JPH07172989A - ダイヤモンド基体の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド基体の製造方法

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JPH07172989A
JPH07172989A JP31960793A JP31960793A JPH07172989A JP H07172989 A JPH07172989 A JP H07172989A JP 31960793 A JP31960793 A JP 31960793A JP 31960793 A JP31960793 A JP 31960793A JP H07172989 A JPH07172989 A JP H07172989A
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diamond
thin film
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substrate material
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JP31960793A
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English (en)
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Masahiro Deguchi
正洋 出口
Makoto Kitahata
真 北畠
Takashi Hirao
孝 平尾
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 平滑性の高い表面を有するダイヤモンド基体
を、容易に量産し得る方法を得る。 【構成】 所定の平滑性を有する基板素材1上にダイヤ
モンド薄膜2を堆積させ、ダイヤモンド薄膜2に支持体
3を接着した後、基板素材1をエッチング又は機械的研
磨により除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子デバイス用の基体
材料として利用されるダイヤモンド基体の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは高い熱伝導率を持つこと
及び表面弾性波の伝播速度が大きいこと等の諸性質を有
するため、ハイパワー素子のヒートシンク材としてや、
表面弾性波素子などの電子デバイス用の基体として注目
されている。また、ダイヤモンドそのものを電子デバイ
ス材料として捉えた場合、高温下でも動作が可能な半導
体材料としても期待される。このような用途に対し、比
較的大面積でかつ表面の平滑性の高いダイヤモンド薄膜
が求められている。
【0003】化学気相合成法(CVD法)は、様々な基
板素材上に膜形成可能な点や半導体特性を持たせる不純
物元素の添加制御性の点で優れているため、ダイヤモン
ド薄膜の形成に応用する研究開発が試みられている。し
かし、CVD法によって形成される多結晶ダイヤモンド
薄膜の表面には、個々の結晶粒による凹凸が存在する。
そのため、基板素材上にCVD法により形成された多結
晶ダイヤモンド薄膜を電子デバイス用の基体として用い
る場合、一般に、表面の平滑性を高めるために、ダイヤ
モンド薄膜形成後、研磨処理等が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、CVD
法により形成された多結晶ダイヤモンド薄膜の表面には
凹凸が存在するため、電子デバイス用のダイヤモンド基
体やダイヤモンド薄膜を用いた電子デバイスを基体上に
得る場合、平滑面を得るためにダイヤモンド薄膜の表面
を研磨処理する必要がある。しかし、一般的にダイヤモ
ンドは非常に硬く、機械的な研磨処理は困難である。ま
た、ダイヤモンドは化学的にも安定な物質であり、エッ
チングなどによる化学的処理も困難である。従って、従
来の方法は、大面積でかつ表面が平滑なダイヤモンド基
体を大量生産するには適さないという問題点を有してい
た。また、大面積でかつ表面が平滑なダイヤモンド基体
が製造されたとしても、1個ずつ機械的な研磨処理等が
