JPH07173151A - ジアリールエテン系化合物及びこのジアリールエテン系化合物を用いた光記録媒体の光記録・再生法 - Google Patents

ジアリールエテン系化合物及びこのジアリールエテン系化合物を用いた光記録媒体の光記録・再生法

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JPH07173151A
JPH07173151A JP5338827A JP33882793A JPH07173151A JP H07173151 A JPH07173151 A JP H07173151A JP 5338827 A JP5338827 A JP 5338827A JP 33882793 A JP33882793 A JP 33882793A JP H07173151 A JPH07173151 A JP H07173151A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式(1)にて示されるジアリールエ
テン系化合物。 【化1】 (但し、式中nは2〜5の整数、1,mは0〜2の整
数、R1 ,R3 はアルキル基、R2 ,R4 は水素原子、
アルキル基、ジアルキルアミン基、シアノ基、ニトロ基
又はアルコキシ基、A,Bは芳香族基又は複素環基を表
す。)並びに、上記一般式(1)にて示されるジアリー
ルエテン系化合物を記録材料とする光記録媒体を用いて
光記録・再生を行うに際し、再生時の光記録媒体温度
を、記録時のそれより40℃以上低く設定することを特
徴とするジアリールエテン系化合物を用いた光記録媒体
の光記録・再生法。 【効果】 熱安定性、着消色の繰り返し耐久性、半導体
レーザー感受性、感度等に優れたフォトクロミック特性
を有しており、可逆的光記録材料等、各種の用途に有効
に用いることができる。また、再生時に記録の破壊を防
止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォトクロミック性を
有し光記録材料等に好適なジアリールエテン系化合物及
びこのジアリールエテン系化合物を用いた光記録媒体の
光記録・再生法に関する。
【0002】
【従来の技術】光照射により可逆的に色相変化をする、
いわゆるフォトクロミック化合物は古くから知られてお
り、これらを利用した記録・記憶材料、複写材料、調光
材料、マスキング用材料、光量計、あるいは表示材料等
が種々提案されている。これらフォトクロミック化合物
としては、例えばベンゾスピロピラン類、ナフトオキサ
ジン類、フルギド類、ジアゾ化合物類、あるいはジアリ
ールエテン類等の化合物が開示されている。近年、この
様なフォトクロミック化合物を可逆的な光記録材料とし
て利用すべく、精力的に研究がなされているが、光記録
材料へ応用するためには次の様な基本性能が要求され
る。すなわち、記録の安定性、繰り返し耐久性、
半導体レーザー感受性、高い感度等である。ところ
が、現在知られているフォトクロミック化合物の多く
は、着色状態又は消色状態のどちらか一方が熱的に不安
定であり、室温に於ても、数時間以内により安定な状態
に戻るため、記録の安定性が確保できないという欠点を
有している。これらの中で、光照射による二つの状態が
熱的に比較的安定である化合物として、フルギド類やジ
アリールエテン類が知られているが、記録材料として利
用するには、安定性が未だ不十分である、繰り返し
耐久性が劣っている、半導体レーザー感受性に乏し
い、感度(分子吸光係数)が小さい等といった欠点の
いずれかを有しており、未だ全ての性能を満足するフォ
トクロミック化合物が得られていないのが実情である。
【0003】また、フォトクロミック化合物の光記録の
原理は、光反応による2つの構造の一方を記録状態、他
方を消去状態とし、特定の波長での吸光度の差を読み出
すものであり、可逆的な記録の書き込み、消去が可能で
ある。フォトクロミック化合物を用いた光記録媒体は作
製が用意で、量産性に優れた特長を有している。しかし
ながら、フォトクロミック化合物は、通常記録の有無を
2つの構造の光吸収率の差で検出するため、再生時にも
光吸収による構造変化が伴い、何回も再生を行うと記録
が消滅してしまう欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みなされたものであって、その目的とするとこ
ろは、着色状態の熱安定性、繰り返し耐久性、半
導体レーザー感受性、感度(分子吸光係数)等、フォ
トクロミック材料として優れた性能を有する、新規ジア
リールエテン系化合物を提供するにある。また、本発明
の他の目的は、再生時に記録の破壊を防止できるジアリ
ールエテン系化合物を用いた光記録媒体の光記録・再生
法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決する為の手段】上述の目的は、下記一般式
(1)にて示されるジアリールエテン系化合物により達
成される。
【化3】 (但し、式中l、m、n、R1 〜R4 、A及びBは前記
に同じ。) また、上述の他の目的は、上記一般式(1)にて示され
るジアリールエテン系化合物を記録材料とする光記録媒
体を用い、紫外光を照射して着色状態に変化させること
により初期化を行った後、可視光を照射して無色状態に
変化させることにより情報の記録を行い、書き込まれた
記録情報を可視光を照射して再生する光記録・再生法に
おいて、再生時の光記録媒体温度を、記録時の光記録媒
体温度より40℃以上低く設定することを特徴とするジ
アリールエテン系化合物を用いた光記録媒体の光記録・
再生法により達成される。
【0006】次に本発明を詳しく説明する。本発明のジ
アリールエテン系化合物は前記一般式(1)で示される
ものであり、nは2〜5の整数で、二重結合と共同して
4〜7員環の環状構造を有する。中でもnが3又は4の
5又は6員環構造が特に好ましいフォトクロミック特性
を示す。R1 、R3 はアルキル基を表すが、メチル、エ
チル、プロピル基といった低級アルキル基が好ましい。
2 、R4 は水素原子、アルキル基、ジアルキルアミノ
基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシ基を表す。l及
びmは0〜2の整数を表すが、化合物の感度(分子吸光
係数)を高める為には、何れも1又は2が好ましい。ま
た、A、Bは芳香族基又は複素環基を表し、芳香族基と
しては、無置換フェニル基を始め、トリル基、メシチル
基、アニシル基、ジメチルアニリノ基、ニトロフェニル
基等の1置換あるいは多置換フェニル基や、ナフチル
基、アントラセン基、フェナンスレン基等の多環状芳香
族基が挙げられる。また、複素環基としては、チエニル
基、ベンゾチエニル基、ピリル基、インドリル基、フリ
ル基、ベンゾフリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、
キノリル基、ピリミジル基、オキサゾリル基、チアゾリ
ル基、ベンゾチアゾリル基、トリアゾル基等が挙げられ
る。
