JPH0712335B2 - パン製造機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は混練，発酵，焼成の一連の工程を自動的に行う
ようにしたパン製造機に関するものである。

従来の技術 パンの製造を確実に行う要素としては数多くのものがあ
るが、そのうちの１つに焼成後の蒸気抜きがあげられ
る。すなわち、上記蒸気抜きがうまく行われないとでき
あがったパンに結露現象が発生し、その結果、べとつい
たパンとなったり、外観が収縮した形となったりして、
ふっくらとした美味なパンをつくることができない。

したがって、上記蒸気抜きはパン製造における最終工程
として非常に重要なものであることが認識できるであろ
う。

蒸気抜きの最も有効な手段は焼成室内を強制換気するこ
とである。第２図は第１の従来のパン製造機を示したも
ので、ヒータなどの加熱手段１を有し、かつ上方開放部
を蓋２で開閉するようにした焼成室３に、羽根などの混
練手段４を備えた焼成ケース５を内設し、さらに外気を
同焼成室３に導入する吸気路６を設けるとともに、蓋２
には孔状の排気路７を形成している。そして焼成室３内
の換気は吸気路６に介在したファン８を駆動することに
よって外気を前記焼成室３に強制的に送り込み、それに
よって蒸気を排気路７から排出するようにして行ってい
る。また第３図は第２の従来のパン製造機を示したもの
で、ヒータなどの加熱手段11を有し、かつ上方開放部を
蓋12で開閉するようにした焼成室13に、羽根などの混練
手段14を備えた焼成ケース15を内設し、さらに、焼成室
13内の蒸気を排出する排気路17を設けるとともに、焼成
室13の側壁中央部に排気孔16を形成し、蓋12には吸気路
19を形成している。そして焼成室13内の換気は排気路17
に介在したファン18を駆動させることによって焼成室13
内の蒸気を排出するようになっている。

発明が解決しようとする問題点 これまでのパン製造機においては、上記第１の従来例の
ように吸気路６にファン８を設けて外気を焼成室３内の
パンに吹きつけているため、冷たい外気がパンのみでな
く、焼成ケース５の外壁に当たり、その結果、焼成ケー
ス５がパンよりも先に冷却されるため、パンと焼成ケー
ス５の温度により焼成ケース５の内側に結露が生じ、所
期の目的を達成できなかった。さらに、排気路７が、焼
成ケース５の上端より下に位置すれば、焼成ケース５の
側壁外面が外気の流路となるため、焼成ケース５とパン
の温度差がさらに大きくなり結露が生じやすくなる。

また、第２の従来例においては、排気孔16が焼成ケース
15の上端より下方に位置するため、蓋12の吸気路19より
導入された外気は焼成ケース15の側壁外面を通過するこ
とになり、その結果、焼成ケース15がパンより先に冷却
されるため、パンと焼成ケース15に温度差が生じ、焼成
ケース15の内側に結露が生じて所期の目的を達成できな
かった。

本発明はこのような従来の問題点を解決したもので、蒸
気抜きを確実に行ってふっくらとした美味なパンをつく
ることを目的とするものである。

問題点を解決するための手段 このような従来の問題点を解決するために本発明は、加
熱手段によって加熱される焼成室と、この焼成室に設置
され、パン材料を収納する焼成ケースと、この焼成ケー
ス内のパン材料を混練する混練手段と、前記焼成室を含
む吸，排気路と、前記排気路に設置された強制通風用の
ファンとを備え、前記排気路の焼成室排気口、および吸
気路の内側吸気口は前記焼成ケースの上端開口部より上
方に配置したものである。

作用 上記構成によれば、ファンの駆動によってまず焼成室内
の蒸気が吸引され、それに伴なって外気が導入される。
さらに外気はパンと焼成ケースの間隙から上昇する蒸気
とともに排気口から排出される。しかも排気路の焼成室
排気口、および吸気路の内側吸気口は焼成ケースの上端
開口部より上方に配置しているため、焼成ケースの側壁
外面を外気が通過しなくなり、その結果、焼成ケースが
急冷されることはなくなるため、焼成ケースとパンの温
度差による結露は生じない。