施されるため、製造コストが高く、また品質のばらつき
が大きいという問題点を有していた。
【0005】本発明は、ダイヤモンド基体の表面を直接
研磨処理することなく、大面積でかつ表面が平滑なダイ
ヤモンド基体を簡単かつ容易に製造し得る方法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のダイヤモンド基体の製造方法は、所定の平
滑度を有する基板素材上にダイヤモンド薄膜を堆積させ
る工程と、前記ダイヤモンド薄膜に支持体を接着する工
程と、前記支持体接着後、前記基板素材を除去する工程
とを具備するように構成されている。また、本発明のダ
イヤモンド基体の製造方法は、所定の平滑度を有する基
板素材上にダイヤモンド薄膜を堆積させる工程と、前記
ダイヤモンド薄膜上に薄膜を堆積させる工程と、前記薄
膜に支持体を接着する工程と、前記支持体接着後、前記
基板素材を除去する工程とを具備するように構成しても
よい。また、本発明のダイヤモンド基体の製造方法は、
所定の平滑度を有する基板素材上にダイヤモンド薄膜を
堆積させる工程と、前記ダイヤモンド薄膜上に支持体と
なる膜を堆積させる工程と、前記膜堆積後、前記基板素
材を除去する工程とを具備するように構成してもよい。
また、本発明のダイヤモンド基体の製造方法は、所定の
平滑度を有する基板素材上にダイヤモンド薄膜を堆積さ
せる工程と、前記ダイヤモンド薄膜上に薄膜を堆積させ
る工程と、前記薄膜上に支持体となる膜をを堆積させる
工程と、前記膜堆積後、前記基板素材を除去する工程と
を具備するように構成してもよい。上記各構成におい
て、基板素材上に堆積させるダイヤモンド薄膜は、p形
の特性を有することが好ましい。又は、上記各構成にお
いて、基板素材上に堆積させるダイヤモンド薄膜は、n
形の特性を有することが好ましい。また、上記各構成に
おいて、ダイヤモンド薄膜上に堆積させる支持体となる
膜は、ダイヤモンド膜であることが好ましい。また、上
記各構成において、基板素材は金属基板であることが好
ましい。また、上記各構成において、基板材料をエッチ
ングにより除去することが好ましい。又は、上記各構成
において、基板材料を機械的研磨処理により除去するこ
とが好ましい。
【0007】
【作用】基板素材上に堆積された多結晶ダイヤモンド薄
膜の表面(第1の表面と称する)には、前述のように凹
凸が存在する。一方、基板素材と接した面(第2の表面
と称する)は、用いられた基板素材の表面の平滑性と同
程度の平滑性を有している。従って、ダイヤモンド薄膜
をCVD法等の方法により基板素材上に堆積し、第1の
表面に支持体を接着し、その後基板素材のみを除去する
ことにより、ダイヤモンド基体の平滑性を有する第2の
表面が新たに露出される。新たに露出した第2の表面
は、基板素材の平滑性と同程度の平滑性を有しているた
め、電子デバイス用の基体等として用られる。また、ダ
イヤモンド薄膜の第1の表面に支持体を接着する前に、
第1の表面上に薄膜を堆積させることにより、ダイヤモ
ンド薄膜と支持体の接着強度が高くなり、又はダイヤモ
ンド薄膜と支持体とが電気的に絶縁される。さらに、ダ
イヤモンド薄膜の第1の表面に支持体を接着する代わり
に、支持体となる膜を第1の表面上に堆積させることに
より、支持体の接着工程が省略される。さらに、ダイヤ
モンド薄膜の第1の表面に支持体を堆積させる前に、第
1の表面上に薄膜を堆積し、さらに薄膜上に支持体とな
る膜を堆積させることにより、支持体の接着工程が省略
され、またダイヤモンド薄膜と支持体となる薄膜の接着
強度が高くなり、又はダイヤモンド薄膜と支持体とが電
気的に絶縁される。
【0008】基板素材上に堆積させるダイヤモンド薄膜
をp形又はn形の特性を有するように構成することによ
り、容易にダイヤモンド基体上への電子デバイスを作製
し得る。また、支持体として用いる膜をダイヤモンド膜
とすることにより、ダイヤモンドのみ又は大部分がダイ
ヤモンドで構成された高品質なダイヤモンド基体が得ら
れる。さらに、基板素材を金属基板とすることにより、
エッチング又は機械的研磨により、基板素材上に堆積さ
れたダイヤモンド薄膜を損傷することなく、容易に基板
素材を除去し得る。
【0009】
【実施例】以下、本発明のダイヤモンド基体の製造方法
を、その好適な各実施例を示す図面を参照しつつ説明す
る。
