JPH0717748Y2 - 出窓の防水構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、出窓の防水構造に関する。

従来技術 出窓は、通常、屋根部と床部、これらの間の正面部およ
び両側面部で構成され、躯体側に位置する縦枠で躯体に
取付けられる。

正面部や両側面部はガラスの嵌めころしや開閉できる障
子を取り付けた採光部とされるので、枠組みされた構造
となっており、前記のように躯体側に縦枠が配置され
る。また、屋根部や床部はこの枠組みの上下部に構成さ
れる。

この場合に床部はアルミ製の床板を屋内側から前記枠組
みの下部枠組み（正面部下枠と左右の袖下枠が連続して
いる構造）に縁辺を差し込んで取り付け、その屋内側縁
は躯体に取り付ける縦枠より屋内側に配置するのが普通
なので、前記縦枠と下部枠組みとの結合個所では床板の
一部が縦枠の切欠き部に嵌入し、縦枠の下部と床板が重
合する。

そして、この個所はメタルタッチなので、出窓の枠組み
を組み立てた後、これを建物の躯体に取付ける前に、前
記縦枠の内面側からこの個所にシール材を充填してい
た。

しかし、このシーリングは現地作業なので、完全度にム
ラがあり、防水性能が一定せず、浴室用出窓などでは床
面上の水滴が縦枠と床板の重合部から躯体側に侵入し
て、縦枠を固定している柱などを腐らせてしまうことが
ある。

また、このようなシーリング方式では出窓を取り付けて
しまうと縦枠の外面側から外観を損なわずにシーリング
することは困難であるから、シーリングを忘れないよう
にする必要がある。

考案が解決しようとする課題 この考案は、出窓における縦枠下部と床板との重合個所
がムラなく確実に防水され、また、シール忘れの生じな
い、出窓の防水構造を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段 縦枠の内面に沿った立面と床板の上面に沿った底面を有
するシールピースを、縦枠の内面から床面にわたって連
続し該シールピースと縦枠の内面および床面間に介在す
ることとなるシール材を装着して、出窓における縦枠下
部と床板との重合個所で縦枠の内面側となる床板上に固
定しておく。

作用 シールピースは、シール材の支持部となり、シール材を
出窓の組み立て前に床板上に配置しておくことを可能と
する。

前記のようにあらかじめ配置されたシール材は均一なシ
ール効果を発揮する。

実施例 第2,3図はトップライト出窓１の概要を示し、屋根部２
と床部３、これらの間の正面部４および両側面部５（a,
b）で構成され、躯体６側に位置する縦枠７（a,b）で躯
体に取付けられている。

正面部４は引違いの引戸が装着されて採光部とされ、屋
根部２および側面部５はガラスの嵌めころし構造により
採光部とされている。

出窓１はこれが取付けられる建物開口部の内周面を化粧
する額縁８を備え、その底面部は膳板兼用の後ろ床板９
で構成される。

床部３はアルミ製の前床板10を屋内側から前記枠組みの
下部枠組み〔正面部下枠11と左右の側下枠12（a,b）が
連続している構造〕に縁辺を差し込んで取り付け、その
屋内側縁に額縁８の後ろ床板９が連続して結合され、全
体として一体の床板13に形成されている。そしてこの床
板13の屋内側縁ｐは躯体に取付けた縦枠７より屋内側に
位置する。

一方、第３図、第４図（イ）のように縦枠７は額縁８の
側壁14（a,b）の屋外側端を化粧するために、出窓１の
内側に張り出す突出部15（a,b）を備えているので、前
記縦枠７と下部枠組みとの結合個所では第１図のように
後ろ床板９（床板13）の一部が縦枠７の切欠き部に嵌入
し、縦枠７の下部と後ろ床板９が重合する。

なお、後ろ床板９は第３図のように、屋内側では側壁14
（a,b）の配置に合わせた幅であるが、前記縦枠７の突
出部15（a,b）の個所では前床板10の幅に合わせて広幅
に形成されている。

