JPH07259231A - 構造部材 - Google Patents

構造部材

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JPH07259231A
JPH07259231A JP6048528A JP4852894A JPH07259231A JP H07259231 A JPH07259231 A JP H07259231A JP 6048528 A JP6048528 A JP 6048528A JP 4852894 A JP4852894 A JP 4852894A JP H07259231 A JPH07259231 A JP H07259231A
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孝一郎 縄
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水平、鉛直の二方向の荷重を効率的に支持で
き、小断面の部材を用いて強度を向上でき、省スペース
にできて開放性を向上できる構造部材の提供。 【構成】 建築物の主方立4間に、鉛直面に沿って設け
られて鉛直方向の荷重を支持する鉛直荷重支持用トラス
構造体10と、鉛直面に直行する面に沿って設けられて水
平方向の荷重を支持する水平荷重支持用トラス構造体9
とで構成された構造部材7を接合する。構造部材7は、
鉛直、水平の各荷重を各トラス構造体9,10で支持してい
るため、各荷重に対応した支持強度を設定可能であり、
効率的に支持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物において縦構造
体間に亘って(掛け渡されて)接合されて縦構造体を補
強する構造部材に係り、特にカーテンウォールで形成さ
れる壁面に出入口等の開口を設けるために、カーテンウ
ォールを支持する縦構造体としての方立を通常よりも離
して配置する際に、これらの方立を補強するためなどに
利用できる。
【0002】
【背景技術】従来より、建築物の外壁としてカーテンウ
ォールを用いる方式が知られている。このカーテンウォ
ールは、通常、建築物の上下床間に取り付けられる方立
に、ガラスパネル、アルミパネル、石材パネル等のパネ
ル(カーテンウォールユニット)を掛け渡して取り付け
ることで形成されている。ここで、方立としては、通常
アルミ製の角パイプや、スチール製のH型鋼、角パイプ
等が用いられるが、本出願人は、実願平3-52672 号 (実
開平4-137115号)に開示されているように、丸パイプ状
の室外側縦材および室内側縦材に亘って複数のラチス材
を連結してトラス構造とした方立を提案している。この
本出願人が提案した方立によれば、各縦材に小断面の部
材を用いてもトラス構造とすることで全体として強度を
向上することができ、剛性を高めるために断面積を大き
くする必要があるH型鋼等に比べて、方立が占めるスペ
ースを小さくでき、室内外の見通しも良くすることがで
きて外観も向上できる利点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、カーテンウ
ォールの方立の間隔は、方立間に設置されるガラスパネ
ルやガラスの上下を支持する無目の大きさによって設定
され、つまりガラスパネルや無目が強度を確保できる大
きさに規制されていた。このため、通常は、方立間の間
隔をあまり大きくすることができず、カーテンウォール
で形成されている建物の壁面には、出入口や風除室等の
大きな開口を設けることができなかった。
【0004】また、このようなカーテンウォールの壁面
に大開口を設ける方法としては、開口部分の寸法に合わ
せて方立を通常よりも離して配置し、これにより低下す
る強度の補強や、開口上部に設置されるパネルを支持す
る補助方立を設けるために、方立間に梁を掛け渡すこと
が考えられる。このような梁は、一般にH型鋼等が用い
られるが、H型鋼によって必要な強度を得るためには比
較的大きな断面のH型鋼を用いる必要があるため、梁が
占める占有スペースが大きくなり、ガラスパネル等で形
成されるカーテンウォールの開放性が阻害され(室内外
の見通しが低下し)、外観の意匠性(デザイン性)も低
下するという問題があった。
【0005】特に、カーテンウォール用のパネルを支持
する方立間に補強用の梁を設けた場合には、カーテンウ
ォールの重量等によって鉛直方向に加わる荷重と、風圧
力によって加わる水平方向の荷重との2方向の荷重を支
えなければならないため、H型鋼等では断面積をより大
きくしなければならず、上記の占有スペースや開放性等
