JPH07224290A - 潤滑油および電気絶縁油 - Google Patents

潤滑油および電気絶縁油

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JPH07224290A
JPH07224290A JP9262894A JP9262894A JPH07224290A JP H07224290 A JPH07224290 A JP H07224290A JP 9262894 A JP9262894 A JP 9262894A JP 9262894 A JP9262894 A JP 9262894A JP H07224290 A JPH07224290 A JP H07224290A
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JP
Japan
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group
lubricating oil
hydrocarbon group
carbon atoms
general formula
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JP9262894A
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English (en)
Inventor
Takashi Hayashi
剛史 林
和紀 ▲高▼畑
Kazunori Takahata
Kimiya Mizui
公也 水井
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式[I]で表わされるカーボネートから
なる潤滑油および電気絶縁油。 [式[I]において、R1〜R5は、それぞれ独立に、炭素
原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数2〜20
のエーテル結合を有する炭化水素基であり、nおよびm
は、それぞれ0または1〜10の整数である]。 【効果】 この潤滑油は、潤滑性、清浄性および電気絶
縁性に優れ、工業用ギヤ油、自動車用エンジン油および
電気冷蔵庫などの冷凍機用潤滑油として好適に用いるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、潤滑油および電気絶縁油
に関し、さらに詳しくは、従来より潤滑性と清浄性の要
求が厳しくなった工業用ギヤ油、自動車用エンジン油、
自動車用ギヤ油、冷凍機用潤滑油、圧延用潤滑油、繊維
用潤滑油に使用可能な、潤滑性、清浄性および電気絶縁
性に優れた潤滑油、特にR−134aなどのオゾン層非
破壊性のフルオロカーボン水素添加物(HFC 、Hydrogen
ated Fluoro Carbon)を冷媒として使用する冷凍機用潤
滑油として最適な潤滑油、および電気絶縁油に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】潤滑油の種類としては、工業用ギ
ヤ油、エンジン油、繊維用潤滑油、圧延用潤滑油、冷凍
機用潤滑油などが挙げられる。
【0003】工業用ギヤ油は、近年、各種産業機械の使
用環境が一段とシビアになるに従って、潤滑性と清浄性
のより高温域までの維持が要求されてきた。特に、焼付
け塗装工程、食品のベーキング工程では潤滑性と清浄性
により高い性能が要求されてきた。このような用途に
は、従来より合成炭化水素系、カルボン酸エステル系も
しくはグリコール系の潤滑油が使用されてきた。
【0004】しかしながら、合成炭化水素系油およびカ
ルボン酸エステル系油は、潤滑性がまだ不十分なうえ、
長時間の加熱で炭化物が生成し、潤滑油としての役割を
高温下では果すことができないという問題がある。一
方、グリコール系潤滑油は、長時間の加熱による炭化物
の生成が少ないという長所はあるものの、潤滑性が不十
分なうえ、吸湿性が強いため、潤滑性および耐吸湿性の
改良が望まれていた。
【0005】エンジン油では、自動車エンジンの高性能
化に伴い、より高温、より長時間の潤滑性と清浄分散性
が要求されてきた。このような要求に対して、添加剤の
選択で対応しようとすると添加剤の使用量が多くなるた
め、たとえばマヨネーズスラッジの沈澱析出が生じると
いうような弊害がある。またベース油として、鉱物油と
合成炭化水素系油やカルボン酸エステル系油とを併用す
る試みが従来よりなされている。しかしながら、高温、
長時間の潤滑性と清浄分散性はともに充分でなかった。
【0006】一方、上記の自動車エンジン、すなわち4
サイクルエンジン用潤滑油と異なり、2サイクルエンジ
ン用潤滑油は、機構上、ガソリンに添加されて燃焼する
ため、特に清浄性が重要である。従来、2サイクルエン
ジン用潤滑油として、ひまし油やポリブテンなどが使用
されているが、潤滑性と清浄性がともに充分でない。
【0007】自動車用ギヤ油、特にATF用のギヤ油な
どでは摩擦係数を低くし、かつその経時変化を少なくす
る必要がある。そこで、従来は摩擦低減剤や摩擦調整剤
を使用している。しかしながら、これらの添加剤を含む
自動車用ギヤ油は、摩擦係数の経時変化が大きくなると
いう問題がある。
【0008】繊維用潤滑油では、従来、カルボン酸エス
テル系やグリコール系の潤滑油が使用されているが、潤
滑性と清浄性をともに満足することができない。圧延用
潤滑油では、従来、牛脂からなる潤滑油が使用されてい
る。このような潤滑油は、潤滑性がよく、圧延効率に優
れるものの、清浄性が極端に悪いため残存する牛脂の洗
浄工程が不可欠である。また圧延用潤滑油として、カル
ボン酸エステル系潤滑油が使用されているが、この潤滑
油は、清浄性が極めて良好であるものの、潤滑性が悪く
実用性が低い。
【0009】冷凍機用潤滑油では、冷媒ガスがオゾン層
非破壊性のR−134a(CH2F−CF3 )のような
フルオロカーボン水素添加物に変更されるに伴い、従
来、冷凍機用潤滑油として使用されてきた鉱物油やアル
キルベンゼン類化合物は、冷媒ガスとの相溶性がないた
め使用できなくなった。現在、R−134aを冷媒ガス
として使用する冷凍機用潤滑油としてグリコールエーテ
ル系潤滑油が開発されている。
【0010】たとえば、米国特許第 4,755,316号明細書
には、テトラフルオロエタンと、分子量が300〜2,
000であり、37℃動粘度が約25〜150 cStであ
るポリオキシアルキレングリコールとからなる圧縮冷凍
機用組成物が開示されている。
【0011】しかしながら、このようなグリコールエー
テル系潤滑油は、一般に熱安定性が不充分で、吸湿性が
強く、さらにNBRなどのゴムシール材を収縮させ硬度
