JPH0726436A - 人工芝用パイルおよびその製造方法 - Google Patents

人工芝用パイルおよびその製造方法

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JPH0726436A
JPH0726436A JP5231429A JP23142993A JPH0726436A JP H0726436 A JPH0726436 A JP H0726436A JP 5231429 A JP5231429 A JP 5231429A JP 23142993 A JP23142993 A JP 23142993A JP H0726436 A JPH0726436 A JP H0726436A
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嘉一 樋口
Hironori Yasui
博記 安井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、人工芝のパイルが常に適当な水分を
保ち、特に砂入り人工芝の表面の硬化現象を惹起しにく
い人工芝用パイルおよびその製造方法を提供せんとする
ものである。 【構成】本発明の人工芝用パイルは、沸騰水収縮率が１
０％以上のナイロンヤーンであり、また、水中での水分
率が１５〜２０％であることを特徴とするものである。
また、本発明の人工芝用パイルの製造方法は、フィルム
延伸工程終了後のナイロンフィルムを、その後の加熱工
程を通さないで、カットすることを特徴とするものであ
り、また、溶融紡糸して延伸工程終了後のナイロンフィ
ラメントを、その後の加熱工程を通さないでパイル化す
ることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、水分の保持率が適正
で、特に砂入り人工芝に使用したときに、その表面の砂
が硬くなりにくい人工芝用パイルおよびその製造方法に
関する。
【０００２】
【従来の技術】競技場、公園、運動場、球技コート等の
いわゆるグランドは従来から土、砂、クレイ、天然芝、
人工芝、アスファルトコンクリートまたは表面を樹脂塗
装したケミカルコート等で造られていた。
【０００３】これらのグランドはいずれも一長一短があ
り、たとえば土や砂は雨天に弱いこと、クレイや天然芝
は手入れが必要で、良いコンデションを維持することが
むずかしいこと、アスファルトコンクリートやケミカル
コートは夏場はてりかえしが強く又競技者の脚が疲れ、
危険が多いこと等の欠点があった。そこで、これらの欠
点を改良するものとして人工芝を基盤上に敷設すること
が行なわれるようになった。この人工芝は従来は一般的
にポリプロピレンあるいは熱処理されたナイロンのフィ
ルムを細片化したパイル糸あるいはフィラメントから形
成されたパイル糸を基材に植毛・装着したものであり、
水はけは人工芝や基盤ともに人工的に溝、穴等を設ける
ことにより自由に調節でき、手入れの必要がないので近
年広く利用されるようになった。
【０００４】ところが、この人工芝グランドも使用して
みるとグランドの弾力が不自然であったり、降雨直後は
芝の濡れがひどく、足をすべらせたり、また、テニスコ
ート等においては球足に不自然さが生じることがわかっ
た。
【０００５】そこで、この人工芝の上に砂等の鉱物質の
粒状材料を散布し、砂等の層を造ることが知られている
（特公昭６０−４６２０３号公報）。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】かかる砂入り人工芝を
敷設したグランドは、敷設当初は水はけ、弾性、脚に対
する影響も良いが、日が経つにつれて、砂が硬く固ま
り、セメントを固めたような状態になってくることがわ
かった。この理由は定かではないが、ポリプロピレンの
パイルは吸水生がほとんどゼロに近いため、砂に適正な
水分を保持させることができない上に、ポリプロピレン
は敷設後比較的早くパイルが砂をだきかかえるようにカ
ール状に倒伏し、コートがしめかためられ硬くなるとい
う欠点を有していた。
【０００７】一方、ナイロンパイルは水分の保持率は良
いが、パイル細片の屈曲回復性を向上させるために熱セ
ットが施してあるものが使用されており、そのために屈
