JPH1053782A - 芳香族ニトリル系潤滑油 - Google Patents

芳香族ニトリル系潤滑油

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JPH1053782A
JPH1053782A JP21135396A JP21135396A JPH1053782A JP H1053782 A JPH1053782 A JP H1053782A JP 21135396 A JP21135396 A JP 21135396A JP 21135396 A JP21135396 A JP 21135396A JP H1053782 A JPH1053782 A JP H1053782A
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JP
Japan
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group
lubricating oil
aromatic nitrile
carbon atoms
aromatic
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Application number
JP21135396A
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English (en)
Inventor
Takashi Hayashi
剛 史 林
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】式(R1-)nAr[-O(R2O)p-CH2CH2-CN]m [式
中、R1は、それぞれ独立に、特定の炭化水素基、エーテ
ル結合を有する炭化水素基、アルコキシ基またはハロゲ
ン原子を有する炭化水素基であり、R2は、それぞれ独立
に、炭素原子数2〜4のアルキレン基であり、Arは、芳
香族置換基であり、nは、0〜5の整数であり、mは、
1〜6の整数であり、n+mは、6以下の整数であり、
pは、それぞれ独立に1〜30の整数である。]で表わ
される芳香族ニトリル化合物を含有してなる芳香族ニト
リル系潤滑油。 【効果】上記潤滑油は、清浄性、熱安定性、化学安定性
およびR-134aとの相溶性に優れるとともに、従来の脂肪
族ニトリル系潤滑油に比べ、耐荷重性に優れ、格段に優
れた潤滑性を有する。この潤滑油は、R-134aを冷媒とし
て使用するカーエアコンなどの冷凍機用潤滑油として好
適に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、芳香族ニトリル系潤滑油
に関し、さらに詳しくは、従来より潤滑性と清浄性の要
求が厳しくなった工業用ギヤ油、自動車用エンジン油、
自動車用ギヤ油、冷凍機用潤滑油、圧延用潤滑油、繊維
用潤滑油に使用可能な、潤滑性、清浄性に優れた潤滑
油、特にR−134aなどのオゾン層非破壊性のフルオ
ロカーボン水素添加物(HFC 、Hydrogenated Fluoro Ca
rbon)を冷媒として使用する冷凍機用潤滑油として最適
な潤滑油に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】潤滑油の種類としては、工業用ギ
ヤ油、エンジン油、冷凍機用潤滑油、繊維用潤滑油、圧
延用潤滑油などが挙げられる。
【0003】特に、冷凍機用潤滑油では、冷媒ガスがオ
ゾン層非破壊性のフルオロカーボン水素添加物(HF
C)であるR−134a(CH2F−CF3)に変更され
るに伴い、従来、冷凍機用潤滑油として使用されてきた
鉱物油やアルキルベンゼン類化合物は、冷媒ガスとの相
溶性がないため使用できなくなった。現在、上記冷媒ガ
ス冷凍機用潤滑油として、グリコールエーテル系、エス
テル系、カーボネート系の潤滑油が主に開発されてい
る。
【0004】たとえば、米国特許第4,755,316
号明細書には、テトラフルオロエタンと、分子量が30
0〜2,000であり、37℃動粘度が約25〜150
cStであるポリオキシアルキレングリコールとからなる
圧縮冷凍機用組成物が開示されている。しかしながら、
このようなグリコールエーテル系潤滑油は、一般に熱安
定性が不充分で、吸湿性が強く、さらにNBRなどのゴ
ムシール材を収縮させ硬度を高めてしまうという欠点が