【0007】本発明のジアリールエテン系化合物は公知
の方法から適宜選択して製造することができるが、例え
ば次の様な方法で製造できる。すなわち、下記一般式
(2)
【化4】 (但し、式中nは前記に同じ。)で示されるパーフルオ
ロシクロアルケン誘導体とアリールリチウム誘導体とを
反応させる方法、あるいは下記一般式(3)
【化5】 (但し、式中l、m、n、R1 〜R4 、A及びBは前記
に同じ。)で示されるジケトン化合物を低原子価チタン
を用いて、分子内でカルボニル基同士を還元カップリン
グする方法等があるが、前者の方が簡便であり好まし
い。
【0008】次に、好適な前者の製造方法の一例を以下
に示す。まず、下記一般式(4)
【化6】 (但し、式中Xは臭素原子又はヨウ素原子を表し、l、
1 、R2 及びAは前記に同じ。)で示されるハロゲン
化チオフェン誘導体を、反応温度−45〜−120℃
で、好ましくは−70〜−110℃でアルキルリチウム
又はリチウムジアルキルアミドと反応させ、3位のハロ
ゲン原子をリチウムに置換したリチオ化チオフェン誘導
体とする。
【0009】溶媒としては、テトラヒドロフランやジエ
チルエーテル等のエーテル系溶媒が好ましく用いられる
が、低温での溶媒凝固を防ぐために、n−ヘキサン、n
−ペンタン等の低級アルカン類を混合してもよい。リチ
オ化剤のアルキルリチウム、リチウムジアルキルアミド
としては、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、
メチルリチム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロ
ピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド等が挙げ
られるが、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液が好適に
用いられる。リチオ化剤の量は、ハロゲン化チオフェン
誘導体の総量に対して1.0〜1.2倍モル使用するの
が好ましい。反応時間は通常20分〜3時間で、好まし
くは30分〜2時間である。
【0010】次に、生成したリチオ化チオフェン誘導体
に前記一般式(2)で示されるパーフルオロシクロアル
ケン誘導体を添加するが、使用するパーフルオロシクロ
アルケン誘導体の量は、ハロゲン化チオフェン誘導体の
1.0〜1.5倍モルが好ましく、希釈せずに、あるい
は溶媒に希釈して添加することができる。反応温度は−
60〜−110℃、反応時間は30分〜2時間が好まし
い。
【0011】以上の操作の後、一般式(5)
【化7】 (但し、式中l、n、R1 、R2 及びAは前記に同
じ。)で示されるモノチエニルエテン誘導体が得られ
る。
【0012】次に、一般式(6)
【化8】 (但し、式中Yは臭素原子又はヨウ素原子を表し、m、
3 、R4 及びBは前記に同じ。)で示されるハロゲン
化チオフェン誘導体を前記と同じ方法でチエニルリチオ
化誘導体とし、これに前述のモノチエニルエテン誘導体
のテトラヒドロフラン溶液を添加する。使用するモノチ
エニルエテン誘導体の量はこのハロゲン化チオフェン誘
導体の1.0〜1.2倍モル用いるのが好ましい。この
時の反応温度は−60〜−110℃、反応時間は30分
〜2時間が好ましい。
【0013】製造方法として、上記の様にハロゲン化チ
オフェン誘導体からモノチエニルエテン誘導体を合成し
た後、これともう一方のハロゲン化チオフェン誘導体を
反応させる方法に於いては、2つのハロゲン化チオフェ
ン誘導体の内、どちらを先にモノチエニルエテン誘導体
へ導いても差し支えない。又、2つのチエニル誘導体が
同一であるジアリールエテン誘導体を製造する場合に
は、ハロゲン化チオフェン誘導体をリチオ化した後、こ
れにパーフルオロシクロアルケン誘導体を添加して反応
させる際、添加するパーフルオロシクロアルケン誘導体
の量をハロゲン化チオフェン誘導体に対して0.4〜
0.5倍モルだけ用いても良く、この操作に従えばモノ
チエニルエテン誘導体を中間体として取り出さずに、ワ
ンステップで製造する事も可能である。以上の方法で得
られた反応物からジアリールエテン系化合物を得るに
は、抽出、カラムクロマトグラフ、再結晶等の方法を用
いて分離、精製すればよい。
【0014】本発明のジアリールエテン系化合物の一例
として、1,2−ビス(5−(4−メトキシフェニル)
−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,
4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンのフォトク
ロミック性について説明すると、例えば、有機溶媒等の
適当な媒体中に於て、下記(7)式
【化9】 の様に紫外光を照射すると閉環体に変化して着色し、こ
の閉環体に可視光を照射すると、元の開環体に戻り、消
色する。
【0015】本発明のジアリールエテン系化合物を含有
する記録媒体は、公知の方法で容易に得ることができ
る。例えば、本発明のジアリールエテン系化合物を公知
の蒸着法により、適当な基板上に蒸着する方法や、本発
明のジアリールエテン系化合物を、ポリエステル樹脂、
ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメチルメタク
リル酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂等の樹脂バインダーと共に、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチル
エチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、四塩化炭素、クロロホ
ルム、セロソルブ、ジグライム等の溶媒に分散又は溶解
させて、適当な基板上に塗布する方法、あるいは本発明
のジアリールエテン系化合物を前記の様な溶媒に溶解
し、ガラスセル等に封入する方法等によって、光記録媒
体を得ることができる。
【0016】この様な光記録媒体において、本発明のジ
アリールエテン系化合物は、着色状態、消色状態共に熱
安定性が高く、水分、酸素に対しても安定で長期間構造
が変化せずに保持され、着消色の繰り返し耐久性にも優
れている。又、着色状態の吸収極大波長は580nmを
越え、吸収端も800nm以上である事から、670n
mや780nmの発振波長を有する半導体レーザーに対
する感受性を有しており、更に、その波長領域での感度
が高い(大きな分子吸光係数を有する)等、といった優
れたフォトクロミック特性を有する為、可逆的な光情報
記録媒体等に有効に使用することができる。
【0017】また、本発明のジアリールエテン系化合物
を記録材料とする光記録媒体を用い、紫外光を照射して
着色状態に変化させることにより初期化を行った後、可
視光を照射して無色状態に変化させることにより情報の
記録を行い、書き込まれた記録情報を可視光を照射して
再生する光記録・再生において、再生時の光記録媒体温
度を記録時のそれより40℃以上、好ましくは50℃以
