JP3107983B2 - 血液透析装置のガンマ線滅菌方法 - Google Patents
血液透析装置のガンマ線滅菌方法Info
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- JP3107983B2 JP3107983B2 JP06300752A JP30075294A JP3107983B2 JP 3107983 B2 JP3107983 B2 JP 3107983B2 JP 06300752 A JP06300752 A JP 06300752A JP 30075294 A JP30075294 A JP 30075294A JP 3107983 B2 JP3107983 B2 JP 3107983B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は血液透析装置のガンマ線
滅菌方法に関するものである。さらに詳しくは、高分子
半透膜を用いた血液透析装置をガンマ線（γ線）照射に
よって滅菌する際に、膜劣化が生ぜずかつ照射後の紫外
線吸収性の少ない新規な滅菌方法に関するものである。
滅菌方法に関するものである。さらに詳しくは、高分子
半透膜を用いた血液透析装置をガンマ線（γ線）照射に
よって滅菌する際に、膜劣化が生ぜずかつ照射後の紫外
線吸収性の少ない新規な滅菌方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、高分子半透膜を用いた血液透析装
置などの医療用具を滅菌する代表的な方法としては、エ
チレンオキサイドガス法、高圧水蒸気滅菌法およびガン
マ線（γ線）照射法などがある。これらの方法は、それ
ぞれ一長一短があるが、近年は残留毒性の少なさや簡便
さの点から、高圧水蒸気滅菌法またはガンマ線照射法が
多用されている。
置などの医療用具を滅菌する代表的な方法としては、エ
チレンオキサイドガス法、高圧水蒸気滅菌法およびガン
マ線（γ線）照射法などがある。これらの方法は、それ
ぞれ一長一短があるが、近年は残留毒性の少なさや簡便
さの点から、高圧水蒸気滅菌法またはガンマ線照射法が
多用されている。
【０００３】しかしながら、高圧水蒸気滅菌法の適用
は、耐熱性にすぐれた膜材料のものに限定される。ま
た、ガンマ線滅菌法も、セルロース、セルロースエステ
ル、ポリメチルメタクリレートなどのガンマ線に対する
耐性の低い膜材料の場合には不適当であることが知られ
ており、これらの膜材料を用いた血液透析装置の滅菌に
適用するのは困難とされている。
は、耐熱性にすぐれた膜材料のものに限定される。ま
た、ガンマ線滅菌法も、セルロース、セルロースエステ
ル、ポリメチルメタクリレートなどのガンマ線に対する
耐性の低い膜材料の場合には不適当であることが知られ
ており、これらの膜材料を用いた血液透析装置の滅菌に
適用するのは困難とされている。
【０００４】このようなガンマ線耐性の低い膜材料から
なる血液透析装置に対しガンマ線照射を行い滅菌する方
法としては、例えば、特公平３−１０３４３号公報に、
炭酸ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気下でガンマ線照
射を行う方法が提案されている。この公報の記載によれ
ば、酸素などのガンマ線に活性な気体の雰囲気下の照射
では膜材料の酸化により膜劣化が起るとされ、前記特公
平３−１０３４３号公報記載の方法によれば透析膜の劣
化を抑えながら乾燥状態で滅菌することが可能とされて
いる。
なる血液透析装置に対しガンマ線照射を行い滅菌する方
法としては、例えば、特公平３−１０３４３号公報に、
炭酸ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気下でガンマ線照
射を行う方法が提案されている。この公報の記載によれ
ば、酸素などのガンマ線に活性な気体の雰囲気下の照射
では膜材料の酸化により膜劣化が起るとされ、前記特公
平３−１０３４３号公報記載の方法によれば透析膜の劣
化を抑えながら乾燥状態で滅菌することが可能とされて
いる。
【０００５】しかしながら、これらの方法で滅菌して得
られた血液透析装置は乾燥状態にあるため、実用に際し
ては、透析膜の湿潤および装置内部の気泡抜きを必要と
するが、これらは多くの手間と時間がかかるため、病院
での使用に際して問題とされている。
られた血液透析装置は乾燥状態にあるため、実用に際し
ては、透析膜の湿潤および装置内部の気泡抜きを必要と
