JPH0725264U - エンジンの吸気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料の霧化とタンブル生成を確実に行うこと
で燃焼改善の効果を大きく向上でき、しかも装置として
軽量かつコンパクトで、低コストが図れるエンジンの吸
気装置を提供することを目的とする。 【構成】 吸気ポート３の通路内を隔壁５により第１通
路６と第２通路７とを区画形成し、前記第２通路７を全
域閉鎖または全域開放する電気ヒータ８ａを内蔵するシ
ャッタ弁８を設け、インジェクタ１５の噴射方向を、上
記シャッタ弁８が閉鎖状態の時に噴射燃料がシャッタ弁
８に当接するように構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンの吸気装置に関し、さらに詳しくは、吸気ポートの通路内 を２つの通路に区画してエンジン運転条件により一方または両方の通路より燃焼 室内に吸入するようにしたエンジンの吸気装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

エンジンの燃焼改善を図る手段として、従来、吸気ポート内の通路を２通路に 区画してエンジン運転条件により吸気流の流れを変化させたり、燃焼室内に吸入 される混合気流にタンブルやスワール等の旋回流を生成する吸気装置が種々提案 されている。

【０００３】 図２はその従来例の一例を示すものであり、特開昭６３−２５３１７号公報に 開示されているエンジン吸気装置を示し、図に見られるように、燃焼室に開通す る吸気ポート２１の通路内に隔壁２２を備えて、通路内を大きな通路断面積を有 する第１の通路２３と、それより小さい通路断面積を有する第２の通路２４とに 区画形成し、第１の通路２３には、通路を開閉するシャッタ弁２５を設けてこれ を開閉することにより吸気流の流れをエンジン運転条件により変化させるように している。 この先行技術の場合、シャッタ弁２５が全開状態にある時には、インジェクタ ２６からポート内に噴射される燃料をシャッタ弁２５の一部に干渉させて燃料の 霧化を促進するようにしている。

【０００４】 図３に示す従来例は、実開昭５９−１３５３３４号公報により提案されている ものである。この先行技術は、吸気弁３１を介して燃焼室３２内に開通された吸 気ポート３３の通路内には、通路内を２層に区画する仕切壁３６と、一端が通路 壁面に軸支されたリード弁型の逆止弁３４とが介装されてあり、逆止弁３４の回 動角度をエンジンの運転状態に応じて変化させることにより燃焼室３２内に流入 する混合気の流動状態を変えるように構成されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで上述の従来例において、図２に示す前者の先行技術の場合、インジェ クタ２６からの噴射燃料はシャッタ弁２５の端部に衝突することによって燃料霧 化の促進が図れるとしても、シャッタ弁２５自体には燃料を霧化させるための装 置は設けられておらず、燃料の霧化は必ずしも十分ではない。

【０００６】 一方、図３に示す後者の先行技術の場合、エンジンの運転条件に応じて燃焼室 ３２に流入する混合気の流動状態を変え、これにより燃焼改善を図ろうとするも のであるが、燃料の霧化についての配慮は特別に考慮されていない。

【０００７】 本考案は、従来の先行技術に比して燃焼改善の効果を大きく向上でき、しかも 装置として軽量かつコンパクトで、低コストが図れるエンジンの吸気装置を提供 することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案による吸気装置は、エンジン燃焼室に開通す る吸気ポートの通路内に、通路内を区画する隔壁を設けて、吸気流を燃焼室内の 中央部に縦旋回するように導く第１通路と、燃焼室内の外周部に導く第２通路と を形成してなる。 そして上記第２通路の側に、一端が通路壁面に回動可能に軸支され、回動時に 他端が隔壁端部に当接して第２通路を全域閉鎖または全域開放するシャッタ弁を 設けてあり、このシャッタ弁に、電気ヒータを内蔵させ、該電気ヒータおよびシ ャッタ弁の開閉機構をＥＣＵにより制御して、少くともエンジン冷態始動時には シャッタ弁を閉鎖状態，電気ヒータを通電状態に、また暖機後はシャッタ弁を開 放状態，電気ヒータを非通電状態に制御し、且つ吸気ポートに向けて配置された インジェクタの噴射方向を、シャッタ弁が閉鎖状態の時に電気ヒータを内蔵した シャッタ弁に当接するように配置してなることを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】