上低くすると、再生時の劣化を防止することができ好適
である。本発明のジアリールエテン系化合物の可視光に
よる消色は、著しく温度の影響を受け、例えば、40℃
での消色反応は120℃でのそれに比較して1000倍
以上遅い。すなわち、120℃で消色する光強度のパル
スを40℃では1000回以上繰り返し照射しなければ
消色しない。従って、光記録媒体を前述の温度に制御す
ることで1000回以上の再生が可能となる。具体的な
光記録媒体の温度は、記録時は100〜200℃、再生
時は20〜70℃が好ましい。
【0018】上記光記録媒体の温度を制御する方法とし
ては、別途ヒーター、赤外線、高周波等の加熱源を用い
てもよいが、記録、再生に用いる光の吸収に伴う温度上
昇を利用するのが装置の簡略化の上で好ましい。より具
体的に説明すると、着色状態を未記録部、消色状態を記
録部とし、未記録部に例えば780nmや680nmの
半導体レーザー光で記録する場合には、4〜15mWの
強度のスポットを照射すると光記録媒体の温度が上昇
し、容易に消色して記録できる。この記録部を0.1〜
1mWの弱いレーザー光で再生すると光記録媒体の温度
上昇は小さく、消色反応が著しく抑えられ、記録破壊が
防止できる。従って、光記録媒体によって記録及び再生
のレーザー強度を適宜選ぶことにより記録感度や再生可
能回数を最適化できる。
【0019】
【発明の効果】以上の様に、本発明のジアリールエテン
系化合物は、熱安定性、着消色の繰り返し耐久性、半導
体レーザー感受性、感度等に優れたフォトクロミック特
性を有しており、可逆的光記録材料等、各種の用途に有
効に用いることができる。また、本発明の光記録媒体の
光記録・再生法によれば、ジアリールエテン系化合物の
消色反応の大きな温度依存性を利用することにより記録
の再生破壊を防止することができる。従って、本発明の
ジアリールエテン系化合物は、着色状態、消色状態共に
熱安定性が高く、水分、酸素等に対しても安定で長期間
構造が変化せずに保持され、着消色の繰り返し耐久性に
も優れているため、可逆的に記録消去のできる安価な光
情報記録媒体を提供することができる。次に、本発明を
実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0020】(実施例1) 1,2−ビス(5−(4−メトキシフェニル)−2,4
−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5
−ヘキサフルオロシクロペンテンの製造
【0021】a) 5−(4−メトキシフェニル)−
2,4−ジメチルチオフェンの製造 容量500mlの2つ口フラスコにマグネシウム末1.
2g(50mmol)を入れ、窒素気流下で活性化した
後、p−ヨードアニソール11.7g(50mmol)
のテトラヒドロフラン溶液150mlを室温で滴下し、
20時間攪袢した。この溶液にヘキサメチルホスホリッ
クトリアミド(HMPA)80mlを加えた後、塩化亜
鉛のエーテル溶液8ml(50mmol)を滴下し、2
時間攪袢した。次に、5−ヨード−2,4−ジメチルチ
オフェン12.0g(50mmol)のHMPA溶液8
0ml及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウ
ム1.0gを加えて、12時間攪袢した。反応終了後、
1規定の塩酸20mlを加え反応を停止した後、酢酸エ
チル200mlで3回抽出し、洗浄、乾燥の後、溶媒を
減圧留去した。得られた反応生成物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーにより精製し、下記構造式(化1
0)の化合物4.9g(収率44.9%)を得た。
【化10】
【0022】b) 3−ヨード−5−(4−メトキシフ
ェニル)−2,4−ジメチルチオフェンの製造 容量100mlの2つ口フラスコに、ヨウ素酸0.72
g(4.1mmol)、ヨウ素1.8g(14.2mm
ol)、酢酸15ml、硫酸0.25ml、水5mlを
入れ、攪袢した後、これに上記で得た5−(4−メトキ
シフェニル)−2,4−ジメチルチオフェン4.0g
(18.3mmol)の四塩化炭素溶液7mlを加え、
70℃で2時間還流し、反応させた。反応終了後、この
反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液50mlを加え
た後、酢酸エチル100mlで3回抽出し、有機層を集
め、洗浄、乾燥の後、溶媒を減圧留去した。得られた反
応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
精製して、下記構造式(化11)の化合物5.2g(収
率82.6%)を得た。
【化11】
【0023】c) 1,2−ビス(5−(4−メトキシ
フェニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,
3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンの
製造 容量200mlの2つ口フラスコに、上記で得た3−ヨ
ード−5−(4−メトキシフェニル)−2,4−ジメチ
ルチオフェン4.0g(11.6mmol)とテトラヒ
ドロフラン80mlを入れ、窒素気流下で−95℃に冷
却後、n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液80ml(1
2.7mmol)を滴下し1時間攪袢した。次に、パー
フルオロシクロペンテン1.2g (5.7mmol)
のテトラヒドロフラン溶液5mlを滴下し、1時間反応
させた。反応終了後、メタノール5mlを加えて反応を
停止し、更に水100mlを加えた後、酢酸エチル20
0mlで3回抽出し、この有機層を集め、洗浄、乾燥の
後、溶媒を減圧留去した。得られた反応生成物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記構造
式(化12)のジアリールエテン系化合物2.4g(収
率70.6%)を得た。
【化12】
【0024】分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.04(s 3H) 2.06(s 3H) 2.33(s 3H) 2.34(s 3H) 3.63(s 6H) 6.91〜7.30(m 8H) 2)MS m/e 608(M+
【0025】(実施例2) 1,2−ビス(5−(2−(4−メトキシフェニル)−
1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−
3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテ
ンの製造
【0026】a) 3−ヨード−5−(2−(4−メト
キシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチルチ
オフェンの製造 容量200mlの2つ口フラスコに、4−メトキシベン