指摘されている。
【0005】グリコールエーテル構造を有する化合物
は、一般に分子量が増大して高粘度化すると、オゾン層
非破壊性のR−134aとの相溶性が悪化するため、冷
凍機の構造上使用することができない。
【0006】また、最近、ポリオールエステルおよびヒ
ンダードエステルと称せられるカルボン酸エステル系潤
滑油が、オゾン層非破壊性のフルオロカーボン水素添加
物(HFC)を冷媒として使用する冷凍機の潤滑油とし
て開発されている。しかしながら、これらの潤滑油は、
加水分解もしくは熱分解によりカルボン酸を発生させる
ため、冷凍機において、カルボン酸による金属の腐食摩
耗あるいは銅メッキ現象が起こる。したがって、これら
の潤滑油においては、冷凍機の耐久性が問題点として挙
げられている。
【0007】ところで、特開平2−173195号公報
には、下記の一般式で表わされるシアノエチル化ポリオ
キシアルキレングリコール化合物を基油とするニトリル
系潤滑油が記載されている。
【0008】R−O−(AO)n−CH2CH2CN [式中、Rは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、シア
ノエチル基、または水素原子であり、AOは、炭素原子
数2〜18のオキシアルキレン基であり、nは、1〜5
0である。] この公報には、Rの炭素原子数1〜12の炭化水素基と
して、脂肪族炭化水素基のみが記載されており、芳香族
炭化水素基は記載されていない。したがって、この公報
に開示されている潤滑油は、脂肪族ニトリル系潤滑油で
ある。この脂肪族ニトリル系潤滑油は、冷媒としてのR
134aに対して、広い温度範囲にわたり極めて相溶性
の良いとされているものの、耐荷重性が充分でないため
潤滑性が必ずしも良いとは云えない。
【0009】したがって、従来より、清浄性、熱安定
性、化学的安定性およびR−134aなどのオゾン層非
破壊性フルオロカーボン水素添加物(HFC)との相溶
性に優れるとともに、従来の脂肪族ニトリル系潤滑油に
比べ、格段に優れた潤滑性を有する化合物からなる潤滑
油の出現が望まれている。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、清浄性、熱安定
性、化学的安定性およびオゾン層非破壊性のフルオロカ
ーボン水素添加物(HFC)との相溶性に優れるととも
に、従来の脂肪族ニトリル系潤滑油に比べ、格段に優れ
た潤滑性を有する芳香族ニトリル系潤滑油を提供するこ
とを目的としている。
【0011】さらに詳しくは、本発明は、特にR−13
4aなどのオゾン層非破壊性のフルオロカーボン水素添
加物(HFC)を冷媒として使用するカーエアコンなど
の冷凍機用潤滑油として、特に好適に使用することがで
きる芳香族ニトリル系潤滑油を提供することを目的とし
ている。
【0012】
【発明の概要】本発明に係る新規な芳香族ニトリル系潤
滑油は、下記の一般式[I]で表わされる芳香族ニトリ
ル化合物を含有してなることを特徴としている。
【0013】 (R1−)nAr[−O(R2O)p−CH2CH2−CN]m ・・・[I] [式[I]中、R1 は、それぞれ独立に、炭素原子数1
〜20の炭化水素基、炭素原子数2〜30のエーテル結
合を有する炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキ
シ基、または炭素原子数1〜10のハロゲン原子を有す
る炭化水素基であり、R2 は、それぞれ独立に、炭素原
子数2〜4のアルキレン基であり、Arは、芳香族置換
基であり、nは、0〜5の整数であり、mは、1〜6の
整数であり、n+mは、6以下の整数であり、pは、そ
れぞれ独立に1〜30の整数である。] 本発明に係る芳香族ニトリル系潤滑油は、潤滑性、清浄
性および電気絶縁性に優れ、電気冷蔵庫、ルームエアコ
ン、カーエアコン等の冷凍機用潤滑油、工業用ギヤ油、
自動車用エンジン油、自動車用ギヤ油、繊維用潤滑油、
圧延用潤滑油などの用途に広く用いることができる。
【0014】また、本発明に係る芳香族ニトリル系潤滑
油は、上記のような特性に優れるだけでなく、R−13
4aなどのオゾン層非破壊性のフルオロカーボン水素添
加物(HFC)との相溶性、R−22などのオゾン破壊
力(Ozone Depletion Potent-ial)が小さいクロロフル
オロカーボン水素添加物(HCFC 、Hydrogenated Chlo-r