【0010】<第1の実施例>図1は本発明のダイヤモ
ンド基体の製造方法の第1の実施例の構成を示す工程図
である。図1において、まず工程(1)において、ダイ
ヤモンド薄膜2を堆積させるための所定の平滑度を有す
る基板素材1を準備する。基板素材1としては、ダイヤ
モンド薄膜2が堆積可能なものであれば、いかなるもの
を用いてもよい。しかし、支持体3をダイヤモンド薄膜
2の第1の面に接着した後に、基板素材1を除去するこ
とを考慮すると、シリコン又は銅等の金属基板が適当で
ある。また、ダイヤモンド薄膜2を容易に堆積させるた
めに、基板素材1の前処理として、超音波処理(ダイヤ
モンド砥粒を含んだ溶液中に基板素材1を浸し、超音波
を印加する処理)を行なってもよい。
【0011】次に、工程(2)において、基板素材1上
に、所定の膜厚を有するダイヤモンド薄膜2を堆積させ
る。ダイヤモンド薄膜2を堆積させる方法として、いず
れの方法を用いてもよいが、一般には、マイクロ波プラ
ズマCVD法がよく用いられる。堆積されるべきダイヤ
モンド薄膜の膜厚は、応用される用途により異なるが、
概ね数μm〜数百μm程度である。
【0012】さらに、工程(3)において、ダイヤモン
ド薄膜2の第1の表面(成長面)2a上に接着剤4を介
して支持体3を接着する。接着剤3及び支持体4の材質
は、接着強度又は基板素材1を除去した後の保持強度を
実用上十分確保し得るものであれば、特に限定されな
い。しかし、基板素材1を除去する際、接着剤3及び支
持体4が損傷されないように、基板素材1の除去方法に
適した材料を選択する必要がある。
【0013】さらに、工程(4)において、基板素材1
を除去する。その結果、基板素材1に接していたダイヤ
モンド薄膜2の平滑性が高い第2の表面2bが表面に露
出する。最後に、工程(5)において、この露出したダ
イヤモンド薄膜2の第2の表面2bを表面とすることに
より、表面の平滑性が高いダイヤモンド基体10が得ら
れる。なお、基板素材1を除去する方法としては、酸な
どの薬品によるエッチング又は機械的な研磨処理等を挙
げることができる。何れの方法を採用するかは、用いた
接着剤3及び支持体4の材質等に基づいて決定する。
【0014】上記第1の実施例の工程に基づいて行なっ
た具体的な実験例を以下に示す。 (実験例1)まず、マイクロ波プラズマCVD法を用い
て、結晶方位が(100)のシリコン基板上に多結晶ダ
イヤモンド膜を堆積させた。ダイヤモンド薄膜の堆積を
容易にするために、シリコン基板は超音波処理による前
処理を施したものを用いた。マイクロ波プラズマCVD
法は、原料ガスをマイクロ波によってプラズマ化するこ
とにより膜を堆積させるものである。本実験例では、原
料ガスとして水素で2〜10%程度に希釈された一酸化
炭素ガスを用いた。堆積されたダイヤモンド薄膜の膜厚
は200μmであった。得られたダイヤモンド薄膜の第
2の表面(成長面)の表面を観察したところ、数μm程
度の凹凸が存在していた。
【0015】次に、ダイヤモンド薄膜の第1の表面(成
長面)にセラミックスの支持体を接着した。接着剤とし
て、加熱することにより硬化するセラミック系の接着剤
を用いた。さらに、支持体を接着したダイヤモンド基体
を弗硝酸水溶液に浸すことにより、シリコン基板の除去
を行なった。その結果、シリコン基板に接していたダイ
ヤモンド薄膜の第2の表面(シリコン基板の表面の平滑
性と同程度の平滑性を有する表面)が露出した。この露
出した第2の表面を基体表面とすることにより、凹凸が
ほとんどない平滑性の高い表面のダイヤモンド基体が得
られた。なお、例えば熱フィラメント法等の多の方法を
用いて、シリコン基板上にダイヤモンド薄膜を堆積させ
た場合であっても、同様の結果が得られた。
【0016】(実験例2)上記実験例1の場合と同様
に、マイクロ波プラズマCVD法を用いて、シリコン基
板上に多結晶ダイヤモンド薄膜を形成し、接着剤を用い
て成長させたダイヤモンド薄膜の成長表面にセラミック
スの支持体を接着した。その後、シリコン基板を弗硝酸
で溶かす代わりに、機械的な研磨処理により除去した。
その結果、実験例の場合と同様に平滑性の高いダイヤモ
ンド基体が得られた。
【0017】<第2の実施例>図2は本発明のダイヤモ
ンド基体の製造方法の第2の実施例の構成を示す工程図
である。図2において、まず工程(1)において、ダイ
