JPH0717312A - 自動車用子供安全シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 背もたれ部２を形成する座席本体３を、円弧
状に延びる案内レール８とこれに沿って移動する案内部
材９との組合わせからなる相対移動案内機構７によっ
て、ベース６に対して円弧状に移動可能とする。座席本
体３に、座部５を回動可能に取付け、連結部材３０を案
内レール８の直線状部分１１に係合させることにより、
座席本体３の移動にかかわらず座部５の姿勢をほぼ一定
に保つようにする。 【効果】 自動車の本来の座席の背もたれ部に干渉させ
ることなく、背もたれ部をリクライニング可能にしなが
ら、背もたれ部がリクライニングした場合であっても、
座部をほぼ水平に保つことができる。したがって、リク
ライニング状態において、子供に無理な姿勢を強いるこ
とがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、自動車内において子
供を安全に着座させるために、自動車の本来の座席に取
付けられ使用される自動車用子供安全シートに関するも
ので、特に、このような自動車用子供安全シートのリク
ライニング機構の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車用子供安全シートに着座している
子供が眠った場合などにおいて、子供を楽な姿勢にする
ため、リクライニング機構を備える自動車用子供安全シ
ートがある。このようなシートでは、典型的には背もた
れ部がリクライニング可能とされる。しかしながら、こ
の安全シートが自動車の本来の座席に対して前向きに装
着されている場合、背もたれ部をリクライニングしよう
とするとき、自動車の本来の座席の背もたれ部に干渉す
るため、自動車の本来の座席に対する子供安全シートの
装着位置を、背もたれ部のリクライニング状態を変更す
る都度、変えなければならない。このようなリクライニ
ング操作上の煩雑さを避けるため、次のような構造のリ
クライニング機構を備える自動車用子供安全シートも提
案されている。

【０００３】すなわち、この形式の子供安全シートは、
自動車の本来の座席に対して固定されるベースと、ベー
スによって移動可能に保持される座席本体とを備える。
ベースには、垂直面内で円弧状に延びる案内レールが設
けられ、他方、座席本体には、案内レールに沿って移動
するように案内される案内部材が取付けられる。したが
って、座席本体は、自動車の本来の座席の背もたれ部に
干渉されることなく、その傾斜角度を変更することがで
きる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した座席本体に
は、背もたれ部と座部とが固定的に設けられている。し
たがって、背もたれ部をリクライニングしようとして、
座席本体を傾けたとき、座部も、その前方端が持上げら
れる。

【０００５】しかしながら、上述したようなリクライニ
ング状態では、子供の上半身は寝かされるものの、膝が
立った状態となり、子供の腰に比較的大きな負担がかか
る。

【０００６】それゆえに、この発明の目的は、上述した
後者のリクライニング構造を有する自動車用子供安全シ
ートにおいて、背もたれ部がリクライニングした場合で
あっても、座部の前方端が持上がらないようにしようと
することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明に係る自動車用
子供安全シートは、背もたれ部を形成する座席本体と、
この座席本体に対して回動可能に取付けられる座部と、
座席本体を移動可能に保持するベースとを備える。ベー
スと前記座席本体とは、垂直面内で円弧状に延びる案内
レールと、案内レールに沿って移動するように案内され
る案内部材との組合わせからなる相対移動案内機構によ
り連結される。また、この相対移動案内機構は、案内部
材を案内レール上の複数の位置で選択的に固定する手段
を備える。さらに、座席本体の移動にかかわらず前記座
部の姿勢をほぼ一定に保つように、ベースと座部とを連
結するための連結手段を備える。

【０００８】

【作用】この発明では、座席本体は、ベースに対して、
円弧状の軌道に沿って移動される。そのため、ベースを
自動車の本来の座席に固定した状態で、背もたれ部をリ
クライニングさせても、座席本体が自動車の本来の座席
の背もたれ部と干渉することがない。

【０００９】また、この発明では、座部が座席本体に対
して回動可能に取付けられていて、しかも、座部の姿勢
をほぼ一定に保つように、ベースと座部とが連結手段に
より連結されている。したがって、上述した背もたれ部
のリクライニング動作にかかわらず、座部は、ほぼ一定
の姿勢に保たれる。

【００１０】

【発明の効果】このように、この発明によれば、背もた
れ部のリクライニング状態にかかわらず、座部の姿勢を
ほぼ一定に保つことができるので、背もたれ部をリクラ
イニングさせた場合であっても、座部の前方端が持上が
り、子供に対して窮屈な姿勢を強いることがなくなる。
したがって、背もたれ部をリクライニングされた状態
で、子供は楽な姿勢で眠ることができる。