ジルトリフェニルホスホニウムクロリド5.0g(1
2.0mmol)、3−ヨード−5−ホルミル−2,4
−ジメチルチオフェン2.9g(10.9mmol)、
炭酸カリウム8.3g、ホルムアミド1.7g、1,4
−ジオキサン80mlを入れ、95℃で10時間還流し
反応させた。反応後、不溶物を濾別し、濾液の溶媒を減
圧留去した後、残査にジエチルエーテルを加え、不溶物
を濾別した。濾液の溶媒を減圧留去し、得られた反応生
成物物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精
製し、下記構造式(化13)の化合物2.0g(収率
50.3%)を得た。
【化13】
【0027】b) 1,2−ビス(5−(2−(4−メ
トキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル
−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフ
ルオロシクロペンテンの製造 容量200mlの2つ口フラスコに、上記で得た3−ヨ
ード−5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテ
ニル)−2,4−ジメチルチオフェン1.7g(4.6
mmol)とテトラヒドロフラン50mlを入れ、窒素
気流下で−95℃に冷却後、n−ブチルリチウム−ヘキ
サン溶液3.0ml(4.8mmol)を滴下し1時間
攪拌した。次に、パーフルオロシクロペンテン0.4g
(2.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液5mlを
滴下し、1時間反応させた。反応終了後、メタノール5
mlを加え反応を停止し、更に水50mlを加えた後、
酢酸エチル 100mlで3回抽出した。この有機層を
集め、洗浄、乾燥の後、溶媒を減圧留去した。 得られ
た反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より精製し、下記構造式(化14)のジアリールエテン
系化合物0.94g(収率71.3%)を得た。
【化14】
【0028】分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.08(s 3H) 2.09(s 3H) 2.30(s 6H) 3.81(s 6H) 6.66〜7.37(m 12
H) 2)MS m/e 660(M+
【0029】(実施例3) 1,2−ビス(5−(2−(4−シアノフェニル)−1
−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−
3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテ
ンの製造
【0030】実施例2のa)項に於て、4−メトキシベ
ンジルトリフェニルホスホニウムクロリドを用いる代わ
りに、4−シアノベンジルトリフェニルホスホニウムブ
ロミドを用い、同様の方法で下記構造式(化15)のジ
アリールエテン系化合物を得た(収率68.5%)。
【化15】
【0031】分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.13(s 6H) 2.34(s 6H) 6.67〜7.61(m 12H) 2)IR(KBr) ν(cm-1) 2223 3)MS m/e 650(M+
【0032】(実施例4) 吸収スペクトルの測定 実施例2で得られた化合物をベンゼンに2x10-2g/
lになるように溶解して得た溶液を1cm×1cm×4
cmの石英ガラスセルに入れた。これにガラスフィルタ
ーを装着した100W超高圧水銀灯を用いて攪袢しなが
ら紫外光を60分間照射し、溶液を着色させた後、この
光定常状態に於ける溶液の吸収スペクトルを測定した。
次に、上記水銀灯のガラスフィルターを紫外光カットフ
ィルターに換装して、500nm以上の光を60分間照
射し溶液を着色させた後、再度、吸収スペクトルを測定
した。実施例2の化合物について、着色体及び消色体の
吸収スペクトルを図1に示す。着色状態の吸収スペクト
ルの吸収極大は663nmであり、吸収端は800nm
に達し、吸収極大位置での化合物の分子吸光係数は、ε
=14,700という高い値を示した。又、この着消色
反応は可逆的に行う事ができた。次に、実施例1及び3
の化合物について同様な測定をした、紫外光照射時に於
ける、光定常状態での着色体の吸収極大波長(λmax )
と、この極大波長に於ける化合物の分子吸光係数(ε・
λmax )を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】実施例3の化合物では吸収極大波長は67
2nmに達する。この様に、チオフェン環への共役二重
結合鎖の導入により、着色体の吸収極大波長は長波長化
し、発振波長670nm、あるいは780nmの半導体
レーザー感受性が付与された。更に、このチオフェン環
への共役二重結合鎖の導入により、化合物の分子吸光係
数を増大させることができた。
【0035】(実施例5) 1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(2−キ
ノリル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,
4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンの製造
【0036】a) 2,4−ジメチル−3−ヨード−5
−(2−(2−キノリル)−1−エテニル)−チオフェ
ンの製造 容量1000mlの2つ口フラスコに、2−キノリルト
リフェニルホスホニウムクロリド62.4g(160m
mol)、2,4−ジメチル−5−ホルミル−3−ヨー
ドチオフェン21.2g(80mmol)、炭酸カリウ
ム66g、ホルムアミド14.4g、1,4−ジオキサ
ン300mlを入れ、95℃で24時間還流し反応させ
た。反応後、不溶物を濾別し、濾液の溶媒を減圧留去し
た後、残査にジエチルエーテルを加え、不溶物を濾別し
た。濾液の溶媒を減圧留去し、得られた反応生成物物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下
記構造式(化16)の化合物24.6g(収率78.5
%)を得た。
【0037】
【化16】 分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.26(s 3H) 2.34(s
3H) 6.80〜8.20(m 10H) 2)MS m/e 390(M+
【0038】b)1−(2,4−ジメチル−5−(2−
(2−キノリル)−1−エテニル)−3−チエニル)−
2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペ
ンテンの製造 容量1000mlの2つ口フラスコに、実施例1−a)
で製造された2,4−ジメチル−3−ヨード−5−(2
−(2−キノリル)−1−エテニル)チオフェン11.
