JPH0724652Y2 - 部品の取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、自動車の外装部品を所定のパネルに脱着可能
に取り付ける取付構造の改良に関するものである。

「従来の技術」 従来のこの種取付構造として、例えば特開昭56-6906号
公報に示すものが存する。

該従来の取付構造は、具体的には図示しないが、別体成
形の合成樹脂製クリップ体を用いて、自動車外装部品た
るラジエータグリルを車体パネルに取り付けることを前
提とするもので、上記のクリップ体は、フランジ部の両
側に錨形の弾性係止脚を一体に設けると共い、一方の弾
性係止脚の先端部にマイナスドライバー等の工具類を差
し込む溝部を形成する構成となっている。

そして、実際にラジエータグリルをパネルに取り付ける
場合には、ラジエータグリルの背面側に設けられている
ソケット孔に、上記クリップ体の一方の弾性係止脚を係
止した後、該クリップ体の他方の弾性係止脚を、パネル
側に穿設されている取付孔に係止することにより、ラジ
エータグリルをパネルに取り付けるものである。

又、ラジエータの保守等に際して、ラジエータグリルを
取り外す必要が生じたような場合には、一方の弾性係止
脚の先端部に形成されている溝部に、工具類の先端をソ
ケット孔から差し込んで、該工具類をクリップ体と一緒
に約90°捻回させて、該クリップ体の他方の弾性係止脚
の取付孔に対する係止を解除すれば、ラジエータグリル
をパネルから取り外すことができるものである。

「考案が解決しようとする課題」 然し乍ら、従来の取付構造にあって、ラジエータグリル
をパネルから取り外す場合には、工具類を90°捻回して
クリップ体を強制的に回転させなければならないので、
取外作業自体が徒に大変となるばかりか、例え工具類を
捻回させても、他方の弾性係止脚の取付孔に対する係止
をスムーズに解除できるとは限らなかった。

又、ラジエータグリルを取り付ける場合には、通常、複
数個のクリップ体が使用される訳であるから、斯る構造
下において、ラジエータグリル側のソケット孔とパネル
側の取付孔間に製造上の誤差が生じていると、この誤差
をクリップ体それ自体では吸収することができないの
で、上記誤差に起因して、ラジエータグリルを正しいセ
ンター位置に取り付けることができなくなったり、ラジ
エータグリルの取付状態が不安定となる等の大きな問題
点を有している。

「課題を解決するための手段」 而して、本考案は、従来の課題を有効に解決するために
開発されたもので、部品をクリップ体を介してパネルに
取り付ける取付構造を前提として、クリップ体は、部品
側とパネル側に個々に固定される第一部材と第二部材と
から成り、第一部材は、基体に内部空洞の嵌合部を設け
て、該嵌合部の内部に弾性ロック片を形成すると共に、
嵌合部の画成壁に該嵌合部内と連通するガイド窓を形成
し、該ガイド窓に列歯を有する別体のロック板を着脱可
能に装着してなり、第二部材は、基体に第一部材の嵌合
部内に嵌入される弾性腕片を設けて、該弾性腕片の中央
部に工具類の差込孔を穿設する一方、該弾性腕片の両側
に上記ロック板の列歯を咬合する位置決め用爪部を形成
し、且つ弾性腕片の先端に上記弾性ロック片に係止する
係合部を形成する構成を採用した。

「作用」 依って、本考案にあっては、今仮に、部品側に第一部材
を固定し、パネル側に第二部材を固定した状態を得て、
第一部材の嵌合部内に第二部材の弾性腕片を嵌合して、
該弾性腕片の先端係合部を嵌合部内の弾性ロック片に係
止すると同時に、部品側を把持して、第一部材の嵌合部
と第二部材の弾性腕片の嵌合位置関係を適宜調整した
後、嵌合部のガイド窓に別体のロック板を装着すれば、
該ロック板の列歯と弾性腕片の両側に形成されている位
置決め用爪部が咬合して、第一部材と第二部材とが位置
決めされた状態をもって強固に一体化されるので、これ
により、部品がパネルに対して、常に正しいセンター位
置に安定して取り付けられることとなる。