そして、縦枠７の下部における後ろ床板９（床板13の一
部）との重合個所には、後ろ床板９上にシールピース16
が、該床板９の下面側から螺入したビス17によって固定
されており（第４図ロ）、その位置は縦枠７の内面側と
なる個所である。

シールピース16は合成樹脂の成形品で、第５図に示すよ
うに全体として立方体を呈し、縦枠７の内面に沿った立
面18a,18b、および後ろ床板９の上面に沿った底面18cを
有し、これらの面にはシール材19を装着するための溝な
いし凹部が形成され、また、底面18cにはねじ孔20が設
けられている。

シール19はブチルゴムの成形品で、底面部19a、正面の
立上り部19bと下縁部19cおよび側面の下縁部19dと立上
り部19eを一体に備えている。

なお、シールピース16はシール材19を装着して工場にて
あらかじめ化粧板９の前記個所に固定される。

出窓１は、建物開口部に次のようにして取付けらる。

開口部の内周に額縁８を装着する。この際、後ろ床板９
に対し両側の側壁14（a,b）は縦通しに当接され、両者
間にシール材を介在させて固定される。

出窓１の屋根部２、正面部４、および両側面部５（a,
b）を枠組みして前床板10を取付ける。

この枠組みを屋外側から開口部に差し込み、躯体側の縦
枠８（a,b）をそれぞれ躯体７（a,b）に当接させた後、
下方に移動して突出部15の下端を後ろ床板９に当接させ
て固定する。この際、前床板10の屋内側縁を後ろ床板９
の前縁に係合しておく。

これにより、出窓１は開口部に取付けられ、前床板10と
後ろ床板９からなる床板13が完成する。

この後、採光部にガラスや引戸が装着されるが、縦枠７
と後ろ床板９とがメタルタッチで接触する部分の外側
（縦枠７の内面側）には、あらかじめ後ろ床板９に取付
けられていたシールピース16とシール材19によって、縦
枠７の内面および床面間にわたって、シール材が連続し
て圧着配置されて水密に構成されており、この個所に対
し後からシーリング作業を施す必要はない。

以上のように本考案によれば、出窓１の躯体に取付けら
れる縦枠７の下部と後ろ床板９（床板13）との重合部分
のシーリングは縦枠を取り付けると同時に達成される。

以上は実施例である。

シーリングピース16におけるシールを取り付けるための
構造は図示したものに限定されない。また、シーリング
ピース16の固定は接着など、ビスによる以外の固定方法
であっても良い。

考案の効果 出窓を取付けながら、シーリング作業を行う必要がない
ので、出窓取付けの手間が削減され、また、躯体側縦枠
と床板との当接個所が外観良く仕上がる。

あらかじめ施しておかねばならないシーリング作業がな
くなるので、シーリングを忘れることによる漏水や、そ
の個所に後からシーリングすることによる外観の劣化が
生じない。

シーリングピースとシール材の取付けをあらかじめ工場
で行っておくことにより、躯体側縦枠と床板との重合個
所における水密をどの出窓取付けに際しても確実にムラ
なく行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一部を透視的に示した要部の斜視図、第２図は
断面にて示す側面図、第３図は断面にて示す平面図、第
４図（イ）は平面図、第４図（ロ）は断面にて示す側面
図、第４図（ハ）は正面図、第５図（イ）（ロ）は斜視
図である。 ６…躯体、７（a,b）…縦枠、９…後ろ床板、10…前床
板、13…床板、16…シールピース、19…シール材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】出窓における縦枠下部と床板との重合個所
   において、縦枠の内面に沿った立面と床板の上面に沿っ
   た底面を有するシールピースが縦枠の内面側となる床板
   上に固定され、該シールピースと縦枠の内面および床面
   間にわたって、シール材が連続して圧着配置されている
   ことを特徴とした出窓の防水構造。