JPH07115844A - 菌根性キノコ類の人工栽培方法及びそのための培地 - Google Patents
菌根性キノコ類の人工栽培方法及びそのための培地Info
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Landscapes
- Mushroom Cultivation (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 マツタケ、ホンシメジ等の菌根性キノコ類を
効率良く人工栽培できる方法及びそれに使用する実用的
な培地を提供する。 【構成】 水湿潤状態の麦を含む培地に、菌根性キノコ
類の菌糸を接種し、３０℃以下の温度で培養する。この
培養は、１８〜２８℃で第一段の培養を実施し、その後
に培地の温度を第一段の温度より３℃以上低い温度に低
下させて、第二段の培養を実施するというような、温度
の異なる２段階の培養法によってもよい。なお、培地
は、固形分で３０重量％以上の麦を含むのが好ましい。
効率良く人工栽培できる方法及びそれに使用する実用的
な培地を提供する。 【構成】 水湿潤状態の麦を含む培地に、菌根性キノコ
類の菌糸を接種し、３０℃以下の温度で培養する。この
培養は、１８〜２８℃で第一段の培養を実施し、その後
に培地の温度を第一段の温度より３℃以上低い温度に低
下させて、第二段の培養を実施するというような、温度
の異なる２段階の培養法によってもよい。なお、培地
は、固形分で３０重量％以上の麦を含むのが好ましい。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、菌根性キノコ類の人工
栽培方法及びそのための培地に関する。
栽培方法及びそのための培地に関する。
【０００２】
【従来の技術】キノコ類の人工栽培は、古くから研究さ
れており、シイタケ、ナメコ、ヒラタケ、エノキタケ等
の木材腐朽性キノコ類の人工栽培については、既に実用
化されている。しかし、生木の根の養分を吸収して成長
するホンシメジやマツタケ等の菌根性キノコ類について
は、人工栽培が困難であり、未だに実用的な方法が開発
されていない。
れており、シイタケ、ナメコ、ヒラタケ、エノキタケ等
の木材腐朽性キノコ類の人工栽培については、既に実用
化されている。しかし、生木の根の養分を吸収して成長
するホンシメジやマツタケ等の菌根性キノコ類について
は、人工栽培が困難であり、未だに実用的な方法が開発
されていない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
菌根性キノコ類を効率良く人工栽培できる方法及びそれ
に使用する実用的な培地を提供することを目的とする。
菌根性キノコ類を効率良く人工栽培できる方法及びそれ
に使用する実用的な培地を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明者は、麦を培地に
使用することにより、菌根性キノコ類の菌糸の定着が可
能であることを見いだし、本発明を完成した。
使用することにより、菌根性キノコ類の菌糸の定着が可
能であることを見いだし、本発明を完成した。
【０００５】本発明では、水湿潤状態の麦を含む培地
に、菌根性キノコ類の菌糸を接種し、３０℃以下の温度
で培養することにより、天然と同様の菌根性キノコ類の
栽培を可能とするものである。
に、菌根性キノコ類の菌糸を接種し、３０℃以下の温度
で培養することにより、天然と同様の菌根性キノコ類の
栽培を可能とするものである。
【０００６】菌根性キノコ類の菌糸の培養は、全体に一
定の温度で実施されてもよいが、１８〜２８℃で第一段
の培養をした後に、培地の温度を前記第一段の温度より
３℃以上低い温度に低下させて第二段の培養を実施する
という二段階法によるのが好ましい。この場合、第一段
の培養を２０〜２５℃程度で実施し、第二段の培養を１
０〜１８℃程度で実施するのが好ましい。
定の温度で実施されてもよいが、１８〜２８℃で第一段
の培養をした後に、培地の温度を前記第一段の温度より
３℃以上低い温度に低下させて第二段の培養を実施する
という二段階法によるのが好ましい。この場合、第一段
の培養を２０〜２５℃程度で実施し、第二段の培養を１
０〜１８℃程度で実施するのが好ましい。
【０００７】本発明で使用する培地は、固形分で麦を３
０重量％以上含有するように調製するのが好ましく、特
に固形分で麦を５０〜１００重量％含有するように調製
するのがよい。
０重量％以上含有するように調製するのが好ましく、特
に固形分で麦を５０〜１００重量％含有するように調製
するのがよい。
【０００８】この培地には、キノコ類の人工栽培用とし
て公知の培地に使用される固形分や栄養分、例えば木粉
