JPH07250890A - 血液透析装置の滅菌方法 - Google Patents

血液透析装置の滅菌方法

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JPH07250890A
JPH07250890A JP4556894A JP4556894A JPH07250890A JP H07250890 A JPH07250890 A JP H07250890A JP 4556894 A JP4556894 A JP 4556894A JP 4556894 A JP4556894 A JP 4556894A JP H07250890 A JPH07250890 A JP H07250890A
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JP
Japan
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membrane
hemodialysis
aqueous solution
ray
irradiation
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JP4556894A
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Takeyuki Kawaguchi
武行 川口
Masaaki Tsukioka
正明 築岡
Hiroo Matsuda
裕生 松田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分子半透膜を用いた血液透析装置をγ線照
射によって滅菌する際に膜劣化の生じない新規な滅菌方
法を提供する。 【構成】 高分子半透膜を用いた血液透析用装置を滅菌
するに際し、溶存酸素を飽和溶解させた水溶液中にて、
前記半透膜を湿潤した状態でγ線照射する。この際、溶
存酸素を飽和溶解させた水溶液に特定の多価アルコール
を添加することによって、その効果が増大される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血液透析装置の滅菌方法
に関するものである。さらに詳しくは、高分子半透膜を
用いた血液透析装置(モジュール)をγ線照射によって
滅菌する際に膜劣化の生じない新規な滅菌方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高分子半透膜を用いた血液透析装
置などの医療用具の代表的な滅菌方法としては、エチレ
ンオキサイドガス法、高圧水蒸気滅菌法およびγ線照射
法などがある。これらの方法は、それぞれ一長一短があ
るが、近年は残留毒性の少なさや簡便さの点から、高圧
水蒸気滅菌法とγ線照射法とが多用されている。
【0003】しかしながら、高圧水蒸気滅菌法の適用は
耐熱性にすぐれた膜材料のものに限定される。また、γ
線照射法も、セルロース、セルロースエステル、ポリメ
チルメタクリレートなどの耐γ線性に劣る膜材料の場合
には不適当であることが知られており、いずれも適用可
能な膜材料が限定されている。
【0004】前記のごとき耐γ線性の低い膜材料からな
る血液透析装置に対するγ線照射法として、例えば、特
公平3−10343号公報に、炭酸ガスや窒素などの不
活性ガス雰囲気下でγ線照射を行う方法が提案されてい
る。この公報の記載によれば、酸素などのγ線に活性な
気体の雰囲気下の照射では膜の酸化により膜劣化が起る
とされ、この特公平3−10343号の方法によれば透
析膜の劣化を抑えながら乾燥状態で滅菌することが可能
とされている。
【0005】しかしながら、この方法によって滅菌して
得られた血液透析膜は、乾燥状態のため、病院での使用
に際して、該透析膜の湿潤および気泡抜きを必要とする
が、これらは手間がかかり、問題となる。
【0006】一方、特公昭55−23620号公報に
は、透析膜を湿潤状態でγ線照射できることが示されて
いる。この方法によれば、湿潤状態でセルロースやポリ
メチルメタクリレートのγ線滅菌は可能とされている。
【0007】しかしながら、本発明者らの検討によれ
ば、単に飽和含水量以上の湿潤状態でγ線照射するだけ
では、γ線照射によりある程度の膜劣化は避けられず、
膜性能の実質的な低下を抑制するのは困難という事実が
確認された。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
実情に鑑みて、湿潤状態で膜劣化を来さないγ線照滅菌
法を提供すべく鋭意研究の結果、従来好ましくないとさ
れてきた酸素の溶解した水中でγ線照射を行うことによ
り、滅菌効果が高くかつ膜劣化も少ないという、従来の
常識とは全く相反する予想外の結果を与えることを見い
だし、本発明を完成するに到った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、高
分子半透膜を用いた血液透析用装置を滅菌するに際し
て、溶存酸素を飽和溶解させた水溶液で前記高分子半透
膜を湿潤した状態にてγ線照射することを特徴とする透
析装置の滅菌方法である。
【0010】さらに、本発明は、高分子半透膜を用いた
血液透析装置をγ線照射により滅菌するに際して、γ線
活性の水溶性多価アルコールを含有しかつ溶存酸素を飽
和溶解させた水溶液により前記高分子半透膜湿潤した状
