JPH07149950A

JPH07149950A - タイヤトレッド用ゴム組成物

Info

Publication number: JPH07149950A
Application number: JP5298313A
Authority: JP
Inventors: Shigeo Kimura; 重夫木村; Kazuo Yagawa; 一夫矢川; Takatsugu Hashimoto; 隆次橋本; Koji Akaishi; 康次赤石; Kenichi Hattori; 賢一服部
Original assignee: Bridgestone Corp
Current assignee: Bridgestone Corp
Priority date: 1993-11-29
Filing date: 1993-11-29
Publication date: 1995-06-13
Anticipated expiration: 2018-04-21
Also published as: JP3399602B2

Abstract

(57)【要約】【目的】加工性、耐摩耗性を低下させることなく、ま
た、低発熱性を維持せしめてウェットスキッド性能を向
上させるタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する。【構成】天然ゴム及び／又はジエン系合成ゴム１００
重量部に対して、下記一般式（Ｉ）で表される粒径が１
０μｍ以下である少なくとも一つの無機化合物粉体５〜
３０重量部と、カーボンブラック３０〜１００重量部と
を配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物。Ｍ・ｘＳｉＯ₂・ｙＨ₂Ｏ ………（Ｉ）〔式(Ｉ)中のＭは、Ａｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｃａから選ばれ
る少なくとも一つの金属酸化物又は金属水酸化物であ
り、ｘ，ｙは共に０〜１０の整数である。〕

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、タイヤトレッド用ゴム
組成物、特に、ウェット路面上での走行安定性と関係す
るウェットスキッド性能に優れたタイヤトレッド用ゴム
組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、タイヤトレッド用ゴム組成物にお
いて、ウェットスキッド性能を向上させる手段として
は、シリカを高充填配合にすること、若しくは、ゴムの
ガラス転移温度（Ｔｇ）、すなわち、０℃ ｔａｎδを
高くすること、または、カーボンブラックの粒径を細か
くして高充填配合にすることなどが知られている。

【０００３】しかしながら、シリカ高充填配合のタイヤ
トレッド用ゴム組成物では、作業性（加工性）に問題点
があり、ゴムのＴｇを高くしたものでは、低温性能の低
下と転がり抵抗（ローリングレジスタンス、以下、「Ｒ
Ｒ」と称する）が高くなる点に問題点があり、カーボン
ブラックの粒径を細かくして高充填配合したものでは、
ＲＲが高くなる点に問題点がある。

【０００４】これらの問題点を改良した技術乃至近似し
た技術としては、例えば、特殊なシリカと練りの工夫でウェットスキッド性能
を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物及びその製造
方法（ヨーロッパ特許５０１２２７号公報）、天然ゴム及び／又はジエン系合成ゴム１００重量部
に対して、凝固点が−４８℃以下である低温性可塑剤１
０〜８０重量部と、平均粒径が０.１〜１mmである炭化
珪素、窒化珪素、及び酸化アルミニウム、珪石の単独又
はこれらの混合物５〜４０重量部とを配合してなるアイ
ススキッド性能の向上に効果があるタイヤトレッド用ゴ
ム組成物（特開平２−１３５２４１号公報）、天然ゴム及び／又はジエン系合成ゴム１００重量部
に対して、凝固点が−４０℃以下である低温性可塑剤１
０〜８０重量部と、平均粒径が０.０１〜０.５mmである
アルミナ５〜４５重量部とを併用配合してなる氷上での
高摩擦特性を有するタイヤトレッド用ゴム組成物（特開
昭６０−１４７４５０号公報）などが知られている。