するが、これらは多くの手間と時間がかかるため、病院
での使用に際して問題とされている。
【０００６】また、特公昭５５−２３６２０号公報に
は、血液透析膜を湿潤状態でガンマ線照射できることが
示されている。この方法によれば、湿潤状態でのセルロ
ースやポリメチルメタクリレート透析膜のガンマ線滅菌
は可能とされている。
は、血液透析膜を湿潤状態でガンマ線照射できることが
示されている。この方法によれば、湿潤状態でのセルロ
ースやポリメチルメタクリレート透析膜のガンマ線滅菌
は可能とされている。
【０００７】しかしながら、本発明者らの検討によれ
ば、単に飽和含水量以上の湿潤状態でガンマ線照射する
だけでは、ガンマ線照射によってある程度の膜劣化は避
けられず、膜性能の実質的な低下を伴わずに十分な滅菌
を行うのは困難であり、とくにセルロースエステル系の
透析膜の場合この傾向が著しいことが確認された。
ば、単に飽和含水量以上の湿潤状態でガンマ線照射する
だけでは、ガンマ線照射によってある程度の膜劣化は避
けられず、膜性能の実質的な低下を伴わずに十分な滅菌
を行うのは困難であり、とくにセルロースエステル系の
透析膜の場合この傾向が著しいことが確認された。
【０００８】さらに、特開平５−１９２３９７号公報に
は、血液透析装置をガンマ線滅菌するに際して、装置本
体内に０．１〜５．０ｗ／ｖ％のグリセリン水溶液を充
填することにより、透析膜の劣化が防止できることが開
示されている。この方法によれば透析膜の劣化は防止で
きるが、ガンマ線照射後の血液透析装置充填水中に紫外
線吸収性の反応生成物が含まれ、この値が医療品の安全
性規格に定められている中空糸からの溶出物の紫外線吸
収値が安全性基準である０．１を超える傾向にあり、好
ましくない。
は、血液透析装置をガンマ線滅菌するに際して、装置本
体内に０．１〜５．０ｗ／ｖ％のグリセリン水溶液を充
填することにより、透析膜の劣化が防止できることが開
示されている。この方法によれば透析膜の劣化は防止で
きるが、ガンマ線照射後の血液透析装置充填水中に紫外
線吸収性の反応生成物が含まれ、この値が医療品の安全
性規格に定められている中空糸からの溶出物の紫外線吸
収値が安全性基準である０．１を超える傾向にあり、好
ましくない。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
従来技術の問題に鑑みて、湿潤状態でのガンマ線照射を
行っても膜劣化を来さず、かつ照射後の中空糸溶出物の
紫外線吸収値も十分に安全性基準を満たす滅菌方法を提
供すべく鋭意研究の結果、充填液中に特殊な水溶性２価
脂肪族アルコールを存在させ、好ましくは該アルコール
とｐＨ調節剤とを共存させた状態でガンマ線照射を行う
ことにより、滅菌効果が高く、かつ、膜性能の劣化が少
なく、しかも中空糸溶出物の紫外線吸収値などの安全性
基準も十分満たし得るという新事実を見いだし、本発明
を完成するに到った。
従来技術の問題に鑑みて、湿潤状態でのガンマ線照射を
行っても膜劣化を来さず、かつ照射後の中空糸溶出物の
紫外線吸収値も十分に安全性基準を満たす滅菌方法を提
供すべく鋭意研究の結果、充填液中に特殊な水溶性２価
脂肪族アルコールを存在させ、好ましくは該アルコール
とｐＨ調節剤とを共存させた状態でガンマ線照射を行う
ことにより、滅菌効果が高く、かつ、膜性能の劣化が少
なく、しかも中空糸溶出物の紫外線吸収値などの安全性
基準も十分満たし得るという新事実を見いだし、本発明
を完成するに到った。
【００１０】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、高
分子半透膜を用いた血液透析装置をガンマ線滅菌するに
際して、ガンマ線活性を有する水溶性２価脂肪族アルコ
ール、例えば、下記式（１）または下記式（２）の少な
くとも１種のアルコール、
分子半透膜を用いた血液透析装置をガンマ線滅菌するに
際して、ガンマ線活性を有する水溶性２価脂肪族アルコ
ール、例えば、下記式（１）または下記式（２）の少な
くとも１種のアルコール、
【００１１】
【化２】
【００１２】［上記式（１）および（２）において、n
は２〜５の整数、m は１〜１０の整数を表わす］ 特に好適には、プロピレングリコールおよびポリ（プロ
ピレングリコール）から選ばれる少なくとも１種、を含
む水溶液中に、さらに必要に応じてこれにｐＨ調節剤を
添加しガンマ線照射開始から終了まで常にｐＨが４以上
７未満にあるよう調節した水溶液中に、前記高分子半透
