JP3031578B2 - 潤滑油 - Google Patents

潤滑油

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JP3031578B2
JP3031578B2 JP29727891A JP29727891A JP3031578B2 JP 3031578 B2 JP3031578 B2 JP 3031578B2 JP 29727891 A JP29727891 A JP 29727891A JP 29727891 A JP29727891 A JP 29727891A JP 3031578 B2 JP3031578 B2 JP 3031578B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、潤滑油に関し、さらに詳
しくは、冷凍機の冷媒として用いられる、フロンR−1
34a、R−152aなどのオゾン層非破壊性のフルオ
ロカーボン水素添加物(HFC、Hydrogenated Fluoro C
arbon )、フロンR−22、R−123、R−124な
どのオゾン破壊力(Ozone Depletion Potential)が
小さいクロロフルオロカーボン水素添加物(HCFC、Hydr
ogenated Chlorofluoro Carbon)、さらにはこれらの
混合物との相溶性に優れるとともに、潤滑性に優れるよ
うな高粘度のポリカーボネートからなる潤滑油、特に冷
媒としてオゾン層非破壊性フロンを使用する冷凍機に適
するような潤滑油に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】最近、冷凍機用潤滑油では、冷媒
ガスがオゾン層非破壊性フルオロカーボン水素添加物で
あるフロンR−134a(CH2F−CF3)に変更され
るに伴い、従来、冷凍機用潤滑油として使用されてきた
鉱物油やアルキルベンゼン類化合物は、冷媒ガスとの相
溶性がないため使用できなくなった。そこで、ポリプロ
ピレングリコールやポリプロピレングリコールモノアル
キルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエ
ーテルなどが冷凍機用潤滑油として用いられるようにな
った。しかしながら、上記化合物はフロンR−134a
との相溶性が低く、上記化合物のうち、特に100℃に
おける動粘度が15 cSt以上という高粘度の化合物は、
フロンR−134aとの相溶性が低いため、冷凍機用潤
滑油、たとえばロータリー式カーエアコン用潤滑油とし
ての性能が低いという問題があった。
【0003】したがって、潤滑性に優れ、かつ、フロン
R−134aとの相溶性に優れる化合物、特にフロンR
−134aとの相溶性に優れる高粘度の化合物を含有さ
せてなる冷凍機用潤滑油の出現が従来より望まれてい
た。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、潤滑性に優
れ、かつ、フロンR−134aなどのオゾン層非破壊性
フルオロカーボン水素添加物、フロンR−22などのオ
ゾン破壊力が小さいクロロフルオロカーボン水素添加
物、さらにはこれらの混合物との相溶性に優れるポリカ
ーボネート、特にフロンR−134aとの相溶性に優れ
る高粘度のポリカーボネートを含有させてなる潤滑油を
提供することを目的にしている。
【0005】
【発明の概要】本発明に係る潤滑油は、下記の一般式
[I]で表わされるポリカーボネートおよび下記の一般
式[II]で表わされるポリカーボネートを含有してな
ることを特徴としている。
【0006】 (R1O)CH2[CH(OR1)]mCH2(OR1) …[I] [上記式[I]において、R1 は、下式(A)で表わさ
れる基であり、mは1〜6の整数である; −(R0 O)n−COOR2 …(A) (上記式(A)において、R2 は、それぞれ独立に、炭
素原子数30以下の炭化水素基または炭素原子数2〜3
0のエーテル結合を有する炭化水素基であり、R0 は、
エチレン基および/またはプロピレン基であり、nは、
1〜24の整数である)]、 R3OCOOR4OCOOR5 ・・・[II] [式[II]中、R3 およびR5 は、それぞれ独立に、
炭素原子数30以下の炭化水素基または炭素原子数2〜
30のエーテル結合を有する炭化水素基であり、R4
は、炭素原子数2〜24の直鎖状または分岐状の炭化水
素基である]。
【0007】上記の潤滑油は、特に冷媒としてR−13
4aのようなオゾン層非破壊性フロンを使用する冷凍機
の潤滑油に適している。
【0008】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る潤滑油につい
て具体的に説明する。本発明に係る潤滑油は、下記の一
般式[I]で表わされるポリカーボネートと、下記の一
般式[II]で表わされるポリカーボネートとを含有し
てなる。
【0009】一般式[I]で表わされるポリカーボネー
トは、環状構造を有しないソルビトールなどの糖から誘
導されるポリカーボネートである。 (R1O)CH2[CH(OR1)]mCH2(OR1) …[I] 上記式[I]において、R1 は下式(A)で表わされる
基であり、mは1〜6の整数である。
【0010】 −(R0 O)n−COOR2 …(A) 上記式(A)において、R2 は、それぞれ独立に、炭素
原子数30以下の炭化水素基または炭素原子数2〜30
のエーテル結合を有する炭化水素基であり、R0 は、エ
チレン基および/またはプロピレン基であり、nは、1
〜24の整数である。
【0011】上記式(A)で表わされる基は、次の3種
類に大別される。 (1) −(C36O)s (C24O)t COOR2 (2) −(C24O)t (C36O)s COOR2 (3) −C24O−基と−C36O−基とがランダム
に結合している基に、−COOR2 基が結合している基
であって、かつ、−C24O−基および−C36O−基
の合計数が3〜24である基。
【0012】ただし、上記式(1)〜(3)において、
2 は、それぞれ独立に、炭素原子数30以下の炭化水
素基または炭素原子数2〜30のエーテル結合を有する
炭化水素基であり、s+tは、1〜24の整数である。
【0013】本発明では、上記式(A)において、−C
24O−基の個数(t)が0でないとき、−C36O−
基の個数(s)と−C24O−基の個数(t)との比
(s/t)は、通常0.5〜20、好ましくは1〜1
0、さらに好ましくは2〜6の範囲にある。また、上記
の−C24O−基の個数(t)が0の場合には、−C3