態でγ線照射することを特徴とする、改良された滅菌方
法である。
【0011】本発明方法が適用される血液透析装置に高
分子半透膜の素材は、透析用に使用されるものであれ
ば、特に制限はないが、なかでもセルロース、セルロー
スジアセテート、セルローストリアセテートなどのセル
ロース類、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアル
コール、ポリサルホン、ポリアクリロニトリル、ポリエ
チレン、ポリアミドなどが有効であり、特に、セルロー
スジアセテートまたはセルローストリアセテートが好適
である。
【0012】この高分子半透膜の形態は限定されない
が、血液透析用に有効に使用される中空繊維膜が好まし
い。
【0013】本発明方法では、これらの高分子半透膜
は、酸素を飽和量まで溶解かした水溶液中に湿潤・浸漬
した状態で、γ線照射が行われる。
【0014】本発明方法において用いられる飽和溶存酸
素水溶液を得るには、限外濾過水や逆浸透濾過水などに
空気または酸素を溶解度限界まで吹き込んで溶解させれ
ばよい。また、本発明方法においては、必要に応じて、
この溶存酸素が飽和溶解している水中にpH調節剤や水
腐敗防止剤を添加してもかまわない。
【0015】水溶液の温度はとくに制限がないが、常温
付近またはそれ以下の温度が好ましく、あまり高温(例
えば50℃以上)にすると水溶液から溶存酸素が抜け出
るおそれがある。
【0016】高分子半透膜にγ線照射を行うには、少な
くとも高分子半透膜が飽和溶存酸素水溶液によって湿潤
・浸漬された状態で行う必要がある。この際、湿潤・浸
漬状態にある高分子半透膜に直接γ線照射する方法もあ
るが、本発明方法の実用的な実施態様の一つは、高分子
半透膜を内蔵する血液透析装置(モジュール)内に、飽
和溶存酸素水溶液を充填し、必要に応じて密封後、その
状態にてモジュールごとγ線照射を行って滅菌する方法
である。
【0017】γ線照射の条件は、通常γ線滅菌に採用さ
れている条件でよい。例えば、高分子半透膜がセルロー
スエステル中空繊維膜の場合、10〜50KGray 程度の
照射で十分である。
【0018】以上のごとき飽和溶存酸素水溶液の使用に
より本発明の効果が発現する機構は必ずしも明確ではな
いが、一つの機構として、γ線が高分子半透膜を分解し
ないで溶存酸素を活性化し、これがオゾンを生成するこ
とで滅菌効果が発現するとともに、膜の劣化が防げるも
のと考えられる。
【0019】このような効果は、γ線照射時の酸素の存
在は好ましくないとされている従来の常識から、全く予
期し得ないころであり、まさに驚くべき効果と言うべき
である。
【0020】本発明者らの研究によれば、前記の飽和溶
存酸素水溶液に、γ線活性の水溶性多価アルコールを含
有させることによって、その効果が大幅に増大すること
が判明した。
【0021】したがって、前記の方法において、酸素を
飽和溶解させた水溶液中に、γ線活性の水溶性多価アル
コールを含有させて、γ線照射を実施する方法が、より
好適である。
【0022】ここで、使用する前記水溶性多価アルコー
ルとしては、グリセリン、プロピレングリコール、エチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチ
レングリコールおよびソルビトールが挙げられる。これ
らは単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
【0023】これらの水溶性多価アルコールを、飽和溶
存酸素水溶液中に0.1〜50重量%、好ましくは0.
2〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量
%、含有させるのが効果的である。
【0024】前記水溶性多価アルコールを含む飽和溶存
酸素水溶液の調製は、飽和溶存酸素水溶液に前記水溶性
多価アルコールを添加してもよく、逆に、水溶性多価ア
ルコール水溶液に空気または酸素を吹き込んで飽和溶存
酸素水溶液としてもよい。
【0025】このような水溶性多価アルコールを含む飽
和溶存酸素水溶液の使用によって本発明の効果が増大す
る機構は未だ解明されていないが、この場合の一つの機
構として次のようなことが考えられる。すなわち、膜を
形成する高分子材料が、γ線照射によってラジカルを放
出し、カチオンラジカルが生成したのち、該カチオンラ
ジカルは共存する脂肪族多価アルコールから水素引き抜
き反応により安定化し、連鎖的な劣化が抑止される。一
方、高分子材料から放出された電子は系に共存する溶存
酸素によってクェンチされる。これらの効果が相俟って
γ線照射による膜の酸化劣化が効果的に防止されるもの
と推定される。
【0026】
【発明の効果】以上のごとき本発明方法によれば、γ線
照射に際して高分子半透膜の劣化がなく、効果的な滅菌
が行える。
【0027】しかも、滅菌された血液透析装置は、湿潤
および気泡抜きなどを必要せず、病院などですぐに使用
に供することができる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例および比較例により本発明方
法を具体的に説明する。ただし、これらの実施例および
比較例は本発明の理解を助けるためのものであって、こ
れらの記載によって本発明の範囲が限定されるものでは
ない。
【0029】なお、例中の「SC7万」は、デキストラ
ン(分子量7万)に対する膜のフルイ係数を意味する。