を高めてしまうという欠点が指摘されている。
【0012】また、近年カーエアコン用冷凍機では、コ
ンプレッサーの小型化と能力アップを可能にしたスルー
ベーン型ロータリーコンプレッサーが用いられており、
このスルーベーン型ロータリーコンプレッサー用潤滑油
としては、シール性と耐摩耗性という性能面より高粘度
の潤滑油が要求される。しかしながら、グリコールエー
テル構造を有する化合物は、一般に分子量が増大して高
粘度化すると、オゾン層非破壊性のフルオロカーボン水
素添加物との相溶性、たとえばR−134aとの相溶性
が悪化するため、構造上使用することができない。この
問題は、オゾン層非破壊性のフルオロカーボン水素添加
物だけでなく、オゾン破壊力(Ozone Depletion Potent
ial )が小さいクロロフルオロカーボン水素添加物(HC
FC、Hydrogenated Chlorofluoro Carbon)、さらにはフ
ルオロカーボン水素添加物とクロロフルオロカーボン水
素添加物との混合物についても同様である。上記フルオ
ロカーボン水素添加物の例としては、上記R−134a
のほか、R−152a(CHF2−CH3)、R−125
(CHF2−CF3)、R−32(CH22)が挙げられ
る。また、クロロフルオロカーボン水素添加物の例とし
ては、R−22(CHClF2 )、R−123(CHC
2)、R−124(CHClF−CF3)が挙げられ
る。
【0013】さらに、最近、ポリオールエステルおよび
ヒンダードエステルと称せられるカルボン酸エステル系
潤滑油が、フルオロカーボン水素添加物を冷媒として使
用する冷凍機の潤滑油として開発されている。しかしな
がら、これらの潤滑油は、加水分解もしくは熱分解によ
りカルボン酸を発生させるため、冷凍機において、カル
ボン酸による金属の腐食摩耗あるいは銅メッキ現象が起
こる。したがって、これらの潤滑油においては、冷凍機
の耐久性が問題点として挙げられている。
【0014】また、フルオロカーボン水素添加物を冷媒
として使用する冷凍機の潤滑油として、ポリカーボネー
ト系潤滑油が開発されているが、熱分解および加水分解
により炭酸ガスが発生する問題があった。炭酸ガスは、
フルオロカーボン水素添加物を冷媒として使用する通常
の冷凍機システムでは凝縮しないため、冷凍効率の低下
および圧縮過程での温度上昇を招く結果となり好ましく
ないとされている。
【0015】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、潤滑性、清浄
性、電気絶縁性、およびオゾン層非破壊性のフルオロカ
ーボン水素添加物との相溶性に優れるとともに、特にカ
ルボン酸および炭酸ガスの発生を抑制できる熱安定性の
高い潤滑油を提供することを目的としている。
【0016】本発明は、特に冷媒としてオゾン層非破壊
性のフルオロカーボン水素添加物を使用する電気冷蔵
庫、ルームエアコンなどの冷凍機用潤滑油として好適に
使用することができる潤滑油、および電気絶縁油を提供
することを目的としている。
【0017】
【発明の概要】本発明に係る第1の潤滑油は、下記の一
般式[I]で表わされるカーボネートを含有してなるこ
とを特徴としている。
【0018】
【化5】
【0019】[式[I]において、R1 、R2 およびR
3 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素
基または炭素原子数2〜20のエーテル結合を有する炭
化水素基であり、R4 およびR5 は、それぞれ独立に、
炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数2〜
20のエーテル結合を有する炭化水素基であり、nおよ
びmは、それぞれ0または1〜10の整数である]。
【0020】また、本発明に係る第2の潤滑油は、下記
の一般式[II]で表わされるカーボネートを含有してな
ることを特徴としている。
【0021】
【化6】
【0022】[式[II]において、R3 は、炭素原子数
1〜20の炭化水素基または炭素原子数2〜20のエー
テル結合を有する炭化水素基であり、R4 およびR5
は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基
または炭素原子数2〜20のエーテル結合を有する炭化
水素基であり、R6 は、水素原子または炭素原子数1〜
17の炭化水素基であり、nおよびmは、それぞれ0ま
たは1〜10の整数である]。
【0023】本発明に係る第1および第2の潤滑油(以
下、単に「本発明に係る潤滑油」と称する場合がある)
は、潤滑性、清浄性および電気絶縁性に優れているた
め、カークーラー、電気冷蔵庫、ルームエアコン等の冷
凍機用潤滑油、工業用ギヤ油、自動車用エンジン油、自
動車用ギヤ油、繊維用潤滑油、圧延用潤滑油などの用途
に広く用いることができる。
【0024】また、本発明に係る潤滑油は、上記のよう
な特性に優れるだけでなく、R−134aなどのオゾン
層非破壊性フルオロカーボン水素添加物との相溶性、R
−22などのオゾン破壊力が小さいクロロフルオロカー
ボン水素添加物との相溶性、さらにはフルオロカーボン
水素添加物およびクロロフルオロカーボン水素添加物か
らなる混合物との相溶性に優れている。しかも、本発明
に係る潤滑油は、カルボン酸エステル系潤滑油のように
カルボン酸を発生することがなく、また熱安定性に特に
優れているため、分解による炭酸ガスの発生が従来のポ
リカーボネート系潤滑油と比べ非常に少ない。したがっ
て、本発明に係る潤滑油は、フルオロカーボン水素添加
物またはクロロフルオロカーボン水素添加物を冷媒とし
て使用する冷凍機用潤滑油として好ましく用いることが
できる。
【0025】なお、本明細書中の「潤滑油」なる語は、
潤滑油が上記一般式[I]または[II]で表わされるカ
ーボネートとその他の成分とで構成される場合、上記一
般式[I]または[II]で表わされるカーボネート単独
で構成される場合を含んで用いられる。
【0026】本発明に係る第1の電気絶縁油は、上記一
般式[I]で表わされるカーボネートからなることを特
徴としている。また、本発明に係る第2の電気絶縁油
は、上記一般式[II]で表わされるカーボネートからな
ることを特徴としている。
【0027】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る潤滑油および
電気絶縁油について具体的に説明する。本発明に係る潤
滑油および電気絶縁油は、下記の一般式[I]または
[II]で表わされるカーボネートからなる。
【0028】
【化7】
【0029】式[I]において、R1 、R2 およびR3
は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基
