上が実現される。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0014】構成を説明する。
【0015】図2は本発明実施例の車両用補助舵角制御
装置が適用された四輪操舵車両を示す全体システム図で
ある。
【0016】図2において、前輪1,2の操舵は、ステ
アリングハンドル3と機械リンク式ステアリング機構4
によって行なわれる。これは、例えば、ステアリングギ
ア、ピットマンアーム、リレーロッド、サイドロッド
5,6、ナックルアーム7,8等で構成される。
【0017】そして、後輪9,10の転舵は、電動式ス
テアリング装置11(補助舵角アクチュエータgに相
当)によって行なわれる。この後輪9,10間は、ラッ
クシャフト12、サイドロッド13,14、ナックルア
ーム15,16により連結され、ラック12が内挿され
たラックチューブ17には、減速機構18とモータ19
とフェイルセーフソレノイド20が設けられ、このモー
タ19とフェイルセーフソレノイド20は、車速センサ
21(車速検出手段aに相当),前輪舵角センサ22
(ステアリング舵角検出手段bに相当),リア舵角サブ
センサ23,リア舵角メインセンサ24,ヨーレイトセ
ンサ25(運動状態量検出手段dに相当)等からの信号
を入力するコントローラ26により駆動制御される。
【0018】図3は電動式ステアリング装置11の具体
的な構成を示す断面図である。
【0019】図3において、ラック12が内挿されたラ
ックチューブ17はブラケットを介して車体に固定され
ている。そして、ラック12の両端部には、ボールジョ
イント30,31を介してサイドロッド13,14が連
結されている。減速機構18は、モータ19のモータ軸
に連結されたモータピニオン32と、該モータピニオン
32に噛合するリングギア33と、該リングギア33に
固定されると共にラックギア12aに噛み合うラックピ
ニオン35とによって構成されている。従って、モータ
19のモータ軸が回転すると、モータピニオン32→リ
ングギア33→ラックピニオン35へと回転が伝達さ
れ、回転するラックピニオン35とラックギア12aと
の噛み合いによりラックシャフト12が軸方向へ移動し
て後輪9,10の転舵が行なわれる。この後輪9,10
の転舵量は、ラックシャフト12の移動量、即ち、モー
タ軸の回転量に比例する。
【0020】前記ラックピニオン35には、その回転量
により後輪舵角を検出するポテンショメータ構造のリア
舵角メインセンサ24が設けられている。
【0021】前記フェイルセーフソレノイド20には、
ロックピン20aが進退可能に設けられていて、電子制
御系等のフェイル時には、ラックシャフト12に形成さ
れたロック溝12bにロックピン20aを嵌入させるこ
とでラックシャフト12を、後輪9,10が中立舵角位
置を保つ位置に固定するようにしている。
【0022】作用を説明する。
【0023】[後輪舵角制御作動]図4はコントローラ
26で行なわれる後輪舵角制御作動の流れを示すフロー
チャートであり、以下、各ステップについて説明する。
【0024】ステップ40では、車速Vとステアリング
舵角θと実ヨーレイトψ'sとリア舵角メインセンサ値δ
rsとが読み込まれる。
【0025】ここで、実ヨーレイトψ'sは、ヨーレイト
センサ25からのヨーレイトセンサ値Vψ' と、温度ド
リフトによる影響を取り除く検出ヨーレイト補正処理に
よって得られた最新のヨーレイトゼロ補正メモリ値V
ψ'om により算出される。
【0026】ステップ41では、車速Vとステアリング
舵角θを用いた位相反転ディレイ制御方式に基づく下記
の式により後輪舵角フィードフォワード目標値δRFF
*(以下、*は目標値を表すものとする。)が算出され
る。
【0027】δRFF*=Kθ+τθ+τ’θ ステップ42では、アクチュエータモデルを用い、後輪
舵角フィードフォワード目標値δRFF*を与えた場合、実
際に後輪舵角アクチュエータが後輪を操舵する量である
後輪舵角推定値δRFF#(以下、#は推定値を表すものと
する。)が算出される。
【0028】ここで、アクチュエータモデルは、後輪舵
