JPH07252604A - エッチング性とプレス成形性に優れたFe−Ni合金 - Google Patents

エッチング性とプレス成形性に優れたFe−Ni合金

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JPH07252604A
JPH07252604A JP3980894A JP3980894A JPH07252604A JP H07252604 A JPH07252604 A JP H07252604A JP 3980894 A JP3980894 A JP 3980894A JP 3980894 A JP3980894 A JP 3980894A JP H07252604 A JPH07252604 A JP H07252604A
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etching
alloy
corrosion products
delayed fracture
less
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JP3980894A
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Tomio Satsunoki
軒 富美夫 札
Tadaaki Komano
野 忠 昭 駒
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、エッチング時に腐食生成物の発生
を抑制し、更にプレス成形後に発生する遅れ破壊を防止
し、製造歩留を大幅に向上させることができる、エッチ
ング性とプレス成形性に優れたFe−Ni合金を提供す
る。 【構成】 重量%で、Ni:30〜85%、C≦0.0
3%、Si≦0.30%、Mn≦2.0%、Al≦0.
02%、O≦0.02%、S≦0.005%、H≧0.
00015%であって、かつS+5・H≦0.010%
であり、残部がFeおよび不純物からなる。また、同合
金にMo、Cu、Cr、Co、Nb、V、Wを1種また
は2種以上を合計で10%以下含有する。更に、Bを
0.05%以下含有する。 【効果】 エッチング時に溶解面に腐食生成物の発生が
抑制され、またプレス成形後に数週間経て発生する遅れ
破壊が防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エッチング時の腐食生
成物抑制効果とプレス後の遅れ破壊防止効果に優れたF
e−Ni合金に関するものであり、特にシャドウマスク
用Fe−36%Ni合金、リードフレーム用Fe−42
%Ni合金、磁気ヘッド用パーマロイ合金等のエッチン
グおよびプレス成形を施すFe−Ni合金に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】カラーテレビ用受像管に用いられるシャ
ドウマスク用Fe−Ni合金は、エッチング穿孔するに
際して、エッチング面に多量の腐食生成物が発生するこ
とがあり、これがエッチング面の平滑性やエッチング溶
解速度を著しく阻害する。また、フォトエッチング後に
絞りや打ち抜き等のプレス加工を行うと、数日あるいは
数週間後に加工の厳しいコーナー部や打ち抜き部に遅れ
破壊による微小割れの発生が散見されることがある。従
って、エッチング時に腐食生成物の発生を抑制し、更に
プレス成形後に発生する遅れ破壊を防止できるFe−N
i合金が強く要望されていた。
【0003】従来、エッチング穿孔性を改善する技術と
しては、例えば特開昭61−113746号公報に開示
されているように、C、S、O、Nを高純化して炭化
物、硫化物、酸化物、窒化物等の介在物を低減する方法
がある。これによれば、エッチング穿孔時の介在物に起
因する穿孔ムラおよび欠陥は防止できるが、介在物以外
の原因によるエッチング不良を防止するには十分でな
く、またプレス成形後に発生する遅れ破壊の防止につい
ては考慮されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エッチング
時に腐食生成物の発生を抑制し、更にプレス成形後に発
生する遅れ破壊を防止し、製造歩留を大幅に向上させる
ことができる、エッチング性とプレス成形性に優れたF
e−Ni合金を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するためのものであって、次の事項を要旨としてい
る。 (1)重量%で、Ni:30〜85%、C≦0.03
%、Si≦0.30%、Mn≦2.0%、Al≦0.0
2%、O≦0.02%、S≦0.005%、H≧0.0
0015%であって、かつS+5・H≦0.010%で
あり、残部がFeおよび不純物からなるエッチング性と
プレス成形性に優れたFe−Ni合金。 (2)上記(1)の合金において、さらにMo、Cu、
Cr、Co、Nb、V、Wを1種または2種以上を合計
で10%以下含有する。 (3)上記(1)または(2)の合金において、さら
に、Bを0.05%以下含有する。
【0006】以下に、本発明を詳細に説明する。まず、
本発明合金の各元素の限定理由について述べる。Ni
は、その含有量が30%より少ないと熱膨張係数が極め
て高くなり、カラーブラウン管の鮮鋭性が劣化する。8
5%を超えて含有すると透磁率が極めて低くなり、磁気
