JPH07192426A - 面状記憶媒体収納用シェル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金型の構造を簡単にでき、製造コストを低減
でき、成形の立ち上げ時間を短縮することができ、金型
のメンテナンス作業を簡単に行うことができ、さらに、
シェルの表面側が凹となる反りの発生を抑制することが
でき、もって信頼性を向上させることができる面状記憶
媒体収納用シェルを提供することを目的とする。 【構成】 射出成形により製造され、円盤状の面状記憶
媒体を両面から挟むように配置される平板状の面状記憶
媒体収納用シェル１であって、その内面に面状記憶媒体
が収納される円形の溝部１ｆが形成され、面状記憶媒体
が露出する開口部１ｂを開閉するシャッタが摺動可能に
配置される溝部（領域）１ｃが外面に形成されてなり、
射出成形の際に樹脂を射出する１個のゲート５が、溝部
（領域）１ｃ内でかつ溝部１ｆの周縁部に対応する位置
に配置された（ゲート跡１ｄ参照）ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばマイクロフロッ
ピーディスクにおける磁気ディスクのような面状記憶媒
体を両面から挟むように配置される、射出成形により製
造される面状記憶媒体収納用シェル（以下、特別の場合
を除いて単にシェルという。）に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知なように、マイクロフロッピディス
クは、可撓性のある磁気ディスクを射出成形された平板
状の２枚１組のシェルにより挟んで一体化したものであ
る。

【０００３】ここで、前記各シェルは肉厚の厚さが薄い
平板状をなしているので、高い射出圧で樹脂を注入する
と残留応力が高くなり、成形されたシェルを型から開放
した後に残留応力のために当該シェルに反りが発生する
ことがある。したがって、残留応力による反りを抑制す
べく、樹脂をできるだけ低圧で注入するために、シェル
の表面側を成形する金型に、成形されるべきシェルの対
称軸に対して対称となるように、樹脂を射出するための
２個のゲートを設けるようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
シェルを成形する金型では、２個のゲートをシェルの対
称軸に対して対称に設けるようにしているので、ゲート
点数が多くマニホールドを含めた金型の構造が複雑にな
り、金型の製造費が増大するとともに、温度コントロー
ルを含めた成形の立ち上げに時間を要し、さらに、金型
のメンテナンスにも手間がかかり、温度コントローラ類
の点数が多い分高価になるといった問題がある。

【０００５】また、従来のシェルを成形する金型では、
シェルの表面側を成形する金型に２個のゲートを設ける
ようにしているので、当該金型には２個のゲートに対応
して複数のマニホールドが設けられ、当該金型のもつ熱
量が多くなって当該金型が高温となる。そこで、当該金
型内に冷却用通路を設けて当該金型を冷却するようにし
ているが、金型のキャビティ内に樹脂を射出すると、初
めにシェルの表面側を成形する金型に接する部分が冷却
され、遅れてシェルの裏面側を成形する金型に接する部
分が冷却され、この結果、シェルの表面側が凹となる反
りが生ずる。このように、シェルの表面側が凹となるよ
うな反りが生ずると、シェルの中心側の位置で面状記憶
媒体を１組のシェルで挟む形となり、面状記憶媒体の回
転に支障が出たり面状記憶媒体が擦れたりして、信頼性
が低下するといった問題が生ずる。

【０００６】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、金型の構造を簡単にでき、製造コストを低減でき、
成形の立ち上げ時間を短縮することができ、金型のメン
テナンス作業を簡単に行うことができ、さらに、シェル
の表面側が凹となる反りの発生を抑制することができ、
もって信頼性を向上させることができる面状記憶媒体収
納用シェルを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のシェルは、射出
成形により製造され、円盤状の面状記憶媒体を両面から
挟むように配置される平板状のシェルであって、その内
面に前記面状記憶媒体が収納される円形の溝が形成さ
れ、前記面状記憶媒体が露出する開口部を開閉するシャ
ッタが摺動可能に配置される領域が表面側に形成されて
なり、射出成形の際に樹脂を射出する１個のゲートが、
前記領域内でかつ前記溝の周縁部に対応する位置に配置
されたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明のシェルによれば、金型には１個のゲー
トを配置すればよいので、金型の構造が簡単になり、製
造コストが低減され、温度コントローラの数も少なくな
り温度コントロールを含めた成形の立ち上げ時間が短縮
され、しかも金型のメンテナンス作業が簡単になる。