また、耐圧テストは、透過液側に空気で圧力をかけ、気
泡の発生する時点での圧力を検出することで行った。
【0030】[実施例1〜2、比較例1〜2]セルロー
ストリアセテートからなる中空繊維を内蔵した血液透析
装置(モジュール)に飽和量の酸素を溶存させた逆浸透
濾過水を充填・密封したのち、これに25 KGrayのγ線
を照射して滅菌を実施した。2個の血液透析装置(モジ
ュール)について同様に実施した。
【0031】また、比較のため、窒素を吹き込むことに
より溶存酸素を除去した水溶液(比較例1)および酸素
も窒素も吹き込まなかった通常の水(比較例2)を用い
て、同様にγ線照射を行った。
【0032】それぞれ、照射前後での膜性能変化および
繊維物性変化を調べた結果をまとめて表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1の結果から明らかなように、血液透析
装置を飽和和溶存酸素含有水中でγ線照射して滅菌処理
した場合(実施例1、実施例2)は、溶存酸素の存在し
ない系でγ線照射を行った場合(比較例1、比較例2)
に比べて、γ線照射後の耐圧性保持が良好で、膜劣化が
起こらないことが確認された。
【0035】[実施例3〜5、比較例3]実施例1〜2
と同様のセルローストリアセテートからなる中空繊維を
内蔵した血液透析装置(モジュール)に、それぞれ、表
2に示す各種多価アルコールを10重量%添加しかつ飽
和量の酸素を溶存させた逆浸透濾過水を充填・密封した
のち、25KGray のγ線を照射して滅菌を実施した。そ
の結果を表2に示す。
【0036】また、比較のため、窒素を吹き込むことに
より溶存酸素を除去した水にグリセリンを添加した水溶
液を用いて、同様にγ線照射を行った。その結果も表2
に比較例3として併記する。
【0037】
【表2】
【0038】表2に示す結果から明らかなように、飽和
溶存酸素含有水中に特定の多価アルコールを添加した系
中でγ線照射した場合(実施例3〜5)は、とくに効果
的であることが実証された。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子半透膜を用いた血液透析装置をγ
    線照射により滅菌するに際し、溶存酸素を飽和溶解させ
    た水溶液で前記高分子半透膜を湿潤した状態にてγ線照
    射することを特徴とする血液透析装置の滅菌方法。
  2. 【請求項2】 高分子半透膜がセルロースエステル中空
    繊維膜である請求項1記載の滅菌方法。
  3. 【請求項3】 血液透析装置内に溶存酸素を飽和溶解さ
    せた水溶液を充填した状態でγ線照射することを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の血液透析装置の滅菌
    方法。
  4. 【請求項4】 高分子半透膜を用いた血液透析装置をγ
    線照射により滅菌するに際し、γ線活性の水溶性多価ア
    ルコールを含みかつ溶存酸素を飽和溶解させた水溶液に
    より前記高分子半透膜を湿潤した状態でγ線照射するこ
    とを特徴とする血液透析装置の滅菌方法。
  5. 【請求項5】 γ線活性の水溶性多価アルコールが、グ
    リセリン、プロピレングリコール、エチレングリコー
    ル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコー
    ルおよびソルビトールからなる群から選ばれた少なくと
    も1種の多価アルコールである請求項4記載の滅菌方
    法。
  6. 【請求項6】 高分子半透膜がセルロースエステル中空
    繊維膜である請求項4または請求項5記載の滅菌方法。
  7. 【請求項7】 血液透析装置内にγ線活性の水溶性多価
    アルコールを含みかつ溶存酸素を飽和溶解させた水溶液
    を充填した状態でγ線照射することを特徴とする請求項
    4、請求項5または請求項6記載の血液透析装置の滅菌
    方法。
JP4556894A 1994-03-16 1994-03-16 血液透析装置の滅菌方法 Pending JPH07250890A (ja)

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EP95301510A EP0672424A1 (en) 1994-03-16 1995-03-08 Method of sterilizing a blood dialyzer having semipermeable polymeric membranes by gamma-ray irradiation
US08/404,311 US5658466A (en) 1994-03-16 1995-03-15 Method of sterilizing a blood dialyzer having semipermeable polymeric membranes by γ-ray irradiation

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007018242A3 (ja) * 2005-08-10 2007-05-24 Asahi Kasei Medical Co Ltd 中空糸膜型血液浄化装置

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