JPH07191541A - マグネットローラの製造方法 - Google Patents

マグネットローラの製造方法

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JPH07191541A
JPH07191541A JP34834893A JP34834893A JPH07191541A JP H07191541 A JPH07191541 A JP H07191541A JP 34834893 A JP34834893 A JP 34834893A JP 34834893 A JP34834893 A JP 34834893A JP H07191541 A JPH07191541 A JP H07191541A
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JP
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magnet piece
magnet
magnetic
roller
manufacturing
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JP34834893A
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Takeshi Imamura
剛 今村
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マグネットピースの貼り付け工程を少なく、
かつ複雑な成形型や、特殊形状の異形軸を必要とするこ
となしに、マグネットローラを、より低コストで、しか
もより短かい工程時間で作製できるようにしたマグネッ
トローラの製造方法を提供することである。 【構成】 マグネットローラの半製品である成形品を、
成形型2で成形する。この成形型2は、磁性体入子1
1,12と、非磁性体入子13,13と、別のマグネッ
トピースの入る扇形空隙部を作る磁性体入子14とから
構成される。成形後に、扇形空隙部に別のマグネットピ
ースを組み付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一成分又は二成分系の
現像剤を用いる乾式現像装置に採用されるマグネットロ
ーラの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複写機、プリンタ、又はファクシミリな
どの画像形成装置において、潜像担持体に静電潜像を形
成し、これを現像剤によって可視像化するものでは、粉
体の現像剤を用いる乾式型の現像装置が広く採用されて
いる。
【0003】かような現像装置で、現像剤として、キヤ
リアとトナーを有する二成分系、又はキャリアを含まな
い一成分系の磁性現像剤を用い、潜像担持体に対向させ
た非磁性スリーブ(現像スリーブ)と、この内部に設け
たマグネットローラとを相対回転させ、磁性現像剤を非
磁性スリーブ上に磁気的に担持して搬送し、かかる現像
剤によって静電潜像をトナー像として可視像化するもの
が知られている。
【0004】かかる現像装置に使用されるマグネットロ
ーラについては、従来より、色々な製造方法が提案され
ている。例えば、関連公知技術として、特開昭60−1
0610号、特開昭61−29873号、特開昭61−
141113号及び特開平2−194606号等の各公
報によるものが提案されている。
【0005】ところで、非磁性スリーブと、この内部に
設けられるマグネットローラとで構成されるものを「現
像ローラ」と呼ぶ場合があるが、かかる現像ローラは、
通常、図21に示すように構成されている。
【0006】すなわち、この現像ローラ100は、例え
ば金属製の芯軸101Aを中心に貫通させたマグネット
ローラ101と、これを内部に設けた非磁性スリーブ1
02と、この両端側に嵌め込まれる一対のフランジ10
3,104から構成されている。なお、図22は、マグ
ネットローラ101の周りの磁束密度分布の一例を示
し、これは非対称の分布となっている。
【0007】かような磁気特性を有するマグネットロー