6O−基の個数(s)は、通常1〜24、好ましくは
1〜12、さらに好ましくは2〜8の範囲にある。
【0014】また、上記式(A)におけるR2 の炭化水
素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、
芳香族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基および一般式 −(R6−O)q−R7 (式中、R6 は、炭素原子数2〜3のアルキレン基であ
り、R7 は炭素原子数28以下の炭化水素基であり、q
は1〜20の整数である)で表わされるグリコールエー
テル基が挙げられる。
【0015】上記R2 における脂肪族炭化水素基の具体
的な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、
イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル
基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペ
ンチル基、n-ヘキシル基、2,3-ジメチルブチル基、イソ
ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチ
ル基、2-エチルヘキシル基、イソオクチル基、n-ノニル
基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウン
デシル基、イソウンデシル基、n-ドデシル基、イソドデ
シル基、n-トリデシル基、イソトリデシル基、n-テトラ
デシル基、イソテトラデシル基、n-ペンタデシル基、イ
ソペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、イソヘキサデシ
ル基、n-ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、n-オク
タデシル基、イソオクタデシル基、n-ノニルデシル基、
イソノニルデシル基、n-アイコサニル基、イソアイコサ
ニル基、2-エチルヘキシル基、2-(4-メチルペンチル)
基などを挙げることができる。
【0016】また、R2 における脂環族炭化水素基の具
体的な例としては、シクロヘキシル基、1-シクロヘキセ
ニル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキ
シル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基
などを挙げることができる。
【0017】さらに、R2 における芳香族炭化水素基の
具体的な例としては、フェニル基、o-トリル基、p-トリ
ル基、m-トリル基、2,4-キシリル基、メシチル基、1-ナ
フチル基などを挙げることができる。
【0018】さらにまた、R2 における芳香脂肪族炭化
水素基の具体的な例としては、ベンジル基、メチルベン
ジル基、β- フェニルエチル基(フェネチル基)、1-フ
ェニルエチル基、1-メチル-1- フェニルエチル基、p-メ
チルベンジル基、スチリル基、シンナミル基などを挙げ
ることができる。
【0019】上記R6 におけるアルキレン基の具体的な
例としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン
基を挙げることができる。また、上記R7 における炭化
水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基
および芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの具体的
な例としては、それぞれ上述したR2 における脂肪族炭
化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基の具体
的な例として列挙した基と同様の基を挙げることができ
る。
【0020】上記の一般式で表わされるグリコールエー
テル基としては、具体的には、エチレングリコールモノ
メチルエーテル基、エチレングリコールモノブチルエー
テル基、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテル
基、トリエチレングリコールモノエチルエーテル基、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル基、プロピレン
グリコールモノブチルエーテル基、ジプロピレングリコ
ールモノエチルエーテル基、トリプロピレングリコール
モノn-ブチルエーテル基などを挙げることができる。
【0021】フロンR−134aなどのオゾン層非破壊
性フロンガスを冷媒として使用する冷凍機用潤滑油の場
合には、R2 は、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、n-ブチル基等の低級アルキル基、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル基、エチレングリコールモノブチ
ルエーテル基、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル基、トリエチレングリコールモノメチルエーテル基、
プロピレングリコールモノメチルエーテル基、プロピレ
ングリコールモノブチルエーテル基、ジプロピレングリ
コールモノエチルエーテル基、トリプロピレングリコー
ルモノn-ブチルエーテル基等のアルキレングリコールモ
ノアルキルエーテル基などが好ましい。
【0022】上記一般式[I]で表わされるポリカーボ
ネートとしては、以下のようなポリカーボネートが挙げ
られる。 (1)
【0023】
【化1】
【0024】上記の式中におけるR: −[CH2CH(CH3)O]n COOCH3 [n=1〜8] (2)
【0025】
【化2】
【0026】上記の式中におけるR: −[CH2CH(CH3)O]n COOCH(CH32 [n=1〜8] (3)
【0027】
【化3】
【0028】上記の式中におけるR: −[CH2CH(CH3)O]n-1 (C24O)COOC
3 [n=2〜9] (4)
【0029】
【化4】
【0030】上記の式中におけるR: −(C24O)[CH2CH(CH3)O]n-1 COOC
3 [n=2〜9] (5)
【0031】
【化5】
【0032】上記の式中におけるR: −[CH2CH(CH3)O]n-1 (C24O)COOC
H(CH32 [n=2〜9] (6)
【0033】
【化6】