ヘッドとしての特性が劣化する。従って、Niの成分範
囲を30〜85%とし、より好ましい範囲は、35〜8
1%である。
【0007】Cは、その含有量が0.03%を超えると
鉄炭化物の生成が著しく、これがエッチング穿孔性を阻
害し穿孔欠陥の原因となる。従って、Cの成分範囲を
0.03%以下とし、より好ましい範囲は、0.01%
以下である。
【0008】Siは、その含有量が0.30%を超える
とSiO2 系介在物の生成が著しい。SiO2 系介在物
は高延性であり、熱間圧延やその後の冷間圧延の加工に
より直鎖状に残留してエッチング時に筋状の穿孔ムラの
原因となる。従って、Siの成分範囲を0.30%以下
とし、より好ましい範囲は、0.10%以下である。
【0009】Mnは、その含有量が2.0%を超えると
Mn酸化物系介在物の生成が著しく、これがエッチング
穿孔性を阻害し穿孔欠陥の原因となる。従って、Mnの
成分範囲を2.0%以下とした。
【0010】Alは、脱酸剤として有効であるが、その
含有量が0.02%を超えるとAl2 3 系介在物の生
成が著しい。Al2 3 系介在物は低延性であり、熱間
圧延やその後の冷間圧延後の加工により分断されて線状
に残留してエッチング時に筋状の穿孔ムラの原因とな
る。従って、Alの成分範囲を0.02%以下とし、よ
り好ましい範囲は、0.01%以下である。
【0011】Oは、その含有量が0.02%を超えると
酸化物系介在物の生成が著しく、これがエッチング穿孔
性を阻害し穿孔欠陥や穿孔ムラの原因となる。従って、
Oの成分範囲を0.02%以下とし、より好ましい範囲
は、0.01%以下である。
【0012】本発明者等は、エッチング時に腐食生成物
の発生を抑制し、更にプレス後に発生する遅れ破壊を防
止するためには、Sの含有量が0.005%以下、Hの
含有量が0.00015%以上であって、かつS+5・
H≦0.010%であることが有効なことを見い出し
た。
【0013】板厚が0.20mmであるFe−36%N
i合金薄板を用いて、素材中のSおよびHの含有量によ
るエッチング時の腐食生成物の発生量とプレス後の遅れ
破壊の発生割合への影響を調査した結果を、図1に示
す。
【0014】ここで、エッチング時の腐食生成物の発生
量は、FeCl3 +0.17%HClでボーメ比重が
1.49であるエッチング液を用いて、液温度が67
℃、スプレー圧力が2.0kgf/cm2 、時間が1分
であるエッチング条件で試験した時にエッチング溶解面
に付着した腐食生成物を水洗によりビーカーに補集し、
0.2μmのポアフィルターで吸引ろ過、乾燥後に重量
測定して10cm2 当たりの腐食生成物発生量(mg)
の割合で評価した。また、プレス成形後の遅れ破壊の発
生割合は、ブランク径100mmφの円板を直径40m
mのポンチで円筒絞りした後、1週間経た時に円筒の側
壁に割れが発生した個数を絞り加工総数で割った百分率
で評価した。図1においてプロットの右上の数字は腐食
生成物の発生量であり、右下の数字は遅れ破壊の発生割
合である。
【0015】図1から明らかなように、Sの含有量が
0.005%を超えると、エッチング時の腐食生成物の
発生量が著しく増加するため、溶解面の平滑性や溶解速
度の低下等のエッチング穿孔性が劣化することがわか
る。また、Hの含有量が0.00015%未満では、エ
ッチング時の腐食生成物の発生量が著しく増加し、溶解
面に不均一な凹凸が生じてエッチング穿孔性が劣化す
る。更に、S+5・Hが0.010%を超える場合に
は、プレス後の遅れ破壊の発生割合が増加するためプレ
ス加工性が劣化する。従って、Sの範囲を0.005%
以下、Hの範囲を0.00015%以上として、かつS
+5・H≦0.010%とした。より好ましい範囲は、
Hの含有量が0.00020〜0.0015%である。
【0016】上記理由についての詳細は不明であるが、
腐食生成物組成中にS分が占める割合が比較的高いこと
により、合金中のS含有量が高いと腐食生成物が形成さ
れやすいと考えられる。また、合金中のH含有量が高い
と腐食生成物の形成が抑制される理由は、エッチング反
応時にHがSと結合して消費されるので、腐食生成物形
成に寄与できるH量が低減するためと推定される。更
に、プレス後の遅れ破壊は、プレス中に導入されるボイ
ド内にH2 やH2 Sが形成され、ガス圧が母相の破壊強
度を超えた時に起こると考えられるので、合金中のHお
よびSの含有量が相補的に影響すると推定される。
【0017】Mo、Cu、Cr、Co、Nb、V、W、
Zrは、1種または2種以上添加することにより磁気特
性を向上させる元素である。しかしながら、合計で10
%を超えて添加すると、Cr、Nb、V、W、Zrは炭
化物を、Mo、Coは硫化物をそれぞれ形成し、これが
エッチング穿孔性を阻害し穿孔欠陥の原因となる。ま
た、Cuは第2相として析出し、母相とのエッチング速
度差から溶解面に凹凸が生じて、均一なエッチング穿孔
ができない。より好ましい範囲は、合計で6%以下であ
る。
【0018】本発明者等は、エッチング時に腐食生成物
の発生を抑制し、エッチング穿孔速度を向上するために
は、Bの含有量が0.05%以下含有することが有効な
ことを見出した。
【0019】板厚が0.20mmであるFe−36%N
i合金薄板を用いて、素材中のBの含有量によるエッチ
ング時の腐食生成物の発生量とエッチング穿孔速度への
影響を調査した結果を、図2に示す。ここで、エッチン