ラは、従来、次のような方法で製造されていた。以下、
色々な製造方法(プラスチックマグネットローラやゴム
マグネットローラなどの製造方法)を具体的な事例を挙
げて説明する。
【0008】第1番目の事例に、ロール一体成形極配向
タイプのもの(図15)があるが、これによるもので
は、芯軸101Aを有するマグネットローラ101を作
製するのに、図16に示す成形型を用いている。この成
形型は、円周方向に配した磁場発生ヨーク105や、非
磁性体の入子106などから成り、中心に芯軸101A
を配したキャビティ(成形空間)107内において射出
成形法によりマグネットローラを成形する。
【0009】ここで、例えば、図22に示すような磁束
密度分布が各磁極毎に立つ磁気特性を有するマグネット
ローラを得るためには、マグネットに異方性を持たせる
必要がある。図16のキャビティ107において矢印で
示すものは配向磁界(磁性粒子の方向を目的とする方向
に整え揃えるための磁界)であり、このようなものを、
磁場発生ヨーク105で発生させながら成形を行うので
ある。このようにして、異方性のあるマグネットローラ
の成形品を得ることができるのである。なお、各磁場発
生ヨーク105は、形成すべき各磁極対応位置に置かれ
るようになっている。
【0010】このようにして得られたマグネットローラ
の成形品に対して脱磁を行い、更に、再着磁を行って、
マグネットローラを完成させ、これを非磁性スリーブに
組み付けて、現像ローラを作製する。
【0011】かような製造方法では、工程は簡素である
が、磁束密度やその分布が異なるマグネットローラをそ
れぞれ製作するには、そのそれぞれの専用の型が必要で
あり、これによって試作時に納期が長くなったり、仕様
変更時に成形型仕様の変更が必要になったりする問題が
ある。
【0012】第2番目の事例に、ロール型一体成形等方
性タイプ(構造は図15のものと同じ)のものがある
が、これによるものでは、成形、着磁、組み立てという
製造工程の手順を経る。かかる製造方法では、工程は簡
素であり、型構造も単純であるが、マグネット材料自体
で磁気特性を高めることができず、図22に示すような
磁束密度分布をもつマグネットローラを得ることが難し
い。
【0013】第3番目の事例に、極配向ピース貼付タイ
プのものがあるが、これによるものでは次に述べるよう
な問題がある。
【0014】図17は、このようなタイプのマグネット
ローラを示し、これは芯軸101Aの周りに図のような
形状のマグネットピース108を貼り付け固定して全体
をローラ体としたものである。マグネットピース108
は、図18に示すような成形型、すなわち、磁性体より
成る入子109,110や、非磁性体の入子111から
成る成形型を用い、キャビティ107内で射出成形法に
より作製される。
【0015】かようにして得られたマグネットピースを
脱磁し、次いでこれらを図17に示すように芯軸101
Aの周りに貼り付け固定するのである。次いで、かかる
ローラ体に対して再着磁を行って、マグネットローラを
完成させ、これを非磁性スリーブに組み付けて現像ロー
ラを作製する。
【0016】かような製造方法では、マグネットピース
の形状にバリエーションを持たせることで、試作納期を
短かくすることができるが、工程が複雑であり、コスト
的には不利である。
【0017】第4番目の事例に、極配向ピース貼付タイ
プ(極異方性ピース異形軸貼付タイプ)のものがある
が、これによるものでは次に述べるような問題がある。
【0018】図19はこのようなタイプのマグネットロ
ーラを示し、このマグネットローラは、芯軸112の溝
に複数のマグネットピース108を埋設固定して、全体
をローラ体としたものである。マグネットピース108
は上述の方法で成形し、この成形品に対し脱磁を行い、
且つ、脱磁したマグネットピースを芯軸112の溝に嵌
め込んで貼り付け、各マグネットピースに対して着磁を
行って、マグネットピースを完成させ、これを非磁性ス
リーブに組み付けて現像ローラを作製する。
【0019】かような製造方法では、試作納期が短くな
るが、工程が複雑であり、異形軸のために専用型が必要
となる。
【0020】第5番目の事例に、一方向配向ピース貼付
タイプ(一方向異方性角軸貼付タイプ)のものがある