【0034】上記の式中におけるR: −(C24O)[CH2CH(CH3)O]n-1 COOC
H(CH32 [n=2〜9] (7)
【0035】
【化7】
【0036】上記の式中におけるR: −(C24O)n COOCH3 [n=1〜8] (8)
【0037】
【化8】
【0038】上記の式中におけるR: −(C24O)n COOCH(CH32 [n=1〜8] (9)
【0039】
【化9】
【0040】上記の式中におけるR: −[CH2CH(CH3)O]n COOCH2CH3 [n=1〜8] (10)
【0041】
【化10】
【0042】上記の式中におけるR: −[CH2CH(CH3)O]n COOCH(CH3)C
2CH3 [n=1〜8] (11)
【0043】
【化11】
【0044】上記の式中におけるR: −(C24O)[CH2CH(CH3)O]n-1 COOC
H(CH32と −[CH2CH(CH3)O]n-1 COOCH(CH32 [n=2〜9] 上記のような一般式[I]で表わされるポリカーボネー
トは、たとえば以下のような方法により製造することが
できる。
【0045】まず、(a)後述する一般式[III]で
表わされるポリオール、および (b)一般式[IV] R8OCOOR8 …[IV] [式[IV]中、R8 は、前記R2 に相当し、それぞれ
独立に、炭素原子数30以下の炭化水素基または炭素原
子数2〜30のエーテル結合を含む炭化水素基である]
で表わされ、かつR8 OHの沸点が上記ポリオールの沸
点よりも低く、上記一般式[III]で表わされるポリ
オールに対するモル比が2〜200の範囲となる量のカ
ーボネート化合物を塩基触媒の存在下に加熱しながら、
生成するアルコール(R8 OH)を蒸留によって反応系
外に除去して、反応率95%以上まで反応させる。な
お、上記反応を行なうに際し、反応器内の空気を窒素置
換することが望ましいが、窒素置換しなくてもよい。
【0046】次いで、上記塩基触媒を除去した後、未反
応の上記カーボネート化合物を蒸留によって反応系外に
除去し、上記一般式[I]で表わされるポリカーボネー
トを得る。
【0047】なお、この製造方法では、原料であるポリ
オールの全水酸基がカーボネート化されたポリカーボネ
ートだけでなく、このポリオールの全水酸基の一部がカ
ーボネート化されたポリカーボネートが少量生成する可
能性がある。
【0048】上記ポリオールを表わす一般式[III]
は、次の通りである。 (R9O)CH2[CH(OR9)]mCH2(OR9) …[III] 上記式[III]において、R9 は、下式(B)で表
わされる基であり、mは1〜6の整数である。
【0049】 −(R0 O)n H …(B) 上記式(B)において、R0 は、エチレン基および/ま
たはプロピレン基であり、nは、1〜24の整数であ
る。
【0050】上記式(B)で表わされる基は、次の3種
類に大別される。 (1)−(C36O)s (C24O)t H [s+tは、1〜24の整数である。] (2)−(C24O)t (C36O)s H [s+tは、1〜24の整数である。] (3)−C24O−基と−C36O−基とがランダムに
結合している基に、−C24OH基または−C36OH
基が結合している基であって、かつ、−C24O−基、
−C36O−基および−C24OH基の合計数、または
−C24O−基、−C36O−基および−C36OH基
の合計数が3〜24である基。
【0051】本発明では、上記式(B)において、−C
24O−基の個数(t)が0でないとき、−C36O−
基の個数(s)と−C24O−基の個数(t)との比
(s/t)は、通常0.5〜20、好ましくは1〜1
0、さらに好ましくは2〜6の範囲にある。また、上記
の−C24O−基の個数(t)が0の場合には、−C3
6O−基の個数(s)は、通常1〜24、好ましくは
1〜12、さらに好ましくは2〜8の範囲にある。
【0052】上記一般式[III]で表わされるポリオ
ールの具体的な例としては、以下のような式で表わされ
るポリオールが挙げられる。なお、下記の式において、
0およびnは、上記式(B)におけるR0 、nと同一
である。
【0053】
【化12】
【0054】上記一般式[IV]で表わされるカーボネ
ート化合物としては、具体的には、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、
ジブチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジオ
クチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、
ジ-2- エチルヘキシルカーボネート、ジ(2-メチル-メ
トキシエチル)カーボネートなどが好ましく用いられ
る。
【0055】この方法では、カーボネート化反応で生成
するアルコールを反応系外に蒸留にて除去しつつ、カー
ボネート化反応を進行させるので、この反応で生成する
アルコール、すなわち、R8 OHで表わされるアルコー
ルは、上記ポリオールよりも沸点が低いことが必要であ
る。
【0056】また、カーボネート化合物は、上記一般式
[III]で表わされるポリオールに対するモル比が2
〜200、好ましくは3〜80、さらに好ましくは3〜
50の範囲となる量で用いられる。このようにカーボネ
ート化合物の使用量を制限することにより、高重合度の
ポリカーボネートの生成を抑制することができる。
【0057】この方法においては、反応は、上記のよう
なポリオールとカーボネート化合物を反応容器に仕込
み、塩基触媒の存在下に加熱しながら、生成するアルコ
ールを蒸留によって反応系外に除去して、反応率95%
以上まで反応させ、次いで、上記塩基触媒を除去した
後、未反応の上記カーボネート化合物を蒸留によって反
応系外に除去する。反応率95%以上とは、上記生成す
るアルコールが上記一般式[III]で表わされるポリ
オールの全水酸基のモル数の0.95倍モル以上生成す
るまで、反応させることをいう。
【0058】上記塩基触媒としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩
や炭酸水素塩、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキ
シド、リチウムメトキシド、セシウムメトキシド等のア
ルカリ金属アルコラート、水素化ナトリウム、ナトリウ
ムアミド等のアルカリ金属化合物が好ましく用いられ
る。これらのうちでは、特に、アルカリ金属アルコラー
トが好ましい。このほか、たとえば、水酸化マグネシウ
