JPH07250694A - L−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−酪酸の製法 - Google Patents

L−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−酪酸の製法

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JPH07250694A
JPH07250694A JP7013059A JP1305995A JPH07250694A JP H07250694 A JPH07250694 A JP H07250694A JP 7013059 A JP7013059 A JP 7013059A JP 1305995 A JP1305995 A JP 1305995A JP H07250694 A JPH07250694 A JP H07250694A
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Yoichi Kumada
要市 熊田
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弘行 安西
Nobuhiko Takane
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Yachiyo Yoshizawa
八千代 吉澤
Toshinori Saito
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Hiroshi Ogawa
弘 小川
Hideaki Takebe
英日 武部
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Kozo Nagaoka
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Abstract

(57)【要約】 【目的】L−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホス
フィニル)−酪酸を効率よく安価に製造できる方法を開
発する。 【構成】4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2−
オキソ−酪酸を、アミノ基供与体としてのグルタミン酸
又はその塩とアスパラギン酸又はその塩との存在下に1
つ又はそれ以上のトランスアミナーゼを産生する能力を
もつ微生物あるいはトランスアミラーゼで処理すること
からなるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホス
フィニル)−酪酸の製造法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、除草活性を有して除草
剤として有用であるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシ
メチルホスフィニル)−酪酸(特公昭61-56210号公報又
は米国特許第 4,265,654号明細書参照)の製法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】次式 で示されるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホ
スフィニル)−酪酸(以下、L-AMPBと略称する)の製造
法としては、L-AMPBを分子中の構成成分として含み且つ
除草活性を有する SF-1293物質(別名ビアラホス)(特公
昭51-639号公報及び米国特許第 4,309,208号明細書参
照)、すなわちL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチ
ルホスフィニル)−ブチリル−L−アラニル−L−アラ
ニンを酸分解する方法(特開昭48-85538号公報参照)、
あるいは SF-1293物質を微生物酵素で分解する方法(特
開昭49-31890号公報参照)がある。このほか、化学的合
成法(特開昭48-91019号および特開昭54-84529号公報参
照)により先づラセミ体の形でAMPBを得、これを微生物
酵素で光学分割してL-AMPBを収得する方法等が知られて
いる。更に近年、本発明者らによってストレプトミセス
属に属するL-AMPB生産菌を培養し、その培養液から直接
にL-AMPBを採取する方法が報告されている(特開昭57-4
7485号公報参照)。
【0003】L-AMPBのような除草活性を有する物質が除
草剤として開発、製造され、これが商品として実用化さ
れていくためには、その物質の安全性と除草効力の強化
の開発研究にあわせ、低価格でしかも大量に生産するた
めの工業化に適する製造法の改良を行う研究が不可欠で
ある。上記の化学的合成法で製造されたAMPBは、L-AMPB
とD-AMPBとの混合物であるが、D-AMPBはそれ自体に殆ど
除草活性がなく、また非天然型の物質であることから、
土壌に施用した場合、土壌細菌による分解が遅くて土壌
に残留し易いので環境汚染の原因となる場合が有り得
る。またL-AMPBを合成法で製造するべき場合には、ラセ
ミ体の形のAMPBが先づ得られて終うから、このラセミ体
から光学分割、等により別々にD-AMPBとL-AMPBを単離す
ることが必要となるので、煩雑であり且つL-AMPBの収率
は低い。しかるに微生物あるいは酵素を用いるL-AMPBの
製造法では、天然型物質であるL-AMPBのみを収得でき
る。天然型のL-AMPBは、除草作用に関与しないで土壌中
に残留した分が土壌細菌により容易に分解、代謝される
ので土壌に残留することがなく、環境汚染の恐れの無い
理想的な除草剤と考えられる。
【0004】本発明者らは、以上のような問題点に着目
して、大量に製造できると言うAMPB合成法の利点と、L-
AMPBのみが選択的に生成し得るという微生物使用のL-AM
PB製造法の利点を組み合わせることを試み、大量で選択
的にL-AMPBを製造することのできるL-AMPBの改良製造方
法を確立する研究を重ねてきた。
【0005】
【問題を解決するための手段】L-AMPBはα−アミノ酸の
一種の誘導体と見なすことができる。他方、一般に、蛋
白質を構成する通常の天然産のα−アミノ酸について
は、α−アミノ酸がトランスアミナーゼの作用で対応す
る2−オキソ酸からアミノ基転移によって生成されるこ
とが知られている。そこで本発明者らはL-AMPBに対応す
る2−オキソ酸に注目し鋭意検討したところ、次式 で示される4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2
−オキソ−酪酸(以下、OMPBと略称する)を、アミノ基
供与体としてのグルタミン酸又はその塩とアスパラギン
酸又はその塩との両者の存在下に、若しくはグルタミン
酸あるいはアスパラギン酸又はその塩の単独の存在下に
トランスアミナーゼを産生する能力を有するある種の微
生物で、あるいはある種のトランスアミナーゼで処理す
ることによって非光学活性のOMPBから適当に短かい反応
時間で実質的な収率で光学活性のL-AMPBが生成できると
いう驚くべき事実を見出した。
【0006】更に、アミノ基供与体としてグルタミン酸
とアスパラギン酸(又はこれらの塩)とを併用してこれ
ら両者の共存下にOMPBに前記のトランスアミナーゼ産生
微生物を、又はトランスアミナーゼを作用させる場合に
は、グルタミン酸又はアスパラギン酸又はそれの塩の単
独を存在させる場合に比べて、目的のL-AMPBの生成率が
著るしく改善されることも見い出した。
【0007】従って、第1の本発明によると、次式 で示される4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2
−オキソ−酪酸を、アミノ基供与体としてのグルタミン
酸又はその塩とアスパラギン酸又はその塩との存在下に
1つ又はそれ以上のトランスアミナーゼを産生する能力
をもつ微生物で処理することを特徴とする、次式 で示されるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホ
スフィニル)−酪酸の製造法が提供される。
【0008】第1の本発明の方法を実施する場合、OMPB