ofluoro Carbon)との相溶性、さらにはこれら水素添加
物の混合物との相溶性に優れ、熱安定性が高く、しか
も、従来の脂肪族ニトリル系潤滑油に比べ耐荷重性に優
れ、格段に潤滑性が優れている。したがって、本発明に
係る芳香族ニトリル系潤滑油は、冷凍機用潤滑油として
好ましく用いることができる。
【0015】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る芳香族ニトリ
ル系潤滑油について具体的に説明する。まず、本発明に
係る芳香族ニトリル系潤滑油を構成する芳香族ニトリル
化合物は、下記の一般式[I]で表わされる。
【0016】 (R1−)nAr[−O(R2O)p−CH2CH2−CN]m ・・・[I] 式[I]中、R1 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜
20の炭化水素基、炭素原子数2〜30のエーテル結合
を有する炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ
基、または炭素原子数1〜10のハロゲン原子を有する
炭化水素基であり、R2 は、それぞれ独立に、炭素原子
数2〜4のアルキレン基であり、Arは、芳香族置換基
であり、nは、0〜5の整数であり、mは、1〜6の整
数であり、n+mは、6以下の整数であり、pは、それ
ぞれ独立に1〜30の整数である。
【0017】上記R1 としては、具体的には、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチ
ル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチ
ル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル
基、2,3-ジメチルブチル基、イソヘキシル基、n-ヘプチ
ル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシ
ル基、イソオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-
デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデ
シル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、n-トリデシル
基、イソトリデシル基、n-テトラデシル基、イソテトラ
デシル基、n-ペンタデシル基、イソペンタデシル基、n-
ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n-ヘプタデシル
基、イソヘプタデシル基、n-オクタデシル基、イソオク
タデシル基、n-ノニルデシル基、イソノニルデシル基、
n-アイコサニル基、イソアイコサニル基、4-メチルペン
チル基等の炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭
化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブ
トキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の
アルコキシ基;エチレングリコールモノメチルエーテル
基、エチレングリコールモノエチルエーテル基、エチレ
ングリコールモノプロピルエーテル基、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル基、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル基、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル基、ジエチレングリコールモノブチルエーテル
基、トリエチレングリコールモノメチルエーテル基、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル基、プロピレン
グリコールモノプロピルエーテル基、プロピレングリコ
ールモノブチルエーテル基、ジプロピレングリコールモ
ノメチルエーテル基、ジプロピレングリコールモノブチ
ルエーテル基、ブチレングリコールモノメチルエーテル
基、ブチレングリコールモノブチルエーテル基等の炭素