上記のような構成によると、エンジン冷態始動時には、シャッタ弁が第２通路 を閉鎖し、この時には電気ヒータに通電されていてインジェクタよりの噴射燃料 が電気ヒータを内蔵したシャッタ弁に当接することにより、ここで第１段の霧化 が促進される。また、第２通路が閉鎖されることから吸気経路は第１通路のみと なり、通路断面積が減少するので第１通路内を流れる混合気の流速は高まり、混 合気流は燃焼室内でタンブルを生起する。その結果、燃料霧化の促進効果とタン ブル効果との相乗により燃焼改善が大きく向上される。

【００１０】 また暖機後は、電気ヒータへの通電を止め、この時はシャッタ弁が第２通路を 全域開放することによりインジェクタからの噴射燃料による混合気流は第１通路 および第２通路の双方を通って燃焼室内に流入され、この際、シャッタ弁は通路 壁面に引き込んで第２通路を全域開放するからシャッタ弁に起因する通気抵抗が 起らず、充填効率の向上が図れる。

【００１１】 さらに装置としても、シャッタ弁に電気ヒータを内蔵して一体化したため電気 ヒータが吸気通路内に露出して燃料と接触するような不都合は起らず、軽量かつ コンパクトに構成でき、低コストの吸気装置を提供できる。

【００１２】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の一実施例を説明する。 図１は本考案の一実施例を示すエンジン吸気装置の構成図であり、符号１はエ ンジン本体の上部を形成するシリンダヘッドで、該シリンダヘッド１には、吸気 弁３ａを介してエンジン燃焼室２に開通する曲り部を有した吸気ポート３と排気 弁４ｂを介してエンジン燃焼室２に開通する曲り部を有した排気ポート４とが形 成されている。

【００１３】 本考案では上記吸気ポート３内に、ポートを区画する隔壁５を設け、該隔壁５ により第１通路６と第２通路７とが区画形成されている。前記第１通路６は吸気 流を燃焼室２内の中央部に縦旋回するように導かれる通路で、第２通路７は吸気 流を燃焼室２内の外周部に導かれる通路である。 また、上記第２通路７にシャッタ弁８を設け、該シャッタ弁８は一端を前記第 ２通路７側の壁面に軸９を介して軸着し、軸９を中心に回動すると、遊端が隔壁 ５の端部に当接し、上記第２通路７を全域閉鎖または全域開放するように配置さ れる。また、該シャッタ弁８は内部にエンジンの制御系に具備するＥＣＵ１１の 制御信号によって通電，非通電を制御される電気ヒータ８ａを内蔵している。さ らにこのシャッタ弁８の開閉機構は、上記吸気ポート３に連通する吸気通路１４ とアクチュエータ１０とを連通する吸入管負圧Ａの途中に空気の逆流を防ぐチェ ックバルブ１３とＥＣＵ１１の制御信号により開閉制御されるソレノイドバルブ １２とを介在し、前記アクチュエータ１０とシャッタ弁８はＢ１を遊点，Ｂ２を 支点とするアームＢによってリンク結合されている。 さらに、上記吸気通路１４にインジェクタ１５を設け、該インジェクタ１５の 噴射方向を図中点線で示される領域とし、上記シャッタ弁８が閉鎖状態の時に噴 射燃料がシャッタ弁８に当接するように配置している。