とアミノ基供与体として作用するグルタミン酸又はその
塩とアスパラギン酸又はその塩とを溶解、含有する水性
の液体反応媒質(medium)中で、OMPBと前記の2種のアミ
ノ基供与体アミノ酸とにトランスアミナーゼ生産能を有
する微生物を作用させる。
【0009】第1の本発明の方法においては、一般に、
OMPBからL-AMPBへの変換のトランスアミノ化反応は、反
応媒質液が pH7.5以上、好ましくは pH8.0〜9.0 の範囲
のアルカリ性pH値を示すように行うのが好ましい。p
Hの調整は水酸化ナトリウム又は適当な緩衝液の添加に
より行われる。トランスアミノ化の反応条件は、反応に
関与するトランスアミナーゼ産生微生物の作用至適温度
及び作用至適pHの範囲であるのがよい。通常は、反応
は室温〜60℃、好ましくは20〜50℃の範囲で行うのがよ
い。
【0010】上記の原料として用いられるOMPBは公知の
物質であって、その製造法や物理化学的性状は例えば特
開昭56-92897号公報又は米国特許第 4,399,287号明細書
に記載されてある。第1の本発明の方法において、反応
の開始の時点で、通常は、反応媒質に溶解された原料基
質であるOMPBの初発濃度は 0.1〜100mg/mlの範囲である
のが適当である。
【0011】第1の本発明に用いられる微生物は放線
菌、バクテリア、酵母、カビを包含する。その使用され
る微生物は、ストレプトミセス属、ストレプトバーチシ
リウム属、ノカルディア属、ノカルディオプシス属、サ
ッカロポリスポラ属、キタサトスポリア属、ミクロモノ
スポラ属及びストレプトスポランギウム属から選ばれる
放線菌;あるいはバチルス属、ミクロコッカス属、スタ
フィロコッカス属、エシェリヒア属、シュードモナス
属、セラチア属及びコリネバクテリウム属から選ばれる
バクテリア;あるいはサッカロミセス属、キャンディダ
属、クリプトコッカス属、デバリオミセス属、トリゴノ
プシス属及びハンセヌラ属から選ばれる酵母;あるいは
アスペルギルス属、ムコール属、オーレオバシディウム
属、カエトミウム属、ペニシリウム属及びグリオクラジ
ウム属から選ばれるカビであることができる。
【0012】第1の本発明で使用できる放線菌の一例と
してはストレプトミセス・アルバス(Streptomyces alb
us)、ストレプトミセス・グリゼウス (Streptomyces g
ris eus)、ストレプトミセス・ハイグロスコピカス (Str
eptomyces hygroscopicus)、ストレプトミセス・リビ
ダンス (Streptomyces lividans) 、ストレプトミセス
・ビリドクロモゲネス (Streptomyces viridochromoge
nes)、ストレプトミセス・ピロサス (Streptomyces pi
losus)、ストレプトバーチシリウム・シンナモニウム(S
treptoverticillium cinnamoneum)、ストレプトミセス
・モロオカエンシス (Streptomyces morookaensis) 、
ノカルディア・メジテラニ (Nocardia mediterranei) 、
ノカルディオプシス・ダソンビレイ(Nocardopsis dass
onvill ei) 、サロポリスポラ・ヒルスタ(Saccharopolys
pora hirsuta)、キタサトスポリア・フォスアラシネア
(Kitasatosporia phosalacinea) 、ミクロモノスポラ
・カルボナシー (Micromonospora carbonacae) 、スト
レプトスポランギウム・シュードブルガリ(Streptospor
angium pseudovulgare)などがあげられる。
【0013】第1の本発明で使用できるバクテリアの一
例としては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtili
s) 、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)
、スタフィロコッカス・アウレウス (Staphylococcus
aureus) 、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)
、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeru g
inosa) 、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cep
acia)、セラチア・マルセセンス(Seratia marcescens)
、コリネバクテリウム・グルタミカム(Coryneb acteriu
m glutamicum) などがあげられる。
【0014】第1の本発明で使用される酵母の例として
は、サッカロミセス、セリビシイ(Saccharomyces cere
visiae) 、キャンディダ・アルビカンス(Candida albi
ca ns) 、クリプトコッカス・ネオフォルマンス (Crypto
coccus neoformans) 、デバリオミセス・ハンセニ (De
baryomyces hansenii) 、トリゴノプシス・バリアビリ
(Trigonopsis variabilis) 、ハンセヌラ・シュネジ
(Hansenula schneg gi) などがあげられる。
【0015】第1の本発明で使用できるカビの例として
は、アスペルギルス・フラバス(Asp ergillus flavus)
、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)
、ムコール・スピネセンス(Mucor spinescens) 、オ
ーレバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullul
ans)、カエトミウム・グロボサム (Chaetomium globos
um) 、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funi
culosum)、グリオクラジウム・ビレンス(Gliocladium
virens) などがあげられる。
【0016】前記の放線菌、細菌、カビ及び酵母の各菌
種は公知の微生物保存機関に寄託されてあるタイプ・カ
ルチュア(Type Culture)であることができ、そこから購
入できる。
【0017】更に、第1の本発明の方法に使用される微
生物の好ましい例としては、ストレプトミセス属に属す
る SF-1293物質生産菌として公知であるストレプトミセ
ス・ハイグロスコピカス (Streptomyces hygroscopicu
s) SF-1293 株(FERM BP-130 又はATCC 21705)、特公
昭51-639号公報又は米国特許第 3,832,394号明細書参
照)あるいはその変異株であるストレプトミセス・ハイ
グロスコピカス SF-1293 NP-50株(FERM P-7804 又はFE
RM BP-1368)(特開昭61-58589号公報又は欧州特許出願
公開第 0173327号公報参照)あるいはストレプトミセス
・リビダンス66株(FERM BP-737 ;特開昭59−175889号
公報又は欧州特許出願公開第 0196375号公報参照)があ
る。その他、アミノ基供与体としてのグルタミン酸又は
その塩の存在下にOMPBをL-AMPBに変換するトランスアミ
ナーゼ活性を持つ酵素を産生する微生物であれば、どの
ような微生物でも、使用できる。なお、上記のストレプ
トミセス・ハイグロスコピカス SF-1293株の菌学的性質
は特開昭51-639号公報又は米国特許第 3,832,394号明細
書に記載されてある。また、ストレプミセス・ハイグロ
スコピカス SF-1293 NP-50株(FERM P-7804) の菌学的性
質は上記のSF-1293株と同じであるが、 SF-1293物質の
生合成能を欠損している点で遺伝形質が異なる(特開昭
61-58589号公報又は欧州特許出願公開第 0173327号公報
参照)。更に、ハイグロスコピカス・リビダンス66株(F
ERM BP-737) の菌学的性質は特開昭59−175889号公報に
記載されてある。これらの菌のうち、FERM BP-番号を付