実施例 以下、本発明の一実施例を第１図にもとづいて説明す
る。

図において、電気ヒータのような加熱手段21を有する焼
成室22に出入れ自在に内設された焼成ケース23は上方を
開放した有底状であり、その内底部には羽根からなる混
練手段24が、上方には把手25がそれぞれ設けられてい
る。上記混練手段24はカップリング26を介して駆動源と
連係している。27は焼成ケース23の温度を検知して加熱
手段21などの制御を行う温度センサー、28は焼成室22の
上方開口を開閉する蓋、29は機体ケースを示す。前記蓋
28は中空状に構成されており、その内部の一部には外側
吸気口30,吸気空間31、フィルターを有する内側吸気口3
2を通って焼成室22の頂部に至る吸気路33と、一端を外
側蓋排気口34に、他端を内側蓋排気口35にそれぞれ連通
させた排気空間36とを有している。39はモータ40で駆動
されるファン41を途中に配設した排気ダクトで、その一
端は焼成室22の上部に開口して焼成室排気口37を形成
し、かつ他端は内側蓋排気口35に連通している。そし
て、前記排気ダクト39,内側蓋排気口35,排気空間36,外
側蓋排気口34によって排気通路43が形成されている。

上記構成において、一応のパン製造の全工程を述べる。
まず、焼成ケース23に小麦粉，塩，砂糖，バター，水な
どのパン材料を投入しておく。運転を開始すると、上記
パン材料が混練され、一定のねかし時間をおいた後、今
度はドライイーストが混入されて発酵工程に入る。同工
程に入るとある周期で混練を伴なうガス抜きが行われ、
１次,2次,3次，整形発酵と進行し、次いで焼成工程に移
行する。そして焼成工程が終ると、ファン41が一定時間
だけ駆動されて焼成室22の強制換気がなされ、蒸気抜き
行程を完了する。

ところで、上記蒸気抜き工程において、ファン41が排気
路43に設けてあるため、焼成室22は負圧領域下に置かれ
るものである。したがって、上記焼成室22の上方の蒸気
はもちろんのこと、焼成後のパンの収縮により生じた同
パンの周囲と焼成ケース23との間隙の蒸気も確実かつ速
やかに排出されるものである。

また排気路43の焼成室排気口37、および吸気路の内側吸
気口32は焼成ケース23の上端開口部より上方に位置して
焼成室22の上部に形成しているため、外側吸気口30,内
側吸気口32を通って焼成室22内に導入された外気は焼成
ケース23の側壁外面付近を通過しなくなり、その結果、
外気により焼成ケース23が急激に冷却されるということ
はなく、焼成ケース23と、この焼成ケース23内のパンは
ほぼ同じ速度で徐々に冷却されるため、温度差による焼
成ケース23内の結露は生じにくくなる。

以上からより一層ふっくらとした美味なパンが得られる
ものである。

発明の効果 以上の説明から明らかなように本発明によれば、蒸気抜
きをファンを用いて強制的に行うものにおいて、ファン
を排気路に設けて、いわゆる吸込み方式とすることによ
り、焼成室が負圧領域に設定されるようにしているた
め、パン焼成工程後の蒸気抜きは確実、かつ速やかに行
われることになる。また排気路の焼成室排気口、および
吸気路の内側吸気口を焼成ケースの上端開口部より上方
に配置しているため、吸気口から導入された外気は焼成
ケースの側壁近傍を通過することはなく、その結果、焼
成ケースは急冷されず、焼成ケース内のパンと同速度で
冷却されて温度差によって発生する結露現象が生じるこ
とはない。これにより、ふっくらとした美味なパンをつ
くることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すパン製造機の断面図、
第２図は第１の従来例を示すパン製造機の断面図、第３
図は第２の従来例を示すパン製造機の断面図である。 21……加熱手段、22……焼成室、23……焼成ケース、24
……混練手段、33……吸気路、37……焼成室排気口、41
……ファン、43……排気路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】加熱手段によって加熱される焼成室と、こ
   の焼成室内に設置され、パン材料を収納する焼成ケース
   と、この焼成ケース内のパン材料を混練する混練手段
   と、前記焼成室を含む吸気路および排気路と、前記排気
   路に設置された強制通風用のファンとを備え、前記排気
   路の焼成室排気口及び前記吸気路の内側吸気口を前記焼
   成ケースの上端開口部より上方に配置したパン製造機。