【００１４】 次に、本考案の動作を説明する。 エンジン冷態始動時には、ＥＣＵ１１からの制御信号によりソレノイド・バル ブ１２を開き、吸気通路１４の負圧をアクチュエータ１０に作動させてシャッタ 弁８を閉鎖すると共に、ＥＣＵ１１からの制御信号により電気ヒータ８ａを通電 する。その結果、インジェクタ１５から噴射する燃料は、シャッタ弁８に当接し 、シャッタ弁８の内蔵する電気ヒータ８ａにより加熱され、燃料の霧化が促進さ れる。また、シャッタ弁８を閉鎖するため吸気経路は第１通路６のみとなり、通 路断面積が減少するので第１通路６内を流れる混合気の流速は高まり、混合気流 は燃焼室２内でタンブルを生起する。その結果、燃料霧化の促進効果とタンブル 効果との相乗により燃焼改善が大きく向上される。

【００１５】 エンジン始動後、時間が経過して暖機が進みエンジンの温度が上昇すると、Ｅ ＣＵ１１の指令によりソレノイド・バルブ１２が閉じて吸気通路１４の負圧がア クチュエータ１０に作動しなくなるので、シャッタ弁８は第２通路７を全域開放 すると共に、同時に電気ヒータ８ａをＥＣＵ１１の指令により非通電とする。そ の結果、シャッタ弁８は通路壁面に引き込んで第２通路７を全域開放するからシ ャッタ弁８に起因する通気抵抗が起らず、充填効率の向上が図れる。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、エンジン冷態始動時に通路閉鎖を行うシ ャッタ弁に電気ヒータを内蔵し、このシャッタ弁に燃料を当接することで燃料の 霧化が促進され、また霧化した燃料と空気の混合気は燃焼室内でタンブルを生成 するため、燃料霧化の促進効果とタンブル効果との相乗により燃焼改善が大きく 向上される。また、エンジン暖機後はシャッタ弁を通路壁面に引き込んで第２通 路を全域開放するからシャッタ弁に起因する通気抵抗が起らず、充填効率の向上 が図れる。さらに装置としても、シャッタ弁に電気ヒータを内蔵して一体化した ため軽量かつコンパクトに構成でき、低コストの吸気装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すエンジンの吸気装置の
構成図。

【図２】従来例の説明図

【図３】従来例の説明図

【符号の説明】 １ シリンダヘッド ２ エンジン燃焼室 ３ 吸気ポート ３ａ 吸気弁 ４ 排気ポート ４ａ 排気弁 ５ 隔壁 ６ 第１通路 ７ 第２通路 ８ シャッタ弁 ８ａ 電気ヒータ ９ 軸 １０ アクチュエータ １１ ＥＣＵ １２ ソレノイドバルブ １３ チェックバルブ １４ 吸気通路 １５ インジェクタ Ａ 吸入負圧管 Ｂ アーム Ｂ１ 遊点 Ｂ２ 支点

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジン燃焼室に開通する吸気ポートの
   通路内に、通路内を区画する隔壁を設けて、吸気流を燃
   焼室内の中央部に縦旋回するように導く第１通路と、燃
   焼室内の外周部に導く第２通路とを形成してなり、 上記第２通路の側に、一端が通路壁面に回動可能に軸支
   され、回動時に他端が隔壁端部に当接して第２通路を全
   域閉鎖または全域開放するシャッタ弁を設けてあり、 上記シャッタ弁に、電気ヒータを内蔵させ、該電気ヒー
   タおよびシャッタ弁の開閉機構をＥＣＵにより制御し
   て、少くともエンジン冷態始動時にはシャッタ弁を閉鎖
   状態，電気ヒータを通電状態に、また暖機後はシャッタ
   弁を開放状態，電気ヒータを非通電状態に制御し、且つ
   吸気ポートに向けて配置されたインジェクタの噴射方向
   を、シャッタ弁が閉鎖状態の時に電気ヒータを内蔵した
   シャッタ弁に当接するように配置してなることを特徴と
   するエンジンの吸気装置。