が、これによるものでは次に述べるような問題がある。
【0021】図20は、このようなタイプのマグネット
ローラを示し、このマグネットローラは、角形の芯軸1
13にマグネットピース114を貼り付け固定して、全
体をローラ体としたものである。
【0022】マグネットピース114は上述の方法で成
形し、この成形品に対し脱磁を行い、且つ、脱磁したマ
グネットピースを芯軸113に貼り付け、各マグネット
ピースに対して着磁を行って、マグネットローラを完成
させ、これを非磁性スリーブに組み付けて、現像ローラ
を作製する。なお、成形品を脱磁しないままに、芯軸1
13に貼り付け、外径切削したのち、完成したマグネッ
トローラを非磁性スリーブに組み立てる方法もある。
【0023】かような製造方法では、成形型構造が単純
であり、試作型と量産型との特性の差を小さくすること
ができるものの、工程が複雑であり、コスト的にも不利
であると同時に、1極のみ仕様変更したときに、他極へ
の影響が大きくなる欠点がある。
【0024】この他、フェライト焼結マグネットローラ
のようなものも提供されているが、これによるもので
は、コスト面で、プラスチックマグネットローラ、ゴム
マグネットローラの双方に大きく劣る。
【0025】いずれにしても、従来のマグネットローラ
の製造方法においては、多数のマグネットピースの貼り
付け工程や、複雑な成形型や、特殊形状の異形軸などを
必要とするため、製造工程の短縮化や製造コストの一層
の引き下げ化を図ることが難しくなっていたのである。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記点に鑑み
なされたものであって、その目的とするところは、マグ
ネットピースの貼り付け工程数を減らし、かつ複雑な成
形型や、特殊形状の異形軸などを必要とせずに、マグネ
ットローラを、より低コストで、しかもより短かい工程
時間で、作製できるようにしたマグネットローラの製造
方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、芯軸の円周方向に、複数のマグネットピー
スを一体形成し、これらのマグネットピースの一つが、
中心角につき180°を越えるマグネットピースとなっ
ているマグネットローラの製造方法であって、中心角が
180°を越えるマグネットピースを、成形型内で、マ
グネットピースに異方性を持たせるための磁場を発生さ
せながら、成形型に配置した芯軸に一体に射出成形した
上、別のマグネットピースを、中心角が180°を越え
るマグネットピースと互いに組み付け固定して全体をロ
ーラ体となし、このローラ体を着磁して、中心角が18
0°を越えるマグネットピースの円周方向の異なる位置
及び別のマグネットピースに対して磁極を形成するよう
にしたマグネットローラの製造方法を提案するものであ
る。
【0028】なお、成形型は、別のマグネットピースが
位置する側の第1の磁性体入子と、この対向側に配設さ
れる第2の軟磁性体入子と、両入子の間に配設される一
対の第3の非磁性体入子と、別のマグネットピースが入
るべき扇状空隙に配設される第4の磁性体入子とから構
成されるものであると、効果的である。
【0029】又、芯軸は、最大比透磁率が103以上の
軟磁性体であると、効果的である。
【0030】更に、第4の磁性体入子は、円周方向に可
動となっていると、効果的である。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に
説明する。
【0032】図1は、本発明一実施例の、マグネットロ
ーラ製造方法に用いられる成形型の断面構造図である。
【0033】図3は、上記製造方法によって得られたマ
グネットローラを示す図である。このマグネットローラ
1は、後述する非磁性スリーブ内に配備され、これによ
り現像ローラが構成され、これが現像装置に組付けられ
て使用される。このとき、例えば非磁性スリーブが回転
駆動されるのに対して、マグネットローラ1は不回転状
態に保持される。
【0034】かかるマグネットローラ1は、例えば金属
製の芯軸1Aの円周方向に、複数のマグネットピースを
一体形成したものとなっている。本例のマグネットロー