（おがくず）、米糠、ふすま、稲藁、麦藁等を添加して
もよい。特に精麦した麦を粒状のまま使用する場合、麦
粒の間に木粉等を介在させると、麦粒の養分を確実に吸
収しながら、菌糸が伸長し易く、より効率のよい人工栽
培が可能となる。
て公知の培地に使用される固形分や栄養分、例えば木粉
（おがくず）、米糠、ふすま、稲藁、麦藁等を添加して
もよい。特に精麦した麦を粒状のまま使用する場合、麦
粒の間に木粉等を介在させると、麦粒の養分を確実に吸
収しながら、菌糸が伸長し易く、より効率のよい人工栽
培が可能となる。
【０００９】なお、麦としては、コムギ、オオムギ、ラ
イムギ、エンバク等がいずれも使用でき、これらは、精
麦した状態で使用するのが好ましいが、更に粉砕したも
のを使用してもよい。
イムギ、エンバク等がいずれも使用でき、これらは、精
麦した状態で使用するのが好ましいが、更に粉砕したも
のを使用してもよい。
【００１０】培地は、麦が水で湿潤状態に保たれるもの
であればよく、培地中の水分量は特に限定されないが、
通常、培地含水率を５０〜８０重量％程度に調整するの
が好ましい。
であればよく、培地中の水分量は特に限定されないが、
通常、培地含水率を５０〜８０重量％程度に調整するの
が好ましい。
【００１１】培地は、通常のキノコ栽培用培地と同様
に、常圧又は高圧加熱して減菌して使用するのが好まし
く、また、栽培中に培地表面が乾燥すると、培地表面か
らきのこが出難くなるので、菌糸接種後、菌糸の培養期
間中（例えば接種より菌糸が蔓延するまでの期間中）、
培地表面を、水で湿った材料、例えば水で湿らせて減菌
したピート、バーミキュライト、土壌等で覆うのが好ま
しい。
に、常圧又は高圧加熱して減菌して使用するのが好まし
く、また、栽培中に培地表面が乾燥すると、培地表面か
らきのこが出難くなるので、菌糸接種後、菌糸の培養期
間中（例えば接種より菌糸が蔓延するまでの期間中）、
培地表面を、水で湿った材料、例えば水で湿らせて減菌
したピート、バーミキュライト、土壌等で覆うのが好ま
しい。
【００１２】なお、ここに菌根性キノコ類とは、マツタ
ケ、ホンシメジ、ショウロ、アミタケ、クロカワ、アミ
ガサタケ、キツネタケ等である。
ケ、ホンシメジ、ショウロ、アミタケ、クロカワ、アミ
ガサタケ、キツネタケ等である。
【００１３】
【実施例】次に、ホンシメジの栽培例によって、本発明
を更に詳しく説明する。 ホンシメジの栽培実験 実施例１─子実体形成能の高い系統の選抜─ 精麦したライムギ（裸麦）粒８ｇを直径１８mm、長さ１
８０mmの試験管に入れ、水１２mlを加えて、高圧減菌
し、全国から集めたホンシメジ４７系統の菌糸を接種し
た。各菌糸に対して６個のサンプルを準備し、２３℃で
７０日間培養後、温度を１５℃に下げ、子実体原基が形
成されるかどうかを調べた。その結果、Ｗ１３６、Ｗ１
４１、ＨＹ１Ｌ、ＳＦ−Ｌｓ６の４系統が５０％以上の
割合で子実体原基を形成した。
を更に詳しく説明する。 ホンシメジの栽培実験 実施例１─子実体形成能の高い系統の選抜─ 精麦したライムギ（裸麦）粒８ｇを直径１８mm、長さ１
８０mmの試験管に入れ、水１２mlを加えて、高圧減菌
し、全国から集めたホンシメジ４７系統の菌糸を接種し
た。各菌糸に対して６個のサンプルを準備し、２３℃で
７０日間培養後、温度を１５℃に下げ、子実体原基が形
成されるかどうかを調べた。その結果、Ｗ１３６、Ｗ１
４１、ＨＹ１Ｌ、ＳＦ−Ｌｓ６の４系統が５０％以上の
割合で子実体原基を形成した。
【００１４】実施例２─培地組成の検討─ 培地の組成を、菌糸の成長速度と子実体基（成長して肉
眼でひだが見えるまでに成育したもの─子実体─を含
む）の形成率という２つの方法で検討した。 (1) 菌糸の成長速度 表１の６種の培地を準備し、３０mm×２００mmの試験管
を用いて、実施例１で選抜した４系統のホンシメジの菌
糸を接種し、菌糸成長速度を測定した。その結果を表２
に示す。
眼でひだが見えるまでに成育したもの─子実体─を含
む）の形成率という２つの方法で検討した。 (1) 菌糸の成長速度 表１の６種の培地を準備し、３０mm×２００mmの試験管
を用いて、実施例１で選抜した４系統のホンシメジの菌
糸を接種し、菌糸成長速度を測定した。その結果を表２
に示す。
【００１５】
【表１】
【００１６】
【表２】
【００１７】この結果から、精麦したオオムギ粒あるい
はこれにブナ木粉を加えた培地（Ｍ１〜Ｍ４）では、ブ
ナ木粉の添加量にかかわらず、菌糸がよく伸長した。こ
れに対して、オオムギ粒に米糠を加えた培地（Ｍ５）で
の菌糸成長速度は、やや遅かったが、菌糸の密度は他の
ものより高かった。なお、麦に代わりに米を使用した培
地（Ｍ６）では、実質的な菌糸の伸長は認められなかっ
た。
