JPH07228445A - エレベータの調速機装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、調速機ロープの伸びによるロー
プテンションの低下を自動的に調整できるエレベータの
調速機装置を得ることを目的とする。 【構成】 メッセンジャーワイヤ２０は、機械室２の床
の下面に一端を固定し、他端に下げ振りおもり２１が装
着されて、昇降路１内に垂下されている。そして、一端
が乗りかご８に固定され、他端に移動おもり２４が取り
付けられた調速機ロープ２６が、調速機３の綱車４に掛
け渡されている。さらに、この移動おもり２４には、貫
通孔が穿設されており、この貫通孔にメッセンジャーワ
イヤ２０が挿通されて、移動おもり２４がメッセンジャ
ーワイヤ２０に案内されて上下移動できるようになって
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、エレベータの乗りか
ごの速度が異常に増大したときに、これを検出して停止
させる調速機装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来のエレベータの調速機装置回
りを示す構成図であり、図において１は昇降路、２は昇
降路１の上部に設けられた機械室、３は綱車４を備え、
機械室２の床に固定された調速機、５は昇降路１の下部
のピット６内に配置された張り車、７は両端が乗りかご
８のロープ止め８ａに固定されたループ状をなす調速機
ロープであり、この調速機ロープ７はその上部側が綱車
４に掛け渡され、その下部側に張り車５が掛けられてい
る。９は調速機ロープ７の下部側に張り車５が掛けられ
た際に調速機ロープ７にテンションをかけるために張り
車５に取り付けられた張り車用おもり、１０は昇降路１
のピット６の側壁に取り付けられた支持腕であり、この
支持腕１０は張り車５を上下動可能に支持するように構
成されている。１１は機械室２に配設された駆動綱車、
１２はそらせ車、１３は駆動綱車１１およびそらせ車１
２に掛け渡され、その一端が乗りかご８に、他端がつり
あいおもり１４にそれぞれ固定された主ロープである。

【０００３】つぎに、上記従来のエレベータの調速機装
置の動作について説明する。まず、調速機ロープ７は、
その下部側に掛けられている張り車５に取り付けられた
張り車用おもり９の自重により下方に所望のテンション
がかけられている。そこで、駆動綱車１１を駆動させる
ことにより、乗りかご８がガイドレール（図示せず）に
案内されて昇降路１内を昇降する。この時、両端が乗り
かご８に固定された調速機ロープ７は、乗りかご８の昇
降動作に合わせて走行することになる。この調速機ロー
プ７の走行により、綱車４が回転する。そして、乗りか
ご８の速度が異常に増大した場合、綱車４の回転速度か
らこれを検出して停止させる。ここで、調速機ロープ７
が伸びると、張り車５は張り車用おもり９の自重により
下方に移動する。この時、張り車用おもり９の自重が張
り車５を介して調速機ロープ７にかかり、調速機ロープ
７のテンションは確保されている。そして、調速機ロー
プ７の伸びが大きくなり、支持腕１０による張り車５の
下降限界に達すると、調速機ロープ７に十分なテンショ
ンをかけることができなくなり、調速機ロープ７に緩み
が発生する。そこで、作業者がピット６内に入り、支持
腕１０の取付位置を下方に移動することになる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のエレベータの調
速機装置は以上のように構成されているので、調速機ロ
ープ７が伸びた際に、その都度作業者がピット６内に入
り、支持腕１０の取付位置を調整する必要があり、調速
機ロープ７のテンション調整作業が繁雑となるという課
題があった。

【０００５】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、調速機ロープのテンション付加
機構を、昇降路内に上下に延びて配設された案内部材
と、該案内部材に案内されて上下移動する移動おもりと
から構成し、調速機ロープの伸びに拘わらず、調速機ロ
ープのテンションを一定に維持できるエレベータの調速
機装置を得ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明の第１の発明に
係るエレベータの調速機装置は、昇降路上部の機械室に
配設された調速機と、調速機の綱車に掛け渡され、一端
が乗りかごに固定され、他端が移動おもりに固定された
調速機ロープと、昇降路内に上下に延びて配設されて移
動おもりの上下動を案内する案内部材とを備えたもので
ある。

【０００７】また、この発明の第２の発明に係るエレベ
ータの調速機装置は、上記第１の発明において、昇降路
内に上下に張設されたワイヤで案内部材を構成するとと
もに、移動おもりにワイヤを挿通する挿通部を設けたも
のである。

【０００８】

【作用】この発明の第１の発明においては、調速機ロー
プは、一端が乗りかごに固定され、調速機の綱車に掛け
渡されて他端が移動おもりに固定されて、テンションが
かけられている。そして、移動おもりは、昇降路内に上
下に延びて配設された案内部材に案内されて上下移動す
る。そこで、調速機ロープが伸びた場合、案内部材に案
内されて移動おもりが下降して、調速機ロープの伸びに
よるテンションの低下が吸収され、調速機ロープのテン
ションが所定のテンションに常に確保される。