原子数2〜30のエーテル結合を有する直鎖または分岐
状の炭化水素基;Cl3C− 基、Cl2HC− 基、Cl
2C− 基、F3C− 基、FH2C− 基、HCF2-CH
2− 基、HCF2-CF2-CH2O− 基、CF3-CH2
− 基、H(C24n− 基(n=1〜3)、CF3-C
HF-CF2O−基等の炭素原子数1〜10のハロゲン原
子を有する直鎖または分岐状の炭化水素基を挙げること
ができる。
【0018】上記Arとしては、具体的には、フェニル
残基、ビスフェノールA残基、ジフェニルスルホン残基
などの芳香族置換基が挙げられる。上記R2 としては、
具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等
の炭素原子数2〜4の直鎖または分岐状のアルキレン基
を挙げることができる。
【0019】上記一般式[I]は、nが0、1、2、
3、4、5のとき、それぞれ次の式で表わされる。 (1)n=0のとき、 Ar[−O(R2O)p−CH2CH2−CN]m (m=1〜6の整数) (2)n=1のとき、 R1−Ar[−O(R2O)p−CH2CH2−CN]m (m=1〜5の整数) (3)n=2のとき、 (R12Ar[−O(R2O)p−CH2CH2−CN]m (m=1〜4の整数) (4)n=3のとき、 (R13Ar[−O(R2O)p−CH2CH2−CN]m (m=1〜3の整数) (5)n=4のとき、 (R14Ar[−O(R2O)p−CH2CH2−CN]m (m=1または2) (6)n=5のとき、 (R15Ar[−O(R2O)p−CH2CH2−CN] 上記一般式[I]で表わされる芳香族ニトリル化合物と
しては、たとえば以下のような化合物が挙げられる。 (1)R1−C64−O(Cx2xO)p−CH2CH2
CN [R1=Ct2t+1(t=1〜20)、x=2〜4、p=
1〜30、C64:フェニレン基] (2)(R1263−(Cx2xO)p−CH2CH2
CN [R1=Ct2t+1(t=1〜10)、x=2〜4、p=
1〜30、C63:フェニル残基] (3)CH3O−C64−O(Cx2xO)p−CH2CH
2−CN [x=2〜4、p=1〜30、C64:フェニレン基] (4)C49O−C64−O(Cx2xO)p−CH2
2−CN [x=2〜4、p=1〜30、C64:フェニレン基] (5)CF3−C64−O(Cx2xO)p−CH2CH2
−CN [x=2〜4、p=1〜30、C64:フェニレン基] (6)C64=[O(Cx2xO)p−CH2CH2−C
N]2 [x=2〜4、p=1〜30、C64:フェニレン基] (7)NC−CH2CH2−(OCx2xpO−C64
C(CH32−C64−−O(Cx2xO)p−CH2
2−CN [x=2〜4、p=1〜30、C64−C(CH32
64:ビスフェノールA残基] (8)NC−CH2CH2−(OCx2xpO−C64
SO2−C64−−O(Cx2xO)p−CH2CH2−C
N [x=2〜4、p=1〜30、C64−SO2−C
64:ジフェニルスルホン残基] 上記のような一般式[I]で表わされる芳香族ニトリル
化合物は、たとえば以下のような方法により製造するこ
とができる。
【0020】まず、(a)一般式[II] (R1−)nAr[−O(R2O)p−H]m ・・・[II] [式[II]中、R1 、R2 、Ar、n、m、n+mおよ
びpは、それぞれ上述した一般式[I]におけるR1
2 、Ar、n、m、n+mおよびpと同じである。]
で表わされる芳香環含有アルコールと、(b)アクリロ
ニトリル(CH2CHCN)とを、塩基触媒の存在下で
反応させて、この芳香環含有アルコールの水酸基にシア
ノエチル基を付加させる。
【0021】次いで、上記のようにして得られた反応液
を酸を用いて中和、水洗する。この際に、油水分離を容
易にするため、水洗後の反応液を溶媒で希釈しても良
い。このような溶媒としては、ヘキサン、トルエン等の
炭化水素系、イソプロピルエーテル等のエーテル系の溶
媒が好ましい。
【0022】その後、反応液を蒸留して溶媒を除去する
ことにより、上記一般式[I]で表わされる芳香族ニト
リル化合物を得る。上記一般式[II]で表わされる芳香
環含有アルコール(a)としては、具体的には、次のよ
うな化合物が挙げられる。 (1)m- イソプロピルフェノールのエチレンオキシド
1モル付加体 (2)p- イソプロピルフェノールのエチレンオキシド
