JP2000135421A - ポリスルホン系血液浄化膜 - Google Patents

ポリスルホン系血液浄化膜

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JP2000135421A
JP2000135421A JP10311679A JP31167998A JP2000135421A JP 2000135421 A JP2000135421 A JP 2000135421A JP 10311679 A JP10311679 A JP 10311679A JP 31167998 A JP31167998 A JP 31167998A JP 2000135421 A JP2000135421 A JP 2000135421A
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Masakazu Yamada
雅一 山田
Hajime Yoshida
一 吉田
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
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Asahi Medical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射線照射されていても抗血栓性に優れ、し
かも、長期保管してもその効果が保持できるポリスルホ
ン系血液浄化膜を提供する。 【解決手段】 ポリスルホン系高分子とポリビニルピロ
リドンからなる放射線照射された膜で、該膜中のカルボ
キシル基含有量を一定範囲にすると抗血栓性に優れ、し
かも、過酸化物含有量を一定値以下に抑えることで、経
時変化による抗血栓性の低下が起こらずに、抗血栓性が
長期間保持できる。 【効果】 本発明のポリスルホン系血液浄化膜は、放射
線照射されていても抗血栓性に優れ、しかも、長期保管
中も抗血栓状態を保持できるため、血液浄化の分野に好
適に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体外循環による血
中老廃物の除去を目的とした医療用分離膜に関するもの
で、血液浄化、特に腎機能を代用するための血液透析、
血液濾過および血液濾過透析等の分野で利用されるもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、膜分離技術が数多く実用化されて
おり、液体や気体の混合物から目的物を分離したり、不
純物を除去するために様々な選択分離膜が利用されてい
る。選択分離膜の素材としては一般に有機系高分子が汎
用されており、例えば天然高分子としてセルロース、合
成高分子としてはポリアクリロニトリル、ポリアミド、
ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリス
ルホン、ポリメタクリレート等が挙げられる。中でもポ
リスルホン系高分子は工業用分離膜として幅広く利用さ
れているが、その理由は放射線、加熱、および酸・アル
カリ等の化学薬品に対して優れた耐性を示すためであ
る。また、生体適合性や安全性にも優れることから、最
近では医療用分離膜の素材としても注目され、需要が増
加している。
【0003】ところが、ポリスルホン系高分子は撥水性
が高い素材であるため、そのままでは血液との親和性が
悪くて血栓形成に至ってしまう。そこで、相溶性の高い
親水性高分子であるポリビニルピロリドンやポリエチレ
ングリコール等を若干量添加した原液から製膜すること
で、膜を親水化して抗血栓性を高める工夫が成されてき
たが、一方では親水性高分子が膜から溶出するという問
題もあった。この欠点を改良する試みは数多く開示され
ており、例えば、特公平8−32297では膜をポリカ
ルボン酸やポリフェノール等の多価酸で処理して親水性
高分子との不溶性コンプレックスを形成させたり、特開
昭62−38205ではラジカル発生試薬で処理して親
水性高分子を架橋不溶化する方法が知られているが、こ
れらの化学的手段では試薬類を膜から完全に除去するの
が困難であった。
【0004】一方、物理的な手段として、特開平9−1
03664では膜を乾燥状態で熱処理することで、親水
性高分子を不溶化して膜に固定している。特開平4−3
00636では含水状態で膜に放射線を照射すること
で、親水性高分子を架橋によって不溶化させ、膜からの
溶出性を改善している。本発明のような血液浄化膜の場
合、分離性能を高めるために膜は多孔質構造をとること
