JPH0717664Y2 - 自動二輪車のフレ−ム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は自動二輪車のフレームに係り、特にスクータ
等のアンダボーンタイプの車体フレームに関する。

〔考案の技術的背景とのその問題点〕

従来、この種のスクータ用フレームはアンダボーンタイ
プのメインフレームの前端にヘッドパイプが固着され、
その後端端部両側に対をなすサイドフレームが後上方に
延びるように取付けられる。サイドフレームの取付部に
は応力が集中するため補強プレートが固着される。この
補強プレートにエンジン懸架用のエンジン懸架プレート
が装着される一方、このエンジン懸架プレートにはメイ
ンスタンド取付部が形成され、このスタンド取付部にメ
インスタンドが支持される。

このため、スクータ走行時にメインスタンドに飛散した
石等が当ると、エンジン懸架プレートのスタンド付け根
に大きな衝撃力が作用し、エンジン懸架プレートが破損
したり、破壊する恐れがあり、その取り換えに多大な作
業時間と労力とを要していた。

また、スクータ用フレームとしてメインフレームの後端
部に１本のプレス製後部フレームを取付けたものも存在
する。このスクータ用フレームはメインスタンドをフレ
ームに直接取付けるためエンジン懸架プレートに悪影響
を及ぼすことはないが、１本の後部フレームが車体中央
部に配設されているため燃料タンクの設置スペースに大
きな制約を受け、タンクスペースを大きくとることがで
きず、燃料タンクは必然的に小容量化しなければならな
かった。

〔考案の目的〕

この考案は上述した事情を考慮してなされたもので、強
固な補強プレートを有し、サイドフレームをメインフレ
ームにを安定的に、かつ強固に固着できる一方、エンジ
ン懸架プレートに悪影響を与えるのを確実に防止すると
ともに、有効活用スペースを大きく取ることができ、燃
料タンクの大容量化を可能にした自動二輪車のフレーム
を提供することを目的とする。

〔考案の概要〕

上述した目的を達成するために、この考案は、前端にヘ
ッドパイプを固着したパイプ製メインフレームの後端部
両側に後上方に延びる対をなすサイドフレームの前方下
端部を取り付けた自動二輪車のフレームにおいて、前記
メインフレームの後端部両側には平坦部が形成され、こ
の平坦部に前記サイドフレームの前方下端部が取り付け
られてパワーユニットを挟むようにＶ字状あるいはＵ字
状に拡開して後上方に延設される一方、前記メインフレ
ームとサイドフレームとの取付部後方で上方開放型コ字
状構造の補強プレートを対をなすサイドフレーム間に掛
け渡し、前記補強プレートの前上方部を上記サイドフレ
ームの前方下部に、前記補強プレートの前端部を前記メ
インフレーム後端部の平坦部後端延長部にそれぞれ固着
し一体化したものである。

また、上述した目的を達成するために、その考案は、補
強フレームはその左右に対をなすエンジン懸架プレート
を備え、このエンジン懸架プレートは補強手段により前
記補強プレートに軸支される一方、前記補強プレートに
エンジンマウント部およびメインスタンド取付部を一体
に形成したものである。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の好ましい実施例について添付図面を参
照して説明する。

第１図はこの考案に係る自動二輪車のフレームを、スク
ータ用フレームに適用した例を示し、図中符号10はアン
ダボーンタイプのスクータの車体フレームを示し、この
車体フレーム10は前端にヘッドパイプ11を固着したアン
ダボーンタイプのパイプ製メインフレーム12を有する。
メインフレーム10の後端部の両側には例えば圧壊により
平坦部30が形成され、この平坦部30の両側には対をなす
例えばパイプ製のサイドフレーム13,13の前方下端部が
溶接等により固着される。また、平坦部30は後方に延長
され、延長部31を形成する。

サイドフレーム13は第３図ないし第５図に示すようにＶ
字状あるいはＵ字状に拡開して後上方に延びるように湾
曲成形される一方、サイドフレーム13のメインフレーム
12への取付部に後方から上方開放型のコ字状構造をなす
補強プレート14が跨設される。

補強プレート14の前上方部14aはサイドフレーム13の前
方下部13aに、補強プレート14の前端部14bはメインフレ
ーム平坦部30の延長部31にそれぞれ固着され一体化され
る。

また、補強プレート14には、第２図乃至第５図に示すよ
うに、エンジンマウント部15およびメインスタンド取付
部16が形成される。エンジンマウント部15にはエンジン
懸架プレート17が補強手段であるマウントロッド18によ
り対をなして軸支され、この懸架プレート17はゴム等の
弾力性を有する弾性ストッパ19に保持される。この弾性
ストッパ19は補強プレート14から外側方に突出する固定
ピン20に軸装される。また、上記エンジン懸架プレート
17の自由端部にはエンジン21前方下部から延びるエンジ
ンマウントブラケット32を軸支する取付シャフト22が装
架される。

一方、補強プレート14の下面は閉じられて後方あるいは
後下方に延び自由端部14cを形成する。メインスタンド
取付部16はこの自由端部14cに形成され、この取付部16
にメインスタンド24が揺動自在に軸支される。メインス
タンド24は常時収納位置側にばね付勢される一方、メイ
ンスタンド24はスタンドストッパ部25により前方への傾
動が規制される。スタンドストッパ部25は補強プレート
14の自由端部14cの一部であるブリッジ部26後側を例え
ば波形に形成することにより構成され、このブリッジ26
の後部を波形に形成することにより、メインスタンド取
付部16が強度的に補強される。