角指令値に対し実際のアクチュエータを駆動させて得ら
れる実後輪舵角の伝達特性で与えられる。
【0029】ステップ43では、車両モデルを用い、車
速Vとステアリング舵角θと後輪舵角推定値δRFF#を与
えての走行を想定した場合のヨーレイト推定値ψ'#が算
出される。
【0030】ここで、車両モデルとしては、例えば、線
形2自由度平面車両モデルが用いられる。
【0031】ステップ44では、ヨーレイトセンサモデ
ルを用い、ヨーレイト推定値ψ'#から推定ヨーレイト
ψ's# が算出される。
【0032】ここで、ヨーレイトセンサモデルは、セン
サの周波数応答等のセンサ動特性の実験結果に基づく伝
達関数で与えられる。
【0033】尚、ステップ42〜44は、運動状態量推
定手段cに相当する。
【0034】ステップ45では、実ヨーレイトψ'sと推
定ヨーレイトψ's# との差によりヨーレイト偏差ψ'eが
算出される(運動状態量偏差算出手段eに相当)。
【0035】ステップ46では、一次遅れのフィルタを
構成するフィードバック補償器−1により、ヨーレイト
センサ25の出力に含まれる高周波ノイズが除去され
る。
【0036】このフィードバック補償器−1の入力信号
はψ'eであり、出力信号はψ'ec1である。
【0037】ステップ47では、低周波域用と高周波域
用とを組み合わせた補償を施すフィードバック補償器−
2により、外乱に対する車両の過渡応答が調整される
(補償器f1に相当)。
【0038】詳しくは後述するが、このフィードバック
補償器−2の入力信号はψ'ec1と車速Vであり、出力信
号はψ'ec2である。
【0039】ステップ48では、フィードバック比例ゲ
インKP によりフィードバック後輪舵角指令値δRFBO*
が算出される。
【0040】この比例ゲインの入力信号はψ'ec2と車速
Vであり、出力信号はδRFBO* である。
【0041】ステップ49では、車速Vに応じて、フィ
ードバック後輪舵角指令値δRFBO*の最大値を滑らかに
制限したフィードバック後輪舵角制限指令値δRFBL*
算出される。
【0042】この舵角リミッタの入力信号はδRFBO*
車速Vであり、出力信号はδRFBL* である。
【0043】ステップ50では、フィードバック後輪舵
角制限指令値δRFBL* にヒステリシスを設け、フィード
バックによる微小なヨーレイトの振動を取り除いたフィ
ードバック後輪舵角制限指令値δRFBH* が算出される。
【0044】この微小変化吸収器の入力信号はδRFBL*
と後輪舵角フィードバック目標値δRFB*であり、出力信
号はδRFBH* である。
【0045】ステップ51では、2次/2次のフィルタ
を構成するアクチュエータ位相補償器により、アクチュ
エータ制御系で設定されている伝達特性を希望する伝達
特性に変更して後輪舵角フィードバック目標値δRFB*
算出される。
【0046】このアクチュエータ位相補償器の入力信号
はδRFBH* であり、出力信号はδRFB*である。
【0047】尚、ステップ46〜51は、補助舵角フィ
ードバック目標値算出手段fに相当する。
【0048】ステップ52では、後輪舵角フィードフォ
ワード目標値δRFF*と後輪舵角フィードバック目標値δ
RFB*との和により後輪舵角目標値δR*が算出される。
【0049】ステップ53では、リア舵角メインセンサ
値δrsとロバストモデルマッチング手法を用いて後輪舵
角目標値δR*が得られる指令(PWMによるモータ制御
電流)が出力される(補助舵角制御手段hに相当)。
【0050】[ヨーレイトフィードバック補償]図5は
ヨーレイトフィードバック補償部を示すブロック図で、
ヨーレイトフィードバック補償部は、車両制御用F/B
補償器−1と、車両制御用F/B補償器−2と、比例ゲ
インと、舵角リミッタと、微小変化吸収器と、ACTR
位相補償器とによって構成されていて、以下、車両制御
用F/B補償器−2および比例ゲインについて説明す
る。
【0051】*車両制御用F/B補償器−2 まず、ヨーレイトフィードバック車両を検討するにあた
って、システムを単純化するためにアクチュエータやセ
ンサの伝達特性や車両の持つ非線形性を無視してフィー