に関する問題がより顕著に発生するおそれがあった。ま
た、上記鉛直方向の荷重と水平方向の荷重とは通常大き
さが異なるが、H型鋼等によって梁を構成している場合
には、各荷重に応じて梁の強度を設定することはでき
ず、大きな荷重に対して強度を設定しなければならず、
荷重が小さな方向に対してはオーバースペックとなって
重量が増加し、このため効率的な荷重支持は難しいとい
う問題もあった。
【0006】また、前述した実願平3-52672 号 (実開平
4-137115号) に開示されている方立はデザイン的にも優
れているため、方立自身を室内に露出させることもあっ
たが、このようなトラス構造の方立間にH型鋼の補強梁
を接合すると、構造的に異なるために荷重伝達が効果的
に行われず、かつ意匠的(デザイン的)な統一性が損な
われて外観が低下するという問題もあった。
【0007】本発明の一つの目的は、水平方向と鉛直方
向との二方向の荷重を効率的に支持することができると
ともに、小断面の部材を用いても強度を向上することが
でき、さらに占有スペースも小さくできて室内外の見通
し(開放性)を向上でき、また、部品点数を少なくでき
てコストを低減でき、かつ十分な強度を有する構造部材
を提供することにある。
【0008】また、本発明の他の目的は、組立誤差を吸
収できて容易に組み立てることができる構造部材を提供
することにある。また、本発明のその他の目的は、方立
などの縦構造体との構造的および意匠的(デザイン的)
な統一性が得られ、室内等に露出した場合でも外観を低
下させることがない構造部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の構造部材は、建
築物の方立等等の縦構造体間に取り付けられるものであ
って、鉛直面に沿って鉛直荷重支持用トラス構造体を配
置するとともに、鉛直面に直行する面(例えば水平面)
に沿って水平荷重支持用トラス構造体を配置したことを
特徴とするものである。ここで、水平荷重支持用トラス
構造体は、水平面内において互いに平行となるように配
置された室外側横材および室内側横材と、これら各横材
間に亘って連結されたラチス材等の連結材とで構成さ
れ、前記鉛直荷重支持用トラス構造体は、前記室外側横
材および室内側横材の一方の横材(例えば室外側横材)
と、この横材の上方あるいは下方のいずれか一方の側
(例えば室外側横材の下側)に配置されて前記一方の横
材に対して鉛直面内において互いに平行に配置された補
助横材と、前記室外側横材および室内側横材の一方の横
材と補助横材との間に亘って連結されたラチス材等の連
結材とで構成され、かつ前記室外側横材および室内側横
材の他方の横材と補助横材との間には補強材が掛け渡さ
れて連結されている。
【0010】この際、前記室外側横材、室内側横材およ
び補強横材は、それぞれ縦構造体に対してピン接合によ
って接合され、かつ水平荷重支持用および鉛直荷重支持
用の各トラス構造体の両方に含まれる横材(室外側横材
および室内側横材の一方)を縦構造体に接合する接続ピ
ンと、他の2つの横材(室外側横材および室内側横材の
他方と補強横材)をそれぞれ縦構造体に接合する接続ピ
ンとは、その軸方向が互いに90度異なる向きに設定さ
れていることが好ましい。なお、各接続ピンの向きは、
前述した水平および鉛直の直交2方向の荷重の内、その
接続ピンが主に支持する方向の荷重によって接続ピンに
剪断力が働く向きに設定されていることが望ましい。
【0011】また、本発明の構造部材は、室外側縦材お
よび室内側縦材間に亘ってラチス材等の連結材を連結し
て形成されたトラス構造体からなる建築物の縦構造体間
に取り付けられるものでもよい。この際、構造部材が、
室外側横材、室内側横材および補強横材の3本の横材を
含んで構成されている場合には、前記室外側横材を縦構
造体の室外側縦材間に亘って接合し、前記室内側横材を
縦構造体の室内側縦材間に亘って接合し、さらに前記補
助横材を縦構造体の室外側縦材および室内側縦材の一方
の縦材間に亘って接合することが好ましい。
【0012】本発明において、前記構造部材の各トラス
構造体を構成する部材、例えば弦材としての室外側横
材、室内側横材、補強横材や、連結材等の材質、形状は
問わないが、特に軽量性、強度、生産容易性の点でアル
ミ製の丸パイプ状の部材を用いることが好ましい。
【0013】
【作用】このような本発明においては、鉛直面に直行す
る面(水平面等)内において互いに平行に配置された室
外側横材および室内側横材間に連結材を掛け渡して構成
された水平荷重支持用トラス構造体と、鉛直面内におい
て互いに平行に配置された室外側横材および室内側横材
