JP2001072802A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 氷上摩擦力などの氷上性能を高めたタイヤ用
ゴム組成物の提供。 【解決手段】 天然ゴム及びガラス転移点が−50℃以
下の合成ゴムから選ばれた少なくとも1種のゴム成分1
00重量部に、イノケイ酸塩類を除く粘土鉱物からな
り、平均粒子サイズが5〜2000μm、BET窒素吸
着比表面積が50〜800m2 /gである粉体を3〜5
0重量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタイヤ用ゴム組成物
に関し、更に詳しくはゴム成分にイノケイ酸塩類(セピ
オライト等)を除く粘土鉱物を主成分とする粉体を配合
することによって、氷上摩擦力などのタイヤの氷上性能
を高めたタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】氷雪路面用タイヤとして従来使用されて
いたスパイクタイヤは優れたグリップ力を発揮するが、
粉塵公害のため近年スパイクタイヤに代えてスパイクの
ないスタッドレスタイヤが氷雪路面用として使用されて
いる。しかしながら、スパイクタイヤに比較してスタッ
ドレスはトレッド面と氷雪路面との摩擦力が十分でな
く、種々の改良が提案されている。
【0003】例えば特開平9−302153号公報に
は、ゴムに多孔質粒子を配合することによって氷上制動
性能等の優れたゴム組成物を得ることが提案されてい
る。また特開平8−3373号公報には、ゴムにカオリ
ナイトを主成分とするクレーを配合することによって、
低温でしなやかな、氷上性能に優れたゴム組成物を開示
している。更に本発明者らの一部は、先きに、セピオラ
イト(珪酸および酸化マグネシウムを主成分とするイノ
ケイ酸塩類の粘土)をジエン系ゴムに配合することによ
ってゴムを柔軟化させることなくゴムの氷上摩擦力を高
めることのできるスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を提
案した(特願平10−973614号出願参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはイノケイ
酸塩類以外の粘土鉱物を用いて、タイヤの氷上摩擦力を
高める方法を開発すべく更に研究開発をすすめた。多孔
質球体の添加による方法では、粒子の分散性が良すぎる
ためにゴム表面での良好な凹凸形成効果が得られず、0
℃近傍の滑りやすい条件での氷上性能を向上させること
は難しい。これに対して、フィロ珪酸類を主成分とする
粘土鉱物系粉体は、ミクロレベルでの分散性が適度に悪
く、ゴムの表面に凹凸も適度に形成されることにより、
氷上性能を大幅に向上させることが期待できる。フィロ
珪酸類に分類される前記したカオリナイト(珪酸および
酸化アルミニウムを主成分とする粘土鉱物)を主成分と
するクレーでは表面活性が低く、ゴム表面に十分な表面
凹凸を形成させることができない。粘土鉱物系粉体の中
でも、セピオライトを例とするイノケイ酸塩は繊維状の
性状をしているために分散性が極度に悪く、ゴム表面で
の凹凸形成には良いが、混合不足による分散不良が問題
となる。
【0005】従って、本発明の目的はタイヤ用ゴム組成
物を、加工性を損ねること無く、滑りやすい0℃近傍で
の氷上性能を高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、天然ゴ
ム及びガラス転移点Tgが−50℃以下の合成ゴムから選
ばれた少なくとも1種のゴム成分100重量部に、イノ
ケイ酸塩類(セピオライト等)を除く粘土鉱物からな
り、平均粒子サイズが5〜2000μm、BET窒素吸
着比表面積が50〜800m2 /gである粉体3〜50
重量部を配合してなるタイヤ用ゴム組成物が提供され
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に従えば、ジエン系ゴム及
びカーボンブラックを含むゴム配合系に比表面積の高い
粘土鉱物の特定の粉体を配合することによって、驚くべ
きことに、氷上摩擦力を効果的に高めることができる。
前述のカオリナイトはアルミノケイ酸塩鉱物を成分とす
る粘土鉱物であり、セピオライトは珪酸及び酸化マグネ
シウムを主成分とする、マグネシウム含有の含水イノケ
イ酸塩鉱物である。本発明において使用する粘土鉱物
は、好ましくはいわゆるフィロケイ酸塩を主成分とする
もので、2次元に無限に拡がった層状構造の巨大イオン