が望ましいが、その構造ゆえの熱収縮が起こりやすく、
上記の高温度下の乾熱処理は不適当であった。これに対
して、放射線照射による不溶化処理は医療用分離膜に不
可欠な滅菌工程を兼ねることができるため、より合理的
な手段と考えられる。
【0005】しかしながら、放射線照射を行った場合、
架橋反応以外に親水性高分子の一部に変成が引き起こさ
れることがある。すなわち、処理雰囲気中の水や酸素と
反応して、酸化状態にある不安定な官能基や部分構造が
生成したり、加水分解によって新たな官能基が生成した
りする。膜全体における親水性高分子の含有率はたとえ
少なくても、その殆どは、相分離によってポリスルホン
凝集粒子表面に濃縮されて存在するため、血液に対する
これらの影響は無視できるものではない。その結果、こ
れらの変性部分の物理化学的変化により、膜の抗血栓性
が低下することがあった。また、照射後の長期保管中に
も変成が続いて、実使用時までに抗血栓性が低下するお
それもあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術における問題点のない、すなわち、放射線照射され
ていても抗血栓性に優れ、さらに、長期保管しても抗血
栓状態が保持できるポリスルホン系血液浄化膜を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、放射線照射された
膜において、膜中のカルボキシル基含有量と過酸化物含
有量とを一定の範囲に制御すると、抗血栓性に優れ、し
かも、長期保管しても抗血栓状態を保持できることを見
出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の
ポリスルホン系血液浄化膜は、ポリスルホン系高分子と
ポリビニルピロリドンからなる放射線照射された膜であ
って、該膜中のカルボキシル基含有量が100nmol
/g以上、800nmol/g未満であり、かつ過酸化
物含有量が200nmol/g以下であることを特徴と
する。
【0008】本発明の膜の第一の構成成分であるポリス
ルホン系高分子とは、下記に示す化学構造式(1)もし
くは(2)のユニットの繰り返し構造を有する芳香族ポ
リスルホン系高分子であり、芳香環上に官能基やアルキ
ル基が結合した、いわゆるポリスルホン誘導体も範疇に
含まれる。なお、式中のArはパラ置換の二価フェニル
基を示す。これらポリスルホン系高分子の分子量は特に
限定しない。 −O−Ar−C(CH3 3 −Ar−O−Ar−SO3 −Ar− (1) −O−Ar−SO3 −Ar− (2)
【0009】第二の構成成分はポリビニルピロリドン
(以下、PVPという)であり、ビニルピロリドンを付
加重合して得られる直鎖状の水溶性高分子である。ま
た、単体に限らず、他のビニル系モノマーとの共重合体
であってもよく、例えば酢酸ビニルとの共重合体は、ポ
リスルホン系高分子との親和性や膜表面の親水性を制御
する目的で使用できる。これらは分子量別に市販品が入
手可能なので、それを利用してもかまわない。ただし、
いずれも分子量が大きい方が膜に残存して親水性を付与
させやすいため、重量平均分子量が少なくとも10万以
上のものを用いた方が望ましい。
【0010】膜中のPVP含有率は、本発明を達成する
のに重要なパラメーターの一つである。第一に、膜の親
水化に密接に関係しており、該含有率が低すぎる場合、
高すぎる場合のいずれにおいても十分な濾過性能が達成
できない。前者では親水化効果が発揮されずに水系媒体
に濡れにくいこと、後者では含水時のPVPの膨潤によ
って凝集粒子表面のPVP濃縮層の厚みが増大し、細孔
が狭窄されることがそれらの原因と解釈される。第二に
は、後述する膜中のカルボキシル基含量、および過酸化
物含有量に関係する。ポリスルホン系高分子は放射線耐
性が大きいことから、膜中のPVPにこのような部分構
造が生成すると考えられる。したがって、所望のカルボ
キシル基含有量を得るには、PVP含有率を一定の範囲
に制御し、一方で過酸化物の観点からPVP含有率は低
い方がよい。この両者を満足させるPVP含有率の好ま
しい範囲は6.0〜11.0重量%であり、さらに好ま
しい範囲は6.0〜8.5重量%である。
【0011】上記の血液浄化膜は、医療用具の滅菌に汎
用されているγ線に代表される放射線照射を受けるた
め、PVPが不溶化して膜から溶出し難くなっている一
方で、照射に伴う変成も生じている。本発明者らは、照
射に伴う変成の指標として、カルボキシル基含有量が抗
血栓性、とりわけ血小板の活性化に関与すること、およ