の一方と補強横材との間に連結材を掛け渡して構成され
た鉛直荷重支持用トラス構造体とを備える構造部材によ
って、水平方向および鉛直方向の2方向の荷重が支持さ
れる。この際、各方向の荷重を別々のトラス構造体で支
持するように構成したので、各方向に加わる荷重の大き
さが異なる場合であっても、各々の荷重に対応して各ト
ラス構造体の強度を設定することが可能となり、効率的
な荷重支持が行える。また、各トラス構造体の弦材の一
方を各トラス構造体で共有することになるため、各トラ
ス構造体を別々に設ける場合に比べて部品点数が少なく
なり、コストが低減される。
【0014】本発明の構成において、各横材を縦材に接
合する手段としてピン接合を採用し、直交2方向の各ト
ラス構造体の交差部に配置される横材(室外側横材およ
び室内側横材の一方)を縦構造体に接合する接続ピン
と、他の横材(室外側横材および室内側横材の他方と補
強横材)を縦構造体に接合する接続ピンとが、その軸方
向が互いに90度異なる向きに設定されていれば、これ
らの各横材間(室外側横材および室内側横材の一方と、
室外側横材および室内側横材の他方および補強横材との
間)に製作過程等に生じる誤差が吸収され、構造部材は
確実にかつ簡単に設置される。さらに、接続ピンの向き
を変えることで、主に鉛直荷重が加わる部分に設けられ
た接続ピンと水平荷重が加わる部分に設けられた接続ピ
ンとで、それぞれ荷重によって剪断力が加わるように設
定することが可能となり、ピン接合の強度が向上し、荷
重の確実な支持が可能となる。
【0015】本発明の構成において、構造部材を3本の
横材(室外側横材、室内側横材、補強横材)と、各横材
間に亘って連結された連結材とで構成し、この構造部材
が取り付けられる縦構造体を室外側縦材および室内側縦
材間に連結材を掛け渡して構成すれば、縦構造体と本発
明の構造部材との構造的および意匠的(デザイン的)な
統一感が得られ、室内等に露出しても外観が低下するこ
とがない。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜8に基づい
て説明する。本実施例は、図1に示すように、外壁を構
成するカーテンウォール1のガラスパネル2を支持する
ために、建物の床スラブ3から天井梁(図示せず)まで
通された縦構造体としての主方立4が所定間隔で配置さ
れた建物において、カーテンウォール1の壁面に開口5
を形成するために、開口5部分においては主方立4を開
口5の幅寸法に合わせて配置し、かつ開口5の幅寸法と
カーテンウォール1の各パネルの幅寸法とが相違する点
を考慮して主方立4間に、開口5の上部から天井梁まで
の長さ寸法の補助方立6を設置し、それによる強度の低
下を補うために本発明の構造部材7を主方立4間に設置
したものである。なお、図1は、カーテンウォール1か
らなる外壁を室内側から見た図であり、本実施例は、ガ
ラスパネル2の室内側に方立4,6が配置された、いわ
ゆるバックマリオン式のカーテンウォール1に本発明を
適用したものである。また、各方立4,6には、ステン
レス製のタイロッド8が水平方向に張設されて方立4,
6の補強を行っている。
【0017】主方立4は、本出願人が実願平3-52672 号
(実開平4-137115号)で開示したものと同構造のもので
ある。すなわち、図2にも示すように、主方立4は、室
外側縦材(弦材)11および室内側縦材(弦材)12
と、これらの各縦材11、12間に上下方向に間隔を置
いて斜めに連結された複数の連結材であるラチス材13
とを備えて構成され、全体としてトラス構造とされてい
る。この主方立4においては、室外側縦材11の上下が
床スラブ3および天井梁(図示せず)に連結されてい
る。
【0018】室外側縦材11および室内側縦材12は、
図6,8,9に示すように、外周面が略円形で中心軸部
に矩形中空部14を有する(丸パイプ状)とともに、外
側に開口し長手方向に連続した第1、2凹条溝15,1
6を径方向に相対向して有する長尺材であり、アルミの
押出成形等で製造されたものである。室外側縦材11の
第1凹条溝15には、カーテンウォール1の壁面を構成
するガラスパネル2の側面を支持する支持プレート17
が取り付けられている。
【0019】各縦材11,12の対向面側に形成された
第2凹条溝16には、ガセットプレート18,19の基
部が嵌合されて図示しないボルト等でそれぞれ固定され
ている。これらガセットプレート18,19間には、図
2,4にも示すように前記ラチス材13がピン接合され
ている。すなわち、ラチス材13は、図6,8,9に示
すように、中空パイプ13Aの両端に、連結ブラケット
13Bをボルト止め、溶接、一体成形等の適宜な手段で