1モル付加体 (3)p-t- ブチルフェノールのエチレンオキシド1モ
ル付加体 (4)p-t- ブチルフェノールのエチレンオキシド3モ
ル付加体 (5)p-t- ブチルフェノールのプロピレンオキシド1
モル付加体 (6)p-t- ブチルフェノールのエチレンオキシド2モ
ルおよびプロピレンオキシド4モル付加体 (7)o,p- ジ-t- ブチルフェノールのエチレンオキ
シド1モル付加体 (8)p-t- アミルフェノールのエチレンオキシド1モ
ル付加体 (9)p-t- アミルフェノールのプロピレンオキシド1
モル付加体 (10)p- オクチルフェノールのエチレンオキシド8モ
ル付加体 (11)p- イソオクチルフェノールのエチレンオキシド
1モル付加体 (12)p- イソオクチルフェノールのエチレンオキシド
3モル付加体 (13)p- イソノニルフェノールのエチレンオキシド1
モル付加体 (14)p- イソノニルフェノールのプロピレンオキシド
1モル付加体 (15)p- ノニルフェノールのエチレンオキシド3モル
およびプロピレンオキシド3モル付加体 (16)ビスフェノールAのエチレンオキシド10モル付
加体 (17)ジフェニルスルホンのエチレンオキシド10モル
付加体 上記芳香環含有アルコール(a)とアクリロニトリル
(b)とのモル比[(b)のモル数/(a)のモル数に
mを乗じた値]は、0.5〜10、好ましくは0.9〜
5、さらに好ましくは1.0〜2の範囲である。
【0023】上記反応に用いる塩基触媒としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、金属
アルコキシドなどが用いられる。また、上記芳香環含有
アルコール(a)とアクリロニトリル(b)とを反応さ
せるに際して、必要に応じて溶媒を用いることができ
る。溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、どのよう
な溶媒でも用いることができる。
【0024】上記反応温度は、−100〜100℃、好
ましくは−30〜50℃、さらに好ましくは−10〜3
0℃であり、反応時間は、0.1〜300時間、好まし
くは0.2〜50時間、さらに好ましくは0.5〜10
時間である。
【0025】上記のようにして製造される芳香族ニトリ
ル化合物は、清浄性、フルオロカーボン水素添加物(H
FC)との相溶性、クロロフルオロカーボン水素添加物
(HCFC)との相溶性、熱安定性に優れるとともに、
従来の脂肪族ニトリル系潤滑油と比較して耐荷重性に優
れ、格段に潤滑性が優れている。また、この芳香族ニト
リル化合物は、エステル系潤滑油のように酸の発生もな
いので機械装置の腐食の心配もない。
【0026】したがって、上記一般式[I]で表わされ
る芳香族ニトリル化合物は、電気冷蔵庫、ルームエアコ
ン、カーエアコン等の冷凍機用潤滑油、工業用ギヤ油、
自動車用エンジン油、自動車用ギヤ油、繊維用潤滑油、
圧延用潤滑油などの用途に広く用いることができる。
【0027】このような芳香族ニトリル化合物からな
る、本発明に係る芳香族ニトリル系潤滑油は、既に上述
したように、上記のような特性に優れるだけでなく、R
−134a等のオゾン層非破壊性のフルオロカーボン水
素添加物(HFC)、R−22等のオゾン破壊力が小さ
いクロロフルオロカーボン水素添加物(HCFC)、さ
らにはこれら水素添加物の混合物との相溶性に優れてい
るため、これらの水素添加物を冷媒として使用する電気
冷蔵庫、ルームエアコン、カーエアコンなどの冷凍機用
潤滑油として好適に用いることができる。
【0028】本発明に係る芳香族ニトリル系潤滑油は、
上記芳香族ニトリル化合物のほかに、他の成分を含める
ことができる。たとえば、本発明に係る芳香族ニトリル
系潤滑油を工業用ギヤ油、自動車用エンジン油、自動車
用ギヤ油として用いる場合には、上記芳香族ニトリル化
合物のほかに、他の使用可能な成分として鉱物油、たと
えばニュートラルオイルやブライトストックなどが配合
されていてもよい。また、液状ポリブテンや液状デセン
オリゴマーなどのα- オレフィンオリゴマー、アジピン
酸ジイソオクチル、セバチン酸ジイソオクチル、セバチ
ン酸ジラウリル、ペンタエリスリトールの2-エチルヘキ
サン酸テトラエステル、トリメチロールプロパンのヘキ
サン酸トリエステルなどのカルボン酸エステル、植物油
が潤滑油に配合されていてもよい。さらに、本発明で