または炭素原子数2〜20のエーテル結合を有する炭化
水素基であり、R4 およびR5 は、それぞれ独立に、炭
素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数2〜2
0のエーテル結合を有する炭化水素基であり、nおよび
mは、それぞれ0または1〜10の整数、好ましくは0
または1〜5の整数である。
【0030】
【化8】
【0031】式[II]において、R3 は、炭素原子数1
〜20の炭化水素基または炭素原子数2〜20のエーテ
ル結合を有する炭化水素基であり、R4 およびR5 は、
それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基また
は炭素原子数2〜20のエーテル結合を有する炭化水素
基であり、R6 は、水素原子または炭素原子数1〜17
の炭化水素基であり、nおよびmは、それぞれ0または
1〜10の整数、好ましくは0または1〜5の整数であ
る。
【0032】上記一般式[I]または[II]におけるR
1 、R2 、R3 、R4 およびR5 としては、具体的に
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル
基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル
基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-
ヘキシル基、2,3-ジメチルブチル基、イソヘキシル基、
n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、2-エチ
ルヘキシル基、イソオクチル基、1,1,3,3-テトラメチル
ブチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イ
ソデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデシル基、n-ド
デシル基、イソドデシル基、n-トリデシル基、イソトリ
デシル基、n-テトラデシル基、イソテトラデシル基、n-
ペンタデシル基、イソペンタデシル基、n-ヘキサデシル
基、イソヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、イソヘプ
タデシル基、n-オクタデシル基、イソオクタデシル基、
n-ノニルデシル基、イソノニルデシル基、n-アイコサニ
ル基、イソアイコサニル基、2-エチルヘキシル基、2-
(4-メチルペンチル)基などの脂肪族炭化水素基;シク
ロヘキシル基、1-シクロヘキセニル基、メチルシクロヘ
キシル基、ジメチルシクロヘキシル基、1-エチル-1- シ
クロヘキシル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデ
カニル基などの脂環族炭化水素基;フェニル基、o-トリ
ル基、p-トリル基、m-トリル基、2,4-キシリル基、メシ
チル基、p-t- ブチルフェニル基、p-t- アミルフェニ
ル基、p-オクチルフェニル基、p-ノニルフェニル基、p-
ドデカフェニル基、o,p-ジ-t-ブチルフェニル基、o,p-
ジ-t-アミルフェニル基、ベンジル基、α,α'- ジメチ
ルベンジル基、メチルベンジル基、β- フェニルエチル
基(フェネチル基)、1-フェニルエチル基、1-メチル-1
- フェニルエチル基、p-メチルベンジル基、スチリル
基、シンナミル基など芳香族炭化水素基;下記の一般式
[III] で表わされるエーテル結合を含む炭化水素基を
挙げることができる。
【0033】 −CH2−O−(R7−O)p−R8 ・・・[III] 式[III] において、R7 は、炭素原子数1〜4のアル
キレン基であり、R8 は、炭素原子数1〜19の炭化水
素基であり、pは、0または1〜9の整数である。
【0034】上記R7 としては、具体的には、メチレン
基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアル
キレン基を挙げることができる。上記R8 は、脂肪族炭
化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基で
あり、これらの炭化水素基の具体的な例としては、上述
したR1 、R2 、R3 、R4 およびR5 における脂肪族
炭化水素基、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素基の具体
的な例として列挙した基と同様の基を挙げることができ
る。
【0035】上記一般式[II]におけるR6 は、水素原
子、または炭素原子数1〜17の炭化水素基である。R
6 の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環族炭
化水素基および芳香族炭化水素基が挙げられる。これら
の具体的な例としては、上述したR1 、R2 、R3 、R
4 およびR5 における脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水
素基、芳香族炭化水素基の具体的な例として列挙した基
と同様の基を挙げることができる。
【0036】一般に、上記一般式[I]または[II]で
表わされるカーボネートは、nまたはmの値が異なる一
般式[I]または[II]で表わされる数種のカーボネー
トの混合物として存在しており、nまたはmは平均値で
表わされる。
【0037】上記一般式[I]で表わされる好ましいカ
ーボネートとしては、たとえば以下のような化合物が挙
げられる。
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】上記(2)〜(8)の式におけるR1 、R
2 およびR3 は、それぞれ上記一般式[I]におけるR
1 、R2 、R3 と同一の基である。また、R8 は、上記
一般式[III] におけるR8 と同一の基であり、pは、
上記一般式[III] におけるpと同じである。
【0047】また、上記一般式[II]で表わされる好ま
しいカーボネートとしては、たとえば以下のような化合
物が挙げられる。
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0050】上記(1)および(2)の式におけるR3
およびR6 は、それぞれ上記一般式[II]におけるR
3 、R6 と同一の基である。上記一般式[I]または
[II]で表わされるカーボネートのうち、m=0で表わ
されるカーボネートは、たとえば以下のような方法によ
り製造することができる。