設けることで構成されている。そして、この連結ブラケ
ット13Bとガセットプレート18,19とは、連結ピ
ン20で連結されてピン接合されている。
【0020】補助方立6は、前記主方立4と同様の構成
を備えるものであり、開口5の上部から天井梁までの長
さ寸法を有するアルミ製の室外側縦材(弦材)21およ
び室内側縦材(弦材)22と、これらの各縦材21,2
2間にガセットプレート24,25を介して上下方向に
間隔を置いて斜めに連結された複数の連結材であるラチ
ス材23とを備えて構成され、全体としてトラス構造と
されている。この補助方立6においては、室外側縦材2
1の上部が天井梁(図示せず)に連結されるとともに、
各縦材21,22の下部が構造部材7の形状に合わせて
湾曲された連結面を備えた連結ブラケット26を介し
て、後述する構造部材7にボルト止め等の適宜な手段で
連結されている。
【0021】補助方立6は、図3に示すように、前記主
方立4と同様に、ガラスパネル2を支持する支持プレー
ト17を備えている。また、図2に示すように、ラチス
材23は中空パイプ23Aおよび連結ブラケット23B
で構成され、各縦材21,22に取り付けられたガセッ
トプレート24,25に図示しない接続ピンでピン接合
されている。
【0022】構造部材7は、図4に示すように、水平荷
重支持用トラス構造体9と、鉛直荷重支持用トラス構造
体10とを備えて構成されている。水平荷重支持用トラ
ス構造体9は、水平面内において互いに平行に配置さ
れ、主方立4の室外側縦材11間に配置される室外側横
材30および主方立4の室内側縦材12間に配置される
室内側横材40の2本の弦材と、これら各横材30,4
0間に斜めに配置されてピン接合された複数の連結材で
あるラチス材61を備えている。
【0023】鉛直荷重支持用トラス構造体10は、鉛直
面内において互いに平行に配置され、主方立4の室外側
縦材11間に配置される室外側横材30および補強横材
50の2本の弦材と、これら各横材30,50間に斜め
に配置されてピン接合された複数の連結材であるラチス
材62を備えている。なお、各ラチス材61、62は、
図1,3に示すように、主方立4の縦材11、12間に
接合されたラチス材13,23と同様に、中空パイプ6
1A,62Aおよび連結ブラケット61B,62Bを備
えて構成され、各横材30,40,50に取り付けられ
たガセットプレート63,64に連結ブラケット61
B,62B部分でピン接合されている。なお、ガセット
プレート63,64の横材30,40,50への取り付
けは、横材30,40,50に凹条溝を形成して基部を
嵌挿し、ボルト止めするなどの適宜な手段で行われてい
る。
【0024】各横材30,40,50は、図5〜9に示
すように、アルミの押出成形等によって丸パイプ状に形
成され、その両端には連結ブラケット31,41,51
がねじ込み、ボルト止め等によって接合されている。な
お、補助横材50の取付構造は、室内側横材40の取付
構造とほぼ同じであるため、その正面図は省略し、平断
面図のみを図9に示している。各連結ブラケット31,
41,51は、連結用の板状部32,42,52を備え
ている。このうち、室外側横材30の板状部32は、板
の表裏両面が水平面に沿って設けられており、室内側横
材40および補強横材50の板状部42,52は、板の
表裏両面が鉛直面に沿って設けられて板状部32に直交
する方向に設けられている。
【0025】室外側および室内側の各縦材11,12の
前記各連結ブラケット31,41,51に対応する位置
には、接合ブラケット33,43,53がそれぞれ固定
されている。接合ブラケット33,43,53は、各縦
材11,12の外周面に対応した円弧状の基部34,4
4,54と、前記板状部32,42,52を挟むように
配置された2枚の板状の接合部35,45,55とを備
えている。そして、この接合部35,45,55および
板状部32,42,52を貫通して配置された接続ピン
36,46,56によって連結ブラケット31,41,
51(室外側横材40、室内側横材40、補強横材5
0)と、接合ブラケット33,43,53(室外側縦材
11、室内側縦材12)とがピン接合されている。
【0026】この際、各板状部32,42,52の向き
が異なることにより、各接続ピン36と接続ピン46,
56とは、その軸方向が90度異なるように配置されて
いる。なお、各接合ブラケット33,43,53は、各
縦材11,12の中心軸に向かって放射状に螺合された
ネジ37,47,57によって縦材11,12に固定さ
れている。
【0027】水平荷重支持用トラス構造体9の室内側横