【０００５】しかしながら、上記ヨーロッパ特許５０１
２２７号公報に記載されるタイヤトレッド用ゴム組成物
は、作業性（加工性）に問題点があり、上記特開平２−
１３５２４１号公報に記載されるタイヤトレッド用ゴム
組成物は、耐摩耗性に問題点があり、上記特開昭６０−
１４７４５０号公報に記載されるタイヤトレッド用ゴム
組成物は、耐摩耗性及び耐破壊特性に問題点がある。従
って、上記従来の技術においては、ウェットスキッド性
能等を向上させるために、作業性、耐摩耗性及び低発熱
性の少なくとも一つ以上を犠牲にしたものとなってお
り、これらの特性とウェットスキッド性能とを同時に満
足したタイヤトレッド用ゴム組成物が未だ存在しないの
が現状である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、作業
性、耐摩耗性を低下させることなく、また、低発熱性を
維持してウェットスキッド性能を著しく向上させたタイ
ヤトレッド用ゴム組成物を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題点を解決するべく鋭意検討の結果、特定の無機化
合物粉体及びカーボンブラックを特定量配合すれば上記
の問題点を解決でき、上記目的のタイヤトレッド用ゴム
組成物を得ることに成功し、本発明を完成するに至った
のである。すなわち、本発明のタイヤトレッド用ゴム組
成物は、天然ゴム及び／又はジエン系合成ゴム１００重
量部に対して、下記条件を満足する無機化合物粉体５〜
３０重量部と、カーボンブラック３０〜１００重量部と
を配合してなるものである。〔条件〕下記一般式（Ｉ）で表される少なくとも一つの
無機化合物であり、該無機化合物の粒径が１０μｍ以下
である無機化合物粉体。Ｍ・ｘＳｉＯ₂・ｙＨ₂Ｏ ………（Ｉ）〔式(Ｉ)中のＭは、Ａｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｃａから選ばれ
る少なくとも一つの金属酸化物又は金属水酸化物であ
り、ｘ，ｙは共に０〜１０の整数である。〕前記条件に
おいて一般式（Ｉ）が下記一般式（II）であることが好
ましい。Ａｌ₂Ｏ₃・ｍＳｉＯ₂・ｎＨ₂Ｏ ………（II）〔式(II)中のｍは１〜４の整数であり、ｎは０〜４の整
数である。〕また、前記条件において一般式（Ｉ）で表
される無機化合物が水酸化アルミニウムであることが好
ましい。さらに、前記カーボンブラックが窒素（Ｎ₂）
吸着比表面積で６５ｍ²/ｇ以上で、かつ、ジブチルフタ
レート（ＤＢＰ）吸油量で９０ｃｍ³／100ｇ以上のカー
ボンブラックであることが好ましい。

【０００８】

【作用】本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、天然
ゴム及び／又はジエン系合成ゴムに対して上記条件を満
足する無機化合物粉体及びカーボンブラックを特定量配
合することにより構成されるものであり、上記条件及び
特定量のカーボンブラックが互いに相乗することにより
初めて作業性、耐摩耗性を低下させることなく、また、
低発熱性を維持せしめてウェットスキッド性能を著しく
向上させることができ、上記条件及びカーボンブラック
の配合量を部分的に満足しても本発明の目的は達成され
ないこととなる（この点に関しては更に実施例等で詳述
する）。

【０００９】以下、本発明の内容を説明する。本発明に
おけるゴム成分は、天然ゴム（ＮＲ）及び／又はジエン
系合成ゴムである。ジエン系合成ゴムとしては、例え
ば、スチレンブタジエンゴム（ＳＢＲ）、ポリブタジエ
ンゴム（ＢＲ）、ポリイソプレンゴム（ＩＲ）及びこれ
らの混合物等を使用することができる。