はこれにブナ木粉を加えた培地（Ｍ１〜Ｍ４）では、ブ
ナ木粉の添加量にかかわらず、菌糸がよく伸長した。こ
れに対して、オオムギ粒に米糠を加えた培地（Ｍ５）で
の菌糸成長速度は、やや遅かったが、菌糸の密度は他の
ものより高かった。なお、麦に代わりに米を使用した培
地（Ｍ６）では、実質的な菌糸の伸長は認められなかっ
た。
【００１８】(2) 子実体原基の形成率 (1) で用いた試験管内に菌糸が蔓延した後、培養温度を
１５℃とし、子実体原基が形成される割合を調査した
（ただし、Ｍ５とＭ６は菌糸の伸長が遅かったので、こ
の実験には用いなかった）。その結果を表３に示す。
１５℃とし、子実体原基が形成される割合を調査した
（ただし、Ｍ５とＭ６は菌糸の伸長が遅かったので、こ
の実験には用いなかった）。その結果を表３に示す。
【００１９】
【表３】
【００２０】表３の結果から、オオムギを主成分とする
これらの培地では、いずれの場合にも、子実体原基が形
成され、その割合はオオムギとブナ木粉を９：１の割合
で使用した培地（Ｍ３）において、やや高いことが分か
った。なお、形成された原基の一部は、傘およびひだが
明瞭な子実体にまで成長した。
これらの培地では、いずれの場合にも、子実体原基が形
成され、その割合はオオムギとブナ木粉を９：１の割合
で使用した培地（Ｍ３）において、やや高いことが分か
った。なお、形成された原基の一部は、傘およびひだが
明瞭な子実体にまで成長した。
【００２１】実施例３─子実体の形成促進─ 実施例２と同様の培養を実施したが、菌糸接種後３０日
に、培地表面に、炭酸カルシウムでpH5.４に調整した減
菌済ピートを約１cmの厚さとなるように置いた。子実体
（原基ではない）の形成率を、ピートで培地表面を覆わ
なかったものと比較して表４に示す。
に、培地表面に、炭酸カルシウムでpH5.４に調整した減
菌済ピートを約１cmの厚さとなるように置いた。子実体
（原基ではない）の形成率を、ピートで培地表面を覆わ
なかったものと比較して表４に示す。
【００２２】
【表４】
【００２３】表４に示されるように、ピートで培地表面
を覆った場合に、子実体の形成率が著しく高められた。
を覆った場合に、子実体の形成率が著しく高められた。
【００２４】実施例４─子実体発生量─ ５００mlガラス瓶を用いて、子実体発生量を調査した。
この実験には、３系統のホンシメジを使用した。瓶１本
当たり精麦したオオムギ粒８０ｇ、ブナ木粉５ｇ、米糠
５ｇ、水１３５mlを入れて高圧減菌し、冷却後培地中央
に直径約１cmの穴をあけ、予め同じ組成の培地で培養し
たホンシメジの菌糸を接種した。２３℃で７０日間培養
した後、温度を１５℃に下げたところ、表５に示す通り
子実体が発生した。この実験での培地容量は約２２０ml
であることから、現在菌床栽培されている各種きのこと
比較して、充分な発生量と考えられる。
この実験には、３系統のホンシメジを使用した。瓶１本
当たり精麦したオオムギ粒８０ｇ、ブナ木粉５ｇ、米糠
５ｇ、水１３５mlを入れて高圧減菌し、冷却後培地中央
に直径約１cmの穴をあけ、予め同じ組成の培地で培養し
たホンシメジの菌糸を接種した。２３℃で７０日間培養
した後、温度を１５℃に下げたところ、表５に示す通り
子実体が発生した。この実験での培地容量は約２２０ml
であることから、現在菌床栽培されている各種きのこと
比較して、充分な発生量と考えられる。
【００２５】
【発明の効果】本発明では、従来不可能とされていた菌
根性キノコ類の人工栽培が可能となる。なお、本発明で
使用する培地は、麦又は麦と木粉等を用意するだけで、
容易に調製可能であり、実用性あるものである。
根性キノコ類の人工栽培が可能となる。なお、本発明で
使用する培地は、麦又は麦と木粉等を用意するだけで、
容易に調製可能であり、実用性あるものである。
【表５】
Claims (5)
- 【請求項１】 水湿潤状態の麦を含む培地に、菌根性キ
ノコ類の菌糸を接種し、３０℃以下の温度で培養するこ
とを特徴とする菌根性キノコ類の人工栽培方法。 - 【請求項２】 １８〜２８℃で第一段の培養をした後
に、培地の温度を前記第一段の温度より３℃以上低い温
度に低下させて第二段の培養を実施すること特徴とする
請求項１の方法。 - 【請求項３】 菌糸接種後、培地表面を、水で湿った材
料で覆うことを特徴とする請求項１または２の方法。 - 【請求項４】 麦を固形分で３０重量％以上含むことを
特徴とする菌根性キノコ類の人工栽培用の培地。 - 【請求項５】 麦に対して等量以下の木粉を含むことを