【００１１】

【実施例】図１および図２は、この発明の一実施例によ
る自動車用子供安全シート１を示す概略的縦断面図であ
る。これらの図面では、子供安全シート１において通常
備えるクッション材およびカバー材等の図示が省略され
ている。

【００１２】この安全シート１は、背もたれ部２を形成
する座席本体３と、この座席本体３に対して枢支部４を
中心として回動可能に取付けられる座部５と、座席本体
３を移動可能に保持するベース６とを備える。図示しな
い自動車の本来の座席に対して、ベース６が、既設の安
全ベルト等を利用して固定される。

【００１３】上述したように、座席本体３とこれを移動
可能に保持するベース６とは、相対移動案内機構７によ
って連結される。この相対移動案内機構７は、案内レー
ル８と案内部材９との組合わせから構成される。この実
施例では、案内レール８はベース６に設けられ、案内部
材９は座席本体３に設けられる。

【００１４】案内レール８は、垂直面内で円弧状に延び
る円弧状部分１０と円弧状部分１０の一方端から直線状
に延びる直線状部分１１とからなる。案内レール８の一
部が拡大されて図３に示され、図４には、図３の線ＩＶ
−ＩＶに沿う断面図が示されている。案内レール８は、
その両側部に張出部１２を形成した全体としてＵ字状の
断面を有している。

【００１５】案内部材９は、その一部が拡大されて図５
に示され、図６には、図５のＶＩ−ＶＩに沿う断面図
が、図７には、図５の線ＶＩＩ−ＶＩＩに沿う断面図が
示されている。

【００１６】案内部材９は、上述した案内レール８の円
弧状部分１０に相関する円弧状に延びる形状を有してい
る。案内部材９の主要部１３は、図６に示すように、横
倒したＣ字状の断面を有していて、図８に示すように、
前述した案内レール８の張出部１２に係合した状態とさ
れる。これによって、案内部材９は、案内レール８に沿
って移動することができる。

【００１７】案内部材９の端部１４は、図７に示すよう
な断面を有していて案内レール８とは係合しない。な
お、このような端部１４は、座席本体３を補強する機能
を有するものの、特に形成される必要はない。

【００１８】このような相対移動案内機構７は、案内部
材９を案内レール８上の複数の位置で選択的に固定する
手段を備える。選択的固定手段は、この実施例では、次
のような構造によって与えられる。

【００１９】図９を参照して、案内レール８には、複数
個の係合穴１５，１６，…が、その長手方向に分布する
ように設けられる。他方、案内部材９には、これら係合
穴１５，１６，…のいずれかに挿入され得る係合突起１
７を形成したロック部材１８が保持される。ロック部材
１８は、案内部材９に固定された案内ケース１９内で移
動可能に案内され、ばね２０によって、係合突起１７が
係合穴１５，１６，…のいずれかに挿入される方向に移
動するように付勢される。ロック部材１８には、係合ピ
ン２１が設けられる。係合ピン２１は、図１０に示すよ
うに、案内ケース１９に設けられた長穴２２を貫通し
て、案内ケース１９の外部に突出する状態とされる。

【００２０】上述したロック部材１８の移動を生じさせ
るため、図１０に示すような構造が採用される。図１０
を参照して、案内部材９に沿って移動可能に、カム部材
２３が配置される。カム部材２３は、その一部が案内部
材９に設けられた穴２４内に受入れられ、この穴２４の
延びる範囲内において移動可能である。カム部材２３に
は、前述した係合ピン２１に係合するカム面２５が傾斜
された状態で形成される。

【００２１】上述したカム部材２３を案内部材９に沿っ
て移動させるための操作は、操作部材２６を介して与え
られる。操作部材２６は、図１および図２に示すよう
に、座席本体３の前方端であって、座部５の下方に位置
される。操作部材２６は、座席本体３に固定されたガイ
ドスリーブ２７によって前後方向に移動可能なように保
持される。操作部材２６と前述したカム部材２３とは、
ワイヤ２８によって連結される。ワイヤ２８は、アウタ
ーチューブ２９で覆われ、このアウターチューブ２９
は、ガイドスリーブ２７および案内部材９にそれぞれ固
定される。

【００２２】操作者の手によって、操作部材２６が前方
へ引かれたとき、この動きは、ワイヤ２８を介して、カ
ム部材２３に伝達される。これによって、カム部材２３
は、同様に前方に移動する。このカム部材２３の移動に
よって、カム面２５上に位置する係合ピン２１は、図１
０において想像線で示すように、上方へ変位される。そ
の結果、図９に示したロック部材１８は、ばね２０の弾
性に抗して、係合突起１７をたとえば係合穴１５から脱
出させる。これによって、案内部材９は案内レール８に
対して移動可能となる。この移動の間、前述した操作部
材２６に与えている力を除去してもよい。係合突起１７
が係合穴１５，１６，…のいずれかに整列したとき、ば
ね２０の弾性に従って、係合突起１７が係合穴１５，１
６，…のいずれかに挿入されるように、ロック部材１８
が変位する。このロック部材１８の変位によって、カム
面２５に係合している係合ピン２１は、カム部材２３を
図１０に示す状態に強制し、応じて、操作部材２６も元
の状態に戻される。