【0051】まず、(a)ジメチルカーボネート、およ
び(b)下記の一般式[IV]または[V]で表わされる
アルコールを塩基触媒の存在下に加熱しながら、生成す
るメタノールを蒸留によって反応系外に除去して、反応
収率95%以上まで反応させる。アルコール(b)は、
ジメチルカーボネート(a)に対するモル比[(b)/
(a)]で0.1〜200、好ましくは0.2〜10の範
囲となる量で用いられる。
【0052】
【化19】
【0053】[式[IV]中、R1 、R2 およびR3 は、
上記一般式[I]におけるR1 、R2およびR3 と同一
である。]
【0054】
【化20】
【0055】[式[V]中、R3 およびR6 は、上記一
般式[II]におけるR3 およびR6 と同一である。]な
お、上記反応を行なうに際し、反応器内の空気を窒素置
換することが望ましいが、窒素置換しなくてもよい。
【0056】上記一般式[IV]で表わされるアルコール
(b)の具体的な例としては、CH3−C(CH32
CH2OH、CH3−C(C252−CH2OH、CH3
−C(C372−CH2OH、CH3−C(C492
CH2OH、C25−C(C252−CH2OH、C2
5−C(CH32−CH2OH、C25−C(C372
−CH2OH、C25−C(C492−CH2OH、C3
7−C(C372−CH2OH、C37−C(C
252−CH2OH、C37−C(C492−CH2
H、C1021−C(C10212−CH2OH、C1939
−C(C19392−CH2OH、C2041−C(C20
412−CH2OH、CH3OCH2−C(CH32−CH
2OH、CH3OCH2−C(C252−CH2OH、C
3OCH2−C(C372−CH2OH、CH3OCH2
−C(C492−CH2OH、C25OCH2−C(C2
52−CH2OH、C25OCH2−C(C372
CH2OH、C25OCH2−C(C492−CH2
H、C37OCH2−C(C372−CH2OH、C3
7OCH2−C(C492−CH2OH、C1021OCH
2−C(C10212−CH2OH、C2041OCH2−C
(C20412−CH2OH、CH3OCH2CH2OCH2
−C(CH32−CH2OH、CH3OCH2CH2OCH
2−C(C252−CH2OH、CH3OCH2CH2OC
2−C(C372−CH2OH、C25OCH2CH2
OCH2−C(C252−CH2OH、C25OCH2
2OCH2−C(C372−CH2OH、C37OCH
2CH2OCH2−C(C372−CH2OH、C37
CH2CH2OCH2−C(C492−CH2OH、CH3
−(C25)C(C37)−CH2OH、C25−(C3
7)C(C49)−CH2OH、C37−(C49)C
(C511)−CH2OH、C1021−(C1123)C
(C1225)−CH2OH、C1837−(C1939)C
(C2041)−CH2OH、CH3OCH2−(CH3)C
(C25)−CH2OH、CH3OCH2−(C25)C
(C37)−CH2OH、CH3OCH2−(C37)C
(C49)−CH2OH、CH3OCH2CH2OCH2
(CH3)C(C25)−CH2OH、CH3OCH2CH
2OCH2−(C25)C(C37)−CH2OH、C2
5OCH2CH2OCH2−(C25)C(C37)−CH
2OH、C25OCH2CH2OCH2−(C37)C(C
49)−CH2OH、C37OCH2CH2OCH2−(C
37)C(C492−CH2OH、C49O−C(CH
32−CH2OH、C511O−C(CH32−CH2
H、C611−O−C(CH32−CH2OH[式中のC
611−は、シクロヘキシル基である]、C611−CH
2−O−C(CH32−CH2OH[式中のC611
は、シクロヘキシル基である]、C610(C25)−
CH2−O−C(CH32−CH2OH[式中のC610
(C25)−は、シクロヘキシル基の1の位置の水素原
子がエチル基で置換されている基である]、C65−C
2−O−C(CH32−CH2OH[式中のC65
は、フェニル基である]、C817−O−C(CH32
−CH2OH、C49−O−C(C252−CH2
H、C611−O−C(C252−CH2OH[式中の
611−は、シクロヘキシル基である)、C817−O
−C(C252−CH2OH、C49−O−(C25
C(C49)−CH2OH、C611−O−CH2−(C2
5)C(C49)−CH2OH[式中のC611−は、
シクロヘキシル基である)、C817−O−CH2−(C
25)C(C49)−CH2OH、(C49OCH22
=C(CH3)−CH2OH、(C49OCH22=C
(C25)−CH2OH、(C49OCH23C−CH2
OH、(C49OCH2CH2OCH22=C(CH3
−CH2OH、(C49OCH2CH2OCH23C−C
2OH などが挙げられる。
【0057】上記一般式[IV]において、R1 、R2
たはR3 に一般式[III] のエーテル結合を含むアルコ
ールの合成は、たとえば下記のような方法で行なうこと
ができる。
【0058】まず、(a)一般式[VI]
【0059】
【化21】
【0060】[式中、R7 およびpは、それぞれ上記一
般式[III] におけるR7 、pと同一であり、qは、1
〜3の整数である。また、R9 は、上述のR1、R2また
はR3と同一で、R9 が複数の場合、R9 は同一であっ
てもよいし、また異なっていてもよい。]で表わされる
アルコール、および(b)炭素原子数19以下の一般式
[III] におけるR8 に対応するオレフィンを酸触媒の
存在下で反応させて、一般式[VI]の水酸基にこのオレ
フィンを付加させる。
【0061】次いで、酸触媒をろ過し、必要であればさ
らにアルカリを用いて中和する。その後、蒸留により上
記一般式[IV]のアルコールを得る。反応時間は0.1
〜300時間、好ましくは0.2〜50時間、さらに好
ましくは1〜10時間であり、反応温度は0〜300
℃、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは20
〜60℃である。
【0062】上記反応に用いられる酸触媒としては、一
般的な無機酸、有機酸、酸性イオン交換樹脂、固体酸お
よびルイス酸が挙げられる。また、溶媒も必要であれば
用いることができる。溶媒は、(溶媒重量)/(上記
(a)のアルコールの重量)の比が0.2〜100、好
ましくは1〜10の範囲内になる量で用いられる。溶媒
は、反応に悪影響を及ぼさない限り、どのような溶媒で
も用いることができる。
【0063】上記(a)のアルコールと上記(b)のオ
レフィンとのモル比は、[(b)のモル数]/
[((a)のモル数)×(q+1)]が0.1〜10、
好ましくは0.5〜5、さらに好ましくは0.8〜3の
範囲である。