7g(30mmol)とテトラヒドロフラン300ml
を入れ、窒素気流下で−95℃に冷却後、n−ブチルリ
チウム−ヘキサン溶液22.5ml(36mmol)を
滴下し1時間攪拌した。次に、パーフルオロシクロペン
テン15.3g(72mmol)のテトラヒドロフラン
溶液120mlを滴下し、1時間反応させた。反応終了
後、メタノール50mlを加えて反応を停止し、更に水
300mlを加えた後、酢酸エチル400mlで3回抽
出し、この有機層を集め、洗浄、乾燥の後、溶媒を減圧
留去した。得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにより精製し、下記構造式(化17)の
化合物6.7g(収率49.0%)を得た。
【0039】
【化17】 分析値: 1)MS m/e 456(M+
【0040】c) 1,2−ビス(2,4−ジメチル−
5−(2−(2−キノリル)−1−エテニル)−3−チ
エニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシ
クロペンテンの製造 容量300mlの2つ口フラスコに、実施例1−a)で
製造された2,4−ジメチル−3−ヨード−5−(2−
(2−キノリル)−1−エテニル)チオフェン3.9g
(10mmol)とテトラヒドロフラン100mlを入
れ、窒素気流下で−95℃に冷却後、n−ブチルリチウ
ム−ヘキサン溶液6.3ml(12mmol)を滴下し
1時間攪拌した。次に、実施例1−b)で製造された1
−(2,4−ジメチル−5−(2−(2−キノリル)−
1−エテニル)−3−チエニル)−2,3,3,4,
4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテン5.9g
(13mmol)のテトラヒドロフラン溶液15mlを
滴下し、1時間反応させた。反応終了後、メタノール5
0mlを加え反応を停止し、更に水300mlを加えた
後、酢酸エチル400mlで3回抽出した。この有機層
を集め、洗浄、乾燥の後、溶媒を減圧留去した。得られ
た反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より精製し、下記構造式(化18)の化合物3.2g
(収率46.0%)を得た。
【0041】
【化18】 分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.19(s 3H) 2.31(s
3H) 6.65〜8.42(m 8H) 2)MS m/e 700(M+
【0042】(実施例6) 1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(4−ピ
リジル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,
4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンの製造
【0043】a) 2,4−ジメチル−3−ヨード−5
−(2−(4−ピリジル)−1−エテニル)チオフェン
の製造 実施例1のa)項に於て、2−キノリルトリフェニルホ
スホニウムクロリドを用いる代わりに、4−ピリジルト
リフェニルホスホニウムクロリドを用い、同様の方法で
下記構造式(化19)の化合物を得た。収量30.1g
(収率 84.0%)。
【0044】
【化19】 分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.17(s 1H) 2.36(s
1H) 6.30〜8.85(m 2H) 2)MS m/e 340(M+
【0045】b)1−(2,4−ジメチル−5−(2−
(4−ピリジル−1−エテニル)−3−チエニル)−
2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペ
ンテンの製造 実施例1のb)項に於て、2,4−ジメチル−3−ヨー
ド−5−(2−(4−キノリル)−1−エテニル)チオ
フェンを用いる代わりに、実施例2のa)項に於て製造
された2,4−ジメチル−3−ヨード−5−(2−(4
−ピリジル)−1−エテニル)チオフェンを用い、同様
の方法で下記構造式(化20)の化合物を得た。収量
6.6g(収率 54.0%)。
【0046】
【化20】 分析値: 1)MS m/e 406(M+
【0047】c) 1,2−ビス(2,4−ジメチル−
5−(2−(4−ピリジル)−1−エテニル)−3−チ
エニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシ
クロペンテンの製造 実施例1のc)項に於て、2,4−ジメチル−3−ヨー
ド−5−(2−(2−キノリル)−1−エテニル)チオ
フェンを用いる代わりに、実施例2のa)項に於て製造
された2,4−ジメチル−3−ヨード−5−(2−(4
−ピリジル)−1−エテニル)−チオフェンを用い、1
−(2,4−ジメチル−5−((2−キノリル−1−エ
テニル)−3−チエニル)−2,3,3,4,4,5,
5−ヘプタフルオロシクロペンテンを用いる代わりに、
実施例2のb)項に於て製造された1−(2,4−ジメ
チル−5−(2−(4−ピリジル−1−エテニル)−3
−チエニル)−2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフ
ルオロシクロペンテンを用い、同様の方法で下記構造式
(化21)の化合物を得た。収量3.9g(収率54.