ヤモンド薄膜2を堆積させるための所定の平滑度を有す
る基板素材1を準備する。次に、工程(2)において、
基板素材1上に、所定の膜厚を有するダイヤモンド薄膜
2を堆積させる。さらに、工程(3)において、ダイヤ
モンド膜2の第1の表面(成長面)2a上に薄膜5を堆
積させる。さらに、工程(4)において、薄膜5の成長
面上に接着剤4を介して支持体3を接着する。さらに、
工程(5)において、基板素材1を除去し、ダイヤモン
ド薄膜2の第2の表面2bを露出させる。最後に、工程
(6)において、露出したダイヤモンド薄膜2の第2の
表面2bを表面とすることにより、表面の平滑性が高い
ダイヤモンド基体11が得られる。
【0018】この第2の実施例において用いられる基板
素材1、支持体3、接着剤4等の材質、ダイヤモンド膜
2の形成方法及び基板素材1の除去方法等については、
前記第1の実施例の場合と同様であるため、その説明を
省略する。また、ダイヤモンド膜2上に堆積される薄膜
5は、支持体3とダイヤモンド薄膜2との接着強度を高
める目的だけでなく、支持体3が導電性の物質の場合の
ダイヤモンド薄膜2と支持体3との電気的な分離のため
に用いられる。それ故、薄膜5としては、SiO2膜や
シリコンナイトライド膜等が用いられる。
【0019】上記第2の実施例の工程に基づいて行なっ
た具体的な実験例を以下に示す。 (実験例3)前記実験例1の場合と同様に、超音波処理
の前処理を施したシリコン(100)基板を用い、マイ
クロ波プラズマCVD法により、ダイヤモンド薄膜の形
成を行なった。本実験例においては、原料ガスとして水
素で2〜10%程度に希釈された一酸化炭素ガスにジボ
ランガスを添加したものを用いて、ホウ素(B)をドー
プした。その結果、形成されたダイヤモンド薄膜はp形
の特性を示す低抵抗なものとなった。堆積されたダイヤ
モンド薄膜の膜厚は200μmであった。得られたダイ
ヤモンド薄膜の第1の表面(成長面)を観察したとこ
ろ、ホウ素(B)をドープした場合も、実験例1の場合
におけるノンドープの場合と同様に、数μm程度の凹凸
が存在していた。この場合、堆積されたダイヤモンド薄
膜は導電性を有するため、得られるダイヤモンド基体上
に電子デバイス等を構成する場合、支持体とダイヤモン
ド薄膜との間を電気的に絶縁する必要がある。そこで、
ダイヤモンド薄膜形成後、続けて膜厚10μm程度のS
iO2膜を堆積させ、ダイヤモンド薄膜と支持体の間を
電気的に絶縁した。この工程を導入することにより、使
用できる支持体の選択性を広めることが可能になる。
【0020】次に、接着剤を用いて、ダイヤモンド薄膜
の成長表面に堆積させたSiO2膜にモリブデン(M
o)の支持体を接着した。その後、機械的な研磨処理に
よりシリコン基板の除去を行なった。その結果、シリコ
ン基板に接していたダイヤモンド薄膜の第2の表面(シ
リコン基板の表面の平滑性と同程度の平滑性を有する表
面)が露出した。この露出した第2の表面を基体表面と
することにより、凹凸がほとんどなく、支持体との電気
的絶縁性も保たれた平滑性の高い表面のダイヤモンド基
体が得られた。また、ダイヤモンド薄膜として、n形の
特性を持つものを堆積させた場合も同様の結果が得られ
た。
【0021】<第3の実施例>図3は本発明のダイヤモ
ンド基体の製造方法の第3の実施例の構成を示す工程図
である。図3において、まず工程(1)において、ダイ
ヤモンド薄膜2を堆積させるための所定の平滑度を有す
る基板素材1を準備する。次に、工程(2)において、
基板素材1上に、所定の膜厚を有するダイヤモンド薄膜
2を堆積させる。さらに、工程(3)において、ダイヤ
モンド薄膜2の第1の表面(成長面)2a上に支持体と
なる膜6を堆積させる。さらに、工程(4)において、
基板素材1を除去し、ダイヤモンド薄膜2の第2の表面
2bを露出させる。最後に、工程(5)において、露出
したダイヤモンド薄膜2の第2の表面2bを表面とする
ことにより、表面の平滑性が高いダイヤモンド基体12
が得られる。
【0022】この実施例において用いられる基板素材1
の材質、ダイヤモンド膜2の形成方法及び基板素材1の
除去方法等については、前記第1の実施例の場合と同様
であるため、その説明を省略する。また、ダイヤモンド
膜2上に形成される支持体となる膜6は、ダイヤモンド