膜を浸漬した状態でガンマ線照射を施すことによって、
安全性基準を満たす血液透析装置を提供する滅菌方法で
ある。
は２〜５の整数、m は１〜１０の整数を表わす］ 特に好適には、プロピレングリコールおよびポリ（プロ
ピレングリコール）から選ばれる少なくとも１種、を含
む水溶液中に、さらに必要に応じてこれにｐＨ調節剤を
添加しガンマ線照射開始から終了まで常にｐＨが４以上
７未満にあるよう調節した水溶液中に、前記高分子半透
膜を浸漬した状態でガンマ線照射を施すことによって、
安全性基準を満たす血液透析装置を提供する滅菌方法で
ある。
【００１３】本発明において用いられる高分子半透膜と
は、透析用に使用されるものであれば、特に制限はない
が、なかでもセルロース、セルロースジアセテート、セ
ルローストリアセテートなどのセルロース類、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリサルホ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド
などが有効であり、特に、セルロースジアセテート、セ
ルローストリアセテートなどのセルロースエステルが好
適である。
は、透析用に使用されるものであれば、特に制限はない
が、なかでもセルロース、セルロースジアセテート、セ
ルローストリアセテートなどのセルロース類、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリサルホ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド
などが有効であり、特に、セルロースジアセテート、セ
ルローストリアセテートなどのセルロースエステルが好
適である。
【００１４】この高分子半透膜の形態は限定されない
が、血液透析に有効に使用される中空繊維膜、特にセル
ロース類の中空繊維膜が好ましい。
が、血液透析に有効に使用される中空繊維膜、特にセル
ロース類の中空繊維膜が好ましい。
【００１５】本発明方法では、これらの高分子半透膜
は、前記のガンマ線活性を有する特定の水溶性２価脂肪
族アルコール、さらに必要に応じて添加されるｐＨ調節
剤、を含有する水溶液中に浸漬された状態で、好ましく
は血液透析装置内に前記水溶液を充填した状態で、ガン
マ線照射が行われる。
は、前記のガンマ線活性を有する特定の水溶性２価脂肪
族アルコール、さらに必要に応じて添加されるｐＨ調節
剤、を含有する水溶液中に浸漬された状態で、好ましく
は血液透析装置内に前記水溶液を充填した状態で、ガン
マ線照射が行われる。
【００１６】ここで使用するガンマ線活性を有する特定
の水溶性の２価脂肪族アルコールとしては、通常、下記
の一般式（１）または一般式（２）にて示されるアルコ
ール類の少なくとも１種が用いられる。
の水溶性の２価脂肪族アルコールとしては、通常、下記
の一般式（１）または一般式（２）にて示されるアルコ
ール類の少なくとも１種が用いられる。
【００１７】
【化３】
【００１８】（式中のｎおよびｍの定義は上記と同じ） かかるアルコールの具体例としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリ（エチレングリコー
ル）、ポリ（プロピレングリコール）などがあげられ
る。これらは単独で使用してもよく２種以上併用しても
よい。なかでもプロピレングリコール、ポリ（プロピレ
ングリコール）およびこれらの混合物が好ましく、とく
にプロピレングリコールが好適に用いられる。
ル、プロピレングリコール、ポリ（エチレングリコー
ル）、ポリ（プロピレングリコール）などがあげられ
る。これらは単独で使用してもよく２種以上併用しても
よい。なかでもプロピレングリコール、ポリ（プロピレ
ングリコール）およびこれらの混合物が好ましく、とく
にプロピレングリコールが好適に用いられる。
【００１９】前記２価脂肪族アルコールは水溶性であれ
ばその分子量はとくに制限されないが、一般には、分子
量が１５００以下、特に１０００以下のものが好まし
い。
ばその分子量はとくに制限されないが、一般には、分子
量が１５００以下、特に１０００以下のものが好まし
い。
【００２０】これらの水溶性２価脂肪族アルコールは、
水中に０．１〜５０重量％、好ましくは０．２〜２０重
量％、さらに好ましくは０．５〜１０重量％、の割合で
含有するのが効果的である。
水中に０．１〜５０重量％、好ましくは０．２〜２０重
量％、さらに好ましくは０．５〜１０重量％、の割合で