(Si2 5)n 2n- を含むものであり、窒素吸着比表面
積が50m2 /g以上であることを特徴とするものであ
る(注:イノケイ酸塩は繊維状構造を有する)。具体例
としては、モンモリロナイト、活性白土、アスベスト活
性ベントナイト、酸処理モンモリロナイトなどをあげる
ことができる。
【0008】本発明に従ったゴム組成物に配合される合
成ゴムとしては、具体的にはTgが−50℃以下の従来
よりタイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている架橋
可能な任意のジエン系ゴムをあげることができ、具体的
には、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブ
タジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム
(IR)、ブチルゴム(IIR)などを単独又は任意の
ブレンドとして用いることができる。低温脆化性や耐摩
耗性の観点から天然ゴム(NR)又はポリイソプレンゴ
ムとポリブタジエンゴムとの混合物を用いるのがより好
ましく、その重量比をNR又はIR/BR=70/30
〜30/70、特に70/30〜50/50とするのが
さらに好ましい。
【0009】本発明のゴム組成物には、ゴム補強剤とし
て、通常ゴム組成物に配合される任意のカーボンブラッ
クを配合することができる。また、シリカで表面処理を
施したカーボンブラックも使用可能である。またシリカ
も使用することができる。カーボンブラックの配合量と
しては、ゴム成分100重量部に対し、20〜80重量
部、好ましくは30〜60重量部で使用される。この配
合量が少な過ぎるとゴムを十分に補強できないため、例
えば耐摩擦性が悪化するので好ましくなく、逆に多過ぎ
ると硬度が高くなり過ぎたり、加工性が低下したりする
ので好ましくない。
【0010】本発明において使用するカーボンブラック
は、窒素吸着比表面積(N2 SA)が80〜160(m
2 /g)で、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が1
00〜140(cc/100g) であるのが好ましく、更
に好ましくはN2 SAが100〜140(m2 /g)で
DBPが110〜130(cc/100g)である。
【0011】本発明に従えば、ゴム組成物中にゴム成分
100重量部当り、イノケイ酸塩類を除く粘土鉱物を主
成分(90重量%以上)とする粘土鉱物3〜50重量
部、好ましくは5〜30重量部を配合する。この配合量
が少な過ぎると氷上摩擦力を高める効果が表れにくくな
るので好ましくなく、逆に多過ぎると硬度が高くなり過
ぎたり、タイヤの耐摩耗性が極度に悪化するので好まし
くない。
【0012】本発明に用いる前記粘土鉱物粉体は平均粒
子サイズが5〜2000μm、好ましくは20〜300
μm、BET窒素吸着比表面積が50〜800m2
g、好ましくは60〜300m/gである。これらの要
件を満たさないと粒子径が小さかったり、比表面積が小
さいと粒子がゴム中に良好に分散しすぎて、ゴム表面に
凹凸形成が十分になされない。また粒子径が大きすぎた
り、比表面積が大きすぎると分散性が極度に悪く、加工
性に問題が生じる。
【0013】本発明の好ましい態様では前記ゴム組成物
に軟化剤をゴム成分100重量部当り0〜20重量部配
合する。かかる軟化剤としては工業用パラフィン系プロ
セスオイル、アロマ系プロセスオイル、ロジン系プロセ
スオイルおよび天然植物性プロセスオイルなどをあげる
ことができ、かかる軟化剤の配合によって未加硫ゴムの
加工性を良くすることができるが、多く配合しすぎると
粘土鉱物粉体に吸着して氷上摩擦性能に悪影響を及ぼす
ことがあるのであまり好ましくない。
【0014】本発明に係るタイヤ用ゴム組成物には、更
に、通常の加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、
各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑化剤、その他一
般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合す
ることができ、かかる配合物は、一般的な方法で混練、
加硫して組成物とし、加硫または架橋することができ
る。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しな
い限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を更