ドバックシステムを表すと、図6に示すブロック図のよ
うになる。
【0052】ここで、後輪舵角−ヨーレイト伝達特性G
ψ'(S)は、線形2自由度平面車両モデルを用いて表現す
ると次式となる。
【0053】Gψ'(S)=ψ'(S)/ΔR(S)=(−B1・s−
0 )/(s2 +A1・s+A0 ) ただし、 B1 =2LR・KR・M・V20 =4(LF +LR )eKF・KR・V A1 ={2(LF2M+IZ )eKF +2(LR2M+IZ
)KR }V A0 =4(LF +LR )2・eKF・KR −2(LF・eKF
−LR・KR )MV2 M:車両質量 IZ :ヨー慣性モーメント LF :重心点〜前車軸間距離 LR :重心点〜後車軸間距離 eKF :前輪等価コーナリングパワー KR :後輪等価コーナリングパワー である。
【0054】そして、比例ゲインKP だけでフィードバ
ックを施した場合(GC2(S) =0)の伝達特性GPF(S)
を求める。
【0055】 GPF(S) =Gψ'(S)/{1−KP・Gψ'(S)} =(−B1・s−B0 )/(s2 +2ζPFωnPF +ω2 nPF) ただし、 ωnPF =√(A0 +KP・B0 ) ζPF=(A1 +KP・B1 )/2√(A0 +KP・B0 ) である。
【0056】つまり、伝達特性GPF(S) の式により単純
な比例フィードバック制御では、比例ゲインKP を設定
することにより、固有振動数ωnPF と減衰率ζPFとが一
意に定まってしまい設計自由度が低いことが分かる。そ
こで、設計自由度を上げると共に低周波数域と高周波数
域のいずれの領域においても外乱抑止機能を高める補償
器GC2(S) を与える。
【0057】この補償器GC2(S) は、高周波ノイズが除
去された入力信号であるヨーレイト偏差ψ'ec1からフィ
ードバック補償器−2の出力信号であるヨーレイト偏差
ψ'ec2を得る下記の伝達関数で構成される。
【0058】 GC2(S) =ψ'ec2(S) /ψ'ec1(S) ψ'ec2(S) =GC2(S)・ψ'ec1(S) ={(T11(V)s+1)/(T21(V)s+1)}・{(T12(V)s+1)/(T22(V)s+1)}・ψ'ec1(s) …(1) ただし、 s:微分演算子 T11(V),T21(V),T12(V),T22(V) :車速Vの関数による補
償器の時定数 ここで、高周波数用時定数TC11,TC21 としては、例え
ば、図7に示すような車速関数特性で与える。また、低
周波数用時定数TC12,TC22 としては、例えば、図8に示
すような車速関数特性で与える。尚、TC11及びTC12が大
きくなるほど位相進みが大きくなり、TC21及びTC22が大
きくなるほど位相遅れが大きくなる。つまり、図7で与
えられる特性では、低車速域では位相進みが大きく、車
速Vが大になるほど位相進みが小さく抑えられている。
【0059】また、補償器GC2(S) は、上記(1) 式に代
えて、下記のψ'ec2を得る(2) 式により与えるようにし
てもよい。
【0060】 ψ'ec2(S) =GC2(S)・ψ'ec1(S) ={(T11(V)s+1)/(T21(V)s+1)+(T12(V)s+1)/(T22(V)s+1)}・ ψ'ec1(s) …(2) さらに、2次に限らず、より高次の構成であってもよ
い。
【0061】*比例ゲイン 比例ゲインは、入力を車速Vとし、出力をフィードバッ
ク比例ゲインKP とする一変数マップ(図9)により構
成される。
【0062】このフィードバック比例ゲインKP は、外
乱安定性に対して最も支配的な値であり、予めナイキス
ト法によるゲイン,位相余裕から最大とり得る値を求め
ておく必要がある。
【0063】よって、車速Vにより比例ゲインKP が決
まると、フィードバック補償器−2からの入力信号であ
るψ'ec2により下記の式にてフィードバック後輪舵角指
令値δRFBO* が算出される。
【0064】δRFBO* =KP・ψ'ec2 [後輪舵角制御作用]走行時の後輪舵角制御作用は、図
4に示すフローチャートにしたがって実行される。
【0065】すなわち、ステップ41において、車速V