グ穿孔速度は、FeCl3 +0.17%HClでボーメ
比重が1.49であるエッチング液を用いて、液温度が
67℃、スプレー圧力が2.0kgf/cm2 、時間が
1分であるエッチング条件で試験した時に1分当たりの
穿孔深さで評価した。
【0020】図2から明らかなように、Bの含有量が
0.50%を超えると、エッチング穿孔速度の向上効果
が飽和し、エッチング時に腐食生成物の発生量が顕著に
増大することがわかる。従って、Bの添加範囲を0.0
5%以下とした。より好ましい範囲は、0.0001〜
0.0020%である。
【0021】エッチング穿孔速度の向上に与えるBの効
果についての詳細な機構はまだよくわかっていないが、
粒界偏析したBが粒界近傍に金属結合に係わる自由電子
を引きつけるので、粒内での自由電子密度が相対的に低
下し、Fe原子やNi原子の結合力を弱めるため、エッ
チング反応により母相の溶解速度が増大すると推定され
る。
【0022】
【実施例】本発明例および比較例の試料の化学組成を、
表1に示す。試料は、Fe−36%Ni合金、Fe−4
2%Ni合金、Fe−50%Ni合金およびFe−80
%Ni合金をベースにした板厚0.20mmの材料であ
る。これらの材料は、溶解精練後に連続鋳造して加熱後
熱間圧延した合金帯(スラブCC−熱延)または溶解精
練後に薄肉連続鋳造で合金帯(薄肉帯状鋳片)を素材と
して1回または2回以上の冷間圧延と雰囲気焼鈍を繰り
返して0.20mmの仕上厚みとした。
【0023】表1には、成分、製造履歴、エッチング試
験結果および絞り加工後の遅れ破壊を併せて示してい
る。ここで、溶解面の性状についての評価は、○印が平
滑性良好であり、△印が溶解面にやや凹凸がある場合で
あり、×印が溶解面に凹凸が顕著に生じて平滑性不良で
ある。
【0024】本発明例は、比較例に比べ、エッチング穿
孔時にエッチング溶解面に腐食生成物の発生量が10c
2 当たり1.0mg以下と極めて少なく、溶解面の平
滑性も良好であり、絞り加工後に1週間経て発生する遅
れ破壊の発生割合も1.0%以下であることがわかる。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明により製造し
たFe−Ni合金薄板を用いれば、エッチング穿孔時に
エッチング溶解面に腐食生成物の発生が抑制され、また
絞りや打ち抜き等のプレス加工後に数日ないしは数週間
経て発生する遅れ破壊が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】素材中のSおよびHの含有量によるエッチング
時の腐食生成物の発生量とプレス後の遅れ破壊の発生割
合への影響を示す図である。
【図2】素材中のBの含有量によるエッチング時の腐食
生成物の発生量とエッチング穿孔速度への影響を示す図
である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Ni:30〜85%、C≦0.
    03%、Si≦0.30%、Mn≦2.0%、Al≦
    0.02%、O≦0.02%、S≦0.005%、H≧
    0.00015%であって、かつS+5・H≦0.01
    0%であり、残部がFeおよび不純物からなることを特
    徴とするエッチング性とプレス成形性に優れたFe−N
    i合金。
  2. 【請求項2】さらに、Mo、Cu、Cr、Co、Nb、
    V、Wを1種または2種以上を合計で10%以下含有す
    ることを特徴とする請求項1に記載のエッチング性とプ
    レス成形性に優れたFe−Ni合金。
  3. 【請求項3】さらに、Bを0.05%以下含有すること
    を特徴とする請求項1または2に記載のエッチング性と
    プレス成形性に優れたFe−Ni合金。
JP3980894A 1994-03-10 1994-03-10 エッチング性とプレス成形性に優れたFe−Ni合金 Pending JPH07252604A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09263827A (ja) * 1996-03-28 1997-10-07 Nisshin Steel Co Ltd スジむら発生のないシャドウマスク用素材の製造方法
WO1998038725A1 (fr) * 1997-02-26 1998-09-03 Seiko Instruments Inc. Moteur pas a pas
JP2001158946A (ja) * 1999-11-22 2001-06-12 Korea Atomic Energy Research Inst アルカリ金属酸化物を含有する溶融塩に対する優れた耐腐食性を有する合金鋼
US7622012B2 (en) 2005-02-09 2009-11-24 Mitsubishi Materials Corporation Flat soft magnetic metal powder and composite magnetic material including the soft magnetic metal powder

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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010330