【０００９】ここで、前記ゲートが前記溝の周縁部に対
応する位置に配置されているので、ゲートを１個にして
もゲートから射出された樹脂が前記溝に対応して形成さ
れたキャビティに沿って均一に充填される。さらに、前
記ゲートが前記領域内に形成されているので、シャッタ
を配置するとゲート跡が該シャッタにより隠され、シェ
ルの美観を損なうことがない。

【００１０】また、シェルの表面側を成形する金型に１
個のゲートを配置するようにしているので、金型に４個
ないし２個のゲートを設けたものと比べて、シェルの表
面側を成形する金型のもつ熱量を大幅に低減することが
でき、当該金型が冷却され易くなり過度の冷却を行う必
要がなくなり、この結果、成形されるシェルの表面側と
裏面側とがほぼ同時に冷却されて、従来のようなシェル
の表面側が裏面側に対して早く冷却されることが抑制さ
れ、もって、シェルの表面側が平面となるか又は若干凸
となるように反らせることができ、信頼性を向上させる
ことが可能となる。

【００１１】

【実施例】以下に、図面を参照して、本発明の一実施例
のシェルについて説明する。なお、図１は、面状記憶媒
体（例えば、可撓性のある磁気ディスク）を挟むように
配置される２枚１組の板状のシェルの一方を表面側から
見た平面図であり、図２は図１のシェルを裏面側から見
た平面図である。

【００１２】図１及び図２に示すシェル１は、図３に示
すように、金型（固定盤側）２と金型（可動盤側）３の
接合面に形成されたキャビティ４内に、ゲート５から溶
解した樹脂を射出して成形される。図中６はマニホール
ド、７はシェル１のリブ１ａに沿って設けられた入子ラ
イン、８はおなじくリブ１ａに沿って設けられたガス抜
きである。ここで、ゲート５から射出される樹脂として
は、メルトフローが５０以上の樹脂を使用することが好
ましい。

【００１３】前記シェル１には、図２に示すように、そ
の内面に面状記憶媒体が収納される円形の溝部１ｆが形
成され、この溝部１ｆの周縁部にはリブ１ａが形成され
ている。また、シェル１には面状記憶媒体が露出する開
口部（窓部）１ｂが形成されている。シェル１の表面側
には前記開口部１ｂを開閉するシャッタ（図示せず）が
摺動可能に配置される溝部（本発明の領域に相当）１ｃ
が形成されている。

【００１４】また、射出成形の際に樹脂を射出する１個
のゲート５は、前記溝部１ｃ内で、かつ、最も薄肉とな
るスプリング組込領域ｘ内で、かつ、前記溝部１ｆの周
縁部のリブ１ａの外側に配置されるようになっており、
そのゲート跡１ｄがシェル１の内外面に形成されるよう
になっている。前記ゲート５は、図３に示すように、シ
ェル１の表面側を形成する金型（固定盤側）２に設けら
れており、シェル１に形成されるゲート跡１ｄは、図２
に示すように、シェル１の表面側で若干くぼんだ円形溝
状をしているとともに、シェル１の裏面側で若干突出し
た球面突起状をしている。なお、図中１ｅは面状記憶媒
体を回転自在に支持する軸部（図示せず）が配置される
孔である。

【００１５】前記したように、本実施例のシェル１を射
出成形するための金型（固定盤側）２には１個のゲート
５を配置すればよいので、マニホールドを含めた金型の
構造が簡単になり、金型の製造費用が低減され、金型の
メンテナンス作業を簡単に行うことができ、温度コント
ローラ類の点数が低減するため成形の立ち上げ時間を短
縮することができる。

【００１６】しかも、ゲート５を溝部１ｆのリブ１ａの
外側に隣接した位置に配置し、このリブ１ａに沿った形
で入子ライン７を設け、組み合せにより充分なガス抜き
８を設置するようにしているので、ゲート５を１個にし
てもゲート５から射出された樹脂が、図２中の矢印で示
すように、溝部１ｆに対応して形成されたキャビティに
沿って均一に充填される。したがって、シェル１が薄い
板状であっても、樹脂が充填不良となることはない。

【００１７】さらに、ゲートが溝部１ｃ内に形成されて
おり、しかも、シェル１の表面側から射出することで溝
部１ｃに形成されたゲート跡１ｄが円形溝状となってい
るので、シャッタを配置するとゲート跡１ｄが該シャッ
タにより隠され、シェルの美観を損なうことがないとと
もに、シャッタの移動を妨げるといったこともない。