曲回復性がよく、パイル細片が直立し、表面の凹凸が生
じ、グランドの機能を半減させる欠点を有していた。
【０００８】本発明は、このような人工芝の欠点を解消
し、人工芝のパイルが常に適当な水分を保ち、特に砂入
り人工芝の表面の硬化現象を惹起しにくい人工芝用パイ
ルおよびその製造方法を提供せんとするものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】上記、問題点を解決する
ため、本発明は次の手段をとる。
【００１０】すなわち、本発明の人工芝用パイルは、沸
騰水収縮率が１０％以上のナイロンヤーンであり、ま
た、水中での水分率が１５〜２０％であることを特徴と
するものである。
【００１１】また、本発明の人工芝用パイルの製造方法
は、フィルム延伸工程終了後のナイロンフィルムを、そ
の後の加熱工程を通さないで、カットすることを特徴と
するものであり、また、溶融紡糸して延伸工程終了後の
ナイロンフィラメントを、その後の加熱工程を通さない
でパイル化することを特徴とするものである。
【００１２】本発明のパイル糸はナイロンヤーンからな
るが、このナイロンは熱セットされておらず、沸騰水収
縮率が１０％以上であり、また、水中での水分率が１５
〜２０％であることが最大の特徴である。従来のパイル
糸は屈曲回復性を持たせるために、必らず湿熱あるいは
乾熱で１１０℃〜１４０℃で５〜１５分間、熱セットす
ることによりナイロンの結晶性を上昇させていた。熱セ
ットしたナイロンパイルはへたりがなく、カーペット、
人工芝等には極めて適しているのであるが、砂入り人工
芝グランドに使用するとパイル細片が直立し砂の表面が
凹凸になり易いのである。又パイルの吸水性も少ない。
ところが、熱セットを施さない本発明の製造方法によっ
て得られるナイロンヤーンのパイルは公定水分率４．５
％（２０℃、６５％ＲＨ）以上で、水中での水分率が高
いので、湿潤下において体積が膨脹する。そのため、雨
後が最もパイルの体積膨脹力が大きく砂のしめ固まりを
抑えグランドは柔らかい状態となる。晴天においても常
に砂に水分を補給し、次ぎに砂の膨脹力が加わり、砂を
微動させるため、砂が固化せず、常に流動性のある砂の
状態に保たせるのである。
【００１３】本発明のパイルは、フィルムから形成され
る場合は、フィルム延伸工程は行なうが、その後の加熱
工程を通されておらず、またフィラメントから形成され
る場合も、紡糸後の延伸工程は通すが、その後の加熱処
理がなされていないものであり、上記のように沸騰水収
縮率が１０％以上であり、かつ好ましくはアセチレンに
よる架橋凍結法の融解熱から求められた結晶化度が１６
％以下である。
【００１４】本発明のパイル細片は厚さ３０〜５０μ、
幅５００〜１０００μが好ましく、パイル繊度は２００
０〜６０００デニールが好ましい。パイル細片がこれよ
り小さくなると耐摩耗性の点で問題となり耐久性に欠け
る。ナイロンはナイロン６、ナイロン６６が一般的であ
るがこれらに限定されない。
【００１５】人工芝の構造は特に限定されず、バッキン
グ層、またはクッション層を含むものであってもよく、
基材の上に上記パイル糸を植毛したものものであれば使
用することができる。
【００１６】砂入り人工芝をグランドとして使用する際
は、安定基盤上に敷設されるが、ここでいう安定基盤と
はコンクリート、アスファルト等の安定基盤が好まし
く、平滑で、かつ水はけ構造が設けられているものが好
ましい。
【００１７】本発明に使用する砂は天然砂、採石砂等、
特に限定されないが、好ましくは、硅酸分が高く、特に
好ましくは硅酸分が９０％以上であり、形状は球状に近
い天然の硅砂が好ましい。球状に近い硅砂は破壊されに
くく、耐久性に富み、また流動性が良いため、固化しに
くい。砂の粒径は２０〜５０メッシュ程度が好ましく、
また構造体（施工後において）として水分保持率が５〜
１０％程度となるものが好ましい。（硅酸分９０％以上
のものはほとんど水は吸わず、付着水分が５〜６％の時
が体積が最も大である。）良好な砂は表面水がつくと、
かさ容積を増し、単位容積重量が著しく減少する。すな
わち砂がふくらむ。
【００１８】一般に砂の含水率が５〜６％のとき最もふ
くらみが大きく、容積増加は１０〜３０％に達する。こ
の体積変化の運動が砂の固化を防止する。