そして、部品を取り外す必要が生じた場合には、第一部
材の嵌合部のガイド窓に装着されている上記ロック板を
引き抜いて、第二部材の弾性腕片に穿設されている差込
孔から、マイナスドライバー等の工具類の先端を差し込
んで、嵌合部内に存する弾性ロック片の先端部を下方に
直線的に押圧すれば、該ロック片が弾性腕片の係合部か
ら容易に外れるので、後は、斯る状態の第一部材と第二
部材を引き離せば、部品がパネルから容易に取り外すこ
とが可能となる。

「実施例」 以下、本考案を図示する一実施例に基づいて詳述すれ
ば、該実施例に係る取付構造も、自動車外装部品たる樹
脂製ラジエータグリルを、クリップ体を介して車体パネ
ルに取り付けることを前提とするものであるが、特徴と
するところは、クリップ体を以下の構成となした点にあ
る。

即ち、本実施例にあっては、第１図に示す如く、クリッ
プ体をラジエータグリル側に固定される樹脂製の第一部
材１と、車体パネル側に固定される樹脂製の第二部材11
とから構成して、前者の第一部材１は、ラジエータグリ
ルの背面取付部に固定される板状基体２に、内部空洞の
嵌合部３を一体に設けて、該嵌合部３の下側内壁面に、
スリット７を介して先端部に係止部4aを有する弾性ロッ
ク片４を形成すると共に、嵌合部３の画成上壁に、該嵌
合部３内と連通するガイド窓５を穿設して、該ガイド窓
５に下面に列歯6aを有する別体のロック板６を着脱可能
に装着する構成となっている。

又、後者の第二部材11は、自身の板状基体12の一面側
に、パネルに穿設された取付孔に係止する係止脚13を設
け、基体12の他面側に、第一部材１の嵌合部３内に嵌合
させる弾性腕片14を横設して、該弾性腕片14の中央部に
工具類の差込孔15を穿設する一方、弾性腕片14の両側
に、上記ロック板６の列歯6aと咬合する一対の位置決め
用爪部16を形成し、且つ弾性腕片14の先端下面に、上記
弾性ロック片４の係止部4aに係止する係合部17を一体に
形成する構成となっている。

尚、上記第一部材１の嵌合部３内部の幅寸法は、第二部
材11の弾性腕片14の寸法よりも大きくなして、該嵌合部
３内で第二部材11の弾性腕片14の左右移動を許容できる
ように設定されている。

依って、斯る構成の第一部材１と第二部材11を用いて、
ラジエータグリル21を車体パネル23に取り付ける場合に
は、まず、ラジエータグリル21の背面取付部22に、第一
部材１の基体２をネジ部材25を介して固定し、パネル23
に穿設されている取付孔24に第二部材11の係止脚13を係
止して、該パネル23に第二部材11を固定した後、第一部
材１の嵌合部３内に第二部材11の弾性腕片14を嵌合し
て、該弾性腕片14の先端係合部17を嵌合部３内の弾性ロ
ック片４の係止部4aに係止する一方、ラジエータグリル
21側を把持して、第一部材１の嵌合部３と第二部材11の
弾性腕片14の嵌合位置関係を適宜調整する。

次いで、斯る位置関係の調整後は、嵌合部３のガイド窓
５をロック板６で装着すれば、第２図Ａ・Ｂ・Ｃに示す
如く、該ロック板６の下面に存する列歯6aと弾性腕片14
の両側に形成されている位置決め用爪部16が咬合して、
第一部材１と第二部材11とが、上記位置決めされた状態
をもって強固に一体化されるので、これにより、ラジエ
ータグリル21がパネル23に対して確実に取り付けられる
こととなる。

しかも、本実施例にあっても、従来と同様に、第一部材
１と第二部材11から構成される複数のクリップ体を用い
て、ラジエータグリル21をパネル23に取り付けるもので
あるから、第一部材１と第二部材11の一体化に先立っ
て、第一部材１の嵌合部３と第二部材11の弾性腕片14の
嵌合位置関係を調整できることは、例えラジエータグリ
ル21の取付部22とパネル23の取付孔24間に、製造上の誤
差が生じている場合でも、この誤差を効果的に吸収する
ことが可能となるので、ラジエータグリル21は、常に正
しいセンター位置に安定した状態で取り付けられること
となる。