材40と、鉛直荷重支持用トラス構造体10の補強横材
50との間には、図1,2,4に示すように、2本の補
強材65が連結されている。この補強材65は、構造部
材7上に連結される補助方立6の下方位置、つまり構造
部材7の長手方向に沿った位置が補助方立6に一致する
ように設置され、前記各横材40,50にボルト止め、
溶接などで取り付けられた連結プレートに、補強材65
の両端に設けた連結ブラケットをピン接合することなど
で連結されている。
【0028】従って、本実施例の構造部材7は、水平荷
重支持用トラス構造体9、鉛直荷重支持用トラス構造体
10、補強材65を備えて構成され、これにより、その
長手方向直交断面において、各横材30,40,50が
頂点位置に配置され、ラチス材61,62と補強材65
とが各辺を構成する三角形状となるように構成されてい
る。
【0029】このような本実施例においては、主方立4
をガラスパネル2や開口5の幅寸法に合わせた間隔で設
置し、開口5の上部位置に所定間隔で補助方立6を配置
し、開口5部分に配置された主方立4間に、本発明の構
造部材7を掛け渡して取り付ける。次に、構造部材7の
室外側横材30、室内側横材40と、補助方立6とを接
合し、各方立4、6間にガラスパネル2を設置するとと
もに、開口5に出入口や風除室を形成し、カーテンウォ
ール1による壁面を構成する。
【0030】このような本実施例によれば次のような効
果がある。すなわち、主方立4間に、水平面に沿って設
けられた水平荷重支持用トラス構造体9と、鉛直面に沿
った鉛直荷重支持用トラス構造体10とを備えた構造部
材7を取り付けたので、補助方立6とガラスパネル2の
自重による鉛直方向の荷重と、風圧力による水平方向の
荷重とを構造部材7により支持することができる。この
ため、開口5を形成するために主方立4を通常よりも離
して配置しても、構造部材7を設けることで十分な支持
強度を得ることができ、また、構造部材7は主方立4に
対する取付高さ位置も自由に設定できるため、出入口や
風除室などを設けるための縦寸法および横寸法の大きな
開口5をカーテンウォール壁面に形成することができ
る。
【0031】また、構造部材7は、水平方向の荷重を主
に支持する水平荷重支持用トラス構造体9と、鉛直方向
の荷重を主に支持する鉛直荷重支持用トラス構造体10
との2つのトラス構造体で構成されているため、各々の
トラス構造体9,10の強度を、ラチス材61,62の
本数を増やしたり、各構成部材の材質、厚さ等を適宜選
択することで個別に設定することができる。このため、
水平および鉛直の各方向の荷重の大きさが異なるばあい
であっても、各荷重に対応して強度を設定することがで
き、効率的に荷重を支持することができる。従って、本
実施例の構造部材7は、特にカーテンウォール1の各種
パネル2を支持する方立4,6の補強用に好適である。
【0032】さらに、構造部材7は、室内側横材40お
よび補強横材50間に補強材65を取り付けているた
め、構造部材7を立体的に構成することができ、各トラ
ス構造体9,10における荷重支持を補完することがで
きて構造部材7の強度を向上することができる。特に、
前記実施例では、構造部材7に加わる荷重が大きくなる
補強方立6の接合位置に補強材65を取り付けていたの
で、荷重支持を効果的に補完することができる。
【0033】また、前記実施例では、各トラス構造体
9,10を別々に形成せずに、弦材である室外側横材3
0を各トラス構造体9,10で共有しているため、部品
点数を少なくできてコストを低減でき、安価に提供する
ことができる。
【0034】さらに、構造部材7としてトラス構造体
9,10を用いているため、各横材30,40,50、
ラチス材61,62等の構成部品に小断面の部材を用い
ても十分な強度を確保することができる。このため、構
造部材7の占有スペースを小さくでき、室内外の見通し
(開放性)を向上することができる。
【0035】また、構造部材7を構成する3本の横材3
0,40,50の内、室外側横材30をピン接合する接
続ピン36と、室内側横材40および補強横材50をピ
ン接合する接続ピン46,56とをその軸方向が90度
異なるように配置したため、ピン接合部分で各横材3
0,40,50間で誤差が生じるなどの製造誤差を吸収
することができる。すなわち、各横材30,40,50
の両端のピン接合部では、連結ブラケット31,41,
51の板状部32,42,52と、接合ブラケット3
3,43,53の接合部35,45,55との間に僅か
な隙間が生じるため、接続ピン36,46,56の軸方
向に対しては取付位置の製作誤差が吸収される。そし
て、接続ピン36と接続ピン46,56とは軸方向の向