は、公知の潤滑油添加剤、たとえば桜井俊男編「石油製
品添加剤」(幸書房、昭和49年発行)などに記載され
ている清浄分散剤、酸化防止剤、耐荷重添加剤、油性
剤、流動点降下剤などの潤滑油添加剤を、本発明の目的
を損なわない範囲で、芳香族ニトリル系潤滑油に含める
ことができる。
【0029】特にオゾン層非破壊性の冷媒ガスとしてH
FCたとえばR−134a、R−152a、R−32等
を用いる冷凍機用潤滑油の場合には、上記芳香族ニトリ
ル化合物に添加できる他の成分としては、相溶性の点で
アセタール類、グリコールエーテル類、カルボン酸エス
テル類およびカーボネート類に限られる。しかしなが
ら、これらの成分の添加量は、耐熱性、R−134aと
の相溶性、吸水性を悪化させるため、これらの成分の添
加量は潤滑油全量100重量%に対して60重量%未満
とする必要がある。さらには、フェノール系安定剤、消
泡剤、塩素系冷媒の混入に対する塩素補足剤としてのエ
ポキシ化合物を、本発明に係る芳香族ニトリル系潤滑油
に配合することもできる。また、上述したような公知の
潤滑油添加剤が潤滑油に配合されていてもよい。さらに
また、冷凍機用潤滑油中に、R−134a、R−125
a、R−152a、R−32などのオゾン層非破壊性の
フルオロカーボン水素添加物(HFC)、R−22、R
−123、R−124などのオゾン破壊力が小さいクロ
ロフルオロカーボン水素添加物(HCFC)、さらには
これら水素添加物の混合物を含有させることもできる。
【0030】また、本発明に係る芳香族ニトリル系潤滑
油を圧延用潤滑油、金属加工油、繊維用潤滑油などの用
途に用いる場合には、従来通常に実施されているよう
に、適当な乳化剤を用いて芳香族ニトリル化合物を水と
のエマルジョンにして使用することも可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明に係る芳香族ニトリル系潤滑油
は、清浄性、熱安定性および化学安定性に優れるととも
に、従来の脂肪族ニトリル系潤滑油に比べ、耐荷重性に
優れ、格段に優れた潤滑性を有する。
【0032】したがって、本発明に係る芳香族ニトリル
系潤滑油は、電気冷蔵庫、ルームエアコン、カーエアコ
ン等の冷凍機用潤滑油、工業用ギヤ油、自動車用エンジ
ン油、自動車用ギヤ油、繊維用潤滑油、圧延用潤滑油な
どの用途に広く用いることができる。
【0033】また、本発明に係る芳香族ニトリル系潤滑
油は、上記のような特性に優れるだけでなく、R−13
4aなどのオゾン層非破壊性のフルオロカーボン水素添
加物(HFC)、R−22などのオゾン破壊力が小さい
クロロフルオロカーボン水素添加物(HCFC)、さら
にはこれら水素添加物の混合物との相溶性に優れている
ため、これらの水素添加物を冷媒として使用する電気冷
蔵庫、ルームエアコン、カーエアコンなどの冷凍機用潤
滑油として好適に用いることができる。
【0034】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。実
施例および比較例における潤滑油の性能評価は、以下の
試験方法による。 (1)評価方法 a.動粘度 JIS K−2283 b.耐荷重値 耐荷重値は、ファレックス(Falex )試験機を用い、2
50 1bfの荷重で5分間慣らし運転した後、加重し
ていき、焼付きが生じたときの荷重値を求め、この値を
耐荷重値とする。 c.R−134aとの相溶性 内径10mm、深さ20cmの試験管に試料1mlを採
り、ドライアイス−アセトン浴で冷却しながら、R−1
34aをボンベ容器からゆっくり導入し試料の量より多
めに溜める。次にスパチュラーを入れて攪拌し、−10
℃の冷媒浴に移し、試料/R−134aの容積比が1/
1になったときの溶解性を調べる。完全に均一であれば
○とし、溶解しなければ、×とする。
【0035】
【実施例1】容量1リットルのフラスコに、p-t- ブチ
ルフェノールのエチレンオキシド2モルおよびプロピレ
ンオキシド4モル付加体(分子量471)151g、ト
ルエン150g、触媒[(CH33COK]1.2gを
仕込んだ後、氷冷下でアクリロニトリル53gを30分
かけて滴下し、その後1時間反応を行なった。反応終了
後、得られた反応液を水で洗浄し触媒を除去した後、溶
媒を蒸留分離し、芳香族ニトリル化合物150gを得
た。
【0036】得られた芳香族ニトリル化合物は、 1H−