【００１９】
【作用】本発明で得られるパイル糸は、吸水し易く砂層
の水分が長時間保持される特徴を有するので、雨後は問
題ないが晴天がつづきグランドが乾燥した場合には、散
水を施すことによって、容易に硬くないグランドコンデ
ションに復元させることができる。また、適当なへたり
とパイルの膨脹によって砂を移動させ、結果として砂の
硬化を防止する効果を有する。
【００２０】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【００２１】実施例１ ９８％の濃硫酸を溶媒とした場合の相対粘度が２．９８
のナイロン６を９２％と、銅フェタロシアニングリーン
を主成分とした顔料を１５％含有するナイロン６をベー
スのマスターペレットを８％をブレンドし、これを通常
のエクストルーダーで、シリンダー部の温度を２６０℃
として溶融し、上方に開口したインフレーション製膜の
口金部の温度を２８０℃として吐出し、空冷後、ヤーン
を形成するため、リボン状にカットした。このヤーンを
３０m ／min の引取りローラーで引取り、次いで１８０
℃に加熱した１m の熱板に接触させて１００ m／min で
引取り、延伸した。
【００２２】その後、そのリボンを回転ピンで叩き、切
り込みを入れてスプリットフィルムを作成した。この結
果得られたフィルムは厚さ４０μ、スプリット幅６５０
μ、一本のリボンの繊度が６０００デニールであった。
このリボンをパイル糸として用い、次のようにして人工
芝を作成し、評価した。なお、比較のためにこのナイロ
ンパイルを１２０℃で１０分間スチームセットしたもの
を用意した。
【００２３】実験用グランド条件 基盤：アスファルトコンクリート、広さ：２００ m2 人工芝 基材：ポリプロピレン（平織） ナイロンパイル糸：沸騰水収縮率１１％、水中水分率１
７％。
【００２４】砂：粒径２８〜４８メッシュの天然硅砂。
（ＳｉＯ2 、９１％）積層厚さ１５mm。
【００２５】この実験用グランドを使用して１年間テニ
スの練習コートとして実用テストを行ない、降雨後の表
面の状態や硬さ（山中式土壌硬度計で測定：数値が高い
ほど硬いことを示す）を調べた。結果を表１に示す。
【００２６】比較のため、熱セットしたナイロンパイル
（沸騰水収縮率６％、水中水分率９％）およびポリプロ
ピレンパイルを用いた人工芝を敷いた場合の結果も表１
にまとめた。
【００２７】なお、水中水分率の測定方法は、JIS L101
3 に準ずる。２５℃の水中に４８時間浸漬した試料２０
g を採取し、採取時の質量を測定する（Ｗ）。次いで真
空乾燥して絶乾し、その質量を測定する（Ｗ′）。これ
を次式に代入して水分率を算出する。
【００２８】 水分率（％）＝（Ｗ−Ｗ′／Ｗ′）×１００
【表１】 表１からわかるように、本発明のパイルを使用した実施
例１の砂入り人工芝は、雨後７日の調査において、格段
の違いを示しており、比較例のものは、実施例のものに
比して、経時的に著しく硬化することがわかる。
【００２９】
【発明の結果】本発明の人工芝用パイルは次の効果を発
揮する。
【００３０】（１）本発明のナイロンヤーンのパイル糸
は、水分の保持率が高く、体積膨脹するため、砂を固化
させることを防止する。適当な補水を与えることによっ
てさらにその効果を増す。
【００３１】（２）本発明のナイロンヤーンのパイル糸
からなる砂入り人工芝は水はけが良く、常に適当な弾力
を有する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 沸騰水収縮率が１０％以上のナイロンヤ
    ーンであることを特徴とする人工芝用パイル。
  2. 【請求項２】 水中での水分率が１５〜２０％であるこ
    とを特徴とする人工芝用パイル。
  3. 【請求項３】 フィルム延伸工程終了後のナイロンフィ
    ルムを、その後の加熱工程を通さないで、カットするこ
    とを特徴とする人工芝用パイルの製造方法。
  4. 【請求項４】 溶融紡糸して延伸工程終了後のナイロン
    フィラメントを、その後の加熱工程を通さないでパイル
    化することを特徴とする人工芝用パイルの製造方法。
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