び過酸化物含有量が長期保管中の抗血栓性の保持に重要
であることを見出した。ポリスルホン系高分子は放射線
に対する耐性が強いため、膜中のカルボキシル基は主に
PVPのピロリドン環の加水分解によって生成するもの
と考えられる。カルボキシル基の血小板活性化に対する
詳細な作用機序は不明ではあるが、該含有量が多すぎる
と膜に対する血小板の付着量は増加する。血小板は生体
異物を認識するとその表面に付着して血栓形成に至るた
め、照射によるカルボキシル基増加は抗血栓性に対して
悪い方向といえる。反対にカルボキシル基含有量が低す
ぎる場合は、膜に対する放射線の被照射量が十分でない
ことを意味し、PVPの溶出量の増加や滅菌効率の低下
につながるため、医療用途としては望ましくない。した
がって、カルボキシル基含有量は100nmol/g以
上、800nmol/g未満の範囲に抑える必要があ
る。なお、臨床使用時に血液凝固を防ぐ目的で抗凝固剤
が投与されることが一般的であるが、この使用量を少し
でも減少させることが望ましいことから、100〜40
0nmol/gであれば特に好ましい。
【0012】膜中の過酸化物もカルボキシル基同様、照
射によってPVPの主鎖に生成し、その化学的不安定性
ゆえに長期保管中に分解を起こすものと考えられる。ま
た、製造原料の段階で既にPVPには過酸化物が含まれ
ており、そのまま膜中に取り込まれてくる場合もある。
この状態で照射されると、照射によって生成したラジカ
ルが引き金となって分解が起こり、その結果、過酸化物
を起点とした分子切断によって低分子化したPVPが膜
から脱離し、使用時に膜表面上のPVPが減少して抗血
栓性が低下する。分解による影響を事実上なくすには、
過酸化物含有量を200nmol/g以下に抑えること
が必要で、100nmol/g以下であればさらに好ま
しい。
【0013】上記の膜の形状は、血液浄化用途としての
強度や実用性とを考慮すると、中空状であることが好ま
しい。中空糸の構造は、内径が80〜400μmの中空
部と、厚みが35〜85μmの膜厚部からなるが、内径
がこれ以下に小さいと血流抵抗が高まり、必要以上に大
きくなっても血中の物質移動効率が悪くなって治療効果
の低下につながる。また、膜厚は薄すぎると強度が保て
ず、取り扱い時の潰れの原因となり、厚すぎると膜中の
物質移動抵抗が大きくなって透過性能が低下するので好
ましくない。
【0014】さらに、本発明の膜を実使用する際には、
膜をハウジングに組み込んだ後、両端をポッティングし
て所定の膜面積を有する血液浄化用モジュールに成形す
る。該モジュールの形状は公知のものを利用すればよ
く、特に限定しないが、それぞれのポッティング部に血
液の導入と排出のためのノズル付きヘッダーを有し、ハ
ウジングの両端付近には透析液の導入と排出のためのノ
ズルが付いた構造であればよい。ハウジングおよびポッ
ティング材の材質も特に限定はしない。
【0015】該モジュール内の中空糸膜の充填密度は、
透析液の偏流れによる透析効率の低下、あるいはハウジ
ングへの挿入時の膜の破損が起こらない範囲であればよ
く、55〜80%が好ましい。また、膜面積とは中空糸
内面を均一な平面と仮定した時の総表面積であるが、
0.01〜2.5m2 の範囲が好ましい。これ以上に小
さいと、血液浄化用モジュールとしての治療効果が発揮
されず、反対に大きすぎると体外に持ち出される血液量
が増えるため、好ましくない。該モジュールはドライタ
イプ、あるいは該モジュール内に水性媒体が満たされた
ウェットタイプのいずれでもかまわないが、後述のよう
に、膜が少なくとも100重量%以上の水性媒体を含ん
だ湿潤状態にあることが好ましい。
【0016】次に、前記特徴を有するポリスルホン系血
液浄化膜の実施様態について、詳細に説明する。製膜原
液はポリスルホン系高分子、PVPおよびこれらの共通
溶剤からなる。溶剤はN,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロ
リドン、ジメチルスルホキシドが挙げられるが、これら
を単独あるいは任意の割合で混合して使用することがで
きる。さらに、凝固速度を制御する目的で添加剤として
少量の水や塩類を加えてもかまわない。中空状に製膜す
るには適切な粘度が必要であるが、そのために好ましい
組成はポリスルホン系高分子が17〜20重量%、PV
Pが3〜7重量%であり、残りが溶剤である。
【0017】中空剤は中空糸状に製膜するために必要で
あるのみでなく、膜の透過性能を制御するうえで組成が
重要である。本発明でいう血液浄化膜に好適に使用でき
る透過性能を得るには、水と溶剤との混合液を用いるの