【００１０】本発明で用いる無機化合物粉体は、下記条
件を満足することが必要である。すなわち、下記一般式
（Ｉ）で表される少なくとも一つの無機化合物であり、
該無機化合物の粒径が１０μｍ以下であることが必要で
ある。Ｍ・ｘＳｉＯ₂・ｙＨ₂Ｏ ………（Ｉ）〔式(Ｉ)中のＭは、Ａｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｃａから選ばれ
る少なくとも一つの金属酸化物又は金属水酸化物であ
り、ｘ，ｙは共に０〜１０の整数である。〕上記一般式
（Ｉ）で表される無機化合物は、ｘ，ｙが共に０である
場合には、Ａｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｃａから選ばれる少なく
とも一つの金属酸化物又は金属水酸化物となる。上記一
般式（Ｉ）で表される無機化合物の具体例としては、ア
ルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）、水酸化マグネシウム（Ｍｇ（Ｏ
Ｈ）₂）、酸化マグネシウム（ＭｇＯ₂）、チタン白（Ｔ
ｉＯ₂）、チタン黒（ＴｉＯ_2n-1）、タルク（３ＭｇＯ
・４ＳｉＯ₂・Ｈ₂Ｏ）、アタパルジャイト（５ＭｇＯ・
８ＳｉＯ₂・９Ｈ₂Ｏ）等が挙げられる。なお、ケイ酸マ
グネシウムカルシウム（ＣａＭｇＳｉＯ₄）、ケイ酸マ
グネシウム（ＭｇＳｉＯ₃）も本発明の無機化合物と同
等の効果を発揮するものとなる。

【００１１】また、上記一般式（Ｉ）は、下記一般式
（II）で表される無機化合物又は水酸化アルミニウムで
あることが好ましい、Ａｌ₂Ｏ₃・ｍＳｉＯ₂・ｎＨ₂Ｏ ………（II）〔式(II)中のｍは１〜４の整数であり、ｎは０〜４の整
数である。〕上記一般式（II）で表される無機化合物の具体例として
は、クレー（Ａｌ₂Ｏ₃・２ＳｉＯ₂）、カオリン（Ａｌ₂
Ｏ₃・２ＳｉＯ₂・２Ｈ₂Ｏ）、パイロフィライト（Ａｌ₂
Ｏ₃・４ＳｉＯ₂・Ｈ₂Ｏ）、ベントナイト（Ａｌ₂Ｏ₃・
４ＳｉＯ₂・２Ｈ₂Ｏ）等が挙げられる。また、本発明で
用いる水酸化アルミニウムは、アルミナ水和物も含むも
のである。

【００１２】上記無機化合物は、その粒径が１０μｍ以
下、好ましくは、０.０５〜５μｍ、さらに好ましく
は、０.１〜３μｍであることが必要である。該無機化
合物の粒径が１０μｍを越えると、タイヤトレッド用ゴ
ムの耐破壊特性、特に耐摩耗性が極端に悪くなり好まし
くない。本発明で用いる特に好ましい無機化合物粉体と
しては、クレー（Ａｌ₂Ｏ₃・２ＳｉＯ₂）、水酸化アル
ミニウム〔Ａｌ(ＯＨ)₃〕、アルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）であ
る。また、本発明で用いる上記特性を有する無機化合物
粉体は、単独で又は２以上を混合して用いることができ
る。なお、上記の条件を満足しない無機化合物粉体、例
えば、Ａｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｃａから選ばれる硫化物、硫
酸塩及び炭酸塩等の他の構造のものはウェットスキッド
性能向上に効果がない。

【００１３】本発明で用いる上記特性を有する無機化合
物粉体の配合量は、上記ゴム成分１００重量部に対し
て、５〜３０重量部、好ましくは、１０〜２５重量部で
ある。無機化合物粉体の配合量が５重量部未満である
と、ウェットスキッド性能を向上させることができず、
３０重量部を越えると、耐摩耗性に悪影響を及ぼし好ま
しくない。