ム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、イミダゾール、テ
トラメチルアンモニウムハイドロオキシド等の有機アミ
ノ化合物も用いられる。これら触媒の使用量は、通常、
触媒のモル数/ポリオールのモル数(モル比)が10-1
〜10-7、好ましくは10-2〜10-5となる範囲で用い
られる。
【0059】この方法においては、反応は、通常、50
〜300℃、好ましくは60〜200℃の温度で行なわ
れる。反応時間は、通常、0.5〜200時間、好まし
くは1〜100時間である。
【0060】反応終了後の触媒の除去は、水洗または酸
で中和することによって行なわれる。酸としては、スル
ホン酸型イオン交換樹脂等の固体酸;炭酸、塩化アンモ
ニウム、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、フェノ
ール等の有機酸が用いられる。また、上記水洗において
は、炭酸アンモニウムのような塩を添加してもよい。
【0061】この方法によれば、このように、塩基触媒
を除去した後、未反応のカーボネート化合物を減圧下に
蒸留除去することによって、塩基触媒の存在下で未反応
のカーボネート化合物を蒸留によって除去するときに生
じるポリカーボネートの重合を防止して、高収率にて目
的とするポリカーボネートを得ることができる。
【0062】このようにして得られたポリカーボネート
は、必要に応じて、活性白土、活性炭等の吸着剤にて処
理または水洗して、微量の不純物を除去してもよい。特
に、かかる処理によれば、微量のイオン性化合物や極性
化合物を除去できるので、得られたポリカーボネートを
安定に保持することができる。
【0063】上記のような方法によれば、上記反応にお
いて、カーボネート化合物としてジメチルカーボネート
を用いる場合、メタノールをジメチルカーボネートとの
共沸物として反応系から除去する代わりに、予め反応系
にシクロヘキサン、ベンゼン、ヘキサン等を共沸溶剤と
して加え、メタノールをこれら共沸溶剤との共沸物とし
て、反応系外に除去することもできる。上記共沸溶剤
は、ジメチルカーボネート100重量部に対して、通
常、5〜100重量部の割合で用いられる。
【0064】この方法によれば、反応において、メタノ
ールを上記共沸溶剤との共沸物として、反応系外に除去
し、反応の終了後、反応混合物から未反応ジメチルカー
ボネートを回収するので、その回収率を高めることがで
きる。
【0065】また、別の方法として、上述したように、
メタノールをジメチルカーボネートとの共沸物として回
収した後、この共沸物に上記共沸溶剤を加え、メタノー
ルをこれら共沸溶剤との共沸物としてジメチルカーボネ
ートから除去して、ジメチルカーボネートを回収するこ
ともできる。
【0066】上記のような方法によれば、ポリオールと
カーボネート化合物との反応の終了後、用いた塩基触媒
を除去した後に、未反応のカーボネート化合物を除去す
るので、目的とするポリカーボネートを高収率にて得る
ことができる。
【0067】また、上記一般式[I]で表わされるポリ
カーボネートの別の製造方法として、次のような方法が
ある。まず、(a)上記一般式[III]で表わされる
ポリオール、 (b)一般式[V] R10OH …[V] [式[V]中、R10は、前記R2 に相当し、炭素原子数
30以下の炭化水素基または炭素原子数2〜30のエー
テル結合を含む炭化水素基である]で表わされるモノア
ルコール、および (c)一般式[VI] R11OCOOR11 …[VI] [式[VI]中、R11は、それぞれ独立に、炭素原子数
1〜2のアルキル基である]で表わされ、かつ、R11
Hの沸点が上記ポリオールおよびモノアルコールの沸点
よりも低く、上記一般式[III]で表わされるポリオ
ールに対するモル比が2〜200の範囲となる量のカー
ボネート化合物を塩基触媒の存在下に加熱しながら、生
成するアルコール(R11OH)を蒸留によって反応系外
に除去して、反応率95%以上まで反応させる。なお、
上記反応を行なうに際し、反応器内の空気を窒素置換す
ることが望ましいが、窒素置換しなくてもよい。
【0068】次いで、上記塩基触媒を除去した後、未反
応の上記カーボネート化合物を蒸留によって反応系外に
除去し、上記一般式[I]で表わされるポリカーボネー
トを得る。
【0069】なお、この製造方法においても、原料であ
るポリオールの全水酸基がカーボネート化されたポリカ
ーボネートだけでなく、このポリオールの全水酸基の一
部がカーボネート化されたポリカーボネートが少量生成
する可能性がある。
【0070】この方法では、カーボネート化反応で生成
するアルコールを反応系外に蒸留にて除去しつつ、カー
ボネート化反応を進行させるので、この反応で生成する
アルコール、すなわち、R11OHで表わされるアルコー
ルは、上記ポリオールおよびモノアルコールよりも沸点
が低いことが必要である。
【0071】また、カーボネート化合物は、上記一般式
[III]で表わされるポリオールに対するモル比が2
〜200、好ましくは3〜80、さらに好ましくは3〜
50の範囲となる量で用いられる。このようにカーボネ
ート化合物の使用量を制限することにより、高重合度の
ポリカーボネートの生成を抑制することができる。
【0072】この方法においては、反応は、上記のよう
なポリオールとモノアルコールとカーボネート化合物を
反応容器に仕込み、塩基触媒の存在下に加熱しながら、
生成するアルコールを蒸留によって反応系外に除去し
て、反応率95%以上まで反応させ、次いで、上記塩基
触媒を除去した後、未反応の上記カーボネート化合物を
蒸留によって反応系外に除去する。反応率95%以上と
は、上記生成するアルコールが上記一般式[III]で
表わされるポリオールの全水酸基のモル数の0.95倍
モル以上生成するまで、反応させることをいう。
【0073】上記塩基触媒、反応温度、反応時間、反応
終了後の触媒除去、不純物の除去および未反応ジメチル
カーボネートの回収については、先の製造方法の場合と
同様である。
【0074】最初に述べたポリカーボネートの製造方法
では、一般式[IV]で表わされる、ジメチルカーボネ
ート、ジエチルカーボネート以外のカーボネート化合物
は、入手が困難であるため、予め合成する必要がある。
一方、この製造方法では、容易に入手できる一般式[V
I]で表わされるカーボネート化合物(ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネ
ート)を用いてポリカーボネートを製造することができ
るので、経済的である。