そして、ラジエータの保守等のために、ラジエータグリ
ル21を取り外す必要が生じたような場合には、第３図に
示す如く、第一部材１の嵌合部３のガイド窓５に装着さ
れているロック板６を引き抜いて、該ガイド窓を開放し
た後、第二部材11の弾性腕片14に穿設されている差込孔
15から、マイナスドライバー等の工具類26の先端を差し
込んで、弾性ロック片４の係止部4aを下方に直線的に押
圧すれば、該ロック片４の係止部4aが、弾性腕片14の係
合部17から容易に外れるので、後は、斯る状態の第一部
材１と第二部材11を引き離すだけで、ラジエータグリル
21をパネル23から容易に取り外すことが可能となる。

従って、本実施例にあっては、ロック板６の引き抜き状
態を得て、開放されたガイド窓５から、弾性ロック片４
の係止部4aを単に工具類26を介して直線的に押圧するだ
けで、ラジエータグリル21をパネル23から取り外せるの
で、例え使用されるクリップ体の数が多くても、その作
業性は頗る簡便化される。

しかも、ラジエータグリル21の取り外しに際しては、ラ
ジエータグリル21に第一部材１が固定され、パネル23に
第二部材11が固定されているので、不用意に分離して紛
失する心配が全くなくなるばかりか、再使用に際して
は、既述した作業を繰り返すだけで、ラジエータグリル
21を再びパネル23に取り付けることが可能となる。

尚、上記実施例においては、第一部材１をラジエータグ
リル21に固定し、第二部材11をパネル23に固定したもの
であるが、同一の条件の下で、第一部材１をパネル23に
固定し、第二部材11をラジエータグリル21に固定して
も、同様な作用効果が得られることは勿論である。

「考案の効果」 以上の如く、本考案の取付構造によれば、従来の如く、
工具類を捻回させてクリップ体自体を強制的に回転させ
なくとも、第１部材の嵌合部からロック板を引き抜き、
開放されたガイド窓を利用して、第一部材の嵌合部内に
形成された弾性ロック片を、工具類を介して下方に押圧
するだけで、該ロック片を第二部材の弾性腕片の係合部
から容易に外すことが可能となるので、従来のものと比
較すると、部品の取外作業が頗る簡便化されることとな
った。

その上、本考案にあっては、第一部材の嵌合部と第二部
材の弾性腕片の嵌合位置関係を調整することができるの
で、例え部品側の取付個所とパネル側の取付個所間に製
造上の誤差が生じている場合でも、斯る嵌合位置関係の
調整により、上記誤差を効果的に吸収することが可能と
なって、部品は常に正しいセンター位置に安定した状態
で取り付けられることともなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に供されるクリップ体を分解し
て示す斜視図、第２図Ａはラジエータグリルをパネルに
取り付けた状態を示す要部斜視図、同図Ｂ・Ｃは同要部
断面図、第３図はラジエータグリルをパネルから取り外
す状態を示す要部断面図である。 １……第一部材、２……基体、３……嵌合部、４……弾
性ロック片、５……ガイド窓、６……ロック板、6a……
列歯、11……第二部材、12……基体、14……弾性腕片、
15……差込孔、16……位置決め用爪部、17……係合部、
21……ラジエータグリル21（部品）、22……取付部、23
……パネル、24……取付孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】部品をクリップ体を介してパネルに取り付
   ける構造において、上記クリップ体は、部品側とパネル
   側に個々に固定される第一部材と第二部材とから成り、
   第一部材は、基体に内部空洞の嵌合部を設けて、該嵌合
   部の内部に弾性ロック片を形成すると共に、嵌合部の画
   成壁に該嵌合部内と連通するガイド窓を形成し、該ガイ
   ド窓に列歯を有する別体のロック板を着脱可能に装着し
   てなり、第二部材は、基体に第一部材の嵌合部内に嵌入
   される弾性腕片を設けて、該弾性腕片の中央部に工具類
   の差込孔を穿設する一方、該弾性腕片の両側に上記ロッ
   ク板の列歯を咬合する位置決め用爪部を形成し、且つ弾
   性腕片の先端に上記弾性ロック片に係止する係合部を形
   成したことを特徴とする部品の取付構造。