された菌種はブタペスト条約の規定で工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託してある。
【0018】第2の本発明によると、次式 で示される4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2
−オキソ−酪酸を、アミノ基供与体としてのグルタミン
酸又はその塩とアスパラギン酸又はその塩との存在下に
1つ又はそれ以上のトランスアミナーゼで処理すること
を特徴とする、次式 で示されるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホ
スフィニル)−酪酸の製造法が提供される。
【0019】第2の本発明の方法に用いられる酵素、す
なわちトランスアミナーゼはアミノ基供与体としてのグ
ルタミン酸又はその塩とアスパラギン酸又はその塩との
存在下にOMPBをL-AMPBに変換できるトランスアミナーゼ
活性をもつ酵素であれば、どのようなトランスアミナー
ゼでもよい。
【0020】第2の本発明の方法で用いられるトランス
アミナーゼの適当な例には、市販のグルタミン酸−オキ
サロ 酢酸−トランスアミナーゼ(GOTと略称され
る)(酵素国際分類番号EC 2,6,1,1)、あるい
はグルタミン酸−ピルビン酸−トランスアミナーゼ(G
PTと略称される)(酵素国際分類番号EC 2,6,
1,2)、あるいはアミノ基供与体としてのL−グルタ
ミン酸の存在下にOMPBをL-AMPBに変換するトランスアミ
ナーゼ活性をもつ酵素がある。これらのトランスアミナ
ーゼを単独にあるいは二種又はそれ以上を組み合わせて
使用できる。
【0021】上記の中でも、好ましい組合せのトランス
アミナーゼは、アスパラギン酸をアミノ基供与体として
用いて2−ケトグルタール酸をグルタミン酸に変換する
酵素活性、すなわちいわゆるGOT活性を合わせもつ第
1のトランスアミナーゼと、アミノ基供与体としてグル
タミン酸の存在下にOMPBをL-AMPBに変換するトランスア
ミナーゼ活性を持つ第2のトランスアミナーゼとの組み
合わせである。たとえば、上記のようなGOT活性を合
わせもつトランスアミナーゼとしては、市販のグルタミ
ン酸−オキサロ酢酸−トランスアミナーゼ(酵素国際分
類番号EC 2,6,1,1)を用いることができる。
あるいはGOT活性をもつ微生物、たとえばストレプト
ミセス・ハイグロスコピカス SF-1293株(特開昭57-474
85号公報参照; FERM BP-130;ATCC 21705)より公知の
方法で抽出して得られたGOT活性を合わせもつトラン
スアミナーゼを用いることができる。これらのGOT活
性を合わせもつトランスアミナーゼは、これらも単独に
あるいは組み合わせて使用できる。また、上記のGOT
活性を合わせもつトランスアミナーゼに組み合せて用い
る前記の第2のトランスアミナーゼとしては、グルタミ
ン酸の存在下にOMPBをL-AMPBに変換できるトランスアミ
ナーゼであれば、どのようなものでもよい。
【0022】第1又は第2の本発明に用いる一方のアミ
ノ基供与体としてのグルタミン酸又はその塩の適当な例
には、L−グルタミン酸又はその塩があり、また他方の
アミノ基供与体としてのアスパラギン酸又はその塩の適
当な例にはL−アスパラギン酸又はその塩がある。これ
らのアミノ酸の塩の適当な例には、それらアミノ酸のア
ルカリ金属塩がある。また、これらのL−アミノ酸に対
応するD−アミノ酸も、アミノ基供与体として利用でき
る。反応開始時での反応媒質中のアミノ基供与体として
のグルタミン酸とアスパラギン酸との合計量と基質のOM
PBの量とのモル比は、一般的には10:1〜1:10の範囲
であることができる。
【0023】第1又は第2の本発明の方法において、ア
ミノ基供与体として併用されるグルタミン酸及びアスパ
ラギン酸について、これらアミノ酸の各々は市販品でよ
く、一般にD−体とL−体との混合物であることができ
るが、L−体のみから成るものであるのが好ましい。グ
ルタミン酸およびアスパラギン酸の各々の塩としては、
アルカリ金属塩、特にナトリウム塩またはカリウム塩が
使用できる。
【0024】第1又は第2の本発明の方法においては、
アミノ基供与体としてグルタミン酸(又はその塩)とア
スパラギン酸(又はその塩)とを組み合わせて用いる
が、この場合に、これらアミノ基供与体アミノ酸のそれ
ぞれの濃度と、OMPBの濃度との比率について説明する
に、反応開始時における反応媒質中のこれらアミノ基供
与体の各々がOMPBより多く存在する高いモル比率にすれ
ば、反応速度及びOMPBからL-AMPBへの変換率が高まる。
【0025】しかし、経済的な観点から、適当なモル比
率が設定される。通常は、反応開始時における反応媒質
中のグルタミン酸(又はその塩)の濃度(添加量)とOM
PB濃度(添加量)とのモル比は 0.2:1〜 3.0:1の範
囲であるのが好ましく、またアスパラギン酸(またはそ
の塩)の濃度(添加量)とOMPBの濃度(添加量)とのモ
ル比は 1.0:1〜 3.0:1の範囲であるのが好ましい。
【0026】さらにまた、第1又は第2の本発明の方法
を実施するに当っては、反応開始時に反応媒質に添加さ
れたグルタミン酸又はその塩の濃度が式(II)の基質化
合物の1モル当りに 0.2〜 3.0モルに相当する濃度であ
り、かつ添加されたアスパラギン酸又はその塩の濃度が
式(II)の基質化合物の1モル当りに 1.0〜3.0 モルに
相当する濃度であり、しかも上記の反応媒質のpHは
8.0〜9.0 のアルカリ性pH値に維持されることが好ま
しい。
【0027】第1の本発明の方法において、微生物を式
(II)のOMPB基質、ならびにアミノ基供与体としてのグ
ルタミン酸及びアスパラギン酸(又はこれらの塩)に作
用させるのは、次の方式で行われる。すなわち、先づ、
前記の微生物を通常の微生物培養に使用される栄養物を
含有する培地で培養する。栄養源としては、通常の微生
物の培養に利用されている公知のものが使用される。例
えば炭素源としては、グルコース、澱粉、グリセリン、
シュークロス、水飴、糖蜜等があげられる。これらは単
独にあるいは組み合わせて用いられる。また窒素源とし
ては、大豆粉、小麦はい芽、肉エキス、ペプトン、乾燥
酵母、コーンスティープリカー、硫酸アンモニウム、等
が単独にあるいは組み合わせて用いられる。その他必要
に応じて炭酸カルシウム、食塩、塩化カリウム、燐酸塩
等の無機塩類を添加することが出来る。培養法としては
液体培養法、特に深部培養法が最も適している。培養は
好気的条件下で行われ、培養に適した温度は25〜40℃で
ある。培養日数は放線菌の場合は1〜4日、細菌の場合
には1〜2日、酵母の場合は1〜2日、カビの場合は1
〜4日が適当である。
【0028】この微生物の培養液自体を用いるか、ある
いは所望ならば、培養液から菌体を分離、洗浄した生菌
体を、一定の濃度で水又は生理食塩水又は適当な緩衝液
中に懸濁した菌体懸濁液を用いることもできる。使用微
生物の菌体を含む培養液又はその他の菌体懸濁液に、OM
PB(第1の基質として反応する)をアミノ基供与体とし
てグルタミン酸及びアスパラギン酸又はこれらの塩(夫
々に第2の基質として反応する)と同時に又は順次に添
加する。その後に、微生物がOMPB及び前記の2種のアミ
ノ基供与体に作用して、OMPBのトランスアミノ化変換反
応を進めるように液を保つ。このようにOMPB及び2種の
アミノ基供与体を微生物で処理してL-AMPBに変換する水
性の反応媒質液中の菌体濃度ならびにOMPBの濃度及び2
種のアミノ基供与体の総濃度、並びに反応温度、pH条
件は、OMPBからL-AMPBへの変換反応が効率良く進み且つ
微生物が微生物の機能を発揮する状態を保つ範囲で適宜
に調整される。反応時間も、実質量のL-AMPBが反応液中
に生産、蓄積されるように調整される。
【0029】また、第2の本発明の方法においてOMPBな
らびにアミノ基供与体としてグルタミン酸及びアスパラ
ギン酸又はこれらの塩をトランスアミナーゼで処理する
場合には、適当なトランスアミナーゼの水溶液、又は緩
衝液にとかした酵素溶液にOMPB及び前記2種のアミノ基
供与体を添加して溶解させて、OMPBの酵素的トランスア
ミノ化反応を行う。反応系中の酵素、OMPB及び2種のア
ミノ基供与体の夫々の濃度、並びに反応温度、pH条件
はOMPBからL-AMPBへの変換反応が効率良く進む適正な範
囲で適宜に調整される。