【0075】また、この方法によれば、先の製造方法の
場合と同様に、高収率にて目的とする一般式[I]で表
わされるポリカーボネートを得ることができる。本発明
に係る潤滑油を構成するポリカーボネートとしては、上
記の一般式[I]で表わされるポリカーボネートのほか
に、下記の一般式[II]で表わされるポリカーボネー
トがある。
【0076】 R3OCOOR4OCOOR5 …[II] 上記の一般式[II]において、R3 およびR5 は、そ
れぞれ独立に、炭素原子数30以下の炭化水素基または
炭素原子数2〜30のエーテル結合を有する炭化水素基
であり、R4 は、炭素原子数2〜24の直鎖状または分
岐状の炭化水素基である。
【0077】上記R4 の炭化水素基としては、具体的に
は、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、アミレン
基、メチルアミレン基、エチルアミレン基、ヘキシレン
基、メチルヘキシレン基、エチルヘキシレン基、ヘプチ
レン基、メチルヘプチレン基、エチルヘプチレン基、オ
クチレン基、メチルオクチレン基、エチルオクチレン
基、ノニレン基、メチルノニレン基、エチルノニレン基
などを挙げることができる。上記R4 の炭化水素基とし
ては、炭素原子数5〜12の炭化水素基が好ましい。
【0078】上記R3 およびR5 の炭化水素基として
は、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化
水素基、芳香脂肪族炭化水素基および一般式 −(R12−O)q−R13 (式中、R12は、炭素原子数2〜3のアルキレン基であ
り、R13は炭素原子数28以下の炭化水素基であり、q
は1〜20の整数である)で表わされるグリコールエー
テル基が挙げられる。
【0079】上記R3 およびR5 における脂肪族炭化水
素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基および芳香
脂肪族炭化水素基の具体的な例としては、上記一般式
[I]中のR2 における脂肪族炭化水素基、脂環族炭化
水素基、芳香族炭化水素基および芳香脂肪族炭化水素基
の具体的な例として列挙した基と同様の基を挙げること
ができる。
【0080】上記R12におけるアルキレン基の具体的な
例としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン
基を挙げることができる。また、上記R13における炭化
水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基
および芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの具体的
な例としては、上記一般式[I]中のR2 における脂肪
族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基の
具体的な例として列挙した基と同様の基を挙げることが
できる。
【0081】上記の一般式で表わされるグリコールエー
テル基の具体例としては、上記一般式[I]中のR2
おけるグリコールエーテル基の具体的な例として列挙し
た基と同様の基を挙げることができる。
【0082】上記一般式[II]で表わされる好ましい
ポリカーボネートとしては、たとえば、次のような式で
表わされるポリカーボネートが挙げられる。 (1) R3OCOO−CH2CH2CH(CH3)CH2CH2−OCOOR5 上記(1)式におけるR3 およびR5 は、上記一般式
[II]におけるR3、R5と同一の基である。
【0083】上記のような一般式[II]で表わされる
ポリカーボネートは、たとえば以下のような方法により
製造することができる。 まず、(a)一般式[VII] R4(OH)2 …[VII] [式[VII]中、R4 は、上記一般式[II]におけ
るR4と同一である]で表わされるジオール、および (b)一般式[VIII] R3OCOOR3 または R5OCOOR5 …[VIII] [式[VIII]中、R3 およびR5 は、上記一般式
[II]におけるR3、R5と同一である]で表わされ、
かつR3 OHまたはR5 OHの沸点が上記ジオールの沸
点よりも低く、m1 /2m2 (式中、m1 はカーボネー
ト化合物のモル数であり、m2 はジオールのモル数であ
る)が2〜200の範囲となる量のカーボネート化合物
を塩基触媒の存在下に加熱しながら、生成するアルコー
ル(R3OHまたはR5OH)を蒸留によって反応系外に
除去して、反応率95%以上まで反応させる。なお、上
記反応を行なうに際し、反応器内の空気を窒素置換する
ことが望ましいが、窒素置換しなくてもよい。
【0084】次いで、上記塩基触媒を除去した後、未反
応の上記カーボネート化合物を蒸留によって反応系外に
除去し、上記一般式[II]で表わされるポリカーボネ
ートを得る。
【0085】上記一般式[VIII]で表わされるカー
ボネート化合物としては、具体的には、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネー
ト、ジブチルカーボネート、ジ-[1,3-ジメチルブチル]
カーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジオクチルカ
ーボネート、ジ-[2-エチルヘキシル]カーボネート、ジ
シクロヘキシルカーボネートなどが好ましく用いられ
る。
【0086】この方法では、カーボネート化反応で生成
するアルコールを反応系外に蒸留にて除去しつつ、カー
ボネート化反応を進行させるので、この反応で生成する
アルコール、すなわち、R3 OHまたはR5 OHで表わ
されるアルコールは、上記ジオールよりも沸点が低いこ
とが必要である。
【0087】また、カーボネート化合物は、m1 /2m
2 (式中、m1 はカーボネート化合物のモル数であり、
2 はジオールのモル数である)が2〜200、好まし
くは3〜80、さらに好ましくは3〜50の範囲となる
量で用いられる。このようにカーボネート化合物の使用
量を制限することにより、高重合度のポリカーボネート
の生成を抑制することができる。
【0088】この方法においては、反応は、上記のよう
なジオールとカーボネート化合物を反応容器に仕込み、
塩基触媒の存在下に加熱しながら、生成するアルコール
を蒸留によって反応系外に除去して、反応率95%以上
まで反応させ、次いで、上記塩基触媒を除去した後、未
反応の上記カーボネート化合物を蒸留によって反応系外
に除去する。反応率95%以上とは、上記生成するアル