が好ましく、溶剤はN,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロ
リドン、ジメチルスルホキシドから選択される。中空剤
の好ましい組成は、溶剤が10〜60重量%であり、残
りが水である。溶剤の割合がこれ以上高くなると、凝固
までに中空形状を保持できずに糸切れ等の製造トラブル
の原因となる。反対に低くなると膜として十分な透過性
能が達成できない。より好ましい範囲は15〜40重量
%である。
【0018】上述の製膜原液と中空剤とを30〜60℃
に保温した二重紡糸口金から同時に吐出させ、空中走行
を経て凝固浴中に導入すると中空糸膜が形成される。凝
固浴は30〜60℃に保温した水を用いればよい。凝固
した中空糸膜をカセに巻き取り後、束をカットして切断
面上方から熱水を流し、残存している溶剤と余分のPV
Pを洗浄する。孔径保持剤として膜にグリセリン水溶液
を付着させ、70〜80℃で10時間以上乾燥処理を行
って乾燥膜を得る。このように制御された条件下で得ら
れた膜は、所望のPVP含有率が達成され、さらに、血
液浄化膜として適切な透過性能も備えている。
【0019】次に、PVPの不溶化、および膜の滅菌を
目的として放射線が照射される。照射に際しては、公知
の方法でモジュール化した後に照射することが好ましい
が、PVPを不溶化させるには、膜は水性媒体を含浸し
た湿潤状態にあることが望ましく、少なくとも100重
量%以上の含水率で照射されることが好ましい。もちろ
ん、該モジュール内が水性媒体で満たされた、いわゆる
ウェット状態で照射されてもかまわない。ここでいう含
水率とは、湿潤状態の膜に含まれる水性媒体の占める重
量パーセントと定義される。
【0020】水性媒体の組成は、γ線の照射効率を著し
く妨げないものであれば特に限定されず、例えば蒸留水
であったり、pHを制御した酸・アルカリ水溶液、およ
び緩衝液であってもかまわない。また、ラジカル捕捉剤
を含有する水溶液も、膜の化学変化を軽減できる点で望
ましい。ラジカル捕捉剤としては、グリセリン、アルコ
ール、トコフェロール、アスコルビン酸、コエンザイム
Q、フラボノイド、ポリフェノール等の有機化合物、亜
硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等の無機塩類、
およびこれらの任意の混合物から選択でき、これらを溶
解または分散させた状態で使用すればよい。
【0021】放射線の照射に際して線源の種類は特に限
定しないが、医療用具の照射滅菌に汎用されるのはコバ
ルト60によるγ線である。他にもX線や電子線も利用
できるが、物質浸透性の点からγ線を使用することが最
も好ましい。線量の選択は水性媒体との組み合わせで重
要である。特に、水性媒体中にラジカル捕捉剤が含まれ
る場合は、膜が受ける実際の線量はみかけよりも低くな
ってしまうため、滅菌効率の観点から過照射にならない
程度に高い線量が必要である。好ましい線量の範囲は2
0〜100KGyであり、連続照射しても何回かに分け
て照射してもかまわない。以上の方法により、本発明の
ポリスルホン系血液浄化膜が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明は、それに限定されるもの
ではない。なお、実施例で用いた諸数値は、以下の手順
によって測定したものである。 (膜中のカルボキシル基含有量の測定)水洗して凍結乾
燥させた膜を約1cmの長さに切断し、0.75g秤量
した。この膜を9−アンスリルジアゾメタン(フナコシ
社製)を0.01重量%含むメタノール溶液25ccに
浸漬して室温で1時間静置後、膜を濾別してメタノール
への浸漬、濾別を繰り返して残留試薬を洗浄除去した。
次に、1規定苛性ソーダ含有メタノール25ccに膜を
浸漬し、室温で2時間加水分解した。この上清液の蛍光
強度を励起波長365nm、放射波長412nmで測定
し、アントラセンメタノールを標準として膜中の含有量
を算出した。
【0023】(膜中の過酸化物含有量の測定)水洗して
凍結乾燥させた膜を約5cmの長さに切断し、0.3g
秤量した。この膜をガラス試験管に充填し、発色試液4
ccを加えて遮光下、37℃で8時間反応させた。発色
試液は市販の過酸化物測定キット(デタミナーLPO:
共和メディックス社製)に付属している発色剤を専用溶
解液で溶解したものを利用した。反応終了後、膜を濾別
して濾液の吸光度を波長675nmで測定し、クメンハ
イドロパーオキサイトを標準として膜中の含有量を算出
した。