【００１４】本発明において用いるカーボンブラックと
しては、窒素吸着比表面積で６５ｍ²/ｇ以上、好ましく
は７０〜１４５ｍ²/ｇ、さらに好ましくは、汎用タイヤ
では１００〜２００ｍ²/ｇ、高性能タイヤでは１５０〜
２４０ｍ²/ｇであることが望ましい。窒素吸着比表面積
が６５ｍ²/ｇ未満であると無機化合物粉体が混入される
時充分な耐摩耗性がとれなくなり好ましくない。また、
ジブチルフタレート吸油量が９０ｃｍ³／100ｇ以上、好
ましくは、１００〜１８０ｍ²/ｇ、さらに好ましくは、
汎用タイヤでは１００〜１６０ｃｍ³／100ｇ、高性能タ
イヤでは１１０〜１７０ｃｍ³／100ｇであることが望ま
しい。ジブチルフタレート吸油量が１００ｃｍ³／100ｇ
未満であると無機化合物粉体が混入される時充分な耐摩
耗性がとれなくなり好ましくない。

【００１５】カーボンブラックの配合量は、上記ゴム成
分１００重量部に対して、３０〜１００重量部、好まし
くは、３５〜９５重量部、さらに好ましくは、４０〜９
０重量部である。カーボンブラックの配合量が３０重量
部未満であると、耐摩耗性が不充分となり、１００重量
部を越えると、加工性（作業性）が悪化し好ましくな
い。

【００１６】本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、
上記ゴム成分、無機化合物粉体、カーボンブラックを通
常の加工装置、例えば、ロール、バンバリーミキサー、
ニーダー等により混練することにより得られる。また、
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物においては、上記
成分の他に、通常ゴム配合剤として使用される配合剤、
例えば、プロセスオイル、加硫剤、老化防止剤等を適宜
配合することができる。

【００１７】

【実施例】次に、実施例、比較例によって本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。

【００１８】（実施例１〜３、比較例１〜７）下記表１
及び表２の配合処方（配合単位：重量部）に従い、硫黄
及び加硫促進剤以外の配合剤と原料ゴム（天然ゴムとＳ
ＢＲ）とをバンバリー型インターナルミキサーで混合
し、得られたマスターバッチに硫黄と加硫促進剤をオー
プンロール上で添加しタイヤトレッド用ゴム組成物を調
製した。各タイヤトレッド用ゴム組成物について加工性
（作業性）の評価試験を行った。次いで、空気入りタイ
ヤのタイヤトレッドに実施例１〜３及び比較例１〜７の
ゴム組成物を使用して、ウェットスキッド性能、耐摩耗
性等について評価試験を行った。これらの評価試験の結
果を下記表１及び表２に示す。

【００１９】各評価試験は、下記により行った。ウェットスキッド性能湿潤アスファルト路面にて、初速度４０、６０、８０km
／hrからの制動距離を測定し、各速度で比較例１を１０
０（コントロール）とし、他の配合比については、下式比較例１の制動距離÷供試タイヤの制動距離×１００にて指数を求め、その三水準の平均値にて指数表示し
た。従って、数値が大なる程良好である。耐摩耗性実車にて舗装路面を１万km走行後、残溝を測定し、トレ
ッドが１mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、
比較例１を１００（8000km／mmに相当）として指数表示
した。指数が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。

【００２０】低発熱性低発熱性は、発熱試験により低発熱性指数で評価した。
発熱試験は、東洋精機社製スペクトロメータ（動的歪振
幅０．１％、周波数５２Ｈｚ、測定温度２５℃）を使用
して、ｔａｎδを求め、下記式により算出した。低発熱性指数＝（比較例１の試験片のｔａｎδ）／（供
試試験片のｔａｎδ）この低発熱性指数が大きい程、低発熱性が良好なことを
示す。ゴム物性供試用サンプル（実施例１〜３、比較例
２〜７）の加硫条件は、１４５℃、３５分である。加工性（作業性）ムーニー粘度により加工性を評価した。ムーニー粘度
は、島津製作所製ムーニー粘度計を使用して、１００℃
で測定した。試験法は、ＪＩＳＫ６３００に準拠して
行い、ＭＬ₁₊₄（１分予熱後、４分稼動後のムーニー粘
度値）を求めた。指数が小さい程、加工性が良好なこと
を示す。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【表２】