【０００９】また、この発明の第２の発明においては、
昇降路内に上下に張設されたワイヤを移動おもりの挿通
部に挿通させている。そこで、移動おもりはワイヤに案
内されて上下移動する。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
る。 実施例１．図１はこの発明の実施例１に係るエレベータ
の調速機装置回りを示す構成図、図２の（ａ）、（ｂ）
はそれぞれこの発明の実施例１に係るエレベータの調速
機装置の移動おもり回りを示す斜視図および正面図、図
３はこの発明の実施例１に係るエレベータの調速機装置
の下げ振りおもり回りを示す斜視図であり、図において
図５に示した従来のエレベータの調速機装置と同一また
は相当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。

【００１１】図において、２０は案内部材としてのメッ
センジャーワイヤであり、ここでは２本のメッセンジャ
ーワイヤ２０がその一端側を機械室２の床の下面に固定
されて昇降路１内に垂下されている。２１はメッセンジ
ャーワイヤ２０の下端に取り付けられた下げ振りおも
り、２２は昇降路１の下部のピット６の側壁面に直交す
るように取り付けられた振り防止板であり、この振り防
止板２２には２つの貫通孔２３ａ、２３ｂが穿設されて
おり、これらの貫通孔２３ａ、２３ｂには２本のメッセ
ンジャーワイヤ２０の下端側がそれぞれ挿通され、貫通
孔２３ａ、２３ｂに規制されてメッセンジャーワイヤ２
０の振れが抑えられるようになっている。２４は移動お
もりであり、この移動おもり２４には３つの貫通孔２５
ａ、２５ｂ、２５ｃが穿設されており、挿通部としての
貫通孔２５ｂ、２５ｃには２本のメッセンジャーワイヤ
２０がそれぞれ挿通され、メッセンジャーワイヤ２０に
案内されて移動おもり２４が上下移動できるようになっ
ている。２６は調速機３の綱車４に掛け渡され、その一
端側がロープ止め８ａにより乗りかご８に固定され、他
端側が移動おもり２４の貫通孔２５ａに挿通されてその
端部にロープソケット２６ａが装着されて移動おもり２
４に固定された調速機ロープである。

【００１２】つぎに、この実施例１の動作について説明
する。２本のメッセンジャーワイヤ２０が機械室２の床
の下面から昇降路１内に垂下されている。そして、メッ
センジャーワイヤ２０のそれぞれの下端には下げ振りお
もり２１が装着されて、メッセンジャーワイヤ２０にテ
ンションがかけられている。さらに、メッセンジャーワ
イヤ２０のそれぞれの下端側が振れ防止板２２の貫通孔
２３ａ、２３ｂに挿通されている。また、調速機ロープ
２６は、その一端が乗りかご８に固定され、調速機３の
綱車４に掛け渡されてその他端が移動おもり２４に固定
されて、所望のテンションがかけられている。そして、
この移動おもり２４は、その貫通孔２５ｂ、２５ｃにそ
れぞれメッセンジャーワイヤ２０が挿通されている。

【００１３】そこで、乗りかご８が昇降すれば、乗りか
ご８の昇降動作に同期して調速機ロープ２６が走行す
る。そして、調速機ロープ２６の走行に同期して、移動
おもり２４がメッセンジャーワイヤ２０に案内されて上
下移動する。この時、２本のメッセンジャーワイヤ２０
は、その下端に装着された下げ振りおもり２１により所
定のテンションがかけられ、さらに下端側が振れ防止板
２２の貫通孔２３ａ、２３ｂに挿通されているので、メ
ッセンジャーワイヤ２０の振れや捩れの発生が抑えられ
る。そこで、移動おもり２４は、貫通孔２５ｂ、２５ｃ
に挿通された２本のメッセンジャーワイヤ２０により上
下方向を除く移動が規制されて、振れや捩れが防止さ
れ、スムーズに上下移動することになる。ここで、調速
機ロープ２６が伸びた場合には、調速機ロープ２６の伸
びた分移動おもり２４が下降して、調速機ロープ２６に
かかるテンションが弱まることはなく、調速機ロープ２
６は所望のテンションに確保される。そして、調速機ロ
ープ２６の走行から、調速機３にて乗りかご８の昇降速
度を安定して確実に検出できることになる。

【００１４】このように、この実施例１によれば、調速
機ロープ２６の一端を乗りかご８に固定し、調速機３の
綱車４に掛け渡してその他端を移動おもり２４に固定
し、機械室２の床の下面から昇降路１内に２本のメッセ
ンジャーワイヤ２０を垂下し、さらに移動おもり２４に
穿設された貫通孔２５ｂ、２５ｃにそれぞれメッセンジ
ャーワイヤ２０を挿通して、調速機装置を構成してい
る。そこで、調速機ロープ２６が伸びても、その分移動
おもり２４が下降して調速機ロープ２６のテンションが
確保され、作業者がピット６内に入って行う調速機ロー
プ２６のテンション調整作業が不要となり、保守点検作
業性を向上させることができる。また、調速機ロープ２
６をループ状にする必要がなく、長さをほぼ半分にする
ことができるとともに、従来の張り車５や支持腕１０の
調速機のテンション付加機構が不要となり、コストの低
減を図ることができる。さらに、エレベータの据え付け
時に芯出し用に用いられるメッセンジャーワイヤ２０を
移動おもり２４の案内部材としているので、部品点数が
削減され、コストの低減を図ることができるとともに、
メッセンジャーワイヤ２０の取り付けはその一端を機械
室２の床の下面に固定して昇降路１内に垂下させればよ
く、エレベータの据え付け作業性を向上させることがで
きる。