ラ1は、2つのマグネットピースA,Bを有するものと
なっている。これらのマグネットピースのうち、一つの
マグネットピースAは中心角θ1が180°を越えるマ
グネットピースとなっている。これに対して、他方のマ
グネットピースBは中心角θ2が180°より小さなも
のとなっている。今仮に、他方のマグネットピースBの
中心角θ2を20°から90°程度の範囲とするものと
して、この場合には、マグネットピースAは中心角θ1
が270°から340°の範囲のものとなる。
【0035】本発明は、かようなマグネットピースの備
えられるマグネットローラを製造する方法に関するもの
である。
【0036】マグネットピースBは、全体が図13に示
すような構成形状となっていて、これは、射出成形又は
押し出し成形によって、専用の成形型(不図示)で、マ
グネットピースAとは別途に作製される。
【0037】一方、マグネットピースAについては、図
1に示した成形型2を用いて作製される。なお、マグネ
ットピースAの材料としては、マグネットピースBと共
に、例えばナイロン、塩化ビニル、エチレンエチルアク
リレート等の高分子化合物に、Srフェライトや、Baフ
ェライトなどの磁性粉を混合混練したものが用いられ
る。
【0038】本例の成形型2は、マグネットピースAの
方を、その成形型に配置した芯軸1Aに一体に射出成形
法によって成形するものである。かかる成形型2は、後
で組み付けられる別のマグネットピースBが位置する側
の第1の磁性体入子11と、この対向側に配設される第
2の軟磁性体入子12と、両入子11,12の間に配設
される一対の第3の非磁性体入子13,13と、別のマ
グネットピースBが入るべき扇状空隙に配設される第4
の磁性体入子14とから構成される。第1の磁性体入子
11と第4の磁性体入子14も、軟磁性体、又はその他
の磁性体から構成される。このような成形型は、図4に
P−Pで示した線がパーティングラインとなり、これに
より区切られる第2の軟磁性体入子12の側と、第1の
磁性体入子11、第3の非磁性体入子13,13及び第
4の磁性体入子14の側のいずれか一方が可動側とな
り、他方が固定側となる。
【0039】上述した複数の入子に囲まれる、断面が馬
蹄形のキャビティに対して、芯軸1Aを入れたままで射
出成形を行うと、図2に示すような、芯軸1Aを有する
成形マグネットピースAが得られる。図1に示すよう
に、軟磁性体入子12には、成形型2のパーティングラ
インP−Pと直交する向きに配置された磁場発生用コイ
ル3が取り付けられている。このコイル3は磁場発生手
段の一例を構成するものであり、成形時に、かかる磁場
発生用コイル3を通電すると、成形型が図1に示すよう
な構造となっているため、キャビティ内には矢印方向の
磁場が発生する。すなわち、成形時には矢印方向に配向
磁場が形成され、成形されるマグネットピースAは異方
性を有するものとなるのである。このように、中心角が
180°を越えるマグネットピースAを、成形型2内
で、マグネットピースAに異方性を持たせるための磁場
を発生させながら、成形型2に配置した芯軸1Aに一体
に射出成形するのである。
【0040】次いで、成形型から取り出したマグネット
ピースAの扇形空隙部4に、別のマグネットピースB
(図3及び図13)を入れ込んで、これを接着などによ
りマグネットピースA及び芯軸1Aに対して固定する
と、全体としてローラ体となったものが得られる。この
ようにして、別のマグネットピースBを、中心角が18
0°を越えるマグネットピースAと互いに組み付け固定
して全体をローラ体となすのである。
【0041】なお、別のマグネットピースBは、前述の
ように射出成形や押し出し成形によって別途作製される
が、この作製時にも、磁場発生手段を用いて磁場を発生
させながら別のマグネットピースBを成形し、これに異
方性を持たせる。そして、上述のようにマグネットピー
スA,Bを一体に組み付けた後のローラ体、又はその組
み付け前の各マグネットピースA,Bを脱磁する。但
し、場合によってはこの脱磁工程を省略することもでき
る。
【0042】次いで、かかるローラ体を、図12(a)
に示すような着磁ヨークY1〜Y5によって着磁し、マグ