【0024】(膜への血小板付着試験)長さ15cmの
中空糸膜50本から小型モジュールを作成し、該モジュ
ールにヘパリン添加ヒト新鮮血を線速1.0cm/se
cにて15分間通過させた。生理食塩水でモジュールを
洗浄後に中空糸膜を細断し、0.5%ポリエチレングリ
コールアルキルフェニルエーテル(商品名トリトンX1
00)を含む生理食塩水0.5cc中で超音波処理し
て、膜表面に付着した血小板から遊離された乳酸脱水素
酵素(以下、LDHという)の活性を測定した。LDH
活性は市販の比色法キット(LDHモノテストキット:
ベーリンガー・マンハイム・山之内社製)を用いて測定
し、膜面積あたりのLDH活性を算出した。なお、血小
板付着の激しい陽性対照としてPVPを全く含有しない
膜を用い、試験品と同時に比較した。
【0025】(膜中のPVP含有率の測定)水洗して凍
結乾燥させた膜を一定重量秤量し、元素分析計を用いて
測定した総窒素量からPVP含有率を算出した。
【0026】
【実施例1】ポリスルホン(アモコ社製:P−170
0)18部とPVP(BASF社製:K90、重量平均
分子量36万)4部をN,N−ジメチルアセトアミド
(以下、DMACという)78部に添加し、50℃で撹
拌溶解して製膜原液を得た。中空剤はDMAC25部と
水75部の混合液を用いた。この製膜原液と中空剤とを
45℃に保温した二重紡糸口金から吐出させ、凝固浴を
経てカセに巻き取った。束を熱水洗浄した後、50重量
%のグリセリン水溶液を付着させて70℃で12時間乾
燥した。この膜中のPVP含有率は6.5重量%であっ
た。次に、乾燥膜を1.5m2 のモジュールに成形し、
注射用蒸留水を充填してγ線を25KGy照射したとこ
ろ、膜中のカルボキシル基含有量は655nmol/
g、過酸化物含有量は75nmol/gであった。この
膜のLDH活性は4.5U/m2 (陽性対照は15.0
U/m2 )と低く、抗血栓性に優れていた。同様に作成
したモジュールの60℃、2週間保管後のLDH活性は
4.8U/m2であり、抗血栓性を保持していた。
【0027】
【実施例2】実施例1で得られた乾燥膜を1.5m2
モジュールに成形後、pHを8.0に調整した600p
pmピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を充填してγ線を30
KGy照射したところ、膜中のカルボキシル基含有量は
184nmol/g、過酸化物含有量は45nmol/
gであった。この膜のLDH活性は2.8U/m2 (陽
性対照は15.2U/m2 )と低く、抗血栓性に優れて
いた。同様に作成したモジュールの60℃、2週間保管
後のLDH活性は3.3U/m2 であり、抗血栓性を保
持していた。
【0028】
【実施例3】実施例1で得られた乾燥膜を1.5m2
モジュールに成形後、3重量%のグリセリンと600p
pmのピロ亜硫酸ナトリウムを含む水溶液を中空側に充
填して一晩静置した。残液をエアフラッシュした膜の含
水率は225重量%であった。エアフラッシュ後にγ線
を65KGy照射したところ、膜中のカルボキシル基含
有量は420nmol/g、過酸化物含有量は30nm
ol/gであった。この膜のLDH活性は1.9U/m
2 (陽性対照は15.5U/m2 )と低く、抗血栓性に
優れていた。同様に作成したモジュールの60℃、2週
間保管後のLDH活性は1.5U/m2 であり、抗血栓
性を保持していた。
【0029】
【実施例4】ポリスルホン(アモコ社製:P−170
0)18部とPVP(BASF社製:K90、重量平均
分子量36万)5.5部をDMAC76.5部に添加
し、50℃で攪拌溶解して製膜原液を得た。中空剤はD
MAC20部と水80部の混合液を用いた。この製膜原
液と中空剤を55℃に保温した二重紡糸口金から吐出さ
せ、凝固浴を経てカセに巻き取った。束を熱水洗浄した
後、50重量%のグリセリン水溶液を付着させて、70
℃で12時間乾燥した。この膜におけるPVP含有率は
8.3重量%であった。次に、乾燥膜を1.5m2 のモ
ジュールに成形し、ピロ亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリ
ウムをそれぞれ600、300ppm含有する注射用蒸
留水を充填してγ線を30KGy照射したところ、膜中
のカルボキシル基含有量は276nmol/g、過酸化
物含有量は56nmol/gであった。この膜のLDH
活性は、3.1U/m2 (陽性対照は15.5U/
2 )と低く、抗血栓性に優れていた。同様に作成した
モジュールの60℃、2週間保管後のLDH活性は2.