【0064】上記一般式[V]で表わされるアルコール
(b)の具体的な例としては、以下のような化合物が挙
げられる。
【0065】
【化22】
【0066】
【化23】
【0067】
【化24】
【0068】
【化25】
【0069】
【化26】
【0070】
【化27】
【0071】
【化28】
【0072】
【化29】
【0073】次いで、上記塩基触媒を除去した後、未反
応の上記アルコール(b)および未反応のジメチルカー
ボネート(a)を蒸留によって反応系外に除去し、上記
一般式[I]または[II]においてm=0で表わされる
カーボネートを得る。
【0074】また、上記一般式[I]または[II]で表
わされるカーボネートのうち、m=0以外の数値で表わ
されるカーボネートは、たとえば以下のような方法によ
り製造することができる。
【0075】まず、(c)下記の一般式[VII] で表わ
されるジオール、および(d)下記の一般式[VIII]ま
たは[IX]で表わされるモノカーボネート(上記一般式
[I]または[II]においてm=0で表わされるモノカ
ーボネート)を塩基触媒の存在下に加熱しながら、生成
するアルコール(上記一般式[IV]または[V]で表わ
されるアルコール]を蒸留によって反応系外に除去し
て、反応収率95%以上まで反応させる。なお、上記反
応を行なうに際し、反応器内の空気を窒素置換すること
が望ましいが、窒素置換しなくてもよい。モノカーボネ
ート(d)は、ジオール(c)に対するモル比[(d)/
(c)]で0.1〜200、好ましくは2〜50の範囲と
なる量で用いられる。
【0076】
【化30】
【0077】[式[VII] 中、R4およびR5は、上記一
般式[I]または[II]におけるR4およびR5 と同一
であり、nは、0または1〜10の整数である。]
【0078】
【化31】
【0079】[式[VIII]中、R1 、R2 およびR3
は、上記一般式[I]におけるR1、R2およびR3 と同
一である。]
【0080】
【化32】
【0081】[式[XI]中、R3 およびR6 は、上記一
般式[II]におけるR3 およびR6と同一である。]上
記一般式[VII] で表わされるジオール(c)の具体的
な例としては、HO-CH2-C(CH3)2-CH2[OCH2-C(CH3)2-C
H2n-OH 、HO-CH2-(CH3)C(C2H5)-CH2[OCH2-(CH3)C(C2
H5)-CH2n-OH 、HO-CH2-(CH3)C(C3H7)-CH2[OCH2-(C
H3)C(C3H7)-CH2n-OH 、HO-CH2-(CH3)C(C4H9)-CH2[OC
H2-(CH3)C(C4H9)-CH2n-OH 、HO-CH2-C(C2H5)2-CH2[O
CH2-C(C2H5)2-CH2n-OH 、HO-CH2-(C2H5)C(C3H7)-CH2
[OCH2-(C2H5)C(C3H7)-CH2n-OH 、HO-CH2-(C2H5)C(C4
H9)-CH2[OCH2-(C2H5)C(C4H9)-CH2n-OH 、HO-CH2-C(C
3H7)2-CH2[OCH2-C(C3H7)2-CH2n-OH 、HO-CH2-(C3H7)
C(C4H9)-CH2[OCH2-(C3H7)C(C4H9)-CH2n-OH 、HO-CH2
-C(C4H9)2-CH2[OCH2-C(C4H9)2-CH2n-OH 、HO-CH2-(C
4H9)C(C5H11)-CH2[OCH2-(C4H9)C(C5H11)-CH2n-OHな
どが挙げられる。
【0082】上記一般式[VIII]で表わされるモノカー
ボネート(d)の具体的な例としては、(CH3)3C−CH2
O−CO−O−CH2−C(CH3)3 、(CH3)2C(C2H5)−CH2−O−CO
−O−CH2−(C2H5)C(CH3)2 、(CH3)C(C2H5)2−CH2−O−C
O−O−CH2−(C2H5)2C(CH3) 、(C2H5)3C−CH2−O−CO−O
−CH2−C(C2H5)3 、(C2H5)2C(C3H7)−CH2−O−CO−O−C
H2−(C3H7)C(C2H5)2 、(C2H5)C(C3H7)2−CH2−O−CO−O
−CH2−(C3H7)2C(C2H5) 、(C3H7)3C−CH2−O−CO−O−C
H2−C(C3H7)3 、(C3H7)2C(C4H9)−CH2−O−CO−O−CH2
−(C4H9)C(C3H7)2 、(C3H7)C(C4H9)2−CH2−O−CO−O−
CH2−(C4H9)2C(C3H7) 、(C10H21)3C−CH2−O−CO−O−C
H2−C(C10H21)3 、(C10H21)2C(C11H23)−CH2−O−CO−O
−CH2−(C11H23)C(C10H21)2 、(C10H21)C(C11H23)2−CH
2−O−CO−O−CH2−(C11H23)2C(C10H21) 、(C19H39)3C
−CH2−O−CO−O−CH2−C(C19H39)3 、(C19H39)2C(C20H
41)−CH2−O−CO−O−CH2−(C20H41)C(C19H39)2 、(C19
H39)C(C20H41)2−CH2−O−CO−O−CH2−(C20H41)2C(C19
H39) 、(C20H41)3C−CH2−O−CO−O−CH2−C(C20H41)3
などが挙げられる。
【0083】また、上記一般式[XI]で表わされるモノ
カーボネート(d)の具体的な例としては、以下のよう
な化合物が挙げられる。
【0084】
【化33】
【0085】
【化34】
【0086】
【化35】
【0087】
【化36】
【0088】次いで、上記塩基触媒を除去した後、未反
応の上記モノカーボネート(d)を蒸留によって反応系
外に除去し、上記一般式[I]または[II]においてm
=0以外の数値で表わされるカーボネートを得る。
【0089】上記一般式[I]または[II]においてm
=0およびm=0以外の数値で表わされるカーボネート
の製造方法において用いられる上記塩基触媒としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアル
カリ金属炭酸塩や炭酸水素塩;ナトリウムメトキシド、
カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、セシウムメ
トキシド等のアルカリ金属アルコラート;水素化ナトリ
ウム、ナトリウムアミド等のアルカリ金属化合物が好ま
しく用いられる。これらのうちでは、特に、アルカリ金
属アルコラートが好ましい。このほか、たとえば、水酸
化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金
属化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、イミ