きが90度異なるため、室外側横材30と、この横材3
0にラチス材61,62を介して接続される室内側横材
40および補強横材50とが、例えばラチス材61,6
2の製造誤差、取付誤差等によって各横材30,40,
50が平行に配置されず、各横材30,40,50間の
寸法に誤差が生じても、前記接合ブラケット33,4
3,53の接合部35,45,55との間の隙間によっ
てこれらの誤差を吸収することができる。このため、構
造部材7を主方立4に接合する際に、製造誤差によって
ピン接合ができなくなるといった問題が生じることがな
く、確実に接合することができ、接合作業性も向上する
ことができる。
【0036】さらに、接続ピン36と接続ピン46,5
6との向きを変えることで、主に鉛直荷重が加わる接続
ピン36と、水平荷重が加わる接続ピン46,56とで
それぞれ剪断力が加わるように配置することができ、ピ
ン接合の強度を向上することができ、構造部材7におい
て各方向の荷重を確実に支持することができる。
【0037】また、各横材30,40,50にピン接合
される接合ブラケット33,43,53を、各縦材1
1,12にその中心軸に向かって放射状に配置されたネ
ジ37,47,57によって固定しているため、ブラケ
ット33,43,53を各縦材11,12に強固に固定
することができるとともに、溶接作業が不要なため、作
業性を向上することができる。
【0038】さらに、主方立4、補助方立6および構造
部材7は、ともにトラス構造とされており、かつ弦材で
ある各縦材11,12,21,22と、各横材30,4
0,50との部分で互いにピン接合しているので、構造
的な統一感が得られ、荷重の伝達がスムースとなって強
度的に弱い箇所に荷重が集中するようなことは起こら
ず、優れた荷重支持構造にできる。また、ともにトラス
構造とされていることから、意匠的(デザイン的)に統
一感が得られ、室内外に方立4、6や構造部材7を露出
させる場合でも機能美を得ることができ、カーテンウォ
ール1部分の外観を向上することができる。
【0039】なお、本発明は前述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変
形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、前
記実施例では、水平荷重支持用トラス構造体9の各横材
30,40を水平面内で互いに平行に配置していたが、
図10に示すように、構造部材70を水平面に対して所
定角度傾斜させて設ける必要がある場合などには、各横
材30,40を水平面から傾斜された面内で互いに平行
に配置してもよい。要するに、水平荷重支持用トラス構
造体9は、ガラスパネル2などに加わる風圧力のように
水平方向に加わる荷重を支持できる構成であればよく、
その設置向き等は適用する建築物のデザイン等に応じて
適宜設定すればよい。さらに、前記実施例では、室外側
横材30の下側に補強横材50を配置していたが、室外
側横材30の上側に配置したり、室内側横材40の上側
あるいは下側に補強横材50を配置してもよく、これら
の配置は実施にあたって適宜設定すればよい。
【0040】また、前記実施例において、水平荷重支持
用トラス構造体9や鉛直荷重支持用トラス構造体10を
水平、鉛直方向に沿って設けたとしているが、これらは
厳密に水平、鉛直に沿っているもののみに限定されるこ
とを意味するものではなく、ほぼ水平、鉛直方向に沿っ
ていれば良いことを意味し、組立誤差などによって生じ
る10度以下程度のずれは許容されるものである。
【0041】さらに、前記実施例では、主方立4や補助
方立6にもトラス構造の部材を用いていたが、図10に
示すように、これら方立4,6には四角パイプ状やH型
鋼、アングル材等の各種形状、材質の方立を用いてもよ
い。ただし、方立4,6をトラス構造とすれば、構造部
材7との間で構造的、意匠的に統一感が得られるという
利点がある。
【0042】また、構造部材7の各横材30,40,5
0、ラチス材61,62、補強材65等も、前記実施例
のように、アルミ製の丸パイプ状のものに限らず、角パ
イプ、丸棒、角棒、アングル材等の各種形状のものや、
ステンレス、スチールなどの各種材質のものが利用でき
る。但し、アルミ製の丸パイプ状のものを用いれば、軽
量でかつ高強度にできるとともに、製造が容易であると
いう利点がある。
【0043】さらに、水平荷重支持用および鉛直荷重支
持用の各トラス構造体9,10の構造も前記実施例のも
のに限らず、例えばラチス材61,62と束材とを組み
合わせた連結材を用いるなどの公知の各種のトラス構造