0%)。
【0048】
【化21】 分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.13(s 1H) 2.34(s
1H) 6.35〜8.80(m 2H) 2)MS m/e 622(M+
【0049】(実施例7) 1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(1−ナ
フチル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,
4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンの製造
【0050】a) 2,4−ジメチル−3−ヨード−5
−(2−(1−ナフチル)−1−エテニル)チオフェン
の製造 実施例1のa)項に於て、2−キノリルトリフェニルホ
スホニウムクロリドを用いる代わりに、1−ナフチルト
リフェニルホスホニウムクロリドを用い、同様の方法で
下記構造式(化22)の化合物を得た。収量31.1g
(収率 94.0%)。
【0051】
【化22】 分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.30(s 1H) 2.42(s
1H) 6.85〜8.50(m 3H) 2)MS m/e 389(M+
【0052】b)1−(2,4−ジメチル−5−(2−
(1−ナフチル−1−エテニル)−3−チエニル)−
2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペ
ンテンの製造 実施例1のb)項に於て、2,4−ジメチル−3−ヨー
ド−5−(2−(2−キノリル)−1−エテニル)−チ
オフェンを用いる代わりに、実施例3のa)項に於て製
造された2,4−ジメチル−3−ヨード−5−(2−
(1−ナフチル)−1−エテニル)チオフェンを用い、
同様の方法で下記構造式(化23)の化合物を得た。収
量11.1g(収率 94.0%)。
【0053】
【化23】 分析値: 1)MS m/e 454(M+
【0054】c) 1,2−ビス(2,4−ジメチル−
5−(2−(1−ナフチル)−1−エテニル)−3−チ
エニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシ
クロペンテンの製造 実施例1のc)項に於て、2,4−ジメチル−3−ヨー
ド−5−(2−(2−キノリル)−1−エテニル)チオ
フェンを用いる代わりに、実施例3のa)項に於て製造
された2,4−ジメチル−3−ヨード−5−(2−(1
−ナフチル)−1−エテニル)チオフェンを用い、1−
(2,4−ジメチル−5−(2−(2−キノリル−1−
エテニル)−3−チエニル)−2,3,3,4,4,
5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンを用いる代わり
に、実施例2のb)項に於て製造された1−(2,4−
ジメチル−5−(2−(1−ナフチル−1−エテニル)
−3−チエニル)−2,3,3,4,4,5,5−ヘプ
タフルオロシクロペンテンを用い、同様の方法で下記構
造式(化24)の化合物を得た。収量4.1g(収率9
8.0%)。
【0055】
【化24】 分析値: 1)1 H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.15(s 1H) 2.35(s
1H) 3.51(s 1H) 3.66(s 1H) 6.90〜8.45(m 4H) 2)MS m/e 698(M+
【0056】(実施例8) 吸収スペクトルの測定 実施例5で得られた化合物をベンゼンに2.4×10-5
mol/lになるように溶解して得た溶液を1cm×1
cm×4cmの石英ガラスセルに入れた。これにガラス
フィルターを装着した100W超高圧水銀灯を用いて攪
拌しながら365nmの光を30分間照射し、溶液を着
色させた後、この光定常状態に於ける溶液の吸収スペク
トルを測定した。実施例5の化合物について、着色体及
び消色体の吸収スペクトルを図1に示す。着色状態の吸
収スペクトルの吸収極大は669nmであり、吸収端は
800nmに達し、吸収極大位置での化合物の分子吸光
係数は、ε=17,800という高い値を示した。又、
この着消色反応は可逆的に行う事ができた。
【0057】次に、実施例6、7の化合物についても同
様な測定をした。着色体及び消色体の吸収スペクトルを
図2、図3に、又、着色体の吸収極大波長(λmax )と
この極大波長に於ける化合物の分子吸光係数(ε・λma
x )とを表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】この様に、チエニル環へのアリール−1−
エテニル基の導入により、着色体の吸収極大波長は長波
長化し、発振波長670nmあるいは780nmの半導
体レーザー感受性が付与され、化合物の分子吸光係数を
増大させることができた。
【0060】(実施例9)ジアリールエテン系化合物と
して、表3、4に示す化合物を用い、光記録媒体を作製
した。光記録媒体の製造は、プリグルーブを有する3.