特徴とする請求項４の培地。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5290099A JPH084427B2 (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | ホンシメジの人工栽培方法及びそのための培地 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5290099A JPH084427B2 (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | ホンシメジの人工栽培方法及びそのための培地 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07115844A true JPH07115844A (ja) | 1995-05-09 |
| JPH084427B2 JPH084427B2 (ja) | 1996-01-24 |
Family
ID=17751785
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5290099A Expired - Lifetime JPH084427B2 (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | ホンシメジの人工栽培方法及びそのための培地 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH084427B2 (ja) |
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1998035546A1 (fr) * | 1997-02-12 | 1998-08-20 | Imb Kabushiki Gaisha | Methode de culture de sporophores d'agaricus blazei dans un lit artificiel de culture de champignons |
| JP2007054044A (ja) * | 2005-07-26 | 2007-03-08 | Yamasa Shoyu Co Ltd | ホンシメジの人工栽培法及び培地 |
| WO2009093634A1 (ja) * | 2008-01-25 | 2009-07-30 | Takara Bio Inc. | マツタケ子実体の誘導方法 |
| US7971388B2 (en) | 2007-07-24 | 2011-07-05 | Takara Bio Inc. | Method for cultivating hon-shimeji mushroom on fungal bed |
| US7984584B2 (en) | 2007-05-29 | 2011-07-26 | Takara Bio Inc. | Method for fungal bed cultivation of mushroom |
| US8278508B2 (en) | 2007-11-15 | 2012-10-02 | Takara Bio Inc. | Hon-shimeji mushroom-fungal bed culture |
| CN103858641A (zh) * | 2014-03-17 | 2014-06-18 | 白瑞贤 | 麦田套种大球盖菇的方法 |
| KR20240035933A (ko) | 2022-09-09 | 2024-03-19 | 포레스트 리서치 앤드 매니지먼트 오가니제이션 | 송이류의 자실체 원기의 유도 방법, 송이류의 자실체 원기의 제조 방법, 균상 배지, 배양액 |
-
1993
- 1993-10-25 JP JP5290099A patent/JPH084427B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| WO1998035546A1 (fr) * | 1997-02-12 | 1998-08-20 | Imb Kabushiki Gaisha | Methode de culture de sporophores d'agaricus blazei dans un lit artificiel de culture de champignons |
| US6378244B1 (en) | 1997-02-12 | 2002-04-30 | Imb Kabushiki Gaisha | Method of cultivating fruit bodies of agaricus blazei in artificial mushroom cultivation bed |
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