【0030】第2の本発明の方法で用いる上記のトラン
スアミナーゼとしては、市販された酵素製品の形のもの
を使用してもよく、あるいは第1の本発明に使用できる
微生物としての放線菌、細菌、カビ又は酵母の培養液中
で、その菌体を破砕して直接に作られる粗酵素の水溶
液、あるいは粗酵素を水にとかした水溶液を使用するこ
とができる。また菌体の破砕液の形の粗酵素液を使用し
てもよい。
【0031】また、前記の微生物又はこれの培養液より
超音波処理やリゾチーム処理等の公知の方法で抽出した
粗酵素液であっても、この粗酵素液が前記の2種のアミ
ノ基供与体すなわちグルタミン酸とアスパラギン酸又は
これらの塩の存在下にOMPBからL-AMPBを生産する能力を
有すれば第2の本発明の方法に使用できる。また、精製
された酵素の水溶液を使用できることは当然である。
【0032】酵素や微生物を有機溶剤、架橋剤、担体等
で固定化することによって、その安定性や操作性が高ま
る事が知られているが、この様な公知の固定化方法で処
理した固定化微生物あるいは固定化酵素も、OMPBからL-
AMPBを生産する能力があれば、第1又は第2の本発明の
方法に使用できる。
【0033】例えば、第2の本発明の方法において、ト
ランスアミナーゼを用いて、OMPBからL-AMPBへ変換する
酵素反応は、 pH7.5以上、好ましくは pH8.0〜9.0 のア
ルカリ性pH値の範囲で行うのが好ましい。反応条件は
反応に関与する酵素の作用至適温度及び作用至適pHの
範囲であるのがよい。
【0034】第2の本発明の方法の好ましい実施法の場
合には、4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2−
オキソ−酪酸すなわちOMPBを、アミノ基供与体としての
L−グルタミン酸またはその塩と、L−アスパラギン酸
またはその塩との両者の存在下に二種又はそれ以上のト
ランスアミナーゼで処理する。この場合に用いるトラン
スアミナーゼは、L−アスパラギン酸をアミノ基供与体
として用いて2−ケトグルタール酸をグルタミン酸に変
換するトランスアミナーゼ活性、すなわち、いわゆるG
OT活性の範ちゅうに入る活性を合せもつトランスアミ
ナーゼ活性のある第1のトランスアミナーゼと、アミノ
基供与体としてのL−グルタミン酸の存在下にOMPBをL-
AMPBに変換するトランスアミナーゼ活性を持つ第2のト
ランスアミナーゼとの組み合わせ系であるのが好まし
い。
【0035】また、第1の本発明の方法の好ましい実施
法においては、アミノ基供与体としてL−アスパラギン
酸の存在下に2−ケトグルタール酸をグルタミン酸に変
換する活性、いわゆるGOT活性と、アミノ基供与体と
してL−グルタミン酸の存在下にOMPBをL-AMPBに変換す
るトランスアミナーゼ活性とを合わせて持つ酵素系を産
生する微生物、例えばストレプトミセス・ハイグロスコ
ピカス (Streptomyces hygroscopicus) SF-1293株(FERM
BP-130又はATCC 21705) 、あるいはその変異株であるス
トレプトミセス・ハイグロスコピカス SF-1293 NP-50株
(特開昭61−58589号公報参照; FERM P-7804又はFERM
BP-1368)又はストレプトミセス・リビダンス66株(TERM
BP-737) を用いるのが好ましい。
【0036】第1又は第2の本発明の方法においては、
上記のトランスアミナーゼ系を産生する上記の微生物の
作用により、あるいは上記のトランスアミナーゼ系の作
用により、アミノ基供与体としてのL−グルタミン酸
(又はその塩)からアミノ基をOMPBが供与された結果OM
PBはL-AMPBになり、アミノ基を与えたグルタミン酸は2
−ケトグルタール酸になり、また他方、アミノ基供与体
としてのL−アスパラギン酸(又はその塩)はGOT活
性を合わせもつトランスアミナーゼの作用により前記の
2−ケトグルタル酸にアミノ基を供与してこれをグルタ
ミン酸に再生させ且つアスパラギン酸それ自体がオキサ
ロ酢酸を経てピルビン酸になると推定される。
【0037】第1又は第2の本発明の方法で生成された
L-AMPBを含有する反応液からのL-AMPBの採取と精製は、
通常のL-AMPB醗酵製造法の菌培養液からのL-AMPBの採取
法及び精製法と同一の要領で行うことができる。その詳
細については特開昭57−47485 号公報の記載を参照され
たい。即ち、ダウエックス50W(ロームアンドハース社
製)などの陽イオン交換樹脂にL-AMPBを吸着せしめ、水
あるいは希アンモニア水で展開溶出する方法が利用でき
る。本発明の方法で得られたL-AMPBは、その除草効力を
試験したところ、特開昭57-47485号公報の醗酵的方法で
得られたL-AMPBと同等の除草効力を示すことが認められ
た。
【0038】更にまた、第1又は第2の本発明の方法で
アミノ基供与体として併用されるグルタミン酸又はその
塩とアスパラギン酸又はその塩のうち、グルタミン酸又
はその塩を省略してアスパラギン酸(又はその塩)を単
独にアミノ基供与体として用いてアミノ基供与体として
単独にアスパラギン酸又はその塩の存在下に式(II)の
OMPBに或る種のトランスアミナーゼ産生微生物、あるい
は或る種のトランスアミナーゼを作用させた場合にも、
有意な生成量で目的の式(I)のL-AMPBが製造できるこ
とが見い出されている。
【0039】従って、第3の本発明によると、次式 で示される4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2
−オキソ−酪酸を、アミノ基供与体としてのアスパラギ
ン酸又はその塩の存在下に、トランスアミナーゼを産生
する能力を有して且つストレプトミセス属、ストレプト
バーチシリウム属、ノカルディア属、ノカルディオプシ
ス属、サッカロポリスポラ属、キタサトスポリア属、ミ
クロモノスポラ属及びストレプトスポランギウム属から
選ばれる放線菌、あるいはバチリス属、ミクロコッカス
属、スタフィロコッカス属、シュードモナス属、セラチ
ア属及びコリネバクテリウム属から選ばれるバクテリ
ア、あるいはサッカロミセス属、キャンディダ属、クリ
プトコッカス属、デバリオミセス属、トリゴノプシス属
及びハンセヌラ属から選ばれる酵母、あるいはアスペル
ギルス属、ムコール属、オーレオバシディウム属、カエ
トミウム属、ペニシリウム属及びグリオクラジウム属か
ら選ばれるカビで処理するか、若しくは前記の微生物の
菌体の破砕物から得られる粗酵素液で処理するか、若し
くは1種又はそれ以上のトランスアミナーゼ、特にグル
タミン酸−オキサロ酢酸−トランスアミナーゼ又はグル
タミン酸−ピルビン酸−トランスアミナーゼ、あるいは
これら酵素の組み合せで処理することを特徴とする、次
で示されるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホ
スフィニル)−酪酸の製造法が提供される。
【0040】第3の本発明の方法においても、一般に、
OMPBからL-AMPBへの変換のトランスアミノ化反応は、反
応媒質液が pH7.5以上、好ましくは pH8.0〜9.0 の範囲
のアルカリ性pH値を示すように行うのが好ましい。p
Hの調整は水酸化ナトリウム又は適当な緩衝液の添加に
より行われる。トランスアミノ化の反応条件は、反応に
使用されるトランスアミナーゼ産生微生物又はトランス
アミナーゼの作用至適温度及び作用至適pHの範囲であ
るのがよい。通常は、反応は室温〜60℃、好ましくは20
〜50℃の範囲で行うのがよい。
【0041】第3の本発明の方法においても、反応の開
始の時点で、通常は、反応媒質に溶解された原料基質で
あるOMPBの初発濃度は 0.1〜100mg/mlの範囲であるのが
適当である。反応開始時での反応媒質中のアミノ基供与
体としてのアスパラギン酸の量と基質のOMPBの量とのモ
ル比は、一般的には10:1〜1:10の範囲であることが
できる。その他、第3の本発明の方法は第1又は第2の
本発明の方法に準じて実施できる。アスパラギン酸に代
えてL−アラニンを用いることも可能である。
【0042】また、第3の本発明の方法で用い得る微生
物は、第1の本発明の方法で利用できると例示された放
線菌、細菌、酵母、カビのうち、第3の本発明で上記の
とおり特定された「属」に属して例示される微生物であ
る。また、第3の本発明の方法で用い得るトランスアミ