9U/m2 であり、抗血栓性を保持していた。
【0030】
【比較例1】ポリスルホン(アモコ社製:P−170
0)16部とPVP(BASF社製:K90、重量平均
分子量36万)7.5部をDMAC76.5部に添加
し、50℃で撹拌溶解して製膜原液を得た。中空剤はD
MAC25部と水75部の混合液を用いた。この製膜原
液と中空剤を60℃に保温した二重紡糸口金から吐出さ
せ、凝固浴を経てカセに巻き取った。束を熱水洗浄した
後、50重量%のグリセリン水溶液を付着させて70℃
で12時間乾燥した。この膜におけるPVP含有率は
9.6重量%であった。次に、乾燥膜を1.5m2 のモ
ジュールに成形し、注射用蒸留水を充填してγ線を65
KGy照射したところ、膜中のカルボキシル基含有量は
968nmol/g、過酸化物含有量は115nmol
/gであった。この膜のLDH活性を測定すると13.
5U/m2 (陽性対照は15.0U/m2 )で、陽性対
照と同程度に高かった。
【0031】
【比較例2】実施例1で得られた乾燥膜を1.5m2
モジュールに成形後、γ線を20KGy照射したとこ
ろ、膜中のカルボキシル基含有量は764nmol/
g、過酸化物含有量は361nmol/gであった。こ
の膜のLDH活性は8.5U/m 2 (陽性対照は15.
6U/m2 )で、陽性対照より低かった。しかし、同様
に作成したモジュールの60℃、2週間保管後のLDH
活性は16.1U/m2 と有意に増加しており、抗血栓
性は保持されなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明のポリスルホン系血液浄化膜は、
放射線照射されていても抗血栓性に優れ、しかも、長期
保管中も抗血栓状態を保持できるため、血液浄化の分野
に好適に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA05 BB01 BB02 KK04 LL05 LL23 PP15 PP18 PP28 4D006 GA13 HA02 JA02B MA01 MA31 MA33 MB20 MC32 MC40X MC62X MC75X MC83 MC89 MC90 NA05 NA10 NA13 NA18 NA32 NA64 PA01 PB09 PB46 PC41

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスルホン系高分子とポリビニルピロ
    リドンからなる放射線照射された膜であって、該膜中の
    カルボキシル基含有量が100nmol/g以上、80
    0nmol/g未満であり、かつ過酸化物含有量が20
    0nmol/g以下であることを特徴とするポリスルホ
    ン系血液浄化膜。
  2. 【請求項2】 膜中のポリビニルピロリドン含有率が
    6.0〜11.0重量%であることを特徴とする請求項
    1に記載のポリスルホン系血液浄化膜。
  3. 【請求項3】 膜中のカルボキシル基含有量が100〜
    400nmol/gであることを特徴とする請求項1に
    記載のポリスルホン系血液浄化膜。
  4. 【請求項4】 ポリスルホン系高分子とポリビニルピロ
    リドンからなる分離膜を膜面積が0.01〜2.5m2
    になるように組み込んだ血液浄化用モジュールであっ
    て、該モジュールに放射線を照射することにより、該膜
    中のカルボキシル基含有量を100nmol/g以上、
    800nmol/g未満で、かつ過酸化物含有量が20
    0nmol/g以下としたことを特徴とする血液浄化用
    モジュール。
  5. 【請求項5】 血液浄化膜中のカルボキシル基含有量を
    100nmol/g以上、400nmol/g未満とし
    たことを特徴とする請求項4に記載の血液浄化用モジュ
    ール。
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