基体の強度を確保する観点から、硬質のものが望まし
い。また、実際上ある程度の厚さが必要であることか
ら、堆積レートが大きい形成方法及び材質を選択する必
要がある。そのため、ダイヤモンド薄膜を燃焼炎法によ
って形成することが好ましい。
【0023】上記第3の実施例の工程に基づいて行なっ
た具体的な実験例を以下に示す。 (実験例4)基板素材1として、超音波処理による前処
理を施した銅板を用いた。ダイヤモンドの形成方法は、
前記実験例1及び2の場合と同様に、マイクロ波プラズ
マCVD法により20μm堆積した。支持体を接着する
工程の代わりに、燃焼炎法により、支持体となるダイヤ
モンド膜を堆積した。燃焼炎法は、マイクロ波プラズマ
CVD法と比較して、形成される膜質が若干劣ることや
ドーピングが困難であるなどの欠点を持つけれども、大
気圧中でダイヤモンドを合成できること及び積速度が早
いという特徴を有する。本実験例においては、酸素とア
セチレンがほぼ1:1の混合比の反応ガスを用いて50
0μmの厚さのダイヤモンド膜の支持体を堆積した。こ
のダイヤモンドのみで構成されたダイヤモンド基体を、
エッチング液に浸すことにより、銅板の除去を行なっ
た。その結果、表面の凹凸がほとんどない平滑性の高い
ダイヤモンドのみからなる基体が得られた。また、銅板
をエッチング液で溶かす代わりに、機械的な研磨処理に
より除去した場合でも、同様に平滑性の高いダイヤモン
ド基体が得られた。
【0024】<第4の実施例>図4は本発明のダイヤモ
ンド基体の製造方法の第4の実施例の構成を示す工程図
である。図4において、まず工程(1)において、ダイ
ヤモンド薄膜2を堆積させるための所定の平滑度を有す
る基板素材1を準備する。次に、工程(2)において、
基板素材1上に、所定の膜厚を有するダイヤモンド薄膜
2を堆積させる。さらに、工程(3)において、ダイヤ
モンド薄膜2の成長面上に薄膜5を堆積する。さらに、
工程(4)において、薄膜5の上に支持体となる膜6を
堆積させる。さらに、工程(5)において、基板素材1
を除去し、ダイヤモンド薄膜2の第2の表面2bを露出
させる。最後に、工程(6)において、露出したダイヤ
モンド薄膜2の第2の表面2bを表面とすることによ
り、表面の平滑性が高いダイヤモンド基体13が得られ
る。この実施例において用いる基板素材1の材質、ダイ
ヤモンド膜2の形成方法及び基板素材1の除去方法等に
ついては、上記各実施例の場合と同様であるので、その
説明を省略する。
【0025】上記第4の実施例の工程に基づいて行なっ
た具体的な実験例を以下に示す。 (実施例5)基板素材1として、超音波処理による前処
理を施した銅板を用いた。ダイヤモンドの形成方法は、
前記実験例2の場合と同様に、マイクロ波プラズマCV
D法によりp形膜を20μm堆積した。さらに、電気絶
縁性を充分に高める目的で,ダイヤモンド薄膜の上にS
iO2膜を10μm堆積した。その後、支持体となるダ
イヤモンド膜を燃焼炎法により500μm堆積した。そ
して、ダイヤモンド基体をエッチング液に浸し、銅板を
除去した。その結果、表面の凹凸がほとんどなく、かつ
電気絶縁性に優れた平滑性の高いダイヤモンド基体が得
られた。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、所定の
平滑度を有する基板素材の上にダイヤモンド薄膜を堆積
させ、ダイヤモンド薄膜上に支持体を接着した後、基板
素材のみを除去するように構成したので、基板素材の除
去により露出したダイヤモンド薄膜の表面は、基板素材
の表面の平滑度と同程度の平滑度を有する。そのため、
ダイヤモンド薄膜を直接研磨することなく、表面が平滑
なダイヤモンド基体を容易に、再現性良く作製すること
ができる。また、支持体を接着する前に、ダイヤモンド
薄膜の表面に薄膜を堆積させることにより、ダイヤモン
ド薄膜と支持体の接着強度を高めたり、又はダイヤモン
ド薄膜と支持体とを電気的に絶縁することができる。さ
らに、支持体を接着する代わりに、支持体となる膜をダ
イヤモンド薄膜上に堆積させることにより、支持体の接
着工程を省略することができる。さらに、支持体を堆積
させる前に、ダイヤモンド薄膜の上に薄膜を堆積させる
ことにより、支持体の接着工程を省くことができると共
に、ダイヤモンド薄膜と支持体となる薄膜の接着強度を
高めたり、又はダイヤモンド薄膜と支持体とを電気的に