コールが上記2m2 の0.95倍モル以上生成するま
で、反応させることをいう。
【0089】上記塩基触媒については、一般式[I]で
表わされるポリカーボネートの第1番目の製造方法の場
合と同様である。なお、塩基触媒の使用量は、通常、触
媒のモル数/上記2m2 が10-1〜10-7、好ましくは
10-2〜10-5となる範囲で用いられる。
【0090】また、この方法における上記反応温度、反
応時間、反応終了後の触媒の除去、未反応のカーボネー
ト化合物の回収および不純物の除去等については、一般
式[I]で表わされるポリカーボネートの第1番目の製
造方法の場合と同様である。
【0091】また、一般式[II]で表わされるポリカ
ーボネートの別の製造方法として、次のような方法があ
る。まず、(a)上記一般式[VII]で表わされるジ
オール、 (b)一般式[IX] R3 OH または R5 OH …[IX] [式[IX]中、R3 およびR5 は、上記一般式[I
I]におけるR3 、R5 と同一である]で表わされるモ
ノアルコール、および (c)一般式[X] R14OCOOR14 …[X] [式[X]中、R14は、それぞれ独立に、炭素原子数1
〜2のアルキル基である]で表わされ、かつ、R14OH
の沸点が上記ジオールおよびモノアルコールの沸点より
も低く、m1 /2m2 (式中、m1 はカーボネート化合
物のモル数であり、m2 はジオールのモル数である)が
2〜200の範囲となる量のカーボネート化合物を塩基
触媒の存在下に加熱しながら、生成するアルコール(R
14OH)を蒸留によって反応系外に除去して、反応率9
5%以上まで反応させる。なお、上記反応を行なうに際
し、反応器内の空気を窒素置換することが望ましいが、
窒素置換しなくてもよい。
【0092】次いで、上記塩基触媒を除去した後、未反
応および最終段階の反応に至らないカーボネート化合物
[R15OCOOR15(式中、R15は、それぞれ独立に、
3、R5 ないしR14である)]を蒸留によって反応系
外に除去し、上記一般式[II]で表わされるポリカー
ボネートを得る。
【0093】この方法では、カーボネート化反応で生成
するアルコールを反応系外に蒸留にて除去しつつ、カー
ボネート化反応を進行させるので、この反応で生成する
アルコール、すなわち、R14OHで表わされるアルコー
ルは、上記ジオールおよびモノアルコールよりも沸点が
低いことが必要である。また、カーボネート化合物は、
1 /2m2 (式中、m1はカーボネート化合物のモル
数であり、m2 はジオールのモル数である)が2〜20
0、好ましくは3〜80、さらに好ましくは3〜50の
範囲となる量で用いられる。このようにカーボネート化
合物の使用量を制限することにより、高重合度のポリカ
ーボネートの生成を抑制することができる。
【0094】この方法においては、反応は、上記のよう
なジオールとモノアルコールとカーボネート化合物を反
応容器に仕込み、塩基触媒の存在下に加熱しながら、生
成するアルコールを蒸留によって反応系外に除去して、
反応率95%以上まで反応させ、次いで、上記塩基触媒
を除去した後、未反応の上記カーボネート化合物を蒸留
によって反応系外に除去する。反応率95%以上とは、
上記生成するアルコールが上記2m2 の0.95倍モル
以上生成するまで、反応させることをいう。
【0095】上記塩基触媒、反応温度、反応時間、反応
終了後の触媒除去、不純物の除去および未反応ジメチル
カーボネートの回収については、先の製造方法の場合と
同様である。
【0096】最初に述べたポリカーボネートの製造方法
では、一般式[VIII]で表わされる、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート以外のカーボネート化
合物は、入手が困難であるため、予め合成する必要があ
る。一方、この製造方法では、容易に入手できる一般式
[X]で表わされるカーボネート化合物(ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボ
ネート)と一般式[IX]で表わされるモノアルコール
を用いてポリカーボネートを製造するので、上記のよう
なカーボネート化合物の合成は必要がなく、経済的であ
る。
【0097】また、この方法によれば、先の製造方法の
場合と同様に、高収率にて目的とするポリカーボネート
を得ることができる。本発明に係る潤滑油において、一
般式[I]で表わされるポリカーボネートと一般式[I
I]で表わされるポリカーボネートとの配合割合は、用
いるポリカーボネートの種類および潤滑油の具体的な用
途に応じて適宜決定されるが、一般式[I]で表わされ
るポリカーボネート(PC−I)と一般式[II]で表
わされるポリカーボネート(PC−II)との含有重量
比[PC−I/PC−II]は、通常98/2〜20/
80、好ましくは95/5〜25/75、さらに好まし
くは90/10〜30/70の範囲にある。
【0098】本発明に係る潤滑油は、上記一般式[I]
で表わされるポリカーボネートおよび上記一般式[I
I]で表わされるポリカーボネートとを混合することに
より調製される。
【0099】すなわち、上記一般式[I]および[I
I]で表わされるポリカーボネートを前述の方法で各々
別々に製造した後に混合してもよい。また、上記一般式
[III]で表わされるポリオールおよび上記一般式
[VII]で表わされるジオールとを混合し、次いで、
これらを前述の方法でカーボネート化してもよい。
【0100】上記一般式[I]および[II]で表わさ
れるポリカーボネートは、グリコールエーテル類と比較
して潤滑性に優れ、吸湿性が低く、清浄性も良好である
という特徴を有するので、カークーラー、電気冷蔵庫な
どの冷凍機用潤滑油、工業用ギヤ油、自動車用エンジン
油、自動車用ギヤ油、圧延用潤滑油、繊維用潤滑油に使
用することができる。
【0101】また、上記一般式[I]および[II]で
表わされるポリカーボネートは、潤滑性および清浄性に
優れるとともに、高粘度ではあるがフロンR−134a
などのオゾン層非破壊性フルオロカーボン水素添加物、
フロンR−22などのオゾン破壊力が小さいクロロフル
オロカーボン水素添加物、さらにはこれらの混合物との
相溶性に優れている。また、これらのポリカーボネート
は、フロンR−12などのオゾン破壊力が大きいクロロ
フルオロカーボンとも相溶性が良好である。
【0102】したがって、上記一般式[I]および[I
I]で表わされるポリカーボネートは、特に冷媒として
上記のようなオゾン層非破壊性フロンを使用し、かつ、