【００２３】〔上記表１及び表２の考察〕実施例１〜３
は、ゴム成分（天然ゴムとＳＢＲ）１００重量部に対
し、本発明範囲の特性値及び配合量を有する無機化合物
粉体（クレー、水酸化アルミニウム）及びカーボンブラ
ックを配合したタイヤトレッド用ゴム組成物であり、耐
摩耗性、加工性を低下させることなく、また、低発熱性
を維持せしめてウェットスキッド性能を著しく向上させ
ることができることが判明した。これに対して、比較例
１は、コントロールであり、比較例２及び３は、本発明
の無機化合物粉体を使用しない場合、すなわち、シリカ
（ホワイトカ−ボン）を使用した場合である。比較例２
はシリカの配合量を多くした場合（５０重量部）であ
り、この場合は耐摩耗性及び加工性が劣り、比較例３は
シリカの配合量を少なくした場合（２０重量部）であ
り、この場合は低発熱性及び加工性が劣ることが判明し
た。

【００２４】比較例４は、ガラス転移温度が高いゴム成
分（ＳＢＲ）を使用した場合であり、耐摩耗性が劣り、
また、表２で評価していないが低温性も劣り、比較例５
は、本発明の範囲外となる無機化合物粉体（炭酸カルシ
ウム）を使用した場合であり、耐摩耗性が劣り、比較例
６は、本発明の範囲外となる粒径が１００μｍとなる水
酸化アルミニウムを使用した場合、比較例７は、本発明
の範囲外となるカーボンブラックを使用した場合であ
り、これら比較例５〜比較例７は共に耐摩耗性等が劣る
ことが判明した。

【００２５】上記表１及び表２の結果から明らかなよう
に、本発明の条件を満足する無機化合物粉体及び特定量
のカーボンブラックを配合して初めて加工性(作業性)、
耐摩耗性を低下させることなく、また、低発熱性を維持
せしめてウェットスキッド性能を著しく向上させること
ができ、それぞれの各条件を部分的に満足しても本発明
の目的は達成されないことが判明した。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、加工性、耐摩耗性を低
下させることなく、また、低発熱性を維持せしめてウェ
ットスキッド性能を著しく向上させることができるタイ
ヤトレッド用ゴム組成物が提供される。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】天然ゴム及び／又はジエン系合成ゴム１
００重量部に対して、下記条件を満足する無機化合物粉
体５〜３０重量部と、カーボンブラック３０〜１００重
量部とを配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物。〔条件〕下記一般式（Ｉ）で表される少なくとも一つの
無機化合物であり、該無機化合物の粒径が１０μｍ以下
である無機化合物粉体。Ｍ・ｘＳｉＯ₂・ｙＨ₂Ｏ ………（Ｉ）〔式(Ｉ)中のＭは、Ａｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｃａから選ばれ
る少なくとも一つの金属酸化物又は金属水酸化物であ
り、ｘ，ｙは共に０〜１０の整数である。〕
【請求項２】前記条件において一般式（Ｉ）が下記一
般式（II）である請求項１記載のタイヤトレッド用ゴム
組成物。Ａｌ₂Ｏ₃・ｍＳｉＯ₂・ｎＨ₂Ｏ ………（II）〔式(II)中のｍは１〜４の整数であり、ｎは０〜４の整
数である。〕
【請求項３】前記条件において一般式（Ｉ）で表され
る無機化合物が水酸化アルミニウムである請求項１記載
のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項４】前記カーボンブラックが窒素吸着比表面
積で６５ｍ²/ｇ以上で、かつ、ジブチルフタレート吸油
量で９０ｃｍ³／100ｇ以上のカーボンブラックである請
求項１〜３の何れか一つに記載のタイヤトレッド用ゴム
組成物。