JPH07164933A - 座席取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車体側レール自体やその取付け、座席側レール
に対する座席の取付け等に対する諸々の精度の要求を緩
め、また、スライド装置の作動性や耐久性を向上させる
ことができる座席取付構造を提供すること。 【構成】車体側レール２１に前後移動可能に組み合わさ
る座席側レール２２に、座席１３（１４）をボルト６０
で取付けるための支持ブラケット３０を固着し、該支持
ブラケット３０にボルト受孔３３を設けて、該ボルト受
孔３３の内縁に、前記ボルト６０に弾性変形可能に係合
し、座席側レール２２に対する座席１３（１４）の遊び
を生じさせる弾性ブッシュ４０を嵌着した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車体側レールと、該車
体側レールに前後移動可能に組み合わさる座席側レール
とを備えたスライド装置に、座席を支持する座席取付構
造に関し、そのうち特に、３列式シート搭載車両におい
て、セカンドシートやサードシートを車室内の最後部か
ら前席位置まで移動可能に支持するロングスライド装置
に対する座席の取付に用いられるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の座席取付構造としては、
例えば、図８に示すようなものがある。すなわち、図示
省略した車体フロアには通常２ｍ程の長さの一対の車体
側レール１（一方のみ図示）が相互に平行に固設されて
おり、この一対の車体側レール１に、それぞれ座席の前
後幅に対応した長さの座席側レール２が前後移動可能に
組み合わされている。そして、座席側レール２には支持
ブラケット３が溶着されており、該支持ブラケット３に
座席のシートフレーム５がボルト４で固着されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の座席取付構造では、車体側レール１が比較的
長くなるため、その分、車体側レール１自体の直線性
や、一対の車体側レール１間の平行度等に厳密な精度が
要求され、また、一対の車体側レール１にそれぞれ移動
可能に組み合わされる各座席側レール２に対する座席の
取付け時にも精度出しが必要となる。従って、これらの
精度出しや、精度の保持に多大な労力や時間がかかるた
め、コストアップを招くという問題点があった。

【０００４】また、座席側レール２の支持ブラケット３
に対し、座席（シートフレーム５）はボルト４で完全に
固着されるから、座席側レール２に対する座席（５）の
遊びが無い。従って、多少なりとも車体側レール１自体
やその取付け、座席側レール２に対する座席（５）の取
付け等の精度に問題があると、スライド装置の作動性や
耐久性が損なわれるというおそれがあった。

【０００５】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、車体側レール自体やその取付け、
座席側レールに対する座席の取付け等に対する諸々の精
度の要求を緩め、また、スライド装置の作動性や耐久性
を向上させることができる座席取付構造を提供すること
を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの要旨とするところは、車体側レール（２１）と、該
車体側レール（２１）に前後移動可能に組み合わさる座
席側レール（２２）とを備えたスライド装置（２０）
に、座席（１３，１４）を支持する座席取付構造におい
て、前記座席側レール（２２）に、座席（１３，１４）
をボルト（６０）で取付けるための支持ブラケット（３
０）を固着し、該支持ブラケット（３０）にボルト受孔
（３３）を設けて、該ボルト受孔（３３）の内縁側に、
前記ボルト（６０）に弾性変形可能に係合し、座席側レ
ール（２２）に対する座席（１３，１４）の遊びを生じ
させる弾性ブッシュ（４０）を介在させたことを特徴と
する座席取付構造に存する。

【０００７】

【作用】スライド装置（２０）を構成する座席側レール
（２２）に、支持ブラケット（３０）を固着する。この
支持ブラケット（３０）にボルト受孔（３３）を設け
て、該ボルト受孔（３３）の内縁側に弾性ブッシュ（４
０）を介在させる。そして、弾性ブッシュ（４０）内に
ボルト（６０）を通し係合させた状態にて座席（１３，
１４）をボルト（６０）止めする。

【０００８】このように、座席側レール（２２）の支持
ブラケット（３０）と、座席（１３，１４）に直接固着
するボルト（６０）との間に弾性ブッシュ（４０）を介
在させることで、かかる弾性ブッシュ（４０）の弾性変
形により、座席側レール（２２）に対し座席（１３，１
４）がきっちり固定されず、その間にある程度動き得る
余裕が生じる。