NMR分析、IRの結果から、以下のような構造を有す
ることが判った。 (CH33C−C64−O(C36O)4(C24O)2
−CH2CH2−CN 得られた芳香族ニトリル化合物の潤滑油基本性能の評価
結果を第1表に示す。
【0037】
【実施例2】実施例1において、p-t- ブチルフェノー
ルのエチレンオキシド2モルおよびプロピレンオキシド
4モル付加体の代わりに、p- オクチルフェノールのエ
チレンオキシド8モル付加体(分子量559)を200
g用いた以外は、実施例1と同様にして、芳香族ニトリ
ル化合物190gを得た。
【0038】得られた芳香族ニトリル化合物は、 1H−
NMR分析、IRの結果から、以下のような構造を有す
ることが判った。 (CH33CCH2(CH32C−C64−O(C24
O)8−CH2CH2−CN 得られた芳香族ニトリル化合物の潤滑油基本性能の評価
結果を第1表に示す。
【0039】
【実施例3】実施例1において、p-t- ブチルフェノー
ルのエチレンオキシド2モルおよびプロピレンオキシド
4モル付加体の代わりに、p- ノニルフェノールのエチ
レンオキシド3モルおよびプロピレンオキシド3モル付
加体(分子量510)を200g用いた以外は、実施例
1と同様にして、芳香族ニトリル化合物185gを得
た。
【0040】得られた芳香族ニトリル化合物は、 1H−
NMR分析、IRの結果から、以下のような構造を有す
ることが判った。 CH3(CH3)CH[CH2(CH3)CH]2−C64
−O(C24O)3−−(C36O)3−CH2CH2−C
N 得られた芳香族ニトリル化合物の潤滑油基本性能の評価
結果を第1表に示す。
【0041】
【実施例4】実施例1において、p-t- ブチルフェノー
ルのエチレンオキシド2モルおよびプロピレンオキシド
4モル付加体の代わりに、ビスフェノールAのエチレン
オキシド10モル付加体(分子量660)を150g用
いた以外は、実施例1と同様にして、芳香族ニトリル化
合物160gを得た。
【0042】得られた芳香族ニトリル化合物は、 1H−
NMR分析、IRの結果から、以下のような構造を有す
ることが判った。 NC−CH2CH2−(OC24uO−C64−C(C
32−C64−−O(C24O)v−CH2CH2−C
N [u+v=10] 得られた芳香族ニトリル化合物の潤滑油基本性能の評価
結果を第1表に示す。
【0043】
【比較例1】実施例1において、p-t- ブチルフェノー
ルのエチレンオキシド2モルおよびプロピレンオキシド
4モル付加体の代わりに、メタノールのプロピレンオキ
シド17モル付加体(分子量1000)を150g用い
た以外は、実施例1と同様にして、脂肪族ニトリル化合
物150gを得た。
【0044】得られた脂肪族ニトリル化合物は、 1H−
NMR分析、IRの結果から、以下のような構造を有す
ることが判った。 CH3O−(CH2(CH3)CHO)17−CH2CH2
CN 得られた脂肪族ニトリル化合物の潤滑油基本性能の評価
結果を第1表に示す。
【0045】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式[I]で表わされる芳香族ニ
    トリル化合物を含有してなることを特徴とする芳香族ニ
    トリル系潤滑油; (R1−)nAr[−O(R2O)p−CH2CH2−CN]m ・・・[I] [式[I]中、R1 は、それぞれ独立に、炭素原子数1
    〜20の炭化水素基、炭素原子数2〜30のエーテル結
    合を有する炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキ
    シ基、または炭素原子数1〜10のハロゲン原子を有す
    る炭化水素基であり、 R2 は、それぞれ独立に、炭素原子数2〜4のアルキレ
    ン基であり、 Arは、芳香族置換基であり、 nは、0〜5の整数であり、 mは、1〜6の整数であり、 n+mは、6以下の整数であり、 pは、それぞれ独立に1〜30の整数である。]。
  2. 【請求項2】前記潤滑油が冷凍機用潤滑油であることを
    特徴とする請求項1に記載の潤滑油。
  3. 【請求項3】オゾン層非破壊性のフルオロカーボン水素
    添加物を含有していることを特徴とする請求項2に記載
    の冷凍機用潤滑油。
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