たとえばロータリー式カーエアコンのように、高粘度の
潤滑油を使用するような冷凍機用潤滑油として利用する
ことができる。
【0103】また、上記一般式[II]で表わされるポ
リカーボネートは、潤滑性に優れるとともに、その体積
抵抗率が1014〜1015Ω・cmのオーダーで、従来の
ポリカーボネートと比較して電気絶縁性が高い。したが
って、特に電気絶縁性が要求されるような潤滑油の用途
では、上記一般式[II]で表わされるポリカーボネー
トの配合量を多くするとよい。
【0104】本発明に係る冷凍機用潤滑油などの潤滑油
は、上記一般式[I]で表わされるポリカーボネートお
よび一般式[II]で表わされるポリカーボネートのほ
かに、他の成分を含めることができる。
【0105】すなわち、本発明に係る潤滑油中には、上
記一般式[I]で表わされるポリカーボネートおよび
[II]で表わされるポリカーボネートのほかに、他の
使用可能な成分として、これらのポリカーボネートの製
造の際に副生するこれらのポリカーボネートのオリゴマ
ー、グリコールエーテル類、たとえばエチレンオキサイ
ドとプロピレンオキサイドとからなるランダム共重合体
のポリエーテルグリコール、さらにはこのポリエーテル
グリコールから誘導されるカーボネート、鉱物油、たと
えばニュートラルオイルやブライトストックなどが配合
されていてもよい。また、液状ポリブテンや液状デセン
オリゴマーなどのα- オレフィンオリゴマー、アジピン
酸ジイソオクチル、セバチン酸ジイソオクチル、セバチ
ン酸ジラウリルなどのカルボン酸エステルや植物油が潤
滑油に配合されていてもよい。特にオゾン層非破壊性の
冷媒ガスとしてHFCたとえばフロンR−134aを用
いる冷凍機用潤滑油の場合には、添加できる他の成分と
しては、相溶性の点でグリコールエーテル類やカルボン
酸エステル類に限られる。しかしながら、これらの成分
の添加量は、耐熱性、フロンR−134aとの相溶性、
吸水性を悪化させるため、添加量は潤滑油全量100重
量%に対して60重量%未満とする必要がある。
【0106】また、フェノール系安定剤、消泡剤、塩素
系冷媒の混入に対する塩素補足剤としてのエポキシ化合
物を、本発明に係る冷凍機用潤滑油に配合することもで
きる。
【0107】さらに、本発明では、公知の潤滑油添加
剤、たとえば桜井俊男編「石油製品添加剤」(幸書房、
昭和49年発行)などに記載されている清浄分散剤、酸
化防止剤、耐荷重添加剤、油性剤、流動点降下剤などの
潤滑油添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で、冷
凍機用潤滑油に含めることができる。
【0108】さらにまた、冷凍機用潤滑油中に、フロン
R−134aなどのオゾン層非破壊性フロン(HF
C)、フロンR−22などのオゾン破壊力が小さいフロ
ン(HCFC)、さらにはこれらの混合物を含有させる
こともできる。
【0109】
【発明の効果】本発明で用いられるポリカーボネート、
すなわち上記一般式[I]および[II]で表わされる
ポリカーボネートは、グリコールエーテル類と比較して
潤滑性に優れ、吸湿性が低く、清浄性も良好であるとい
う特徴を有する。したがって、これらのポリカーボネー
トを含有してなる本発明に係る潤滑油は、カークーラ
ー、電気冷蔵庫などの冷凍機用潤滑油、工業用ギヤ油、
自動車用エンジン油、自動車用ギヤ油、圧延用潤滑油、
繊維用潤滑油に使用することができる。
【0110】また、上記一般式[I]および[II]で
表わされるポリカーボネートは、潤滑性および清浄性に
優れるとともに、高粘度ではあるがフロンR−134a
などのオゾン層非破壊性フルオロカーボン水素添加物、
フロンR−22などのオゾン破壊力が小さいクロロフル
オロカーボン水素添加物、さらにはこれらの混合物との
相溶性に優れている。また、これらのポリカーボネート
は、フロンR−12などのオゾン破壊力が大きいクロロ
フルオロカーボンとの相溶性が良好である。したがっ
て、本発明に係る潤滑油は、たとえばロータリー式カー
エアコンのように、高粘度の潤滑油を使用するような冷
凍機用潤滑油として好適であり、特に上記のようなオゾ
ン層非破壊性フロンを冷媒として使用する冷凍機用潤滑
油に適している。
【0111】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。実
施例および比較例におけるポリカーボネートおよび対照
品の分析と潤滑油の性能評価は、以下の試験方法によ
る。 (1)分析方法 a.平均分子量 (株)島津製作所製のGPCシステムを使用し、ポリス
チレン基準にて平均分子量を求めた。測定条件を下記に
示す。
【0112】カラム:ポリスチレンゲル4本(G-2000HX
L+G-2000HXL+G-3000HXL+G-4000HXL) 検出器:示差屈折計 温 度:40℃ 溶 媒:テトラヒドロフラン 溶出速度:0.7ml/分 (2)評価方法 a.動粘度 JIS K−2283 b.粘度指数 JIS K−2283 c.耐荷重値 耐荷重値は、ファレックス(Falex )試験機を用い、2
50 lbf の荷重で5分間慣らし運転した後、加重し
ていき、焼付きが生じたときの荷重値を求め、この値を
耐荷重値とする。 d.フロンR−134aとの相溶性およびフロンR−1
2との相溶性 (1) 内径10mm、深さ20cmの試験管に試料1ml
採り、ドライアイス−アセトン浴で冷却しながら、フロ
ンR−134aまたはフロンR−12をボンベ容器から
ゆっくり導入し試料の量より多めに溜める。次にスパチ
ュラーを入れて攪拌し、−20℃の冷媒浴に移し、試料
/フロンR−134aまたはフロンR−12の容積比が
1/1になったときの溶解性を調べる。完全に均一であ
れば○とし、溶解しなければ、×とする。 (2) カーボネート生成物とフロンR−134aとの相溶
性およびカーボネート生成物とフロンR−12との相溶
性を更に詳しく調べるため、潤滑油とフロンR−134
aとを割合を色々変えてガラス管に封入し、両者が相溶
する限界の温度(臨界温度)を求める。
【0113】
【参考例1】10段シーブトレー式蒸留塔を備えた容量
3リットルのフラスコに、平均分子量(Mn)2104
の、ソルビトールのプロピレンオキサイド付加物[商品
名SP−35P、東邦化学(株)製]500g、ジイソ
プロピルカーボネートDIPC1742gおよび28重
量%のNaOCH3 のメタノール溶液2.1gを仕込ん
だ。
【0114】この混合物を常圧下に120〜150℃
で、7時間反応させた。このようにして得られた反応混
合物に水を加えて触媒を除去した後、DIPCを蒸留留