ナーゼは第2の本発明で例示されたトランスアミナーゼ
である。
【0043】以下に、本発明を実施例により具体的に説
明するが、本発明はこれに限定するものではない。
【0044】実施例1 (1) ストレプトミセス・ハイグロスコピカス (Streptom
yces hygroscopicus)SF-1293 NP-50株(FERM- BP-1368)
を前培養培地(可溶性澱粉 2.0%、ポリペプトン 1.0
%、肉エキス 0.3%、燐酸水素二カリウム0.05%; pH
7.0)の10mlに接種した。これを28℃で24時間振盪培養
して得られた培養液を種母として用い、これを2%の接
種量で生産培地(グルコース 7.0%、小麦はい芽 3.9
%、可溶性の植物プロテイン 2.5%、リン酸一カリウム
0.3%、塩化コバルト0.0001%;pH6.8 )に植菌した。
更に、28℃で通気攪拌培養を行った。
【0045】(2) 上記生産培地で3日間培養し得たスト
レプトミセス・ハイグロスコピカスSF-1293 NP-50株の
菌体を含む培養液20ml毎に対して、OMPBと、アミノ基供
与体としてのL−グルタミン酸ナトリウムと、L−アス
パラギン酸ナトリウムとをアミノ基転移反応の開始時点
で次の表1の濃度になるような量で添加し、更に1Mト
リス−塩酸バッファー(pH8.5) の10mlを加えてpH8.5 に
調整後、液量 100mlとした。すなわち、上記の培養液は
5倍に希釈されたことになる。
【0046】OMPBのアミノ化反応は、37℃で、菌体を含
み且つOMPBとアミノ基供与体としての2種のアミノ酸と
を含む溶液を弱く振盪しつつ24時間行った。
【0047】その後、得られた反応液の 100mlを加熱処
理(滅菌と酵素不活化)して、反応を終了させた。反応
液を濾過して菌体を除去し、その濾液中のL-AMPBをアミ
ノ酸分析器(アトー社製 MLC-703、保持時間12分)で分
析し定量した。結果を表1に示す。
【0048】
【0049】表1の結果より、アミノ基供与体としてL
−グルタミン酸ナトリウムとL−アスパラギン酸ナトリ
ウムとの両者を併存させてOMPBのアミノ化反応を実施す
ると、L−グルタミン酸ナトリウム又はL−アスパラギ
ン酸の何れか一方を存在させて反応を行う場合に比べ
て、OMPBからのL-AMPBの生成収率が著しく高まることが
明らかに認められた。
【0050】実施例2 実施例1と同じ前培養条件で培養したストレプトミセス
・ハイグロスコピカスSF-1293 NP-50株の培養液を種母
として用いて、3L容量のジャーファーメンター中で、
実施例1と同じ生産培地に接種し、次いで28℃で3日
間、通気攪拌培養を行った。
【0051】得られた培養液の2Lを反応槽に移し、OM
PBの 300gを添加した。またL−グルタミン酸ナトリウ
ム(和光純薬製)の 310gと、L−アスパラギン酸ナト
リウム(半井化学製)の 290gとを添加、溶解し、NaOH
水溶液で pH8.5に調整後、水を加えて液量を10Lとし
た。すなわち、反応開始時点で、得られた混合液のOMPB
濃度は 30000μg/ml であり、この時点でL−グルタミ
ン酸ナトリウム及びL−アスパラギン酸ナトリウムのモ
ル濃度はそれぞれにOMPBのモル濃度(1/6モル)と等
しくなっている。OMPBのアミノ化の反応は37℃で、菌体
とOMPBと2種のアミノ基供与体化合物とを含む溶液をゆ
っくり攪拌しながらpHを 8.5に調整して24時間行っ
た。その後、反応液を50%硫酸で pH3.0に調整した後、
濾過助剤を加えて濾過して、菌体を除去したところ、9
Lの濾液が得られた。
【0052】このとき、濾液中のL-AMPBの濃度を実施例
1と同様に定量したところ、 29000μg/ml であった。
ついでこの濾液をダウエックス50W(H+ 型)の陽イオ
ン交換樹脂5Lのカラムに通した後、水で展開した。得
られたL-AMPBを含む画分を、更にダウエックス1×2
(CH3 COO- 型)の陰イオン交換樹脂のカラムにか
けた後、水洗し、 0.3Nの酢酸水溶液で溶離した。溶離
液のL-AMPBを含む画分を濃縮乾固後、得られたL-AMPBの
白色粉末をメタノールから結晶化した。L-AMPBの結晶の
183gを得た。収率は約70%であった。
【0053】得られた結晶について常法により元素分
析、比旋光度、融点、赤外線吸収スペクトル、核磁気共
鳴スペクトル、質量分析法で分析したところ、L-AMPBの
標品と完全に一致することが確認された。
【0054】実施例3 本例では、市販のトランスアミナーゼをOMPBに50mM燐酸
バッファー液(pH6)中で作用させてL-AMPBの生産を行
った。
【0055】トランスアミナーゼとしてグルタミン酸−
オキサロ酢酸−トランスアミナーゼ(GOT)(ベーリ
ンガー・マンハイム社製)を使用した場合には、L−ア
スパラギン酸(Asp)及びL−グルタミン酸(Gl
u)をアミノ基供与体(アミノ基供与の基質として反応
する)として反応媒質に添加、溶解した。
【0056】またグルタミン酸−ピルビン酸−トランス
アミナーゼ(GPT)(ベーリンガー・マンハイム社
製)を使用した場合には、参考例として、アミノ基供与
体としてL−アラニン(Ala)を添加した。また、別
の参考例として、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLD
H)(ベーリンガー・マンハイム社製)を使用した場合
にはアミノ基供与体てして塩化アンモニウム及びNADHを
それぞれ添加、溶解した。なお、比較のため、アミノ化
反応の対照基質として2−ケトグルタール酸(2−KG)
を用いた場合についてグルタミン酸(Glu)の生成を
観察した。
【0057】上記のようにして30℃で50分間酵素反応を
行った後、3分間、 100℃で反応液を加熱して反応を止
めた。反応液を希硫酸の添加によりpH2に調整した後、
遠心分離によって上清液を得た。上清液中のL-AMPB又は
グルタミン酸の生成量はアミノ酸分析器を用いて定量し
た。その結果を表2に示した。
【0058】
【0059】表2の結果から、2−ケトグルタール酸か
らのグルタミン酸の生成量に比べて低い収率であるけれ
ども、酵素反応によりOMPBからL-AMPBが有意な収率で生
成したことが明らかである。
【0060】実施例4 後記の表3に示した試験細菌菌株を、40mlのニュートリ
エントブロス(ディフコ社製)よりなる培地に接種し6
時間増殖培養を行った後に得られた培養液を、種母とし
て用い、これを2%の接種量で40mlの同じ組成の培地に
植菌した。28℃で一夜培養後、菌体を含む培養液に、OM
PBを 100μg/ml の濃度になるように添加した。また、
アミノ基供与体としてL−アスパラギン酸ナトリウムを
100μg/ml の濃度になるように添加した。こうして得
られた混合液を28℃に24時間保ち、OMPBの変換反応を行
った。
【0061】その後に、25%の硫酸で反応液をpH2に調
整して反応を止めた。遠心分離によって菌体を除去し
た。得られた上清液中のL-AMPBの生成量はアミノ酸分析
器を用いて定量した。その結果を表3に示した。
【0062】
【0063】表3から、OMPBからL-AMPBが生成されたこ
とは明らかである。
【0064】また、参考値として、前記の一夜培養後の
菌体を含む培養液を超音波処理して得た菌体破砕液を遠
心分離して粗酵素液を収得し、この粗酵素液のGOT活
性を測定した結果も表3に示した。表3に示すようにL-
AMPBの生成量と粗酵素液のGOT活性の測定値との間に
は、かなりの相関関係が認められる。また、表3に示さ
れた酵素のGOT比活性は、粗酵素液中の蛋白質の量を
バイオ−ラッド−プロティン分析法で測定して評価した
値である。
【0065】実施例5 ストレプトミセス・ハイグロスコピカス (Streptomyces
hygroscopicus) SF-1293株(FERM BP-13O) を前培養培
地(可溶性澱粉 2.0%,ポリペプトン 1.0%,肉エキス
0.3%,燐酸水素二カリウム0.05%; pH7.0)の10mlに
接種した。これを28℃で24時間振盪培養したものを種母
として用い、これを2%の接種量で生産培地〔グルコー
ス 7.0%,バクトソイトン 4.4%,燐酸一カリウム 0.3
27%,燐酸二ナトリウム0.0852%,N−トリス(ヒドロ
キシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(す
なわちdotite TES)1.15%、塩化コバルト0.0001%; p
H6.0 〕に植菌し28℃で通気攪拌しながら培養を行っ
た。4日間培養後に、遠心分離により菌体を集めて50mM
燐酸バッファー液(pH6.0) で洗浄後、超音波破砕器(KU
BOTA INSONATOR 1.5A)で1分間処理して菌体を破砕
し、菌体破砕物を遠心分離して上澄液として粗酵素液を
得た。
【0066】OMPBを 100μg/ml の濃度に、またL−ア
スパラギン酸を 200μg/ml の濃度になるように該粗酵
素液に添加した。また、参考のため、アミノ化反応の対
照基質として2−ケトグルタール酸(2−KG)を用いた
反応も行った。
【0067】30℃で2時間酵素反応を行い、その後、3
分間 100℃で加熱して反応を止めた。反応液を希硫酸の
添加でpH2に調整後、遠心分離によって上清液を得た。
上清液中のL-AMPBと、2−KGから生成されたグルタミン
酸はアミノ酸分析器を用いて定量した。その結果を表4
に示した。
【0068】
【0069】実施例6 (1) ストレプトミセス・ハイグロスコピカス (Streptom
yces hygroscopicus)SF-1293 NP-50株(FERM P-7804又
は FERM BP-1368)を前培養培地(可溶性澱粉2.0 %,ポ
リペプトン 1.0%,肉エキス 0.3%,燐酸水素二カリウ
ム0.05%; pH7.0)の10mlに接種した。これを28℃で24
時間振盪培養し培養液を種母として用い、これを2%の
接種量で生産培地(グルコース 7.0%、バクト ソイト
ン 4.4%、燐酸一カリウム 0.327%、燐酸二ナトリウム
0.0852%、ドータイトのTES 1.15%、塩化コバルト0.00
01%; pH6.0)に植菌し、さらに28℃で通気攪拌しなが
ら培養を行った。
【0070】(2) 上記のように生産培地で3日間培養し
たストレプトミセス・ハイグロスコピカス SF-1293 NP-
50株の培養液の20mlと、OMPB水溶液(OMPB濃度87mg/ml
、あらかじめ pH7.0に調整したもの)の30mlと、市販
のL−アスパラギン酸ナトリウム水溶液(L−アスパラ
ギン酸ナトリウム濃度170mg/ml)の40mlと、1Mトリス
−塩酸バッファー(pH8.5) の10mlとを 250ml容の三角フ
ラスコ内で合併した(この場合、合併された液中のOMPB
濃度は約26mg/ml になる)。フラスコ内の混合液を37℃
で弱く振盪しつつ24時間反応を行った。
【0071】その後、得られた反応混合物を遠心分離し
て菌体を除去し、得られた上清溶液(100ml) をアミノ酸
分析器を用いて分析し、上清溶液中のL-AMPBを検出した
ところ、1.5mg/mlのL-AMPBが生産されたことを確認でき
た。
【0072】なお、アミノ基供与体として、L−アスパ
ラギン酸ナトリウムに代えてL−アラニン(濃度170mg/
mlで添加)を用いて、同様の実験を実施したが、L−ア
ラニン使用の場合は2.8mg/mlのL-AMPBが生産された。
【0073】(3) 前項(2) でL−アスパラギン酸ナトリ
ウムをアミノ基供与体として使用した場合に得られた上
清溶液(100ml) を 400mlのダウエックス50W×2(H+
型)の陽イオン交換樹脂塔にかけた後、稀アンモニア水
で展開し、L-AMPBを含む画分を集め、濃縮した。次い
で、これを150 mlのダウエックス1×2(CH3 COO
- 型)の陰イオン交換樹脂塔にかけ、水洗した後、 0.3
Nの酢酸水溶液で溶離した。
【0074】溶離液のL-AMPBを含む画分を、減圧下に濃
縮乾固し、更に真空乾燥してL-AMPBの白色粉末を得た。
この白色粉末をメタノールから結晶化させた。得られた
結晶について、常法により元素分析、比旋光度、融点、
赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、質量分
析法で分析したところ、L-AMPBの標品と完全に一致する
ことが確認された。
【0075】実施例7 (1) 培養方法 種培養スラントから後記の表5〜11に示された菌を、液
体培地(グルコース0.5 %,イーストエキストラクト
0.3%,ミートエキストラクト 1.0%,ペプトン 1.0
%,塩化ナトリウム 0.3%; pH7.0)を10mlづつ入れて
ある大試験管(放線菌の培養の場合にのみステンレス製
コイル入の試験管を用いた)中で前記の液体培地に植菌
し、28℃、24時間(あるいは48時間)、振盪培養した。
【0076】(2) 菌体の調製 培養後のブロスを1ml(カビの場合のみ 0.2ml)、ミク
ロテスト・チューブ(micro-test tubes, Eppendorf社
製) に抜取り、 12000rpm.で3分間遠心分離し、上清液
を捨て、残りの菌体を試料として採取した。
【0077】(3) アミノ化反応 上記ミクロテスト・チューブにパックされた菌体試料
に、1M−トリス−塩酸バッファー(pH8.0) の20μl
と、OMPB水溶液(OMPB濃度200mg/ml)の20μl(pH8.0)
と、アミノ基供与体としてL−アスパラギン酸ナトリ
ウム、又はL−アラニンの1モル/mlを含有する水溶液
の40μlと、水の 120μlとを添加し、37℃、24時間静
置し反応させた。反応後、反応液を 12000rpm.で3分間
遠心分離し、その後に上清液中のL-AMPBの含量をアミノ
酸アナライザーにより、測定した。
【0078】その結果を次の表5〜11に示す。
【0079】 表 5 L-AMPB産生量(mg/ml) 使 用 菌(バクテリア) Asp Ala Bacillus subtilis ATCC 6633 1.9 2.2 Micrococcus luteus ATCC 9341 0.2 0.3 Staphylococcus aureus 209P ATCC 6538P 0.6 0.5 Escherichia coli ATCC 10798 4.2 3.3 Pseudomonas aeruginosa ATCC 10145 3.3 3.8 Pseudomonas cepacia ATCC 17759 2.4 3.0 Serratia marcescens ATCC 13880 1.8 1.6 Corynebacterium glutamicum ATCC 13032 0.3 0.4
【0080】 表 6 L-AMPB産生量(mg/ml) 使 用 菌(酵 母) Asp Ala Saccharomyces cerevisiae ATCC 9763 0.3 0.2 Candida albicans IAM 4888 0.9 0.4 Candida albicans IAM 4829 6.1 4.0 Cryptococcus neoformans IAM 4772 1.3 0.8 Debaryomyces hansenii IAM 4356 1.2 0.7 Trigonopsis variabilis IAM 4443 1.5 0.4 Hansenula schneggi IAM 4369 0.8 0.2
【0081】 表 7 L-AMPB産生量(mg/ml) 使 用 菌(放線菌) Asp Ala Streptomyces albus IFO 13014 (ATCC 3004) 1.0 0.8 Streptomyces griseus IFO 12875 (ATCC 23345) 1.7 1.9 Streptoverticillium cinnamoneum IFO 12852 6.0 2.2 (ATCC 11874) Streptomyces morookaensis IFO 13416 7.5 3.3 (ATCC 19166) Nocardia mediterranei ATCC 21271 2.6 1.6 Nocardiopsis dassonvillei JCM 3237 1.5 1.5 Saccharopolyspora hirsuta JCM 3170 0.8 0.9 (ATCC 27875)