絶縁することができる。さらに、基板素材上に堆積させ
るダイヤモンド薄膜をp形又はn形とすることにより、
得られたダイヤモンド基体上への電子デバイスの作製が
容易になる。さらに、支持体として用いる膜をダイヤモ
ンド膜とすることにより、ダイヤモンドのみ又は大部分
がダイヤモンドで構成された高品質なダイヤモンド基体
を得ることができる。さらに、基板素材を金属基板とす
ることにより、エッチング又は機械的研磨により、基板
素材上に堆積されたダイヤモンド薄膜を損傷することな
く、容易に基板素材を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイヤモンド基体の製造方法の第1の
実施例の構成を示す工程図
【図2】本発明のダイヤモンド基体の製造方法の第2の
実施例の構成を示す工程図
【図3】本発明のダイヤモンド基体の製造方法の第3の
実施例の構成を示す工程図
【図4】本発明のダイヤモンド基体の製造方法の第4の
実施例の構成を示す工程図
【符号の説明】
1 :基板素材 2 :ダイヤモンド薄膜 2a:第1の表面(成長面) 2b:第2の表面 3 :支持体 4 :接着剤 5 :薄膜 6 :支持体となる膜 10:ダイヤモンド基体 11:ダイヤモンド基体 12:ダイヤモンド基体 13:ダイヤモンド基体

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の平滑度を有する基板素材上にダイ
    ヤモンド薄膜を堆積させる工程と、前記ダイヤモンド薄
    膜に支持体を接着する工程と、前記支持体接着後、前記
    基板素材を除去する工程とを具備するダイヤモンド基体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 所定の平滑度を有する基板素材上にダイ
    ヤモンド薄膜を堆積させる工程と、前記ダイヤモンド薄
    膜上に薄膜を堆積させる工程と、前記薄膜に支持体を接
    着する工程と、前記支持体接着後、前記基板素材を除去
    する工程とを具備するダイヤモンド基体の製造方法。
  3. 【請求項3】 所定の平滑度を有する基板素材上にダイ
    ヤモンド薄膜を堆積させる工程と、前記ダイヤモンド薄
    膜上に支持体となる膜を堆積させる工程と、前記膜堆積
    後、前記基板素材を除去する工程とを具備するダイヤモ
    ンド基体の製造方法。
  4. 【請求項4】 所定の平滑度を有する基板素材上にダイ
    ヤモンド薄膜を堆積させる工程と、前記ダイヤモンド薄
    膜上に薄膜を堆積させる工程と、前記薄膜上に支持体と
    なる膜をを堆積させる工程と、前記膜堆積後、前記基板
    素材を除去する工程とを具備するダイヤモンド基体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 基板素材上に堆積させるダイヤモンド薄
    膜は、p形の特性を有する請求項1から4のいずれかに
    記載のダイヤモンド基体の製造方法。
  6. 【請求項6】 基板素材上に堆積させるダイヤモンド薄
    膜は、n形の特性を有する請求項1から4のいずれかに
    記載のダイヤモンド基体の製造方法。
  7. 【請求項7】 ダイヤモンド薄膜上に堆積させる支持体
    となる膜は、ダイヤモンド膜である請求項3又は4に記
    載のダイヤモンド基体の製造方法。
  8. 【請求項8】 基板素材は、金属基板である請求項1か
    ら7のいずれかに記載のダイヤモンド基体の製造方法。
  9. 【請求項9】 基板材料をエッチングにより除去するこ
    とを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のダイ
    ヤモンド基体の製造方法。
  10. 【請求項10】 基板材料を機械的研磨処理により除去
    することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載
    のダイヤモンド基体の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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