【００１８】また、シェル１の表面側を成形する金型
（固定盤側）２に１個のゲート５を設けるようにしてい
るので、ゲート５に対応して配置されるマニホールド６
等が少なくなり、金型（固定盤側）２のもつ熱量を大幅
に低減することができる。したがって、当該金型２が冷
却され易くなり過度の冷却を行う必要がなくなり、この
結果、成形されるシェル１の表面側と裏面側とがほぼ同
時に冷却され、従来発生していた表面側が凹となる反り
が抑制され、シェル１の表面側が平面となるか又は若干
凸となるように反らせることができる。これにより、シ
ェル１の中心側の位置で面状記憶媒体を１組のシェルで
挟んで面状記憶媒体の回転に支障が出たり面状記憶媒体
が擦れたりすることがなくなり、信頼性を向上させるこ
とができる。

【００１９】なお、前記実施例では、ゲート５を最も薄
肉となるスプリング組込領域ｘ内の所定位置に設けるよ
うにしているが、図２中の１ｇに示すように、スプリン
グ組込領域ｘと対称位置に設けられた領域ｙ内に設ける
ようにしてもよい。

【００２０】また、前記実施例では、シェル１の表面側
を形成する金型２にゲート５を設けて、シェル１の表面
側から樹脂を射出するようにしているが、シェル１の裏
面側を成形する金型にゲートを設け、シェルの裏面側か
ら樹脂を射出するようにしてもよい。このものでは、ゲ
ートを設けた金型が冷却されるので、シェルの表面側よ
りも裏面側の方が早く冷却されることになり、表面側が
凸になる反りを発生させることができる。これにより、
前記実施例と同様に、シェルの信頼性を高めることがで
きる。

【００２１】また、前記実施例では、ゲート５の裏面側
に球面突起状のゲート跡１ｄが形成されるようにしてい
るが、シェル１が薄肉であることからゲート５の裏面を
平面としても、金型のキャビティ内に樹脂を確実に注入
することができる。

【００２２】また、前記実施例では、２枚１組のシェル
１の一方について図示して説明したが、他方のシェル
（機能上若干形状が異なる）についても適用できること
は言うまでもない。

【００２３】また、前記実施例では可撓性を有する磁気
ディスクからなる面状記憶媒体を収納するシェル１につ
いて説明したが、例えば、円盤状の光ディスクや光磁気
ディスク等の面状記憶媒体を収納するシェルにも適用す
ることができる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のシェルに
よれば、射出成形により製造され、円盤状の面状記憶媒
体を両面から挟むように配置される平板状の面状記憶媒
体収納用シェルであって、その内面に前記面状記憶媒体
が収納される円形の溝が形成され、前記面状記憶媒体が
露出する開口部を開閉するシャッタが摺動可能に配置さ
れる領域が表面側に形成されてなり、射出成形の際に樹
脂を射出する１個のゲートが、前記領域内でかつ前記溝
の周縁部に対応する位置に配置されたので、金型の構造
を簡単にでき、製造コストを低減でき、成形の立ち上げ
時間を短縮することができ、金型のメンテナンス作業を
簡単に行うことができ、さらに、シェルの表面側が凹と
なる反りの発生を抑制することができ、もって信頼性を
向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のシェルを表面側から見た平
面図である。

【図２】図１のシェルを裏面側から見た平面図である。

【図３】図１のシェルを射出成形するための金型を示す
図である。

【符号の説明】

１ シェル １ｂ 開口部 １ｃ 溝部（領域） １ｄ ゲート跡 １ｆ 溝部（溝） １ｇ ゲート跡 ２ 金型（固定盤側） ３ 金型（可動盤側）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出成形により製造され、円盤状の面状
   記憶媒体を両面から挟むように配置される平板状の面状
   記憶媒体収納用シェルであって、その内面に前記面状記
   憶媒体が収納される円形の溝が形成され、前記面状記憶
   媒体が露出する開口部を開閉するシャッタが摺動可能に
   配置される領域が表面側に形成されてなり、射出成形の
   際に樹脂を射出する１個のゲートが、前記領域内でかつ
   前記溝の周縁部に対応する位置に配置されたことを特徴
   とする面状記憶媒体収納用シェル。