含有するのが効果的である。
【００２１】本発明方法では、前記２価脂肪族アルコー
ルの水溶液（充填水溶液）のｐＨをガンマ線照射前から
終了までの全過程を通じ常に４以上７未満、好ましくは
５．０以上７．０未満に調節するのが好ましい。この目
的で、前記水溶液には、必要に応じ、ｐＨ調節剤が添加
される。本発明方法で必要に応じて使用するｐＨ調節剤
として好適例としては、リン酸緩衝液が挙げられる。
ルの水溶液（充填水溶液）のｐＨをガンマ線照射前から
終了までの全過程を通じ常に４以上７未満、好ましくは
５．０以上７．０未満に調節するのが好ましい。この目
的で、前記水溶液には、必要に応じ、ｐＨ調節剤が添加
される。本発明方法で必要に応じて使用するｐＨ調節剤
として好適例としては、リン酸緩衝液が挙げられる。
【００２２】本発明方法で使用する前記水溶液を調製す
るには、限外濾過水や逆浸透濾過水に前記の特定の２価
アルコールおよび必要に応じリン酸緩衝液などのｐＨ調
節剤を所定量添加して溶解させ、ｐＨを４以上７未満に
調節するのが好ましい。
るには、限外濾過水や逆浸透濾過水に前記の特定の２価
アルコールおよび必要に応じリン酸緩衝液などのｐＨ調
節剤を所定量添加して溶解させ、ｐＨを４以上７未満に
調節するのが好ましい。
【００２３】本発明方法においては、既に述べたように
前記水溶液のｐＨを常に４以上７未満に維持するのが好
ましい。ガンマ線照射前のｐＨがこの範囲を外れると、
例えばセルロースエステル系透析膜の場合、該セルロー
スエステルの側鎖または主鎖の加水分解が生ずるおそれ
があるので好ましくない。また、照射前後のｐＨ変化は
モジュール充填液の生体適合性上の安全基準から１．５
以内に抑えることが望まれる。このため、本発明方法に
おいて透析膜素材がセルロースエステル類の場合は、前
記水溶液へさらにリン酸緩衝液等のｐＨ調節剤を添加す
ることが推奨される。
前記水溶液のｐＨを常に４以上７未満に維持するのが好
ましい。ガンマ線照射前のｐＨがこの範囲を外れると、
例えばセルロースエステル系透析膜の場合、該セルロー
スエステルの側鎖または主鎖の加水分解が生ずるおそれ
があるので好ましくない。また、照射前後のｐＨ変化は
モジュール充填液の生体適合性上の安全基準から１．５
以内に抑えることが望まれる。このため、本発明方法に
おいて透析膜素材がセルロースエステル類の場合は、前
記水溶液へさらにリン酸緩衝液等のｐＨ調節剤を添加す
ることが推奨される。
【００２４】本発明方法を実施するに当たり、前記２価
脂肪族アルコールおよび必要に応じリン酸緩衝液などを
含む水溶液中に、さらに、必要に応じホルマリンなどの
水腐敗防止剤を添加してもよい。
脂肪族アルコールおよび必要に応じリン酸緩衝液などを
含む水溶液中に、さらに、必要に応じホルマリンなどの
水腐敗防止剤を添加してもよい。
【００２５】本発明方法の実用的な実施態様の一つは、
上記の中空繊維膜を用いた血液透析装置（モジュール）
内に、前記水溶液を充填し、必要に応じて密封後、その
状態でモジュールごとガンマ線照射を行って滅菌する方
法である。この際、必要に応じ、滅菌袋に血液透析装置
（モジュール）を封入してガンマ線照射を行ってもよ
い。
上記の中空繊維膜を用いた血液透析装置（モジュール）
内に、前記水溶液を充填し、必要に応じて密封後、その
状態でモジュールごとガンマ線照射を行って滅菌する方
法である。この際、必要に応じ、滅菌袋に血液透析装置
（モジュール）を封入してガンマ線照射を行ってもよ
い。
【００２６】ガンマ線照射の条件は、通常採用されてい
る条件でよい。例えば、高分子半透膜がセルロースエス
テル中空繊維膜の場合、１０〜５０ＫＧｙ程度の照射で
十分である。
る条件でよい。例えば、高分子半透膜がセルロースエス
テル中空繊維膜の場合、１０〜５０ＫＧｙ程度の照射で
十分である。
【００２７】なお、上記水溶液の充填された血液透析装
置は、必要に応じ、ガンマ線照射に先立ち加熱処理を行
ってもよく、また、照射後に水洗、乾燥などの処理を施
してもよい。
置は、必要に応じ、ガンマ線照射に先立ち加熱処理を行
ってもよく、また、照射後に水洗、乾燥などの処理を施
してもよい。
【００２８】
【発明の効果】以上のごとき本発明方法によれば、ガン
マ線照射による血液透析装置の滅菌に際し、高分子透析
膜の劣化を伴うことなく効果的な滅菌が行えるばかりで
なく、ガンマ線照射後の中空糸からの紫外線吸収性物質
の生成が少なく安全性に優れた滅菌を行うことができ