5インチのポリカーボネート製ディスク基板にスピンコ
ート法によりフォトクロミック化合物とポリスチレンを
1対1に混合した記録膜(膜厚約0.5μm)を形成し
た。次いで、その上にスパッタ法によりアルミニウムの
反射膜を形成した。得られたディスク盤を365nmの
紫外光を主体とする100Wブラックライトを20分間
照射し、フォトクロミック化合物を全面着色させた。着
色させた記録面に約1μmのスポット径に絞った680
nmの半導体レーザー光を照射し、記録再生試験を実施
した。ディスク回転数1200回/分(線速度4.5m
/秒)、レーザー強度7mW、記録周波数1MHz(デ
ューティ比50%)で記録し、次いで同一回転数、レー
ザー強度0.2mWで再生を行った結果を表5に示す。
なお、記録時の光記録媒体の温度は120℃以上、再生
時は40℃以下となった。
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】表5の結果より、例えば、試験例1では、
記録直後のCN比は55デシベル(dB)であったが、
同一トラックを10分間再生(再生回数12000回に
相当)したところ、CN比は52デシベル(dB)と記
録直後と大差なく、再生破壊が非常に小さかった。同様
に、試験例2〜9のディスク盤のいずれも10分間の再
生による記録破壊は非常に小さいものであった。
【0065】(実施例10) 1,2−ビス(5−(2−(4−メトキシフェニル)−
1−エテニル)−2−メチル−4−オクチル−3−チエ
ニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシク
ロペンテンの製造 a) 3−ヨード−5−(2−(4−メトキシフェニ
ル)−1−エテニル)−2−メチル−4−オクチルチオ
フェンの製造 実施例2のa)項に於て、3−ヨード−5−ホルミル−
2,4−ジメチルチオフェンを用いる代わりに、3−ヨ
ード−5−ホルミル−2−メチル−4−オクチルチオフ
ェンを用い、同様の方法で下記構造式(化25)の化合
物を得た。収量8.4g(収率 89.5%)。
【0066】
【化25】 分析値: 1) 1H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 0.90(s 1H) 1.36(sブ
ロード 16H) 2.42(s 3H) 3.85(s 3H) 6.51〜7.50(m 6H) 2)MS m/e 468(M+
【0067】b) 1,2−ビス(5−(2−(4−メ
トキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−4−
オクチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−
ヘキサフルオロシクロペンテンの製造 実施例2のb)項に於て、3−ヨード−5−(2−(4
−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメ
チルチオフェンを用いる代わりに、3−ヨード−5−
(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2
−メチル−4−オクチルチオフェンを用い、同様の方法
で下記構造式(化26)のジアリールエテン系化合物を
得た。収量3.7g(収率 68.7%)。
【0068】
【化26】 分析値: 1) 1H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 0.89(s 1H)1.31(sブロ
ード 16H) 2.26 2.40(s 3H 構造異性体) 3.80(s 3H)6.30〜7.55(m 6H) 2)MS m/e 857(M+
【0069】吸収スペクトルの測定 実施例10の化合物について、着色体及び消色体の吸収
スペクトルを図5に示す。着色状態の吸収スペクトルの
吸収極大は672nmであり、吸収端は850nmに達
し、吸収極大位置での化合物の分子吸光係数は、ε=1
9,400という高い値を示した。又、この着消色反応
は可逆的に行う事ができた。また、チオフェン環の4位
にオクチル基を導入したことにより、溶解性、相溶性が
改善された。
【0070】(実施例11) 1,2−ビス(5−(2−(4−t−ブチルフェニル)
−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)
−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペン
テンの製造
【0071】a) 3−ヨード−5−(2−(4−t−
ブチルフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル
チオフェンの製造 実施例2のa)項に於て、4−メトキシベンジルトリフ
ェニルホスホニウムクロリドを用いる代わりに、4−t
−ブチルベンジルトリフェニルホスホニウムクロリドを
用い、同様の方法で下記構造式(化27)の化合物を得
た(収率 55.2%)。
【化27】
【0072】b) 1,2−ビス(5−(2−(4−t
−ブチルフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチ
ル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサ
フルオロシクロペンテンの製造 実施例2のb)項に於て、3−ヨード−5−(2−(4
−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメ
チルチオフェンを用いる代わりに、3−ヨード−5−
(2−(4−t−ブチルフェニル)−1−エテニル)−
2,4−ジメチルチオフェンを用い、同様の方法で下記
構造式(化28)のジアリールエテン系化合物を得た
(収率 65.7%)。
【0073】
【化28】 分析値: 1) 1H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 1.31(s 18H) 2.10(s
6H) 2.31(s 6H) 6.80〜7.31(m 12
H) 2)MS m/e 712(M+
【0074】吸収スペクトルの測定 実施例11の化合物について、着色体及び消色体の吸収
スペクトルを図6に示す。着色状態の吸収スペクトルの
吸収極大は653nmであり、吸収極大位置での化合物
の分子吸光係数は、ε=31,600という高い値を示
した。又、この着消色反応は可逆的に行う事ができた。
【0075】(実施例12) 1、2−ビス(2、4−ジメチル−5−(2−(2−ベ
ンゾチアジル)−1−エテニル)−3−チエニル)−
3、3、4、4、5、5−ヘキサフルオロシクロペンテ
ンの製造
【0076】a) 1−トリメチルシリル−2−(2、
4−ジメチル−3−ヨード−5−チエニル)アセチレン
の製造 冷却管をつけた300mlのナスフラスコに2、4−ジ
メチル−1、3−ジヨードチオフェン14.6g、エテ
ニルトリメチルシラン3.93g、よう化銅0.50
g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウ
ム0.60g、トリエチルアミン38.4ml、ジメチ
ルホルムアミド150mlを入れ、窒素雰囲気下70℃
で一晩攪伴した。冷却後、希塩酸にあけ酢酸エチルで抽
出後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで単離精製
し、下記構造式(化29)の化合物を得た。収量8.5
6g(収率64%)。
【化29】
【0077】分析値 1)MS m/e 334(M+
【0078】b) 1、2−ビス(2、4−ジメチル−
5−(2−トリメチルシリル−1−エチニル)−3−チ
エニル)−3、3、4、4、5、5−ヘキサシクロペン
テンの製造
【0079】滴下ロートを装着した50mlのナスフラ
スコに、上記a)で合成した1−トリメチルシリル−2
−(2、4−ジメチル−5−ヨード−2−チエニル)ア
セチレン2.0gをとり、15mlのテトラヒドロフラ
ンに溶解させ窒素置換後、ー78℃に冷却して1.6M
−n−ブチルリチウムヘキサン溶液4.5mlを5分で
滴下した。同温で30分攪拌後オクタフルオロシクロペ
ンテン0.7gをエーテル3mlで希釈した溶液を5分
で滴下後、更に30分攪拌して水にあけ、酢酸エチルで
抽出後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで単離精製
し下記構造式(化30)の化合物を得た。収量1.80
g(収率54%)。
【化30】
【0080】分析値: 1) 1H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 0.25(s 9H) 2.16(s
3H) 2.33(s 3H) 2)MS m/e 558(M+
【0081】c) 1、2−ビス(2、4−ジメチル−
5−エチニル−3−チエニル)−3、3、4、4、5、
5−ヘキサシクロペンテンの製造
【0082】20mlのナスフラスコ中で、上記b)で
得られた1、2−ビス(2、4−ジメチル−5−(2−
トリメチルシリル−1−エチニル)−3−チエニル)ヘ
キサシクロペンテン1.80gを10mlのテトラヒド
ロフランに溶解させ、これにテトラブチルアンモニウム
フルオリドの1M−テトラヒドロフラン溶液3.5ml
を加え室温で30分攪拌した。希塩酸にあけて酢酸エチ
ルで抽出後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで単離
精製し下記構造式(化31)の化合物を得た。収量1.