ダゾール、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド
等の有機アミノ化合物も用いられる。これら触媒の使用
量は、通常、(触媒のモル数)/(上記[IV]、[V]
または[VII] のモル数)が10-1〜10-7、好ましく
は10-2〜10-5となる量で用いられる。
【0090】上述したこれらの方法においては、反応
は、通常、50〜300℃、好ましくは60〜200℃
の温度で行なわれる。反応時間は、通常、0.5〜20
0時間、好ましくは1〜100時間である。
【0091】反応終了後の触媒の除去は、水洗または酸
で中和することによって行なわれる。また中和と水洗と
を併用することもできる。酸としては、スルホン酸型イ
オン交換樹脂等の固体酸;炭酸、塩化アンモニウム、塩
酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、フェノール等の有
機酸が用いられる。また、上記水洗においては、炭酸ア
ンモニウムのような塩を添加してもよい。
【0092】これらの方法によれば、このように、塩基
触媒を除去した後、前者の製造方法にあっては未反応の
ジメチルカーボネート(a)、また後者の製造方法にあ
っては、未反応のモノカーボネート(d)を減圧下に蒸
留除去することによって、高収率にて目的とするカーボ
ネートを得ることができる。塩基触媒の存在下で未反応
のジメチルカーボネート(a)または未反応のモノカー
ボネート(d)を蒸留によって除去しようとすると、カ
ーボネートの重合が生じ、目的とするカーボネートを高
収率で得ることができない。
【0093】上記のようにして得られたカーボネート
は、必要に応じて、活性白土、活性炭等の吸着剤にて処
理または水洗して、微量の不純物を除去してもよい。特
に、かかる処理によれば、微量のイオン性化合物や極性
化合物を除去できるので、得られたカーボネートを安定
に保持することができる。
【0094】上記のようにして得られた一般式[I]お
よび[II]で表わされるカーボネートは、清浄性、潤滑
性に優れるとともに、その体積抵抗率が1013〜1014
Ω・cmのオーダーで、従来のポリエーテル系潤滑油と
比較して電気絶縁性が高い。また、これらのカーボネー
トは、上述した一般式[I]および[II]から明らかな
ように、アルキル基多置換型構造を有しているため、耐
加水分解性に優れており、また、カルボン酸エステル系
潤滑油のようにカルボン酸が発生することがなく、機械
装置のカルボン酸による腐食の心配もない。したがっ
て、これらのカーボネートは、特に電気絶縁性が要求さ
れる潤滑油、電気絶縁油の用途に好適に利用することが
できる。
【0095】また、上記のようなアルキル基多置換型構
造をもつカーボネートからなる、本発明に係る潤滑油
は、従来のポリカーボネート系潤滑油に比べ、カーボネ
ート化合物の分解に起因する炭酸ガスの発生を抑制する
ことができる。
【0096】したがって、本発明に係る潤滑油は、カー
エアコン、電気冷蔵庫、ルームエアコン等の冷凍機用潤
滑油、工業用ギヤ油、自動車用エンジン油、自動車用ギ
ヤ油、繊維用潤滑油、圧延用潤滑油などの用途に広く用
いることができる。
【0097】さらに、本発明に係る潤滑油は、上記のよ
うな特性に優れるだけでなく、R−134aなどのオゾ
ン層非破壊性フルオロカーボン水素添加物(HFC)と
の相溶性に優れている。また、本発明に係る潤滑油は、
R−22などのオゾン破壊力が小さいクロロフルオロカ
ーボン水素添加物(HCFC)との相溶性に優れ、さら
にはフルオロカーボン水素添加物とクロロフルオロカー
ボン水素添加物との混合物に対しても相溶性に優れてい
る。したがって、本発明に係る潤滑油は、上記のような
フルオロカーボン水素添加物、クロロフルオロカーボン
水素添加物、またはこれらの混合物を冷媒として使用す
る電気冷蔵庫、ルームエアコンなどの冷凍機用潤滑油と
して好適に用いることができる。
【0098】本発明に係る潤滑油は、上記一般式[I]
または[II]で表わされるカーボネートの他に、他の成
分を含めることができる。たとえば、本発明に係る潤滑
油を工業用ギヤ油、自動車用エンジン油、自動車用ギヤ
油として用いる場合には、上記一般式[I]または[I
I]で表わされるカーボネートの他に、他の使用可能な
成分として鉱物油、たとえばニュートラルオイル、ブラ
イトストックなどが配合されていてもよい。
【0099】また液状ポリブテン、液状デセンオリゴマ
ー等のα- オレフィンオリゴマー;アジピン酸ジイソオ
クチル、セバチン酸ジイソオクチル、セバチン酸ジラウ
リル、ペンタエリスリトール等の2-エチルヘキサン酸テ
トラエステル;トリメチロールプロパンのヘキサン酸ト
リエステル等のカルボン酸エステル;植物油などが潤滑
油に配合されていてもよい。
【0100】さらに、本発明では、公知の潤滑油添加
剤、たとえば桜井俊男編「石油製品添加剤」(幸書房、
昭和49年発行)などに記載されている清浄分散剤、酸
化防止剤、耐荷重添加剤、油性剤、流動点降下剤などの
潤滑油添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で、潤
滑油に含めることができる。特にオゾン層非破壊性の冷
媒ガスとしてHFCたとえばR−134a、R−12
5、R−32等を用いる冷凍機用潤滑油の場合には、添
加できる他の成分としては、相溶性の点でアセタール
類、グリコールエーテル類およびカルボン酸エステル類
に限られる。しかしながら、これらの成分は、耐熱性、
R−134aとの相溶性、吸水性を悪化させるため、こ
れらの成分の添加量は潤滑油全量100重量%に対して
60重量%未満とする必要がある。
【0101】また、塩素系冷媒の混入に対する塩素補足
剤としてのエポキシ化合物、フェノール系安定剤、消泡
剤を、本発明に係る潤滑油に配合することもできる。ま
た、冷凍機用潤滑油中に、R−134aなどのフルオロ
カーボン水素添加物、R−22などのクロロフルオロカ
ーボン水素添加物、さらにはこれらの混合物を含有させ
ることもできる。
【0102】また、本発明に係る潤滑油を圧延用潤滑
油、金属加工油、繊維用潤滑油などの用途に用いる場合
には、従来通常に実施されているように、適当な乳化剤
を用いて上記一般式[I]または[II]で表わされるカ
ーボネートを水とのエマルジョンにして使用することも
可能である。
【0103】
【発明の効果】上記一般式[I]または[II]で表わさ
れるカーボネートは、アルキル基多置換型のカーボネー
トであるので、炭酸結合が保護されている。
【0104】本発明に係る潤滑油は、このようなアルキ
ル基多置換型のカーボネートを含有してなるので、潤滑
性、清浄性および電気絶縁性に優れ、しかも、カルボン