とステアリング舵角θを用いた位相反転ディレイ制御方
式に基づく式により後輪舵角フィードフォワード目標値
δRFF*が算出される。
【0066】一方、ステップ42〜ステップ44におい
て、各モデルを用い自車に生じる推定ヨーレイトψ's#
が算出され、ステップ45において、ヨーレイトセンサ
25からのヨーレイトセンサ値Vψ' に基づく実ヨーレ
イトψ'sと推定ヨーレイトψ's# との差であるヨーレイ
ト偏差ψ'eが算出され、ステップ46〜ステップ51に
おいて、ヨーレイト偏差ψ'eに基づく補償により後輪舵
角フィードバック目標値δRFB*が算出される。
【0067】そして、ステップ52において、後輪舵角
フィードフォワード目標値δRFF*と後輪舵角フィードバ
ック目標値δRFB*との和により後輪舵角目標値δR*が算
出され、ステップ53において、後輪舵角目標値δR*
得られる制御指令が電動式ステアリング装置11のモー
タ19に出力される。
【0068】上記ステップ46〜ステップ51でヨーレ
イト偏差ψ'eに基づくフィードバック補償を行なうにあ
たっては、ステップ47において、車両制御用F/B補
償器−1からのヨーレイト偏差ψ'ec1を入力し、低周波
域用と高周波域用とを組み合わせた補償を施す車両制御
用F/B補償器−2により低周波〜高周波までの入力外
乱に対し位相補償が施されてヨーレイト偏差ψ'ec2とさ
れる。そして、ステップ48において、フィードバック
補償器−2からのヨーレイト偏差ψ'ec2を入力し、フィ
ードバック後輪舵角指令値δRFBO* (=KP・ψ'ec2)が
算出される。
【0069】したがって、外乱入力により車両で発生す
るヨーレイトに対しヨーレイトセンサ25で検出される
ヨーレイトセンサ値Vψ' の位相ずれを補償するに際
し、例え入力される外乱に低周波数域の外乱と高周波数
域の外乱とが共に含まれていても車両制御用F/B補償
器−2による低周波補償と高周波補償で共に位相ずれが
キャンセルされることになり、低周波数域の入力外乱に
対する外乱抑止性能と高周波数域の入力外乱に対する外
乱抑止性能との両立が図られる。
【0070】つまり、比例フィードバック制御のみで
は、設定される比例ゲインKP により固有振動数ωnPF
と減衰率ζPFとが一意に定まってしまうが、補償器GC2
(S) を与えると、固有振動数ωnPF と減衰率ζPFを制御
系が安定な範囲で変更でき、外乱入力周波数とフィード
バック制御の効く周波数を一致させることができ、この
結果、低周波数〜高周波数が複合的に含まれる外乱入力
があってもヨーレイトフィードバック制御による車両安
定性の向上が実現される。
【0071】また、車両制御用F/B補償器−2により
位相補償を施すにあたっては、高周波数用時定数TC11,T
C21 と低周波数用時定数TC12,TC22 を、低車速域では位
相進みを大きく、車速Vが大になるほど位相進みを小さ
く抑えるように与えていることで、車両の動特性が車速
Vが高車速であるほど高応答となるのに追従させた位相
補償ゲインとなり、低車速から高車速まで安定した応答
による位相補償、つまり、車両の動特性の影響を受けな
い位相補償により、外乱に対する車両安定性の向上が実
現される。
【0072】 [車両制御用補償器−2と比例ゲインKP との働き]車
両制御用補償器−2と比例ゲインKP との関係は、 KP ;絶対的な外乱抑制量を決める。
【0073】車両制御用補償器−2;フィードバック制
御車両の固有振動数,減衰率を制御系が安定な範囲で変
更でき、収束性等のフィーリングに影響する。
【0074】となっている。
【0075】したがって、低周波域の外乱抑制効果はK
P 値によって決まるが、高周波域での挙動を含めたトー
タル性能については車両制御用補償器−2の寄与率が高
い。
【0076】[シミュレーション結果]入力を前輪から
の外乱とし、出力をヨーレイトとした場合の周波数応答
について、シミュレーションにより比較した結果を図1
0,図11に示す。
【0077】図10において、従来方法での高周波数域
仕様と低周波数域仕様の比較を見ると、ゲインが2.2
Hz付近を境に低周波数域仕様が高周波数域仕様より大