ネットピースAの円周方向の異なる位置及び別のマグネ
ットピースBに対して磁極を形成する。例えば、図5に
示すような磁束密度分布となる磁界をローラ体の周りに
形成させるようにする。このようにして、所定のマグネ
ットローラが得られるのである。
【0043】本例の製造方法によれば、マグネットピー
スAの成形品は、この中心角が180°を越えるものと
なっているので、インサートした芯軸1Aに対して半径
方向に収縮力(成形品Aが収縮しようとする力)が働く
ため、芯軸1AとマグネットピースAの間を接着剤など
で接着固定するようなことをしないで済み、かような接
着工程が不要になる。すなわち、マグネットピースAの
貼り付け工程が不要になり、より短い工程時間でマグネ
ットローラを作製することができるようになるのであ
る。又、その製造コストも引き下げることができる。し
かも、完成したマグネットローラの径が同一であれば、
その磁束密度やその分布の異なるマグネットローラは、
同一の成形型で成形することができる。
【0044】更に、芯軸としては図19及び20に示す
ような異形軸でなくてもよく、単純な丸棒であれば良
い。
【0045】なお、マグネットピースAの成形品が図2
に示すような構成形状の場合、成形収縮や、温度や、湿
度などの影響により、成形品の反りの発生が懸念される
が、この場合、芯軸や、マグネットピースAの材料を巧
く選ぶことにより、実用上、問題の無い反りとすること
ができる。具体的には、芯軸1Aに、SUS(ステンレ
ス鋼)、SUM(快削鋼)等の比較的安価な材料を用
い、マグネット材料に、ヤング率の低いエチレンエチル
アクリルレート等をべースとする材料を用いれば良い。
【0046】ところで、図1に示した成形型でマグネッ
トピースAを成形し、キャビティ内に磁場発生コイルに
より磁場を発生させ、材料を異方化した場合、磁場が或
る特定域に集中しないため、前述した1,3,4,5の
従来の事例により得られたマグネットローラほど高い磁
気特性は得られない。しかしながら、マグネットローラ
を後述する如く、非磁性スリーブに組み付けて現像ロー
ラを構成したとき、かかる現像ローラに求められる磁気
特性は、全極に高い磁束密度が必要な場合は少なく、通
常は一極(例えば現像極)のみに高い磁束密度が必要と
なっている。例えばスリーブ上で1000〜1200ガ
ウス程度(図5)となっている。これに対して、他の極
は最大でも800ガウス程度となっている。従って、最
も高い磁束密度が必要な極に、マグネットピースB(図
3)を配置することで、必要な磁気特性仕様を満足させ
ることができる。
【0047】一方、図1に示す構造の成形型2を用いた
場合に、磁性体入子12の側(半円全周の側)の成形部
分は、ほぼ均等に半径方向に異方化されるため、かかる
成形部分について、均等な磁気特性、すなわち均等な配
向度を得ることができ、次工程の着磁工程(図12
(a))で、着磁制御が容易になると同時に、等方性の
マグネットに比べ、高い磁気特性を得ることができる。
【0048】かような一連の理由で、マグネットピース
をA,Bの2つに分け、マグネットピースBについて
は、現像極などに使用すべく、その磁束密度を強くする
ことができるのである。
【0049】なお、成形型内にインサートする芯軸1A
の材質として、最大比透磁率が好ましくは103以上の
軟磁性体、例えば鉄を用いると、成形時におけるキャビ
ティ内の磁場(配向磁界)が強くなり、マグネットロー
ラについて高い磁気特性(配向度)を得ることができ
る。すなわち、求められている仕様に応じて、磁場発生
の有無、大きさなどを制御することによって、最適な磁
気特性条件を設定することができるのである。
【0050】ここで、図5は、マグネットローラ(現像
ローラ)の周りの磁束密度分布を示すものであり、例え
ば着磁ヨークY1(図12(a))によって、マグネッ
トローラにはP1なる磁極が形成される。この磁極P1
例えば最も強い磁束密度を必要とする現像極として使用
される。これに対して、他の磁極P2〜P5(図5)は、
各着磁ヨークY2,Y3,Y4,Y5によって形成され、後
述する非磁性スリーブ上の担持現像剤を、現像剤層厚規
制ブレード(不図示)に向けて汲み上げたりする磁極