【0082】 表 8 L-AMPB産生量(mg/ml) 使 用 菌(放線菌) Asp Ala Streptomyces viridochromogenes IFO 13347 1.6 1.1 (ATCC 14925) Streptomyces pilosus IFO 12807(ATCC 19797) 0.1 0.1 Micromonospora carbonaceae NRRL 2972 1.4 1.6 (ATCC 27114) Streptosporangium pseudovulgare ATCC 27100 0.8 1.7 ※ 培養時間は48時間とした。
【0083】 表 9 L-AMPB産生量(mg/ml) 使 用 菌(放線菌) Asp Ala Streptomyces viridochromogenes JCM 4977 * 5.6 3.6 *ビアラホス生産菌
【0084】 表 10 L-AMPB産生量(mg/ml) 使 用 菌(カビ菌) Asp Ala Aspergillus flavus ATCC 9643 0.2 0.3 Aspergillus terreus IAM QM82J 0.2 0.1 Mucor spinescens IAM Mu3 0.9 1.1 Aureobasidium pullulans IAM F24 0.6 0.4 Chaetomium globosum ATCC 6205 0.1 0.2
【0085】 表 11 L-AMPB産生量(mg/ml) 使 用 菌(カ ビ) Asp Ala Penicillium funiculosum ATCC 9644 0.4 0.3 Gliocladium virens ATCC 9645 0.4 0.5 *培養時間は48時間とした。
【0086】本明細書、特に前記の表3及び表5〜表1
1中に示された微生物のうち、ATCC番号を付された菌種
はアメリカン・タイプ・カルチュア・コレクション(米
国、ワシントンD.C.)に寄託されてあり、JCM番号を
付された菌種は理化学研究所、微生物系統保存施設(Jap
an Collection of Microoganisms;埼玉県和光市)に寄
託されてあり、IAM番号を付された菌種は東京大学応
用微生物研究所(Institute of Applied Microbiology,
University of Tokyo)に寄託されてあり、さらにIFO
番号を付された菌種は発酵研究所(Institute for Ferm
entation;大阪市)に寄託されてあり、これらの菌種は
夫々の寄託所から分譲、入手できる公知のタイプ・カル
チュア微生物である。
【0087】
【発明の効果】本発明によりOMPBから、アミノ基供与体
としてグルタミン酸とアスパラギン酸との共存下に、も
しくはアスパラギン酸の存在下に、トランスアミラーゼ
生産能をもつ微生物又はトランスアミラーゼの作用によ
りL-AMPBを製造すれば、適正な反応時間で高い又は有意
な収率で安価にL-AMPBを製造できることが明らかとなっ
た。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】更に、第1の本発明の方法に使用される微
生物の好ましい例としては、ストレプトミセス属に属す
る SF-1293物質生産菌として公知であるストレプトミセ
ス・ハイグロスコピカス (Streptomyces hygroscopicu
s) SF-1293 株(FERM BP-130 又はATCC 21705)、特公
昭51-639号公報又は米国特許第 3,832,394号明細書参
照)あるいはその変異株であるストレプトミセス・ハイ
グロスコピカス SF-1293 NP-50株(FERM P-7804 又はFE
RM BP-1368)(特開昭61-58589号公報又は欧州特許出願
公開第 0173327号公報参照)あるいはストレプトミセス
・リビダンス66株(FERM BP-737 ;特開昭59−175889号
公報又は欧州特許出願公開第 0196375号公報参照)があ
る。その他、アミノ基供与体としてのグルタミン酸又は
その塩の存在下にOMPBをL-AMPBに変換するトランスアミ
ナーゼ活性を持つ酵素を産生する微生物であれば、どの
ような微生物でも、使用できる。なお、上記のストレプ
トミセス・ハイグロスコピカス SF-1293株の菌学的性質
は特開昭51-639号公報又は米国特許第 3,832,394号明細
書に記載されてある。また、ストレプミセス・ハイグ
ロスコピカス SF-1293 NP-50株(FERM P-7804) の菌学的
性質は上記のSF-1293株と同じであるが、 SF-1293物質
の生合成能を欠損している点で遺伝形質が異なる(特開
昭61-58589号公報又は欧州特許出願公開第 0173327号公
報参照)。更に、ハイグロスコピカス・リビダンス66株
(FERM BP-737) の菌学的性質は特開昭59−175889号公報
に記載されてある。これらの菌のうち、FERM BP-番号を
付された菌種はブタペスト条約の規定で工業技術院微生
物工業技術研究所に寄託してある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】トランスアミナーゼとしてグルタミン酸−
オキサロ酢酸−トランスアミナーゼ(GOT)(ベーリ
ンガー・マンハイム社製)を使用した場合には、L−ア
スパラギン酸(Asp)又はL−グルタミン酸(Gl
u)をアミノ基供与体(アミノ基供与の基質として反応
する)として反応媒質に添加、溶解した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 13/04 C12R 1:625) (C12P 13/04 C12R 1:365) (C12P 13/04 C12R 1:01) (C12P 13/04 C12R 1:29) (C12P 13/04 C12R 1:125) (C12P 13/04 C12R 1:265) (C12P 13/04 C12R 1:445) (C12P 13/04 C12R 1:19) (C12P 13/04 C12R 1:385) (C12P 13/04 C12R 1:38) (C12P 13/04 C12R 1:43) (C12P 13/04 C12R 1:15) (C12P 13/04 C12R 1:865) (C12P 13/04 C12R 1:725) (C12P 13/04 C12R 1:645) (C12P 13/04 C12R 1:78) (C12P 13/04 C12R 1:67) (C12P 13/04 C12R 1:66) (C12P 13/04 C12R 1:785) (C12P 13/04 C12R 1:80) (31)優先権主張番号 特願昭62−101152 (32)優先日 昭62(1987)4月25日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 宮道 慎二 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品研究所内 (72)発明者 熊田 要市 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品研究所内 (72)発明者 安西 弘行 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品研究所内 (72)発明者 高根 信彦 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 明治 製菓株式会社薬品開発研究所内 (72)発明者 吉澤 八千代 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 明治 製菓株式会社薬品開発研究所内 (72)発明者 斉藤 敏則 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 明治 製菓株式会社薬品開発研究所内 (72)発明者 小川 弘 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 明治 製菓株式会社薬品開発研究所内 (72)発明者 武部 英日 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 明治 製菓株式会社薬品開発研究所内 (72)発明者 佐藤 篤行 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 明治 製菓株式会社薬品開発研究所内 (72)発明者 長岡 行蔵 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品研究所内 (72)発明者 深津 俊三 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 明治 製菓株式会社薬品開発研究所内 (72)発明者 岡田 明 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 明治 製菓株式会社薬品開発研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式 で示される4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2