【００１５】実施例２．上記実施例１では、メッセンジ
ャーワイヤ２０をその一端を機械室２の床の下面に固定
して昇降路１内に垂下させ、その下端に下げ振りおもり
２１を装着するものとしているが、この実施例２では、
ワイヤをその一端を機械室２の床の下面に固定し、その
他端をスプリングを介してピット６内の壁面に固定し
て、昇降路１内に鉛直方向に張設するものとし、同様の
効果を奏する。

【００１６】実施例３．上記実施例１では、移動おもり
２４に挿通部としての貫通孔２５ｂ、２５ｃを穿設し、
貫通孔２５ｂ、２５ｃにメッセンジャーワイヤ２０を挿
通するものとしているが、この実施例３では、図４に示
すように、移動おもり２４の側壁面に挿通部としての取
付金具２７を取り付け、この取付金具２７にメッセンジ
ャーワイヤ２０を挿通させるものとし、同様の効果を奏
する。

【００１７】実施例４．上記実施例１では、案内部材と
してメッセンジャーワイヤ２０を用いるものとしている
が、この実施例４では、案内部材としてガイドレールを
用いるものとしている。この場合、ガイドレールを昇降
路１の側壁に上下方向に延設し、移動おもり２４にガイ
ドシュを取り付け、このガイドシュをガイドレールに係
合させて、移動おもり２４がガイドレールに案内されて
摺動しながら上下移動するように構成すればよい。その
結果、この実施例４においても、調速機ロープ２６の伸
びによる調速機ロープ２６のテンションの低下を移動お
もり２４の下降により吸収でき、上記実施例１と同様
に、調速機ロープ２６のテンション調整作業を省略する
ことができる。

【００１８】

【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００１９】この発明の第１の発明によれば、昇降路上
部の機械室に配設された調速機と、調速機の綱車に掛け
渡され、一端が乗りかごに固定され、他端が移動おもり
に固定された調速機ロープと、昇降路内に上下に延びて
配設されて移動おもりの上下動を案内する案内部材とを
備えているので、調速機ロープの長さが短くなり、さら
に張り車や支持腕の調速機のテンション付加機構が不要
となり、コストの低減を図ることができるとともに、調
速機ロープの伸びによるロープのテンションの低下が移
動おもりの下降により吸収されて調速機ロープのテンシ
ョンが自動的に確保され、保守点検作業性を向上させる
ことができる。

【００２０】また、この発明の第２の発明によれば、上
記第１の発明において、昇降路内に上下に張設されたワ
イヤで案内部材を構成するとともに、移動おもりにワイ
ヤを挿通する挿通部を設け、ワイヤを挿通部に挿通させ
て移動おもりの上下動を案内するようにしているので、
移動おもりの上下動の案内機構を簡易に、かつ、安価に
構成することができ、コストの低減を一層図ることがで
きるとともに、据え付け作業性を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１に係るエレベータの調速機
装置を示す構成図である。

【図２】この発明の実施例１に係るエレベータの調速機
装置における移動おもり回りを示す説明図である。

【図３】この発明の実施例１に係るエレベータの調速機
装置における下げ振りおもり回りを示す斜視図である。

【図４】この発明の実施例３に係るエレベータの調速機
装置における移動おもり回りを示す斜視図である。

【図５】従来のエレベータの調速機装置を示す構成図で
ある。

【符号の説明】

１ 昇降路 ２ 機械室 ３ 調速機 ４ 綱車 ８ 乗りかご ２０ メッセンジャーワイヤ（案内部材） ２４ 移動おもり ２５ｂ 貫通孔（挿通部） ２５ｃ 貫通孔（挿通部） ２６ 調速機ロープ ２７ 取付金具（挿通部）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇降路上部の機械室に配設された調速機
   と、前記調速機の綱車に掛け渡され、一端が乗りかごに
   固定され、他端が移動おもりに固定された調速機ロープ
   と、前記昇降路内に上下に延びて配設されて前記移動お
   もりの上下動を案内する案内部材とを備えたことを特徴
   とするエレベータの調速機装置。
2. 【請求項２】 昇降路内に上下に張設されたワイヤで案
   内部材を構成するとともに、移動おもりに前記ワイヤを
   挿通する挿通部を設け、前記ワイヤを前記挿通部に挿通
   させて前記移動おもりの上下動を案内するようにしたこ
   とを特徴とする請求項１記載のエレベータの調速機装
   置。