05g(収率74%)。
【化31】
【0083】分析値: 1)MS m/e 444(M+
【0084】d) 1、2ービス(2、4−ジメチル−
5−(2−(2−ベンゾチアジル)−1−エチニル)−
3−チエニル)ヘキサシクロペンテンの製造
【0085】冷却管を装着した50mlのナスフラスコ
に、上記c)で得られた1、2−ビス(2、4−ジメチ
ル−5−エチニル−3−チエニル)ヘキサシクロペンテ
ン1.05g、2−クロロベンゾチアゾール0.45
g、よう化銅30mg、テトラキス(トリフェニルフォ
スフィン)パラジウム50mg、トリエチルアミン2.
4ml、ジメチルホルムアミド15mlを入れ、本実施
例のa)と同様にして下記構造式(化32)の化合物を
得た。収量1.52g(収率90%)。
【化32】
【0086】分析値: 1) 1H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.29(s 3H) 2.38(s
3H) 7.20〜8.05(m 4H) 2)MS m/e 711(M+
【0087】e) 1、2−ビス(2、4−ジメチル−
5−(2−(2−ベンゾチアジル)−1−エテニル)−
3−チエニル)−3、3、4、4、5、5−ヘキサフル
オロシクロペンテンの製造
【0088】三方コックをつけた50mlのナスフラス
コで、上記d)で得られた1、2−ビス(1、3−ジメ
チル−4−(2−(2−ベンゾチアジル)−1−エチニ
ル)−2−チエニル)ヘキサシクロペンテン1.53g
をジエチルエーテル10mlに溶かし、ジイソブチルア
ルミニウムハイドライドの1Mジエチルエーテル溶液
4.7mlを室温で加え3時間攪拌した。更に濃塩酸3
mlを加えて激しく攪拌した後、酢酸エチルで抽出後、
シリカゲルカラムクロマトグラフィで単離精製し下記構
造式(化33)の化合物を得た。収量0.18g(収率
12%)。
【化33】
【0089】分析値: 1) 1H−NMR(CDCl3 中) δ(ppm) 2.30(s 3H) 2.43(s
3H) 6.80〜8.05(m 6H) 2)MS m/e 713(M+
【0090】吸収スペクトルの測定 実施例12の化合物について、着色体及び消色体の吸収
スペクトルを図7に示す。着色状態の吸収スペクトルの
吸収極大は673nmであり、吸収極大位置での化合物
の分子吸光係数は、ε=9,000という高い値を示し
た。又、この着消色反応は可逆的に行う事ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた化合物の、ベンゼン溶液中
での光照射に基づく吸収スペクトルの変化を示す図。
【図2】実施例5で得られた化合物の、ベンゼン溶液中
での光照射に基づく吸収スペクトルの変化を示す図。
【図3】実施例6で得られた化合物の、ベンゼン溶液中
での光照射に基づく吸収スペクトルの変化を示す図。
【図4】実施例7で得られた化合物の、ベンゼン溶液中
での光照射に基づく吸収スペクトルの変化を示す図。
【図5】実施例10で得られた化合物の、ベンゼン溶液
中での光照射に基づく吸収スペクトルの変化を示す図。
【図6】実施例11で得られた化合物の、ベンゼン溶液
中での光照射に基づく吸収スペクトルの変化を示す図。
【図7】実施例12で得られた化合物の、ベンゼン溶液
中での光照射に基づく吸収スペクトルの変化を示す図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 333/32 333/38 333/42 409/06 213 215 417/06 333 495/04 101 C09K 9/02 B G03C 5/56 511 9413−2H G11B 7/00 Q 9464−5D 7/24 516 7215−5D

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)にて示されるジアリー
    ルエテン系化合物。 【化1】 (但し、式中nは2〜5の整数、l,mは0〜2の整
    数、R1 ,R3 はアルキル基、R2 ,R4 は水素原子、
    アルキル基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基
    又はアルコキシ基、A,Bは芳香族基又は複素環基を表
    す。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(1)にて示されるジアリー
    ルエテン系化合物を記録材料とする光記録媒体を用い、
    紫外光を照射して着色状態に変化させることにより初期
    化を行った後、可視光を照射して無色状態に変化させる
    ことにより情報の記録を行い、書き込まれた記録情報を
    可視光を照射して再生する光記録・再生法において、再
    生時の光記録媒体温度を、記録時の光記録媒体温度より
    40℃以上低く設定することを特徴とするジアリールエ
    テン系化合物を用いた光記録媒体の光記録・再生法。 【化2】 (但し、式中nは2〜5の整数、l,mは0〜2の整
    数、R1 ,R3 はアルキル基、R2 ,R4 は水素原子、
    アルキル基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基
    又はアルコキシ基、A,Bは芳香族基又は複素環基を表
    す。)
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