【０００９】それにより、車体側レール（２１）自体の
直線性や、一対の車体側レール（２１）間の平行度等の
精度に多少の誤差が生じても適宜調整される。従って、
スライド装置（２０）の作動性や耐久性が向上する一
方、座席（１３，１４）の取付け等に関する精度出し
や、精度の保持のための多大な労力や時間を削減するこ
とができる。

【００１０】

【実施例】以下、図面に基づき本発明の各種実施例を説
明する。図１〜図５は本発明の第１実施例を示してい
る。本発明に係る座席取付構造は、ロングスライド装置
２０に座席を支持するための構造である。図５に示すよ
うに、３列式シート搭載車両では、車室内の最前部には
運転席１１，助手席１２が並設されており、その後方に
は、セカンドシート１３及びサードシート１４が車室内
の最後部から前席位置まで前後移動可能にロングスライ
ド装置２０（図３参照）で支持されている。

【００１１】ロングスライド装置２０は、図３及び図４
に示すように、車体フロアに互いに平行に固設される車
体側レール２１，２１と、各車体側レール２１，２１に
前後移動可能に嵌合して座席１３，１４を支持する座席
側レール２２，２２とからなる。以下、一方の車体側レ
ール２１と座席側レール２２との組合せを代表して説明
する。

【００１２】図１に示すように、車体側レール２１は溝
状断面に形成されており、長手方向に延びるガイド溝２
３ａが形成された天井部２３、それに両側壁部２４，２
４と、底面部２５とを有している。この車体側レール２
１の長さは、２ｍ位に設定されている。

【００１３】一方、座席側レール２２は逆Ｌ字形断面に
形成されており、上面部２６と側壁部２７とを有してい
る。側壁部２７の前後端には、それぞれ枢軸２８，２８
を介してコロ２９，２９が回転可能に枢支されている。
この座席側レール２２の長さは、座席１３，１４の前後
幅に対応して設定されており、車体側レール２１に比し
てかなり短くなっている。

【００１４】座席側レール２２の側壁部２７は、その下
端縁側が車体側レール２１の内側に嵌合しており、上端
縁側が車体側レール２１の天井部２３にあるガイド溝２
３ａに案内される。また、座席側レール２２の側壁部２
７に枢支されたコロ２９は、車体側レール２１の底面部
２５に接しており、車体側レール２１に対し座席側レー
ル２２がスムーズに前後移動できるようになっている。

【００１５】図２及び図１に示すように、座席側レール
２２の上面部２６の前後端には、座席１３（１４）をボ
ルト６０で取付けるための支持ブラケット３０が固着さ
れている。支持ブラケット３０はＬ字形断面の部材であ
り、座席側レール２２の上面部２６に溶着する固定片３
１と、座席１３（１４）をボルト止めする取付片３２と
からなる。

【００１６】支持ブラケット３０の取付片３２にはボル
ト受孔３３が設けられている。このボルト受孔３３の内
縁には、ボルト６０に弾性変形可能に係合して、座席側
レール２２に対する座席１３（１４）の遊びを生む弾性
ブッシュ４０が嵌着されている。弾性ブッシュ４０は、
例えば、軟質樹脂やゴム等から図示した形状に成形され
たものである。

【００１７】すなわち、ボルト受孔３３の内縁に嵌着さ
れた状態で、取付片３２を前後から挟むフランジ４１，
４２や、ボルト６０を嵌通させる係合孔４３を有してい
る。また、弾性ブッシュ４０の係合孔４３の内側には、
メタルスリーブ５０が内嵌されている。

【００１８】なお、弾性ブッシュ４０のフランジ４２と
ボルト６０の頭部との間には、図２に示すように、ワッ
シャ６１を介装させてもよい。ボルト６０の脚部の先端
側は、座席１３（１４）に内装するシートフレーム１０
の側部前後端に設けられた止め孔１１及びナット６２に
固着されている。

【００１９】次に、作用を説明する。図２に示すよう
に、座席側レール２２に固着した支持ブラケット３０
と、座席１３（１４）のシートフレーム１０に直接固着
するボルト６０との間に弾性ブッシュ４０が介在するか
ら、かかる弾性ブッシュ４０の弾性変形によって、座席
側レール２２に対し座席１３（１４）がきっちり固定さ
れず、その間にある程度動き得る余裕が生じる。