酸エステル系潤滑油のように分解してカルボン酸を発生
することがなく、また従来のポリカーボネート系潤滑油
に比べ、カーボネート化合物の分解に起因する炭酸ガス
の発生を抑制することができる。
【0105】したがって、本発明に係る潤滑油は、カー
エアコン、電気冷蔵庫、ルームエアコン等の冷凍機用潤
滑油、工業用ギヤ油、自動車用エンジン油、自動車用ギ
ヤ油、繊維用潤滑油、圧延用潤滑油などの用途に広く用
いることができる。
【0106】また、本発明に係る潤滑油は、上記のよう
な特性に優れるだけでなく、R−134aなどのフルオ
ロカーボン水素添加物との相溶性、R−22などのクロ
ロフルオロカーボン水素添加物との相溶性、さらにはこ
れらの混合物との相溶性に優れているため、これらの水
素添加物を冷媒として使用する電気冷蔵庫、ルームエア
コンなどの冷凍機用潤滑油として好適に用いることがで
きる。
【0107】本発明に係る電気絶縁油は、上記一般式
[I]または[II]で表わされるカーボネートからな
り、その体積抵抗率が1013〜1014Ω・cmのオーダ
ーで、従来のポリエーテル系潤滑油と比較して電気絶縁
性が高い。
【0108】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。な
お、実施例および比較例におけるカーボネートの潤滑油
としての性能評価は、以下の試験方法による。 (1)評価方法 a.動粘度 JIS K−2283 b.粘度指数 JIS K−2283 c.流動点 JIS K−2269 d.摩擦特性 摩擦係数は、オプチモール製SRV摩擦試験機にて下記
条件で測定する。
【0109】荷 重:200N 温 度:50℃ 時 間:10分 振 幅:1mm 振動数:50Hz 試験片:ともにSUJ−2製の円板と球との組合わせ 摩耗痕は、上記試験後の円板の摩耗痕の深さを表面粗度
計[東京精密社製サーコム 200B)で測定する。 e.耐荷重値 耐荷重値は、ファレックス(Falex )試験機を用い、2
50 lbf の荷重で5分間慣らし運転した後、加重し
ていき、焼付きが生じたときの荷重値を求め、この値を
耐荷重値とする。 f.炭酸ガス濃度の測定法 上部にガスクロマトグラフィーの試料注入口をガスサン
プリング口として設けられた容量50ccのオートクレ
ーブに、試料油25gを充填し、窒素雰囲気下で密封す
る。
【0110】次いで、そのオートクレーブを175℃の
恒温油槽を用いて加熱し、加熱開始して7時間後に、ガ
スシリンジで、ガスサンプリング口からオートクレーブ
内部の気層ガス1ccを採取し、試料油が分解して発生
した炭酸ガスの採取ガス中における濃度をガスクロマト
グラフィーにより、下記の条件にて測定する。
【0111】カラム:AC 6M カラム温度:165℃、 キャリアガスの種類および供給速度:He、40ml/
分 検出器:TCD(熱伝導度検出器) g.R−134aとの相溶性 (1) 内径10mm、深さ20cmの試験管に試料1ml
を採り、ドライアイス−アセトン浴で冷却しながら、R
−134aをボンベ容器からゆっくり導入し試料の量よ
り多めに溜める。次にスパチュラーを入れて攪拌し、−
20℃の冷媒浴に移し、試料/R−134aの容積比が
1/1になったときの溶解性を調べる。完全に均一であ
れば○とし、溶解しなければ、×とする。
【0112】(2) カーボネート生成物とR−134aと
の相溶性を更に詳しく調べるため、潤滑油とR−134
aとを割合を色々変えてガラス管に封入し、両者が相溶
する限界の温度(臨界温度)を求める。 h.体積抵抗率 体積抵抗率は、ASTM D 257に準拠して求める。
【0113】
【比較例1】10段式シーブトレー式蒸留塔を備えた容
量1リットルのフラスコに、トリプロピレングリコール
190g(0.9モル)、ジメチルカーボネート450
g(5.0モル)および28重量%のNaOCH3 のメ
タノール溶液0.5g(0.003モル)を仕込んだ。
【0114】この混合物を常圧下に110〜150℃で
8時間加熱し、生成するメタノールを留出した。反応率
は98%であった。このようにして得られた反応混合物
に、用いたNaOCH3 の5倍モル量の炭酸アンモニウ
ムを含有する水溶液で洗浄、水洗した後、過剰のジメチ
ルカーボネートを蒸留除去して下記の構造のポリカーボ
ネート563gを得た。
【0115】
【化37】
【0116】得られたポリカーボネートは、mが1〜6
で表わされるカーボネートの混合物であった。得られた
ポリカーボネートの潤滑油基本性能の評価結果を第1表
に示す。
【0117】
【実施例1】単蒸留装置を備えた容量2リットルのフラ
スコに、ジネオペンチルグリコール191g(1.0モ
ル)、ネオペンチルカーボネート1,213g(6モ
ル)、および28重量%のNaOCH3 のメタノール溶
液2.8g(0.01モル)を仕込んだ。
【0118】この混合物を常圧下に110〜160℃で
8時間加熱し、生成するネオペンチルアルコールを留出
した。反応率は98%であった。このようにして得られ
た反応混合物を水洗した後、過剰のジネオペンチルカー
ボネートを蒸留除去して下記の構造のカーボネート26
7gを得た。
【0119】
【化38】
【0120】得られたカーボネートは、上記化学式にお
いてm=1〜6で表わされるカーボネートの混合物であ
った。得られたカーボネートの潤滑油基本性能の評価結
果を第1表に示す。
【0121】
【実施例2】容量5リットルのフラスコに、ネオペンチ
ルグリコール1,510g、ジオキサン2,200g、
および触媒(オルガノ社製:アンバーリスト15)10
0gを仕込んだ後、イソブテンを室温で供給しながら5
時間反応を行なった。
【0122】次いで、上記触媒を除去した後、蒸留分離
を行ない、ネオペンチルグリコールモノt-ブチルエーテ
ル1,200gを得た。次いで、10段シーブトレー式
蒸留装置を備えた容量3リットルのフラスコに、上記ネ
オペンチルグリコール モノt-ブチルエーテル1,17
1g(7.3モル)、ジメチルカーボネート658g
(7.3モル)および28重量%のNaOCH3 のメタ
ノール溶液3.1g(0.02モル)を仕込んだ。
【0123】この混合物を常圧下に100〜170℃で
5時間、その後700〜11mmHgの減圧下に170℃で
4時間加熱し、生成するメチルアルコールと過剰のジメ
チルカーボネートを留出した。続いて、10mmHg、18
0℃で蒸留を継続し、下記の式で表わされるカーボネー
ト1,180gを得た。
【0124】
【化39】
【0125】得られたカーボネートの潤滑油基本性能の
評価結果を第1表に示す。
【0126】
【実施例3】実施例2において、ネオペンチルグリコー
ルの代わりに2-エチル-2- ブチル-1,3- プロパンジオー
ルを用いた以外は、実施例2と同じ方法でブチル化反応