や、その他の磁極に使用され、その各磁極の磁束密度は
先にも述べたように最大でも800ガウス程度となって
いる。
【0051】画像形成装置や現像装置の仕様変更などに
よって、例えば、現像極P1の位置(円周方向の位置)
だけを変えたい場合がある。例えば図5に示すように、
現像極P1の磁束密度を矢印方向に動かして、破線で示
すような位置にしたい場合がある。
【0052】この種のマグネットローラの製造方法にあ
っては、最も重要な特性である磁気特性、すなわち磁束
密度やその分布が、工程や工法が変わると、変わってし
まう可能性があるため、試作時を含めて、なるべく同一
の工程で、マグネットローラを製造できるようにするこ
とが望ましい。更に、具体的に言えば、磁気特性につい
ては設計段階で基本仕様を設定するが、実機評価の結果
などにより、磁気特性の変更(現像極の位置の変更な
ど)が必要となることが多いため、マグネットローラの
構造や製造工程などについては、これらの仕様変更に速
やかに対応できることが望ましいのである。
【0053】そこで、例えば図1に示す成形型2におい
て、各入子のうち磁性体入子14を円周方向に可動にす
ると、製造工程や型構造を変えることなく、速やかに目
的とする仕様のマグネットローラを作製することができ
る。
【0054】例えば、図4に示す磁性体入子14を二点
鎖線方向(右側の方向)に移動させれば、図5におい
て、破線で示すような磁束密度(例えば現像極の磁束密
度)を得ることができる。すなわち、図2に示す扇形空
隙部4の円周方向位置が変わり、磁極P1の位置を右側
へ寄せることが可能になるのである。
【0055】ここで、図6は、可動入子とも言うべき磁
性体入子14が中央位置に置かれた状態を示す。マグネ
ットローラの円周方向の位置が変わらないものとして、
仮に、図5に示す磁極P1が現像極であるものとして、
これが真上に来る位置(図の位置)を、便宜上、芯軸基
準位置としておく。すなわち、図6に示す芯軸1Aが、
図のS位置にあるときを、芯軸基準位置とするのであ
る。可動の磁性体入子14は、この中央線がかかる芯軸
基準位置Sに合致するように置かれている。
【0056】磁性体入子14が、かような位置に置かれ
るときは、図7に示すようなマグネットピースAの成形
品が得られる。符号4で示すものは、マグネットピース
Bが入る扇形空隙部である。
【0057】図6の磁性体入子14をS位置(芯軸基準
位置)から右側へ寄せ、図4の二点鎖線位置に合致させ
ると、磁性体入子14の位置は図8に示す位置となり、
この位置で成形を行うと、図9に示すような成形品が得
られる。
【0058】ここで、図6において、マークM(××マ
ーク)は図1に示す配向磁界(矢印)の起点部の範囲
(半円周)を示すものである。図9に示す成形品におい
ては、かかるマークMの位置が、当初の場合(図6の位
置の場合)と変わることがない。すなわち、図5に示す
磁極P1による磁束密度が右へ寄るものの、他の磁極P2
〜P5の磁束密度の位置は変わらないのである。
【0059】このように、磁性体入子14の円周方向の
位置を選択的に変えることによって、マグネットBの位
置(ある特定極の位置)を変えることができ、仕様変更
等により極位置の変更が必要になったとき、これに容易
に対応することができる(磁束密度変更の場合には、次
工程である着磁工程において着磁条件により対応す
る)。
【0060】これに対して、芯軸1Aの円周方向の位置
を変える方法がある。例えば、図10に示すように、磁
性体入子14の位置は変えないようにして、芯軸1Aを
図6の位置から図10の位置に変更する。すなわち、目
的とする磁極の位置変更角だけ、芯軸1Aの円周方向位
置を変えるのである。この場合は、芯軸1Aの位置を反
時計廻り方向に変えている。
【0061】このようにした状態で成形を行えば、図1
1に示すような成形品が得られる。しかしながら、マー
クM(配向磁界の起点部の範囲)の位置が変わってしま
う。すなわち、ある特定極(例えば現像極)の位置を変
えることができるものの、配向磁界の相対的な位置が変
わってしまうのである。
【0062】図12(a)は、通常(特定極の位置の変
更要求のない場合)の着磁工程を示すものである。同図
(b)は、特定極の位置の変更要求がなされた場合であ