去してポリカーボネート608gを得た。
【0115】得られたポリカーボネートの潤滑油基本性
能の評価結果を表2に示す。
【0116】
【参考例2〜4】参考例1において、ソルビトール系原
料およびカーボネート化合物の使用量ならびに28重量
%NaOCH3 のメタノール溶液の使用量を表1のよう
に変化させた以外は、参考例1と同様に行なった。
【0117】得られたポリカーボネートの潤滑油基本性
能の評価結果を表2に示す。なお、表1において、SP
−26EP、SP−32EPおよびSP−30Pのポリ
オールの平均分子量(Mn)は、それぞれ1642、2
004、1860である。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
【参考例5】10段シーブトレー式蒸留塔を備えた容量
5リットルのフラスコに、3ーメチルペンタンジオール5
88g(4.98モル)、メチルヘキサノール2,50
0g(21.42モル)、ジメチルカーボネート1,9
32g(21.45モル)および28重量%のNaOC
3 のメタノール溶液3.8gを仕込んだ。
【0121】この混合物を常圧下に110〜160℃で
8時間加熱し、生成するメタノールを留出した。メタノ
ール収率は98%であった。次いで、混合物を減圧下
(130〜10mmHg)に、130〜170℃に加熱
して8時間反応させ、メタノール、ジメチルカーボネー
ト、メチルヘキサノールおよびメチル- メチルヘキシル
カーボネートを留去させた。
【0122】このようにして得られた反応混合物に、用
いたNaOCH3の5倍モル量の炭酸アンモニウムを含
有する水溶液で洗浄、水洗した後、過剰のジ- [メチル
ヘキシル]カーボネートを蒸留除去してポリカーボネー
ト1,480gを得た。
【0123】得られたポリカーボネートの潤滑油基本性
能の評価結果を表3に示す。
【0124】
【参考例6】参考例5において、3ーメチルペンタンジオ
ール475g(4.02モル)、イソブチルアルコール
1,186g(16.01モル)、ジメチルカーボネー
ト1,458g(16.19モル)および28重量%の
NaOCH3 のメタノール溶液3.6g(0.018モ
ル)を仕込み、この混合物を常圧下に110〜160℃
で加熱してメタノールを留出させ、次いで、減圧下(1
30〜100mmHg)に130〜170℃に加熱して
反応させた以外は、参考例5と同様に行ない、ポリカー
ボネート975gを得た。
【0125】得られたポリカーボネートの潤滑油基本性
能の評価結果を表3に示す。
【0126】
【参考例7】10段シーブトレー式蒸留塔を備えた容量
5リットルのフラスコに、ノナンジオール/2ーメチルオ
クタンジオール=65/35混合体482g(3.0モ
ル)[商品名 ND/MOD、クラレ(株)製]、イソ
アミルアルコール1,231g(14.0モル)、ジメ
チルカーボネート1,217g(13.5モル)および
28重量%のNaOCH3 のメタノール溶液6.2g
(0.032モル)を仕込んだ。
【0127】この混合物を常圧下に85〜150℃で8
時間加熱し、生成するメタノールを留出した。メタノー
ル収率は98%であった。次いで、混合物を減圧下(3
00〜200mmHg)に、150℃に加熱して4時間
反応させ、メタノール、ジメチルカーボネート、イソア
ミルアルコールおよびメチル- イソアミルカーボネート
を留去させた。
【0128】このようにして得られた反応混合物に、炭
酸アンモニウムを含有する水溶液で洗浄、水洗した後、
過剰のジ- [イソアミル]カーボネートを蒸留除去して
ポリカーボネート933gを得た。
【0129】得られたポリカーボネートの潤滑油基本性
能の評価結果を表3に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
【実施例1】参考例1のポリカーボネート(S−1)と
参考例5のポリカーボネート(E−1)とを、重量比
[(S−1)/(E−1)]75/25で混合し、表4
に示すように、100℃の動粘度が20cSt以上の高
粘度で、かつ、粘度指数が130以上、フロンR−13
4aおよびR−12に対する相溶性が高温側で70以上
の良好な潤滑油特性を有する潤滑油を得た。
【0132】
【実施例2〜4】実施例1と同様に、参考例2〜7のポ
リカーボネート(S−2〜S−4、E−1〜E−3)を
表4に示すような組合せおよび割合で混合し、表4に示
す潤滑油特性を有する潤滑油を得た。
【0133】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10N 40:24 40:25 40:30 (56)参考文献 特開 平4−18490(JP,A) 特開 平4−63893(JP,A) 特開 昭48−37568(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 105/48 C10M 107/32 - 107/34 C10N 40:30 CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式[I]で表わされるポリカー
    ボネートおよび下記の一般式[II]で表わされるポリ
    カーボネートを含有してなることを特徴とする潤滑油; (R1O)CH2[CH(OR1)]mCH2(OR1) …[I] [上記式[I]において、R1 は、下式(A)で表わさ
    れる基であり、mは1〜6の整数である; −(R0 O)n−COOR2 …(A) (上記式(A)において、R2 は、それぞれ独立に、炭
    素原子数30以下の炭化水素基または炭素原子数2〜3
    0のエーテル結合を有する炭化水素基であり、R0 は、
    エチレン基および/またはプロピレン基であり、nは、
    1〜24の整数である)]、 R3OCOOR4OCOOR5 ・・・[II] [式[II]中、R3 およびR5 は、それぞれ独立に、
    炭素原子数30以下の炭化水素基または炭素原子数2〜
    30のエーテル結合を有する炭化水素基であり、R4
    は、炭素原子数2〜24の直鎖状または分岐状の炭化水
    素基である]。
  2. 【請求項2】前記潤滑油が冷凍機用潤滑油であることを
    特徴とする請求項1に記載の潤滑油。
  3. 【請求項3】オゾン層非破壊性フロンを含有しているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の潤滑油。
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