る。また、ｐＨ調節剤を添加することによってガンマ線
照射前後における液のｐＨ変化も少なくでき、より安全
性の高い滅菌を行うことができる。しかも、滅菌された
血液透析装置は、湿潤および気泡抜きなどの処置を必要
せず、すぐに使用に供することができる。
マ線照射による血液透析装置の滅菌に際し、高分子透析
膜の劣化を伴うことなく効果的な滅菌が行えるばかりで
なく、ガンマ線照射後の中空糸からの紫外線吸収性物質
の生成が少なく安全性に優れた滅菌を行うことができ
る。また、ｐＨ調節剤を添加することによってガンマ線
照射前後における液のｐＨ変化も少なくでき、より安全
性の高い滅菌を行うことができる。しかも、滅菌された
血液透析装置は、湿潤および気泡抜きなどの処置を必要
せず、すぐに使用に供することができる。
【００２９】
【実施例】以下に、実施例および比較例により本発明方
法を具体的に説明する。ただし、これらの実施例および
比較例は本発明の理解を助けるためのものであって、こ
れらの記載によって本発明の範囲が限定されるものでは
ない。
法を具体的に説明する。ただし、これらの実施例および
比較例は本発明の理解を助けるためのものであって、こ
れらの記載によって本発明の範囲が限定されるものでは
ない。
【００３０】なお、例中の「ＳＣ７万」は、デキストラ
ン（分子量７万）に対する膜のフルイ係数を意味する。
膜の耐圧性は、透過液側に空気で圧力をかけ、気泡の発
生する時点での圧力を検出する方法で測定した。
ン（分子量７万）に対する膜のフルイ係数を意味する。
膜の耐圧性は、透過液側に空気で圧力をかけ、気泡の発
生する時点での圧力を検出する方法で測定した。
【００３１】また、ガンマ線照射（滅菌）後の中空糸の
紫外線吸収値は、次の方法で測定した。
紫外線吸収値は、次の方法で測定した。
【００３２】紫外線吸収値の測定 ガンマ線照射後の血液透析装置（モジュール）を解体し
て得た中空糸を８０℃で４時間乾燥後、そのうちの１．
５ｇを秤量し、蒸留水１５０ｍｌ中で７０℃で１時間加
温。得られた抽出液を分光光度計を用いて波長２２０ｎ
ｍから３００ｎｍまでの吸収値を測定し、その間の最大
吸収値を該中空糸の紫外線吸収値として採用した。
て得た中空糸を８０℃で４時間乾燥後、そのうちの１．
５ｇを秤量し、蒸留水１５０ｍｌ中で７０℃で１時間加
温。得られた抽出液を分光光度計を用いて波長２２０ｎ
ｍから３００ｎｍまでの吸収値を測定し、その間の最大
吸収値を該中空糸の紫外線吸収値として採用した。
【００３３】［実施例１〜２，比較例１〜３］セルロー
ストリアセテート中空繊維膜を内蔵した血液透析装置
（モジュール）内に、それぞれ表１に記載した水溶性の
２価脂肪族アルコールを５（重量）％を溶解しさらに必
要に応じリン酸緩衝液０．２（重量）％を添加した逆浸
透濾過水を充填密封した後、室温＋１０℃以内の温度で
照射強度２５ＫＧｙ、照射時間２０hrs の条件でガンマ
線を照射して滅菌を実施した（実施例１〜２）。それぞ
れガンマ線照射前後における膜性能変化、中空糸の紫外
線吸収値および充填液の紫外線吸収値、ｐＨ変化などを
調べた結果を表１に示す。
ストリアセテート中空繊維膜を内蔵した血液透析装置
（モジュール）内に、それぞれ表１に記載した水溶性の
２価脂肪族アルコールを５（重量）％を溶解しさらに必
要に応じリン酸緩衝液０．２（重量）％を添加した逆浸
透濾過水を充填密封した後、室温＋１０℃以内の温度で
照射強度２５ＫＧｙ、照射時間２０hrs の条件でガンマ
線を照射して滅菌を実施した（実施例１〜２）。それぞ
れガンマ線照射前後における膜性能変化、中空糸の紫外
線吸収値および充填液の紫外線吸収値、ｐＨ変化などを
調べた結果を表１に示す。
【００３４】比較のため、血液透析装置（モジュール）
に添加剤を含まない水を充填して同様にガンマ線照射を
行った場合（比較例１）、グリセリンを添加した水を充
填して同様にガンマ線照射を行った場合（比較例２）な
らびにリン酸緩衝液のみを添加した水を充填して同様に
ガンマ線照射を行った場合（比較例３）についても、同
様にガンマ線照射前後での膜性能変化、中空糸の紫外線
吸収値および充填液のｐＨ変化を調べた。その結果を表
１に併記する。
に添加剤を含まない水を充填して同様にガンマ線照射を
行った場合（比較例１）、グリセリンを添加した水を充
填して同様にガンマ線照射を行った場合（比較例２）な
らびにリン酸緩衝液のみを添加した水を充填して同様に
ガンマ線照射を行った場合（比較例３）についても、同
様にガンマ線照射前後での膜性能変化、中空糸の紫外線