きくなっており、高周波数域において低周波数域仕様は
高周波数域仕様に比べ外乱抑止機能が悪化していること
が分かる。
【0078】これに対し、図11において、本発明は従
来方法の高周波数域仕様に比べ2.5Hz以下のゲイン
は小さく、2.5Hz以上では同等である。つまり、本
発明による方法では、低周波数域での外乱抑止性能を確
保しつつ、高周波数域での外乱抑止性能を悪化させてい
ないことが分かり、狙い通りの性能が得られている。
【0079】尚、シミュレーションに用いた諸元値を記
す。
【0080】(シミュレーション条件)車速;V=10
0.0km/h (車両諸元) 車両質量;M=1599kg ヨー慣性モーメント;IZ =2704.8kgm2 前輪等価コーナリングパワー;eKF =63222.9
36N/rad 後輪等価コーナリングパワー;KR =122500.0
N/rad ホイールベース;L=2.615m 前車軸から重心点までの距離;LF =1.096m 後車軸から重心点までの距離;LR =1.519m ステアリングギア比;N=14.9 (比例定数) KP =0.04 (補償器の定数)車速100km/hの時、 TC11=0.19894 TC21=0.16814 TC12=0.058946 TC22=0.047761 次に、効果を説明する。
【0081】(1)フィードフォワード制御+ヨーレイ
トフィードバック制御により後輪舵角を与える車両用補
助舵角制御装置において、ヨーレイト偏差ψ'eに基づく
フィードバック補償を行なうにあたって、車両制御用F
/B補償器−1からのヨーレイト偏差ψ'ec1を入力し、
低周波域用と高周波域用とを組み合わせた補償を施して
ヨーレイト偏差ψ'ec2とする車両制御用F/B補償器−
2を設けた装置としたため、低周波数域の入力外乱に対
する外乱抑止性能と高周波数域の入力外乱に対する外乱
抑止性能との両立を図ることができる。
【0082】(2)前記車両制御用F/B補償器−2
は、高周波数用時定数TC11,TC21 と低周波数用時定数T
C12,TC22 を、低車速域では位相進みを大きく、車速V
が大になるほど位相進みを小さく抑える値で与えるよう
にしたため、車両の動特性の影響を受けない適切な位相
進み補償により、低周波数域の入力外乱に対する外乱抑
止性能と高周波数域の入力外乱に対する外乱抑止性能と
の両立を図ることができる。
【0083】以上、実施例を図面により説明してきた
が、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があ
っても本発明に含まれる。
【0084】例えば、実施例では、後輪のみに補助舵角
を与える補助舵角制御装置の例を示したが、前輪のみあ
るいは前後輪に補助舵角を与えるような補助舵角制御装
置にも適用することができる。
【0085】実施例では、フィードフォワード制御+ヨ
ーレイトフィードバック制御により補助舵角を与える装
置への適用例を示したが、例えば、ヨーレイトフィード
バック制御のみにより補助舵角を与える装置へも適用す
ることができる。
【0086】実施例では、運動状態量としてヨーレイト
を用いる例を示したが、横速度や横加速度やこれらを複
合的に表したヨー運動量を用いるようにしてもよい。
【0087】実施例では補助舵角アクチュエータとし
て、電動式ステアリング装置を用いる例を示したが、油
圧や空圧式ステアリング装置であっても適用できる。
【0088】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明にあっ
ては、ヨーレイトフィードバック制御等により補助舵角
を与える車両用補助舵角制御装置において、補助舵角フ
ィードバック目標値算出手段を、運動状態量偏差に低周
波補償と高周波補償を組み合わせた補償を施す補償器を
し、補償器の時定数を、低車速域では位相進みを大き
く、車速が大になるほど位相進みを小さく抑えるように
与えた手段としたため、低周波数域の入力外乱に対する
外乱抑止性能と高周波数域の入力外乱に対する外乱抑止
性能との両立を図ることができると共に、低車速から高
車速まで安定した応答による位相補償を実現することが
できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用補助舵角制御装置を示すクレー
ム対応図である。
【図2】実施例の車両用補助舵角制御装置が適用された
四輪操舵車両を示す全体システム図である。
【図3】実施例装置の電動式ステアリング装置の断面図
である。
【図4】実施例装置のコントローラで行われる後輪舵角
制御作動の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例装置のヨーレイトフィードバック補償部
を示すブロック図である。
【図6】フィードバックシステムを単純化したブロック
図である。
【図7】高周波数用時定数TC11,TC21の車速対応マップ
図である。
【図8】低周波数用時定数TC12,TC22の車速対応マップ
図である。
【図9】ヨーレイトフィードバック比例ゲインの車速対
応マップ図である。
【図10】従来方法での高周波数域仕様と低周波数域仕
様での周波数応答比較特性図である。
【図11】本発明方法での仕様と従来方法での高周波数
域仕様での周波数応答比較特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 137:00 B62D 137:00 (56)参考文献 特開 平4−356280(JP,A) 特開 平4−2572(JP,A) 計測自動制御学会編「改訂 自動制御 便覧」6版、(株)コロナ社、昭和43年 9月30日、p.284−p.288 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 B62D 7/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車速検出手段と、 ステアリング舵角検出手段と、 車速検出値とステアリング舵角検出値に基づいて自車に
    生じる運動状態量を推定する運動状態量推定手段と、 推定される運動状態量と同種の運動状態量を検出する運
    動状態量検出手段と、 運動状態量検出値と運動状態量推定値との偏差を算出す
    る運動状態量偏差算出手段と、 運動状態量偏差に基づく補償により補助舵角フィードバ
    ック目標値を算出する補助舵角フィードバック目標値算
    出手段と、 補助舵角フィードバック目標値が得られる制御指令を補
    助舵角アクチュエータに出力する補助舵角制御手段とを
    備えている車両用補助舵角制御装置において、 前記補助舵角フィードバック目標値算出手段は、運動状
    態量偏差に低周波補償と高周波補償を組み合わせた補償
    を施す補償器を有し、 前記補償器として、 ψ'c(S)={(T11s+1)/(T21s+1)} {(T12s+1)/(T22s+1)} ψ'e(s) または、 ψ'c(S)={(T11s+1)/(T21s+1)+(T12s+1)/(T22s+1)} ψ'e(s) ここで、T11,T21,T12,T22は補償器の時定数 ψ'eは運動状態量偏差 ψ'c(S)は補償器出力 を用い、かつ、補償器の時定数T11,T21,T12,T22を、低
    車速域では位相進みを大きく、車速が大になるほど位相
    進みを小さく抑えるように与えた ことを特徴とする車両
    用補助舵角制御装置。
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FR2864003B1 (fr) * 2003-12-18 2006-03-17 Renault Sas Procede et systeme de commande du braquage de roue arriere directrice et vehicule correspondant
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計測自動制御学会編「改訂 自動制御便覧」6版、(株)コロナ社、昭和43年9月30日、p.284−p.288

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