が利用できる。また、前記実施例では、水平荷重支持
用、鉛直荷重支持用の各トラス構造体9,10を一体化
して構造部材7としていたが、各トラス構造体を別体と
して形成してもよい。但し、別体とした場合でも、前記
実施例と同様に、各々の弦材の一方同士を連結し、さら
に残りの弦材間に補強材を掛け渡して長手方向直交断面
が三角形状となるように構成したほうが、強度的に有利
である。
【0044】また、補強材65の配置位置は、必ずしも
前記実施例のように補助方立6の位置に合わせて設ける
必要はなく、補助方立6の配置本数、配置間隔等に応じ
て強度支持に適した位置に配置すればよい。
【0045】さらに、前記実施例では、構造部材7の各
横材30,40,50の両端を、縦材11,12にピン
接合していたが、構造部材7や縦構造体(主方立4、補
助方立6)がスチール製である場合等には溶接などの他
の接合手段を用いてもよく、使用する部材の材質や建築
物等に応じて適宜設定すればよい。また、ピン接合とす
る場合でも、前記実施例のように、各横材30,40,
50の両端部分で接続ピン36,46,56の軸方向の
向きを一致させてもよく、その具体的な構造は実施にあ
たって適宜設定すればよい。
【0046】さらに、本発明の構造部材は、前記実施例
のように、カーテンウォール1の方立3間の補強に用い
られるものに限らず、建築物における各種の梁等の様々
な用途に用いることができ、特に水平および鉛直の2方
向の荷重を支持する部分に好適である。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、水平および鉛直方向の
荷重を支持する水平荷重支持用および鉛直荷重支持用の
各トラス構造体からなる構造部材を、方立等の縦構造体
間に配置したので、縦構造体を通常より離して配置する
場合であっても、構造体として十分な強度が得られる。
このため、本発明の構造部材を、カーテンウォールのパ
ネルを支持する方立間に配置すれば、隣接する方立を通
常よりも離して配置することができ、出入口や風除室等
を形成するための大きな開口をカーテンウォール壁面に
設けることができる。また、本発明では、水平および鉛
直方向の各荷重を水平荷重支持用および鉛直荷重支持用
の各トラス構造体で別々に支持することができるため、
各方向に加わる荷重の大きさが異なる場合であっても、
各々に対応して各トラス構造体の強度を設定することが
でき、各荷重を効率的に支持することができる。
【0048】さらに、構造部材は水平荷重支持用、鉛直
荷重支持用の各トラス構造体により形成されているの
で、弦材としての各横材やラチス材等の構成部材に小断
面の部材を用いても、強度を十分向上することができ、
かつ構造部材も軽量化することができ、機能的に優れた
構造部材とすることができる。また、小断面の部材を用
いることができるため、構造部材の占有スペースを小さ
くでき、室内外の見通し(開放性)も向上することがで
き、意匠的にも優れた構造部材とすることができる。
【0049】さらに、水平荷重支持用トラス構造体が室
外側横材および室内側横材間にラチス材を掛け渡して構
成され、鉛直荷重支持用トラス構造体が室外側横材およ
び室内側横材の一方と補強横材との間にラチス材を掛け
渡して構成されているため、各トラス構造体の弦材の一
方を互いに共有することができ、部品点数を少なくでき
てコストを低減することができる。また、水平荷重支持
用トラス構造体の室外側横材および室内側横材の他方と
補強横材との間に補強材を掛け渡して構成すれば、補強
材によって各トラス構造体における鉛直および水平の2
方向の荷重支持が補完され、各トラス構造体を含む立体
的な構造部材が構成されて構成部材の強度を向上するこ
とができる。
【0050】さらに、構造部材として3本の横材を含む
トラス構造体を採用し、各横材を縦材に接合する手段と
してピン接合を採用した場合に、直交2方向の各トラス
構造体の交差部に配置される横材(室外側横材および室
内側横材の一方)を縦構造体に接合する接続ピンと、他
の横材(室外側横材および室内側横材の他方と補強横
材)を縦構造体に接合する接続ピンとが互いに90度異
なる向きに設定すれば、これらの各横材間(室外側横材
および室内側横材の一方と、室外側横材および室内側横
材の他方および補強横材との間)に製作過程等に誤差が
生じても、その誤差をピン接合部で吸収することがで
き、構造部材を確実にかつ簡単に設置することができ
る。また、接続ピンの向きを変えることで、主に鉛直荷
重が加わる接続ピンと水平荷重が加わる接続ピンとで、
ともに剪断力が加わるように設定することができ、ピン
接合の強度を向上できて各方向の荷重を確実に支持する