に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定す
るものでないことは言うまでもない。
【0016】実施例1〜4及び比較例1〜3 表Iに示した実施例及び比較例に使用した配合成分及び
試験方法は以下の通りである。
【0017】配合成分 NR(天然ゴム):SIR−20 cis−BR:Nipol BR1220(日本ゼオン
製) カオリナイト:エードプラスSP(水澤化学製) セピオライト:Tクレー(日本タルク製)(SiO2
6.65%、Al2 3 17.98%、MgO0.9
%) 活性ベントナイト:ベンクレイMK−101(水澤化学
製) モンモリロナイト:ミズカエース(水澤化学製) 酸処理モンモリロナイト:ガレオンアース(水澤化学
製) カーボンブラック:N2 SA(m2 /g)が112、D
BP吸油量(ml/100g)が112のISAF級カー
ボンブラック シリカ:ニップシールAQ(日本シリカ工業製) シランカップリング剤:ビス−(3−(トリエトキシシ
リル)−プロピル)テトラスルフィド 亜鉛華:亜鉛華3号 ステアリン酸:工業用ステアリン酸 老化防止剤:N−フェニル−N′−(1,3−ジメチル
ブチル)−p−フェニレンジアミン ワックス:工業用パラフィンワックス 芳香族油:工業用アロマ系プロセスオイル マイクロスフェア:マツモトマイクロスフェア−F10
0 硫 黄:5%油処理の粉末硫黄 加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジ
ルスルフェンアミド
【0018】サンプルの調製 表Iに示す配合のうち、加硫促進剤と硫黄を除く成分を
1.8リットルの密閉型ミキサーで3〜5分間混練し、
165±5℃に達したときに放出したマスターバッチに
加硫促進剤と硫黄を8インチのオープンロール混練し、
ゴム組成物を得た。次に、この組成物を15×15×
0.2cmの金型中で160℃で20分間プレス加硫して
目的とする試験片(ゴムシート)を調製し、加硫物性と
してアイススキッドレジスタンス(−1.5℃及び−3
℃)を評価した。また加工性パラメーターを評価した。
結果は表Iに示す。
【0019】試験方法 アイススキッドレジスタンス:ブリティッシュ・ポータ
ブル・スキッドテスターを用いて、氷上路面条件下(温
度:−1.5℃及び−3℃)で測定し、標準例である比
較例1の値を100として指数表示した。数値が大きい
ほど、氷上性能が優れていることを示す。 加工性パラメーター:ガーロックモールドでの加硫時
に、2mm幅の溝が分散不良塊で埋まるかどうかの評価。
1000回加硫して埋まらなければ○、1000回まで
に埋まってしまえば×とした。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上の通り、本発明に従えば、表Iのア
イススキッドレジスタンスの結果から明きらかなよう
に、氷上摩擦力を著しく高めることができ、例えばスタ
ッドレスタイヤ用トレッドなどとして好適なタイヤ用ゴ
ム組成物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川添 真幸 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 Fターム(参考) 4J002 AC011 AC031 AC061 AC081 BB181 DJ006 DJ036 FD016 FD020 GN01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ゴム及びガラス転移点Tgが−50℃
    以下の合成ゴムから選ばれた少なくとも1種のゴム成分
    100重量部に、イノケイ酸塩類を除く粘土鉱物を主成
    分とし、平均粒子サイズが5〜2000μm、BET窒
    素吸着比表面積が50〜800m2 /gである粉体3〜
    50重量部を配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 前記ジエン系ゴム100重量部に対し、
    熱により気化、分解または化学反応して気体を発生する
    液体または固体を封入した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子1
    〜20重量部を更に含んでなる請求項1記載のタイヤ用
    ゴム組成物。
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