を行ない、2-エチル-2- ブチル-1,3- プロパンジオール
モノt-ブチルエーテル1,100gを得た。
【0127】次いで、10段シーブトレー式蒸留装置を
備えた容量2リットルのフラスコに上記2-エチル-2- ブ
チル-1,3- プロパンジオール モノt-ブチルエーテル9
46g(4.4モル)、ジメチルカーボネート390g
(4.3モル)および28重量%のNaOCH3 のメタ
ノール溶液1.5g(0.008モル)を仕込んだ。
【0128】その後、この混合物を300〜10mmHgの
減圧下に180〜190℃で5時間加熱し、生成するメ
チルアルコールと過剰のジメチルカーボネートを留出し
た。続いて、5mmHg、190℃で蒸留を継続し、下記の
式で表わされるカーボネート908gを得た。
【0129】
【化40】
【0130】得られたカーボネートの潤滑油基本性能の
評価結果を第1表に示す。
【0131】
【実施例4】実施例2において、実施例2のネオペンチ
ルグリコールの代わりにトリメチロールプロパンを用い
た以外は、実施例2と同じ方法でブチル化反応を行な
い、トリメチロールプロパン ジt-ブチルエーテル1,
010gを得た。
【0132】次いで、10段シーブトレー式蒸留装置を
備えた容量5リットルのフラスコに上記トリメチロール
プロパン ジt-ブチルエーテル973g(3.9モ
ル)、実施例2で得られたジ[3-t-ブトキシ-2,2- ジメ
チル- プロピル]カーボネート1,502g(4.3モ
ル)および28重量%のNaOCH3 のメタノール溶液
3.5g(0.02モル)を仕込んだ。
【0133】その後、この混合物を100〜2mmHgの減
圧下に150〜180℃で5時間加熱し、生成するネオ
ペンチルグリコール モノt-ブチルエーテルを留出し
た。このようにして得られた反応混合物を水洗、脱水し
て下記の式で表わされるカーボネート(1)、(2)お
よび(3)の混合物1,506gを得た。
【0134】
【化41】
【0135】
【化42】
【0136】
【化43】
【0137】得られたカーボネートの潤滑油基本性能の
評価結果を第1表に示す。
【0138】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:16 40:25 40:30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式[I]で表わされるカーボネ
    ートを含有してなることを特徴とする潤滑油; 【化1】 [式[I]において、R1 、R2 およびR3 は、それぞ
    れ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素
    原子数2〜20のエーテル結合を有する炭化水素基であ
    り、 R4 およびR5 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜2
    0の炭化水素基または炭素原子数2〜20のエーテル結
    合を有する炭化水素基であり、 nおよびmは、それぞれ0または1〜10の整数であ
    る]。
  2. 【請求項2】下記の一般式[II]で表わされるカーボネ
    ートを含有してなることを特徴とする潤滑油; 【化2】 [式[II]において、R3 は、炭素原子数1〜20の炭
    化水素基または炭素原子数2〜20のエーテル結合を有
    する炭化水素基であり、 R4 およびR5 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜2
    0の炭化水素基または炭素原子数2〜20のエーテル結
    合を有する炭化水素基であり、 R6 は、水素原子または炭素原子数1〜17の炭化水素
    基であり、 nおよびmは、それぞれ0または1〜10の整数であ
    る]。
  3. 【請求項3】前記潤滑油が冷凍機用潤滑油であることを
    特徴とする請求項1または2に記載の潤滑油。
  4. 【請求項4】フルオロカーボン水素添加物(HFC)を
    含有していることを特徴とする請求項3に記載の冷凍機
    用潤滑油。
  5. 【請求項5】下記の一般式[I]で表わされるカーボネ
    ートからなることを特徴とする電気絶縁油; 【化3】 [式[I]において、R1 、R2 およびR3 は、それぞ
    れ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素
    原子数2〜20のエーテル結合を有する炭化水素基であ
    り、 R4 およびR5 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜2
    0の炭化水素基または炭素原子数2〜20のエーテル結
    合を有する炭化水素基であり、 nおよびmは、それぞれ0または1〜10の整数であ
    る]。
  6. 【請求項6】下記の一般式[II]で表わされるカーボネ
    ートからなることを特徴とする電気絶縁油; 【化4】 [式[II]において、R3 は、炭素原子数1〜20の炭
    化水素基または炭素原子数2〜20のエーテル結合を有
    する炭化水素基であり、 R4 およびR5 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜2
    0の炭化水素基または炭素原子数2〜20のエーテル結
    合を有する炭化水素基であり、 R6 は、水素原子または炭素原子数1〜17の炭化水素
    基であり、 nおよびmは、それぞれ0または1〜10の整数であ
    る]。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150329454A1 (en) * 2012-12-28 2015-11-19 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Polyether diol and method for producing the same
US10155844B2 (en) * 2014-07-02 2018-12-18 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Polycarbonates, polyurethanes, elastomers, processes for manufacturing polycarbonates and processes for manufacturing polyurethanes

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