って、可動磁性体入子の位置を変更した方式における着
磁工程を示すものである。この場合、着磁ヨークY1
みの位置を時計廻り方向に変える。
【0063】同図(c)は、同じく特定極の位置の変更
要求がなされた場合であって、芯軸の位置、すなわち、
芯軸基準位置を変更した方式における着磁工程を示すも
のである。この場合も、着磁ヨークY1のみの位置を変
える。しかしながら、この方式では、マークMの位置が
変わり、配向磁界の担持位置が変わってしまうので、全
磁極の異方化度合が異なるようになり、他の磁極(P1
以外の磁極)の特性も変化してしまう。
【0064】以上の点に鑑みて、可動磁性体入子14の
位置を変更する方式が有利なのである。同一の製造工程
で、しかも成形型構造を変えることなく、ある特定磁極
の位置変更要求に即座に答えられるのである。
【0065】なお、本発明のマグネットローラ製造方法
を、工程毎に説明すると次のようになる。
【0066】先ず、図1に示す成形型を用いた成形工程
である。次いで、図13に示すように、マグネットピー
スAの成形品の扇形空隙部4にマグネットピースBを組
み付け、これを接合固定してローラ体を得る工程であ
る。更に、このローラ体、又はこのローラ体を構成する
前の各マグネットピースA,Bを脱磁する工程である。
この脱磁工依を省くこともできる。更に図12(a)に
示すように、各着磁ヨークY1〜Y5を用いた着磁工程で
ある。更に、図14に示すような組み立て工程である。
すなわち、非磁性スリーブ5内に、得られたマグネット
ローラ1を挿入し、且つスリーブ両端側にフランジ6,
7を嵌め込んで、現像ローラ10を完成する。このよう
な現像ローラ10を、一成分系又は二成分系の磁性現像
剤を用いる現像装置に組み付けるのである。
【0067】かような製造方法においては、マグネット
ピースAに組み付けるマグネットピースとしては、1個
(本例ではマグネットピースB)若しくは2個程度で済
むので、冒頭で述べた従来の製造方法と比べて製造工程
が簡素になる。
【0068】なお、次に示す表1は、本発明例と従来例
(先に説明した第1番から第5番目までの従来の事例)
とをコスト等の面から比較した評価表である。比較例1
は、前述の従来の第1番目の事例であり、比較例2は同
じく第2番目の事例である。同様に比較例3は第3番目
の事例、比較例4は第4番目の事例、そして比較例5は
第5番目の事例である。比較例1の「試作コスト、納
期」については、専用型が必要である。表1の一番左の
「コスト」は工程の簡素さを示す。
【0069】
【表1】 *優:A→A′→…→C′:劣
【0070】上記表に基づいての評価結果をまとめる
と、次のようになる。 1.比較例1、3〜5は磁気特性は高いが発明例に比べ
コスト等で劣る。 2.比較例2はコスト、試作納期等で最も有利だが磁気
特性が低く仕様を満足できない場合が多い。 3.本発明例は、磁気特性で比較例1,3〜5よりも多
少劣るが、他の項目で優っており、磁気特性も現状求め
られている仕様に対しては充分対応が可能であり、実使
用上問題はない。
【0071】
【発明の効果】請求項1に記載の製造方法によれば、中
心角が180°を越えるマグネットピースに、芯軸に向
かう半径方向収縮力が働くので、成形したままで、かか
るマグネットピースを芯軸に一体化することができ、そ
の接着工程を省略することができる。そして、この省略
によって、マグネットローラの製造工程時間を短縮する
ことができ、又、その製造コストを引き下げることがで
きる。
【0072】請求項2に記載の製造方法によれば、各入
子の組み合わせにより、成形時における配向磁界が適正
に形成されるので、高い磁気特性のマグネットローラを
得ることができる。
【0073】請求項3に記載の製造方法によれば、成形
時におけるキャビティ内の配向磁界の強さが強くなるの
で、高い磁気特性のマグネットローラを得ることができ
る。
【0074】請求項4に記載の製造方法によれば、任意
の磁極の円周方向の位置を単独で変えるような要求に対
して、成形型構造を変えたり、製造工程を変えたりする
ことなく、即座に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の、マグネットローラ製造方法