【００２０】それにより、図３に示すように、車体側レ
ール２１自体の直線性や、一対の車体側レール２１，２
１間の平行度等の精度に多少の誤差が生じても、弾性ブ
ッシュ４０の変形により適宜調整される。従って、図３
に示す一対の車体側レール２１，２１に対して、図４に
示す一対の座席側レール２２，２２が円滑に前後移動す
ることができるとともに、各々のレール２１，２２に無
理な力もかかることない。

【００２１】以上のように、本発明に係る座席取付装置
によれば、ロングスライド装置２０の作動性や耐久性が
向上する一方、座席１３，１４の取付け等に関する精度
出しや、精度の保持も緩和されるから、それらに要して
いた多大な労力や時間を削減することができ、コストを
低減することが可能となる。

【００２２】図６は本発明の第２実施例を示している。
本実施例では、前記第１実施例のような通常のボルト６
０を用いずに、支持ブラケット３０に対するシートフレ
ーム１０の取付けに、段付ボルト７０を使用している。
なお、第１実施例と同種の部位については同一符号を付
し、重複した説明を省略する。

【００２３】それにより、弾性ブッシュ４０の係合孔４
３の内側に、メタルスリーブ５０を内嵌させる必要がな
くなり、弾性ブッシュ４０の係合孔４３には、段付ボル
ト７０の段部７１を内嵌させればよく、部品点数を減ら
すことができる。

【００２４】図７は本発明の第３実施例を示している。
本実施例では、支持ブラケット３０のボルト受孔３３に
金属ブッシュ８０を嵌着し、該金属ブッシュ８０の内側
に筒状の弾性ブッシュ４０ａを内装したものであり、弾
性ブッシュ４０ａの係合孔４３ａに段付ボルト７０の段
部７１を内嵌させている。

【００２５】それにより、本実施例では、支持ブラケッ
ト３０のボルト受孔３３の内縁に弾性ブッシュ４０ａが
直接係合することなく、金属ブッシュ８０で保護される
ため、弾性ブッシュ４０ａの摩耗を防止し、耐久性を向
上させることができる。

【００２６】

【発明の効果】本発明に係る座席取付構造によれば、座
席側レールの支持ブラケットと、座席に直接固着するボ
ルトとの間に、弾性ブッシュを介在させることで、かか
る弾性ブッシュの弾性変形により、座席側レールに対し
座席がきっちり固定されず、その間にある程度動き得る
余裕が生じる。従って、座席側レールが前後移動可能に
組み合わさる車体側レール自体の直線性や、一対の車体
側レール間の平行度等の精度に多少の誤差が生じても、
これらの誤差は弾性ブッシュの弾性変形により適宜調整
されるため、スライド装置の作動性や耐久性を向上させ
ることができる。その一方、座席の取付け等に関する精
度出しや、精度の保持も緩和され、それに要していた多
大な労力や時間を削減することができ、コストを低減す
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る座席取付構造を示す
分解斜視図である。

【図２】本発明の第１実施例に係る座席取付構造を示す
要部断面図である。

【図３】本発明の第１実施例に係る座席取付構造を構成
するスライド装置の車体側レールを、車体フロアに固設
した状態を示す平面図である。

【図４】本発明の第１実施例に係る座席取付構造を構成
するスライド装置の座席側レールを、座席に固設した状
態を示す背面図である。

【図５】本発明の第１実施例に係る座席取付構造を備え
る座席を示す斜視図である。

【図６】本発明の第２実施例に係る座席取付構造を示す
要部断面図である。

【図７】本発明の第３実施例に係る座席取付構造を示す
要部断面図である。

【図８】従来の座席取付構造を示す斜視図である。

【符号説明】

１０…シートフレーム ２０…ロングスライド装置 ２１…車体側レール ２２…座席側レール ３０…支持ブラケット ３３…ボルト受孔 ４０…弾性ブッシュ ６０，７０…ボルト

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体側レールと、該車体側レールに前後移
   動可能に組み合わさる座席側レールとを備えたスライド
   装置に、座席を支持する座席取付構造において、 前記座席側レールに、座席をボルトで取付けるための支
   持ブラケットを固着し、該支持ブラケットにボルト受孔
   を設けて、該ボルト受孔の内縁側に、前記ボルトに弾性
   変形可能に係合し、座席側レールに対する座席の遊びを
   生じさせる弾性ブッシュを介在させたことを特徴とする
   座席取付構造。