    −オキソ−酪酸を、アミノ基供与体としてのグルタミン
    酸又はその塩とアスパラギン酸又はその塩との存在下に
    1つ又はそれ以上のトランスアミナーゼを産生する能力
    をもつ微生物で処理することを特徴とする、次式 で示されるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホ
    スフィニル)−酪酸の製造法。
  2. 【請求項2】 使用される微生物がストレプトミセス
    属、ストレプトバーチシリウム属、ノカルディア属、ノ
    カルディオプシス属、サッカロポリスポラ属、キタサト
    スポリア属、ミクロモノスポラ属及びストレプトスポラ
    ンギウム属から選ばれる放線菌である請求項1に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 使用される微生物がバチルス属、ミクロ
    コッカス属、スタフィロコッカス属、エシェリヒア属、
    シュードモナス属、セラチア属及びコリネバクテリウム
    属から選ばれるバクテリアである請求項1に記載の方
    法。
  4. 〔請求項4〕 使用される微生物がサッカロミセス属、
    キャンディダ属、クリプトコッカス属、デバリオミセス
    属、トリゴノプシス属及びハンセヌラ属から選ばれる酵
    母である請求項1に記載の方法。
  5. 〔請求項5〕 使用される微生物がアスペルギルス属、
    ムコール属、オーレオバシディウム属、カエトミウム
    属、ペニシリウム属及びグリオクラジウム属から選ばれ
    るカビである請求項1に記載の方法。
  6. 〔請求項6〕 使用される微生物がストレプトミセス・
    アルバス、ストレプトミセス・グリゼウス、ストレプト
    ミセス・ハイグロスコピカス、ストレプトミセス・リビ
    ダンス、ストレプトミセス・ビリドクロモゲネス、スト
    レプトミセス・ピロサス、ストレプトバーチシリウム・
    シンナモニウム、ストレプトミセス・モロオカエンシ
    ス、ノカルディア・メジテラニ、ノカルディオプシス・
    ダソンビレイ、サロポリスポラ・ヒルスタ、キタサトス
    ポリア・フォスアラシネア、ミクロモノスポラ・カルボ
    ナシー及びストレプトスポランギウム・シュードブルガ
    リから選ばれる放線菌、あるいはバチルス・ズブチリ
    ス、ミクロコッカス・ルテウス、スタフィロコッカス・
    アウレウス、エシェリヒア・コリ、シュードモナス・エ
    ルギノーサ、シュードモナス・セパシア、セラチア・マ
    ルセセンス及びコリネバクテリウム・グルタミカムから
    選ばれる細菌、あるいはサッカロミセス・セリビシイ、
    キャンディダ・アルビカンス、クリプトコッカス・ネオ
    フォルマンス、デバリオミセス・ハンセニ、トリゴノプ
    シス・バリアビリス、ハンセヌラ・シュネジから選ばれ
    る酵母、あるいはアスペルギルス・フラバス、アスペル
    ギルス・テレウス、ムコール・スピネセンス、オーレバ
    シディウム・プルランス、カエトミウム・グロボサム、
    ペニシリウム・フニクロサム及びグリオクラジウム・ビ
    レンスから選ばれるカビである請求項1に記載の方法。
  7. 〔請求項7〕 使用される微生物は、アミノ基供与体と
    してのL−アスパラギン酸の存在下に2−ケトグルター
    ル酸をグルタミン酸に変換する活性であるGOT活性を
    合せもつトランスアミナーゼと、アミノ基供与体として
    L−グルタミン酸の存在下に式(II)の化合物を式(I)
    の化合物に変換するトランスアミナーゼ活性をもつトラ
    ンスアミナーゼとを産出する微生物であるストレプトミ
    セス・ハイグロスコピカス SF-1293株(FERM BP-130) あ
    るいはその変異株であるストレプトミセス・ハイグロス
    コピカス SF-1293 NP-50株(FERM BP-1368)あるいはスト
    レプトミセス・リビダンス66株(FERM BP-737) である請
    求項1に記載の方法。
  8. 〔請求項8〕 添加されたグルタミン酸又はその塩の濃
    度が式(II)の基質化合物の1モル当たりに 0.2〜 3.0
    モルに相当する濃度であり、かつ添加されたアスパラギ
    ン酸又はその塩の濃度が式(II)の基質化合物の1モル
    当りに 1.0〜3.0モルに相当する濃度であり、しかも反
    応媒質のpHは 8.0〜 9.0のアルカリ性pH値に維持さ
    れる請求項7に記載の方法。
  9. 〔請求項9〕 次式 で示される4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2
    −オキソ−酪酸を、アミノ基供与体としてのグルタミン
    酸又はその塩とアスパラギン酸又はその塩との存在下に
    1つ又はそれ以上のトランスアミナーゼで処理すること
    を特徴とする、次式 で示されるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホ
    スフィニル)−酪酸の製造法。
  10. 〔請求項10〕 使用される酵素が、グルタミン酸−オ
    キサロ酢酸−トランスアミナーゼ、あるいはアミノ基供
    与体としてのグルタミン酸の存在下に4−(ヒドロキシ
    メチルホスフィニル)−2−オキソ−酪酸をL−2−ア
    ミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−酪酸に
    変換するトランスアミナーゼのいずれか一つ、あるいは
    それらの二つ又はそれ以上の組み合わせである請求項9
    に記載の方法。
  11. 〔請求項11〕 次式 で示される4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−2
    −オキソ−酪酸を、アミノ基供与体としてのアスパラギ
    ン酸又はその塩の存在下に、トランスアミナーゼを産生
    する能力を有して且つストレプトミセス属、ストレプト
    バーチシリウム属、ノカルディア属、ノカルディオプシ
    ス属、サッカロポリスポラ属、キタサトスポリア属、ミ
    クロモノスポラ属及びストレプトスポランギウム属から
    選ばれる放線菌、あるいはバチルス属、ミクロコッカス
    属、スタフィロコッカス属、シュードモナス属、セラチ
    ア属及びコリネバクテリウム属から選ばれるバクテリ
    ア、あるいはサッカロミセス属、キャンディダ属、クリ
    プトコッカス属、デバリオミセス属、トリゴノプシス属
    及びハンセヌラ属から選ばれる酵母、あるいはアスペル
    ギルス属、ムコール属、オーレオバシディウム属、カエ
    トミウム属、ペニシリウム属及びグリオクラジウム属か
    ら選ばれるカビで処理するか、若しくは前記の微生物の
    菌体の破砕物から得られる粗酵素液で処理するか、若し
    くはグルタミン酸−オキサロ酢酸−トランスアミナーゼ
    又はグルタミン酸−ピルビン酸−トランスアミナーゼ、
    あるいはこれら酵素の組み合わせで処理することを特徴
    とする、次式 で示されるL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホ
    スフィニル)−酪酸の製造法。
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