に用いられる成形型の断面構造図である。
【図2】上記マグネットローラの成形工程で得られるマ
グネットピース成形品の斜視図である。
【図3】完成したマグネットローラの正面構成図であ
る。
【図4】上記成形品を作製するための成形型の断面図で
ある。
【図5】得られるマグネットローラの磁束密度分布を示
す図である。
【図6】上記成形型の要部を示す断面図である。
【図7】同上成形型で得られたマグネットピース成形品
の正面構成図である。
【図8】可動非磁性体入子の円周方向位置を変えた場合
の成形型の断面図である。
【図9】同上成形型で得られたマグネットピース成形品
の正面構成図である。
【図10】芯軸の円周方向位置を変えた場合の成形型の
断面図である。
【図11】同上成形型で得られたマグネットピース成形
品の正面構成図である。
【図12】成形品の着磁工程を、可動非磁性体入子の位
置変更方式や、芯軸位置変更方式等について示す図であ
る。
【図13】扇形空隙部に、別のマグネットピースが接着
固定されるマグネットピース成形品の斜視図である。
【図14】マグネットローラや、非磁性スリーブや、フ
ランジなどを組み立てる様子を示した図である。
【図15】従来の製造方法に係るマグネットローラの正
面構成図である。
【図16】同上マグネットローラを作製するための成形
型構造図である。
【図17】従来の別の製造方法に係るマグネットローラ
の正面構成図である。
【図18】同上マグネットローラの一つの構成体である
マグネットピースを作製するための成形型構造図であ
る。
【図19】従来の更に別の製造方法に係るマグネットロ
ーラの正面構成図である。
【図20】従来の更に別の製造方法に係るマグネットロ
ーラの正面構成図である。
【図21】従来の製造方法によって得られた現像ローラ
の断面構成図である。
【図22】同上現像ローラの磁束密度分布を示す図であ
る。
【符号の説明】 1 マグネットローラ 1A 芯軸 2 成形型 4 扇形空隙部 11 第1の磁性体入子 12 第2の軟磁性体入子 13 第3の非磁性体入子 14 第4の磁性体入子 A マグネットピース B マグネットピース θ1 中心角 θ2 中心角

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯軸の円周方向に、複数のマグネットピ
    ースを一体形成し、これらのマグネットピースの一つ
    が、中心角につき180°を越えるマグネットピースと
    なっているマグネットローラの製造方法であって、中心
    角が180°を越えるマグネットピースを、成形型内
    で、マグネットピースに異方性を持たせるための磁場を
    発生させながら、成形型に配置した芯軸に一体に射出成
    形した上、別のマグネットピースを、中心角が180°
    を越えるマグネットピースと互いに組み付け固定して全
    体をローラ体となし、このローラ体を着磁して、中心角
    が180°を越えるマグネットピースの円周方向の異な
    る位置及び別のマグネットピースに対して磁極を形成す
    ることを特徴とするマグネットローラの製造方法。
  2. 【請求項2】 成形型は、別のマグネットピースが位置
    する側の第1の磁性体入子と、この対向側に配設される
    第2の軟磁性体入子と、両入子の間に配設される一対の
    第3の非磁性体入子と、別のマグネットピースが入るべ
    き扇状空隙に配設される第4の磁性体入子とから構成さ
    れるものである請求項1に記載のマグネットローラの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 芯軸は、最大比透磁率が103以上の軟
    磁性体である請求項1又は2に記載のマグネットローラ
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 第4の磁性体入子は、円周方向に可動と
    なっている請求項2に記載のマグネットローラの製造方
    法。
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