ことができる。
【0051】さらに、構造部材を3本の横材(室外側横
材、室内側横材、補強横材)と、各横材間に亘って連結
されたラチス材とで構成し、この構造部材が取り付けら
れる縦構造体を室外側縦材および室内側縦材間にラチス
材を掛け渡して構成すれば、縦構造体と本発明の構造部
材との構造的および意匠的(デザイン的)な統一感が得
られ、室内等に露出させても外観を向上できるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造部材の一実施例を用いたカーテン
ウォールを示す室内側から見た正面図である。
【図2】同上実施例の方立および構造部材を示す側面図
である。
【図3】同上実施例の構造部材を示す上面図である。
【図4】同上実施例の構造部材の概略構成を示す斜視図
である。
【図5】同上実施例の構造部材の室外側横材のピン接合
部を示す側面図である。
【図6】図5のA−A線に沿った断面図である。
【図7】同上実施例の構造部材の室内側横材のピン接合
部を示す側面図である。
【図8】図7のB−B線に沿った断面図である。
【図9】同上実施例の構造部材の補強横材のピン接合部
を示す平断面図である。
【図10】本発明の変形例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
4 縦構造体である主方立 7,70 構造部材 9 水平荷重支持用トラス構造体 10 鉛直荷重支持用トラス構造体 11 室外側縦材 12 室内側縦材 30 室外側横材 40 室内側横材 50 補強横材 61,62 連結材であるラチス材 65 補強材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築物の縦構造体(4) 間に取り付けられ
    る構造部材(7) であって、鉛直面に沿って設けられて鉛
    直方向の荷重を支持する鉛直荷重支持用トラス構造体(1
    0)と、鉛直面に直行する面に沿って設けられて水平方向
    の荷重を支持する水平荷重支持用トラス構造体(9) とで
    構成されているとともに、 前記水平荷重支持用トラス構造体(9) は、鉛直面に直交
    する面内において互いに平行となるように配置された室
    外側横材(30)および室内側横材(40)と、これらの各横材
    (30), (40)間に亘って連結された連結材(61)とで構成さ
    れ、 前記鉛直荷重支持用トラス構造体(10)は、前記室外側横
    材(30)および室内側横材(40)の一方の横材と、この横材
    の上方あるいは下方のいずれか一方の側に配置された補
    助横材(50)と、前記室外側横材(30)および室内側横材(4
    0)の一方の横材と補助横材(50)との間に亘って連結され
    た連結材(62)とで構成され、 かつ前記室外側横材(30)および室内側横材(40)の他方の
    横材と補助横材(50)との間に亘って補強材(65)が連結さ
    れていることを特徴とする構造部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の構造部材において、前記
    室外側横材(30)、室内側横材(40)および補強横材(50)
    は、それぞれ縦構造体(4) に対してピン接合によって接
    合され、かつ水平荷重支持用および鉛直荷重支持用の各
    トラス構造体(9),(10)の両方に含まれる横材(30)を接合
    する接続ピン(36)と、他の2つの横材(40), (50)を接合
    する接続ピン(46), (56)とは、その軸方向が互いに90
    度異なる向きに設定されていることを特徴とする構造部
    材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の構造部材におい
    て、前記縦構造体(4)は、室外側縦材(11)および室内側
    縦材(12)間に亘って連結材(13)を連結して形成されるト
    ラス構造体により構成され、かつ前記室外側横材(30)は
    縦構造体(4) の室外側縦材(11)間に亘って接合され、前
    記室内側横材(40)は縦構造体(4) の室内側縦材(12)間に
    亘って接合されるとともに、前記補助横材(50)は縦構造
    体(4) の室外側縦材(11)および室内側縦材(12)の一方の
    縦材間に亘って接合されていることを特徴とする構造部
    材。
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