【００２３】上述したような座席本体３の移動にかかわ
らず座部５の姿勢をほぼ一定に保つように、ベース６と
座部５とを連結するための連結手段が設けられる。この
連結手段は、この実施例では、前述した案内レール８の
直線状部分１１と座部５に固定される連結部材３０とに
よって構成される。図１１は、これら案内レール８およ
び連結部材３０の関係を子供安全シート１の前方から示
した図である。連結部材３０の下端部には、案内レール
８の張出部１２に係合する係合部３１が設けられる。係
合部３１は、案内部材９の主要部１３と同様、横倒した
Ｃ字状の断面を有している。係合部３１は、案内レール
８の直線状部分１１に沿って移動可能であり、また、連
結部材３０は、座部５と案内レール８の直線状部分１１
との距離をほぼ一定に保つ。したがって、前述した座席
本体３の円弧状の軌道に沿う移動にかかわらず、図１お
よび図２を対比すればわかるように、座部５の姿勢をほ
ぼ一定に保つことができる。

【００２４】以上、この発明を図示した実施例に関連し
て説明したが、この発明の範囲内において、いくつかの
変形例が可能である。

【００２５】たとえば、相対移動案内機構７を構成する
案内レール８と案内部材９とは、その位置関係が逆にさ
れ、すなわち、案内レール８が座席本体３に設けられ、
案内部材９がベース６に設けられてもよい。また、案内
部材９は、複数部分に分割され、それぞれが案内レール
８に沿って移動するように設けられてもよい。

【００２６】また、座部５の姿勢をほぼ一定に保つため
の連結手段の一部を構成する案内レール８の直線状部分
１１は、案内レール８の円弧状部分１０とは別の部材に
よって与えられてもよい。また、この連結手段は、案内
レール８の直線状部分１１に沿ってスライドする連結部
材３０を備えていたが、このような構成ではなく、たと
えば、複数個のリンクを結合した機構に置換えられても
よい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例による自動車用子供安全シ
ート１を側方から示す概略的縦断面図である。

【図２】図１に相当する図であって、座席本体３のベー
ス６に対する位置が図１とは異なる状態を示している。

【図３】案内レール８の一部を示す拡大図である。

【図４】図３の線ＩＶ−ＩＶに沿う断面図である。

【図５】案内部材９の一部を示す拡大図である。

【図６】図５の線ＶＩ−ＶＩに沿う断面図である。

【図７】図５の線ＶＩＩ−ＶＩＩに沿う断面図である。

【図８】案内レール８と案内部材９との係合状態を示す
断面図である。

【図９】案内部材９に関連して設けられるロック部材１
８を示す断面図である。

【図１０】図９に示したロック部材１８の移動を操作す
るための構造を示す断面図である。

【図１１】座部５の姿勢をほぼ一定に保つための構造を
自動車用子供安全シート１の前方から示す概略的断面図
である。

【符号の説明】

１ 自動車用子供安全シート ２ 背もたれ部 ３ 座席本体 ４ 枢支部 ５ 座部 ６ ベース ７ 相対移動案内機構 ８ 案内レール ９ 案内部材 １０ 円弧状部分 １１ 直線状部分 １５，１６ 係合穴 １７ 係合突起 １８ ロック部材 １９ 案内ケース ２０ ばね ２１ 係合ピン ２２ 長穴 ２３ カム部材 ２５ カム面 ２６ 操作部材 ２８ ワイヤ ３０ 連結部材 ３１ 係合部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 背もたれ部を形成する座席本体と、 前記座席本体に対して回動可能に取付けられる座部と、 前記座席本体を移動可能に保持するベースとを備え、 前記ベースと前記座席本体とは、垂直面内で円弧状に延
   びる案内レールと、前記案内レールに沿って移動するよ
   うに案内される案内部材との組合わせからなる相対移動
   案内機構によって連結され、 前記相対移動案内機構は、前記案内部材を前記案内レー
   ル上の複数の位置で選択的に固定する手段を備え、さら
   に、 前記座席本体の移動にかかわらず前記座部の姿勢をほぼ
   一定に保つように、前記ベースと前記座部とを連結する
   ための連結手段を備える、自動車用子供安全シート。