吸収値および充填液のｐＨ変化を調べた。その結果を表
１に併記する。
【００３５】
【表１】
【００３６】表１に示す結果から明らかなように、セル
ロースアセテート中空繊維膜をプロピレングリコールや
ポリ（プロピレングリコール）を含む充填水中でガンマ
線照射を行った場合（実施例１〜２）は、上記２価アル
コールを欠く充填液中で照射を行った場合（比較例１〜
３）に比べて、ガンマ線照射後のＳＣ７万保持性が良好
で、膜劣化が起こらないこと、そして、中空糸の紫外線
吸収値の変化が安全性基準の０．１０以内に収まること
が確認された。
ロースアセテート中空繊維膜をプロピレングリコールや
ポリ（プロピレングリコール）を含む充填水中でガンマ
線照射を行った場合（実施例１〜２）は、上記２価アル
コールを欠く充填液中で照射を行った場合（比較例１〜
３）に比べて、ガンマ線照射後のＳＣ７万保持性が良好
で、膜劣化が起こらないこと、そして、中空糸の紫外線
吸収値の変化が安全性基準の０．１０以内に収まること
が確認された。
【００３７】［実施例３〜６、比較例４］セルロースト
リアセテート中空繊維膜を内蔵した血液透析装置（モジ
ュール）に、それぞれ表２に記載した水溶性の２価脂肪
族アルコールを５（重量）％を溶解した逆浸透濾過水を
充填密封した後、実施例１〜２と同様にガンマ線を照射
して滅菌を実施した後、それぞれ、ガンマ線照射前後に
おける膜性能変化、耐圧性能を調べた結果を表２に示
す。また、比較のため、アルコール類を添加しない水を
用いて、同様のガンマ線を行った結果を表２に併記す
る。
リアセテート中空繊維膜を内蔵した血液透析装置（モジ
ュール）に、それぞれ表２に記載した水溶性の２価脂肪
族アルコールを５（重量）％を溶解した逆浸透濾過水を
充填密封した後、実施例１〜２と同様にガンマ線を照射
して滅菌を実施した後、それぞれ、ガンマ線照射前後に
おける膜性能変化、耐圧性能を調べた結果を表２に示
す。また、比較のため、アルコール類を添加しない水を
用いて、同様のガンマ線を行った結果を表２に併記す
る。
【００３８】
【表２】
【００３９】表２の結果から明らかなように、水溶性の
２価脂肪族アルコールを含む水溶液を使用した場合（実
施例３〜６）は、無添加の水を使用した場合（比較例
４）に比べ、ガンマ線照射後の耐圧保持性能が良好で、
膜性能の劣化も起こらないことが確認された。
２価脂肪族アルコールを含む水溶液を使用した場合（実
施例３〜６）は、無添加の水を使用した場合（比較例
４）に比べ、ガンマ線照射後の耐圧保持性能が良好で、
膜性能の劣化も起こらないことが確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大道 高弘 山口県岩国市日の出町２番１号 帝人株 式会社 岩国研究センター内 (56)参考文献 特開 昭63−11878（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−285561（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−164559（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−33657（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A61M 1/14 A61L 2/08
Claims (5)
- 【請求項１】 高分子半透膜を用いた血液透析装置を滅
菌するに際して、ガンマ線活性を有する水溶性の２価脂
肪族アルコールを含む水溶液中に前記高分子半透膜を浸
漬した状態でガンマ線照射を施すことを特徴とする血液
透析装置のガンマ線滅菌方法。 - 【請求項２】 水溶性の２価脂肪族アルコールが下記式
（１）または下記式（２）で表されるアルコールの少な
くとも１種であることを特徴とする請求項１に記載のガ
ンマ線滅菌方法。 【化１】 ［上記式（１）および（２）において、n は２〜５の整
数、m は１〜１０の整数を表わす］ - 【請求項３】 水溶性の２価脂肪族アルコールがプロピ
レングリコールおよび／またはポリ（プロピレングリコ
ール）であることを特徴とする請求項１または請求項２
に記載のガンマ線滅菌方法。 - 【請求項４】 高分子半透膜がセルロースエステル中空
繊維膜である請求項１、請求項２または請求項３に記載
のガンマ線滅菌方法。 - 【請求項５】 血液透析装置を滅菌するに際して、ガン
マ線活性を有する水溶性の２価脂肪族アルコールを含み