しかして、補強プレート14は上方開放型のコ字状構造を
なし、その下面は閉じられている一方、固着面積の大き
い補強プレート14の前上方部14aはサイドフレーム13の
前方下部13aに、補強プレート14の前端部14bはメインフ
レーム平坦部30の延長部31にそれぞれ固着され一体化さ
れているため、補強プレート14そのものの剛性が高くな
る。また、補強プレート14に形成されたエンジンマウン
ト部15にはエンジン懸架プレート17が補強手段であるマ
ウントロッド18により対をなして軸支されているため、
補強プレート14の剛性はより一層高くなる。これらの結
果、メインフレーム12にサイドフレーム13,13を安定的
に、かつ強固に固着できる。

ところで、メインフレーム12とサイドフレーム13,13と
の取付部に跨設される補強プレート14は、その剛性が高
いため、エンジンマウント部15の他にメインスタンド取
付部16が形成可能になる。車体フレーム単体のコストは
従来タイプの車体フレームより若干高くなるが、エンジ
ン取着のためのコストダウンを図ることができるので、
全体的にはコストダウンを図れるメリットがある。

さらに、メインスタンド24を、メインフレーム12および
サイドフレーム13,13の取付部に固着された補強プレー
ト14に取付けることにより、エンジン懸架プレート17を
破損させたり、破壊させる恐れを激減させることができ
る。

さらにまた、前フレームを形成するメインフレーム12の
後端部両側の平坦部30に後フレームであるサイドフレー
ム13,13をＶ字状あるいはＵ字状に拡開して後上方に延
設して取付けたため、サイドフレーム13とエンジン懸架
プレート17とで構成される中央部に、大きなスペースを
確保することができ、このスペースにエンジン21や各種
機能部品を有効的に配置することができる。例えば燃料
タンク27は対をなすサイドフレーム13、13間に配設可能
になるので、１本の後部フレームが中央に配置された従
来のタイプより、上方に延長させることができ、大容量
化が可能になる。

〔考案の効果〕

以上に述べたようにこの考案に係る自動二輪車のフレー
ムは、補強プレートは上方解放型のコ字状構造をなし、
メインフレームとサイドフレームとの取付部後方で対を
なすサイドフレーム間に掛け渡され、補強プレートの前
上方部をサイドフレームの前方下部に、補強プレートの
前端部をメインフレーム後端部の平坦部後端延長部にそ
れぞれ固着し一体化されるので、補強プレートの剛性が
高められ、その結果サイドフレームをメインフレームに
を安定的に、かつ強固に固着できる。

また、補強プレートはその左右に対をなすエンジン懸架
プレートを備え、このエンジン懸架プレートは補強手段
により前記補強プレートに軸支されるため、補強プレー
トがより一層強固になり、この補強プレートにエンジン
マウント部の他にメインスタンド取付部が形成できる。

さらに、パイプ製メインフレームの後端部両側には平坦
部が形成され、この平坦部にＶ字状あるいはＵ字状に拡
開して後上方に延設されたサイドフレームの前方下端部
が取り付けられたため、サイドフレーム間に案内される
パワーユニットを従来より前方に位置させることがで
き、ホイールベースを短くして軽量コンパクト化を図れ
るとともに、エンジンマウント部とサイドフレームとの
間の中央部に大きな空間を形成することができ、この空
間に機能部品を有効的に配置し、設計の効率化を図るこ
とができ、かつ燃料タンクの大容量化を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る自動二輪車のフレームの一実施
例を示す図、第２図は第１図に示す自動二輪車のフレー
ムの要部を拡大して示す図、第３図は第２図のIII−III
線に沿う図、第４図は第２図のIV−IV線に沿う平断面
図、第５図は第２図のＶ−Ｖ線に沿う図である。 10…車体フレーム、11…ヘッドパイプ、12…メインフレ
ーム、13…サイドフレーム、14…補強プレート、15…エ
ンジンマウント部、16…メインスタンド取付部、17…エ
ンジン懸架フレーム、21…エンジン、24…メインスタン
ド、27…燃料タンク、30…平坦部、32…エンジンマウン
トブラケット。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前端にヘッドパイプを固着したパイプ製メ
   インフレームの後端部両側に後上方に延びる対をなすサ
   イドフレームの前方下端部を取り付けた自動二輪車のフ
   レームにおいて、前記メインフレームの後端部両側には
   平坦部が形成され、この平坦部に前記サイドフレームの
   前方下端部が取り付けられてパワーユニットを挟むよう
   にＶ字状あるいはＵ字状に拡開して後上方に延設される
   一方、前記メインフレームとサイドフレームとの取付部
   後方で上方開放型コ字状構造の補強プレートを対をなす
   サイドフレーム間に掛け渡し、前記補強プレートの前上
   方部を上記サイドフレームの前方下部に、前記補強プレ
   ートの前端部を前記メインフレーム後端部の平坦部後端
   延長部にそれぞれ固着し一体化したことを特徴とする自
   動二輪車のフレーム。
2. 【請求項２】補強フレームはその左右に対をなすエンジ
   ン懸架プレートを備え、このエンジン懸架プレートは補
   強手段により前記補強プレートに軸支される一方、前記
   補強プレートにエンジンマウント部およびメインスタン
   ド取付部を一体に形成した実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の自動二輪車のフレーム。