かつｐＨ調節剤によりガンマ線照射開始から終了まで常
にｐＨが４以上７未満にあるよう調節された水溶液中に
前記高分子半透膜を浸漬した状態でガンマ線照射を施す
ことを特徴とする請求項１〜請求項４のいずれかに記載
の血液透析装置のガンマ線滅菌方法。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP06300752A JP3107983B2 (ja) | 1994-03-16 | 1994-12-05 | 血液透析装置のガンマ線滅菌方法 |
| EP95301510A EP0672424A1 (en) | 1994-03-16 | 1995-03-08 | Method of sterilizing a blood dialyzer having semipermeable polymeric membranes by gamma-ray irradiation |
| US08/404,311 US5658466A (en) | 1994-03-16 | 1995-03-15 | Method of sterilizing a blood dialyzer having semipermeable polymeric membranes by γ-ray irradiation |
Applications Claiming Priority (5)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4556994 | 1994-03-16 | ||
| JP6-88553 | 1994-04-26 | ||
| JP8855394 | 1994-04-26 | ||
| JP6-45569 | 1994-04-26 | ||
| JP06300752A JP3107983B2 (ja) | 1994-03-16 | 1994-12-05 | 血液透析装置のガンマ線滅菌方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0810320A JPH0810320A (ja) | 1996-01-16 |
| JP3107983B2 true JP3107983B2 (ja) | 2000-11-13 |
Family
ID=27292277
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP06300752A Expired - Fee Related JP3107983B2 (ja) | 1994-03-16 | 1994-12-05 | 血液透析装置のガンマ線滅菌方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3107983B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP3147315A1 (en) | 2005-03-29 | 2017-03-29 | Toray Industries, Inc. | Modified substrate and process for production thereof |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20050273031A1 (en) * | 2002-08-21 | 2005-12-08 | Tory Industries, Inc. | Modified substrate and process for producing modified substrate |
-
1994
- 1994-12-05 JP JP06300752A patent/JP3107983B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP3147315A1 (en) | 2005-03-29 | 2017-03-29 | Toray Industries, Inc. | Modified substrate and process for production thereof |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0810320A (ja) | 1996-01-16 |
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